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第5巻第3号（1954） l 夜温処理に対する蚕豆の開花熊実反応にワいて（予報）
藤 木 邦 和On the responses of thebroad beanto、thもt：teathent Withriiight warhingiIlflowering・ilhd fr・uiting“（Pr・eliininaf・y）
By Kunikazu UEKI
（Received November30，1953）
緒
白 蚕豆の栽培分布営みると，本邦は勿論諸外国に於いても，冬の気候の温和な地潮こ・限られてこいる∴こ れは，蚕豆の生態自勺特性に基くものであり，その特性の究明は必要な問題である。格Ll一等（1949）（6）は蚕豆の生育期問の温度が，その分枝，岡花及び結実の状態を決定するためめ憲
要な要素の一つであると推定している．．叉，変温が作物の生育及び結実に及ぼす影響については，盛 永等（1938），（4）WENT（1943），（7）HEWITT等（1948）〈3）始め多くの人々の報告がある 筆者は，蚕豆の生育中稜々の時期の夜温の差が，その開花及び結実に・及ぼす影響を予簡約に観琴た・その結集，今後研究すべき事項も少くないが，生育時期により夜温処理に対する蚕豆の開花結実
反応が興ることが判明したので，玄むこそ、の大要を述べる 本鞘を草するに当り，稜々御指導賜った京大香川冬天敵授：赤藤克己助教授並びに本学野田愛妻農 場長に対し，深甚の謝意を表する小 突験材料及び実験方法 供試材料として咤，香川県立農科大学附属農場に暦て探検した蚕豆晶穫「長苑」を軌、た．1952年 11月2日木箱に播礫t，同年11月25日各区共径1尺の磁器製植木鉢3偶に．生育均弊な個体を厳逸して −・鉢2本宛移植し，翌1953年6月15日に収穫した D，E，Fの6区に分ち，生育時期別夜濁処麗の鹿・響を痢査試験区ほ，第1襲の如く，A，B，C，
した． A，B，C，D，Eの各試験区に．於いてほ， 処理期間中夜間のみ戸内に入れ，自然状 態の対照区より夜温を高くし，処理前及 び処理後は茸夜戸外に置いて生育させ た．対照のF区は，仝生育期間中婁夜共 戸外に．置き，自然状態で生育させた． 処理期間中の各試験区の日々の戸外及 び戸内の夜間の最低気温並びに．年前10時 の気温，昼間の最高気温の平均値ほ∴第 1図の如ぐである． 夜温処理期間中の戸内の最低夜間気温は， 第1表 試験区の夜温処理時期及び期間 処 理 期 間巨魅理凋数 処 理 時 期 日 42 30 30 45 153 月日 月日 1．13・− 2．．24 2．．24 −3．25 3．31− 4．30 5り1・−6．14 1い13−6い15 花芽分化前半期 花芽分化後半期 開 花 期 登 熱 期 花芽分化後生育全期 A B C D E F】 対 照 戸外のそれに比し，開花前及び開花中ほ平均約30c高く，OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
香川県立農科大学学術報告 ●￣￣￣￣→昼間最高気温 ○￣■○午前10呼気況 −・−−「●戸内攻聞及低気温 ムー一つ戸外攻■間傲嘩気温／へ ′ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ 、、、 ／′ 孝44 開花後は約lO∼20cの差異を＼示している 実験結果及び考察1− a）開花に及ぼす影響 各試験区に於ける，開花の状況を表せば，第2凄の如ぐで ある． 即ち，開花前に夜温を高くしたA，B及かE処理区に酎、 てほ，開花始の促進が認められ，特に花芽分化後金生育期に 亘り処理したE区は′，対照区に比し，顕著な差があうた岬 同 様な事実ほ，首谷（1950）（1）が大■豆に於いて，申Uj（1951）（5）が 部首に．於いても認めでをり，開花前の夜淀の差は，花芽の分
第2未 開花状況
撃讐j 宗ここA】BIcIDIE「せ
処理区う AB C D l三
月 日 4 1 開花始期 開花促進日数 開花期間日数 開 花 数 （同上比較） 第1同 夜潅処理期間中の気温 聯 を及 30 ぼすものと考えられる 116小0 叉，開花期問日数及び開花数に（100）ると，花芽分化期の前垂及び開花中処理のA
（100）l（ユOL7） C両区ほ二対顔のF区及び開花終了後処理のD区に比し等しいか大差ないが．花芽分化後半期処理のB区ほ，対照区に．比し梢増加し，特に花芽分化
朗より成熟期まで長期に亘り処理したE区は，著しい増加を示している．これと同棲な結果を杉山等
（1949）（6）は蚕豆のガラス重殺暗に於いて，甘谷等（1951）（2）ほ暖冬下に於ける戸外の蚕豆に於いて得七
いる∴筆者の実験に於いて，白然状態の対照区に比し，長期夜温処理区の開花数が増加二してい
についてほ，憩花部位たる主茎奴び分枝の節数の増加又は剛頗分の生成を促す英数の増加等と．わ関
係が考えられる． b）結実に及ぼす影響各試験区に於ける，成熟期並びに非及び子実について，そ・の稔実状況を調査した結果は第3’衷及び
第4表の如くである．即ち，成熟期についてみると，A，B，C
等の夜温処理区に於いて偲，対照区より梢促
進してをり，これは夜濁の差による開花始の促獲笹関係するのであらう∴而して，開花期
間の長かったE区及び開花後処理のD区では 促進ほない戸ゝ叉ほ殆んどないと貰える結爽歩合及び着爽節付一龍ついては，長期処
第3表 成 熱 期
B l’c】D】E 「F
：項目 ＼「＼＼ 成 熟 期 成熟促進日・数 6 ユ5 5 ユ2璽6 許）感触酢1株の爽の色が全部黒変した時期削減て その株の成熟期とする 理のE区及び開花申処理のC区を除いては，自 然状態の対照区と大差なく，開花期前及び登黙期の夜温処理は，着爽にはあまり影響を与えぬようである∴爽の長さについてほ，各処理区共，如摺区より短く，これほ液温の差が爽の発達に及ぼす影響
として興味ある問題である．．爽雷については．長期処理のE区及び開花終了後処理のD区を除いて， 叉一・爽粒数については，E区を除いては各処理区共対照区に世し著しい差異が認められない一．粒数に ついては，開花中処理のC区及び長期処理のE区が，又粒蛋については，C区及び寧区の他にD区が対照寧や開花前処理区に托し．著しく減少してをり，夜温処理の影響が認められるい風聞花終了後処
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
′ 理のD区ほ，結英歩合及び粒数が 対照庭ど略同校やあ′るが∴爽茎や 粒重辱の劣つ1でいる恵は，蚕富の 夜温に対する登癖反応と■、して今後 の研究に侯たねばならぬ∴ 以上蚕豆の各生育疇期佐藤ける 夜混の差が，開花，及び結実匿考 える．彩ぜの概要を述べたが，実験 の結果は，生育時期により∴夜温 処理に対する開花及び結奥の反応 が異るようである∴即ち，花芽分 化並びに発育期処理の場合ほ，：∴開 花始の促進及び寮長の短縮以外ほ あまり影響ほ認められないが，開 花期処理の場合は，結実に於いて 花芽分化後生育全期処理の場合ほ 第5、巻第3号（1954）、
第4表 結実状況
蒜」⊥攣竺‡／A〉ぎB j C 1
D ■l‘−E■‘l′ F 結一 爽 数 （同比数） 癒爽節位 （同比／数） … ∴ t、−1− （同比数） 英∴ （同塵勢） −爽粒数 （同㌧比．数） 粒 数 （同比数） 粒 星 g （同比数） 首粒 翼 g （同比二数） 4︶ L6ヽノ 、・︻ノ ・6 各試験区共5株 註）花芽の分化発育並びに開花結実に於いて，著しい反応を示して・いる・叉，開花終了後の登熟期処理の
結実反応は，再検討する必要がある．
胤本実験に於いては，種々の品番を軌、なかったが，夜温処理に対する重富の開花結実反応の晶
痺間差異があり得べく，これらに．ついては，今後更に研究を要する・・
摘 要1小 本実験は，蚕豆「長爽」を軌、，生育時期別夜温処理に対する開花結実反応を予備的に調査した
ものである．．2．夜渥の差に対する開花反応は，開花始の時期，開花期間の日数及び開花数にあらわれるようであ
るが，夜握処理をうけた材料の生育時期に．より異る．
3小 夜温の差に対する結実反応は，成熟期，着英，粒数，粒重にあらわれ，特に花芽分化後の余生育
期及び開花期処理の場合に反応が著しい．． 引 用 文 献 （1）古谷義人：盛業及園芸；25，3（ユ950）（2）古谷義人，遠山良樹，久木井基ニ，松村長和：九州盛試餐報；1，1（∽5ユ）
（3）HEWITr，S．P．andCuRrIS，0．．F．：Amer．，．Bot；35，10（1943）（4）盛永俊太郎，井浦徳，柏木小五郎‥農業及園芸；13，7（1938）
（5）中山治蕾：日作紀；2C，1←2（1．952） （6）杉山直鱗い西貞夫．加藤徹：園芸雑，18，3∼4（1949） （7）WENT．FW．：Amer．J．Bot．；30，2（1943）OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
香川東泣顔科大学学術報宕 灘9
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