Title
チオヒドロキザム酸の金属キレートに関する研究(
Abstract_要旨 )
Author(s)
永田, 耕一
Citation
Kyoto University (京都大学)
Issue Date
1964-09-29
URL
http://hdl.handle.net/2433/211366
Right
Type
Thesis or Dissertation
Textversion
none
氏) 永 な が 学 位 の 種 類 薬
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博田
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186
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い ち士
学 位 記 番 号 論 \薬 -一博 .A.第1 2
号 学位授与の 日付昭 和
,39 年 9月
2 9 日 学位授与oj要件 学 位 規 則 第5
粂 第2
項 該 当
学 位 論 文 題 目 チオ ヒ ドロキザ ム酸の金 属 キ レー トに 関す る研 究 (主 査 ) 論 文 調 査 委 員 教 授 宇 野 豊 三 ′教 授 富 田 真 雄 教 授 大 崎 健 次 論 文 内 容 の 要 旨ヒ ドロキザ ム酸 ( Ⅰ) が F e3十と赤色 キレー トを形成す ることはよ く知 られてお りF eiglがSpot test
に利用 して以来 その呈色反応を用いた分析的応用 に関す る報告 はきわめて多数 にのぼ っている。 一方 これ に対応す る硫黄化合物のチオ ヒドロキザ ム酸
(Ⅱ)
については, 二, 三 の合成 に関す る報告があるにとど ま り, いまだその錯塩化学的研究はほとんどなされてい ない。 .金属イオンに配位 してキレ- 1・を形成 し得 る原子 と しては普通窒素, 酸素, 硫黄 の三原子があるが前二 者 に比較 して硫黄を含む化合物はその リガン ドが不安定な場合が多 く, したが って合成 にもやや困難な点 があ りその研究が遅れているものと思 われ る。 しか しなが ら錯塩化学的見地か らすれば, 配位原子 として の酸素 と硫黄の効果を比較検討す ることはきわめて興味あることであり, この ことはまた広 く有機試薬 の 開発や生体 内における硫黄化合物の代謝機構の解明などにも寄与 し得 るものと思 われ る。 著者はこれ らの見地 に立 って新合成法 により, チオ ヒ ドロキザ ム酸 を合成 し, その金属塩の構造や錯塩 化学的挙動 について ヒドロキザ ム酸 のそれ と比較検討 したのであるが, その研究過程を通 じてチオ ヒドロ キザ ム酸 自体 の化学的挙動を も一層明 らかにす ることが出来 た。 以下本研究 において得 られた知見 を要約 して列挙す る。、 R - CくoN H_ 。 H -R - C く
NO H _ 。 H R - CくsNH~。 H - R - CくNSH I 。 H ( I a) ( I b )(Ⅱa)
(Ⅱb)
(i)_ チオン酸 エステル (Ⅱ) とヒドロキシル アミンよりナ ト1) ウム塩 と してチオ ヒ ドロキザ ム酸 を単離 す る新合成法を検討 し, その結果 これまで不安定で得 られなか った脂肪族化合物を含む19
種 のチオ ヒドロ キザ ム酸を合成 した。 また ヒドロキシル ア ミンの代 りにメ t.オキジア ミンを用い ることによ って 0 -メチ ルチオ ヒドロキザ ム酸 のナ トl) ウム塩を得 た. チオン酸 エステルの代 りにジチオ酸 エステル (Ⅳ) も用い られ, 硫黄原子 と立体障害をす る置換基を痔 - 445つチオ ヒ ドロキザ ム酸 は硫黄 を解離 し易 く不安定であることなどを明 らか に した。 氏- C く.sR ′ (Ⅱ) 氏- C くssR ′ (Ⅳ) N H 20 H N H 20 C H
3
-
氏- Cく器. aH-
R - C霊 芝ac H, (2) ヒ ドロキザ ム酸 は固体, 溶液 のいずれ において もケ 十型 ( Ia) と して存在す ることが知 られてい るが, チオ ヒ ドロキザ ム酸 は固体 と してチオン型 (Ⅱb ), 液体 または溶液 と してチオン (Ⅱb) - チオール (Ⅱa) の互変異性体 と して存在す ることを明 らか に し, 赤外吸収スペ ク トル における主要 な吸収帯を帰属 した。 0 - メチルチオ ヒ ドロキザ ム酸 (Ⅴ) はいずれの状態 において もチオール型 (V a) と して存在す る。 またチオ ヒ ドロキザ ム酸 の解離定数を測定 しH am m et 別 の成立 をみ とめ ると共 に, ヒ ドロキザ ム酸 よ り著 しく 氏- Cく : 芸。 H3 - R I Cく 三H 。 。 H3 強い酸であることを知 った。 (V a) (V b ) (3) チオ ヒ ドロキザ ム酸 の誘導体 を系統 的 に合成 して, それ ら誘導体 の構造 について検討 した。 その結 果 アルキル化 は段 階的 に起 きるが, その置換順序 は ヒ ドロキザ ム酸 の場合 と異 なること, モノベンゾイル 体穏 不安定で存在 しない こと, ジスル フ ィド体 のジスル フ ィド結合 はアルカ リによ って切れ易 い ことを知 るとともにチオ ヒ ドロキザ ム酸 の水溶液中 における反応型 はチオール型 (Ila) であることを明 らか に し たQ またジスル フィ ド体 のジアシル化物が容易 に転移反応 を起 こす ことを見 出 し, その機構が ヒドロキザ ム酸 におけるL ossen 転移 と同様であることを示 した。 (4) チオ ヒ ドロキザ ム酸 およびその誘導体 の金属イオンとの反応性 を検討 し, その反応 には メルカ プ ト 基が関与 し, オキシム基 の プロ トンは関与 しない こと, チ オ ヒ ドロキザ ム酸 は F e3+,
U O 22+,
V O 2+, T i4+ と鋭敏 な呈色反応 または呈色沈殿を生 じC u2+ 塩を作 るなどその性質 は ヒ ドロキザ ム酸 によ く似 て お り, 一般 の メルカ プ fl基を持つ試薬 とは著 しく異な っていることを明 らか に した。 その色調 は, ヒ ドP キザ ム酸 の場合 よ りいずれ も深色的である。 (5) チ オ ヒ ドロキザ ム酸 の金属塩を単離 してその組成, 物理的性質 を検討 した。 有機溶媒 に対す る溶解 皮, アルカ 1) 溶液中における安定性, 紫外可視吸収スペ ク トル, N i2+ 塩 の帯磁率, P d2+ 塩 の異性体 の存 在 などよ り遷移金属 はキレー ト構造を持つ ことを推定 した. (6) チオ ヒ ドロキザ ム酸 の金属塩およびその重水素化物 の赤外吸収スペ ク Tlルをチオ ヒ ドロキザ ム酸誘 導体 のそれ と比較検討 し, これ らの塩がオキシム基を持つ ことを明 らか に し, キレ- Tlの形成 によ ってオ キシム基 に関す る吸収 の中, C - N 基 および O H 基 の伸縮振動が底波数 に移行す ることを示 した。(7)
チオ ヒ ドロキザ ム酸金属 キレー トの溶液中 における反応性を検討 し, そのオキシム基 の メチル化 に際 しては金属イオンが解離 され るが, Ni2+, P d2+ キレー トは冷時 アルカ リ中でベ ンゾイル化 され ることを知 った。 これは金属 キレー トがそのキレー ト環 を保持 したまま, 1) ガン ド が化学的反応 を示 した きわめてまれな興味ある知見 であ った。 この 0 -ベ ンゾイルチオ ヒ ドロキザ ム酸 の N i2+ キレ- t・の帯磁率, 赤外吸収スo
§ C /C 6H 5 R\C- S\/ O
S Ntl
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し き、 l ノC - 0 C6H5 (Ⅵ)ベ ク トル に関す る知見 に基づ いて (Ⅵ) の
S-0
配位5 員環 キレ- 1-構造 を推定 した。 (8) チオ ヒ ドロキザ ム酸 の金属塩の転移反応 を, チオ ヒ ドロキザ ム酸誘導体 のそれ と比較検討 し, その オキシム基 の立体 的配向はいずれ も硫黄原子 に対 して Syn - である ことを明 らか に した。 N i∑+ 塩 に限 り 転移反応を起 こ しに くいのはそのキレー ト環 が安定 なためであると結論 した. (9) 以上(4)~(7) の知見 に基づいてチオ ヒ ドロキザ ム酸 の金属 キレー トの構造 と して (Ⅶ) の S -0 配位 5員環構造を推定 し (Ⅷ) の S-N 配位4員環 キレー ト構造 はほとんど考え られない ことを結論 し, ヒ ド ロキザ ム酸 の金属 キレー トの構造 (Ⅸ) との差を明 らか に した。 R- C く三二芸二H (Ⅶ) R I Cく
三〉M ′n (Ⅷ ) 氏- C くNO
HI
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Sn
(Ⅸ) 1 0 H (但 しM は金属イオンを n はその原子価 を示す)(10
) チオ ヒ ドロキザ ム酸 のF e3+ キレー トは水溶液中 において リガン ド :F e3' の比が 3 : 1 と2 : 1の 二型があ りその色調が異 なることを明 らか に し, 前者はp H 5 - 6 で過剰 の リガン ドの存在下 に安定 とな り, 後者 は p H 2以下 で過剰 の F e3十 の存在 によ って安定である ことを知 り, 折紙電気泳動 による検討結 果 に基づ いて, それぞれ (Ⅹ), (Xl
) の構造を推定 した。 S/ R
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〔 (Ⅹ) H ・0 \♂C
\RR- C
R _ C / StF -I 、、、 / 鞠N - 0 ・--- q -土フ q - N また p H 5 - 6において過剰 の リガン ドの存在下で F e2+ は F e3十と同様 の呈色反応 を示すが, これ は F e2十 が空気酸化を うけることに起 因す るもので F e3+ キレー トが安定である ことによ って酸化が著 しく 促進 され ることを明 らか に した。(ll
) 上記 の知見 に基づいて F e3+ によるチオ ヒ ドロキザ ム酸 およびアセ ナチオ ヒ ド ロキ ザ ム酸 によ る F e の比色定量法を検討 し, 2- 20γ/m l のF e または 4- 40×10~ 4M のチオ ヒ ドロキザ ム酸 を ♂- 土1.5 % 以下で定 量出来 る操作法を定 めた。 また 2 :1F e3+ キレー トの安定度定数を測定 しそれが p H 2以下 に おいて もきわめて安定で F e3十 の解離が起 こりに くい ことを知 った。 (12) メルカ ブ ナ基 とオキシム基 の問 に配位す る金属 キレ- Tlは, このチオ ヒ ドロキザ ム酸 が最初 の化合 物である。 この意味か らさ らに (Ⅶ),(ⅩⅡ),(ⅩⅣ) のよ うな化合物の合成研究を行ない得 られた化合物 に ついてその金属イオンとの反応性をチオ ヒ ドロキザ ム酸 のそれ と比較 し, キレー ト環 の大 きさの効果 およ び これ ら化合物 の有機試薬 と しての可能性を検討 した。 その結果, これ らの 化 合 物 の F e3+,
T i4+, U O 22+,
V O 2+ に対す る反応性 はチオ ヒ ドロキザ ム酸 と全 く異 な り一般 の メルカ ブ ナ基 を持つ試薬 と同様 であることを知 り, これ らイオンに対す るチオ ヒドロキザ ム酸 の特殊性 は, チオ ヒ ドロキザ ム酸 に特有 のもので メルカ プ ト基 とオキシム基 の間 に配位す る ことによ って一般 的 に起 こるものではない ことを明 らか に した 。 R