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シャーロット・ブロンテ初期作品研究(1) : グラスタウン物語の形成課程

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(1)

シャー ロ ッ ト・ ブロンテ初期作品研究

(1)

― グラスタウン物語 の形成過程―

岩 上 は る 子 (平成元年 6月30日受理) 序 現在 クリステ ィー ン・ アレグザ ンダー (ChriStine Alexander)に よってシャーロッ ト・ プロンテ 初期作品のはじめての網羅的な編集が進 め られている。 第 一 巻 のAη 財 肪

%9/tttι

Eα均

〃″加祭 りr cttγ乃財ι

B知

%″ (1987)力S Shakespear Head Press/BaSil BIackwell社 よ り出す板

され

,残

2巻

が完成す れば今後 のシャーロッ ト・ プロンテ初期作品研究の基本的資料 になること は確実である。 プロンテ姉弟妹 による初期作品の存在 はすで にギャスケル夫人 によって明 らかにさ れなが らも

,こ

れ まで初 期作品全体 を取 りあげた本格的な学術研究 はなされていなかった。 その第 1の 原因 として

,原

稿 そ れ自体 の不備があげられ る。原稿 の量 は後 のシャーロッ トの全小説 を上 回 るものであ りなが ら

,こ

れ まで出版 された ものはその半分 に も満たない。原稿 の大 きさはマ ッチ箱 ほどの ものか らせいぜい名刺大 の もので

,そ

こに豆粒 の ような字体で書 きつ らね られていたため, その判読 と筆写 には膨大 な時間 と労力が ともない

,編

集が進 まなかったのである。 また第2の原因 としてオ リジナル原稿 の散逸があげられる。シャーロットの夫ニコルズから原稿 を買い取ったブロンテ 学者T・J。ワイズ

(ThOmas James Wise)は

それ らを編集 しなお し

,私

家版 として出版 した。かな り

の部分がアメ リカその他の国々 にわた り

,紛

失 した もの も多かった。 そのため もとの原稿 の復元が

難 しく

,初

期作品の全貌 はい まだ確定 していない とい うのが現状である。

これ までの初期作品の研究者 としてはフアニー・E・ ラチフォー ド(Fannie Elizabeth Ratchford) とウィニ フレッ ド・ ジェラン (Winifred GOrin)があげ られ る。 ラチフォー ドによるTttι レ物 げ

θ笏ブカθθ″(New York i Columbia U versity Press,1941)は

,プ

ロンテ姉弟妹の初期原稿

,書

,日

記 な どを広範囲にわたって引用 し

,子

供 たちの架空の物語世界 に脚光 をあてた画期的な研究

であった。 またジェランは新 しい伝言己調査 に もとづ きBttη″″ B7o%″

:4B力

g拓妙力 (London i Hatchinson,1961)および

C筋

ガθ洗鯵β℃η厖

:Ttt

βυο蕨″θ

%9/Gを

ηケ熔10XfOrd i Clarendon,1967)

を著 し

,初

期作品の出典や後 の小説 との関連 を論究 している。 ともに先駆的研究 として高 く評価 さ

れているが

,ラ

チフォー ドとジェランは初期作品の重要性 を力説す るあまり

,後

の小説への影響 を

(2)

152岩

上 は る 子 いだそうとす る姿勢 は短絡的 といえよう。 シャーロッ トの初期作品の編纂 に先駆 けて出版 されたア レグザ ンダー による研究書 勁 ι

E2均

吻 蕨夢 げ θ協7J9滋

B陶

%″

(BasI BIackwen,1983)は

,慎

重 に推論 を控 え初期作品の忠実な 紹介 に徹 している。量的 にはシャーロッ トのそれに匹敵す ると思われ るプランウェルの作品につい て も従来のシェイクス ピアヘ ッ ド版 の7乃ιン′λει協%θθtt α%プ 働ψ%う施力″ ″励滅李 げ

9カ

わ 滅 αη″脆 随ctt B知%″

(v01.1,2,1931-38)な

どをもとに

,初

期作品世界 の構築 におけるブランウェ ルの役割 を考察 している。初期作品 は子供 たち

4人

の共同作業 の中か ら生 まれた ものであ り

,作

者 が特定 し得ない もの (筆名 を用いた り

,署

名 のない もの もある

)が

含 まれている。 さらにT・J。 ワ イズが初期作品 を入手 し編集 したさいに

,シ

ャーロッ トの署名 を書 き入れた との指摘 もあ る。 本稿で はアレグザ ンダーによる版 と研究書 を中心 に

,シ

ェイクス ピアヘ ッ ド版 を補足資料 として ラチフォー ドお よびジェランを参照 しつつ

,初

期作品の概要 を紹介す る。子供 たちによる「劇」の はじまりか ら「 グラスタウン」の建設

,さ

らに「アング リア王国」への発展 をあ とづ けてい く予定 である。物語 は最初か ら明確 な構想 の もとに書かれたわ けでな く

,子

供たちが空想 の世界 を広 げな が ら10年余 りにわたって思い付 くままに書 きつがれていったため

,た

がいに錯綜 し全体 の流れ を把 握することは容易で はない。 しか も必ず しも年代順 に展開 していったわけで はな く

,人

物 もしばし ば名前が変わ り

,性

格 も変貌 し

,人

間関係 もこみいって発展 していつた。 ここでは膨大な初期作品 を第

1期 (1826-30),第 2期 (1831-35),第 3期

(1836-39)と 分 け

,今

回 はその第1期の中心 と なる「ア ング リア物語」の形成過程 をた どり

,シ

ャーロッ トの創作 の特徴 を浮 き彫 りにしたい と考 える。 l―lallの発端 これ までプロンテ作品 といえば

,た

だちに「アング リア物語」 として一括 される傾向があつた。 1826年の兵隊人形遊 びに始 ま り

,ア

フリカの架空の王国が建設 され

,そ

の国王 のザモーナ公爵 と首 相 のノーザ ンガーラン ド伯爵が覇権 を争い愛憎劇 を くりひ ろげた もの として紹介 され

,シ

ャーロッ トの後 の小説 の愛 と結婚 のテーマの基点になった と理解 され るのが一般的であった。だが実際 に上 記のような物語世界が形成 されたのは

,子

供 たちのいわゆる劇づ くりの遊 びが はじまってか らかな りの時間 を経 てか らの ことであった。た とえばシャーロッ トの最初 の恋愛物語 とされ る`Albion and Marina'が 書かれたのは1830年 10月 12日であった。グラスタウンという地名が使われたのも`The Search

After HappinessI(1829年 8月 17日

,以

下 17.8.1829と 略記す る

)が

最初である。おそ らくはじ

めのうちはたわいのない人形劇 でその場 か ぎりの役 を演 じていた人物が

,し

だいに一貫 した役柄 と

(3)

シャーロット・ プロンテ初期作品研究

(1)153

共通の枠組 として思いお もいの物語 をつ くりだ し

,た

がいに演 じあった と思われ る。やがてその物 語を紙 に書 きとめ

,挿

絵や地図

,タ

イ トルページを付 けて ミニチュアの本や雑誌 をつ くることに熱 中していったのである。 子供 たちの劇 についての最初 の言及 は

,シ

ャーロッ トによる

4ペ

ージあまりの原稿`The History ofthe Year'(12.3.1829)に み られ る。そ こには

4人

が1826年 6月 か ら1827年12月にか けて三大劇 をつ くったことが記 されている。すなわちブランウェルの兵隊人形 に命名することから始 まった

Young

Men(6.1826),イ

ソップ寓話 を参考 にした とい う巨人 の話

Our Fellows(7.1827),各

自が島 を持 っていると想定 して実在 の人物 を族長 としたISlanders(12.1827)である。 この うちOur Fellowsは 短命 に終 った らし く,それ について はシャーロッ トのわずか

1枚

の原稿`The Origin ofthe O'Deans'

(12.3,1829)と

プランウェルの断章がい くつか残 されているに過 ぎない。 ほかの二つの劇 は

1年

半 にわたって並行 して進 め られ るが

,や

がて一つの舞台グラスタウンヘ と融合 されてい く。

Yotlng Menと Islandersの成立や展開について は後 に くわし く述べ るが,この二つの劇 は当初 は舞 台 も登場人物 も別 な ものであった。

Young Menは

西 ア フ リカの架空 の都市 (Glasstownの ちに Verreopolisか らVerdOpolisと 改名)を舞台 とし

,子

供 たちは守 り神(ブランウェルがBrannii,シ ャ ーロッ トがTallll,ェ ミリが

Emmii,ア

ンがAnnii)の 役で物語 に介入す る。いつぽうISlandersの舞

台 は当初 は実在 の島々で

,そ

の気候 や風土 はイギ リス的である。子供 たちは超能力 をもつ小王 と女

王 (Little King and QueenS)と して登場する。いずれの劇 も超 自然の世界であ り

,シ

ャーロッ ト の英雄 ウェリン トンはどち らで も主人公 になっている。以下では1829年か ら1830年 までの主要な作 品を

Young Menと

Islandersのふたつの劇 に分類 して紹介する(いずれの劇 に も属 さない作品につい

ては別 に取 り上 げる)。 基本的 には

Young Menの

劇 は`(BlaCkWOod's)Young Men's Magazine'に,

Islandersの劇 は`Tales Of the lslanders'に 収録 された物語群か ら構成 されている。ふたつの劇が融 合 された`AlbiOn and Marin〆 (12.10.1830)を もってグラスタウン物語 の成立 とし

,全

体 の構成 を 本稿 の最 後 のページに図で示 した。

Young Men

子供たちの最初の劇Youlag Menが始 まったのは1826年 6月 の ことだった。その成立 の事情 につい ては

,こ

れ まで語 られて きた とお りである。 6月 5日

,プ

ロンテ氏 はリーズでの聖職者 の集 まりに 出席 した後

,夜

遅 く子供 たちへのお生産 を抱 えて帰宅 した。そのなかのブランウェルヘの12個の兵 隊人形が子供 たちを夢中にした。彼 らはそれぞれのお気 に入 りの人形 を選 んで名前 をつけ

,総

称 と

して

Young Menあ

るいはTWelVesと よび

,彼

らを主人公 とした冒険談 を作 り出 していつた。この日 の出来事 はシャーロッ トが先の`The History of the Yeaど のなかで

,プ

ランウェルが

1年

半 ほ ど遅 れて`The HistOry of theYoung Men,From Their First Setdement to The Present Time'(15.12.

(4)

154

岩 上 は る 子

1830-7.5.1831)で

よ り詳細 に記 している。 それによればこのブランウェルの兵隊人形 は1824年に 最初 の ものを買い与 えられて以来

4組

目の もので

,そ

の後 も トル コの楽隊人形やイ ンディアン人形 を自分で も買い足 していることがわか る。子供 たちの想像 をか きたてた人形 は無 くなった り壊れた りあるいは後で見つか るな どして

,そ

れ は物語 のなかで負傷や行方不明あるい は生 き返 るとい うス トー リー として反映 された。風変 りな人形 たちは原住民 に見立て られた。小 さな人形 を操 る子供 た ちがガ リヴァーのように巨人 の役 を演 じたの も自然な成行 きであつた と思われ る。 子供 たちが人形 につ けた名前 はシャー ロッ トがウェ リン トン公爵

,ブ

ランウェルがナポレオ ンで あった。 ともに歴史上 の宿敵 どうしで

,

現在 も活躍 中 (この時点で はウェ リン トンはまだイギ リ ス政界 に君臨 し

,ナ

ポレオ ンは1827年5月にセン ト・ ヘ レナ島で失意 のうちに死亡 したばか りであ る

)の

英雄 たちであつたのに対 し

,エ

ミリとアンは人形 たちの印象か らGraveyとWaiting Boyと 名

付 け られた。だがのちに姉や兄 の主人公 たちに見劣 りしないように と

,当

時の著名な探検家 の名 を

とってパー リー (Parry)と ロス (Ross)に改め られた。

シャーロッ トの`The History ofthe Yeaゴ に収録 されている`A Romantic Tale拐J名`The Twelve Adventures'(15,4.1829)か ら物語 を追 ってみる。`The Country of the Genii'と 副題がつけられ た第

1章

で は

,そ

の音 この島 に渡来 した古代 ブ リ トン人 とガ リア人 についてふれ

,さ

らに「パーネ

ル船長 の旅行記」か らの引用 とい う形で

,砂

漠で嵐 にあった旅人が島の先住民族である巨人 の白骨

を発見す る模様が描かれ る。第

2章

`The Voyage of Discovery'で は,「無敵号」(Invincible)に 乗

り組んだ「十二人の勇士」がイギ リス を出航 し

,嵐

で航路 をはずれアフ リカ沿岸 に流れつ き

,原

民のアシャンティ族 の襲撃 を受 けなが らも街 の建設 に取 りかか る。第

3章

`The Desert'で はアシャン ティ族 の襲撃 にそなえて策 を練 る勇士たちの耳 に守 り神 のお告げが きこえ

,一

行 は砂漠 にむか う。 そ こで守 り神 の宮殿 に招 じ入れ られ

,ア

ーサーが ウェリン トン公爵 として迎 えられ る。最後 の第4 章

`News from Home'で

,ア

シャンティ族 を撃退 した勇士の もとヘイギ リス船が漂着す る。 ウェ ルズ リはその船 を修理 し

,対

ナポレオ ン戦争支援 のため故国に向かい

,20年

後 に大艦隊 を率いて凱 旋する。 ヨーク公爵 は王位 をウェルズ リことウェ リン トン公爵に譲 り帰国の途 に着 く。

同種 の内容 をブランウェル は一年余 りをへて`The HiStory ofthe Young Men'で

, 6章

にわたっ

てよ り詳細 に記 している。勇士たちの植民地 はすでにグラスタウンと呼ばれ

,東

西1700マイル

,南

北500マイルで

,東

には広大 な砂漠

,西

には北大西洋

,南

にはギエア湾

,北

にはジベル・クム リ(「月 の山」)の連峰が控 えている とい うように明確 な地理的背景 をもっている。 さらにブランウェル は4 人の王国 (ウェ リン トン国

,パ

ー リー国

,ス

ニーキー国

,ロ

ス回

)と

その他の島々 (勇士の仲間で あるスタンプス とマンキーの島や フランス人 の島)を示 した詳細 な地図 を添 え

,主

要 な都市

,道

路, 河川

,山

脈 な どを書 き入れている。すでにグラスタウン連邦の骨格 は固 まり

,連

合国の中心 として グレイ ト・ グラスタウンが位置づ けられている。

(5)

シャーロット・ ブロンテ初期作品研究(り

155

ブランウェル はシャーロッ トとおなじ主題 を扱いなが らも

,

もっぱ ら若者たち とアシャンテ ィ族 との戦 いを中心 に描 き

,い

くつかの戦闘場面 を作 り上 げ

,古

代 ギ リシャやローマの戦いになぞ らえ て いる。 シャーロッ トはおそ ら くそうした弟 による戦争 の繰 り返 しに飽 きたのか

,あ

るい は出番が なかつたのか`A Romantic Talざのあ とは若者たちの劇 のためになにも書 いていない。ふたたび 若 者たちに関心 を持つ ようになるのは

,1829年

8月 にな り「雑誌」の編集 をブランウェルか ら引 き継 いでか らである。

`「rales Of the lslanders,volume I'

ここで子供 たちの第

3作

目で最後の劇であるISlandersを紹介 してお きたい。

Young Menは

ブラン ウェルの人形 を発端 としていたこともあって,彼が主導的であつた。それに対 してISlandersは各 自が島 を 持つ とい うシャーロッ トの提案 に基づいていたので

,彼

女 は自分の主人公 (ウェ リン トン公爵 と2 人の息子

)を

中心 にお とぎ話

,冒

険談

,政

治寓話 な ど多彩 な物語 を展開させ るこ とがで きた。島人 たちの劇 の起 こりについては`The History ofthe Year'に 収録 された`The Origin of the lslanders'

(12.3.1829)に 記 されてか ら3カ 月ほど経て`Tales of the lslanders,volurne I'(30.6.1829)の 第

1章で`An Account of their Origin'と して書 きなおされている。 そ こで は冷た いみぞれの降 る11 月のある寒い晩 に

,所

在 な く暖炉 をか こんでいた子供 たちがそれぞれの島 をえらび

,お

気 に入 りの 人物 を族長 に決 めるようすが劇的 に描かれてい る。かれ らが選 んだ島 はマ ン島

,ア

ラン島

,ワ

イ ト 島

,ガ

ー ンジー島な どのいずれ もイギ リス周辺の島々であ り,ま た族長 もウェリントンと息子 たち,

ウォールター・ スコッ ト

,

リー・ ハ ン トといつた実在 の人物 たちである。

だが第

2章

4 Description of Vision lsland'に なると先 ほ どの島々 は忘れ られ

,代

わつて巨岩,

激流

,滝

な どがロマ ンテ ィックな風景 をつ くりだすViSiOn lsland(夢 想島

)が

構想 され

,そ

こに貴

族の子弟 のための学校が創立 され る。子供 たちは小王 と女王 たち として島に君臨 し

,ウ

エリン トン

公爵 はかれ らに仕 える長官 となってい る。学校 の経営

,管

理 は多忙 な公爵に代わつてふた りの息子

ドゥアロウ侯爵 とチャールズJBHにまか される。息子 たちの名前が初期作品に登場す るのはこれが最

初である。この学校での生徒 の反乱 を扱 った物語が,こ の年 の12月の`Tales of the lslanders'第

2巻

に書 きつがれ る。第

1巻

3, 4章

はウェリン トン公爵 と息子 たちを中心 とした冒険物語で

,い

ず れ も実際の政治事件 にもとづいている。第3章`Raton's Attempげ はウェリン トン公爵の毒殺未遂事 件で

,こ

れ は『リーズ。マーキユ リー』紙で公爵が展開 したホイ ツグ批判 と関係がある。第

4章

`Lord Charles Wellesley and the WIarquis of DourO's Adventure'は ドゥアロウ侯爵 とチャールズ卿 の誘

拐事件であるが

,こ

こで も実在 のレオポル ド公 とヒル将軍 の名前があがつている。そうした リアル

な場面設定が成 されている一方で は

,子

供たちは

Young Menの

守 り神 と同 じように,ISIandersで も 超能力 をもつ小王 と女王 たち として登場 しdeus eX machina的な役割 を演 じている。

(6)

156岩

上 は る 子

0劇

の発展

`Black、vood's Young Men'sA/1agazine'

若者 たちによってグラスタウンが建設 され

,国

王 も選 出 され

,ア

シャンティ族 との戦 い も終結す ると

,シ

ャーロ ッ トとプランウェル はこの新 しい社会 の文化面 にも目を向 けるようになった。 そこ で考 え出されたのが若者 たちのための月刊雑誌である。父が購読 していた 肋 溌″θο″

`Z廼

館焼ιに な らって

,そ

こにはエ ッセイ

,詩

,架

空の書物や絵画の批評

,著

名人 の対談広告な どが掲載 された。 大 きさはマ ッチ箱 ほ どだが

,日

次やタイ トルページな どで体裁 を整 えている。子供 たちが異様 に河ヽ さな本 を作 つたのは人形 の大 きさにあわせての ことであ り

,ま

た活字体で書いたの もで きるだけ印 刷 の文字 に似せ ようとしたためであった。 ブランウェルによる創刊号 (1.1829)と 6月 号

, 7月

,そ

の後 シャーロットの編集 による

2シ

リーズ(8-12.1829および

8-9.1830)が

現存 している。ブランウェルが編集長であった時期 (1-7.

1829)は`Branwell特 Blackwoodも Mattazinざと呼ばれ,ほかの子供 たち も投稿 していたようである。 シャーロッ トの`The Enfant'は

,も

とはこの 6月 号 と7月 号 に連載 された ものであつた。1829年8 月に雑誌 を譲 られたシャーロ ットは

,名

称 を

`Blackwood's Young Men`Magazine'と

改 め

,そ

の 年の12月まで に合計

6号

(12月 には

2号

)を

出 してい る。 ほ とん どが シャーロッ トの原稿か ら成 つ てい るが

,

ときに

WT(We TWOの

)や

UT(US TWOの

)と

署名されているもの もあ り,それ らはプランウェル との合作 と考 えられ る。

6号

の雑誌 に載せ られた作品 は全部で24篇 (広告 は除 く

)あ

,内

訳 は物語が

8点

,詩

が10点,

劇が

3点

である。詩の多 くが

UT作

となっているが

,内

容的にはかな り対照的な ものがあ り

,シ

ャ ーロッ トとブランウェルがグラスタウンに君臨する守 り神 の庇護あるいは支配をめ ぐって対立 して いた ことを伺 わせ る。た とえば 8月 号の`A Sorぽ は守 り神 の専制 に抗議 し

,彼

らの手か ら自由にな ることを夢見 た詩である。だが 9月 号 の`The Glass Town'で は夕陽 に輝 くグラスタウンの栄光 と神 がみの絶対支配 を謳いあげている。12月号 には二つの詩が掲載 されている。はじめの`Lines Spoken by a Lawyer on the Occasion of the Transfer of This Magazine'は

wT作

となっているが, これ は明 らかにブランウェルの作品 と思われ る。そ こで彼 はシャーロッ トに雑誌 を譲 った ことを後悔 し,

かつての真面 目で重厚な雑誌がいまで は愚か しいロマ ンスや軽薄 な物語 に とって代わ られた と嘆い ている。 それ に対 しつ ぎのfLines by One Who was Tired of Dullness Upon the Same Occasion' で は

,重

々 しい退屈 な書物 よ り

,守

り神やその華麗 な宮殿 の描写の方が はるかに楽 しい とい うシャ ー ロッ トの反論が くりひ ろげられている。ぶた りのライバル意識 はCaptain Tree(シャーロ ッ トの 筆名

)が

,機

会 あるごとにCaptain Bud(ブランウェルの筆名

)の

大 げさな文体 をか らかっているこ

(7)

シャーロット・ ブロンテ初期作品研究(り

157

物語 はすべてシャーロッ トの創作 だが

,実

名 による

5点

のほかに トリー大佐 の筆名で

2点

,守

神 として1点書いている。 さらにこれ以外 に劇仕立 の対談が

3点

ある。 これ らの作品の主題 はさま

ざまだが

,い

ずれの号 にもなん らかの形で ウェ リン トン公爵 と二人 の息子 アーサー とチャールズが

取 り上 げ られ

,グ

ラスタウンの情景や守 り神 の宮殿 の描写が織 り込 まれている。

8, 9月

号 に連載 された`A True Story'は

17,18歳

頃のアーサー とチャールズが

,洞

窟で くり広げ られ る守 り神 たち

のぶ しざな宴会 を覗 きみる話である。 この頃のふた りはともに端正 な顔立ちの若者で

,あ

まり見分

けがつかないが

,12月

号(第

2号

)に掲載 されだCOnversation'に おけるぶた りのや りと りを見 ると 個 性 の違いが現われている。吹雪が舞 い

,氷

柱が下が り

,樹

氷の見 られ る冬 が好 きだ とい うアーサ ー にたい し

,チ

ャールズは道で足 をすべ らせ くじいた り霜焼 けに悩 まされ る冬 の どこが よいのか と 応 酬 し

,ロ

マンテ ィックな兄 をか らかっている。

Young Menゃ

Islandersの劇 の成立当時 は,シャーロッ トの英雄 は一貫 してウェ リン トン公爵であ ったが

,や

がて物語 の主役 は息子 たちに移行 してい く。 ウェリン トン公 爵 に対す るシャーロ ッ トの 態度 は`Anecdotes of the Duke of Wellington'(7-10.1829)が示 して い るように

,完

全 な英雄崇 拝であ り

,そ

の描写 も一面的な賛美 に終始 している。 だが息子たちにつ いて は`Characters of the

Celebrated Men of the Present Timざ (12-17.12.1829)の 第

2章

に見 られ るように

,

細 かな性 格描写が試みられている。それによれば22歳の ドウアロウ侯爵 は性格 は穏 やかで思いや りが あ り,

冥想 を好 む もの静かな青年 となっている。 それに対 しチャールズ鼻Ⅱは機知 に とみ

,渡

刺 として空想

をめぐらすのが好 きである。こうした性格はそのまま受け継がれていくわけではないが, シャーロ

ットが

1829年

の末には対照的な兄弟の人物造形を行おうとしていたことが わかる。

`「Fales of the lslanders,volume II'

1829年の 8月 に雑誌 をうけついだ ことでシャーロッ トの関心 は急速 に

Young Menに

向けられてい ったが,Islandersも 忘れ られたわ けで はない。`Tales of the lslanders'第

1巻

につづいて第

2巻

が 10月か ら12月にわたって書かれている。すでに見たように第

1巻

3, 4章

は実際の事件 に取材 し た政治寓話で

,Young Menの

架空性

,物

語性

,詩

的雰囲気 とはまた違 ったシャーロッ トのジャーナ リスティックな側面 をうかがわせた。そうした時事的関心 は`TaleS Of the lslanderぎ 第

2巻

の大 き な特徴 になっている。とくに第

1章

`The school Rebelllon'(6.10.1829)は

,夢

想島の宮殿学校での 生徒 の反乱前夜 を描 いているが

,シ

ャーロッ トは物語 を脱線 して

,現

実のカ トリック解放令 をめ ぐ

る議会情勢や法案可決のニ ュースを伝 える新聞 を読 んだ ときの牧師館 のようす を記録 している。つ づ く第

2章

では生徒 たちの「内乱」の知 らせが ロン ドンの公爵の もとに届 き

,か

れ は気球 にのって 島に駆 けつけ強権 を発動 して内乱 を鎮圧す る。生徒 たちがポ リニ ャック王子

,ジ

ョニー王子

,ジ

ョ ニ ・ ロ ツクハー ト

,ヴ

ィク トリア王女 (いずれ も実在 の人物

)を

指導者 として4つのグループに

(8)

158

岩 上 は る 子

分かれ武装 して相争 うとい うのは

,法

案可決 に先立つさまざまな派閥の動 きや駆引 きを象徴 してい

るもの と思われ る。現実のウェリン トン首相 はピール内相 とともに1829年 4月 にカ トリック解放令 を通過 させたが,これ によって トー リー党 の支持 を失い1830年2月 に退障 に追 い込 まれ るのである。

3, 4, 5章

はそれぞれ独立 した冒険談である。第

3章

`The strange lncidelat in the Duke of

Wellington`Life'(21.11.1829)は

,狩

りに出か けたまま帰 らないアーサー とチ ャールズの捜索 に

出か けたウェリン トン公爵―行が

,守

り神 の導 きで巨岩の中の洞窟 に押 し込 め られたふた りを発見

,全

員が守 り神 の手でス トラスフィール ドセイの公爵の館 (実際の公爵 の別荘

)に

無事戻 され る 話である。第4章`Tales to His Sonぎ (21.11.1829)では

,公

爵がスペイ ンのサラマ ンカで体験 し

たぶ しぎな出来事 をかたる。夕暮れに森 を散歩 していた公爵の目の前 に巨大 な鏡が現れ,「来世」と い う文字 を映 し出 したか と思 うと

,つ

ぎに黄金 の鎖で結 ばれた大小ぶたつの島々が浮かびあが る。 やがて「偏屈」の焼印を押 された怪物が海上 に現れ

,小

島を荒 しはじめる。怪物 に追いまわ されて い る「 ローマ教」 とい う老人 は

,は

じめは逃 げ回るだけであったが

,し

だいに頑強 に抵抗す るよう にな り

,二

つの島 を結ぶ鎖 を引 きちぎろうとす る。 そ こに戦士が登場 し

,天

の楯 に守 られなが ら怪 物 を正義の矢で射止 める。島 はふたたび緑 に覆われ る。 まず この物語 の舞台 となっているサラマ ン カは

,ウ

ェリン トンが半島戦争 (1808-14年

,ウ

ェ リン トンの率いるイギ リス軍がスペイン

,ポ

ル トガル軍 と連合 して

,イ

ベ リア半島に進入 したナポレオ ン軍 を撃退 させた戦 い

)で

勝利 を治 めた街 で ある。鏡 に映 つたぶたつの島 とはイギ リス とアイルラン ドの象徴で

,こ

れ は当時のアイル ラン ド 問題 を寓話化 した物語 といえる。 つ ぎの第

5章

`The Marquis of Douro and Charles Wellesley's Tale tO HiS Little King and QeenS'(2.12.1829)も カ トリック問題 に関連 した物語である。アイ

ルラン ド南部の富豪 の家 に生 まれカ トリック教徒 として育て られた旅人が

,ロ

ーマ・ カ トリックの

邪悪 さや異端性 を知 るにいた り

,さ

らに聖書 の ことばをみずか ら学び

,神

の言葉 にもっ とも近 い と 思われ る英国国教会 に改宗 したい きさつを語 る。`Tales of the lslanders'第

2巻

は第

1巻

とおな じ

ように

,当

時の政治事件 に取材 し実在 の人物 をモデルにした政治寓話である。

当時13歳のシャーロッ トは

Young Menと

Isiandersのふたつの劇 を主催 し

,物

,詩

,劇 ,批

評 と あ らゆるジャンルの原稿 を書 きま くった。 ときには編集長 として

,

ときには筆名 を用いて

,さ

らに

はグラスタウンの架空の作家

,芸

術家

,詩

,批

評家 のすべての声 をひ とりで代弁 したのである。

その主題 も架空の物語

,ナ

ポレオ ン戦争の歴史

,現

在 の政治状況 と多岐 にわたっている。 そして こ

の旺盛 な創作意欲 と創作世界 はほ とん どそのまま変わ ることな く1830年に も受 け継がれてい く。

0劇

の終結

(9)

シャーロット・ プロンテ初期作品研究(1) 159

リーズが出されたほか

,`The Poetaster,A Drama in Two VolumeЪ

,`Visits in Verreopolis', AlbiOn and Marina',そ れぞれEdouard de Crackと Ernest Alembertを 主人公 とした冒険物語 な ど,

前年の

2倍

近 くにあたる量 の原稿が書かれている。個々の作品については後述するが

,29年

と30年

の原稿 で 目立った違いを

3点

指摘す ることがで きよう。 まず第1点はシャーロッ トの筆名であつた

トリー大佐が

,30年

になるとチャールズ卿 もし くは ドウアロウ侯爵に とって代わ られていることで

ある。トリー大佐 の作 になるのは`Young Mers Magazinご 第2シ リーズに収録 された

Trenchmaば

s

Joumarぉ

ょび短い紀行文が一篇あるだけである。1830年 の散文原稿 の大半 はチャールズ卿 によるも ので

,シ

ャーロッ トは意識的 に彼 の皮肉な視点 と語 りを作 り上 げてい く。第2点としては

,1829年

の原稿 にしばしば見 られた

UTな

い し

WTの

署名が30年 の原稿 にはまるで見あたらないことである。

ブランウェル は29年8月 にシャーロツ トに雑誌 を譲 つてか ら半年 ほどは投稿 を続 けていたが

,そ

の 後 は自作 に専念 していた もの と想像 される。 この時期 のブランウェルの原稿 として は

,す

で に言及 した`The History of the Young Men'(15。 12。1830-7.5。

1831,全 6章

)と

`Letters From an

Englishman'(9.1880-8.1832,全 8巻

)が残存 してい る。 グラスタウン物語の創作過程でシャーロ

ットとブランウェルが どの程度 まで協力 しあつていたか は特定 しえないが

,30年

には前年のように

共作であることを明記 した作品は見 あた らない。第

3点

としてあげられ るのは

,30年

にはシャーロ

ットの関心がグラスタウンに集中 して きていることである。 じつさいfTales of the lslanders'の ほ かに数編 の原稿 をのぞけば

,ほ

とん どがグラスタウンを舞台 に展開 している。1829年にはいちお う 二つの世界 として書 き分 けられていた ものが,1830年に入 ると

Young Menの

舞台すなわちグラスタ ウンを中心 に展開す るものが大半 を占めるようになる。

`Tales of the lslanders,volume l■,IV'

続いてISlandersの劇の最後 となる`Tales of the lslanders'第

3巻

(5.5-18.5.1830)と 第

4巻

(14-30.7.1830)に

ついて述べ る。そもそ もISlandersはリア リスティックな背景 と人物

,政

治事件 な ど を題材 としていたが

,第

3, 4巻

で は第

1, 2巻

の政治寓話や風刺 は影 をひそめている。た しかに 第

3巻

1章

のThe Duke of Wellington's Advellture in the Cavern'(5.5。

1830)の

冒頭 や

,第

2章

の`The Duke of Wellington and the Little King's and Queens'Visit to the Horse Guards' (8.5.1830)の ように

,ダ

ウエ ング街10番地や近衛騎兵旅団の愉快 な情景描写 は見 られ るが,そ こに 政治的意味合いはない。1880年には前年のカ トリック解放令やアイルラン ド問題 ほ ど緊迫 した問題 がなか った とい うの も理 由の一つであろう。今 のシャーロツ トの関心 はむしろ第

1章

に描かれたよ うな冒険物語 にむけられている。女このひ とりか らドウアロウ侯爵の身 に危険が迫っていることを 知 らされたウェリン トン公爵 は

,在

郷軍人 のセ リンガパタンとチャールズを ともなって侯爵 の捜索 に向か う。一行 は断崖

,絶

,大

滝 をこえ

,つ

いに巨大 な洞窟 にいる ドウアロウ侯爵 を発見 し

,超

(10)

160

岩 上 は る 子 自然 の力 に助 けられて全員がそろって生還す る。 超能力 をもつ小王 と女王 たちの活躍 は第

1,2巻

で も見 られたが,第

4巻

の第

1章

`The Three 01d

Wa

erwomen of Strasfieldsay'で の彼 らは

,ウ

ェ リン トン公爵の男」荘ス トラスフィール ドセイで 召 し使 い として働 くことにな り

,そ

こでい ろい ろな珍騒動 を巻 き起 こす。好奇心が強 くいつ も他人 の詮 索 ばか りしているチャールズJellをさんざんか らか うのである。 ブランウェル と姉妹

3人

を表す 小王 と女王たちは,こ こで は正義 を行 う神的存在 としてで はな くいたず ら好 きな妖精 となっている。

4巻

の第

2章

`Lord C.Wellesleytt Tale to His Broher'は

,コ

ーカサスに住む木 こリミルザのふ しぎな冒瞼談である。 これ はチ ャールズ卿が聞いた話 を兄 にかたるという形式をとっている。ある 日の夕暮れ

,

ミルザ は竜 によって月につれ去 られ

,つ

ぎには怪鳥の巣 に運 ばれて

,さ

らに鷲 につか

まれ途 中で巨人 の女 の国に墜落す る。そこで山の神 の生 けにえにされ るのを奇跡的に逃れ

,目

が覚

めると元 の小屋 に戻 っていた とい う話である。`Tales Of the lslanders'は この第

4巻

をもって終結 す る。1829年に書かれた前半の

2巻

は全体 として時事

,政

治問題 の寓話 とい う印象が強い。 それ に 対 して1830年の後半の

2巻

は全

4章

のうち

3章

までが冒険や魔術 の話で占め られてお り

,シ

ャーロ ッ トの関心の推移 を物語 っている。政治寓話か ら幻想物語への傾斜 は,後に取 り上 げる`Young Men亀 Magazine'に も伺われ

,1830年

におけるンャーロッ トの作品世界 のひ とつの特徴 となっている。

幻想物語

ここでIslandersに も

Young Menに

も分類で きない作品 について触れてお きたい。ひ とつは1829年 に書かれた

TWO Romantic Taleぎ

2章

のrAn Adventure in lreland'(28.4.1829)で

,そ

れ は幽 霊が出没す るとい う峰 のあるオキャラハ ン城 に泊 まった主人公が受 けた「精霊がブラニーか らお守 りください ます ように」とい うアイルラン ド式の挨拶が引 き起 こす悪夢 を語 つた ものである。もうひ とっ はFThe Keep of the Br地ゴ (13.7.1829)と 題 された1ページ足 らずの原稿 で

,そ

こで は好奇 心 にか られた若者が妖精 のすみかに誘われ

,真

っ暗 な土年 に閉 じ込 め られた恐怖 を語 ってい る。 こ

うした超 自然的な出来事 を扱 った物語 は

,1830年

になるとさらに多 く書かれるようになる。 そのひ

とつのきっかけとしてシャーロットが体験 したある不思議な出来事 を言己録 した`The Following Strange Occurencざ (22.6.1830)に 触れてお きたい。シャー ロッ トはその日の早朝 に起 こった事件 を記 録し

ている。 それによれば主のお告 げを受 けた という見知 らぬ老人が牧師館 の玄関に現れ

,キ

リス トの

訪れがあるのでお迎 えの準備 をす るように といった。折 りしも父プロンテ氏が病 に伏 していたため,

シャーロッ トはひ どく不吉 に感 じ

,恐

ろしさに涙が止 まらなかった と書 いている。幽霊や死後 の世

界へのシャーロットの関心 はつよ く

,

とくに30年にはそれ を主題 とした作品が多 くみ られ るように なる。`The Adventures of Ernest Alernbert'(25.5.1830)も そのひ とつで

,そ

こで は死 を間近 に

(11)

シャーロッ ト・ ブロンテ初期作品研究(り

161

精の国に向か う。美 しい音楽が奏で られ る華麗 な宮殿で彼 は何年か過 ごす ものの

,や

がて人間の世

界が恋 しくな り帰還す るとい う話である。`Leisure Hours'(22.6.1830)も 妖精 に捕 えられ

, 5年

の あいだ妖精 の召 し使 いとして仕 えた老人 の話 をチャールズ卿が語 った もので ある。守 り神や小王や 女王たちが超能力 を発揮す る場面 は,29年のISlandersゃ

Young Menに

もぶんだんに見 られ る。だが そこには超 自然現象が引 き起 こす幻想性

,怪

奇性

,恐

怖や戦慄 といった雰囲気 はうすい。30年に入

るとシャーロッ トの関心 は守 り神 たちや小王や女王たちが繰 り広 げる不思議 な魔法 よ りも

,超

自然

の世界の もつ神秘性や幻想性へ と向けられていった ということがで きよう。

筆名Lord Charles Wellesley

1830年の原稿 の特徴 の一つ はすでに指摘 したように

,そ

の大半がチ ャールズ・ ウェルズ リ弗,の筆 名で書かれていることである。前年の筆名であつたトリー大佐 は`Young Men's Magazine'に収録 さ れた

TrenChman`Journal'そ

の他 を書いているに過 ぎない。彼 はい まやグラスタウンの文学界 に君

臨 し

,チ

ャールズな どの若手 の作家 たちの妬 みをかっている。 シャーロッ トはチャールズを筆名 と

するにあた り

,彼

の性格 をいちだん と中傷好 きでせんさ く好 きで皮肉屋の若者 に仕立てあげ

,生

面 日で退屈な トリー大佐 とはかな り異質 な視点 と語 りを採用 している。た とえばそれが顕著 に示 さ れる作品 として`An lnteresting Passage in the Lives of Some Eminent h/1en of the Presellt Time' 別名`An lnteresting lncident in the Lives of Some of the Most Eminent Persons of he Age'

(18.6.1830)が あげ られ る。その序文でチャールズは

,召

し使 い をつ うじて知 ったグラスタウンの 名家 のスキャングラスな内情について

,そ

の うちのい くつかをご紹介 しようと皮肉たっぷ りに前置 きす る。彼 が暴露す る事件 には トリー大佐 をはじめ

,父

のウェ リン トン公爵

,バ

ッ ド父子

,医

師の ヒューム・ バディな どのグラスタウンの名士たちが関与 している。トリー らが共謀 して公立図書館 の蔵書 を盗 み出 し墓地 に隠 した ところ

,解

剖 のための死体盗掘 をしていた ヒューム・ バデ ィの一味 と出 くわ し恐喝 され

,殺

人事件 にまで発展す るとい う話である。 これ は1828年に実際 に発生 した事 件 (バーク とヘア とい う殺人者が

,ノ

ックス医師に解剖用の死体 を売 つた事件

)や ,父

ブロンテ氏 が属 してい たキース リ機械工協会で発生 した蔵書の盗難事件 にもとづいてい る。グラスタウンでの 事件 は関係 者の手で もみ消 され るが

,真

相 を知 るチャールズは折 に触れ当て こす りをいっては楽 し んでいる。

チャールズの皮肉

,風

刺 はそれか らさらに一月後 に書かれた

`The Poetaster,A Drama in Two

Volumes'(3-8.7.1830)で

いっそう激 しさをます。 そこで はヘ ンリー・ライマーを 「へば詩人」 呼ばわ りし

,彼

の感傷癖や ロマ ン派詩人気取 りの大 げさな身振 りを滑稽 に演 じて見せ る。 ライマー

はかつてのブランウェルの筆名 の一 つで

,の

ちのヤング・ スール トである。従 つて この風刺 はじつ

(12)

162

岩 上 は る 子

たずね

,自

作 を披露す るが相手 にされない。つ ぎに トリー大佐 をお とずれパ トロンになって くれる

よう依頼するものの

,詩

のあま りのひ どさを罵倒 され る。かっ としたライマーは トリーを殺 して し

まう。今 しも処刑が行われ ようとしているところヘチャールズが駆 けつけ

,

トリーが息 を吹 き返 し

たのでライマー は許 され

,三

度 と詩 をつ くらない とい う条件で釈放 され る。`The Poetasterか ら一 月余 りして

,チ

ャールズ はさらに`Young Men's Magazine'lo月 号の℃Onversation'(23.8.1830)の なかで

,ラ

イマー ことスール トが 自然 の美 しさをうた う自分 の言葉 に酔 って失神す るさまを滑稽 に 描 いている。 自己陶酔の気味があ り,と もすれば感情 に走 り理性 を失いがちなスール トに

,シ

ャーロ

ッ トはプランウェルの姿 を見ていたのだろう。Fcharacters of the Celebrated Men Of the Present

Time'第

4章

(17.12.1829)に 見 られ るヤング・スール トの説明 には,「身 だ しなみには無 とん じゃ くで酒や賭事 を好 み

,そ

の詩 には想像力 は感 じられるが韻律 は不得手」 とあ り

,ブ

ランウェルの面 影 を伝 えている。

`Young Men's WIagazine'

つ ぎに

Young Menの

ための「雑誌」の第2シリーズについて述べ る。 シャーロッ トは1829年の8 月にブランウェアレから`Branwell's Blackwood'sA/1agazine'を 引 き継 ぐと,それを`Blackwood's Young

Men's Magazine'と 改題 して,12月 号 まで出 して第1シ リーズを締 めぐくった。30年 8月 には第2シ

リーズ として名称 をさらに`Youlag Menる Magazine'と 短縮 し,12月

2号

も含 めて合計

6号

(その

うち 9月 号 はタイ トルページ しか残存 していない

)を

出 している。構成や形式 は第1シ リーズ とほ ぼ同 じで

,物

,紀

行文

,日

,詩 ,談

話 な どか ら成 り立 っている。巻末 の索引によれば合計21篇 あ り

,筆

者別 にみるとチャールズ弗Ⅱが

6点

(詩

1,物

,書

,紀

行文 な ど

5),

ドウアロウ侯爵が

6点

(物語

1,詩

5),

トリー大佐が

4点

(日記

),編

者すなわちシャー ロッ トが

5点

(談話

)と

な っている。この第2シ リーズで注 目されるのは

,8月

号か ら12月号 とい うタイ トル は付 いているが, 実際 には 8月12日か ら9月 4日 までの半月あまりの間に集 中的に書かれていることである。1830年

7,8月

のシャーロッ トは`Tales of the lslandeだ第

4巻

,`The Poetaster'2巻

,`Young Men`

Magazine'6号

を書 くとい う健筆ぶ りであった。これだけの作品 を立て続 けに書 きま くったのは,お

そらくシャーロッ トの心 を捉 えてはなさない主題があったため と思われ る。

1830年に入 ってシャーロッ トが とくに強い関心 を示す ようになった主題 のひ とつに幻想

,怪

奇が あげられることはすでに指摘 した ところである。`Young Men's Magazine'でもそれ はかな りの紙面 を与 えられている。まず幻想物語 として12月号(第

1号

)に掲載されだStrange Events by Lord Charles Wellesly'(29.8.1830)を 紹介す る。チャールズ卿 は昨今の風潮 にもかかわ らず自分 は超 自然的な事

柄 を信 じるものであると前置 きし

,そ

の根拠 として自分のぶたつの体験談 をかたる。 そのひ とつ は

(13)

シャーロ ッ ト・ プロンテ初期作品研究(1) 163

現在 の自分たちの姿があの世 の自分 たちの幻 に過 ぎないように感 じられた。すると目の前 に巨大 な 自分 の化身が現れた とい う。 また もうひ とつ は今か ら

1, 2年

前 のことになるが

,満

月の夜 に月に 自分 の寿命 を問いか け答 えを得た友が,はた してその予言 どお りに20年後 に死 んだ とい う話 である。 12月号 (第

2号

)の

`An Extraordinary Dream by Lord Charles Wellesley'(4.9.1830)では, チ

ャールズが 自分 のみた悪夢 について語 る。 ある日の年後

,チ

ャールズ卿が誰 もいない父の書斎で う たた寝 をしていて夢 をみる。 その中で川のほ とりを歩いていた ところ急 に足元が崩れ

,川

に落 ちず ぶ濡れになる。家 に帰 って濡れた体 を乾か している と

,兄

が帰 って きて

,蒼

自の弟 にわ けをき く。 その晩

,チ

ャールズ はい くつ もの夢 をみ

,そ

の中で トリー大佐 に殺 されそうにな り叫び声 をあげて 目が覚 める。死人の ような顔 をしてい るチャールズのために医者が呼ばれ

,彼

は意識 はあるにもか かわ らず体 は硬直 し冷 た くな り

,や

がて医者が臨終 を宣告す る。チャールズは棺 にお さめ られ

,葬

式 も済み納骨堂 に安置 され る。 ようや く金縛 りが解 け棺 の中で もがいていると

,お

参 りに来 た父 と 母がそれ に気づ き

,チ

ャールズは救出 され る。弟 の帰還 に驚 いたアーサーが

,こ

2週

間のあいだ どこに行 っていたのか と問 う。彼 の失踪 に人 び とが大騒 ぎをしていたのだ とい う。数 日後

,チ

ャー ルズは夢 の中 とおな じ川のほ とりに立 ち,夢とおな じように川 に落 ちてずぶ濡れ になって家 に帰 り, 体 を乾か し…夢 とおな じことが繰 り返 され る。 だが翌朝

,チ

ャールズはすがすが し く目覚 める。い ずれの物語 も死 を主題 とした もので

,

とくに後者 は生 きなが らの死 と永劫回帰的な悪夢が

,幻

想 的 で怪奇的な雰囲気 をつ くりあげている。 こうしたロマ ン主義的傾向をもつ作品 は

,ほ

かに も■月号

の■ SOng,by Lord Wellesley'(27.8,1830)の 長編詩や,同号の`A FrenchmanもJournal,Continued

by Tree'(23.8.1830)の 死 の劇や,`ViSitS in Verreopolis,Volume I'の 第

5章

(28.8.1830)で

チャールズ卿の亡霊が出現する (いたず ら

)場

面 に もみ られる。 シャーロッ トは12月号 (第

2号 )の

最後 に短 いConcluding Addressを のせ

,読

者 に雑誌 の終結 を 告げている。 そ こには長 く骨 の折れ る仕事 を成 し遂 げた誇 りと

,荷

を下 してほっ とした気持 ち とが あふれている。1826年 6月 か ら1827年 12月にか けて始 め られた劇が

,1829年

3月 か ら豆本 にまとめ られ るようにな り

,シ

ャーロッ トはその中心 になって詩

,物

,劇 ,批

評 な どを精力的 に書 き続 け た。 さまざまなジャンルの作品を試行錯誤 しなが ら書 くうちに

,1830年

の半 ばには独 自のテーマ と 世界 とを確立 していった。 はじめの頃のあやつ り人形 の世界が

,い

つのまにか登場人物がひ とり歩 きす る自律的な世界へ と変わってい く中で

,シ

ャーロッ トが当初 の劇の枠組 を脱 ぎ捨て ようとす る の も自然 な成行 きであつた。 lWlグラスタウン物語

(14)

164

岩 上 は る 予 れほ ど明確な対照 をなすわけでな く

,物

語 によって はどち らの劇 に属するのか判然 としない もの も ある。 その ことは偶然 にはじめられた子供 たちのい くつかの劇が

,書

きつがれてい くうちに次第 に 一つの空想世界 に融合 されていった過程 と見 ることがで きよう。1830年半 ばころまでには

,そ

れ ら はグラスタウン物語 としての輪郭 を整 えるにいたった。ただ ここで注意 しなければな らないのは, グラスタウン物語 とはグラスタウンを舞台 に展開す る一連 の物語群 の総称であって

,一

つの作品を 指 した名称で はない とい うことである。いずれの作品 をもってグラスタウン物語 の始 ま りとす るか は難 しい問題であるが

,こ

こで は`Albion and Marina'(12.10。 1830)を その成立の目安 と考 えたい。 当初 の二つの劇ISlandersと Youllg Menの舞台 と人物が融合 された作品であること,今後 の物語の中

心テーマ となる恋愛が導入 された最初 の作品であることが

,そ

の主な理由である。1831年 に作成 さ れたブランウェルの地図 によれば

,当

初 の

Young Menの

舞台であった「十二人 の勇士」の王 国 は拡 大 し

,ウ

ェ リン トン

,ス

ニーキー

,パ

ー リー

,ロ

スの連邦国になっている。 シャーロッ トはその中 央政府 がおかれたグレイ ト・ グラスタウンを舞台 として

,ウ

ェ リン トン公爵一家 をはじめ とす る貴 族

,作

,政

治家 な どの上流階級 の人 び とをめ ぐる諸事件 を物語化 してい くのである。 恋愛物語 1830年 の作品で怪奇

,幻

想 の要素 とな らんで 目立つのは

,新

しい要素 として恋愛が加わった こと である。

`Youlag Men`Magazinざ

で はもっぱ ら℃onversation'の欄 で取 り上 げられ,せ んさ く好 き のチ ャールズが中傷 した り冷やか した りしている。 た とえば 8月 号 (13.8.1830)で は トリー大佐が 身分不相応 にも女性 に贈物 をして破産 しそうになったのを ドウアロウ侯爵に助 けて もらった ことを チャールズが暴露す る。 また10月号 (23.8.1830)と 12月号 (1.9.1830)で は

,グ

ラスタウンの著 名 な画家 ド・ ライル によるマ リアン・ ヒュームの肖像画 に ドウアロウ侯爵が 目を奪われ

,し

だいに彼 女 に心 をひかれてい く様子が伝 えられ る。 じつ は ドゥアロウ侯爵 とマ リアン・ ヒュームの恋愛 は, すでに`The Poetasteゴ第

1巻

2場

(3.7.1830)に 取 り上 げられている。そ こで はチ ャールズ卿が 前の晩 にみた とい う夢 の話 を父 と兄 に披露す る。夢 のなかで森 の奥 にある館 に誘われてい くと

,そ

こに緑 の衣 と白いスカー フに身 を包んだマ リアンの姿が見 えた。 その部屋にキュー ピッドが現れ, 矢の先 に刺 した ドゥアロウ侯爵の血 まみれの心臓 をマ リアンに捧 げる。すると彼女 はそれ を鋏で切 り裂 いた とい う。 これ は ドウアロウが ヒューム・ バ ディ医師の娘マ リアンに恋 しているのをか らか った もので

,二

人 の恋愛 を描いたのちの41biOn and Marina'へ の伏線 といえる。マ リア ンが登場 す るのはこれが初 めてである。そればか りでな くグラスタウン物語 にヒロインが登場す るの もこれが

最初 である。 それ まで はグラスタウンはもっぱ らヒーローの世界であ り

,女

性 の登場人物 はみ られ

て も端役で しかなかった。 シャーロッ トは自分 の主人公 (も はやウェ リン トン公爵で はな く

,

ドゥ

(15)

シャーロッ ト・ ブロンテ初期作品研究(1) 165

であろう。

1年

余 りにわたったISIandersゃYoullg Menの劇 も終結 した今,シャーロ ッ トはそれ まで の冒険

,政

,風

刺 の世界か ら

,恋

,結

,嫉

妬 といった情念 の世界 に移 つてい く。そして ドウ アロウ とマ リア ンの幼 い恋 を冷やか し妬むのがチ ャールズの役 どころになってい くのである。

続いて`Albion and Maina,A Tale by Lord Charles Wellesley'(12.10.1830)と こついて述べ る。 これ は14歳のシャーロッ トによる最初 の恋愛物語 だが

,甘

美 なロマ ンスで はな く悲恋 に終 って いること

,ま

たチャールズ卿 とい う皮肉な語 り手が用い られてい ることな どで興味深い。チャール ズ は序文で

,こ

の物語 は「仕返 し」のつ もりで書かれた もので必ず しも真実 に基づいて はいない と し

,登

場人物 の名前 も多少変 えてあるとしなが らも

,実

際 にはたやす く類推で きるようになってい る。 チャールズの語 り口には兄への嫉妬 と

,そ

の恋愛 をか らかって意趣返 しを しようとする屈折 し た心理が うかが える。物語 の梗概 はつ ぎの とお りである。 アル ビオ ン (ドウアロウ侯爵

)は

卑 しい 生 まれのマ リーナ (マ リア ン・ ヒューム

)と

恋 に落 ちる。だが父 は若す ぎる二人 の恋 には時の試練 が必 要であると考 え

, 4年

後 に帰国 した時 には二人 の結婚 を認 めると約束 して

,家

族 をつれてグラ スタ ウンに移住す る。教養 も容貌 も申し分 のないアル ビオ ンはグラスタウンの社交界で もてはや さ れ

,や

がてグラスタウン随―の才媛 と呼び声の高いゼルジア (ゼノウビア・ エル リン トン

)に

出会 い

,彼

女の洗練 された話術や身 ごな しに心 を奪われる。だがその夜マ リーナの幻が現われ,「わた し を忘 れないで」 と訴 える。父の許 しを得て帰国 したアル ビオ ンを待 つていたのは

,マ

リーナが夢枕 に立 ったその時刻 に息絶 えた とい う知 らせであった。 物語が悲恋 に終 るの はチ ャールズ が書 きかえた(実際のマ リアンは後 に ドウアロウの

2人

日の妻 にな り

,息

子 を一人生 む

)た

めであるが

,悲

劇の原因がアル ビオ ンの心変わ りにあることに注 目し たい。アル ビオ ン″虜 にするゼルジアことゼノウビアが登場するのは

,こ

れが最初である。緑か純 白の衣 をまとったマ リアン・ ヒューム とは対照的に

,ゼ

ノウビア は真紅 のビロー ドの衣装 に身 を包 んだ妖艶で情熱的な女性 として描かれている。 シャーロッ トはすでに最初 の恋愛物語 において

,対

極的 ともいえる

2種

類 の ヒロインを作 りだ し

,一

人 の男性 をめ ぐる三角関係 の状況 を設定 している のである。`Albion and Marina'で はまだ「嫉妬」のテーマ は顕著で はないが

,そ

れが シャーロッ ト の関心 を とらえたことは

, 2カ

月ほ どして書かれた`ViSits in Verreopolis,VOlume r(7-11.12.18

30)に明 らかである。執筆時期 は■lbion and Marina'よ りも後 だが

,物

語 の時間 と状況 はそれ以前 に設定 されてお り

,そ

こで は

12,3歳

の ドウアロウ侯爵がすでにマ リアン・ ヒュームに恋 をし,そ

をゼノウビアが嫉妬 しているのである。兄 に用事 を頼 まれてゼウノビアを訪ねたチャールズは

,二

人の仲 をきかれて答 えるうちに

,逆

上 したゼノウビアに階段 か ら蹴落 とされ る。失恋 か ら死 んで

しまうマリーナ とは対照的 に

,む

くわれない思いに狂気 に駆 り立て られてい く女の姿が ここにある。

嫉妬 を取 り上 げてい る点で`ViSits in Verreopolis,volume Ⅱ'の

2章

`The Fairy Gift,A Taピ

(16)

166岩

上 は る 子

,城

の未亡人 を虜にし

,や

がて結婚する。だが妻をはじめ上流階級の人びとに嘲笑されるので

,

幸せでない。ところがある娘がバッドに好意をもつと

,妻

はそれを嫉妬し夜半に魔術をつかっ―

てそ

の娘を

R」lぃ

殺そうとする。夫がそれを知ると

,妻

はつぎには夫に襲いか

│か

り魔性の本性をあらわす。

妖精に教われたバッドはふたつめの願いごとをするが,そ れも幸せをもたらさずぅけっきょく元の

自分に戻ることを選ぶ。この話にはこれまでになかった男女の葛藤がみられ

,シ

ャーロットの今後

の恋愛物語の方向を示唆しているように、

思われる。シヤーロットはロマンテイックな恋物語に飽 き足

ら尤 そこに複雑な三角関係や嫉妬という情念を導入し

,そ

れはやがて「アングリア物語」の主要

な要素

Iの

ひとつとして発展してい くのである。

追記

H・

m期

の初期作品についての研究報告は

│,ア

ングザンダーの編集の完成を待つこととする。

(17)

シャーロッ ト・ ブロンテ初期作品研究(1)

初期作品の構成・第

I期

(1826-1830)

`The History of the Year'(3.1829)

Y6ung Men (6.1826成 立) │ `A Romantic Talel (4.lV9) │ rThe Enfant'(7.1929) イA Fraglaaent'(2点 ,8.1329) Our Feilows (71827成立) │

`The Origin of he O'Deanざ (3.1829)

Islanders

(121827成⊃

`The Oriを in of tlae ldanders'

● 醐

`Tales Of he lslanders,vol.I'(6.1829)

The Search Aft∝ Happiness'(1829,3)

`BIackwoOd's Young Meだ s Magazine (8月号-12月号,3-121820)

`Characters of the Celёbrated Men of the Present Time'(12.1ッ 9)

FThe Advenmre Of Mo■

EdouaFd dcCrack'(218〔Ю)

`Ala IIIterёsting Passage in the Lives of So4e Eminent Men of the Present Timざ (61830)

`The Poetaster,vol.II'(7.1830) │

`Young Mell,s MagaZilleI

(3月号-12月号,8-9.1830)

(Anecdottt Of he Dulte of Wellington'(7-10.1829う

`Tales of the lslandersj vOI H'(12.1829)

`Tales Of the lslanders, vol.II' (5, 1830)

(Tales of the lslandertt v61.Ⅳ '(7.1830)

`AlbiOn and Marinゴ (lo,183tll

参照

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