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海を越えた研究交流活動

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Academic year: 2021

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海を越えた研究交流活動

葛睿

*1

Cross-border research exchange activities

Ge Rui

*1 1. はじめに 2020年11 月28 日、西安外国語大学日本文化経済学院と岡山 大学のヘルスシステム統合科学研究科ヒューマンケアイノベー ション部門日本文化論分野と「2020 年度日本文化研究会」をオ ンラインで開催した。参加者は両校の教員と学生で、約30名 ほどであった。 以下の表は、研究会の概要である。 2. 研究会までの経緯 岡山大学の本村昌文先生は私の日本の東北大学日本思想史研 究室で学んだ時の先輩であった。東北大学時代に、本村先生と中 日の高齢化社会及びその対策などについてよく話をしていた。 時には、本村先生のお誘いで、研究会に参加したり、講演もして いた。本村先生は私にとって、ほとんど考えたことのないことで はあったが、これからの中国では考えねばならないことを気づ かせてくれた方で、思想史研究とつながったもう一つの研究の 世界を開いてくれたとも言える。 その後、本村先生は岡山大学にお勤めになった。私も東北大学 で博士号を取得して、中国の西安外国語大学に戻り、続けて教鞭 を取った。それぞれの大学に勤めながらも、大学同士の交流活動 が非常に必要ではないかとお互いに痛感していた。 2014 年9月に本村先生は学生を連れて、本学で小さな研究会 を開いた。本学では日本語を学んでいる学生は約1100 名もおり、 中国では日本語教育の規模は2番目となっているものの、日本 の大学と日本語でシンポジウムを開いて、学生同士で交流する ことはそれほど多くはなかったので、この研究会はとてもいい 反響があった。それは両校の交流にとって非常に良い始まりで あった。 これをきっかけに、両校の交流、いわゆる教師間の学術交流、 それから学生同士の研究交流などを促そうという点で意見が一 致した。その後、両校の交流協定を結ぶために、本村先生をはじ め多くの先生のご協力で、ついに2020 年3月に両校の大学間交 流協定及び学生交流に関する付属文書を結ぶことができた。本 文の冒頭に言及した研究会は協定が締結された後の交流の第一 弾であった。 3. 海を越えた研究会の開催 実際に、大学間交流協定を結ぶ作業を進めると同時に、研究会 の開催についても企画していた。元来の計画によれば、西安で研 究会を開き、大学間協定の調印式も行われる予定だったが、新型 コロナウィルス感染症の流行という状況において、計画を変え なければならないことになってしまった。本村先生をはじめ、関 係する先生方がいろいろと尽力して調整した結果、オンライン で研究会を開催することになった。。 こうして、2020 年 11 月 28 日に研究会の開催に至った。本村 昌文先生と吉葉恭行先生は司会で、本学では日本文化経済学院 の院長毋育新先生が開会の祝辞を送った。本学の大学院三年生 の王佳奇さんは「中国人日本語学習者のヘッジの使用状況に関 する研究ー助詞を中心にー」、牛青萍さんは「中日外務省報道官 毋 育新(西安外国語大学日本経済学院院長) 本村 昌文(岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科) 司会:本村昌文・吉葉恭行 林 卓俊(岡山大学大学院) 呉 詩揚(岡山大学大学院) 王 佳奇(西安外国語大学大学院) 牛 青萍(西安外国語大学大学院) 司会:本村昌文 石本 成美(岡山大学文学部4年) 川尻 夜空(岡山大学文学部4年) 司会:吉葉恭行・本村昌文 汪徳成(岡山大学大学院) 孫傲(岡山大学大学院) 武天翔(西安外国語大学大学院) 楊怡璇(西安外国語大学大学院) 吉葉 恭行(岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学副研究科長) 葛 睿(西安外国語大学日本文化経済学院副院長) 開会の挨拶 1、服部南郭の死生観について   ―社会認識と個人認識を中心に 研究発表  2020年度 日本文化研究会の概要 2、宮沢賢治の死生観について考察   ―『銀河鉄道の夜』最終形を中心に 6、永井荷風の死生観について ―『断腸亭日乗』から― 7、口コミにおけるインポライトネス言語の日中  対照研究 趣旨説明 8、『国境の南、太陽の西』に関する研究 閉会の挨拶 卒業論文中間発表会 1、立花実山の仏教観 2、西田幾多郎の芸術論について 研究発表  5、日本における遠隔医療の歴史に関する一考察   ―岡山県新見市の遠隔医療事業を事例として― 3、中国人日本語学習者のヘッジの使用状況に関す る研究—助詞を中心に— 4、中日外務省報道官記者会見におけるヘッジ使用  の対照研究―ポライトネス理論の観点から― *1: 西安外国語大学教務処副処長・准教授

*1: Associate Professor, Deputy Director of Academic Affairs, Xi'an International Studies University

〈活動報告〉

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記者会見におけるヘッジ使用の対象研究ーポライトネス理論の 観点からー」というテーマで発表していた。大学院二年生の武天 翔さんは「口コミにおける尹ポライトネス言語の日中対照研究」 で、楊怡璇さんは「『国境の南、太陽の西』に関する研究」とい うテーマで発表した。岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学 研究科の大学院生も 4 名が研究発表を行い、また岡山大学文学 部4 年生も卒業論文の構想を発表した。発表者はみな「日本」に 関わることを研究テーマとしているものの、専門分野は日本語 学、日本文学、日本思想史学、科学技術史と異なっており、分野 をこえた様々な発表を聞き議論する良い機会となった。また、研 究発表をする学生以外にも、双方の学部・大学院の学生が数多く オンラインで熱心に発表を聞き、議論に参加した。 4. 海を隔ても、交流は絶えない 海を隔ても、交流は絶えない。外国語、または日本語を学ん でいる人間にとっては、自分の習っている外国語で話し、その言 語を使っている方と交流して、一度でもいいので、その国に行っ てみたいという気持ちはとても強い。これまでも、本学は日本と の交流は決して少なくはなかったが、その中心は、学部生同士の 交流であった。 2017 年 9 月、本学は東北大学大学院文学研究科と西安ではじ めて双方の大学院生の合同研究発表会を開催し、成功のうちに 終えることができた。この合同研究発表会を契機として、大学間 の交流の形はより豊かになり、学生たち、特に大学院生たちにと って、学会で発表するチャンスも増えた。学生のみならず、教員 や学院としても、このような学術的な交流の形はとても大きな 意義があると考えられる。 研究というのは、机に向かって、本を読むだけではなく、他の 研究者との交流も非常に大事だと考えられる。一つのテーマを めぐって、意見を交わし、議論をしているうちに、ヒントや新た な視点に気づき、新しい研究の道に繋がる可能性が高い。 しかし、本学の大学院生は、これまで他の研究者との交流のチ ャンスが少なかった。今回の共同研究会は、本学の大学院生だけ でなく、岡山大学の大学院生と学部生も参加しており、お互いに 各自の研究発表をして、研究内容や研究方法などを話し合い、刺 激し合い、今後の研究のさらなる発展へと必ずつながっていく と信じている。 海を隔ても、交流は絶えない。学生たちはこのような研究会を 通じて、視野を広めたことはいうまでもない、さらに得られるの は、研究の仲間や学会での発表の経験、異なる分野での視点など、 決して普段単に教室で授業を受けているだけでは身に付けられ ないものがたくさんある。 今後このような形の研究会及び交流を定期的に行っていけば、 両校の学生や教師にとって、きっといい刺激になるに違いない。 もう一つ、通信技術がとても発達している現在において、空間 的な隔たりはもはや交流の主な障害でなくなっているが、やは り実際に会って話をして、議論をするのが真の交流になるので はないかと私は思っている。コロナ禍が終息してから、古い都、 昔の長安の歴史と伝統が息づく西安で、また中国の大文豪郭沫 若が留学していた岡山で、両校の学生たちがお互いの大学で、実 際に会って、フェイス・トゥ・フェイス(face to face)で、真摯 に交流する日の到来を楽しみにしている。こうした交流が両大 学のさらなる発展へとつながっていくことと信じている。今後、 両大学の間によりいっそう多様な学術交流がなされることを大 いに期待している。 82 統合科学 創刊号(2021)

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