第3章
調査結果から得られた
横断的事故様態
主な農業機械による事故様態は、前章のとおりであるが、今回の3年間の調査を通じて、
機種は異なるものの、同様な事故と考えられる事例が存在している。
3年間の調査を通じて、初めて「共通項」とおぼしきものに出会う事例があった。
ここでは、それらの事例について以下に、「Ⅰ・機械」、「Ⅱ・人」、「Ⅲ・環境」に関わ
る事故様態について報告する。
Ⅰ.機械に関わる事故様態
1.坂道駐車
坂道にトラクターや軽トラを駐車し、「これくらいの傾斜なら自然に動くことは無いだ
ろう」と思って駐車していて、坂道を下りだして、慌てて、飛び乗ったり、また人力で押
しとどめようとした事故事例が報告されている。
NO.1~3はトラクターが坂道でサイドブレーキをしっかりかけてなくて動き出したもの
NO 性別 年齢 年 月 日 時間 事故状況 主要な原因 提案・改善策 医療情報 傷病名 入 通 院 1 1 58 2 0 1 1 5 14 12 代かきを終えて乗用トラ クターから降りて作業 中、突然トラクターが動 き出したので、止めよう と飛び乗ったが、危ない と判断し、飛び降りたと き受傷 トラクターのサ イドブレーキが しっかり掛けて なかった。 借用機械であ り、サイドブ レーキの位置が 自分のものと違 う。統一が必 要。 昼頃の事故、夕 方になって痛 み、病院受診 右肩打撲 通 2 1 55 2 0 1 0 10 31 8 トラクターで代かき作業 を終了し、トラクターの 圃場から乗り入れ口に出 し、車輪の補助のツメを 収納していた時、トラク ターが動き出し車輪に轢 かれた。 傾斜場に止めた トラクターが動 き出したので、 止めようとして 轢かれた。 停車の時はサイ ドブレーキを徹 底する。 生産組合の消防 職員が病院へ通 報。自車で受 診、翌日再診、 入院 左肋骨4 本ヒビ 入 3 1 76 2 0 1 1 5 傾斜18度の場所で軽ト ラックを下り坂の方向 に、ギアをニュートラル に入れたまま、サイド レーキのみで駐車。駐車 後、軽トラの後の獣害防 止のゲートを閉めていた ら、強い風が吹いてき て、かつ砂利道の路面も 雨で濡れていたためか、 軽トラが無人のまま、下 りだし、滑落 ・ギアをバック に入れておらず ニュートラルで 坂道駐車をして いた、車止めを していなかっ た。 坂道駐車の基本 を守る、急坂で は、坂に対して 直角駐車、また は車止めを使う なし - 4 2 69 2 0 1 1 7 22 15 田の水回り中、草刈りを しようと、トラックをと め、畦の草の様子を見に 行った時、自車サイドブ レーキをかけ忘れ、動き 出したトラックを止めよ うとして、下敷になり、 土手に墜落。身動きが取 れず、たまたま溝には まって、約1時間半後に発 見た目には、そ んなに急傾斜で はない場所であ るが、少し先に は平地があった ので、そこに停 車すれば良かっ た。またサイド ブレーキをかけ ていなかった。 平地に止める、 またサイドブ レーキをかける 癖をつけている 事故後、約1時間 半後、180m先の 自宅2階より異 変発見。消防署 に連絡。救急 車、工作車、消 防車、パトカーが来 て救出。安静の ため、1日入 院。 左肋骨軟 骨損傷 左大腿打 撲 入表7-1 坂道駐車
である。またギアは、坂道の反対方向に入れておくべきところを入れて無かった。
NO.4は、駐車していた軽のワゴン車が動きだし、慌てて運転席に飛び乗ろうとしたが、
そのまま押され、溝に横転し、その上からワゴン車が横倒しに倒れ、身動きが取れず、事
故発生から1時間半後に発見され救出された事例である。
以下、一覧表の中から図により事例を紹介する。
<表7-1・N0.1事例>
2.農機の車への積み降ろし
農機の車への積み降ろしでも大きな事故が起こっている。耕耘機、田植機、コンバイン、
管理機、自走式草刈機等である。
耕耘機は、「軽い」との意識があり、不十分な乗せ方・降ろし方をすることで一気に桟
橋を滑り落ちたり、桟橋に足を引っかけて事故となっている。また、「軽い」との意識か
ら、人力で一気に軽トラなどに乗せようとして腰を痛めたりしている。
木製の桟橋を使うこともあるのであるが、トラック等に引っかける部分は、単に「置く
だけ」のことが多く、桟橋が外れない工夫が必要である。
また、乗用の田植機を降ろす際にも桟橋から脱輪し、大きな事故につながる事例が報告
されている。1事例では、周りにいた人が「危ない!」と叫んだので、危機一髪飛び降り
て事なきを得た。とにかく、管理機や田植機は高床であり、重心が上にあり、わずかなぶ
れも、大きく傾く原因となるので、介助者がついての作業が必要である。
桟橋は、トラック部分に引っかけるフックに加重が大きくかかる。桟橋全体は、「まだ
トラクターは7m下の川に落下
借用したトラクターで代かき後、坂道にハローを上げたまま、駐車。自分では、駐
車ブレーキを引いたつもり。(実際にはかかっていなかった) 動き出したので、飛
び乗って、サイドブレーキを引いたが止まらなかった(自分のトラクターと逆方向)。
まだ使える」と思っていても、肝心のフックの部分が先行的に脆弱化することは十分考え
られる。今回の事故事例でも、「見た目の桟橋」はそんなに古いとは思われなかったが、
フックの部分が脆弱化していて外れた可能性のある事例が報告されている。
このように1点に集中的に加重がかかる用具等については、その部分を新しいものに取
り替えることができる構造のものを考えてもいいのではないか、と考えられる。
ところで、事例NO.7は、バックホーをトラックに乗せる際、自前で鉄の角材を組み合わ
せて桟橋を作り、アームを伸ばしながら、バックで昇っていたとき、次のアームの位置を
替えるため、アームを浮かした途端、バックホーもろとも用水に転落、その際両足首を切
断した事例である。本来の桟橋ではなく、滑りやすく、代用品で間に合わせたために起こ
った事故である。
しかし、この方の場合、とりあえずバックホーの使い方の正規の講習は受けていたが、
必ずしも、トラックに積み込み作業のやり方が十分教育されていたとは言えず、販売者側
は販売のみならず、使い方の講習も義務化することが必要と考えられた。
NO 性 別 年 齢 年 月 日 時 間 事故状況 主要な原因 提案・改善策 医療情報 傷病名 入 通 院 1 1 80 2 0 1 1 6 下旬 10 畑に持って行こうと軽ト ラックに簡易の管理機を手 で持ち上げて乗せようとし て、腰を痛めた。 桟橋を使わずに 自力で持ち上げ た。 25kg以上の重量 物運搬の注意喚 起 3日間自宅休養、 その後リハビリ 通院、その後8日 間入院 腰椎椎 間板ヘ ルニア 1 2 1 84 2 0 1 0 10 7 11 トラックから耕耘機を降ろ す際、機械と一緒に転落 降ろすとき ニュートラルに なっていたの で、惰性で落 下。 基本操作の講習 受講が重要 息子が病院搬 送、すぐに高次 医療機関に転送 左橈骨 遠位端 骨折・ 顔面挫 滅創 通 3 1 40 2 0 0 0 9 17 トラックにかけた歩み板を コンバインで上がっている 途中で、歩み板が外れてコ ンバインが傾き、コンバイ ンは傾いたまま、トラック に引っかかっていたが、運 転者は、投げ出された 歩み板の爪が頻 回につかったた め、摩耗してお り、自由量のあ るコンバインの 荷重で、外れた ・リモコン操作 で、歩み板の出 る搬送用トラッ クを購入 ・歩み板は全国 で使われている が、このトラッ クに引っかける 部分の強度が、 必ずしも十分で はないと考えら れ、摩耗や荷重 等の開発試験を 行い、使用の安 全基準(耐用年 数、荷重、メン テナンスなど) を作成する事が 必要 軽い打 撲程度 で、治 療なし - 4 1 61 2 0 1 0 5 10 12 軽トラックから乗用型の4 条の田植え機を降ろしてい るときに、歩み板から前輪 が脱輪して落ちかけた。周 囲にいた人が前輪が外れそ うになるのをたまたま気が ついてくれ、大声で「落ち るぞ」と叫んでくれたの で、ハンドルを修正して降 りたので、大事には至らな かった 一人でトラック に農業機械を積 み降ろし作業を しており、車幅 と歩み板の設置 の適正な位置を 十分確認せず に、田植機を降 ろそうとした ・農業機械の積 み降ろしは、小 型・大型問わ ず、確認作業が 必要 ・スケールを手 元にもってい て、歩み板が、 車輪のセンター にきているかの 確認をする なし -表7-2① 農機の車への積み降ろし
NO 性別 年齢 年 月 日 時間 事故状況 主要な原因 提案・改善策 医療情報 傷病名 入 通 院 5 1 73 2 0 0 7 4 7 12 通路が3°の傾斜があったた め、クラッチを入れたら動 き出したので、バックギア が入っていると勘違いし、 思いっきり手前に引いた ら、ニュートラルだったた め、管理機ごと転落した。 通路が3°の傾斜 があったため、 クラッチを入れ たら動き出した ので、バックギ アが入っている と勘違いした。 「指さし確認」 をする。ギアが バックに入った ら警告音がなる などの工夫が必 要。 翌日(日)自分 で運転して病院 を受診、火曜日 に整形外科受 診、コルセット 処方。 第2腰椎 骨折 通 6 1 76 2 0 0 2 5 30 9 トラックに積んだ田植機に 乗り、荷台からかけたあゆ みを伝ってバックで降ろす 際、片方のあゆみがずれた 拍子に両方のあゆみがはず れた。運転手は慌てて飛び 降り倒れた。その後エンジ ンのかかったままの田植機 に轢かれた。 鉄製のあゆみの 引っかけ部分が 少なくずれやす くなっていた。 フックのついた あゆみに取替 え、トラックの 荷台にも引っか け部分を取り付 けた。 携帯電話をもっ ていて、救急車 の手配も自分で 行い、その後家 族にも電話し た。 左大腿 骨骨折 入 7 1 63 1 9 9 6 4 9 8 水田の整備終了後、翌日 バックホーを2トラックに積 んで運搬しようとして、鉄 の角材で自分でつくった桟 橋を登ろうとした。キャタ ピラが少しずれたので、修 正しようとアームを伸ばし 地面から上がったとき、 バックホーが滑り落ち、機 械もろとも横の川に転落し た。その際、両足首が挟ま れ引きちぎられた。両足首 切断。 バックホーを車 に乗せて移動す ることは初めて であった。乗せ るための桟橋も 自分で作成した ため、規格に 則ったものでは なく、機械がず れないような工 夫もなかった。 バックホーその ものの使用説明 はあっても、ト ラックに載せる ときの注意点な どについて研修 できる機会が少 ない。検討が必 要である。 救急車を呼ん だ。救出まで3時 間かかった。現 在は義足をし て、日常的な作 業をしている。 両足首 切断 入院10 か月 入 8 1 67 2 0 1 2 8 11 7 大豆の中耕後、管理機を台 車に乗せようとして、台車 から前左車輪が外れ、横 転。本人は約5mの土手下 に投げ出され足首捻挫。管 理機は約28m下の川原に 墜落した。 雨が降り、管理 機を台車に乗せ るとき、滑っ た。 しっかりと直角 に台車に乗せ る。台車の縁周 りはもう少し高 いものに改善す る必要がある。 シートベルトを していたら、命 はなかったと本 人の弁。残りの 作業をしてから 午後受診。MRIを 撮ったが骨折、 靱帯の損傷はな かった。左足が ぽんぽんに腫れ た。腫れが引き 痛みが取れるの に2ヶ月を要し た。 足首打 撲・捻 挫 通 9 1 64 2 0 1 3 9 10 15 軽トラックに管理機を固定 し、桟橋を降りるとき、つ ま先が桟橋の桟に引っかか り、たたらを踏むようにし て下まで落ちた。 サンダルを履い ていた。靴を履 く必要があっ た。 ちょっとのとき でもしっかりと した服装で望む ことが大切。 その日は我慢し て、翌日他の病 気の受診日で あったので、紹 介してもらい受 診 右足首 捻挫 通 10 1 44 2 0 1 3 4 23 8 エンドウ畑の除草をしよう として、自走式草刈機を軽 トラックから、橋板を使っ て下ろすとき、橋板がずれ たので直そうとハンドルを 持ち上げて、手を伸ばした とき、ハンドルが頭上を直 撃、切創。 他の機械の積み 降ろしでは、ア ルミ製のものを 使うのだが、こ の草刈機は、車 輪が滑り止めの スパイクがつい ているので、木 製のものを使用 したが、軽トラ 側が高くなり、 ずれやすかっ た。 軽トラ側に出っ 張りを解消する ような部材の設 置、また、橋板 の地面側に地面 に突き刺さるよ うな構造など、 さまざまな工夫 改善が必要と考 えられた。 脳震盪を起こし た訳でも無かっ たが、手を頭部 に当てたら血が べっとりとつい た。すぐに病院 行った。レント ゲンも撮らず、 消毒とガーゼだ けで縫合せず。 その後特に問題 はない。 頭部切 創 通
表7-2② 農機の車への積み降ろし
<表7-2②・NO.6事例>
3.農機の大型化、拡大する死角で起こる事故
農業機械が大型化するにつれて、オペレーターの側からは、確認できない死角が拡大し
ている。特に、コンバインはもともとバックに大きな死角があったのであるが、キャビン
付き、あるいはグレーンタンクの大型化により、後方は全面的に死角となっている。さら
に、前面であっても、刈刃の近くは刈り取り部の大型化で人が入り込んだりすると、人そ
のものを轢くことになる。
NO.1の事例は、3m幅の農道を走行中、コンバインが道路からはみ出して横転した事例
である。コンバインの車幅もほぼ同様のコンバインである。大型のものは全面刈りとなっ
ていて、刈り取り部の幅よりクローラーの幅が狭く、クローラーの位置が確認しづらい。
感覚で「このあたりだろう」の運転をすることが多い。なんらかの形で、クローラの位置
が運転席から確認できる方法がないものであろうか。
これが、前進ではなくバックとなると、全く「直感勝負」となる。また、補助者からも
外目でクローラーの最後部を確認することが困難である。
NO.2は、補助者の誘導に従って、圃場の隅ギリギリまで「もうちょっとバック、もうち
ょっとバック」して、ついには畦を乗り越えて、2m下にコンバインが仰向けにひっくり
返った事例である。幸い、転倒直前にオペレーターは飛び降り怪我はなかった。
このように誘導者でも、後部のクローラの位置が確認しづらい。
NO.5は、サトウキビコンバインがやはりバックして、畦畔を乗り越えて転落した事例で
ある。いつもは相方が誘導するのであるが、ちょうどその時、相方は満杯になったサトウ
キビを搬送中でいなかった時の事故である。
①ガタッ
!
あゆみ
板外れ
る
フックほと んどなし②飛び降り、伏せる
③田植機落下
バックで田植機を降ろそうとして、ほとんどフックの無いあゆみ板がはず
れ、本人飛び降り伏せた、その上に田植機が落下して轢いていく。
NO.4、6、7は、NO.2と同様、圃場の隅で、十分に旋回できる場所を確保した上で旋回す
ると、このような事故は防ぐことができる。作業方法の検討が必要である。
NO.8、9は、刈り取り終了後、昇降路をバックで昇っていて起こった事故である。また、
NO.3も同様にバック走行時の事故である。相方がいる場合は必ず誘導が必要である。相方
がいない場合は、運転席から降りて一度後方確認をすることが必要である。
NO.10は、コンバインで麦刈り中の事故である。いつもは補助者1人のところその日に
限り2人付いた。圃場には草が多く、刈刃、掻き上げ部に草が詰まり、補助者が両サイド
から草を除いていた。運転席からは、補助者の姿は死角となって見えていなかった。1人
の補助者が圃場を出たのを確認できたので、草取り作業は終了したと思い発進したところ、
もう一人の補助者が反対側に回り、刈刃付近の草取りをしていて、分からずにそのまま轢
いてしまった。
NO.11のサツマイモ掘り取り機での事故も、運転席からは補助者の手元が死角となって
いて見えず、補助者の行動が見えない。
このような場合は、お互いのコミニュケーションルールを設け、次の行動に移る前のお
互いの確認作業が必要である。
NO 性別 年齢 年 月 日 時間 事故状況 主要な原因 提案・改善策 医療情報 傷病名 入 通 院 1 1 58 2 0 0 6 8 29 16 コンバイン乗車中に直進 走行していて、進入路に 入るため、大回りをして 回転しようとしたら、コ ンバインが路肩からずれ て横転し、そのはずみで 乗車中の者が放り出さ れ、田んぼへ転落 コンバインは大型化し たが、道路幅は、昔の ままであり、ギリギリ であり、機械と環境の ミスマッチ 新規に入った機械につ いて、視覚の確認や、 目線で、キャタビラの 幅の確認等が必要 自分ですぐに医療機関 へ 手関節骨 折 通 2 1 72 1 9 8 0 9 10 11 その年に購入した2条コン バインで、圃場隅による ため、誘導者の合図に従 い、ギリギリまでバック していて、以前に崩れた 畦の所で、畦・路肩が崩 れ、前方が浮き上がり、 コンバインはそのまま仰 向けとなり、2m下の川 の縁に転落した。人は転 落寸前で飛び降りた。 ・手刈り部分をなるべ く減らしたく、なれな い機械で、ギリギリ バックしたため ・圃場の条件を十分把 握していなかった ・作業現場の事前確認 ・新しい機械の場合、 経験に頼らず、常に確 認 なし - 3 1 64 2 0 1 2 9 18 11 県道から水田の乗り入れ 口に入る時、水田を通り 越したのでバックで入ろ うとした。この時路肩を 踏み外してコンバインが 横転した。横転する時、 オペレーターは4m下の 水田に投げ飛ばされた。 バックの時左側をよく 確認しなかった。バッ クで傾いたので慌てて 前進、さらに傾いたの でバックをしたとき横 転した。エンジンをふ かして前進、後進をし ていた。 やわらかい圃場のとき はバックではいること があるが、バックを禁 止した。乗り入れ口で は補助者が誘導する 事故者が気がついた時 は自分で動けた。同僚 が直ぐに声をかけ、怪 我の状況を確認して、 念のために同僚の運転 で怪我から2時間後に 医院で診療を受ける。 右膝捻 挫、左胸 打撲、頸 椎軽いむ ち打ち症 通 4 1 64 2 0 1 2 10 14 14 水稲の収穫の際、コンバ インを旋回後進したが、 4mある法面から転落し た。幸いオペレーターは 放り出され軽傷ですん だ。 ・作業が遅れぎみで気 があせっていた。 安全確認の徹底 奥さんに連絡して病院 へ乗せてもらった。左 腕打撲と擦過傷 左手打 撲・擦り 傷 通 5 1 46 2 0 0 2 2 中 旬 午 前 中 サトウキビの収穫機= ハーベスタで刈り取り作 業中、バックしたとき後 ろが見えず、段差1m下の 道路に横倒しになるよう に転落。飛び出さなかっ たが、座席の右横にあっ た金属パイプに腰部を強 く打った。 後ろが見えないので、 誘導が必要であった。 たまたまペアを組んで いたオペレータが予備 の袋を持ちに行って不 在のときに起こった。 狭い畑に7mもある機 械が入るというミス マッチ。畑は左右・上 下に傾斜があり、横転 しやすい状況にあっ た。整地が必要な圃 場。 相手方のオペレータが 病院へ搬送。救急扱い で診療、レントゲン撮 影。とくに打撲以外は 異常なし。1回の受診 のみ 右腰部打 撲 通表7-3① 死角で起こった事故
NO 性 別 年 齢 年 月 日 時 間 事故状況 主要な原因 提案・改善策 医療情報 傷病名 入 通 院 6 1 48 2 0 1 1 9 27 10 自脱コンバインが枕地で の旋回中、畦畔から逸脱 して下の水田に転落 畦畔に寄りすぎてバッ クしてしまい、後方確 認しなかった。 作業委託するように し、トラクタ作業でも ほ場縁には近寄らな い。 近くで作業していた両 親が救急車を呼び、迅 速に病院に搬送でき た。 肋骨骨折 6箇所、 脊椎棘突 起骨折2 箇所、肝 臓圧迫 入 7 1 75 2 0 1 3 8 29 1 0 長さ83m×36mの3 0aの圃場、2条のヤン マーのコンバインで長い 方の83m側を刈り、次 いで36m側に曲がるた め、3度隅で刈り込ん だ。その後一周して、再 度、その隅に来たとき、 バックした際、バックし すぎて畦を乗り越え、用 水に横転。U字溝とコンバ インに右足をはさまれ た。コンバインは全壊で 廃棄。 隅刈りをしていて、コ ンバインをバックさせ すぎた。畦には草が繁 茂しており、圃場との 境が分かりにくかっ た。畦の高さも低かっ た。 コンバインの後ろは死 角になりやすい。隅刈 りが必要な最初の作業 時は誘導者が必要であ る。 緊急停止ボタンで止 め、右足は自力で抜い て脱出。昼間で籾の運 搬をし、午後整形外科 を受診。腓骨骨折と診 断。ギブス1.5ヶ月。 右脚腓骨 骨折 通 8 1 61 2 0 1 3 9 21 1 1 刈取り作業が終わり、コ ンバインをバックで農道 へ上がろうとしていたと き右へ傾き、前に出よう としたがスリップし、籾 を下ろして軽くして脱出 しようと考え、オーガー を右に旋回したとき横転 した。 傾斜度11~13度の乗入 口。水田が軟らかく キャタビラに泥がつき 滑りやすかった。 水田への乗りいれは誘 導員をつける。 右に横転する前に2m 下の畦に飛び降り怪我 はなかった。 無し - 9 1 63 2 0 1 3 9 20 14mの昇降路を4条刈りの コンバインでバックで上 がってきて、踊り場的な 場所で排出のためグレー ンタンクをのばした時、 10m崖下に墜落 キャタビラの1本が崖 との境目にあり、ホッ パーを谷側に回したと き、重心が大きく谷側 に寄ったためと考えら れる コンバインは死角が多 く、相方もおられた作 業で有り、誘導が必要 仲間が救急車を呼ぶ。 5運くらいで到着。工 作車、消防車バトカーが 来た。 事故直後意識なし。 頸椎骨 折、全身 打撲 入 10 1 72 2 0 1 1 6 4 1 4 麦刈り取り中、補助作業 者としてコンバイン前方 に詰まった草を取り除い ていた。コンバイン運転 席からは死角となり見え ず、オペレーターは草の 除去作業が終了したと思 い、コンバインを発進し てしまい轢かれてしまっ た。肋骨骨折。 普段、二人で行う作業 を補助に一人増やして3 人で行ったため、死角 の関係もあり、意思疎 通がうまくいかず、轢 いてしまった。 コンバインの死角の多 さが問題である。死角 域を少なくする補助ミ ラーの設置などを検討 する必要がある。ま た、コミュニケーショ ンルールの徹底も重要 である。 携帯電話ですぐに消防 署に連絡し、約10分く らいで救急車が到着し た。総合病院で治療。 1ヶ月入院後リハビリ をし順調に回復。後遺 症もない。 肋骨骨折 入 11 2 30 2 0 1 1 10 18 1 5 サツマイモ掘取機に補助 者として乗車、運転者が 収穫したサツマイモの バックを地上に降ろし、 バックをかける部分を戻 したとき、補助者がその 部分についている土を落 としていて、戻った機械 の間に挟まれ、右中指骨 折。 機械操縦者の位置から は、補助者の手元が見 えず、死角となってい た。 雇用している中国人 に、ある一定の時間事 前講習が必要である。 また、補助者の動きが 機械操縦者に見える構 造の機械開発も課題。 本人は、「大丈夫」と 言っていたが、表情が 青く、雇用主がすぐに 医院に連れて行き、レ ントゲンを撮っても らったところ、右中指 基節骨が骨折してお り、近くの総合病院を 紹介された手術。 現在、中指は十分に 反り返らないが、日常 活動に支障はない。 右中指骨 折 入
表7-3② 死角で起こった事故
<表7-3②・NO.6事例>
<表7-3②・NO.10事例>
オペレーターは、補助員
A
が道路にいるのを確認し、もう一人の補
助員
B
もコンバインを離れたと思い、発進し、下敷き。実際は、
C
の位置からオペレーターの死角を通って
D
の位置に移動
補助員Aが道路
にいるのを確認
補助員
B
が
C
からオペレーター
の死角を通って
D
の位置に
移動して草取りをしていた、
そのまま、補助者を轢いた。
C
D
4m
下
に
転
落
三角形の圃場の角刈り中、後進時に、畦を乗り越え4m下に墜落。落ちたときオペ
レーターは飛ばされ、コンバインの下敷きになることは無かった。打撲、擦過傷。
男性・64歳
<表7-3②・NO11.事例>
4.公道での事故
トラクター等は公道では低速車である。後続車両が追い越しをかけた時、たまたまトラ
クターが右折し追突事故が起こっている。NO.1、4、6のいずれも右折時に追い越しをかけ
てきた後続車との衝突事故である。
NO.2は、午後8時頃マニアスプレッダーが後ろから来た乗用車に追突された事例である。
マニアスプレッダーは、糞尿などで反射板が汚れやすく、夜間特に後続車が確認しづらい。
NO.3は、管理機が圃場内をスプレーヤーを広げて除草剤を散布していて、ついでに路肩
にも除草剤を散布しようと、スプレーヤーを道路端にかかるように伸ばしていたために、
走行してきた車がそのスプレーヤーにぶつかった事例である。少なくとも公道で作業する
際には、三角柱(コーン)や誘導者が立つことで防ぐことができた事故である。
NO.6は、トレーラを牽引したトラクターが右折時の事故であるが、トレーラーの長さな
どは後続車両からは確認できない。トレーラーの背面に、トレーラーとトラクターを連結
した図とその長さを示すイラストなどが掲示してあれば、少しでも事故は防ぐことができ
るのではなかろうか。
A
C
B
オペレーター(運転手)
A
は、補助員
B
,
C
を乗せてサツマイモを掘る。イモは①で
掘り取り、②のベルトコンベアを通り、③にある袋に入る。補助員はイモのツル等
を外す作業を行う。③の袋が一杯になると、後部を突き出し、袋を地面に降ろす。
その後、突き出た後部を戻す時、ベルトコンベアと戻った後部の間に土があり、そ
れを
C
の補助員が取ろうとして手を挟まれた。
A
からは
C
の手元が死角。
①
②
③
NO 性別 年齢 年 月 日 時間 事故状況 主要な原因 提案・改善策 医療情報 傷病名 入 通 院 1 1 54 2 0 1 1 12 22 14 マニュアスプレッダーを牽 引し、堆肥散布のため道路 走行中、右折時に後ろから 追い越してきた乗用車にト ラクター右側方後ろより追 突され、相手の車とトラク ターと共に大破。 公道を走ってい るマニュアスプ レッダーなどの 低速車を、後方 から来る普通乗 用車などが確認 できない。右折 の後方確認不 足。 道路交通法との 関連で、マニュ アスプレッダー を牽引してもい いような改正が 必要。同時に回 転灯、尾灯の整 備義務などの検 討。 10日経った後に 受診 右肩打 撲 通 2 1 56 1 9 9 9 9 27 20 マニュアスプレッダーに堆 肥を乗せて、公道を走行 中、緩い下り坂の所で、後 ろから来た、ビッツに追突 され、マニュアスプレッ ダーは、左ガードレール側 に横転、牽引していたトラ クターは右に横転、本人 は、左ガードレールを越え てはじき飛ばされる マニュアスプレッダーの 後部の反射板 は、糞で汚れて いて見えにく く、また緩い下 り坂で、トラク ターのライトも 下向きで後方か らは、見えにく い状態であった ケン引車両の尾 灯の設置など、 法的に処置も、 また、工事用の 三角柱などで、 「現在、ケン引 車走行中」の表 示、あるいは、 誘導車をつける などの工夫 しばらく気を 失った。事故の 相手方・乗用車 の運転手が救急 車を呼んで病院 搬送 全身打 撲、肋 骨骨 折、骨 盤骨折 入 3 1 50 2 0 1 1 8 18 16 乗用管理機で殺虫剤を散布 中、散布アームを路肩の草 にまで薬液がかかるように と路肩まで延ばしていて、 道路を走ってきた乗用車に 接触し、アーム部分を損 傷。道路幅は3.5mと狭く、 路肩の草丈も30cm程度あ り、アーム自身見えにく かったとも考えられる。 道路まで、管理 機のアームを伸 ばしていた アームを道路ま で伸ばす際は、 工事用の三角 柱・コーンなど を設置 人の怪我はなし なし -4 1 63 2 0 1 1 6 上旬 11 トラクタで代掻きを終え、 ドライブハローを広げたま ま、家に戻るため公道を走 行中、方向指示器を出して 右折するため反対車線に 入ったとき、後続車が追突 してきた。 ドライブハロー を折りたたまず 公道を走った。 他の仕事のこと を考えていて忘 れてしまった。 右折時に後方確 認をしなかっ た。右折指示器 の合図を追い越 していけのサイ ンと勘違いした ようだ。 事故後は後方確 認をしている。 とくに医療機関 にはかからな かった。 なし -5 1 44 2 0 0 3 4 19 19 春耕終了後、帰宅のためト ラクター(後方2本の安全 バー)で県道を走行中、時 速70kmくらいで走行してい た乗用車に追突された。ト ラクターはガードレールに 乗り上げ、本人は前方に投 げ出され、4m先の土手に激 突した。 追突した乗用車 運転手の前方不 注意 よく目立つ低速 走行中の表示灯 をトラクターに 装備する。 地元の消防団の 見回りの人が見 つけ、救急車を 呼んだ。本人は 意識不明だっ た。 頭部打 撲によ る硬膜 外血腫 入 6 1 60 2 0 1 2 10 8 13 トレーラをけん引した乗用 トラクタが飼料用トウモロ コシの収穫作業でサイロと 圃場を往復していた。サイ ロから圃場へ向かう際、見 通しの良い直線道路から道 路沿いの圃場に進入するた め右折しようとしたとこ ろ、後続車が猛スピードで 追い越しをかけて来たた め、急停止したが、後続車 がトラクタの右前輪に接触 した。 ・追い越しをか けた車両の運転 者が、先行車両 が複数台あった にもかかわら ず、追い越す法 令違反を犯し、 先行車両の全長 確認およびその 行動を予測する 対応を怠った。 ・遠回りになっ ても交通量の少 ない道を通るよ う指導徹底し た。 ・日頃から、朝 礼でその日の作 業についての安 全ポイントを周 知したり、声か けなどを行い、 安全意識の向上 を図っている。 なし なし