ScanSnap SV600: Easily Scan Newspapers or Books Directly Without Cutting Them
Up or Damaging Them
北川康彦 * Yasuhiko Kitagawa 南山政徳 ** Masanori Minamiyama 北川光一 ** Koichi Kitagawa 小坂清人 *** Kiyoto Kosaka 呉藤弘康 **** Hiroyasu Gotou * イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 第二技術部 ** イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 ファームウェア開発部 *** イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 開発技術部 **** PFU ソフトウェア株式会社 ドキュメントソフトウェア統括部 SS アプリプロジェクト パーソナルドキュメントスキャナ ScanSnap シリーズ「ScanSnap SV600」は新しい撮像形態のスキャナ である.従来の ScanSnap シリーズのシートフィードタイプとは異なり,原稿上部から撮像する方式を採用した. 従来,読取り前に裁断などの手間が必要であった本や新聞などの原稿を,そのままの状態で読取ることができる. お客様がお持ちの本や新聞,雑誌などの書類を簡単に電子データ化することで,お客様の利用シーンの拡大が期待 される. 本稿では,新しい読取り方式を実現するために開発した技術とお客様により便利に使っていただくための機能, また,それらの開発における取り組みや工夫について述べる.The "ScanSnap SV600" is a personal document scanner with a new scanning method. Unlike existing sheet feeder type models, the ScanSnap SV600 scans from above documents. The ScanSnap SV600 makes it possible to scan large documents and newspapers without the need to cut them up. By easily digitalizing documents such as books, newspapers, and magazines, this scanner opens up many possibilites for our customers.
This document describes the technology, the easy to use functions, and the development process involved in PFU's realization of a whole new way of scanning that is possible with the ScanSnap SV600.
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まえがき
パーソナルコンピュータ(以降,PC)などの普及に 伴い,従来紙文書として扱われてきたデータを,電子化 データ(PDF など)として扱うシーンが日々増加して いる.更に,スマートフォンやタブレット等の軽量な情 報携帯端末の普及により,どこででも電子化データを閲 覧することができるようになってきている. 「ScanSnap(スキャンスナップ)シリーズ」は,簡単・ スピーディーに紙文書を電子化できるツールとして,全 世界で数多くのお客様にご利用いただいている参1),注1). 新機種「ScanSnap SV600」(以降,SV600)は, 従来の ScanSnap シリーズとは異なる読取り方式で, これまで電子化できなかった原稿も電子化できるように した.本稿では,SV600 の開発背景やねらい,商品概 注1) 著作権の対象となっている新聞,雑誌,書籍等の著作物は, 個人的または家庭内,その他これらに準ずる限られた範囲内で 使用することを目的とする場合など著作権法で定められた例外 を除き,権利者に無断でスキャンすることは法律で禁じられて います. 業務利用の場合は,著作権者の許諾が必要となることがあり ますので,著作権法,およびご利用になる企業や団体で定める 利用規則等に従って利用して頂くようお願いします.要,技術的な取り組みについて述べる.
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開発の背景とねらい
従来の ScanSnap シリーズはシートフィードタイプ で,大量の原稿をまとめて素早く読取るような用途で好 評を得ている.一方,新聞や本,ホチキス留めされてい る書類などの読取りをするには紙面を切ったりする必要 がある.また,フラットベッドタイプを使う場合,本や 書類を見開きで読取るには,読取るページを開いてから 裏返すといった手間がかかる. このような手間を低減し,そのままの状態で読取れる ようにすることを目指し,原稿を上から撮像し読取るド キュメントスキャナとして SV600 を開発した.読取る 書類を増やし,お客様の電子化データの利用拡大を図る.3
製品概要と特長
SV600 の外観を図 - 1に,仕様を表 - 1に示す. SV600 は, シ ー ト フ ィ ー ド タ イ プ の 従 来 の ScanSnap シリーズとは異なり,上部から撮像する 方式のドキュメントスキャナである.スキャナ上部 (ヘッド部)に読取りユニットがあり,ヘッド部が光 を照射しながら奥から手前に回転し,原稿を読取る. ScanSnap シリーズのコンセプトである「カンタン, スピーディー,コンパクト」を踏襲しつつ,この新しい 読取り方式の機種の使いやすさを考えた機能をいくつも 搭載した. ここでは主な特長について述べる. (1) 原稿全体を均一に高精度に読取る VI テクノロジー 新技術である「Versatile Imaging Technology」 (以下「VI テクノロジー」)は,離れた位置から原稿を 読取っても画質のムラを最小限に抑え,均一で読みやす いイメージデータを生成する. 図 - 2のとおり,シートフィードタイプで培った高品 位で信頼性の高い光学系技術を活かし,高被写界深度レ ンズ,高指向性 LED 光源,ライン型 CCD センサーを 組み合わせた独自の光学系「VI テクノロジー」を開発 した.新聞や見開きにした雑誌など大きなサイズの原稿, 本や色紙のような厚みのある原稿でも,均一で安定した 高精度な読取りを可能とする. 加えて,大切に保管しておきたい本,紙焼き写真,綴 じられた契約書原本などの重要書類,クレヨンや絵の具 などで描いた,裁断したくなく,表面に触れると傷むお それのある原稿も,読取り面に触ることなく電子化でき る. (2) 本や雑誌の読取りを効率化する機能 原稿のページをめくったことを自動検出して読取る 「ページめくり検出機能」を開発した(図 - 3参照).ペー ジめくり検出機能を使うと,スキャンボタンを初めにワ ンプッシュした後はページをめくっていくだけで連続読 取りでき,効率よく電子化できる 更に,本や雑誌を見開きにしたとき中央部に発生する 膨らみによるイメージデータの歪みを自動的に補正する 「ブック補正機能」を開発.また,本の読取り時に写り 込んだ指を除去する「ポイントレタッチ機能」も開発し た.これらの機能により,雑誌や本を簡単に読取り,シー トフィードで読取った場合と同様に読みやすいイメージ データを生成できる. (3) 快適な操作を実現する機能 複数枚原稿を効率的に電子化する「マルチクロップ機 能」を開発した(図 - 4参照).読取り範囲内に,名刺, 写真,メモなど複数枚の原稿を置いて読取ると,個々の 原稿を自動的に切り出し,まとめて電子化できる機能で ある. また,本体の電源オンから約 3 秒で読取り可能にな るクイックスタートを実現した.更に,原稿 1 枚あた りの読取り時間も A3 サイズという広い読取り範囲全域 で 3 秒と高速にすることで,読取り時のお客様のスト レス低減を図った. また,ワンプッシュでの読取り操作にこだわり,読取 ◆図 - 1 ScanSnap SV600 外観◆ (Fig.1-ScanSnap SV600 external view)◆表 - 1 ScanSnap SV600 の仕様◆ 主な仕様 Windows® ※1 Mac OS ※2 品名/型名 ScanSnap SV600 / FI-SV600 読取方式 オーバーヘッド読取方式,片面読み取り 読取モード カラー/グレー/白黒/自動(カラー,グレー,白黒の自動判別) 光学系/イメージセンサー レンズ縮小光学系/カラー CCD × 1 光源 (白色 LED +レンズ照明)× 2 読 取 速 度 (A3 横) 自動解像度モード ファインまたはスーパーファイン:3 秒 / 枚 ノーマル カラー/グレー 150dpi,白黒 300dpi 相当:3 秒 / 枚 ファイン カラー/グレー 200dpi,白黒 400dpi 相当:3 秒 / 枚 スーパーファイン カラー/グレー 300dpi,白黒 600dpi 相当:3 秒 / 枚 エクセレント カラー/グレー 600dpi,白黒 1,200dpi 相当:3 秒 / 枚 読取範囲 サイズ自動検出(最大エリア),サイズ自動検出(A4 横/レター横エリア),定型サイズ読み取り(A3 横, A4 横,A5 横,A6 横,B4 横,B5 横,B6 横,はがき横,名刺,レター横,リーガル横,11 インチ× 17 インチ横),カスタムサイズ(最大:432mm × 300mm,最小:25.4mm × 25.4mm) 原稿の厚さ 30mm 以下 インターフェース USB2.0 / USB1.1(コネクタ:B Type) 画像処理機能 傾き補正,サイズ自動検出,向き補正,カラー自動判別,ブック補正,マルチクロップ 消費電力 動作時:20W 以下,スリープ時:2.6W 以下,オフモード時:0.4W 以下 外形寸法(幅×奥行×高さ) 210mm × 156mm × 383mm(作業スペース:525mm × 484mm × 383mm) 質量 3kg 環境対応 グリーン購入法,国際エネルギースタープログラム,RoHS 指令準拠 ドライバ 独自(TWAIN,ISIS™ インターフェース非対応) 添 付 ソ フ トウェア ドライバ ScanSnap Manager V6.2 ScanSnap Manager V6.2 PDF・JPEG ファイル 整理・閲覧ソフトウェア ScanSnap Organizer V5.1 - 名刺管理ソフトウェア CardMinder V5.1 CardMinder V5.1
PDF 編集ソフトウェア Adobe® Acrobat® Standard 日本語版 -
OCR ソフトウェア ABBYY FineReader for ScanSnap™ 5.0 ABBYY FineReader for ScanSnap™ 5.0
ECM 連携ソフトウェア Scan to Microsoft SharePoint 3.4 -
家計簿ソフトウェア やさしく家計簿 エントリー 2 for ScanSnap -
Evernote ソフトウェア Evernote for Windows 4.5 Evernote for Mac 3.3 ファイリングソフトウェア 楽2ライブラリ Smart V1.0 with Magic Desktop V1.0 -
※1 Windows は,米国 Microsoft Corporation の米国,日本およびその他における登録商標または商標である. ※2 Mac は,Apple Inc. の商標である.
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開発の主なポイント
以下に 3 章の特長を実現している技術及び開発のポ イントについて説明する. 4.1 原稿全体を均一に高精度に読取る VI テクノ ロジー 離れた位置からムラなく均一な読取りを実現するた め,シートフィードタイプで培った信頼性の高い光学系 技術を活かし,高被写界深度レンズ,高指向性 LED 光 源,ライン型 CCD センサーを組み合わせた技術である VI テクノロジーの開発に取り組んだ. (1) 高被写界深度レンズ 従来のレンズでは,原稿と CCD センサーの距離が変 動してしまうとピントが合わなくなる.そのため,フラッ トベッドタイプのスキャナではガラス面に原稿や本の読 取りページを押し付ける必要があった. SV600 では,「高被写界深度レンズ」を開発.原稿 と CCD センサーの距離が変動しても広範囲でピントが 合うようにした. 図 - 5のように,高被写界深度レンズ,CCD センサー を実装したヘッドユニットを回転させて原稿を読取る構 造を開発し,本や色紙といった厚みのある原稿でもピン トの合ったイメージデータを生成できるようにした. (2) 高指向性 LED 光源 SV600 では,A3 サイズという広い読取り範囲を 3 秒で読取り,しかも品質の高いイメージデータを生成す るための「高指向性 LED 光源技術」を開発した. 品質の高いイメージデータを得るには,明るい光を光 源から照射して,原稿からの大きな反射光を CCD セン サーに集光させる必要がある. A3 サイズ全域を照射する光源を用いると,LED に 大きな電力供給が必要となる.また,大きな光エネルギー ◆図 - 4 マルチクロップ機能◆ (Fig.4-Single scan multiple document cropping function) ◆図 - 3 ページめくり検出機能◆ (Fig.3-Page-turn detection function) ◆図 - 2 VI テクノロジーの構成要素◆ (Fig.2-VI Technology) 高被写界深度レンズ 広範囲にピントが合い,原稿までの距離が 変わっても対応できる. 高指向性LED光源 周囲の明るさの影響を低減し,明るさを一定に保つ. ライン型CCDセンサー 安定した画像を出力する. ヘッド部を下から見た図 り前に原稿種を指定しなくても,自動的に,本などのド キュメントの判読に最適な画質や原稿サイズで読取れる ようにした.がお客様の目に不快感を与えるおそれがある.一方,光 エネルギーを抑えると CCD センサーに十分な光が入射 せず,イメージデータの画質が低下してしまう. SV600 では,LED への電力供給を最小に抑え,し かも品質の高いイメージデータを得るために,ライン型 CCD センサーに合わせた細長い光を照射するよう集光 させる照明技術に取り組んだ.更に高被写界深度レンズ は中央部に比べ周辺部の光が減少するため,LED 光源 はその減少分を補うよう周辺部(左右端)の光照射を強 くし,CCD センサーに均一に集光する無駄のない光照 射を達成した. この技術により,画質低下,LED への電力供給量, お客様に与える不快感の全てを抑えた光源を実現した. この VI テクノロジーを用いることで,SV600 は A3 サイズまでの大きな原稿や厚みのある本などの様々 な原稿をそのまま上から読取れる. 4.2 本や雑誌の読取りを効率化する機能 本や雑誌を裁断せずに読取れる SV600 の特長を活か し,お客様に快適に使用していただくために,「ブック 補正機能」,「ページめくり検出機能」を開発した. (1) ブック補正機能 SV600 は,VI テクノロジーにより本を上から読取 ることができる.本を見開きにした状態では,図 - 6に 示すとおり,中央の閉じ部と左右端が低く,記事部分が 膨らんで高くなる.この状態で読取ると,図 - 7のよう に,イメージデータは本の下部が湾曲した画像となって しまう. SV600 では,図 - 8のように,本を見開きにしたと き発生する膨らみによるイメージデータの歪みを自動的 に補正する独自の「ブック補正機能」を開発した.読取っ たイメージデータの輪郭を基に湾曲状態を推測し,補正 する技術である.更に,本の外形の湾曲だけではなく, 原稿に書かれている表の罫線や文字の歪みを検出し,補 正する技術を開発.従来のシートフィードタイプで裁断 して読取った雑誌や本と同様に読みやすいイメージデー タを生成できる.図 - 9のように,自動補正の後に,お 客様が手動で輪郭線を調整して補正することも可能であ る. 手動補正時には,お客様の操作の手間を減らすために, 本の輪郭のコーナー点(四隅と綴じ部)の位置合わせが 簡単に行える「アシスト機能」を実現した.コーナー点 を正確に位置合わせするには,コーナー点を拡大表示し なければならなかったが,拡大表示させることなく指定 位置の近辺からコーナー点を自動探索し,最適な位置に 補正する技術を開発した. 更に,図 - 10のように,本の読取り時に写り込む, ページを押さえる指などを,イメージデータから削除す る「ポイントレタッチ機能」を開発した.読取ったイメー ジデータ上で,写り込んだ指の位置を指定(クリック) することで,指を画像として検出し,下地の原稿と違和 感のないように除去・修復を可能とした. ◆図 - 5 読取り時の動き◆ (Fig.5-Head unit movement when scanning) ◆図 - 6 見開きにした本の膨らみ◆ (Fig.6-Curved distortion of a book) ◆図 - 7 読取ったイメージデータの湾曲◆ (Fig.7-Distortion of a scanned image) ヘッドが回転して原稿を読み取る.
(2) ページめくり検出機能 ScanSnap シリーズの「ワンプッシュで読取り」の コンセプトを実現するために,ページをめくったことを 自動検出して,次のページ読取りを自動起動する機能を 開発した.本のページをめくる度にスキャンボタンを押 すというわずらわしさを解消して簡単な読取りを実現し た. 原稿を読取るライン CCD センサーとは別にカメラユ ニットを搭載.このユニットにより,ページの動きを監 視することでページめくりの動作を検出している.カメ ラユニットからの入力画像を基に画像の変化を捉え,右 →左,左→右と変化した場合にページがめくられたと判 定する. この二つの「ブック補正機能」,「ページめくり検出機 能」を搭載することで,お客様の紙情報を簡単に電子化 し,情報活用の幅を広げることができるようにした. 4.3 快適な操作を実現する機能 名刺,写真,メモなどを読取り範囲に無造作に複数枚 置いても自動的に切り出しと傾き補正および向き補正を 行う「マルチクロップ機能」を開発.複数の原稿を一度 の読取りでまとめて電子化し,原稿毎に 1 枚の画像デー タとして分離・生成する.この機能では,以下のように して複数の原稿を補正している. ① 読取った画像から,原稿のエッジだけを抽出す る ◆図 - 10 ポイントレタッチ機能◆ (Fig.10-Point retouch function) ◆図 - 8 ブック補正機能◆ (Fig.8-Book correction function) ◆図 - 9 手動での歪み補正◆ (Fig.9-Manual distortion correction) 補正結果 補正結果
② 1枚ごとに切り出す ③ 傾き補正をする ④ 文字の上下を判定して向きを補正する この機能によって,お客様の手間を短縮し「スピー ディー」を実現できる. 更に,読取りの度に読取る原稿種(本などの見開き原 稿か,通常の紙などの原稿か)を指定する手間を省いた. お客様は,原稿をセットしスキャンボタンをワンプッ シュするだけで,最適な画質や原稿サイズでの読取りが できる.見開きで保存するか,通常の紙として保存する かは,読取り後に選択できるようにしてある. 高指向性 LED 光源技術により,A3 サイズ原稿の読 取り時間 3 秒の高速読取りが可能となったが,次のペー ジの読取りまでの待ち時間が長いと,お客様の使い勝手 が悪くなり,「スピーディー」さが失われる.そのため, PC 内で実施しているいくつかの画像処理を並列に処理 することで,次の読取りまでの待ち時間を短くした.こ れにより,スピーディーな処理を実現し,お客様がスト レスを感じることのない読取りを実現した.