博 士 ( 獣 医 学 ) 津 田 明 子
学位論文題名
Studies on the development of programmed cell death and drug resistance in TrypanosoTna brucei
(Try触 髭 〇S〇 兜 ロ6凡 CビZに お けるprogrammedCelldeathの発 生と 薬 剤 耐 性と の 関 連 性に つ い ての 研 究 )
学位論文内容の要旨
7Yppano.舶皿a加cdはアフリカのサハラ砂漠以南に存在する眠り病(人)やナガナ(家 畜)の病原体であるが、貧困な地域でのみ流行している疾病のため、薬剤の開発などが遅 れている。、さらに従来使用していた薬剤に対する耐性も発生し、新しい薬剤の開発や薬剤 耐性 メカニズ ムの解明が望まれている。本研究はZ厨Hc釘における薬剤耐性機構解明を目 的にProgrammedcelldeath(PCD)を関連させ検討を行なった。
PCDは アポトー シスとほぼ同義であり、多細胞生物の生体恒常性維持、免疫、発生など におい て重要な 役割を果たす。単細胞生物におけるPCDの生物学的意義は十分には解明さ れていないが、群全体にとっての利益のために個を殺す利他的行為なのではないかと推測 されて いる。Z bruceiにおいても薬剤添加、レクチンなどによるPCDの発生が報告されて いる。 本研究で は高密 度培養条 件下にお いてZ brucei血 流型にPCDが発 生することを見 い出し た。また 低温ストレスをかけることによって、PCDの発生が抑制されるとともに、
trypanosome alternative oxidase (TAO)の 発現が上 昇する ことが明 らかと なった。
TAOはミト コンドリ ア内膜 に存在す るシア ン耐性酸化酵素であり、血流型Zbruceiのグ リコ ソーム で生じたNADHを酸化 し、細胞 内レド ックス環境の調節を行なうと考えられて いる。植物におけるalternative oxidase (AOX)は低温ストレスにより発現が上昇したり、
ま たAOXを 欠 損 さ せ る とPCDが発 生 し 、逆 に 過 剰 発現 さ せ るとPCDが 抑 制 され る こ と が報告されている。これと同様のことがZ bruceiにも当てはまるのではないかと推測し、
低温 ストレ ス条件下 でPCDが抑制されているZbruceiに′IヽAOの特異的阻害剤を添加した とこ ろ、PCDが発生 するこ とが明ら かとなっ た。さらにT AOを過剰発現する遺伝子組み 換 えZ加ucdを 作 製 し 高密 度 条 件下 で 培 養を 行な ったと ころ、野 生株より もPCDの発生 率が低かった。このことから′IヽAOを過剰発現することによりPCDに対して耐性を獲得す ることが示唆された。
癌細 胞 な どで はPCDの抑制 と薬剤耐 性に関 連がある ことが 判明して いる。 そこでTAO の過剰発現株における抗トリパノソーマ薬に対する感受性の変化を検討した。その結果、
suramln,antrycideの2種の抗卜 リパノソ ーマ薬 においてTAO過剰発現株が野生株に比べ て高い抵抗性を示すことが判明した。アbr uceiにおいてPCDの抑制と薬剤耐性の問に関連 性が存在することが示唆された。
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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査 教 授 小 沼 操 副 査 教 授 片 倉 賢 副査 助教授 奥 祐三郎 副 査 助 教授 大 橋和 彦
学 位 論 文 題 名
Studies on the development of programmed cell death
and drug reslStanCeinヱ ー ン っ ゆ 口 髭 DSD0銘 口 み ダ Zイ Cぞ ぎ (7ン ゅ 口 髭 〇SD 銘 ロ み 〆 銘C¢ ¢ に お け るprogrammedCelldeathの発 生と 薬 剤 耐 性 と の 関 連 性 に つ い て の 研 究 )
7Yypanosoma bruceiはア フリ カ のサ ハラ 砂漠 以南 に存 在する眠り病(人)やナガナ 病(家畜)の病原体である。Z br uceiに対しては、薬剤の開発などが遅れているうえ、
薬剤 に対する耐性も発生しているため、新しい 薬剤の開発や薬剤耐性メカニズムの解明 が 望 ま れ て い る 。 本 研 究 はZ bruceiに お け る 薬 剤 耐 性 機 構 とProgrammed cell death(PCD)との関連を検討した。
PCDはア ポト ーシ スと ほぼ 同義 であ り、 多細 胞生 物の 生 体恒 常性 維持 、免 疫、 発生 な ど にお いて 重要 な役 割を 果 たす 。一 方、 単細 胞生 物のPCDに つい ては 、そ の生 物学 的意 義は 十分には解明されてい ないが、群全体にとっての利益のために個を殺す利他的 行 為 な の で は な い か と 推 測 さ れ て い る 。 本 研 究 で は 高 密 度 培 養 条 件 下 に お い てZ b ucei血 流型 にPCDが発 生す るこ とを 見い 出し た。 また 低 温ス トレ スを かけ るこ とに よって、PCDの発生が抑制 されるとともに、trypanosome alternative oxidase(′IヽAO) の発現が上昇することを明らかにした。
植 物に おけるalternative oxidase (AOX)は低温ストレスにより発現が上昇したり、
ま たAOXを 欠 損 さ せ る とPCDが 発 生 し 、 逆 に 過 剰 発 現 さ せ る とPCDが 抑 制 さ れ る こ とが 報告 され てい る。 これ と同 様の こと がZ bruceiにも 当て はまるのではないかと推 測し 、低 温ス トレ ス条 件下 でPCDが抑 制さ れて いるZbr uceiに′I、AOの特異的阻害剤 を 添 加 し た と こ ろ 、PCDが 発 生 し た 。 さ ら に ′11AOを 過 剰 発 現す る遺 伝子 組み 換え Zぬuc畄 を 作 製 し 高 密 度 条 件 下 で 培養 を行 なっ たと ころ 、野 生株 より もPCDの発 生率 が 低 か っ た 。 こ の こ と か ら ′rAOを過 剰発 現す るこ とに よりPCDに 対し て耐 性を 獲得 することが示唆された。
ま た、 癌細 胞な どで はPCDの抑 制と 薬剤 耐性 に関 連が あ るこ とが 判明 して いる 。そ こで ′rA0の 過剰 発現 株 にお ける 抗ト リパノソーマ薬に対する感受性の変化を検討し、
suramln,antrycideの2種の 抗ト リパ ノソーマ薬において′11AO過剰発現株が野生株に 比 べ て 高 い 抵 抗 性 を 示 す こ と を 明ら かに した 。こ れは 、Zぬuc畄 にお いてPCDの 抑制 と薬剤耐性に関連があることを示唆している。
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本 研究 に より 、Z bruceiに おい てPCD発現 と薬 剤耐 性機 構が 関連 する こと が明 らか となった。よって、審査委員一同 は、津田明子君の博士論文は、北海道大学大学院獣医学 研究 科規 程 第6.条 の規 定に よる 本研 究 科の 行う 博士 論文 の審 査等 に合 格と 認め た。
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