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機会費用の教え方に関する一考察

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Academic year: 2021

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要旨  本稿は,昨年(2017 年)の全国研究大会(富山大学)での報告「機会費用の教育性─再々考」で受けた 質問,「機会費用理解の難しさの源泉は分かったし,その教育性は分かったが,学生や生徒はなかなか理解 してくれない。実際にどのように機会費用を教えたら良いか適当な事例を紹介して欲しい」という問いに応 えるもので,アメリカの経済教育団体の Econedlink の教材の分類と教え方を考察したものである。 キーワード:経済教育,機会費用,基本概念

Ⅰ.機会費用不要論および拡張危惧論を紹

介する

 本稿をまとめているなかで,市野泰和氏による「機 会費用は重要な概念か?」を読む機会を得た1)。また, 宮尾尊弘氏から前回の報告でのサムエルソンのジグザ グに関しての示唆を得た2)。本論に入る前にまず,二 人の機会費用に関する論考,および情報を紹介してお きたい。 1.市野泰和氏の論考を紹介する  市野氏の「機会費用は重要な概念か?」は次のよう な構成の論文である。  まず,1 の「はじめに」で,報告者も取り上げたこ とのあるロバートフランクによる経済学者ですら機会 費用を理解していないという「無料のコンサートを手 に入れたときの機会費用問題」をとりあげる。  2 の「機会費用が指す二つのもの」で,機会費用の 二つの定義を紹介し,それを数式で提示し,機会費用 を厳密に定義して使うなら放棄費用部分だけを意味す る方が良いとする。  3 の「機会費用が出てくる三つの箇所」では,教科 書の冒頭部分,生産可能性曲線の傾きが機会費用であ るという説明の箇所,企業の生産にかかる費用を説明 する箇所,の 3 カ所に機会費用が登場することを指摘 し,それぞれを価値関数で定式化して,その意味を解 いてゆく。  結論としては,「機会費用が重要であるとされてい る選択問題はすべて,選択肢の集合が正しく認識され ていれば,機会費用や潜在的費用なしでやってゆけ る」。ただし,「機会費用という用語がここまで定着し ている現在」,経済学から機会費用という用語をさっ ぱり消した方がよいかというとそれはできない。従っ て「機会費用という概念の重要性を強調することを 徐々にやめてゆくことを提案する」というのが市野氏 の主張である。いわば機会費用概念の安楽死を主張し ているといっても良いだろう。  市野氏の論証はかなりの説得力があると思う。ただ し,論証部分以外のいくつかの点で違和感が残る。  一つは,市野論文には,機会費用が新古典派経済学 (現在の主流派の中核部分)に組み込まれた背景に関 する分析がないことである。つまり,オーストリア生 まれの概念が主流派に吸収され基本的経済概念になっ た理由まで踏み込んでいない不満が残る点である。  二点目は,機会費用が定着しているという部分への 違和感である。テキストで登場しているからといって, 定着しているとはとても言えない現実が冒頭のアメリ カの機会費用の理解の混乱であり,これまで山岡道男 氏を中心とした経済教育グループが継続して行ってき

機会費用の教え方に

関する一考察

─テーマと教え方から─

The Journal of Economic Education No.38, September, 2019

A study on how to teach opportunity cost: From the viewpoint of theme and teaching method

ARAI, Akira

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た理解力テストの結果でもある。  三点目は,二点目とは逆の指摘となるが,機会費用 が経済学で生かされているケースへの視野の広がりが ない点である。事例にあげた三カ所以外も機会費用を 扱う部分はあるはずである。例えば,比較生産費説の 箇所では,機会費用が使われている。また,逸失利益 の考え方,フリーランチはないという基本的な考え方, さらに,主婦労働などのシャドーワークの計算には機 会費用概念を使っての経済計算が行われている。その ようなひろがりまで考えると,ミクロ経済学のテキス トで機会費用を使わずに同じものが論証できたとして も,機会費用概念の有効性はあるのではなかろうか。 2.宮尾尊弘氏の示唆を紹介する  宮尾尊弘氏は,サムエルソンに MIT 大学院で教え をうけたエコノミストである。前回の報告に関して, サムエルソンがなぜ機会費用概念採用をストレートに 入れなかったのか,生前それに関して聞いたことが あったかと問い合わせをしたところ,その回答をいた だいた。  サムエルソンから機会費用に関して何かを聞いたか 否かという点では,大学院レベルの講義では登場しな かったという。また,生産可能性曲線の箇所での機会 費用の扱いに関しては,サムエルソンがここで機会費 用を使わなかったのは理解出来るとする。それは, 「生産可能性曲線はあくもでも生産の可能性(つまり 技術的に可能性な選択肢の全体)をトレード・オフの 関係として描いたものに過ぎず,まだ最適な生産点を 選択する前の段階だから」であること。それに対して 「機会費用は選択の後に最適な選択の点を説明する一 方法だから」という説明をされている。そして「最適 な選択点をどう説明するかはいくつかのアプローチが 考えられ,連続的な選択可能な曲線などの図を使うア プローチは,どちらかというと非連続な概念である機 会費用に触れない方が議論を混乱させないであろうと いう配慮」からではないかと指摘されている。この点 は,市野氏が生産可能性曲線の箇所で問題にしたこと と共通の理解を示していると言えよう。  さらに,例えば,機会費用をあまり広義に適用しす ぎると,それを選ばなかったら得られるであろう選択 肢はいくつもあるので,どれを取れば機会費用になる かのかが曖昧になり,最初の選択が最適かという限界 主義的なアプローチの本質を見失う可能性があるとい う警告も発している。  宮尾氏の警告を研究概念としての機会費用に対する ものとすれば,基本的経済概念として中高レベルでの 機会費用の適切な教え方,教材とは何かは依然として 問われなければならないだろう。それを,本稿では, アメリカの経済教育の事例を手がかりに考えてみたい。

Ⅱ.アメリカの実践事例の紹介とその分析

1.基本概念としての機会費用の活用事例  昨年の報告でも触れたが,アメリカの経済教育では 機会費用は,基本的経済概念の一つとされていて, K-12 の全体で教えられている。その全体像は,“Vol-untary NATIONAL CONTENT STANDRDS in Eco-nomics”にまとめられている。機会費用は単独では なく,standard 1 の希少性の中にくみこまれているが, 希少性,選択,トレード・オフ,機会費用と一連の学 習が経済の授業の冒頭におかれているという意味では, 早くからマスターが必要な重要概念として扱われてい る。  そこでは,幼稚園から低学年の K ~ 4 年からはじま り,小学校高学年から中学までの 5 ~ 8 年生,さらに 中学高学年から高校までの9~12年生まで一貫して機 会費用が教えられ,機会費用を使った経済の授業が目 指されている3)。それを一覧表にすると次のようにな る。 2.Econedlink における教材  このスタンダードをもとに,全米各地の教員が教材 開発をした成果の一部が CEE の関連団体が運営する Econedlink というウエッブに掲載されている4)。そこ では K-12 までの機会費用を含む領域の授業案が 170 あまり掲載されている。  それを,重複を除外して整理するとおおよそ 18 の 分野に大別される(表 2)。ここでは,各分野の典型 教材と考えられるものを抽出して掲載する。*学年区 分はスタンダードとは異なる  その内容を分類すると,小学校低学年では生活の中 での選択事例や物語を通して扱うことが圧倒的に多い。 それとともに,早くも,意思決定の方法のなかで機会 費用の考え方を教えている(①~③)。  小学校中学年から中学にかけては,日常の事例に加 えて社会問題が登場する。それも身近な地域の事例か らはじまり,地理や歴史へと展開する。その外延的展 開の教材のなかで機会費用を登場させる(④~⑦)。 歴史の授業では,様々な歴史的事件の意思決定場面に

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表 1 〈スタンダート 1〉  到達目標 理解すべき項目 理解事項の活用 選択がなされるときには,常になにかをあきらめなければ ならない。 4 つのおもちゃの中から 1 つを選び,何をあきらめたかについて説明する。 選択の機会費用とは,あきらめた次善の選択肢から得られ たはずの価値のことである。 その機会選択が必要な状況を想定し,そのなかから 1 つを決定し,費用を明らかにする。  8 学年終了までには,4 学年までの理解に加えて…(5-8) 選択には,1 つの選択機会に期待される利益と,次善の選 択機会に期待される利益との間のトレード・オフが含まれ る。 ステレオを買う時には,どのような基準で選択するか決定 する。いくつかの中から,1 つのステレオを選んだ際のト レード・オフを明らかにする。 人々の行う選択は,現在と将来の結果に影響を及ぼす。 期末テストに向けて準備をしないことを選んだ場合の結果 を分析し,いつその結果があらわれるかについて述べる。 選択と機会費用の評価は主観的なものである。その評価は, 個人間や社会間で異なる。 クラス全体に影響が及ぶような問題の解決策を各自で検討し,その機会費用を明らかにする。各自の解決策を比較し, なぜ解決策と機会費用がそれぞれの生徒で異なるかについ て説明する。  12 学年終了までには,4 学年,8 学年までの理解に加えて,(9-12) 個人,企業,政府の役人が行う選択は,しばしば長期的に は意図しない結果を生み,当初のもたらした結果を,部分 的にあるいは全く無にすることもある。 高校 3 年生が学期中に週 20 時間アルバイトをしようと決定 すると,その生徒の生涯所得を減少させる可能性が出てく る理由について説明する。 表 2  分野 学年*タイトル 主な学習内容 ①意思決定の方法 3-5 ダイナミックな意思決定 PACED 意思決定モデルを使って意思決定の方法を学習する低学年向けの教材 ②生活の中の意思決定 K-23-5 完璧なペット ペットショップで犬が欲しい女の子が一匹しか購入ができない制約のなかでどのように選ぶかを考えさせる教材。 ③物語を使った教材 K-23-5 街のねずみ・田舎のねずみ有名な街のねずみ・田舎のねずみを使って,それぞれの意思決定の内容とその時の機会費用を考えさせる教材。 ④地域学習の教材 3-5 ハワイの経済学 小学校低学年の地域学習のなかでハワイの経済的な特質を知り,そのメリットと問題を考えさせる学習。 ⑤歴史的事件の教材 K-23-5 ボストン茶会事件 ボストン茶会事件でお茶の値段が高くなったら,何を飲むかということから機会費用を考えさせる。 ⑥地理と関連したもの 6-8 エッフェル塔に登りますか パリにバーチャルツアーをして,そこでの行動を経済的に振り返らせる学習教材。 ⑦交通問題の教材 9-12 交通革命の歴史6-8 アメリカ史のなかで交通革命を年代順にたどる中でその意思決定に関わる機会費用を考えさせる学習。 ⑧起業家教育の教材 3-56-8 おばあちゃんのスタンド レモネードスタンドをやっている子どもの絵から,スタンドを始める動機,経営方法などから機会費用を学ぶ教材。 ⑨消費者問題と関連 9-12 クレジットカードを使う6-8 クレジットカード仕組みとその使い方を学ぶ教材。 ⑩環境問題の教材 6-8 三峡ダム建設を考える 中国の三峡ダム建設を素材として費用・便益分析でそのプロジェクトの問題を考えさせる学習教材。 ⑪エネルギー問題教材 9-12 エネルギーセーバーになる 省エネルギーの問題を「省エネルギーゲーム」を手がかりにして代替エネルギー導入のコストを考えさせる学習。 ⑫投資決定の経済学 9-12 タイミングがすべてだ 貯蓄と投資の関係をインセンティブ,機会費用の概念を使って計算をさせながら学習する教材。 ⑬貿易に関する教材 9-12 比較優位を学ぶ プロバスケットプレーヤーのルブロンジェームズが自分で芝を刈るべきかという問いからはじめて貿易問題まで学ぶ学習教材。 ⑭公共投資関連教材 9-12 連邦予算を考える 連邦予算の何を増やし,何を削るかを考えさせる中で政策決定の機会費用を考えさせる学習教材。 ⑮選挙の経済学 9-12 公共選択の問題 選挙での投票に関してライカー・オードシュックモデルで投票行動を分析させる教材。 ⑯進学の経済学 9-12 大学進学のコスト 大学進学に関わるコストとベネフィットを機会費用で分析,決定させる学習教材。 ⑰ミクロ経済学で扱う 9-12 生産可能性曲線 生産可能性曲線に関するビデオを見せて,ワークシードに作業をさせて,希少性や機会費用を学習する。 ⑱行動経済学関連 9-12 機会費用を考える マシュマロを食べないでという映像を見せて我慢する難しさを実感させ,投資のメリットとその機会費用を考えさせる教材。

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機会費用を登場させ,注目させる例(ボストン茶会事 件,南北戦争の開戦,鉄道などの交通問題)も目に付 く。ここでは取り上げていないが,経済学習を経済現 象にとどめずに数学など具体事例のなかから概念を抽 出させて,それを活用させるという方式も目に付く。 現代的課題としてサイバーセキュリティ問題に関して 機会費用を絡めて学習させる教材が低学年から始まっ ている。  中学高学年から高校では,小学校高学年から始まっ ている消費者問題や起業家教育の学習で機会費用を加 味した教材が出てくる(⑧,⑨)。環境やエネルギー 問題でも機会費用を考えさせる(⑩,⑪)。さらにひ ろげて高等学校段階では,安全保障を含む公共政策の 財政支出,投資か貯蓄かの選択,貿易政策での機会費 用などが登場する(⑫~⑭)。大学進学の費用問題も 数多く登場している(⑯)。また,選挙の経済学など 政治との関連で扱う事例も登場し,ストレートに生産 可能曲線を使って機会費用を厳密に定義するような大 学での授業と同じような授業例も出てくる(⑮,⑰)。 近年注目されている行動経済学で機会費用を考えさせ る教材も登場する(⑱)。その意味では,アメリカの 教材は CEE の Standard に即して,重ね塗りのように 手を変え品をかえて K-12 で何度も登場させているこ とがわかる。  Standard 1の中学年で扱うことが指示されていた機 会費用の主観性に気づき,それを社会的意思決定場面 でいかに合意にもってゆくかという内容の教材は,数 は少ないながら登場している。典型的な教材としては, ⑭でとりあげた国防予算にどれだけの金額を支払うか を探る授業である。  この授業は,大砲かバターかの選択からはじまり, 各種の資料,データをもとに国防の機会費用が何であ るかを申告させ,そのうえでどの程度の国防費に予算 を割くかを考えさせる構成になっている。最終的に合 意を目指してはおらず,そう考えた根拠を示してレ ポートを書くことで終了している。  この種の公共政策に関する教材には,社会保障問題, 特にメディケアなどの健康保険の在り方を扱った教材 など多くの事例がある。これらの授業プランでは費 用・便益分析が使われているのだが,そこで機会費用 の主観性を持ち出して問題を考察させるものは少なく, それだけ主観性の問題から合意を目指すことを授業に 組み込むことは難しいのであろう。 3.授業方法  アメリカの授業案ではゲーム的な導入教材を使うも のが多く,外部団体の提供する既存の教材と組み合わ せて行う事例も多い。ネット教材なども積極的に活用 されている。また,グループ学習を行わせることが圧 倒的で講義スタイルでの授業案はほとんど見られない。 講義があったとしても,映像とセットであり,その解 説をするというものであり,日本でこれまでよく見ら れた talk and chalk スタイルのものは少ない。

Ⅲ.機会費用を教える際の注意事項

1.機会費用の定義に関して  機会費用概念が教えづらい,理解しづらい理由は定 義が二つあるためである。アメリカのように二つの選 択肢に絞って機会費用を考える場合は単純であり,だ からこそ幼稚園レベルからそれを考えるさせることが できるのである。ところが,大学レベルで初めて登場 する時には,放棄部分を機会費用とするか会計費用部 分も含めて経済的費用を機会費用として定義するか, まずそこからはじめなければならない。概念としての 明確な定義とその普及が必要になる所以である。  この点に関して言えば,冒頭で紹介した市野氏の考 察ではどちらでも同じであるという。それであるなら ば,単純な機会費用=放棄費用分で押し切る方がその 普及に関しては市野氏の主張とは逆に役立つであろう。 2.機会費用の主観性に関して  加えて,機会費用の主観性に注意しなければならな いところがある。オーストリア学派の費用概念は主観 性を特徴とする。機会費用概念は,アメリカでも早い 段階で主観的であることを気づかせるように注意をし ている。このような機会費用の主観性理解を日本の文 脈でどう取り入れるか難問であるが,中学校の意思決 定場面での対立と合意,効率と公正を使った事例など から拡張することがヒントになろう。  その際,一番教材として生徒に取り組ませたいのは いわゆるNIMBY問題である。これはNot in my back-yard の頭文字をとったもので,「我が家の裏庭にはい やだよ」という総論賛成,各論反対の問題である。例 えば,ゴミ処理場などの迷惑施設をどこに建設するか などの問題がそれにあたる。  この種の問題での機会費用は,それぞれ立場によっ て違う。それをいかに合意にもってゆくか,そこでの

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議論,合意形成への道を考えさせるなかで概念の利用, それをもちいた費用・便益の計算,その上での議論と いう流れの取組みができるであろう。 3.一見やさしそうな教材に関して  なお,低学年で機会費用を童話や物語から易しく説 くというやり方には注意を払った方が良い。アメリカ の教材でも取り上げられている「三匹の子豚」でいえ ば,誰を中心に考えるか,また,何を比較の対象とす るかでかなり複雑な操作が必要になる。特に,比較の 対象が三つ以上になったときの扱いはかなりの慎重さ が必要である。三財モデルでの考え方の難しさは,他 稿で扱っているので,それを参照していただきたい5)

Ⅳ.おわりに

 本稿は,経済教育学会の自由研究発表用に準備した 発表原稿を大幅に縮小,整理したものである。ここで とりあげた事例の詳細は紙数の関係で個々に分析紹介 できないので,註にあげたウェブ上の頁から検索,参 照していただきたい。また,本稿では,機会費用その ものの教え方よりは,機会費用概念を組み入れた教材 紹介になってしまっている。教えづらいが重要である 概念をどう使うか,それとも無駄だからやめてしまう かさらに検討が必要であろう。今後もさらに機会を得 て探究したいと考えている。 註 1) 市野泰和「機会費用は重要な概念か?」『甲南経済学論 集』甲南大学経済学会,第 58 巻(1・2 号),2017,27-56 頁 。なお,市野論文に関しては,淺野忠克「機会費用概 念をめぐる最近の議論」『アジア太平洋討究』早稲田大学 アジア太平洋研究センター,第 35 号,2019,243-253 頁 にその紹介も含めた近年の機会費用の教育を巡る論争が 紹介されている。 2) 新井明「機会費用の教育性・再再考」『経済教育』No.37 経済教育学会,2018,104-108 頁。及び,新井明「機会費 用の受容と定着に関する一考察」『アジア太平洋討究』第 35 号,2019,188-202 頁参照。 3) 『経済学習のスタンダード 20』消費者教育支援センター, 17 ~ 21 頁参照。 4) これらの教材は, https://www.econedlink.org/ に掲載さ れている。 5) 「三匹の子ぶたから機会費用を教える」『経済教育ネット ワークメルマガ』79 号,80 号,2015 にその顛末が書かれ ている。http://www.econ-edu.net/reference/newsletter. html 参照。

表 1 〈スタンダート 1〉  到達目標 理解すべき項目 理解事項の活用 選択がなされるときには,常になにかをあきらめなければ ならない。 4 つのおもちゃの中から 1 つを選び,何をあきらめたかについて説明する。 選択の機会費用とは,あきらめた次善の選択肢から得られ たはずの価値のことである。 その機会選択が必要な状況を想定し,そのなかから 1 つを決定し,費用を明らかにする。  8 学年終了までには,4 学年までの理解に加えて…(5-8) 選択には,1 つの選択機会に期待される利益と,次善の選 択機会に

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