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核子あたり250 MeV での(p,2p) 反応による酸素同位体の陽子一粒子状態の研究

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名 川瀬 頌一郎

本論文は、酸素同位体における陽子一粒子状態の研究に関するものであり、全6章からなる。 第1章はイントロダクションであり、原子核における核子一粒子状態の一般論、スピン・軌 道角運動量によるエネルギー準位の分裂、原子核反応を用いた一粒子状態の探索手法が、過 去の研究史とともに紹介されている。第2章には、本研究において用いられる、漸近的自由 な条件での陽子ノックアウト反応の一般的な性質が、運動学的な定式化とともに議論され ている。第3章には実験の具体的な手法が詳細に書かれている。実験は理化学研究所の RIBF 施設内に東京大学原子核科学研究センターの所有する、SHARAQ スペクトロメータ ーを使用して行われたが、不安定核ビーム施設の概要、申請者が本研究のために特別に設計 した検出器と標的、データ収集系などが記述されている。第4章には、測定したデータの中 から陽子一粒子状態に関する情報を引き出すためのデータ解析が詳細に述べられている。 粒子識別、有効なイベントの選択、イベントの検出効率、散乱角度の導出などに関する解説 が含まれる。最終的に(p,2p)反応の多数の崩壊モードそれぞれに対する励起関数が得られて いる。第5 章においては、DWIA 理論計算を用いて分光学的因子が理論に対し実験値がど れだけ減少しているかが評価されている。その結果、過去の他グループの実験結果と異なり、 同位体による減少率の差が有意には存在しないことが明らかとなっている。また、14O 原子 核の陽子0p 軌道におけるスピン軌道分裂が定量的に導出されている。第6章に結論が簡潔 に述べられている。 本研究は、加速器を使った多数の研究者による実験研究であるが、論文申請者は実験のデザ イン、特に偏極標的セットアップの作成、また実験の遂行において中心的な役割を果たして いる。さらに、実験データの解析は申請者が独力で進めたものであり、実験データの評価に 必要な理論計算も申請者が自ら行っている。以上から、申請者のオリジナリティのある研究 成果であると評価できる。 今回の研究は、偏極陽子標的を用いた(p, 2p) 反応の逆運動学Exclusive 測定としては世界初の ものであり、技術的な面で非常に意欲的なものである。さらに、一粒子状態の分光学的因子を、 陽子過剰から中性子過剰領域にわたる酸素の同位体に対して求めたことは、一粒子状態のシス テマティクスを理解する上で意義深い。分光学的因子の減少率は、核子の分離エネルギーに依存 するものと解釈した、Gade らの先行研究は、世界的に注目されてきたが、本研究はそれに相反 する結果、すなわち、分離エネルギーの異なる酸素同位体に対しても、分光学的因子の減少率に 明らかな変化はないという興味深い結果を得ている。更に、反応における断熱性という考えを導

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入し、分光学的因子の減少をもたらすものは断熱性の違いであるという新しい解釈を行うこと により、Gade らの結果に説明を与えることにも成功している。本研究は(p, 2p)反応をプローブ に用いることにより、断熱性の高い理想的な環境で測定が行えることを実証するものであり、こ の大きな手法的進展は、今後の多くの発展的なテーマにもつながることが期待される。 以上より、博士(理学)の学位を授与できると認める。

参照

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