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学位論文題名Molecular structures of model compounds of mesogens studied by gas-phase electron diffraction

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 辻    武 正

     学位論文題名

Molecular structures of model compounds of mesogens     studied by gas‑phase electron diffraction

(気体電子回折によるメソゲンのモデル化合物の分子構造の研究)

学位論文内容の要旨

  サーモ トロピ ック液晶 を構成 する分子 は特有 の形状をしており、液晶を形成する 化合物 (メソ ゲン)の 分子構 造と液晶 相の安定 性との関係を明らかにすることは重 要であ る。孤 立状態に おける 液晶の構 成分子の 構造は、これまで知られていなかっ た 。 最 近 、 久 世 ら に よ り 液 晶 相 を 形 成 す るPAA (p‑azoxyanisole)とMBBA (N‑(4 ‑methoxybenzylidene)‑4 ‑n‑butylaniline)の気相の分子構造が決定されたf1,2]。

そ の結 果 、PAAの コア(Ph‑Nニ ニ ニN(O)‑Ph)は 誤 差 内で 平 面 であ り 、MBBAの コア (Ph.CH=N.Ph)は非平 面であ る事が分 かった 。これら の化合物 の液晶 相から液 相へ の 相転 移 温 度( 透 明 点) は 、 そ れぞ れ137℃ と47℃ と大きく 異なっ ており、 末端 基の違 いに加 えコアの 構造の 違いによ るものと 考えられる。孤立状態における液晶 構成分 子のコ アの構造 と透明 点との関 係は興味 深いが、メソゲンの気相での構造決 定を数多く行うことは実際上非常に困難である。

  一 方 、MBBAの コ ア の 構 造 は その モ デ ル化 合 物 であ るNーベ ン ジ リデ ン ア ニ ル ン (NBA)の も の と類 似 す る こと が 分 かっ て い る。 もしコ アとそ のモデル 化合物 の構造 の類似 が一般的 である ならば、 少数のモ デル化合物の構造から孤立状態にお けるコ アの構 造と液晶 の透明 点との関 係を調べ ることが出来る。本研究ではまずコ ア の構 造 へ の末 端 基 の影 響 を よ り明 確 に する た め に、PAAのコア のモデル 化合物 で ある ト ラ ンス ー ア ゾキ シ ベ ン ゼン ( と ーAXB)の 分子構 造を気 体電子回 折法に より決 定した 。また他 のコア のモデル 化合物で ある、 トランス ーアゾ ベンゼン(C

―AB) と 安 息 香 酸 フ ェ ニ ル (PB) の 分 子 構 造 を 決 定 し た 。NBAの 関 連 分 子 で あ るN― ベ ンジ リ デ ンア ニ リ ンN― オ キ シド に つ いて は 、NBAの 構造 とab initio 計算の 結果を もとに分 子構造 を推定し た。デー 夕解析 では2つのフ ェニル基 の内部 回転が 独立で あると仮 定して 、各々を 大振幅振 動として扱い、そのポテンシャルを 決定し た。こ の際ab initio計算により内部回転に伴う結合距離と結合角の変化を見 積もっ た。得 られた分 子構造 を既に報 告されて いる他のコアのモデル化合物の構造 と 比較 し 、 孤立 状 態 にお け る コ アの 構 造 と透 明 点 との 関 係 につ い て 考察 し た。

  本論文は6章から構成されている。

  第1章では 、コアの 違いに よる透明 点の違い 、その 違いにつ いての これまで の研 究、お よび気 相におけ るメソ ゲンのモ デル化合 物の構造研究の意義と本研究の目的 に つい て 述 べた 。 ま た気 体 電 子 回折 に よ る構 造 決 定の 手 順 につ い て 記述 し た。

  第2章 で は 、f−AXBの 構 造 決 定 に つ い て 記 述 し た 。 解 析 の 結 果 、f−AXB の コン フ ォ メー シ ョ ンはPAAと同 様 に 平面 で あ るこ とが分 かった 。また対 応する PAAの 構 造パ ラ メ ータ ー と は 、誤 差 内 で一 致 す るこ とが分 かった 。このこ とはメ ト キシ 基 の 置換 に よ り、 コ ア の 構造 が ほ とん ど 変 化し な い こと を 示 して い る。

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  第3章 で は 、fーABの 構 造 決 定 に つ い て 記 述 し た 。 以 前 の 電 子 回 折 の 研 究 で は C―ABの フ ェ ニ ル 基 はNーPh結 合 の 周 り に 約30゜ ね じ れ て い る と 報 告 さ れ て い る 。 と こ ろ が 本 研 究 に お け る 解 析 の 結 果 、 コ ン フ ォ メ ー シ ョ ン は 平 面 で あ る こ と が 分 か っ た 。 こ の 矛 盾 は 、 内 部 回 転 の 扱 い の 違 い に よ る も の と 考 え ら れ 、 大 振 幅 振 動 の 扱 い の 重 要 性 を 示 し て い る 。

  C―AB型 の コ ア を 持 つ 液 晶 の 透 明 点 は 、 末 端 基 が 同 じ な ら ば ト ラ ン ス ― ス チ ル ベ ン (C―SB) 型 の コ ア を 持 つ 液 晶 の も の よ り 平 均 し て 約30℃ 低 い 。 こ れ ら の コ ア の モ デ ル 化 合 物 で あ るf−ABとf−SBは 平 面 構 造 が 安 定 で あ り 、 透 明 点 の 違 い は コ ア の 平 面 性 の 違 い に よ る も の で は な い 。 一 方 、2つ の べ ン ゼ ン 環 を っ な ぐ 連 結 基 (CーCH二 ニCHーCとC−Nニ ニ ニNーC) の 長 さ は 、fーABの 方 が 約0.4A短 い 事 が 分 か っ た 。 従 っ てf―AB型 とfーSB型 の コ ア を も つ 液 晶 の 透 明 点 が 異 な る の は 、 連 結 基 の 長 さ の 違 い が 原 因 で あ る と 考 え ら れ る 。 ま た 、f一AXB型 の コ ア を 持 つ 液 晶 の 透 明 点 は 、C−AB型 の コ ア を 持 つ 液 晶 の も の よ り 約20℃ 高 い 。 こ れ ら の コ ア の モ デ , レ 化 合 物 は 平 面 で あ る 。 一 方f―AXBの 連 結 基 の 長 さ は 、fーA Bよ り 約0.1A長 い こ と が 分 か っ た 。 こ の 連 結 基 の 長 さ の 増 加 は 透 明 点 の 上 昇 に 寄 与 し て い る と 考 え ら れ る が 、 透 明 点 の 約20℃ の 変 化 を 説 明 す る に は 小 さ す ぎ る 。 f―AXBはC−ABと 異 な り 、 双 極 子 モ ー メ ン ト を 持 つ 。 こ の 双 極 子 モ ー メ ン ト に よ り 生 じ る 分 子 間 相 互 作 用 が 、 透 明 点 が 上 昇 す る 原 因 で あ る と 考 え ら れ る 。   第4章 で は 、PBの 構 造 決 定 に つ い て 記 述 し た 。 解 析 の 結 果 、 酸 素 原 子 に 結 合 し た フ ェ ニ ル 基 がO―Ph結 合 の 周 り に66゜ だ け ね じ れ 、 も う 一 方 の フ ェ ニ ル 基 は COO面 と 同 じ 平 面 上 に あ る こ と が 分 か っ た 。PB型 の コ ア を 持 つ 液 晶 の 透 明 点 は 、NBA型 の コ ア を 持 つ 液 晶 の も の よ り 約25℃ 低 い 。 ー 方 、2つ の モ デ ル 化 合 物 の 連 結 基 の 長 さ は0.1A以 内 で 一 致 し 、 ま た 報 告 さ れ て い る 双 極 子 モ ー メ ン ト の 値 に も 大 き な 違 い は な い 。NBAの 窒 素 原 子 に 結 合 し た フ ェ ニ ル 基 はN―Ph結 合 の 周 り に52° ね じ れ て お り 、PBの 酸 素 原 子 に 結 合 し た フ ェ ニ ル 基 の 方 が ね じ れ 角 が 大 き い 。 よ っ て 、PB型 の コ ア を 持 つ 液 晶 の 透 明 点 が 減 少 す る の は コ ア の 平 面 性 の 低 下 が 原 因 で あ る と 考 え ら れ る 。

  第5章 で は 、X‑Ph‑Y‑Ph‑Zで 表 わ さ れ る 液 晶 の 透 明 点 と 孤 立 状 態 に お け る コ ア の モ デ ル 化 合 物 の 構 造 と の 間 に 、 ど の よ う な 関 係 が 見 ら れ る か に つ い て 調 べ た 。 そ の 結 果 、 透 明 点 と コ ア の 平 面 性 お よ び 連 結 基 の 長 さ と の 間 に 、 明 ら か な 関 係 が あ る こ と が 分 か っ た 。 ま た 配 位 し た 酸 素 の 存 在 に よ る 透 明 点 の 上 昇 の 原 因 に つ い て 検 討 し た 。

  第6章 は 、 本 研 究 の 総 括 と し た 。

  液 晶 相 を 形 成 す る 分 子 の 多 く は コ ア の 他 に ア ル キ ル 基 や ア ル コ キ シ 基 な ど の 末 端 基 を 有 す る 。MBBAと 同 様 にPAAに つ い て も 、 そ の コ ア の 構 造 が そ の モ デ ル 化 合 物 の も の と 類 似 す る こ と か ら 、 一 般 に こ れ ら の 末 端 基 の 存 在 に よ ル コ ア の 構 造 は ほ と ん ど 変 化 し な い と 考 え ら れ る 。 こ の こ と は 液 晶 構 成 分 子 の コ ア の 構 造 を 調 べ る う え で 、 そ の モ デ ル 分 子 の 構 造 デ ー タ が 有 用 で あ る こ と を 示 し て い る 。 ま た 、 コ ア の モ デ ル 化 合 物 の 構 造 の 比 較 か ら 、 孤 立 状 態 に お け る コ ア の モ デ ル 化 合 物 の 構 造 と 液 晶 の 透 明 点 と の 相 関 を 見 い 出 し た 。

参考文献【1】久世信彦,博士論文,北海道大学(1995).【2]N.Kuze eta´.,エPh ys Chem.A,1998,102.2080.

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Molecular structures of model compounds of mesogens     studied by gas‑phase electron diffraction

( 気体 電子 回折に よる メソ ゲン のモデル化合物の分子構造の研究)

一 般 に 化 合物が 液晶 相を 発現 する 要因 のー っは 、そ の分 子の 形状 にある こと が知 られ てい る。 液晶 を形成 しう る化 合物(メソゲン)の分子構造と液晶相の安定性と の関 係を 明ら かに するこ とは 興味 深くまた重要なことである。孤立状態におけるメ ソゲ ンの 分子 構造 はこれ まで 知ら れていなかったが、最近、久世らにより初めてメ ソ ゲ ン で あ る PAA け azoxyanisole) と MBBA (N‑(4‑methoxybenzylidene)‑

4 In‑butylaniline) について、その気相での分子構造が決定された。その結果PAA の コ ア (Ph‑N=N(O)‑Ph) は 平 面 で あ る が 、 MBBA の コ ア (Ph‑CH=N‑Ph) は ねじ れて いる こと が分 かっ た。 これら のメ ソゲ ンの液晶相から液相への相転移温度(透明点)は 90 ℃ 異 な るが、 これ は末 端基 の違 いに 加え コア の構 造の 違い によ るもの と考 えら れる 。透 明点 と構 造との 関係 を調 べるために、メソゲンの気相での構造決定を数多 く 行 う こ とは実 際上 極め て難 しい 。MBBA の コア の構 造は その モデ ル化合 物で ある N .ベ ンジ 1J デ ンア ニリ ン(NBA) の ものによく似ているが、これが他のメソゲンにつ いて も言 える なら ば、モ デル 化合 物を用いて孤立状態におけるコアの構造と液晶の 透明点との相関を調べることができる。

本論 文では、連結基X の両端にフェニル基をもつ典型的コアに着目し、そのモデ,レ 化 合 物 Ph‑X‑Ph の気 相で の構 造を 決定 し、PAA の コア の構 造と モデ ル化合 物の 構造 を比 較検 討し 、さ らにコ アの モデ ル化合物の分子構造と液晶の透明点との関係を明 らかにすることを目的としている。申請者はコア・モデル化合物として、トランスー アゾ キシ ベン ゼン 、トラ ンス ーア ゾベンゼン、安息香酸フェニルを選び、気体電子 回折法で構造を決定した。同時に、ab initio RHF/6‑31G .・計算により内部回転によ

182 ‑

弘 保

一 皓

重  

  駿

中 辺

川 中

小 稲

井 田

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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る構造変化を見積もり、大振幅振動解析によルフェニル基の内部回転ポテンシヤル

を決定した。またNBA の関連分子であるN .ベンジリデンアニリン N .オキシドについ

て は 、NBA の 構 造 と RHF/6 ‑31G" 計 算の 結 果 をも と に分 子 構造 を 推定 した 。

   その結果トランスーアゾキシベンゼンの構造はPAA の気体分子のコアの構造と誤

差内で一致した。これはメトキシ基置換により、コアの構造がほとんど変化しない

ことを示している。PAA と MBBA について同様な結果が得られたことより、申請者

はコアの構造は一般に末端基の影響をあまり受けないと推論している。次に上記4

分子とすでに構造の知られているNBA およびトランスースチルベンの合わせて6 分

子の構造と透明点との比較検討をした。その結果、コアのモデル分子の構造(平面

性、連結基の長さ)及び双極子モーメントと透明点との間に強い相関があることが

明らかになった。即ち、平面性が低下するほど、また連結基が短くなるほど透明点

が低下し、分子の極性が強いと透明点が上昇する。さらに、従来考えられなかった

コ ア の 柔 軟 性 、 即 ち 大 振 幅 振 動 も 透 明 点 に 関 係 す る こ と が 示 唆 さ れた 。

以上、申請者は初めて液晶構成分子のコアのモデルとしての観点から、3 種の分

子構造を気体電子回折法によって精密に決定し、 MBBA と同様に PAA もコアの構造

がそのモデル分子のものと類似することを明らかにした。これは他のコアについて

も考えられることであるから、申請者が測定したモデル分子の構造はその他の液晶

構成分子のコアの構造を調べるうえで有用である。同じPh‑X‑Ph 型で、連結基の異な

る一連のモデル分子の平面性、連結基の長さ及び双極子モーメントと透明点との間

に強い相関を見い出したことは、構造と透明点の相関の研究に進展をもたらすもの

で あ り 、 モ デ ル 分 子 の 構 造 決 定 と 合 わ せ て 高 く 評 価 さ れ る 。

   業績論文 3 編はいずれも国外の権威ある学術雑誌に発表されたものである。以上

の所見に基づき、審査員一同は申請者が博士(理学)の学位を受けるのに十分な資

格があるものと認定した。

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