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り 遺留分が全く違う使い方になったのでした ことに近年は 日本人の平均寿命が男性 80 歳 女性 86 歳と延び 80 歳前後の人の死 亡 相続が多く発生していますが この世代の人は家督相続の時代の教育を受け その方々自身が家督相続した人達なので 未だに 跡取り息子の観念 や 長子一 子相続の考え方

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Academic year: 2021

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(1)

29.「遺言」と「遺留分」

と「遺留分減殺請求権」

(1)「遺言」と「遺留分」

(1)日本の民法では、人が死亡すると同時に相続が発生し、被相続人の財産はプラス財 産もマイナス財産も全てが法定相続人に相続されます(法的地位の承継)(第896 条)。 その相続人が複数居れば相続財産は共有(未分割共有)となります(第89 8条)。 未分割共有の状態は、その後の「遺産分割協議」で分割されて、個々の相 続人に帰属することになります(第907条)。 ① この時、「遺言書」に遺贈や相続分を定めれば、法定相続に優先して、遺言の内容 に従って遺産分割することになります(第964条)。 但し、遺言による相続分の指定は、遺留分に関する規定に違反することはできない (第902条1項但書、第964条但書)、とされています。 ② そして、

「遺言」の内容が、法定相続人の「遺留分」を侵害している場合は、遺留

分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び贈与の減殺を請求することができる、と

され、「遺留分減殺請求権」が保証されています

(第1031条)。 ③

「遺留分」とは、「遺言」によっても侵害されずに受け取ることができる法定相続

人の生活保障の為に定められた最低の相続分として法が保証したもの

です。 ・ 直系尊属のみの場合は被相続人の財産の1/3、兄弟姉妹以外の法定相続人は被相続 人の財産の1/2に相当する額を「遺留分」として受ける(民法第1028条)。 例えば、相続人が配偶者と2人の子供の場合、遺言書に「愛人に財産を全て相続さ せる」と書いてあった場合、子供は本来の相続分の1/2(遺産の1/4)を遺留分とし て減殺請求できます(子供1人当たりは1/2×1/2×1/2=遺産の1/8)(配偶者は1/ 2×1/2=遺産の1/4)。 (2)

遺留分制度の歴史と実情

・ 旧憲法・旧民法下では、相続財産はほとんど全てが長子1人に相続される「家督相 続の時代」「家の時代」でしたので、「遺言書」は家督相続人以外の者への贈与や 遺贈の為に書かれることが多かったのです。 そこで、「遺留分」は、家督相続人 である長子が、家産の分散を防ぐ為に、親が行った遺言による妾の子への遺贈や愛 人への生前贈与を遺留分減殺請求権を行使して取り返すと言う形で行使されること が多かったのです。 ・ しかし、現民法下は「個人の権利を平等に守るという諸子均分相続の時代」に変わ ったので、

法定相続人である子が、「遺言書」による不均等な遺産分けに対して、

均等公平な相続分を回復する手段として遺留分減殺請求件が利用されること

にな

(2)

り、遺留分が全く違う使い方になったのでした。 ・ ことに近年は、日本人の平均寿命が男性80歳・女性86歳と延び、80歳前後の人の死 亡・相続が多く発生していますが、この世代の人は家督相続の時代の教育を受け、 その方々自身が家督相続した人達なので、未だに「跡取り息子の観念」や「長子一 子相続の考え方」の人も多いのが現実です。 一方で相続を受ける側の子供達は、 新憲法・現民法の下で「個人の権利を平等に守るという諸子均分相続の時代」の教 育を受けた世代ですから、生前贈与や遺言で長男一子に被相続人の財産のほとんど を相続させようとする遺言や生前贈与が起きた時に、遺留分を侵害された次男・三 男からの「遺留分減殺請求」が頻発し、遺産相続の争いの基になっているのです。 ・ そこで、新憲法の個人主義・民主主義・自由主義の下では、「遺言は、被相続人の 財産処分の自由に基づき、遺産配分の最終意思として尊重されるべきもの」ですが、

「争いのない相続を目指す親」ならば、「子供達各人に、遺留分額に相当する財産

を相続させるようにする配慮が必要である」

と言えます。(「遺言状の上手な作り 方」参照) ・ 以下には、遺留分を侵害された法定相続人の遺留分減殺請求権の行使について述べ ます。

(2)遺留分及び遺留分侵害額の算定

(1)

遺留分算定の基礎となる総体的財産

について 遺言状や生前贈与で遺留分を侵害された法定相続人は、遺留分を侵害する範囲内で、 遺留分減殺請求権を行使できる、と規定されるが、その遺留分算定の下になる親の 相続財産の範囲、即ち、総体的相続財産の範囲はどこまでか、が問題になります。 以下に列挙します。 ① 総体的遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に、その贈与 した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する(第1029 条)。 ② 贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定により、その価額を算入 する(1030条①前段)。 ・ 1年以内かどうかは、履行時ではなく、贈与契約時です。 ③

当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした時は、1年前の

日より前にしたものについても(たとえ25年前に行った贈与でも)、その価額を算

入する

(1030条①後段)。 ・ 「損害を加えることを知って」とは、「法律を知っているか否かを問わず、客観的 に遺留分権利者に損害を加える事実関係を知ること」を要するが、「それより強い 加害の意思までは必要ない」とされている。

(3)

・ 例えば、23年間に亘って、跡取り息子とその妻と子供3人の家族5人に、贈与の無 税枠の110万づつを贈与し続けて(5人×110万×23年=1億2,650万)、相続開始時 までに相続財産のほとんど全てを譲ってしまい、わずかに残った財産(5,000万相 当)も遺言書で「全てを跡取り息子の家族5人に相続させる」とした場合、被相続 人の財産を全く相続できなかった他の3人の子供達は、遺留分を侵害されたことが 明らかなので、過去23年間に亘って繰り返された暦年贈与の全てを、遺留分算定の 総体的相続財産として計算することができることになります。 即ち、法定相続人である4人の子供達の内の遺産を相続できなかった3人それぞれ の個別的遺留分減殺請求額は、(1億2,650万+5,000万)×1/2×1/2×1/4=¥1,10 3万と言うことになります(正確には相続開始時の時価による財産評価によるが、 ここでは分かり易くする為に仮の概算としました)。 ④

共同相続人への生前贈与中、特別受益に該当するものは、1年以内又は加害の意思

に関わりなく、無条件で持ち戻し計算の対象に加えられる

(第903条1項、第1044条) (最判平成10・3・24)。 ・ 共同相続人の中に、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組の為、若しくは

「生計の資本として贈与を受けた者がある時は、被相続人が相続開始の時に有した

財産の価額に、その贈与の価額を加えた者を相続財産と見なす」

(第903条1項)。 ・ 「生計の資本としての贈与」とは、例えば、子供の自宅の土地建物、住宅ローンの 頭金500万、アパート建設時に敷地を無償提供した土地や頭金500万、企業創立時の 出資金1,000万、会社の事業資金を借りる為の無償の担保提供、店舗開始時の500万、 生活困窮時の生活費の援助5年間の仕送り(10万×12月×5年=\600万)、生活苦か らした借金の穴埋め300万、大学の入学金等々がそれに当たりますので、これらの 全てを算入できます。 ・ 尚、賭け事や遊興飲食費の為に借りた息子の借金の清算を親がした場合には、生計 の資本ではないので、これに当たらない、との判例があります。 ・ 「20年以上連れ添った配偶者への2,000万以下の贈与」(非課税)は、「共同相続人 の1人への特別利益に当たらない」と解されています。 長年連れ添った配偶者は、 他の一方の財産蓄積に対する寄与があるので、それは贈与ではなく、自分が寄与し た分を取り返す行為(財産分与)の意味が大きいからです。 ⑤

第1030条の要件を満たす限り、贈与と同視されるべき寄付行為、無償の信託利益の

供与、無償の債務免除、無償の人的物的担保の供与などの対象財産も遺留分算定の

対象財産に含まれる

。 共有持分放棄については、含ませる説が多い。 ⑥

遺留分算定の基礎となる相続財産の評価も

、被相続人の評価に従う必要はなく、鑑 定に寄るなどして

客観的基準に従って行われる

。 不動産の評価は、交換価値即ち

(4)

取引価格によることになります。 ⑦ 遺留分算定の為の相続財産評価の基準時は、遺留分の対象になる財産の範囲が定ま る相続開始時と解されている(最判昭和51・3・18)。 (2)

各遺留分権利者の個別的遺留分の額

総体的遺留分の額に当該遺留分権利者の個別的慰留分率を乗じて算出する。 当該相続人が特別利益を得ている場合は、その額を控除して算出される。 ・ 遺留分侵害額の算定 遺留分を有する共同相続人が被相続人から相続によって取得した純財産額が、その 個別的遺留分額に達しない時に、初めて遺留分の侵害があることになる。 ・ 遺留分侵害額=遺留分額ー当該相続人の特別受益額ー(当該相続人が相続によって得 た積極財産ー相続債務負担額)=遺留分額ー特別受益額ー相続によって得た積極財産 +相続債務負担額として算定される(最判平成8・11・26)。 (3)

遺留分減殺請求権の行使について

① 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前 条に規定する贈与の減殺を請求することができる(第1031条)。 ・ 例えば、23年間に亘って、跡取り息子とその妻と子供3人の家族5人に、贈与の無税 枠の110万づつを贈与し続けて(5人×110万×23年=1億2,650万)、更に、息子の 会社設立時に田畑を売ったお金を5,000万投資し、息子の事業資金借り入れの為に 自宅や山林を無償で担保提供し、その所有権も少しづつ暦年贈与し続けて、相続開 始時までに相続財産のほとんど全てを譲ってしまい、わずかに残った財産(5,000 万相当)も遺言書で「全てを跡取り息子の家族5人に相続させる」とした場合を考 えます。 被相続人の財産を全く相続できなかった他の3人の子供達は、遺留分を侵害され たことが明らかなので、過去23年間に亘って繰り返された暦年贈与の全てを、遺留 分算定の総体的相続財産として計算することができることになります。 即ち、法定相続人である4人の子供達の内の遺産を相続できなかった3人それぞれ の個別的遺留分減殺請求額は、(1億2,650万+5,000万+5,000万)×1/2×1/2× 1/4=¥1,415万と言うことになります(正確には相続開始時の時価による財産評価 によるが、ここでは分かり易くする為に仮の概算としました)。 ・ この場合、具体的個別の遺留分減殺請求は、まず相続時に残った財産の遺贈や相続 から始めて、それに足りない場合には順次時間的に新しい後の贈与から前の贈与の 順で減殺請求の対象としていくことになります。 ② 贈与は遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない(1033条)。 ③ 遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する(1034条)。 ④ 贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする(1035条)。 ⑤ 遺留分減殺請求は、侵害している者に対して、口頭でも良いのですが、消滅時効で ある相続開始又は、遺留分侵害の事実を知った時から1年以内に行った確かな証拠 を残す為に、通常「内容証明郵便」で送付します。

(5)

(4)遺留分減殺請求権の処分と消滅 減殺の請求権は、

遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があっ

たことを知った時から1年間行使しない時は、時効によって消滅し

(1043条前段) 、相続開始の時から10年を経過した時も同様とする(1043条後段)。 ① 遺留分減殺請求権は、1年間行使しない場合には時効によって消滅します。 法で保証された法定相続人の為の生活保証としての遺留分ですが、「親の意思を尊 重してそれでも良い」と考える子供や妻が、遺留分減殺請求権を行使しない場合に は、生前贈与や遺言通りの遺産相続になります。 ② また、遺留分に対する知識不足の為、遺留分減殺請求を1年以内に行使しない場合 にも、生前贈与や遺言通りの遺産相続になります。 ※ しかし、例えば前例のように、

生前贈与で相続時にはめぼしい財産がほとんど残っ

ていない場合には

、「残された財産だけではもう取り返しがつかない額なので、裁 判までして争うのは諦めてしまう人も多い」ことでしょう。 しかし、前例のような

「ずるいやり方で財産の1人取りをした場合には、遺留分減殺

の基礎になる総体的相続財産の計算額に30年前の贈与までも算入できること

を知れ ば、公平な相続分の取り返しができることになるでしょう。 (5)遺留分減殺請求の結果、遺言と異なる遺産分けになった場合、申告期限(相続開始 10ヶ月)以内の申告がしてあれば、それから3年以内に、分割が確定すれば、更生 請求して、遡って配偶者特例等の税額軽減や、納め過ぎの税金の還付を受けること ができます。 (6)今後の「遺言と遺留分」の問題は、個人主義・民主主義・自由主義の観点から、「諸 子均分相続」「残された老いた妻の扶養の問題」「中小企業の事業承継問題」等々 の解決も含めた「遺言の書き方」が益々重要になり、「遺留分減殺請求」の事例は 増えていくと予測できます。 そこで、「豊かな老後と争いのない相続」を目指して考えるべきことは何か、を探 し続けることが大事な使命である、と思います。 ・ 例えば、

「跡取り息子」にほとんどの財産を相続させる場合でも、「老いていく妻

の生活費として月額\15万のお金を支払うべきこと」と言うような文言が遺言書の

中にあれば、「自分に相続する分が多少少なくとも、外に出た子供達は、今後の母

親のことと家族の付き合いを考えて我慢できる」

のではないでしょうか。 家族はいろいろですので、その家族に合わせた、豊かな老後と争いのない相続のあ り方を生み出していくべきである、と考えます。(詳しくは「事業承継したい親子 の上手な相続対策」「遺言書の上手な作り方」参照)

(6)

(7)内容証明郵便による遺留分減殺請求のサンプル (内容証明は2枚必要です)

「 遺留分減殺請求書」

平成21年2月20日 A県B市5条1-1 山田一郎 殿 C県D市〇〇1-2-3 山田次郎(印) 一.被相続人である父山田太郎(大正6年9月1日生) は、平成20年8月10日に死亡し、相続が開始しまし た。 二.山田次郎(昭和12年1月9日生)は、被相続人山 田太郎の法定相続人であり、個別的な遺留分として、全 相続財産の12分の1の遺留分権があります。 三.山田次郎は、遺留分算定の基礎となる財産を金1億 円と把握しています。 四.被相続人である山田太郎の遺言及び生前贈与等によ って、山田次郎が実際に相続する額は金0円です。 これでは山田次郎が有する具体的な遺留分割合12分の 1に不足が生じる為、山田太郎が残した遺言及び生前贈 与等によってなされた、山田一郎への相続財産の移転は 、山田次郎の遺留分を侵害しております。 五.よって、山田次郎は、自己の遺留分を保全する為、 現に遺留分を侵害している山田一郎(昭和20年1月4 日生)に対し、不足する遺留分を返還するよう求めるも のです。 六.また、山田次郎は、法定相続人への遺言書の提示無 く遺言を執行した山田一郎に対して、遺言書と相続財産 の目録を提示することを請求します。 以 上 ① 遺留分減殺請求は、侵害している者に対して、口頭でも良いのですが、消滅時効で ある相続開始又は、遺留分侵害の事実を知った時から1年以内に行った確かな証拠 を残す為に、通常「内容証明郵便」で送付します。 ② 内容証明郵便は、ワープロでも手書きでも良いのですが、1枚に付き横書きの場合 は、26字・20行まで、13字・40行まで、縦書きの場合は、26字・20行までと言う字数 の制限があります。 料金は1枚に付き幾らとなっています。 ③ 後々の消滅時効の期限についてのトラブルにならない為には、相続開始から1年以 内に内容証明を出すことが無難なやり方です。 以上、遺留分減殺請求について述べましたが、これを行使しないでよい良い親子 兄弟関係が作れることが終局の理想です。 2010年2月1日 記

参照

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