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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

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(様式 4 )

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

小 澤 大 悟 印

(学位論文のタイトル)

TGFBI expression in cancer stromal cells is associated with poor prognosis and hematogenous recurrence in esophageal squamous cell carcinoma

(食道扁平上皮癌における癌間質細胞のTGFBI発現は予後不良と血行性転移に関係する)

(学位論文の要旨)

【背景】食道扁平上皮癌は悪性度が高く、癌関連死の重要な原因の一つである。食道扁平上皮癌患者の予後改善を目的 に、我々は食道癌で高発現することが既存のマイクロアレイデータで確認されているTransforming growth factor-β induce d protein(TGFBI)の発現意義を調べた。

【対象と方法】1990年〜2007年に当科において根治切除が行われた術前無治療の食道扁平上皮癌102症例を対象とした。

これらの切除検体より採取されたtotal RNAを用いてreal time RT-PCRでTGFBI発現を評価し、その臨床病理学的意義 を調べた。また食道扁平上皮癌におけるTGFBI蛋白の局在をみるために免疫組織学的検索を行った。その免疫組織学 的検討の結果を受けて、線維芽細胞株KMST6のTGFBI発現をknock downし食道扁平上皮癌細胞株TE8との共培養を行 い、TE-8の増殖能、遊走能、浸潤能の変化を調べた。

【結果】食道癌部のTGFBI発現は正常扁平上皮と比較し有意に高発現であった(P=0.0014)。臨床病理学的因子との比較 では、壁深達度(T)、リンパ節転移(N)、遠隔転移(M)との相関は見られなかった。しかしTGF-β1発現とTGFBI発現は正 の相関を示し(P=0.0019)、またTGFBI高発現群では術後の肝・肺・骨の血行性転移再発が有意に多く(P=0.025)、全生存 期間の比較ではTGFBI高発現群で有意に予後不良であった。多変量解析においてはTGFBI高発現が独立予後因子となる ことが示された (RR, 1.47; 95% CI, 1.03-2.05; P=0.037)

免疫組織学的検討では、検討した41例中5例のみ(12.2%)で食道癌細胞の細胞質にTGFBI蛋白発現が観察されたが、ほと んどの症例では(87.8%, 36/41 cases)食道癌細胞にTGFBI発現は見られず、主に間質細胞や細胞外基質にその発現が確認 された。免疫組織学的検討の結果を受けて、食道扁平上皮癌細胞株; TE1, TE8, TE15, KYSE70、正常食道扁平上皮細

胞株; HET1A、および線維芽細胞株; KMST6のTGFBI発現をwestern blottingで評価した所、食道癌細胞株および食道扁

平上皮細胞株のいずれもTGFBI発現はなく、線維芽細胞株KMST6のみ発現が確認された。

線維芽細胞株KMST6とTE8の共培養では、KMST6のTGFBI発現を抑制するとTE8の増殖能は変化ないものの、wound healing assay, Matrigel invasion assayの検討にてTE8の遊走能、浸潤能が低下することが示された。

【考察】既存のマイクロアレイデータ同様、本検討でも食道癌組織におけるTGFBI mRNA発現は対応する食道扁平上 皮と比較し有意に高いことが示された。さらに免疫組織学的検索においてTGFBI mRNA発現は主に癌間質細胞および 細胞外基質由来であることが示唆された。またTGFBI mRNA高発現が術後血行性転移再発と相関し、予後不良因子と なることも示され、in vitroにおいて線維芽細胞由来のTGFBIをknock downすることにより共培養した食道癌細胞株TE 8の遊走能および浸潤能が抑制されることを証明した。

本研究において食道癌間質のTGFBIが食道癌の遊走能、浸潤能、ひいては血行性転移に関わっていることが示唆され、

TGFBIが食道癌の潜在的な治療標的となりうることが示された。

【結論】食道扁平上皮癌においてTGFBI発現は細胞遊走能、浸潤能に関与し、結果として術後血行性再発と相関し予 後不良となっていることが示唆される。TGFBIは食道癌の有望な治療標的となる可能性がある。

参照

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