駒 澤 大 學 佛 教 學 部 研 究 紀 要 第 四 十 六 號 昭 和 六 十 三 年 三 月
中
世
曹
洞
宗
切
紙
の
分
類
試
論
十
一ー
t
追
善
・葬
送
供
養
関
係
を
中
心
と し て (補
)i
石
川
一 二 八力
山
こ れ ま で 三 回 に わ た っ て 「 追善
・ 葬 送 供 養 関 係 を 中 心 と し て 」 と い う副
題
に 沿 っ て 、 主 に 葬 送 習俗
を 構 成 す る儀
礼 の 指 南 と な る 切紙
、 お よ び 参 を 紹 介 し て き た.. こ れ ら の 中 に は 、 死 と い う 観念
を め ぐ る 種 々 の 切 紙 や、 十 三 仏 信 仰 ・ 十 界 ・ 十 来 な ど の 口訣
に 関 す る 切 紙 な ど、 葬 送儀
礼 そ の も の と は 直 結 し な い と 思 わ れ る も の も 含 ま れ て い た 。 し か し 、 そ れ ら は儀
礼 そ の も の を 指 南 す る も の で は な い か も し れ な い が 、 葬 送 の 意 味 や 意 義 を 成 り 立 た し め る 理 論 的根
拠 に な り 得 た で あ ろ う こ と は 容 易 に 想 像 で ぎ 、 ま た お し な べ て葬
祭 宗 教 の 方 向 に 歩 み は じ め た 。 日 本 の 中 世 仏 教 を 担 っ た僧
侶 達 の 総 意 を 反 映 し ( 63 ) た も の であ
っ た と す る 推 測 も 可 能 で あ る 。 さ て、次
に葬
送 儀 礼 の 延 長 線 上 に 位 置 付 け ら れ な け れ ば な ら な い 課題
は 、 遺 体 の 処 理 と い う 極 め て 具 体 的 な 行 為 を 経 た 後 の 、 霊 魂 の 想 定 と そ れ に 対 す る 諸 種 の 働 き か け の 問 題 で 、 項 目 的 に 言 え ば 追善
供養
と 墓 制 の 二 種 と い う こ と に な る 。 こ れ ら の 課題
は 、 葬 制 と は 別 に 墓 制 と し て 論 じ ら れ る 場 合 もあ
る が 、 葬 墓 制 と い う 言 葉 も あ る よ う に 、 こ れ ら を 一 貫 し た 趣旨
の も と に 行 わ れ る 葬 祭 儀礼
全 体 と し て 把 握 す る こ と も 可能
で あ り 、筆
者 も そ う し た 立 場 を 取 り た い と 思 う の で 、本
稿
で は 葬 送 儀 礼 を完
結 す る た め の 補 完 的 意昧
を も っ て、追
善
供 養 や 墓 制 に 関 す る 切 紙 類 を紹
介
す る こ と に す る 。 そ こ で 先 ず 問 題 に な る の は、葬
法 が 執 行 さ れ た 後 の 霊 魂 の 処 置 と い う こ と で あ り 、 こ の 課 題 も ま た葬
送儀
礼 と 同様
に 、 あ る い は そ れ 以 上 に 宗 教 学 的 ・ 民 俗 学 的 、 さ ら に は 宗 教 社 会 学 的 課題
で あ ろ う と 思 わ れ 、 そ う し た 立 場 か ら の 総 合 的 検 討 が 期 待 さ れ る と こ ろ で あ る が 、 こ こ で は 取 り あ え ず こ れ ら の 関係
の 切 紙 の紹
介 と 若 干 の 問 題 の 提 起 に と ど め て お き た い 。 十 三 、 亡 霊 関 係 切 紙 葬 送 儀 礼 と は 具 体 的 に は 、 人 の 死 と い う 事 態 よ り遺
体
を 埋NII-Electronic Library Service 葬 す る ま で の 間 に 、 遣 体 お よ び そ れ を
取
り巻
く 空 間 に 向 っ て は た ら き か け る 種 々 の 行 為 で あ る 。 も ち ろ ん そ こ に は、 肉 体 か ら 遊離
し よ う と す る 霊魂
の 存 在 も 観 念 想 定 さ れ て い る が 、 や は り ま だ 遺 体 処 理 行為
の 範 疇 で 行 わ れ る儀
礼 と い う 要 素 が 強 い 。 こ の 遺 体 を、 土葬
な り 火 葬 に 付 し て し ま っ た後
、 つ ま り 霊 魂 が 肉体
を 完 全 に 脱 し 切 っ た と 想 定 さ れ た 後 に 問 題 と し て 出 て く る の は 、 こ の 霊魂
が い か な る 状 況 に あ る か と い う こ と で あ る 。 仏 教 的 に い え ば 成 仏 し て い る か い な い か と い う こ と で あ り 、 民 俗 的 に い う な ら 他 に害
を 及 ぼ す 霊 魂 に な っ て い る か 福 を も た ら す 霊魂
に な っ て い る か と い う こ と で あ り、 日 本 の 伝統
的民
族 宗 教 で い う な ら、浄
化 の 問 題 と い う こ と に な ろ う 。 そ こ で 、 こ の 霊 魂 す な わ ち 亡 霊 が い か な る 状 況 に あ る か を 判 断 す る 基 準 や こ れ に 対 処 す る儀
礼 が 必 要 と な り 、 こ れ に 関 す る 切紙
も あ る 。 こ れ が 「 辨 験 亡 霊 現 形 法 」 と 称 さ れ る 切 紙 で 、 ま ず は じ め に そ の 典 型 的 な も の と し て 、 新 潟 県 諸 上 寺 所 蔵 、実
源
よ り獲
麟
に 伝 授 さ れ た も の を 紹 介 す る 。 ( 端 裏 ) 辨 験 亡 者 現 形 辨 験 二 亡 昊 現 形一 法 一 、 就一一 心 頭 一 迷 者 、 現 形 不 定、 有 無 恍 惚 而 隠 微 也 ノ 一 、 就 二 身 上」 迷 者、 現 形 分 明 而 不 レ 能 レ 言 也 一 、 身 心 倶 迷 者、 現 形 分 明 而 能 言 也 ノ シ ル ハ ノ カ 一 、 狐 狸 等 精 魅 変 現 来 者 、 手 脚 倶 着 地 而 如 獣 行 也 中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 的 ( 石 川 ) ス ル ロ フ 一 、 魔 鬼 妖 変 者、 空 行 手 足 不 レ 点 レ 地 也 シ ヲ テ ノ ニ ヲ 若 見 二 前 三 種 者 一 則 於 二 夜 半 三 更 時一 密 唱 二 亡 栗 授 戒 偈→ 授 三 一、 ; 暇 ヲ ニ ノ ヲ ス ル シ ノ ヲ 十 戒 一 如 法 誦 二 施 餓 鬼 法噛 救 二 度 之 → 若 後 見 三 一 種 一 者 則 、 端 的 速 疾 誦 二 消 災 施 餓 鬼 法 一 而 鎮 二 除 之 一 也、 ニ 凡 此 心 忘 動 則 種 々 形 現 故 、 住・ 二 念 不 生 本 来 無 物 真 観 一 而 行 二 上 ヲ ヲ 件 法 義一 則 必 得 二 験 証→ 莫 レ 容 二 疑 慮 → 嫡 々 相 承 来 而 実 源 今 附 獲 麟 こ れ は 、 亡 霊 と し て 出 現 し た 霊 の 見 分 け 方 を 示 し た も の で 、 そ の現
わ れ 方 に 五 種 あ り、 第 一 か ら 第 三 ま で は 、 い わ ゆ る 成 仏 し て い な い 迷 っ て い る 霊 で あ る か ら、 三 帰 十 戒 を授
け て 、 さ ら に 施 餓 鬼 の 法 を 行 っ て 済度
す る と い う の で あ る 。 そ の 迷 い の あ り 方 に も 、 精 神 ( 心 ) の 上 の迷
い と 、肉
体
( 身 ) の 上 の 迷 い と 、 精 神 ・ 肉体
の い ず れ も 迷 っ て い る と い う 、 三 種 の あ り方
が 想 定 さ れ、改
め て 葬 送儀
礼
に 相 当 す る儀
礼 を 執 行 し て 、夜
中 ひ そ か に 施餓
鬼 会 を 修 す る と い う も の で あ る。 さ ら に 第 一、 一 、 第 四 の よ う な 亡 霊 は、 こ れ は 人 間 の 亡 霊 と は 異 る 亡 霊 の現
形 と 見 ら れ 、 こ れ に 対 処 す る に は、消
災
咒 を 誦 し た 上 で 施餓
鬼
法 を 修 し て 鎮 除 す る と い う の で あ る か ら 、 こ れ ら 後 二 者 の 亡 霊 に 対 し て は 排 除 の 方 途 が講
じ ら れ る こ と に な り 、 こ れ は 人 間 以 外 の 亡 霊 に 対 す る儀
礼 を 示 し た も の と 思 わ れ る 。 次 に 紹 介 す る 「 六道
沈 輪 衆 生吊
之 大亠 呈 」 は 、 長 野県
龍 洞院
所 蔵 切 紙 の 中 の 一 で 、 万 治 四 年 ( 一 六 六 一 ) 東 昌 寺 八 世 観 一 二 九 N工 工一Eleotronlo Llbrary中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 ( 石 川 ) 心 よ り 月 佐 長 老 に 伝
授
さ れ た も の で 、 は 極 め て 珍 ら し い も の で あ. る 。 辨 験 亡 昊 関係
の も の で 六 道 沈 輪 衆 生 吊 之 大 夏 日 本 ヱ 下 ア ル 夫 ノ 取 骨 落 チ 散 ツ テ 、 在 ル 処 々 ノ 河 原 ラ ノ 者 ト 成 ル 也 、 此 ノ 因 縁 在 ル ニ 依 テ 、 禅 僧 ニ ハ 人 肉 ヲ 不 用、 亦 天 童 山 ノ ル 三 路 二 木 蓮 子 ヲ 種 、 此 木 ワ 糞 気 ヲ 取 ル 故 也、 清 浄 水 木 ク ト 云 也、 依 レ 之 寺 々 ニ ワ 木 蓮 子 ヲ 必 ス 可 y 用、 三 路 ハ 西 浄、 水 汲 ミ 、 風 呂 ヲ 是 ヲ 云 也、 木 蓮 子 ト ハ 、 キ バ チ ス ノ 事 ヵ 天 童 山 如 浄 禅 師 ヨ リ 道 元 和 尚 ヱ 附 授 畢 、 六 道 沈 輪 之 亡 霊 辨 了 之 大 夏 ン パ チ ニ カ ス カ 一 、 本 心 迷 則 、 形 不 定 而 幽 也 、 ン パ ニ ズ モ ノ イ ハ 一 、 色 身 迷 則 、 形 分 明 而 不 レ 言、 コ ン バ ト モ ノ イ ウ 一 、 心 色 共 迷 則 、 形 現 然 而 言 也、 ( 狼 ) ル レ ン パ ニ シ タ ー テ ニ ケ ダ モ ノ 、 一 、 猊 獅 野 干 在 二 看 入 一 則、 両 手 両 脚 供 随 レ 地 如 レ 獣 往 行 ス ル ( マ こ 也、 ノ ル ン バ ノ 一 、 魔 在 二 障 碍一 則 、 虚 空 ヲ 飛 行 ス ル 也、 此 五 ツ 迷 也、 右 ノ 三 ツ ハ 、 亡 昊 授 戒 ノ 大 夏 ヲ 授 ゲ テ 血 脈 ヲ 附 授 シ 、 授 戒 ノ 偈 ヲ 唱 ヱ 授 ヒ ソ カ ニ ケ ベ シ 、 施 餓 鬼 ヲ 夜 半 二 蜜 誦 テ 吊 ウ ベ シ、 末 ヱ ノ ニ ツ ノ 迷 イ ( マ マ ) ハ シ キ 、 ム (哺 蝋 ) ハ 、 心 経、 消 災 咒、 施 餓 鬼 、 端 無 ク 可 レ 誦、 猊 獅 魔 障 在 ル モ 、 ( 妄 ) ケ ヰ 皆 ナ 是 レ 悪 心 忘 心 ノ 芸 也、 根 本 無 一 物 ノ 眼 睛 ヲ 以 テ 各 ノ 救 ウ ベ ニ キ 也、 此 外 口 伝 大 夏 可 レ 多 者 也、 イ ン キ ヨ ス 仏 心 宗 第 一 秘 書 也、 嫡 子 一 人 ヨ リ 外 二 不 γ 可 二 允 許輔 道 元 和 尚 ヨ リ 恵 奘 ヱ 伝 授 者 也 、 附 与 輔 月 佐 長 老 于 時 万 治 四 年醤
梅 赤 日 前 総 持 東 昌 八 世 観 心 老 納 ( 花 押 ) 三 〇 こ の 切 紙 の 特 徴 は 、 第 一 に 全体
が 仮 名 混 り の 和 文 で あ る こ と が 、他
の 同 種 の 伝 承 と 異 な る点
で あ り 、内
容 的 に は 、 後 二 ( 狼 ) 者 の迷
い の 亡 霊 に つ い て は 、 「號
郷 魔 障 在 ル モ 、 皆 ナ 是 レ 悪 ( 妄 ) 心 妄 心 ノ 芸 也 」 と あ る よ う に 、 動 物 の 亡 霊 が 明 ら か に 想 定 さ れ て い る こ と で あ る 。 し か し 、最
も重
要 な 相違
点 は 、 切 紙 の 前 半 に 河 原 者 の 由 来 と 見 ら れ る文
言 が 見 ら れ る こ と で 、後
半 の 「 六 道 沈 輪 之 亡 霊 辨 了 之 大 亠 旻 」 は 「 辨 験 亡 霊 現 形 法 」 と 同趣
のも
の で あ る が 、 こ れ に 先 行 し て 示 さ れ る 「 六 道 沈 輪衆
生 吊 之 大亠 旻 」 は ま さ し く 、 先 の 稿 で 紹 介 し た 永 光寺
所 蔵 の 「 河 ( 64 ) 原根
本
之 切 紙 」 の 一 部 分 で あ る 。 「河
原 根 本 之 切 紙 」 は 、 中 世 以 来 、 出 生 や 職 業 な ど の さ ま ざ ま な 理 由 を つ け ら れ 社 会的
に賤
視 差 別 さ れ た 非 人 身 分 の 人 々 の 由 来 を 、 そ の 先 祖 に さ か の ぼ っ て 説 明 し 根 拠 づ け よ う と し た も の で あ る 。 そ の 内 容 は 、 須 菩 提 が 輪 廻 し て 犬 と な り 、 そ の 淫 水 が 石榴
花
に ふ り か か っ て 、 そ こ か ら 生 ま れ た の が 河 原 者 の 先 祖 で あ る と い う 、今
日 的 視 点 か ら み る な ら 、 全 く 荒唐
無 稽 な 寓 話 で 、 一 見 史 料的
に は 殆 ん ど取
る に 足 り な い も の の よ う に 思 わ れ る が 、近
世 以 来 の 被 差 別 部 落 の 歴 史 と 実態
をNII-Electronic Library Service ふ ま え て そ れ が 社 会 的 に
機
能
し た 場 合 を 推 測 す る な ら 、 被支
配 者 層 の 中 に さ ら に 卑賤
視 さ れ る 対 象 を 作 り 、 そ の 差 別賤
視 を 正 当 化 す る 時 由 づ け の た め の有
力 な 根 拠 と な っ た で あ ろ う こ と は 想像
に 難 く な い 。 「 河 原根
本 之 切 紙 」 は現
在
、 永 光寺
所蔵
の 切 紙 類 の 中 に 同 種 の も の が 二 通存
す る の み で 、 筆 者 も こ の 差 別 切 紙 の 由 来 と 伝 播 の実
状
を 探 る べ く 手 を 尽 し て 尋 ね求
め て は い る が 、 ま だ 他 に は発
見
さ れ て い な い 。 と こ ろ が こ こ に 、 部 分 的 で は あ る が 「 辨 験 亡 霊 現 形 法 」 の 前 段 を 構 成す
る 形 で 、 「 六 道 沈 輪 衆 生 吊 之 大 支 」 と し て 、 「 河 原根
本之
切 紙 」 が 引 用 さ れ て い る の で あ り 、 こ の 切紙
が 北 陸 の } 隅 に 人 知 れ ず 伝 持 さ れ て い た も の で は な く 、 あ る程
度 の 伝 播 を 見 た も の で あ る こ と が 確 認 さ れ た の で あ る 。 こ の 部分
が い か な る意
味 を も っ て 引 用 さ れ た の か と い う こ と に つ い て は 、 ま ず こ の 引 用 部 分 の 内 容 か ら推
測 す る な ら 、 恐 ら く 穢 れ の 浄 化 と い う こ と が第
一 に考
え ら れ よ う 。 ま た 「 六 道沈
輪
衆 生 」 と い う 標 題 の 示 す意
味 を 重 視 す る な ら 、 亡 霊 の 現形
は 輪 廻 に 堕 す る 一 過 ( 狼 ) ( 妄 ) 程 で 、 「 犹 獅 魔 障 在 ル モ 、 皆 是 レ悪
心 忘 心 ノ 芸 也 、 根 本 無 一物
ノ 眼 睛 ヲ 以 テ 各 ノ 救 ウ ベ キ 也 」 と い う 記 載 に よ れ ぽ 、 虎 狼 野 干 な ど の 亡 霊 も 、悪
心妄
心 の悪
業 の故
に 畜 生 に 輪 廻 し て い る と想
定 し て 、 こ の 輪 廻 の 衆 生 を 救 済 す る た め の 口 訣 と い う こ と に な ろ う 。「
河
原根
本 之 切紙
」 は 、 河 原 者 と い わ れ た 人 々 の 出 自 由来
を 、 人 間 に あ ら ざ る 動 植物
( 犬 と 石 榴 花 ) に 求 中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論O
( 石 川 ) め 、 そ れ 故 に 形 は 人 間 で あ っ て も 人 間 と は 見 な さ れ な い と い う 根 拠 を 示 し て い る こ と に な る が 、 こ れ が引
用 さ れ て い る と い う こ と は 、 人 間 以外
の 亡 霊 の現
形 に 対 処 す る た め の 口 訣 が 中 心的
課 題 と な っ て い る こ と を 示 す も の で は な か ろ う か 。 「 辨 験 亡 霊 現 形 法 」 は 、 亡 霊 を い か に 判 断 す る か を 示 し た 切 紙 で あ る が 、 さ ら に こ う し て判
断 さ れ た 亡 霊 の 鎮魂
と い う こ と が 問 題 に な る 。 こ れ を 示 し た も の が 「鎮
亡 霊現
形 法 」 に 関 す る 切 紙 で あ る 。 次 に 永 光寺
所 蔵 、 高 岡 瑞 龍寺
無文
良 準 ( 「 六 六 五 〜 一 七 二 八 ) 所伝
の も の を 掲 げ る 。 ( 端 裏 ) 鎮 亡 霊 現 形 切 紙 ン ツ ム ル ノ ノ 鎮 二 亡 霊 現 形一 秘 法 切 紙 ( 図 は 次 頁 ) ニ シ ヲ ノ ヲ ク ノ ノ グ 密 書 二 此 秘 法噛 押 三 二 宝 印 一 而 能 封ソ 之、 先 為 二 其 亡 昊一 黙 授 二 三 皈 + 戒壟
薩
・瓦
法 謡況
諮惷
斐
況
諏施
餓暑
静
シ ヲ ノ ニ ル ニ 厳 神 咒 ハ 而 回 二 向 之 → 其 後 以 二 彼 秘 法 → 或 直 授 二 其 現 ン 形 来 者 → 或 ユ ノ ノ ラ ヲ ト ノ ノ 埋 二 其 墓 中 一 也、 右 修 法 時、 専 以 二 無 念 一 為 二 真 宗 → 住 二 通 身 無 影 鰾 ニ 観 一 而 可 也、 右 嫡 々 相 承 至 今 現 住 瑞 龍 良 準 授 与 愚 謙 亡 霊 の 現 形 を 鎮 め る の は こ こ に 示 さ れ た 秘 法 の 図 であ
る が 、 こ れ が い か な る意
味 で 鎮魂
可能
な の か は 不明
で あ る 。 形 =一 二 N工 工一Eleotronlo Llbrary中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論
O
( 石 川 ) の 上 か ら は、過
去 七 仏 よ り 釈 迦 牟 尼 仏 を 経 て 、 西 天 東 土 の 祖 師 か ら 新 没 故 者 に連
繋
し て い る こ と が 示 さ れ て お り、 嗣 書 や 血 脈 の 相 承 に 準ず
る 意 味 を 持 っ て い る と 思 わ れ る 。 ま た こ の ニ シ ヲ ノ ヲ ク ノ 秘 法 は 「 密 書 二 此 秘 法 ( 押 二 三 宝 印 一 而 能 封 レ 之 、先
為 二 其 亡 昊 一 ク ニ ヘ ノ ヲ メ 黙 授 二 十 戒 潅→ 次 唱 二 下火
法 語 ( 云 云 」 と あ る よ う に 、葬
儀 の 荼 毘 に 先 立 っ て 授 け ら れ る も の で あ る こ と が 知 ら れ る. . し か し 血 脈 と は 明 ら か に 形 体 を 異 に し て お り 、 や は り 専 ら 亡 霊 の 鎮 魂 を 目 的 と し て 封 じ ら れ遺
体 に 添 え ら れ た も の と 思 わ れ =一 三 ハ ニ ル ニ ニ る 。 さ ら に 「 或直
授
二其
現
レ 形 来 者 ハ 或 埋 二 其 墓 中 一 也 」 と あ る の に よ れ ば 、 亡 霊 の現
形 に際
し て こ れ を 授 け た り 、 墓 中 に 一緒
に 埋 め た り し た も の で 、葬
儀
後
の い わ ゆ る 迷 え る 亡 霊 に対
し て執
行
さ れ る 秘 法 で も あ っ た こ と が 知 ら れ る 。 そ の 意 味 で は 中 世 曹 洞 宗 の 展 開過
程 で し き り に行
わ れ た 、 血 脈授
与 に よ る 亡 霊 救 済 の 事実
に符
合 す る も の で も あ る 。 た だ し こ れ と ほ ぼ 同型
の 図 や 趣 旨 を 示 す 切 紙 が 、真
言 宗 所 伝 の も の に も 見 ら れ る の で 、 こ の秘
法 そ の も の は曹
洞
宗
独 自 のも
の で は な い か も し れ な い 。 次 に筆
者
所 持 の智
山 派 所 伝 の 『諸
大 事 』 の 中 か ら 「 入 魔 降 古 又 」 一 名 「 入 魔 除 之法
」 と 題 す る切
紙 を参
考 ま で に 紹 介 し て お く 。 九 、 毘 婆 尸 仏 尸 棄 仏 毘 舎 浮 仏 拘 留 尊 仏 ( 含 ) 拘 那 舎 仏 迦 葉 仏 入 摩 除 之 法 ハ ノ ノ 身 従二 無 相 中 } 受 生 於 如 幻 出 諸 形 像、 人 識、 本 来 無 二 罪 福 → 仏 日 、 無 所 住 也 ス ノ ノ も ハ ハ 起二 諸 善 法 「 本 是 幻 、 造 二 諸 悪 業 → 亦 是 幻、 身 如 二 聚 沫 一 心 如レ ノ も 風 、 幻 出 無 根 無 自 性、 ノ ト ニ シ ト ハ 仮 二 借 四 大 「 以 為 γ 身 、 心 本 无 二 生 因 一 受 レ 有、 前 境 若 無 心 亦 無、 ナ リ 罪 福 如 F 幻 起 又 滅 ニ ヲ レ も シ レ ノ ノ 見レ 身 無 7 実 是 仏 身、 了 γ 心 如 γ 幻 是 斯 人、 与γ 仏 何 殊 別、 仏 幻 、 も 了 惜 身 心 本 性 空、 ハ ヲ レ も ニ ニ バ グ ニ 不 レ 見レ 身 知 是 仏、 若 実 別 有 レ 知 別 無レ 仏、 知 者 能 知二 罪 性 空「 恒 モ レ フ 然 不レ 怖 二 於 生 死→ ノ ニ ノ ノ レ ノ 一 切 衆 生 性 清 浄 従 γ 本 無 二 生 死 → 可 滅 即 此 身 心 是 幻 化 之 中 無 二 罪 福剛NII-Electronic Library Service ’ ノ ハ ノ も 釈 迦 文 仏 法 本 法 無 聒 也、 無 法 法 亦 輳 今 付 二 無 法 一 時、 法 々 何 法 莫 迦 葉
薯
法笨
霆
韃
攀
清
価 於 一 一 一 法 中 哨 有 レ 法 有 二 不 法 → 阿 難 尊 者 本 来 付 有 法 了 言、 無 法 名 自 須 悟、 ノ ヲ エ ル ハ テ ニ ル タ ル ノ ノ ノ ノ ト ヲ ル 亦 亡 者 治 切 紙 次 下 図 書 墓 入 也、 亦 塔 婆 等 焼 、 右 七 仏 偈 左 図 用 也 、 モ 右 塔 同 事 也 釈 迦 牟 尼 ノ ヲ テ ノ シ ル ニ テ ノ ヲ ツ 此 図 書 亡 老 棺 可 レ 入、 广 入 抂 々 以 二 此 切 紙 一 可 ン 打、 中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 国 ( 石 川 ) シ ノ 但 天 火 地 火 日 ク ス ク ハ ノ ニ モ グ ス 暮 不レ 可 レ 築 、 必 可レ 焼、 亦 可 レ 依 二 亡 者 心 念 一 可 二 能 察 → こ こ に 示 さ れ た 「 入 魔 除 之 法 」 は 、 そ の機
能
の面
で は 曹 洞 宗 所 伝 の も の と 全 く 同 じ で 、 図 も 殆 ん ど 同 じ と 見 て よ い 。 こ れ が 元来
真 言 宗所
伝
の も の で 、曹
洞 宗 で こ れ を援
用 し た も の か ど う か と い う こ と が 問 題 と な る が 、 過 去 七 仏 の下
に 附 記 さ れ て い る 偈 は 、禅
宗
で 成 立 し た 伝 法 偈 で あ り 、 そ の 意 味 で は禅
宗
で 成 立 し た も の が 真 言 宗 で 採 用 さ れ た と も 考 え ら れ る 。 た だ し 、 伝 法 偈 の 内 容 に 見 ら れ る 罪 業 や 悪 業 に 対 す る 強 い意
識
を 前 提 と し て こ れ が 授 与 さ れ る 意 味 を 考 え る な ら 、 そ の 機 能 は 血 脈 授与
の 趣 旨 と は 異 な る 、 滅 罪 悔 過 的 要素
の濃
厚
な も の で あ る こ と が知
ら れ る 。 こ う し た 成 立 状 況 を 考 え る な ら 、曹
洞 宗 教 団 の 中 で 成 立 し た も の が 次第
に他
の仏
教 々 団 に 伝 播 し た も の と 考 え ら れ よ う 。 「鎮
亡 霊 現 形 秘 法 」 の 末 尾 に 見 ら ノ ラ ヲ ト ノ ノ れ る 、 「 右 修 法 時 、 専 以 二 無 念 一 為 二 真 宗 画 住 二 通身
無 影 像 観一 而 可 也 」 と い う 口 訳 は 、 極 め て禅
的 な 受 け 取 り方
で あ る と い え よ う 。 こ れ に 対 し て 、次
に 紹 介 す る 、新
潟 県 諸 上 寺 所 蔵 の 「 死 霊 怨敵
之 法 」 は 、 そ の 秘 法 の 札 に 見 ら れ る 梵 字 な ど か ら 見 て 、 む し ろ こ れ の 方 が 元 来 真 言 宗 所伝
の も の を 曹 洞 宗 で 取 り 入 れ た も の と 思 わ れ る 。 = 二 三 N工 工一Eleotronlo Llbrary中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論
O
( 石 川 ) ○ 死 霊 怨 敵 之 法 テ ヲ テ ニ 般 若 金 文 諸 経 金 剛 正 体 直 路 也 、 十 六 善 神 以 二 威 力 一 向 二 怨 敵一 則 即 ス テ ニ ニ 時 消 滅、 向 ’病
人 一 則 速 療 治 、 一 切 随 レ 意 、 諸 願 成 就、 又 成 二 無 為 ヲ 道 一 打 、 ノ ノ 祈 念 其 札 文 云働
蕊
∴
V
窰
律 令菰
迷 故 三 界 域 、 悟 故 十 方 空、 本 来 無 東 西、 何 処 有 南 北、 ( マ マ ) 物 故 戒 名 速 解 怨 親、 須 生 浄 城、色
一 切 業性
皆 従 妄 想 生 、 若 欲 懺 悔煮
端 座 念 実、 噫養
・ 如 律 A
品
ノ ( 祟 ) ヲ 「 ワ ヲ ニ シ 亡 霊 作 レ 崇 悩 レ 人 時、 添 ノ 木 削 三 尺 許 、 作 二 卒 兜 婆 、 裡 書二 此 文 → (蠢
曼
童
蠢
テ ニ ニ こ の 「 死 霊 怨 敵 之 法 」 の 切紙
で は 「 向 二 病 人 一 則 速 療 治 、 →切
随
レ 意 」 と あ る よ う に 、 生 前 中 よ り そ の 機 能 を 発 揮 す る こ ( 」) と が 知 ら れ、 さ ら に 「 物 故 戒 名 速解
怨 親 、 須 生 浄 城 」 と あ る よ う に 物 故 老 に つ い て も 梵字
を 変 え て 用 い ら れ 、 亡 霊 の 崇 り が 人 に 害 を な し た 際 に も 塔 婆 の裏
に 書 い て建
て ら れ 鎮魂
の は た ら き を な す も の で あ る が、 「 鎮 亡 霊現
形 法 」 と は 機 能 を 同 じ く し な が ら 、 そ れ と 異 な る 秘 図 秘 法 を 伝 え る 珍 ら し い も の 一 三 四 で あ る。 以 上 紹 介 し て き た 亡 霊 関 係 の 諸 切 紙 は 、 い ず れ も 成 仏 し て い な い 、 迷 っ て い る 霊 を 鎮 め る儀
礼 や秘
符 に 関 す る も の で あ る が 、 こ れ と は 別 に 、 葬 送儀
礼 を 執 行 し 、 遺 体 を 処 理 し た後
に行
わ れ る 一 般的
な 追善
供養
の儀
礼 が 次 に 問 題 と な ろ う 。 こ れ に 関 し て ま ず紹
介 し て お き た い の は 、 亡 霊 に 供物
を 献ず
る 法 と そ の 口 訣 心得
を 記 し た 「献
霊 供 法 」 の切
紙 で あ る 。 こ れ に つ い て は あ ま り 古 い も の は 見 出 せ な い の で 、 典 型 的 な 例 と し て 、新
潟 県 諸 上 寺 所 蔵 の 江戸
中
期 頃 書 写 の も の を 掲 げ て お く 。 未 八 献 罍 皿 供 法 テ ニ ニ テ ニ 先 進 二 本 尊 前 一 焼 香 上 供 諷 経 、 次 維 那 向 二 導 師 一 問 訊 而 進 二 亡 者 位 ニ 牌 前一 焼 香 、 取 二 生 飯一 薫 二 香 煙 上一 黙 唱 云 、 上 分 三 宝 中 報 四 恩、 一 一 ( 箸 力 ) 下 及 六 道 皆 同 供 養、 唱 了 置二 生 飯 於 盤 側 → 挿 二 著 於 飯 上 】 念 想 云、 ニ メ ス 豎 亘 三 二 際 → 横 窮 二 十 方→ 次 黙 唱 二 亡 者 法 号ハ 貶 眼 住 視 、 亦 焼 香 合 ヒ 掌 唱 云、 三 輪 清 浄 空 寂 三 輪 龕、 如 是 此 三 唱 了 、 転 レ 身 向 二 導 師 一 ノ ソ ニ ス ル ス 問 訊 皈 レ 位、 導 師 進 二 位 牌 前 → 焼 香 観 想 皈 『 位、 一 揖 時 維 那 挙 レ 経 也、 こ の 切 紙 は 、 本 尊 前 に 亡 者 の 位 牌 を 安 置 し て 生 飯 を 供 え 、 香 を献
じ て 行 わ れ る 追善
供 養 の 一 般 的 方法
と そ の 際 に 観 念 す べ き 心 得 を 示 し た も の で あ る が 、 次 に紹
介 す る埼
玉 県 正 龍寺
NII-Electronic Library Service 所 蔵 、 正 龍 寺 九 世 普 満 紹 堂 ( 一 六 〇 一
1
七 六 ) 所伝
の 「 霊 供 秘 極 皿 の 切 紙 で は 、 さ ら に 七 七 日 の 忌 日 の 初 七 日 に お け る 霊 供 の方
法 を 記 し て い る 。 ( 端 裏 ) 霊 供 秘 極 霊 供 秘 極 ノ ト ス チ ノ 龕 前 昊 供 、 亡 者 之 昊 供 不 レ 可 y 成 、 是 乃 熱 田 明 神 本 地 不 動 明 王 ノ ニ ズ ノ ア カ リ ル ノ 也 、 初 七 日 之 本 尊 也、 彼 神 前 不 レ 明 有 レ 門、 日 本 国 亡 者 先 詣 二 彼 ニ ヲ ス ヲ サ イ ト 宮 → 其 時 被 レ 開 二 此 門 一 也、 昊 供 者 別 鍋 而 為 レ 之 、 同 菜 味 噌 与 レ 塩 ル ト ル ニ ヱ ル 也 、 是 者 奉 二 供 レ 天 備 } 同 物 也、 此 儀 道 元 和 尚 皈 朝 在 而 去 子 細 在 ツ テ 故 也 、 是 老 空 塵 書 伝 授 之 時 矣、 亦 守 ヲ 請 取 時 之 流 伝 也 、 宗 ノ 旨 一 大 夏 故 法 嗣 計 口 伝 有 之、 有 人 雑 談 云、 捻 別 日 本 二 而 者 、 日 二 千 人 死 ス レ バ 又 日 二 千 人 生 ノ ガ ク ノ ル 也、 死 シ テ 人 ノ 昊 供 飯、 亦 生 ル ・ 時 ウ ブ ダ デ ニ ナ ル 也、 早 ニ ノ ニ ノ 此 神 祈 ル ハ 高 人 死 タ ル 時 ヲ、 飯 ヲ 則 チ ウ ブ タ デ ニ ナ ル 羊 ニ イ ノ ぢ こ ノ ル 也 、 此 神 ソ レく
二 与 ヱ ラ ル ・ 也、 好 キ 人 分 ヲ ウ ケ ト レ バ 好 キ 人 二 生 ル ・ 也 、 此 ノ 物 語 二 而 前 ヱ ガ ス ム 也、 亦 タ ア カ ズ ノ 門 ハ 死 人 透 ル 、 亦 生 ル 人 ノ 透 ル 門 在 之 詔 堂 拝 従 永 平 室 中 直 伝 こ の 切 紙 で は まず
、 初 七 日 の 本尊
と し て 不 動 明 王 が 勧 請 さ れ る こ と が 記 さ れ る が 、 こ れ は す で に前
稿
で 触 れ た 十 三 仏 信仰
に も と ず く 忌 日 や年
忌 に 配 当 さ れ た 諸 仏 菩 薩 に よ っ た も の 中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 冉 ( 石 川 ) で あ る 。 そ し て さ ら に 、 不 動 明 王 は 我 国 熱 田 明神
の本
地 で あ り 、 日 本 人 の 亡 者 は 死 後 ま ず 最 初 に熱
田 神 宮 に参
詣
す る の で 、 中 有 初 七 日 の 忌 日 は こ の 熱 田 明 神 の 本 地 不動
明 王 が勧
請
さ れ る の で あ る と そ の 理 由 を 説 明 す る 。 さ ら に後
半 の 「有
人 雑談
云 」 と し て 仮 名書
き で 示 さ れ た 口訣
は、 中有
に お け る 初 七 日 の 忌 日 に献
じ ら れ た 供 物 が 、 次 の 生 を 受 け る際
の 「 ウ ブ ダ テ 」 に な る と い う 民 俗 信 仰 を ふ ま え て 特 に 重 要視
さ れ た こ ノ と を 示 す も の で 、 こ の 献 霊 供 の 仕 方 に よ っ て 「好
キ人
分
ヲ ゥ ケ 」 る と な れ ば 、 人 々 の関
心 を 集 め た で あ ろ う こ と は 容 易 に 想像
で き る 。 七 七 日 の 他 の 忌 日 や 年 忌 に 関 し て は 、特
別 に 切 紙 の 相 伝 は な い の も こ の こ と と 相 応 し て い る と い え よ う 。 し か し 、 次 の 生 を 受 け る ま で の 中 有 の 期 間 の 忌 日法
要
が 極 め て 忠 実 に 修 さ れ た こ と も 先 に 紹 介 し た 『 看 聞 御 記 』 な ど に う か ( 66 ) が わ れ る と こ ろ で あ. り 、 そ の 全 体 に 関 わ る 切 紙 と し て 一 点 だ け 、 愛 知県
西 明 寺 所 蔵 、 寛 永 七年
二 六 三 〇 ) 西 明寺
九 世 鉄 山 天 牛 ( 〜 一 六 五 四 ) 所伝
の 「 四 十 九 餅之
切 紙 」 を次
に紹
介 し て お く 。 こ の 切 紙 に 見 ら れ る 符 が い か な る機
能 を も つ も の か は 不 明 で あ る が 、 簡 単 な 参 の 内 容 か ら 察 す る な ら 、 七 七 四 十 九 日 の 中有
の 問 に 罪 業 の 消滅
を 期 す る も の で あ ろ う こ と が 想像
さ れ る の で 、 こ の 期 間 、 餅 を 供 え て こ の符
を 貼 っ て お く の で あ ろ う 。 一 三 五 N工 工一Eleotronlo Llbrary中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 口 ( 石 川 ) な お 、 亡 者 の
追
善供
養
に 関 連 し て 触 れ て お か な け れ ば な ら な い の が 、 「 鎮 亡霊
現 形 秘 法 」 に も 見 ら れ る 「施
餓
鬼
法 」 で あ る が 、 こ の 儀 礼 に つ い て は 、 亡 者 の 追善
と し て修
さ れ る と と も に 、 個 人 の 逆 修 や罪
業 消 滅 の儀
礼 と し て 修 さ れ る 祈 疇 と し て の 臨 時 行事
的 な意
味
も あ る の で 、稿
を 改 め て論
ず る こ と に し た い 。 ( 端 裏 ) 四 十 九 餅 之 切 紙 四 十 九 餅 之 切 紙〆
レ ヲ コ 是 面 可 書 也 拶 云、、
ン 急 罪 業 消 滅 時 如 何 、 代 云、气
.〆
レ ハ ノ ノ 今 日 見 来 火 裡 氷 、 レ ヲ ニ キ 是 裏 可 レ 書 也ノ
丶
烏
の
入
臼
于 時 寛轟
年 + 月 吉 日 十 四 、 墓 制 関 係 切 紙 = 三 ハ丶
喝
ヲ テ 名 入 禅 定 門 共 禅 尼 共贈
逮
益 芝 派 之 大 亠 旻 也 天 中 沙 門 拝 こ れ ま で 追 善 ・ 葬 送 供養
関 係 の 切 紙 と し て 、 葬 送儀
礼 関 係 を 中 心 と し て 、 こ の儀
礼 を 成 立 せ し め る 背 景 と な る 、 死 を め ぐ る 種 々 の 観 念 や 霊 魂 の実
在 を 想 定 し た 上 で 行 わ れ る 鎮 魂 の 儀 礼 な ど 、 具 体 的 な葬
送供
養 の 儀 礼 の 周 囲 を構
成 す る 要 素 や 参 ま で 含 め て紹
介 し て き た が 、 最後
に 葬 制 と と も に 重 要 な 死NII-Electronic Library Service 者
儀
礼 の 柱 と な る 墓 制 に 関 係 す る 切 紙 を 紹介
す る 。 と こ ろ で、 遺 体 処 理 を 中 心 と し た 葬 制 の 問 題 と と も に 、遺
体 処 理後
の 取 り 扱 い を こ こ で は墓
制
と し て 扱 う が 、 厳 密 に は 墓 制 も葬
制
の 一 部 を構
成 す る 要 素 で 、 特 に 土 葬 の 場 合 は 遺 体 の 最 終 的 処 理 が そ の ま ま 墓 制 と な る わ け で あ る か ら、 両 者 を 切 り離
し て 論 ず る こ と は 、 あ る い は 無 理 を と も な う扱
い 方 か も し れ な い 。 し か し 、 一 連 の葬
送 や 鎮 魂 の 儀 礼 の 手 順 の最
終
的
な 手 続 き と し て 、 墓 処 を 定 め て そ の 地 を ど の よ う に 扱 う か と い う こ と は 、 死 者 儀礼
と は 自 ず と 異 な る 観 念 を と も な い 、 ま た 両 墓 制 の 場 合 の よ う に 墓 処 に は 特 別 の 機能
が 附随
す る と 思 わ れ る 。 そ し て 、 こ の墓
制 の 研 究 も や は り 民 俗 学 や 宗 教 学 ( 67 ) ー 一 “ の 分 野 で 極 め て高
い 関 心 を 集 め て お り 、 そ の 研究
成 果 を 充 分 に 活 用 し て の 切 紙 研 究 が 望 ま れ る が 、 木 稿 の 趣 旨 に沿
っ て と り あ えず
、関
係 諸 切 紙 の 紹 介 に つ と め る 。 ま ず 、 墓所
を 動 物 等 に よ っ て 荒 ら さ れ る こ と は 、 中 有 ・ 中 陰 の期
間 を 経 て 次 の 世 に転
生 す る 際 の さ ま た げ に な る と 観 念 さ れ た こ と か ら 、 狼 狐 な ど の 害 を 除 く こ と が 求 め ら れ た 。 こ れ が 「鎮
墓
符 」 で あ り 、 正 龍 寺 所 蔵 の 切 紙 の 中 か ら 「 鎮 墓 切 紙 」 と 題 す る 、 符 と 簡単
な 趣 旨 を 記 し た 切 紙 を 紹 介 し て お く 。 ( 端 裏 ) 鎮 墓 切 紙 中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 国 ( 石 川 )恤
去
蠍
獅
子
吼
ノ ヲ 書一 一 此 符 一 埋 二 墓 お 地 四 方 四 維 一 則 狼 狐 等 不 レ 得 二 穿 侵 ( 従 徹 通 介 禅 師 嫡 々 相 承 至 今 こ の 符 は 墓 地 の 四方
に 埋 め ら れ る の で あ る か ら 、 個 人 の 霊 を 鎮護
す る と い う よ り は 、 墓 地 そ の も の を 狼 狐 の害
か ら 守 る と い う 意味
が強
い 。 「 獅 子 吼 」 は 釈尊
の 説 法 の た と え で あ り 、 一 た び 吼 え れ ば 、 百 獣 脳 裂 す と い う 禅 語 に ひ っ かけ
て 狼 や 狐 を 遠 ざ け る 符 と し た も の で あ る 。次
に 恐 れ ら れ た も の は 、先
の 亡 霊現
形 の 場 合 と 同様
に 、 墓 処 よ り 成 仏 し て い な い 霊魂
が さ ま よ い 出 る 、 俗 に い う 人魂
で あ り 、 こ れ を鎮
め る 法 を 示 す切
紙 は 多 種 多様
で あ る 。 こ れ ら の 中 か ら 特 徴的
な も の を い く つ か 紹 介 す る 。 そ の 典 型 的 な も = 二 七 N工 工一Eleotronlo Llbrary中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 陶 ( 石 川 ) の と し て 、 永
光
寺
所 蔵 、 無 文 良 準 が 愚 謙 に 伝 授 し た も の で、桑
や 桃 の 木 で 塔 婆 を作
り こ れ に 「 鷁 」 の 文字
及 び施
餓 鬼 の 一 文 を 書 い て 建 て 、 施 餓鬼
を 修 し て 鎮 め る 「 薪 尽 火 滅 法 」 を まず
掲 げ る 。「 薪 尽 火
減
」 と は 、 燃 え さ か る 火 に た と え ら れ る煩
悩 も そ の 原 因 と な る も の ( 薪 、 肉 体 ) を 完 全 に無
く し て し ま え ば 自 ず と 消 え 解 脱 の境
に 入 る と い う 意 味 で あ る 。 ( 端 裏 ) 鎮 墓 焼 切 紙 シ ノ 鎮二 墓 焼一 大 事 ノ ノ ニ ノ 桑 木 力 或 ハ 桃 木 ヲ 以 テ 高 二 尺 許 四 面 ノ 塔 婆 ヲ 削 り 、 塔 四 頭 二 鷁 ヲ ス ワ ノ 字 ヲ 書 シ 、 新 キ 器 物 二 新 水 ヲ 貯 へ 、 其 水 ヲ 以 テ 硯 ヲ 洗 テ 墨 磨、 ミ ソ ハ ギ ノ ノ 溝 萩 ノ 根 ヲ 能 ク 洗 テ 筆 ト ナ シ テ、 鷁 字 下 二 施 餓 鬼 文 ヲ 一 返 書 写 ( 『 マ ) グ ル シ テ、 此 塔 婆 ヲ 所 レ 焼 ノ 墓 ノ 中 央 二 倒 二 打 コ ミ 、 其 上 二 坐 具 ヲ ク ニ ニ ノ ノ 展 テ 暫 入 二 無 心 定( 次 誦 二 施 餓 鬼 文一 也、 是 即 如 薪 尽 火 滅 法 也、 ノ ノ ニ 此 時 観 想 在 二 当 人 力 一 者 也、 右 嫡 々 相 承 至 今 現 住 瑞 龍 良 準 ( 印 ) ( 印 ) 授 与 愚 謙 こ れ と 殆 ん ど 同 内 容 の も の で 、 文 言 が 多少
異 な る 、 広 泰寺
所 蔵 の 「 墓 焼 沈 切紙
」 も あ わ せ 紹 介 し て お く 。 ( 端 裏 ) 墓 焼 沈 切 紙 墓 焼 ヲ 沈 メ ル 大 支 三 重 県 一 三 八 二 尺 呈 二 塔 婆 ノ 木 ヲ 切 ラ セ テ 、 其 レ ニ 鴿 ヲ 書 テ 、 其◎
肌韓
ド韓
籾
蘿
羅
け鶏
ニ ミ ソ ハ ギ ノ 根 ヲ 切 テ 筆 作 リ、 施 餓 鬼 ヲ 一 返 ス ラ リ ッ ト 書 テ、 其 仏 ヲ サ カ シ マ ニ ト ヲ ト 打 籠 テ 、 其 ノ 上 二 居 テ ト ツ ク ト 坐 禅 ヲ シ テ、 ニ エ ノ 出 ヌ 羊 二 愚 痴 落 付 テ ヲ サ メ タ ラ バ 、 モ ヱ ル 火 ガ 消 ヱ テ シ ツ マ ル ベ シ 、 大 事 ノ 「 ナ リ、 人 二 見 セ ベ タ ラ ズ、 許 ス ベ カ ラ ズ 、 ま た、 や は り 同 じ 儀 礼 を 示 し た も の と 思 わ れ る が 、 こ の 修 さ れ る 施 餓 鬼 の 回 向 文 や 、 不 如 蜜多
の 伝 法 偈 を 引 用 し て こ れ を 唱 え る こ と を 示 す、 前 記 同様
に 永 光 寺 所 蔵 、 無 文 良準
所 伝 の 「 火滅
之 大 事 」 お よ び 、 以 上 の 切 紙 と は 全 く 異 な る 塔婆
の 文 を 示 し 、参
も 附 記 さ れ た 、 長 野 県 龍洞
院 所 蔵 、 万 治 三年
( 一 六 六 〇 ) 三 咄 所 伝 の 「 塚 之 火消
大 事 」 の 二 通 を 掲 げ る 。 古 仏 挨 心 大 事、 ( 略 ス ) 火 滅 之 大 事 カ ン ヲ キ ツ カ バ テ ニ ヲ テ ハ ツ 焼 レ 墓 時、 先 廟 所 亦 向 二 牌 前 叩 一 娃 捻 、 某 甲 禅 定 門 亦 信 女、 急 度 タ シ テ ク ィ ヅ レ ヨ リ カ ン ン ト 喚 出 而 云 、 咄 咄 散、 此 悪 強 心 何 生、 汝 欲 聴 々 々 、 心 元 無 カ リ ニ ト ノ ニ ノ モ ス 相 、 仮 号 為 二 合 成 身 ハ 此 身 滅 時、 供 瞋 恚 業 火 滅 除 、 汝 什 麼 依 二 悪 イ ノ ヲ ソ ク ノ ノ ヲ 業一 執 着、 発 二 瞋 恚 焔 → 何 昧 二 仏 性 一 乎、 早 消 二 滅 無 明 業 悪 瞋 焔→ セ ハ ノ チ テ ヲ ヲ 脱 二 解 法 界 色 身 執 着 迷 心 円 忽 得 レ 転 二 凡 身 → 悟 二 入 覚 路 一 決 定 、 即 ノ ヲ ニ テ ノ ヲ ヤ カ ニ キ ス ロ カ ニ 時 滅 二 除 業 火 → 頓 悟 二 無 為 実 相 理 → 速 可二 仏 果 円 成 一 者 也 、 心 静 ニ 三 唱 、 次 如 薪 尽 火 滅 三 唱 、NII-Electronic Library Service ア ナ ラ シ メ 南 無 六 道 能 化 大 導 師、 大 慈 大 悲 某 甲 戒 名 身 心 安 全 玉 へ 、 三 唱、 ニ ニ カ ク レ ケ ラ タ シ ヲ ノ ニ ス ト 不 如 蜜 多 和 尚 偈 云 、 真 性 心 地 蔵、 無 レ 頭 亦 無 レ 尾 、 応 レ 縁 而 化レ 物 、 ヲ デ ス ト タ ニ ト リ ニ ア ス ヲ ス レ パ 方 便 呼 為 μ 智 、 亦 同 偈 云、 真 理 木 無 名 、 因 ン 名 顕二 真 理 → 受 二 得 ノ ヲ ズ ニ タ ギ ニ モ ニ ハ 真 実 法ハ 非 レ 真 亦 非 ン 偽、 共 三 唱、 誦 経 心 経、 施 餓 鬼 、 大 悲 咒 、 ロ ニ シ ス ノ ニ 菩 提 心 陀 羅 尼 、 光 明 真 言、 随 求 陀 羅 尼、 心 静 可 レ 誦、 亦 皆 書 墓 も ヘ ノ ヲ シ ニ ム 埋 也 、 方 側 勉 η 妙 四 真 本 心 也、 理 法 界 化 相 也 、 此 偈 移 レ 廟 用 ル ノ ハ キ ハ キ 也 、 私、 常 火 赤 也、 廟 火 青 色 ナ リ 、 ユ ヲ リ ヤ ク ル コ レ ハ キ ツ キ ナ ヲ ス ユ 天 火 地 火 八 乂 等 築 レ 墓 有 レ 焼、 夫 可 二 築 直 一 也、 是 別 紙 一 枚 可 書 也 、 住 吉 五 箇 条 御 詫 宣 云 ( 略 ) 三 通 右 嫡 々 相 承 而 到 吾、 瑞 龍 準 無 文 叟、 ( 印 ) 々 今 附 汝 、 愚 謙 長 老、 ( 永 光 寺 所 蔵 ) 作 麼 生、 代 云 、 サ テ 修 証 デ 走 、 万 治 三 押 歳 ノ ト ク レ パ 本 カ タ チ ナ リ ケ リ、 即 塚 之 火 消 ル 、 ス ヘ ト シ 句 云、 曲 了 不 レ 見 レ 人 、 江 上 数 峯 青、 六 世 南 呂 吉 日 三 咄 ( 龍 洞 院 所 蔵 ) さ ら に 、 こ の 時 に
建
て る 塔婆
を 図 入 り で 示 し た も の で 、 如浄
よ り 道 元 が 伝 授 し た こ と を 記 す 切 紙 を 三 種 紹 介 す る 。 こ れ ら は 標 題 は 異 な り 切 紙 の 文 言 に も多
少 の 異 同 は あ る が 、内
容 は ほ ぼ 同 一 の も の で あ る 。 「 墓 納 切 紙 」 は 愛 知県
西 明 寺 所 蔵 、 正 保 四 年 ( 一 六 四 七 ) 鉄 山 天牛
所
伝
の も の 、「 幽 昊 収 大亠 旻 之 切 紙 」 は 埼 玉 県 正 龍 寺 所 蔵 、 普 満 紹 堂 所 伝 の も の、
「 幽 霊
収
切 紙 大 蔓 ( 一 名、 幽 霊 墓 焼 収 切 紙 ) 」 は新
潟 県 諸 上 寺 所 蔵 、実
源
所 伝 の も の で 、前
二 者 は 江 戸 初期
の も の 、 他 は 江 戸 中 期 の書
写 に か か る も の で あ る 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
塚 之 火 消 大 事 先 塚 仁 掛 腰 而 日、 三 昧 王 三 昧、 其 後 施 餓 鬼 於 誦、 亦 白 塔 婆 於 建、 其 文 仁 云 、 空 風 火 水 地 水 火 風 空 、 仏 此 夜 滅 度 、 如 薪 尽 火 滅、 此 文 者 袈 裟 之 釈 ニ テ キ ニ テ 迦 之 合 於 清 水 於 以 而 洗 而、 是 水 新 筆 書 老 也、 大 夏 可 レ 秘
く
、 ル ノ ノ タ ル ニ ト モ ニ ニ ノ 私 云 、 去 古 老 塔 婆 仁 、 猿 楽 為 レ 死 書 給 曲 終−
清 用 文 書 給 、 彼 塚 カ ル ニ ユ 焼、 亦 近 処 之 古 老 仁 雑 談 ス レ バ 、 参 出 給、 如 何 是 雲 門 一 曲、 臘 キ ヨ シ 月 廿 五 、 拶 云 、 如 何 委 悉 、 代 云 、 曲 了 ー1
清、 再 拶 云 、 此 外 亦 中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 凶 ( 石 川 ) ( 端 裏 ) 墓 納 切 紙 ニ テ 右 此 図 之 内 念 仏 書、 死 人 之 墓一 二 本、 亦 霊 之 来 ル 家 之 戸 ロ ニP
マ ) 一 本 可 ン 立 、 同 水 ツ ハ 洒 水 ニ テ 書 ス、 次 座 禅 数 座、 其 ノ 上 施 餓 一 三 九中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 ロ ( 石 川 ) ル ト 鬼 ヲ 読 ム 、 此 切 紙 秘 故、 目 録 ニ ハ 不 レ 乗、 云 云、 如 浄 和 尚 永 平 和 尚 伝 授 ス 、 従 レ 其 此 方 代 々 如 レ 此、 亦 一 様 者、 光 明 真 言 ヲ 洒 水 ニ テ 書 ス ト 云 々 、 私 云 、 幽 霊 納 メ ル 札 也 、 亦 婆 家 モ ユ ル ヲ 収 ル 次 第 如 ン 是、 告 正 保 四
饗
爵
盲
農
伝 授 正 与 天 牛 拝 ( 印 ) ( 印 ) ( 西 明 寺 所 蔵 ) ( 端 裏 ) 幽 昊 収 大 隻 之 切 紙 ノ ニ ニ ( 幽 ) ル ニ 右 此 図 之 内 木 而 念 念 仏 書 死 人 之 墓 本、 亦 迷 霊 之 来 家 之 戸 口 一 ツ ス ノ ス ニ 本 可 立、 同 水 者 座 禅 数 座 、 其 上 施 餓 鬼 読 酒 水 而 書 此 切 紙、 秘 故 ニ 目 録 不 書 、 云 云、 ヨ ワ 如 浄 和 尚 永 平 和 尚 伝 授 、 従 其 此 方 代 々 如 此 、 亦 一 様 者、 白 塔 ヲ 婆 之 大 蔓 、 此 図 形 内 施 餓 鬼 皆 書 用 之、 亦 一 様 者、 光 明 真 言、 水 而 書、 云 云 、 ル ノ ル 私 云、 幽 昊 鎮 札、 亦 塔 婆、 亦 墓 焼 ヲ モ 収 ル 次 第 也 、 従 永 平 室 中 直 伝 詔 堂 拝 ( 正 龍 寺 所 蔵 ) ( 端 裏 ) 幽 霊 墓 焼 収 切 紙 幽 霊 収 切 紙 大 蔓 一 四 〇 ニ 此 図 ノ 内 光 明 真 言 可 レ 書 、 ノ ニ ノ ニ ニ 死 人 墓 → 本、 亦 幽 霊 来 ル 方 ノ 戸 口 一 本 可 立 、 坐 禅 数 坐 而 其 上 水 シ ミ ニ 施 餓 鬼 三 返 皈 誦 、 其 酒 水 而 書 ス ル 也、 此 切 紙 代 々 秘 ス ル 故 目 録 ニ ハ 不 レ 乗、 亦 一 様 ハ 光 明 真 言 水 而 書 ト 云 也、 私 云 、 幽 曇 皿 シ ツ ム ル 札 是 、 又 塔 婆 モ ユ ル 塚 ノ 焼 ル ヲ 収 ム ル モ 則 如 是 也 、 嫡 ζ 相 承 而 実 源 今 附 獲 麟 ( 諸 上 寺 所 蔵 ) 以 上 紹 介 し た 七 種 の 切 紙 は 、幽
霊 な ど の 語 が 示 す よ う に 、 いず
れ も 迷 っ て い る 霊魂
を 鎮 め る た め に 建 て ら れ る 塔 婆 の書
式 や 施 餓 鬼 な ど の 儀 礼 の 執 行 の指
南 と な る も の で あ る が 、 霊 魂 の 状 況 い か ん に か か わ ら ず 、特
定 の 病 気 で 死 亡 し た 者 の墓
に 対 し て 特 別 の秘
儀 を 施 し 、病
の 害 を そ の墓
に 封 じ こ め る こ と を 指 示 す る 切 紙 が 伝 え ら れ て い る 。 そ の病
気 と は 、 歴 史 上 に は 伝 屍 病 ・ 伝 尸 労 な ど と 呼 ば れ る 、 現 代 の 初 め に 至 る ま で 不治
の 病 と し て 忌 避 の 対 象 と な っ た 肺 結核
で 、 切 紙 は こ の病
NII-Electronic Library Service で 死 亡 し た
遺
体 を 葬 っ た 墓 処 に 樒 の 枝 と 葉 で も っ て 祈 檮 を 行 い 、病
の 害 が 他 に 及 ぼ な い よ う に す る た め の 「 伝 尸病
断 絶 之 ( 68 ) 秘 言 」 で あ る 。 府 中高
安
寺 所 蔵 、 貞 享 五 年 ( = ハ 八 八 ) 石 峰 よ り 保 禅 に伝
え ら れ た も の を 次 に 掲 げ る 。 伝 尸 病 断 絶 之 秘 言 樒 ノ 枝 二 本、 其 ウ ラ ヲ ト ガ ラ シ 、 左 ノ 手 二 持 ツ 、 一 本 ノ 枝 ヲ 右 手 二 持 チ、 ウ ラ ヲ 楊 枝 ノ 如 ニ カ ミ 、 亡 者 ノ 塚 ヲ ッ イ タ ル 其 頭 上 石 ノ 上 ニ ナ リ ト モ、 土 ノ 上 ニ ナ リ ト モ 、 乾 元 亨 利 貞 ノ 五 字 文 ヲ 極 真 二 書 キ 、 書 タ ル 樒 ヲ 捨 ル ナ リ、 残 ル 一 本 ハ 其 儘 ニ テ、 亦 同 ク 樒 ノ 葉 六 十 三 枚 持 ツ、 此 六 十 三 枚 ハ 、 樒 タ イ セ ツ ノ 一 処 ナ ラ バ 、 余 ノ 草 木 ノ 葉 ニ テ モ 不 苦、 其 葉 ヲ 一 枚 宛、 乾 元 亨 利 貞 ノ 文 ヲ 唱 ヘ テ 捨 ル ナ リ、 捨 畢 テ 一 本 ノ 樒 ニ テ 水 ヲ 亡 者 ニ タ ム ケ 、 厥 樒 ヲ 塚 二 立 ル ナ リ、 立 竟 テ、 即 厥 家 之 ノ 依 ロ ヲ 読 誦 ス ル 也 、 此 遣 秘 言 不 伝 則 此 方 ニ テ 儀 式 ヲ ナ シ 、 樒 ノ 枝 ヲ 向 フ へ 遺 塚 二 立 サ ス ナ リ、 是 ハ 他 人 ノ 頼 時 ノ 事 ナ リ 、 死 後 七 日 之 中 、 諷 誦 楞 厳 神 咒 尊 勝 陀 羅 尼 ニ テ 可 祈 薦 也 、 回 向 ハ 常 ノ 祈 薦 之 回 向 ヲ 用 ベ シ 、 但 シ 衆 僧 口 口 口 口、 万 災 消 滅、 千 祥 来 臻 ト 此 文 ヲ 書 入 テ 可 回 向 也 、 右 台 家 秘 言 相 承 而 至 今、 石 峯 叟 付 、 保 禅 拝 書 貞 享 第 五 戊 辰 龍 集 夏 六 月 吉 旦 伝 尸 病 は 一 名 労 咳 と も い わ れ 、 死 尸 の 労 蟲 、 す な わ ち 今 日 中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論 q ( 石 川 ) で い え ば 細 菌 ・ 微 生物
の よ う な も の に よ っ て 他 に 伝 染 す る と 信 じ ら れ て い た の で 、 こ の 労 蟲 が 死体
よ り 抜 け 出 す の を 防 ぐ た め に 行 わ れ る 儀礼
と も 解 さ れ る が 、 こ の 秘 儀 で 諷 誦 さ れ る 『 楞 厳 神 咒 』 は、罪
障
消 滅 の 冂 伝 も有
す る 陀 羅 尼 で あ り 、 さ ら に 「 断絶
」 の 語 気 や 、 こ の 病 の 社会
的 意 味 を 考慮
す る な ら 、 非 人 や癩
狂 病 、 あ る い は 癩 者 の引
導 法 が 別 に存
し 断 絶 符 ( 69) な る も の が 示 さ れ て い た よ う に 、 触穢
思 想 に 基 づ く 忌 避 の 観 念 を前
提
と し て 修 さ れ る 、 輪 廻 の 世 界 か ら を も断
絶
せ し め 、 永 遠 の暗
に 封 じ こ め よ う と す る こ と を 示 峻 す る切
紙 の よ う に も 思 わ れ る 。 と も か く も伝
屍
病 は 、 鎌 倉 期 の 医 学書
『 医 談 抄 』 な ど に も 「 伝 屍 病 ハ 鬼 ノ 住 ス ル 病 也 、 タ タ ノ病
タ ニ モ 難 療 キ ニ 、 鬼 霊 ノ 領 シ タ ラ ン ハ 、 霊 道 ナ ラ デ ハ 去 ヘ キ ニ ア ラ ズ 」 と あ り 、 ハ ン セ ソ 病 ( 獺 ) な ど と と も に 傍 人 に 注染
( 伝 染 ) へ 70 ) す る 病 い 、 注 病 と し て 恐 れ ら れ た 。 そ し て 、 そ の 治療
も 鬼 の 住 す る病
い で あ る か ら 、 「 霊 道 」 す な わ ち 単 な る 医学
的 処 置 で は な い む し ろ 密 教 修 法 な ど の 宗 教的
処 置 に よ る こ と が 求 め ら れ た ら し く 、灸
術 に 通 じ た 密 教 老 に よ っ て 『伝
屍 病 口 伝 』 ( 71 ) ( 72 ) 『 伝 屍病
灸 治 』 『 伝 屍 病 肝 心抄
』 な ど が 平 安末
に す で に 成 立 ( 73 ) し て お り 、『 伝 死 病 留 法 鉄 伝 大 事 』 の よ う な 口
伝
秘
訣
ら し い も の も 中 世 に は見
ら れ る 。 曹 洞 宗 所 伝 の 「 伝 尸病
断
絶 之 秘 言 」 は治
療
法 に つ い て は 全 く 触 れ ず 、 も っ ぱ ら 死後
の 墓 所 の 処 置 に 関 す る も の で あ る が 、 や は り こ う し た 社会
史的
背
景 を 一 四 一 N工 工一Eleotronlo Llbrary中 世 曹 洞 宗 切 紙 の 分 類 試 論
e
コ ( 石 川 ) ( 端 裏 ) 卵 形 図 仏 祖 正 伝 卵 形 図 正 法 眼 蔵 仏 心 宗 秘 伝 一 四 二 永 平 開 山 希 元 大 和 尚 御 在 判 寛 永 八 年 七 月 重 改 書 之 洞 谷 呑 良 ( 花 押 )NII-Electronic Library Service も っ て 成 立 し た 切 紙 で あ る こ と は 確