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博士(地球環境科学)近藤恭光

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Academic year: 2021

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博士(地球環境科学)近藤恭光

    学位論文題名

  New chemifluorescence detection systems for DNA   hybridization by use of novel fluorogenic substrates

傍覦螢光基質を用いたDNAハイブリダイゼーションのための新たな螢光検出システム)

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  近年発 展してき たDNA. RNAなどの 核酸ハ イブリダ イゼー ション法 、塩基 配列決定 法 やPCR法などに より遺 伝子の構 造・機能 などの 解析が可 能とな り、その 情報は 理学、医 学農学 、工学な ど広い 分野で利 用されて いる。 核酸ハイ ブリダイゼーション法には、メ ンブレ ンフイル ターに 固定化さ れた核酸 を検出 するフイ ルターハイブリダイゼーション 法と組 織、細胞 、染色 体上の核 酸を検出するjn situハイブリダイゼーション法があり、

従来、 これらの 核酸の 検出には 、放射性同位元素(RI)を用いたオートラジオグラフイ法 が用い られてき たが、 これには 特定な設 備を必 要としさ らに研究者の健康管理上の問題 などか ら、非RI検 出法の 開発が望 まれ、 種々の手 法が発展 してきた。例えば、発色基質 を使う 発色法、 化学発 光基質を 使う化学 発光法 、螢光基 質を使う化学螢光法などの酵素 反応系 による酵 素法な どがある 。溶液中 でのタ ンパク質 の検出などに用いられていろ酵 素標識 螢光法(Enzyme linked fluorescence assay、ELFA)は高感度であるが、この螢光 基質が 水溶性で あるた め、ナイ ロンフイ ル夕一 や組織・ 細胞・染色体などへの沈着性が 悪く、 また、解 像度が 著しく低 いとぃう 問題が あり、ハ イブリダイゼーションヘの適用 に改良 すべき点 が多い 。本研究 では、沈 着性が 高く、さ らに高感度・高解像度の螢光基 質の開 発と、それを応用したフイルターおよび;n situハイブリダイゼーションにおける 螢光検出システムを確立した。

  第1章では、 フイル 夕一ハイ プリダイ ゼーシ ョンに用 いるア ルカリホ スファ ターゼの 螢光 基 質 の 開発 に つ いて 述べ た。ナフ トール 誘導体32種 、アン トラセン 誘導体10種、

フルオ レセイン 誘導体6種を 合成し、 ナイロ ンメンブ レン上 での検出 感度を調 べた。 そ の結果、ナフトール誘導体の1つである3‑hydroxy‑Nー2'‑b iphenyl‑2‑naph thalene carbox ‑ amide (HNPP)と、フルオレセイン誘導体である、phosphorylated 5‑(4ーbiphenylcarboxa‑

mido)‑3|‑O ‑(l‑naphthy l)meth ylfluo rescein (BNFP)が最も高感度であることが分かり、こ れらの 基質を用 いた、 サザンハ イブリダ イゼー ションや ウエスタンブロッテイングのた めの化 学螢光法 を確立 した。こ こで開発 した化 学螢光法 は、現在のところ最も高感度で あろ と さ れ てい る 化 学発 光法 と同等の 感度を 有するこ とが分 かり、極 めて有 用性が高 い。 さ ら に 、HNPPとBNFPを 組 み合 わ せ た2色 検 出法 を 確立し 、同一フ イルタ ー上で異 なる2種の核酸あるいはタンバクの同時検出を可能にした。

  第2章 では 、HNPPの 伽situハ イ ブ リダ イ ゼ ーシ ョ ン への適用 について 述べた 。脱リ ン酸 化 し たHNPP(HNP)は 、組織 や細胞 に対する 沈着性 が極端に 低いため 、in situハ イブ リ ダ イ ゼー シ ョ ンに は 利 用出 来 な かっ た 。 そこ で、HNPを ジァゾニ ウム塩 とァゾ カップ リングさ せ、組 織に対す る沈着性 を上げ ることに した。組織や細胞に最も効果的

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に反 応生 成物 を沈 着させられるジァゾニウム塩をスクリーニングした結 果、HNPPとFast Red TRの 組み 合わ せが 沈着 性が 高く 最も 高 感度 であ るこ とが わか った 。HNP‑Fast Red TRの 沈着 物は 、強 いオレンジの螢光を発し、励起光による退色が遅く、 染色体上での螢 光シ グナ ルは 、キ ナクリンーヘキスト33258で対比染色したQ.バンド染 色体とよい対比 をな しシ グナ ルの 検出が容易であり、また、ユニーク配列を染色体上で 検出できろだけ の 感 度 を 有 し 、 遺 伝 子 マ ッ ビ ン グ へ の 有 用 性 が 極 め て 高 い こ と を 示 し た 。   第3章 では 、 ホー スラ デイ シュ パー オキ シダーゼの基質を合成しフイ ルターハイブ1J ダイ ゼー ショ ンに 用いる螢光基質の開発について述べた。基質として、 芳香族アミン誘 導体19種 とフ ェノ ール 誘導 体11種を 合成 し た。 その 中で 、芳 香族 アミ ン誘導体のーつ である、N‑(4―amlno―5―methoxy‑2‑methylphenyl)benzamide (AMMB)がメンブレンブロッ テ イ ン グ 分 析 に 最 も 適 し た パ ー オ キ シ ダー ゼ螢 光基 質で ある こと が分 かっ た。AMMB は、 パー オキ シダ ーゼと反応すると、黄色螢光の沈着物をナイロンメン ブレン上に形成 す る 。 さ ら に 、AMMBとHNPPを 組 み 合 わ せた フイ ルタ ーハ イブ リダ イゼ ーシ ョン や ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ テ イ ン グ の た め の2色 検 出 法 を 確 立 し た 。 こ の 手 法 で は 、AMMBと HNPPを同 時に 酵素 反応 させ るこ とが でき る ため 、第1章 にお ける2色検 出法よりも早く 簡便な手法としてより有用性が高い。

  第4章 では 、 細胞 や染 色体 への 沈着 性を 有する螢光基質の合成と、そ の螢光基質を用 いたjn situハ イブリダイゼーション法の確 立について述べた。螢光基質は第3章で合成 した 芳香 族ア ミン 誘導 体4種 とフ ェノ ール 誘導体11種のなかから、核及 び染色体への沈 着性 と螢 光強 度を 指標としてスクリーニングした。その結果、フウノー ル誘導体のーつ であ る、N‑(4‑hydroxy‑2‑methylphenyl)benzamide (HMPB)が 最もjnsituハイブリダイ ゼー ショ ンに 適し てい るこ とが 分か った 。HMPBは、 パー オキ シダ ーゼ と反応すると、

青緑 色螢 光を 発し 、さらに、螢光退色が極めて遅い特徴がみられた。こ の螢光基質を単 独で 用い たシ グナ ル検 出法 とさ らに 、HNPP‑Fast Red TRと組み合わせた2色検出法を開 発 し た 。2色 検 出 法 で は 、 青 緑 (HMPB)と オレ ンジ (HNPP‑Fast Red TR)の 螢光 色 が 同時 に検 出す るこ とができる。また、これらの螢光基質による螢光シグ ナルは、いずれ も他 のど の螢 光色 素よ りも 退色 が極 めて 遅 いため、共焦点レーザー顕微鏡を用いた3次 元解析などにおいて非常に有用であると考えられ る。

  従 来の 螢光 基質 はナイロンフイルターや組織細胞・染色体などへの沈 着性が劣り、解 像度 が著 しく 低い ため 、ELFAの ハイ ブリ ダ イゼ ーシ ョン ヘの 応用 は不 可能であった。

しか し、 本研 究で 見られたように沈着性螢光基質の開発により、最大の 欠点であろ沈着 性の 問題 を解 決し たばかりでなく、新たに開発した螢光基質は高感度・ 高解像度および 遅い 退色 性と ぃう 特徴をもつことから、これらを用いた螢光検出システ ムは核酸検出の みな らず 、酵 素標 識を利用した様々な物質の検出・可視化が可能であり 、基礎科学分野 への大きな貢献が期待される。

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学 位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教 授 吉 教 授 高 教 授   西 助 教 授  阿 助 教 授  井

田 廸 弘 木 信 夫    則 雄 部 周 一 上 勝 一

     学位論文題名

New chemifluorescence detection systems for DNA hybridization by use of novel fluorogenic substrates

傍覦螢光基質を用いたDNAハイブリダイゼーションのための新たな螢光検出システム)

  分 子 生 物 学 、 遺 伝 学 、 医 学 な ど の 広 い 分 野 で 利 用 さ れ て い る 核 酸 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 法 に は 、 メ ン ブ レ ン フ イ ル タ ー に 固 定 化 さ れ た 核 酸 を 検 出 す る フ イ ル タ ー ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 法 と 組 織 、 細 胞 、 染 色 体 上 の 核 酸 を 検 出 す る 而situハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 法 に 大 別 さ れ る 。 従 来 、 こ れ ら の 核 酸 の 検 出 に は 放 射 性 同 位 元 素 を 用 い て い た が 、 最 近 、 発 色 基 質 を 使 う 発 色 法 、 化 学 発 光 基 質 を 使 う 化 学 発 光 法 、 螢 光 基 質 を 使 う 化 学 螢 光 法 な ど の 酵 素 反 応 系 に よ る 酵 素 法 な ど の 核 酸 検 出 法 が 開 発 さ れ て い る 。 し か し 、 こ れ ら は ぃ ず れ も 感 度 、 解 像 度 や さ ら に 沈 着 性 な ど に 問 題 点 が 多 く 、 改 良 す べ き 点 が 多 い 。 本 研 究 で は 、 沈 着 性 が 高 く 、 さ ら に 高 感 度 ・ 高 解 像 度 の 螢 光 基 質 を 開 発 し 、 そ れ を 応 用 し た フ イ ル 夕 一 お よ びin situハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に お け る 新 た な 螢 光 検 出 シ ス テ ム を確 立し た ・ .   フ イ ル タ ー ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン の 化 学 螢 光 法 の 開 発 で は 、 ア ル カ リ ホ ス フ ァ タ ー ゼ の 螢 光 基 質 と し て 、 ナ フ ト ー ル 誘 導 体32種 、 ア ン ト ラ セ ン 誘 導 体10種 、 フ ル オ レ セ イ ン 誘 導 体6種 を 合 成 し 、 さ ら に 、 ホ ー ス ラ デ イ シ ュ バ ー オ キ シ ダ ー ゼ 螢 光 基 質 と し て 、 芳 香 族 ア ミ ン 誘 導 体19種 と フ ェ ノ ー ル 誘 導 体11種 を 合 成 し 、 ナ イ ロ ン メ ン ブ レ ン 上 で の 沈 着 性 と 検 出 感 度 を 調 べ た 。 そ の 結 果 、 ナ フ ト ー ル 誘 導 体 の3‑hydroxy‑N‑2 ‑biphenyl‑2. naphthalenecarboxamide (HNPP)およびフルオレセイン誘導体phosphorylated5 (4.bipheny'l‑

carboxamido)‑3.‑O‑(l‑naphthyl)methylfluorescein(BNFP)、 さら に 、芳 香族 アミ ン誘導体の N‑(4‑amino‑5 ‑methoxy‑2 ‑methylphenyl)benzamide  (AMMB)が最 も有 効で 、高 感度 で あり 、 フ イ ル タ ー ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に 使 用 可 能 で あ る こ と が 分 か り 、 次 に こ れ ら の 基 質 を 用 い た 高 感 度 化 学 螢 光 法 を 確 立 し た 。 こ の 方 法 で は 核 酸 の み な ら ず タ ン パ ク の ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ テ イ ン グ に も 有 効 で あ っ た 。 ま た 、 申 請 者 は 、HNPPとBNFPを 組 み 合 わ せ た2色

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検出 法も併せ て確立し 、同一フ イルター 上で異なる2種の核酸 あるいは タンバク の同時検 出 を 可 能 に し 、 フ イ ル タ ー ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に 新 機 軸 を う ち 立 て た 。   次に 、細胞や 染色体へ の沈着性 のある螢 光基質の合 成と、その螢光基質を用いた血situ ハイ ブリダイ ゼーショ ン検出法 の確立を 行った。HNPPは組織や細胞に沈着性が低いため、

Fast Red TRを用 いたアゾ カップリ ング法を 確立した 。この反応沈着物(HNP‑Fast RedTR) は 、 強い オ レ ンジ の 螢光 を発し、 退色が遅 く、染色 体上での螢 光シグナ ルは、キ ナクリ ンー ヘキスト33258で染色し たQ.バン ド染色体 とよぃ対比をなしシグナルの検出が容易で ある ことが分 かった。 また、バ ーオキシ ダーゼの螢 光基質についても、合成した芳香族ア ミン誘導体4種とフウノール誘導体11種のなかから、フウノール誘導体のN・(4 ‑hydroxy ‑2 ‑ methylpheny‑l)benzamide (HMPB)が最も有効な基質であることが分かった。HMPBは、/`ー オキ シダーゼ と反応す ると、青 緑色螢光 を発し、螢 光退色が極めて遅い特徴をもつ。この シ グ ナル 検 出 法と 、 さら に 、HNPP‑Fast Red TRと 組 み合わ せた2色検 出法も併せ て開発 した 。これら の手法は いずれも 種々のブ ローブのシ グナル検出が可能であり、遺伝子マツ ピ ン グ が 可 能 で あ っ た 。 さ ら に 、2色検 出 法 では 、HMPBによ る 青 緑とHNPP‑Fast  Red TRによ る オ レン ジ の螢 光色 が同時に 検出でき た。また 、これらの 螢光シグ ナルは、 退色 が極めて遅い特色がみられた。

  以上 、本研究 では、化 学螢光法 のハイブ リダイゼー ションの最大の欠点である沈着性の 問題 を解決し たばかり でなく、 新たに開 発した螢光 基質は高感度・高解像度および遅い退 色性とぃう特徴をもつことから、これらを用いた螢光検出システムは核酸検出のみならず、

酵素 標識を利 用した様 々な物質 の検出・ 可視化が可 能であり、基礎科学分野への大きな貢 献が期待される。

  審査 員一同は 、これら の成果お よび主論 文の内容に 直接関与 した3編の 論文(英 文)と 他 の7編 の英 文 論文 計10編 の 参 考論 文 を高 く 評 価し 、 申請者が博 士(地球 環境科学 )の 学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

参照

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