16 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 要旨 岩田年浩教授が発表された「発想が広がる経済教育の発問」について,「発問」は,学習者が考える主題 と範囲,アイデアが伸長する方向を示唆するという点で,非常に重要である。これまで韓国経済教育学会で も経済教育における発問の重要性について注目した研究は多くなかった。岩田教授が指摘した通り,経済教 育で「何を教えるか」に劣らず,「どのように教えるか」も重要な質問である。「発問」はこの両者を接続す ることができる媒介体である。最近,韓国では「能力(Competency)」教育を強調している。金景模教授 の発表資料でも韓国の 2015 改訂教育課程からコアコンピテンシーを目指していると説明されている。2015 改訂教育課程は,社会の変化と国家社会のニーズを反映しており,創意融合的人材を養成することを目的と している。
キーワード:発問,PCK(Pedagogical Content Knowledge),2015 改訂教育課程,コアコンピテンシー
今回の大阪教育大学で開催される 34 回日本経済教 育学会で議論をする機会を頂き,有難うございます。 日本と韓国の経済教育学会の国際交流では両国の学術 雰囲気を感じ,両学会が経済教育で追求する共通点と 相違点を発見し,多くのことを学ぶようにします。 岩田年浩教授が発表された「発想が広がる経済教育 の発問」について,まずお話したいと思います。「発 問」は,学習者が考える主題と範囲,アイデアが伸長 する方向を示唆するという点で,非常に重要です。こ れまで韓国経済教育学会でも経済教育における発問の 重要性について注目した研究は多くなかったです。 岩田教授が指摘した通り,経済教育で「何を教える か」に劣らず,「どのように教えるか」も重要な質問 です。「発問」はこの両者を接続することができる媒 介体だと思います。「発問」を介して,まず何を教え るかを選択することができます。岩田教授が事例とし て提示された GDP を教える時も,「GDP に非合法な 経済活動の成果も含まれているか?」,「GDP が増加 するのは,日本の国の歴史的選択とどのような関係に あるか?」,「GDP とマクロ経済を動かす他の要素は, どのように関連しているか?」などのように,様々な コンテンツを扱うことができます。教える内容の選択 は発問を介して行われます。ところが,このように多 様な GDP と関連した「発問」は,学習者の関心,学 習レベル,学習経験などを考慮して行われるようにな ります。この点で発問は「どのように教えるか?」と いう問題と自然に接続します。経済教育の PCK はこ の点に注目するものです。 PCK は「Pedagogical Con-tent Knowledge」の略で,学生の関心,経験,言語 的なレベル等を考慮して,内容を再構成して教える知 識です。専門性を追求する教科教育や教師教育では, 内 容 の 知 識 CK(Content Knowledge) に 劣 ら ず, PCK(Pedagogical Content Knowledge)に注目して います。学生が経済学習で持っている経験の範囲,そ れらの経済知識の発達程度(GDP に対する考え違い を含む)等を積極的に考慮して,経済学習を設計する ことです。将来の経済教育の方向は,学習者への適切 な学習に悩んでいる Pedagogy 側にもう少し注目する 必要があると思います。このような点で岩田教授が経 済教育における発問の重要性を強調された今日の発表
基調講演に対するコメント
Economic EducationThe Journal of No.38, September, 2019Comments on keynote speeches
Park, Youngserk
経済教育38号 17 は,意味を有していると思います。 最近,韓国では「能力(Competency)」教育を強 調しています。金景模教授の発表資料でも韓国の 2015 改訂教育課程からコアコンピテンシーを目指し ていると説明されています。 2015改訂教育課程は,社 会の変化と国家社会のニーズを反映しており,創意融 合的人材を養成することを目的としています。特に, 社会科では,5 つのコアコンピテンシーである「批判 的思考と創造性」,「問題解決と意思決定力」,「自己尊 重と対人関係能力」,「共同体的能力」,「統合的思考 力」を強調しています。金景模教授も,様々な経済的 市民性を有意義に具現し得る内容は,経済学の概念や 原理ではなく,学生の日常の経済生活の経験が反映し ている実際の経済問題と述べました。そして,参加と 実践中心の経済教育を提示しました。当然のことなが ら,学生の日常の経済生活が反映した教育のためには, 彼らと近くにいる教師の役割が重要です。 学生のコアコンピテンシーを育て,実際の経済問題 への理解力を刺激し,成長させるためには,経済を教 える教師の意図が込められた「発問」が重要です。 「発問」は教師と生徒のコミュニケーションが行われ る窓口として経済教育において,非常に意味があると 思います。これは岩田教授が言われた「経済教育の面 で教員が教育対象の学生の特性と生活世界の変化に注 目する必要がある」という指摘と通じます。今後,コ ンテンツ中心の経済教育に止まるのではなく,学習者 が生活世界を理解し,設計するのに役立つ経済教育へ の転換を模索してみることが必要だと考えます。