• 検索結果がありません。

中津市観光振興計画 な活 観光のすゝめ 中津市

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中津市観光振興計画 な活 観光のすゝめ 中津市"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

中津市観光振興計画

『な活』観光のすゝめ

中津市

(2)

『福澤諭吉と競秀峰』 中津市を代表する偉人、福澤諭吉は天保 5 年(1835 年) 大阪の中津藩蔵屋敷で生まれ、天保 7 年(1836 年)に中津 に帰郷し、長崎へ遊学するまでの少年時代を過ごしまし た。当時、諭吉が住んでいた家は、現在、「福澤諭吉旧居」 として見学することができ、隣接する「福澤記念館」では 「学問のすゝめ」など、諭吉に関わる多数の資料が展示さ れています。 諭吉は明治 27 年(1894 年)に帰郷した際に、耶馬渓を 代表する景勝地「競秀峰」の山々が売却されることを知り、 「万一、心ない人に渡り天下の絶景が損なわれては取り返 しがつかない」と一帯の土地を購入する決心をしました。 人目を引くことを嫌った諭吉は、他人名義を用い、少しず つ目立たないように土地を買い上げて保存に尽力しまし た。これは、日本におけるナショナルトラスト運動の先駆 けともいわれ、諭吉が終生郷里を心にかけていたことを今 日に伝えています。

(3)

目 次

■序 章

『な活』観光のすゝめの策定

1.策定の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1

2.計画の位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1

3.計画の期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

■第1章

観光の現状と課題

1.本市観光の概要と現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2

(1)市の概要

(2)観光動態調査結果

2.本市観光の「強み」と「弱み」

・・・・・・・・・・・・・・・

5

3.本市の観光振興における課題・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

■第2章

『な活』観光のすゝめの基本理念と7つの重点戦略

・・・・ 7

■第3章

重点戦略の事業展開

・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

1.観光素材の魅力向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

2.観光客が満足する受け入れ体制の構築・・・・・・・・・・・・ 11

3.情報発信や売り込みの工夫と強化・・・・・・・・・・・・・・

12

4.日本遺産認定ストーリー「やばけい遊覧」事業の推進 ・・・・・ 13

5.インバウンド対策の強化と周辺地域との連携・・・・・・・・・

14

6.マーケティングを活かした事業の実施・・・・・・・・・・・・ 15

7.

(一社)中津耶馬渓観光協会の機能強化への支援・・・・・・・・ 16

■巻末資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

(4)

1

序 章

『な活』観光のすゝめの策定

1.策定の目的

「人口減少・少子高齢化」が進行する我が国において、観光業は活力ある地域社会の実現を図る ための総合産業として期待されるようになってきました。そうした中、平成19 年(2007 年)1 月 に「観光立国推進基本法」が施行され、同年6 月には「観光立国推進基本計画」が閣議決定され ました。現在、観光立国の実現に取り組む体制づくりのため、平成20 年(2008 年)10 月、国土 交通省に「観光庁」が設置され、国を挙げて観光振興に取り組んでいます。 近年、日本を訪れる外国人旅行者は急速に増加しており、外国人のみならず国内旅行者の観光に 対する志向も「団体志向から個人志向」、「訪問型から滞在型」、「受け身型から体験型」などに変化 してきています。目的地ならではの体験や食文化を求める旅行スタイルへの志向が高まっており、 国際競争力の高い魅力ある観光地域の形成が課題となっています。 中津市においても平成17 年(2005 年)3 月の市町村合併以降、新たなまちづくりに向け、さま ざまな方策に取り組んできました。平成26 年(2014 年)には大河ドラマ「軍師官兵衛」放送によ る“官兵衛ブーム”によって多くの観光客が訪れ、広く中津市が知られる契機となりました。 また、平成29 年 4 月に耶馬渓の歴史文化を語るストーリー「やばけい遊覧~大地に描いた山水 絵巻の道をゆく~」が日本遺産に認定され、国内外に知名度を広める絶好の機会を迎えています。 さらに、平成31 年(2019 年)にはラグビーワールドカップ、2020 年には東京オリンピック・パ ラリンピックの開催が控えており、国内外からの交流人口の増加が見込まれます。 観光振興によるまちづくりは、人やモノ、情報の交流を盛んにするとともに、多様な観光資源が 持つ個々の価値を磨くことで各地域の持つ特性がさらに活かされると考えられます。さらには、地 域間交流・連携による消費の増加、新たな雇用創出による第一次、第二次、第三次産業の振興にも つながります。こうした理由から、今回、中津市では、市民生活の向上にもつながる観光振興につ いて、今後の方向性を示すことを目的に「中津市観光振興計画『な活』観光のすゝめ」を策定しま す。

2.計画の位置付け

本計画は、本市の最上位計画となる第五次中津市総合計画「なかつ安心・元気・未来プラン2017」 (平成29 年 3 月策定)に基づく、観光分野の基本計画として位置付けます。策定にあたっては、 国の観光立国に向けた取り組みや「大分県ツーリズム戦略」、本市の諸計画との整合性を図ります。

3.計画の期間

本計画は平成30 年度(2018 年度)から 2021 年度の 4 年間を計画期間とします。なお、PDCA サイクルによる計画の見直しを随時行い、常に市民ニーズに沿った実効性のある計画となるよう 留意します。

(5)

2

第1章

観光の現状と課題

1.本市観光の概要と現状

(1)市の概要

中津市は、平成17 年(2005 年)3 月 1 日に旧中津市と旧下毛郡 3 町 1 村が合併し、面積は 491.53 ㎢となりました。市域の約 80%は山林原野が占め、山国川下流の平野部にまとまった農地が開け、 中津地域を中核としています。北部は狭く南部は西方に大きく張り出した形状を示し西側に英彦山 がそびえ、地域を貫流する山国川の分水嶺となっています。大分市まで82km、北九州市まで 52km の距離にある県北の中核都市であり、観光における主要な交通手段としては、JR日豊本線および 東九州自動車道、国道10 号、国道 213 号が東西に走り、また国道 212 号が中津市を起点として南 に延びて市域を縦断しています。さらに、今後は地域高規格道路「中津日田道路」の整備に伴い、中 津~日田間の観光ルートに変化が生じると予想されます。 山国川は、その流域面積540 ㎢(福岡県側も含む)、幹線流路延長は 56 ㎞で、平地部の少ない扇 形状の急流河川です。上中流部は浸食地形による渓谷が多く、山地部が大部分を占め、その地質構造 から形作られた自然の景観は、競秀峰・擲筆峰・一目八景・猿飛千壺峡などの景勝地を誇る「耶馬渓 (国指定名勝)」の名のもと、多くの観光客が訪れています。また、この一帯は、昭和25 年(1950 年)に指定された耶馬日田英彦山国定公園の区域に含まれており、下流部は、山国川を県境として、 左岸部は福岡県、右岸部は大分県となって段丘地形中津平野を形成しています。 平成27 年(2015 年)10 月 1 日の国勢調査による本市の総人口は 83,965 人、総世帯数は 35,785 世帯で、これを前回(平成22 年)と比較すると、人口は 347 人の減少(△0.4%)、世帯数は 1,211 世帯の増加(3.5%)となっています。

(6)

3

中津市の位置図

中津市のアクセス状況

[北九州空港 発] ■空港シャトルバス(約19分)➡JR朽網駅(各駅停車✚特急:約30分 or 各駅停車:約45分)➡JR中津駅 ■自動車(東九州道・国道10号などを利用※:約60分)➡JR中津駅 [JR小倉駅 発] ■JR特急ソニック(約30分)➡JR中津駅 [福岡空港 発] ■地下鉄福岡空港駅(約5分)➡地下鉄博多駅・JR博多駅(特急ソニック:約60分)➡JR中津駅 ■自動車 ルート① 北回り(約110km・約2時間):九州道・東九州道・国道10号などを利用※➡JR中津駅 ルート② 南回り(約115km・約2時間15分):大分道・国道212号などを利用※➡JR中津駅 ルート③ 一般道(約85km・約2時間15分):国道201号・10号などを利用➡JR中津駅 [大分空港 発] ■県北快速リムジンバス「ノースライナー」(約90分)➡JR中津駅 ■空港特急バス「エアライナー」(約45分)➡JR別府駅(特急ソニック:約40分 or 各駅停車:約80分) ➡JR中津駅 ■自動車(大分空港道路・東九州道・中津日田道路などを利用※:約70分)➡JR中津駅 [JR大分駅 発] ■特急ソニック(約 45 分)➡JR 中津駅 北 九 州 方 面 か ら 福 岡 方 面 か ら 大 分 方 面 か ら

(7)

4

(2)観光動態調査結果

➀観光入込客数 中津市の観光入込客数は、九州北部豪雨の影響で平成24 年(2012 年)に 400 万人を割ったも のの、平成26 年(2014 年)は 1 月に放送開始した大河ドラマ「軍師官兵衛」の影響で特に中津 城などの旧中津市への観光客が増加し、加えて黒田官兵衛資料館や道の駅なかつのオープンなど もあり、近年では最多の約550 万人となりました。 その後は官兵衛ブームの終息や平成28 年(2016 年)4 月に発生した熊本地震、平成 29 年(2017 年)7 月の九州北部豪雨などの影響で減少し、平成 29 年(2017 年)は約 436 万人となっていま す。 ➁宿泊者数 中津市の宿泊者数はこの数年で大幅に増加しており、その要因として、平成26 年(2014 年) の大河ドラマ「軍師官兵衛」による観光客の増加や、平成26 年(2014 年)の「ふるさと旅行券」、 平成28 年(2016 年)の「九州ふっこう割」による宿泊需要の増加などが考えられます。また、 宿泊者の約 9 割は JR 中津駅周辺のビジネスホテルに宿泊しており、自動車関連企業などのビジ ネス宿泊客が堅調であることも大きな要因といえます。平成29 年(2017 年)は九州北部豪雨に よる宿泊者数の減少が懸念されましたが、ほぼ前年と比べて横ばいでした。 ※各年1 月~12 月での集計 ※観光入込客数とは、市内の観光地を訪れる観光客数を把握するために、定められた観光地点や観光施設への 入込数、まつりやイベントの集客数などを集計した数値(延べ人数)のこと。 H24 H25 H26 H27 H28 H29 観光入込客数 3,956,068 4,578,941 5,509,385 5,120,244 4,462,055 4,361,065 宿泊客数 217,997 226,882 255,372 253,556 277,077 277,430 3,956,068 4,578,941 5,509,385 5,120,244 4,462,055 4,361,065 217,997 226,882 255,372 253,556 277,077 277,430 200,000 210,000 220,000 230,000 240,000 250,000 260,000 270,000 280,000 290,000 3,000,000 3,500,000 4,000,000 4,500,000 5,000,000 5,500,000 6,000,000 (人/観光入込客数) 中津市の観光入込客数と宿泊者数の推移 (人/宿泊客数)

(8)

5

2.本市観光の「強み」と「弱み」

中津市の観光を取り巻く現状要因をSWOT 分析により整理します。 プラス マイナス 内部環境 強み(Strength) ●耶馬渓地域の集客力・地域資源 …全国的に有名な「紅葉」や「奇岩奇峰」 の観光地、温泉など …1818 年に頼山陽が訪れ、「耶馬渓山天下 無」と漢詩に詠んだのが名前の起こり …日本新三景、日本遺産などのブランド力 ●メイプル耶馬サイクリングロード …耶馬溪鉄道跡を利用した自然豊かなサ イクリングロード ●八面山 …日本夜景遺産に認定 ●グルメ …中津からあげ、はも料理、ひがた美人(養 殖カキ) ●歴史ある城下町 …福澤諭吉の育った故郷、黒田官兵衛ゆ かりの地、蘭学など学問も栄えた町 ●自動車産業の集積したまち …ダイハツ九州などの工場見学 ●台湾台中市との交流 …サイクルツーリズム及び観光友好交流 ●ロケツーリズム推進協議会の活動 …映画・TV・CM などの誘致・サポートを 官民一体となって活動 弱み(Weakness) ●宿泊施設の不足 …下毛地域の宿泊施設の不足、老朽化 …公共宿泊施設の有効活用および PR 不足 ●二次交通の不足 …JR 中津駅から耶馬渓方面への交通手段 (バス等)の不足 ●通過型観光になっている …観光スポットへ来ても、すぐ移動してし まう …高速道路整備に伴い、中津を通過してし まう ●観光素材への認知が低い …代表的な観光素材以外の PR 不足 ●観光案内サインの整備不足 …デザインの統一性、誘導の連動性がな い ●外国人旅行者への対応不足 …多言語対応(パンフレット、観光ガイド、 観光案内サイン、Wi-Fi など) 外部環境 機会(Opportunity) ●東九州自動車道の開通 …広島・山口・福岡・宮崎からのアクセス 時間短縮 ●中津日田道路の順次開通 …中津港から日田市に至る約50km の 地域高規格道路(開通予定) ●空港、鉄道駅からのアクセスが良好 …福岡空港、北九州空港、大分空港から1 時間弱~2 時間以内 …中津駅-主要駅(大分駅、博多駅、小倉 駅)区間の特急列車が停車 ●ラグビーW杯(2019 年)・東京オリンピ ック・パラリンピック(2020 年)の開催 脅威(Threat) ●自然災害(地震、水害など) …自然被災+風評被害 ●少子高齢化 …観光客の絶対数の減少、受け入れ地域の 担い手不足

(9)

6

3.本市の観光振興における課題

日本人観光客はもちろんのこと、外国人観光客も「爆買い」に代表される「モノ需要」から、サービ スを体験する「コト需要」に移行しているといわれており、名所旧跡、観光施設、温泉などの観光地も、 単なる「モノ」以外の魅力の創出と発信が不可欠となっています。 本市は多くの観光素材を持っていますが、これらを有効に活用した『観光コンテンツづくり』『受入 体制づくり』が遅れているため、滞在時間が短く、地域での消費拡大や経済の活性化に結びついていな いのが現状です。地域にはさまざまな観光資源が埋もれており、地域住民にとっては観光資源としての 価値を見出せないような「あたりまえの生活の一部」も、観光客の視点で見ると大きな魅力をもつ資源 である場合が少なくありません。住民が自らの地域に誇りを持って主体的に「観光」をとらえ直し、中 津市ならではの「地域資源」を発掘して磨きあげ、「観光資源」として提供することができれば、地域 にとっては大きな強みとなり得ます。 一方で、中津駅から耶馬渓方面までのバスの本数が少ないといった、二次交通の不足をはじめ、下毛 地域の宿泊施設不足など、取り組むべき課題が多く残っています。 また、国内の少子化が進む昨今、観光産業を発展させるためには外国人観光客の誘客が不可欠となっ ています。 本市においても、台湾台中市との交流がはじまり、本格的に外国人観光客を意識した観光施策が求め られるようになってきました。しかしながら、受入態勢づくりは十分とはいえず、多言語に対応した観 光ガイドや観光案内サインの整備、市内のおもてなし意識の醸成などの外国人観光客に対応した施策 が必要といえます。 これらの課題を一つずつ解決していくため、地域・観光協会・市がお互いに連携し、魅力ある観光地 「中津市」をつくりあげることが必要です。 【中津観光の主な課題】

・滞在時間が短く、地域経済の活性化に結びついていない

・下毛地域の宿泊施設の不足

・二次交通の不足

・外国人旅行者への対応

(10)

7

第2章

『な活』観光のすゝめの基本理念と7つの重点戦略

【基本理念】

これからの観光は観光素材を単に並べて発信するだけではなく、地域資源を魅力的な観光資源に 磨き上げ、複合的に提案することで、滞在時間の延長・リピーター獲得に繋げなければなりません。 市全体が一体となって魅力ある観光地づくりを目指すことが大切になります。 中津市では、「山国川上下流域一体となった観光振興」をキーワードに、山国川で結ばれた城下町 中津と自然美豊かな耶馬渓の一体的発展を目指し、観光事業者、関係団体、地域と連携し、点から線、 線から面へと広げる取り組みを行っていきます。 そして今回、中津市だからこそできる、魅力的な観光体験を、「就活」や「婚活」になぞらえ『な 活』という新しい言葉で表現します。さらに、「中津の旅は、元気に効く旅」をキャッチフレーズに、 体験型観光を積極的に推進し、さまざまな中津を観光客に提供することで、何度も中津市に来てもら えるような満足度の高い観光地を目指します。

【7つの重点戦略】

1.

観光素材の魅力向上

2.

観光客が満足する受け入れ体制の構築

3.

情報発信や売り込みの工夫と強化

4.

日本遺産認定ストーリー「やばけい遊覧」事業の推進

5.

インバウンド対策の強化と周辺地域との連携

6.

マーケティングを活かした事業の実施

7.

(一社)中津耶馬渓観光協会の機能強化への支援

基本理念 重点戦略

(11)

8

第3章

重点戦略の事業展開

1.観光素材の魅力向上

(1)メイプル耶馬サイクリングロードの活性化(サイクルツーリズムの推進) 平成28 年(2016 年)10 月、行政・関係団体・サイクリング関係者・市民などから構成されるメ イプル耶馬サイクリングロード活性化会議から中津市長にサイクリングロード活性化に関しての提 言がなされました。この提言を基に策定した活性化計画を基本に、以下に示すような事業を計画的に 進めていきます。 ・ 安全で快適なサイクリング環境づくり(ハード面) サイクリングロードの管理者である大分県と連携し、危険箇所のメンテナンス・改善、休憩 施設の設置・整備をすすめ、安全、快適なロード整備を行います。また、旧耶馬溪鉄道跡とい う特性を活かしつつ、景観にマッチした看板の設置などサイクリストに優しい案内の充実を図 ります。 ・ 地域をつなぐサイクルツーリズム(ソフト面) サイクリングロード沿線だけでなく、サイクリングロード外のコースを含んだ複数のモデル コースを設定し、周辺施設との連携を図ります。このほか、サイクリングガイドの育成やサイ クリングツアーを企画し、国内外からの誘客を図ります。 ・ サイクルツーリズムの核となる耶馬溪サイクリングターミナルへ レンタサイクルの拠点である耶馬溪サイクリングターミナルについて、運営方法の見直しや 商業的なサービス機能を強化するなど、拠点機能の充実を図ります。

(12)

9 (2)滞在時間延長に繋がる体験型観光の推進 中津市は豊かな自然、美しい景観、郷土料理、多様な農林水産物、伝統芸能など、豊富な資源を有 しています。これらの地域資源を観光資源として磨き上げ、観光客にとって魅力ある体験型観光プロ グラムを提供することが可能となれば、滞在時間の延長を図ることが出来ます。また、地域の住民 と、地域を訪れる観光客や都市住民との交流の場として交流人口の増加も期待できます。 体験プログラムの充実には、(一社)中津耶馬渓観光協会が核となり企画・募集・運営することで、 ビジネスとして成立する体制の構築をすすめます。具体的には、そば打ち体験や、工場やダムの見学 ツアーなど観光客に楽しんでいただける商品を提供し、将来的には宿泊を伴った商品を造成すると ともに、運営側にも受け入れ側にも収益のある仕組みを整えていくことで、観光客の増加だけでな く、地域所得の向上も目指します。 (3)城下町観光の推進 中津市の観光において、黒田官兵衛が築城を開始した中津城を中心とした城下町観光は、大河ド ラマ「軍師官兵衛」の放送が決定してから毎年多くの観光客が訪れる重要な観光エリアとなっていま す。また、この地域は福澤諭吉をはじめとして、多くの偉人を輩出しており、福沢諭吉旧居や村上医 家史料館、大江医家史料館などの施設が点在しています。ほかにも、寺院が立ち並ぶ寺町、城下町の 風情を持った町屋や武家屋敷のまちなみが残る諸町など、歴史・文化のまちとして魅力ある観光素材 を数多く有しています。 これらの素材を効果的に活用するために、「歴史好き」、「教育旅行」などニーズに合わせた観光プ ランの作成や PR を進めるとともに、地域と協力したイベントの実施などにより城下町観光を推進 します。

(13)

10 (4)八面山観光の推進 八面山は四季折々の自然に触れ合うことができる中津市の シンボルともいえる山で、遊歩道や登山道も整備され、パラグ ライダーやクライミングなどさまざまなアクティビティが楽 しめる場所です。 平成28 年(2016 年)8 月、八面山から望む夜景が日本夜景 遺産として(一社)夜景観光コンベンションビューローから認 定されました。平成30 年(2018 年)には、中津日田道路の延 伸に伴い田口IC(仮称)が八面山のふもとに開設予定であり、 アクセス状況も改善され観光客の増加も期待されます。 今後も広告宣伝などのPR 事業や、支障木の伐採、視点場確 保などの環境整備を行い、市内外からの誘客を図ります。 (5)食の観光の推進 これまで「はも料理」、「からあげ」を代表的な2 大グルメとして PR 展開・情報発信を行ってきました。 はも料理では、市内飲食店などによる普及・PR 活動のほか、スタ ンプラリーイベントやパンフレットの作成などにより認知・定着を図 ってきました。 からあげでは、“からあげの聖地中津”として、聖地中津からあげ の会の活動や日本全国で開催されている「からあげフェスティバル」 の実施もあり、全国区の知名度となりつつあります。また平成27 年 度(2015 年度)には中津商工会議所が「中津からあげ」を商標登録 し、「中津からあげ」のブランド強化・保護も図られています 今後は2 大グルメの更なる PR による定着化を進めるとともに、現 在売り出し中の養殖カキ「ひがた美人」や、地域として取り組んでい る本耶馬渓そばのさらなる知名度アップを推進し、はも料理・からあ げだけでない食の観光をすすめます。

(14)

11

2.観光客が満足する受け入れ体制の構築

(1)観光客へのおもてなし意識の醸成 観光の第一線でおもてなしを実践している観光ガイドや交通事 業者、飲食店などに向けた研修会や、観光おもてなしマニュアルの 作成により、来訪者に“来てよかった”“もう一度中津市に訪れたい” と思ってもらえるよう、おもてなしの質を高めていきます。 (2)「中津市観光サイン計画」に基づいた観光案内サインの整備 観光客へ観光地への経路・方向や、地点・地理 に関する情報を的確に提供するため、「中津市観 光サイン計画」(平成28 年度策定)に基づいた観 光案内サインの整備をすすめます。具体的には、 歩行者、自転車、自動車の三つの用途に分けて案 内経路を作成し、統一的なデザインの観光案内サ イン整備を図ります。 (3)観光情報発信強化のための環境整備 2019 年秋に開館予定の中津市歴史博物館(仮称)に観光ガ イドを配置し、城下町観光の情報発信を強化します。また、中 津日田道路の延伸に伴い青の洞門・羅漢寺 IC(仮称)が整備 中のため、道の駅耶馬トピアを耶馬渓観光の拠点・情報発信基 地として位置づけた整備をすすめるなど、状況の変化に対応し て観光案内所や道の駅の観光インフォメーション機能の充実 を図ります。 中津市歴史博物館(仮称)

(15)

12 (4)観光資源を活かすための環境整備 青の洞門・深耶馬溪・猿飛千壺峡などの観光資源を安全・快 適に周遊してもらうため、周辺の駐車場、トイレの洋式化や無 料公衆 Wi-Fi の整備をすすめ、観光客の満足度と利便性の向 上を図ります。 (5)二次交通における対策 中津市のアクセス状況について、各主要空港からJR 中津駅までシャトルバスおよび JR を利用し てアクセス出来ることから、中津駅から徒歩圏内の城下町周辺における観光については交通の利便 性が高いといえます。しかし、中津駅から耶馬渓方面に向けては路線バスの便数が少なく、公共交通 機関を利用する観光客にとっては観光地までの移動手段が限られています。このため、既存の路線 バスやタクシーなどの利用推進や、周遊プランの作成など、交通事業者とも連携した取り組みをす すめます。 (6)農家民泊の推進 本市は下毛地域の宿泊施設不足が通過型観光となっている一因ともいえます。解決策の一つとし て、体験型観光の一形態である農家民泊(※17 ページ巻末資料参照)を推進することで、宿泊施設 が充実し、滞在時間の延長に結びつくとともに、宿泊する側と受け入れ側の間に交流も生まれ、地域 活性化にもつなげていきます。農家民泊を推進するために、制度説明会の開催などによる周知をはじ めとして、民泊運営の支援を行います。

3.情報発信や売り込みの工夫と強化

(1)各種メディア等を利用した情報発信の強化 東九州自動車道の開通により、各地から中津市へのア クセスが向上したことで、マイカーや空港レンタカーな ど、自動車を利用した観光客に対する情報発信がますま す重要になっています。高速道路SA・PAなど交通要 所での情報発信やマスメディアのPR にとどまらず、観 光客の周遊性を高めるためのパンフレット製作のほか、 今では多くの人が利用しているSNS の活用など、戦略的な情報発信をすす めます。 馬溪橋

(16)

13 (2)旅行会社との連携 中津ならではの観光資源を活用した体験型観光を観光ツアーへ組み込んでもらえるよう、商談会 などでの魅力発信に加え、「中津耶馬渓観光協会ツアー誘客助成金制度」の周知も図るなど、国内外 の旅行会社へ積極的な売り込みをすすめます。 (3)スポーツ観光の推進 本市はダイハツ九州スタジアム(大貞総合運動公園野球場)や水上スポーツ施設である耶馬溪ア クアパークなどスポーツ大会が開催される施設や、八面山や耶馬渓など雄大な自然の中で合宿に適 した宿泊施設を有しています。大会や合宿が開催されることで、選手などの大会関係者や観戦者、合 宿参加者の飲食や宿泊、土産品の購入などの消費が促進され、“スポーツ観光”ともいわれるように 観光関連産業への経済波及効果が期待できます。大会・合宿の呼び水となるように、「中津市スポー ツ・福祉・医療及び教育文化等大会開催補助金制度」も整備しており、こうした制度の周知を図りな がら大会・合宿の誘致を積極的に行います。

4.日本遺産認定ストーリー「やばけい遊覧」事業の推進

平成29 年(2017 年)4 月 28 日、中津市・玖珠町にまたがる広大な景勝地「耶馬渓」の歴史や文 化を語るストーリー「やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく~」が日本遺産(※17 ペー ジ巻末資料参照)に認定され、耶馬渓の認知度を全国的に広める絶好の機会となりました。この好機 を活かすためにも、中津市・玖珠町が連携して観光振興に取り組むことが重要です。2 市町にまたが る観光資源をつなぎ、テーマに沿った情報発信を国内外に対して積極的に行うなどの知名度アップ を図るとともに、構成文化財の整備や、日本遺産の文化財を次世代につなぎ、活用するための取組み をすすめます。 吉田初三郎「天下無二 耶馬全渓の交通図絵」

(17)

14

5.インバウンド対策の強化と周辺地域との連携

外国人観光客数は今後も拡大傾向が続く見通しとなっており、日本の人口減少社会にあって国内 旅行者数の伸びが期待できない中で、外貨獲得・交流人口の拡大を目的としたインバウンド対策は 地方の観光振興策においても必須となっています。外国人観光客は、観光のオフシーズンや平日と いった閑散期での来訪が期待できることから、観光産業の安定化にもつなげることができます。 中津市としても大分県を訪れる観光客が最も多い「韓国」(※17 ページ巻末資料参照)、そして「サ イクルツーリズム及び観光友好交流の促進に関する協定」を結んでいる「台湾(台中市)」をメイン ターゲットとし、近年増加傾向にある欧米からの受け入れも視野に入れ、誘客強化と受け入れ態勢 の整備を実施します。 また、本市が加入している「ツーリズムおおいた」や「豊の国千年ロマン観光圏」、「九州周防灘地 域定住自立圏広域観光振興協議会」など広域圏での連携を活用し、国内・国外に向けた宣伝誘致活動 を推進します。 (1)情報発信と旅行会社との連携 大分県やツーリズムおおいたなどが主催する商談会へ積極的に参 加し、直接旅行会社などへ観光素材をPR します。また、海外メディ アや雑誌などへの広告宣伝、空港や港などの出入国拠点での情報発 信により、中津市の認知度向上も図ります。 (2)台湾(台中市)との連携・交流 台中市との協定を活かした台湾でのプロ モーションや旅行会社への PR をすすめる とともに、台中市との交流を深め、相互の 観光振興をすすめます。 (3)外国人観光客の受け入れ 中津市を訪れた外国人観光客が快適に過ごせることはもちろんのこと、 より深く魅力を知ってもらうことができるよう、多言語対応可能な観光ガ イドの育成、多言語パンフレットの制作、無料公衆 Wi-Fi や多言語案内看 板の整備をすすめます。このほかにも市民や事業者の受入意識の醸成のた め、おもてなし講座を開催し、外国人観光客の満足度を高め、観光客によ る SNS などでの情報発信やリピーターの確保を図ります。

(18)

15 (4)広域連携の強化 別府市から中津市までの6 市 1 町 1 村からなる「豊の国千年ロマン観光圏」は、歴史・温泉・食 が一体となった滞在型観光の推進を目指しています。観光圏では、地域一体の魅力的な観光地域づく り、戦略に基づく一元的な情報発信・プロモーションなどを推進していきます。 また、中津市・宇佐市・豊後高田市、福岡県豊前市・築上町・上毛町で組織された「九州周防灘地 域定住自立圏広域観光振興協議会」では、それぞれの地域の持つ資源を活かし、圏域の観光振興およ び圏域内外の住民との交流を促進していきます。 上記連携以外にも友好協定を締結している福岡県太宰府市に加え、隣接する自治体など新たな事 業連携も模索し、広域観光による誘客に取り組みます。

6.マーケティングを活かした事業の実施

効果的な受入体制の構築や情報発信を行うためには、観光客の情報を把握し、ターゲットを絞りニ ーズや時勢にあった取り組みを行う必要があります。また、調査で得た結果を行政のみならず事業者 など関係団体とも共有し、中津市一体となった観光振興に取り組むことが重要です。 的確にターゲットを設定するために、観光アンケートなどにより観光客の年齢、性別、出発地など の属性情報や来訪目的、情報収集源などを収集し、今後の情報発信や受入整備事業に活用し、随時の 軌道修正を行い、さらなる誘客につなげていきます。 千年ロマンウォークの実施 (豊の国千年ロマン観光圏) ちゅーぴーまつり(広島県)での PR (九州周防灘地域定住自立圏広域観光振興協議会)

(19)

16

7.(一社)中津耶馬渓観光協会の機能強化への支援

平成28 年(2016 年)11 月、任意団体であった「中津耶馬溪観光協会」が「一般社団法人 中津 耶馬渓観光協会」となりました。法人化したことにより、平成29 年(2017 年)に「旅行業務取扱管 理者資格」を取得しました。これにより、着地型商品の造成・販売など自主事業や収益事業などを独 自に展開することが可能になりました。 こうした特長を活かした質の高い観光案内業務のほか、観光資源と民間企業や地域住民を結びつ けた着地型商品の造成、旅行会社への積極的な売り込みといった業務を市から観光協会に委託する ことでも観光振興を図ります。 なお、(一社)中津耶馬渓観光協会は、日本版DMO(※17 ページ巻末資料参照)への進化も視野 に入れた取り組みを行っていることから、市としても地域自らが観光業による経済効果を生み出し、 魅力ある観光地域を形成できるよう協働での取組みをすすめます。さらには、市内のみならず県内や 福岡県の隣接する自治体を視野に入れた広域的な体験型観光商品の造成およびワンストップ窓口機 能を持った組織となる取り組みについても協働ですすめます。 今後とも、「一般社団法人 中津耶馬渓観光協会」が名実ともに市内の観光振興のリーダーとして 観光事業を企画・推進できるよう組織運営と事業推進の両面にわたり支援を行っていきます。

【成果指標について】

上記の重点戦略について達成の度合いを図る指標として、第五次中津市総合計画「なかつ安心・ 元気・未来プラン2017」で示した成果指標に準じ、効果検証を行っていきます。

指標名

現状値

目標値(2026 年度)

宿泊客数

253,556 人

280,000 人

観光入込客数

4,639,810 人

5,340,000 人

※現状値について、宿泊客数は平成 27 年度(2015 年度)現在、観光入込客数は平成 23 年度(2010 年度)から平成 27 年度(2015 年度)の 5 年間の平均人数

(20)

17 (巻末資料) ○大分県における外国人宿泊客数および割合(平成 29 年速速報値) 出典:発地別宿泊客数(大分県観光統計調査)

用語解説

※農家民泊とは?

農家民泊とは、旅行者が農業体験を目的に、農家の個人宅に宿泊するといった体験型観光のひとつです。

※日本遺産とは?

(文化庁ホームページより参照) 「日本遺産(Japan Heritage)」は(地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日 本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定するものです。 ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形や無形のさまざまな文化財群を,地域が主体となって総合的に整 備・活用し,国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより,地域の活性化を図ることを目的としていま す。

※日本版 DMO とは?

地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づ くりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するため の戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人のこと。 ○広域連携DMO・・・複数の都道府県に跨がる地方ブロックレベルの区域を一体とした組織 ○地域連携DMO・・・複数の地方公共団体に跨がる区域を一体とした組織 ○地域DMO・・・・・原則として、基礎自治体である単独市町村の区域を一体とした組織 韓国 527,386 台湾 101,185 中国(大陸) 69,551 香港 62,334 タイ 17,356 その他のアジア 23,153 その他外国 23,008 計 823,973

(21)

『な活』観光のすゝめ

編集・発行/平成30年9月 企画観光部 観光推進課 〒871-8501 中津市豊田町14番地3 電話番号:0979-22-1111 FAX 番号:0979-24-4020 E-mail:kankou@city.nakatsu.lg.jp

参照

関連したドキュメント

・本計画は都市計画に関する基本的な方 針を定めるもので、各事業の具体的な

2014 年度に策定した「関西学院大学

このため本プランでは、 「明示性・共感性」 「実現性・実効性」 「波及度」の 3

関西学院は Kwansei Grand Challenge 2039

・平成 21 年 7

Levy JI, Chemerynski SM, Sarnat JA:Ozone exposure and mortality:an empiric bayes metaregression analysis, Epidemiology, 16(4),

[r]

■ 駅周辺を拠点とした まちづくり、暮らし の充実 、高齢化 への対応、 観光 の振興、. 環境 への負担軽減、市民の