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自己像と居場所感に関する研究 : 「本当の自分」と「仮面の自分」の観点から

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Academic year: 2021

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―「本当の自分」と「仮面の自分」の観点から―

A study on self-image and sense of Ibasho

― from viewpoints of ‟true self”and ‟mask self”―

富 永 幹 人・山 田 梨紗子

Mikihito Tominaga・Risako Yamada

Ⅰ 問題  不登校,引きこもりといった児童や青年に見られる 問題はもとより,成人や高齢者においても家庭や職場 における所在なさを語る際に「居場所のなさ」という 表現がしばしば用いられ,こうした問題への対応とし ての「居場所づくり」は,1990年代の不登校児童・生 徒に対する支援に端を発し,現在も多種多様な領域で 益々盛んに行われている。また,「居場所」について の心理学的研究も数多く見られ,精神的健康や学校適 応等との関連が示されてきており,「居場所」に対す る関心の高さがうかがわれる。  しかしながら,こうした「居場所」に関する実践報 告と,心理学および教育学領域における研究を概観し た西中(2014)は,実証的研究と「居場所づくり」の 実践の間には「居場所」や「居場所づくり」の捉え方 に隔たりがあることを指摘し,居場所に関する研究が 「居場所づくり」の実践にその成果を還元していくた めには,①心理的適応や学校適応といった個人の適応 レベルという視点からの居場所感の検討,②対象者が 「居場所がない」という感覚を持つ状況や原因の分析, ③「居場所づくり」を居場所感の促進と定義し,居場 所感の視点から効果の測定を行う実践研究の蓄積,④ 児童期および青年期における居場所感の違いに関する 実証的研究の 4 点が課題となるとしている。「居場所」 の概念は多義的であり,「居場所づくり」において対 象者に提供されるものにも多様性があることがこれま での研究からもうかがわれるが,これらは「居場所」 を必要とする当事者がどのような状況にあるのかに よって変わってくると考えられ,当事者の個人差を視 野に入れて「居場所」を検討することには意義がある と思われる。   「自己」あるいは「自分」と「居場所」との関係に ついて北山(2003)は,ウィニコットの理論に基づき ながら,「環境としての母親」によって「抱える環境」 である「居場所」が提供されることによって,幼児は「存 在の連続性」あるいは「いること」が保障され,自己 統合,心身統合,自己確立の基盤がもたらされ,その ような「居場所」が提供されないならば,自己は外傷 的な侵入を受け,危機として経験される,と述べてい る。まだ外界の刺激に傷つきやすく,自分の力で自立 して「いること」,自己のまとまりを維持することが 難しい幼児は,それを環境の力に依存するしかなく, 環境が幼児のニーズに応じ, 連続性をもって「居場所」 を提供することができるならば,幼児は本来の自己を 大きく損なうことなく居続けることができ,自己形成 の基盤となる。そして,環境が自己の発達の程度に応 じてほどよく「抱える環境」あるいは「居場所」を提 供することに失敗していくならば,それを契機に幼児 は「本当の自己」を守り, 外界に適応していくための 「偽りの自己」をほどよく発達させていくというプロ セスをたどり,「偽りの自己」が発達した後にも,芸 術や遊びを通して,「本当の自己」はその創造的な姿 を見せることができ,「偽りの自己」の社会適応的な 側面によって「本当の自己」では得ることのできない ような社会における居場所をもつことも可能となる。  妙木(2003)は,「心の居場所」は,安心・安定を 志向する心の軸と,興奮・リスクを志向する心の軸の 二軸の間にまたがる余裕,スペース,つまりは「遊び」 の中にあるとし,「心の『居場所がある』というのは,

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心が『そこにあって大丈夫だ』と思える場,心のスペー スをもつということ」であると述べている。そのよう に,人は自立に向かうほどに,自らの心の中に遊びが 可能な余裕,スペースをもつことができるようになり, それを「居場所」とし,物理的にはある程度はどのよ うな場でも「居場所がない」とならずにいられる方向 に成長していくと考えられる。しかしながら,特にま だ自我の成長が十分でない段階では,実際の環境に よってほどよく抱えられ,提供してもらうことによっ て,「居場所」を得ることが可能になると言える。  ところが,特に自我が未成熟な段階で環境がこの よ う な ほ ど よ さ に 欠 け, 幼 児 の 自 己 の 連 続 性 が 維 持 さ れ ず, 幼 児 か ら す る と「 本 当 の 自 己 」 を 脅 か すような外傷的な侵襲が生じるならば,「本当の自 己 」 を 守 る た め に「 偽 り の 自 己 」 は 極 端 な 形 成 の 仕方を余儀なくされ,「本当の自己」と「偽りの自 己」との間に深刻な分裂が生じる。その場合,この 外傷的な侵襲に対する反応であるところの極端な落 ち着きのなさや集中困難等が見られ,創造的な「本 当の自己」が顔を見せるはずの遊びや芸術のよう な文化的な生活は貧困なものにしかならなくなっ て し ま い, 上述の妙木が述べるような「心の居場 所」を育んでいくことも困難になると思われる。  このように,環境から個人のもつニーズに即した 「居場所」を提供されることによって, 個人は「本 当の自己」を保ちながら,同時に「偽りの自己」も ほどよく発達させて外界に適応していくことが可能 に な る が, そ の 成 長 過 程 で「 本 当 の 自 己 」 と「 偽 りの自己」とが大きく乖離しているような状況に なっているならば,依然として外界の侵襲に怯える 心的状況にあり続けていると考えられる。「いるこ と 」 が 達 成 さ れ, そ の 場 が そ の 人 に と っ て「 居 場 所」となるためには,ある程度の環境への依存が成 立しなければならないが(北山,2003),「本当の自 己」と「偽りの自己」との隔たりが大きい場合には, このような怯えのために環境への依存を発展させるこ とが難しくなり,「本当の自己」と「偽りの自己」と の隔たりが小さい場合に比べ,場を提供されてもそれ を「居場所」とすることが難しくなると考えられる。 つまり,個人の自己のあり方がどのようなものになっ ているのかによって「居場所」の得られやすさは変化 し,個人の環境に対するニーズや,環境の側から個人 に対して提供すべきものも少しずつ変わってくると言 えるのではないだろうか。  以上より本研究では,本当の自己(「本当の自分」) と偽りの自己(「仮面の自分」),さらにこれら二つの 自己の関係のあり方に注目し,こうした自己像のあり 方の違いから居場所感に違いが生じるであろうと考 え,検討を試みることとする。 Ⅱ 方法 1 .調査時期・調査対象  2014年11月に女子大学生100名を対象に質問紙調査 を実施した。 2 .調査方法  授業時間を使って,集団での質問紙調査によって実 施された。論理的配慮として調査用紙には,データは 統計的に処理されるため個人が特定されることはない こと,調査結果を研究の目的以外に使用しないことを 明記し,無記名式で回答を求めた。 3 .調査内容 ( 1 )居場所感尺度  則定(2008)の青年版心理的居場所感尺度20項目を 修正して用いた。本尺度は「父親」「母親」といった 重要な他者について回答を求めるものだが、今回は「学 校場面」と「家庭場面」について回答を求めた。それ ぞれ「全く当てはまらない( 1 点)」~「非常に当て はまる( 5 点)」の 5 件法で回答を求めた。 ( 2 )「仮面の自分」と「本当の自分」について  高木(2002)の描画法を修正し, 「本当の自分」と「仮 面の自分」,並びに両者の関係性について回答を求め た。  ①「仮面の自分」であると感じるときについて 「あなたが,今このように振舞っているのは,本 当の自分ではないと感じるような,いわば自分が 『仮面』であるかのような感じを抱くのはどのよ うなときですか」という質問に対する自由記述を 求めた。  ②「本当の自分」であると感じるときについて 「あなたが,自分自身のことを,自分らしい自分 であると感じる,いわば『本当の自分』であるの

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はどのようなときですか」という質問に対する自 由記述を求めた。  ③描画課題について 教示は「下の円は,これまでお聞きしてきた『本 当の自分』を表すと考えてください。この『本当 の自分』に対して,『仮面の自分』はどこに位置 しますか,あるいはどのように表現できますか。 下の図に『仮面の自分』を描き加えてください」 とし,「本当の自分」に対する「仮面の自分」の 位置関係を図示してもらった。 Ⅲ 結果 1 .居場所感尺度の因子分析  調査では,学校場面と家庭場面について居場所感尺 度に回答を求めたが,場面によって居場所感の構造が 変化する可能性も考えられた。そこで,それぞれに因 子分析を行った。 ( 1 )学校場面についての居場所感尺度の因子分析  学校場面について回答を求めた居場所感尺度20項目 について因子分析(主因子法,プロマックス回転)を 行った。その結果,解釈可能性から 4 因子が抽出され た(Table 1)。回転前の固有値は,第 1 因子12.084, 第 2 因子1.806,第 3 因子1.299,第 4 因子 .776であった。  第 1 因子は「学校で、自分は頼りにされている」 「学校に対して、自分にしかできない役割がある」等 6 項目からなり,この因子は,学校場面において自分 にできることや役割があり,それによって自分が必要 とされていると感じ,拠り所となっている感覚を表し ていると解釈された。そこで,この因子は「役割感」 と命名された。  第 2 因子は「学校では、いつでも自分を受け入れて  ) ) ) ) ➨㻝ᅉᏊ䚷ᙺ๭ឤ Ꮫᰯ࡛ࠊ⮬ศࡣㄡ࠿ࡢᨭ࠼࡟࡞ࡗ࡚࠸ࡿ     Ꮫᰯ࡛ࠊ⮬ศࡣ㢗ࡾ࡟ࡉࢀ࡚࠸ࡿ     Ꮫᰯ࡛ࠊ⮬ศࡣㄡ࠿ࡢᙺ࡟❧ࡗ࡚࠸ࡿ     Ꮫᰯ࡟ᑐࡋ࡚ࠊ⮬ศ࡟ࡋ࠿࡛ࡁ࡞࠸ᙺ๭ࡀ࠶ࡿ     Ꮫᰯࡢࡓࡵ࡟࡛ࡁࡿࡇ࡜ࡀ࠶ࡿ     Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜ࠊ⮬ศࡢࡇ࡜ࢆࠊ࠿ࡅࡀ࠼ࡢ࡞࠸ே㛫࡞ࡢࡔ࡜ឤࡌࡿ     ➨ᅉᏊࠉ⿕ཷᐜឤ Ꮫᰯ࡛ࡣࠊ࠸ࡘ࡛ࡶ⮬ศࢆཷࡅධࢀ࡚ࡃࢀࡿ     Ꮫᰯ࡛ࠊ⮬ศࡣ኱ษ࡟ࡉࢀ࡚࠸ࡿ     Ꮫᰯ࡛⮬ศࡣ↓᮲௳࡟ཷࡅධࢀࡽࢀ࡚࠸ࡿ     Ꮫᰯ࡛ࠊ⮬ศࡣ↓᮲௳࡟ឡࡉࢀ࡚࠸ࡿ     Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜ࠊࡇࡇ࡟࠸࡚࠸࠸ࡢࡔ࡜ឤࡌࡿ     Ꮫᰯ࡛ࠊ⮬ศࡣᚲせ࡜ࡉࢀ࡚࠸ࡿ     ➨ᅉᏊࠉᏳᚰឤ Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜Ᏻᚰࡍࡿ     Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜ࠊ࣍ࢵ࡜ࡍࡿ     Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜ࠊᒃᚰᆅࡀ࠸࠸     Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜ࠊࡃࡘࢁࡆࡿ     ➨ᅉᏊࠉᮏ᮶ឤ Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜࠶ࡾࡢࡲࡲࡢ⮬ศ࡛࠸࠸ࡢࡔ࡜ឤࡌࡿ     Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜࠶ࡾࡢࡲࡲࡢ⮬ศࢆ⾲⌧࡛ࡁࡿ     Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜ࠊ⮬ศࡽࡋࡃ࠸ࡽࢀࡿ     Ꮫᰯ࡟࠸ࡿ࡜ࠊᚰ࠿ࡽἽ࠸ࡓࡾ➗ࡗࡓࡾ࡛ࡁࡿ     ࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉ)     ࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉ)     ࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉ)     ࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉ)     7 D E O H   ࠉ ᒃ ሙ ᡤ ឤ ᑻ ᗘ 㸦 Ꮫ ᰯ 㸧 ࡢ ᅉ Ꮚ ศ ᯒ ⤖ ᯝ 㸦 ࣉ ࣟ ࣐ ࢵ ࢡ ࢫ ᅇ ㌿ ᚋ 㸧Table 1 居場所感尺度(学校)の因子分析結果(プロマックス回転後)

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くれる」「学校で自分は無条件に受け入れられている」 等 6 項目からなり,この因子は,学校場面を自分が受 け入れられている場となっている感覚を表していると 解釈された。そこで,この因子は「被受容感」と命名 された。  第 3 因子は「学校にいると安心する」「学校にいると、 ホッとする」等 4 項目からなり,この因子は,学校場 面が安心感をもてる場であるという感覚を表している と解釈された。そこで,この因子は「安心感」と命名 された。  第 4 因子は「学校にいるとありのままの自分でいい のだと感じる」「学校にいるとありのままの自分を表 現できる」等 4 項目からなり,この因子は,学校場面 がありのままの自分でいられる場となっている感覚を 表していると解釈された。そこで,この因子は「本来 感」と命名された。 ( 2 )家庭場面についての居場所感尺度の因子分析  家庭場面について回答を求めた居場所感尺度20項目 について因子分析(主因子法,プロマックス回転)を 行った。その結果,解釈可能性から 4 因子が抽出され た(Table 2)。回転前の固有値は,第 1 因子12.084, 第 2 因子1.806,第 3 因子1.299,第 4 因子 .776であった。  第 1 因子は「家庭で、自分は家族の役に立っている」 「家庭に対して、自分にしかできない役割がある」等 7 項目からなり,この因子は,家庭場面において自分 にできること・役割があり,それによって自分が必要 とされていると感じ,拠り所となっている感覚を表し ていると解釈された。そこで,この因子は「役割感」 と命名された。  第 2 因子は「家庭にいると、くつろげる」「家庭に いるとホッとする」等 4 項目からなり,この因子は, 家庭場面が安心感をもてる場であるという感覚を表し  ) ) ) ) ➨㻝ᅉᏊ䚷ᙺ๭ឤ ᐙᗞ࡛ࠊ⮬ศࡣᐙ᪘ࡢᙺ࡟❧ࡗ࡚࠸ࡿ     ᐙᗞ࡛ࠊ⮬ศࡣᐙ᪘ࡢᨭ࠼࡟࡞ࡗ࡚࠸ࡿ     ᐙᗞ࡛ࠊ⮬ศࡣ㢗ࡾ࡟ࡉࢀ࡚࠸ࡿ     ᐙᗞ࡟ᑐࡋ࡚ࠊ⮬ศ࡟ࡋ࠿࡛ࡁ࡞࠸ᙺ๭ࡀ࠶ࡿ     ᐙᗞ࡛ࠊ⮬ศࡣᚲせ࡜ࡉࢀ࡚࠸ࡿ     ᐙᗞࡢࡓࡵ࡟࡛ࡁࡿࡇ࡜ࡀ࠶ࡿ     ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊ⮬ศࡢࡇ࡜ࢆࠊ࠿ࡅࡀ࠼ࡢ࡞࠸ே㛫ࡢࡔ࡜ឤࡌࡿ     ➨ᅉᏊࠉᏳᚰឤ ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊࡃࡘࢁࡆࡿ     ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜࣍ࢵ࡜ࡍࡿ     ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊᒃᚰᆅࡀ࠸࠸     ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊᏳᚰࡍࡿ     ➨ᅉᏊࠉᮏ᮶ឤ ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊ⮬ศࡽࡋࡃ࠸ࡽࢀࡿ     ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊᚰ࠿ࡽἽ࠸ࡓࡾ➗ࡗࡓࡾ࡛ࡁࡿ     ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊ࠶ࡾࡢࡲࡲࡢ⮬ศ࡛࠸࠸ࡢࡔ࡜ឤࡌࡿ     ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊ࠶ࡾࡢࡲࡲࡢ⮬ศࢆ⾲⌧࡛ࡁࡿ     ᐙᗞ࡟࠸ࡿ࡜ࠊࡇࡇ࡟࠸࡚࠸࠸ࡢࡔ࡜ឤࡌࡿ     ➨ᅉᏊࠉ⿕ཷᐜឤ ᐙᗞ࡛ࠊ⮬ศࡣ↓᮲௳࡟ཷࡅධࢀࡽࢀ࡚࠸ࡿ     ᐙᗞ࡛ࠊ⮬ศࡣ↓᮲௳࡟ឡࡉࢀ࡚࠸ࡿ     ᐙᗞ࡛ࡣࠊ࠸ࡘ࡛ࡶ⮬ศࢆཷࡅධࢀ࡚ࡃࢀࡿ     ᐙᗞ࡛⮬ศࡣ኱ษ࡟ࡉࢀ࡚࠸ࡿ     ࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉ)     ࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉ)     ࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉ)     ࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉ)     7 D E O H   ࠉ ᒃ ሙ ᡤ ឤ ᑻ ᗘ 㸦 ᐙ ᗞ 㸧 ࡢ ᅉ Ꮚ ศ ᯒ ⤖ ᯝ 㸦 ࣉ ࣟ ࣐ ࢵ ࢡ ࢫ ᅇ ㌿ ᚋ 㸧Table 2 居場所感尺度(家庭)の因子分析結果(プロマックス回転後)

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ていると解釈された。そこで,この因子は「安心感」 と命名された。  第 3 因子は「家庭にいると、自分らしくいられる」 「家庭にいると、心から泣いたり笑ったりできる」等 5 項目からなり,この因子は,家庭場面がありのまま の自分でいられる場となっている感覚を表していると 解釈された。そこで,この因子は「本来感」と命名さ れた。  第 4 因子は「家庭で、自分は無条件に受け入れられ ている」「家庭で、自分は無条件に愛されている」等 4 項目からなり,この因子は,家庭場面を自分が受け 入れられている場となっている感覚を表していると解 釈された。そこで,この因子は「被受容感」と命名さ れた。  これらの二つの因子分析の結果は,則定(2008)と ほぼ同様であったが,「自分は必要とされている」の 項目は,学校場面では「被受容感」因子にあるのに対 して家庭場面では「役割感」因子にあり,「ここにい ていいのだと感じる」の項目は,学校場面では「被受 容感」因子にあるのに対して家庭場面では「本来感」 因子にあるという違いが見られた。 2 .どのようなときに「仮面の自分」と感じるかにつ いての自由記述の分類   回 答 さ れ た 自 由 記 述 に つ い て,KJ 法(川喜田, 1967)を用いて分類を行った。その結果, 7 つのカテ ゴリーが得られた(Table 3)。 㸰㸬࡝ࡢࡼ࠺࡞࡜ࡁ࡟ࠕ௬㠃ࡢ⮬ศࠖ࡜ឤࡌࡿ࠿࡟ࡘ࠸࡚ࡢ⮬⏤グ㏙ࡢศ㢮  㸱㸬ࠕᮏᙜࡢ⮬ศࠖ࡜ឤࡌࡿ࡜ࡁ࡟ࡘ࠸࡚ࡢ⮬⏤グ㏙ࡢศ㢮 䐤௚⪅䛾ど⥺䜢Ẽ䛻䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䠄䠓䠅 䞉࿘ᅖ䛾㢦Ⰽ䜢ఛ䛔ヰ䛧䞉⾜ື䛩䜛䛸䛝 䞉௚⪅䛻ዲ䛛䜜䜘䛖䛸ᛮ䛳䛶䛔䜛䛸䛝 䞉௚⪅䛻᎘䜟䜜䛺䛔⾜ື䜢䛸䛳䛶䛔䜛䛸䛝 䞉ಙ㢗䛷䛝䜛ே䛜࿘ᅖ䛻䛔䛺䛔䛸䛝 䞉཭ே䛸ヰ䛧䛶䛔䛶ඹឤ䛷䛝䛺䛔䛸䛝䛾㏉஦䜢⪃䛘䛶䛔䜛䛸䛝 䞉⮬ศ䛾䛣䛸䜢ᐈほⓗ䛻ぢ䛶䛔䜛䛸䛝 䞉ྜ䜟䛺䛔ヰ䜢཭㐩ྠኈ䛷䛥䜜䛶䛔䜛䛸䛝䛻⪺䛔䛶䛔䜛⮬ศ 䐥䛭䛾ሙ䛻㛵୚䛧䛺䛔䞉䛷䛝䛺䛔 䛷䛔䜛䛸䛝䠄䠐䠅 䐡ᙺ๭䞉₇ᢏ䜢䛧䛶䛔䜛䛸䛝䠄㻞㻜䠅 䞉┠ୖ䛾ே䛸᥋䛩䜛䛸䛝䞉Ꮫᰯ䛾ඛ⏕䛸䛔䜛䛸䛝 䞉䜰䝹䝞䜲䝖䞉䜰䝹䝞䜲䝖䛷᥋ᐈ䛩䜛䛸䛝 䞉ᤵᴗ୰䛻ே๓䛾ពぢ䜢స䛳䛶䛧䜎䛖䛸䛝 䞉䜎䛨䜑䛺ヰ䛧䜢䛧䛶䛔䛶ពぢ䜢ồ䜑䜙䜜䜛䛸䛝 䐢ே䛾ヰ䛧䜔⾜ື䛻ྜ䜟䛫䜛䛸 䛝䠄㻝㻞䠅 䞉࿘ᅖ䜢Ẽ䛻䛧䛶✵Ẽ䜢ㄞ䜏䚸ྜ䜟䛫䛯⾜ື䜢䛧ྲྀ䜚⧋䛳䛶䛔䜛䛸䛝 䞉⮬ศ䛾ពぢ䜢㞃䛧䛶┦ᡭ䛻ྜ䜟䛫䜛䛸䛝 䞉⯆࿡䛾䛺䛔䛣䛸䛷䜒┦ᡭ䛾ែᗘ䞉㊃࿡䞉㊃ྥ䜢ྜ䜟䛫䜛䛸䛝 䞉཭ே䛸ヰ䛧䛶䛔䛶ศ䛛䜙䛺䛔䞉▱䜙䛺䛔ヰ㢟䜢ฟ䛥䜜䛯䛸䛝䛻ヰ䜢ྜ 䜟䛫䜛䛸䛝 䐣᎘䛺䛣䛸䞉᎘䛔䛺ே䛻ᑐ䛧䛶 ⮬ศ䜢ฟ䛫䛺䛔䛸䛝䠄㻝㻝䠅 䞉᎘䛔䛺ே䛸௰Ⰻ䛟䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉᎘䛔䛺┦ᡭ䛸ヰ䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉᎘䛔䛺ே䛻ᑐ䛧䛶ඃ䛧䛟᥋䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉᎘䛔䛺ே䛾๓䛷䛚ୡ㎡䜢䛔䛖䛸䛝 䞉᎘䛺䛣䛸䜢᎘䛸䛔䛘䛺䛔䛸䛝 ⾲䠍䚷 ⮬ศ䛾䛣䛸䜢䛂 ௬㠃䛾⮬ศ䛃 䛸ឤ䛨䜛䛸䛝䛾ศ㢮䜹䝔 䝂 䝸 䞊䚷 䠄 䜹䝑 䝁ෆ䛿ேᩘ䠈 䠪䠙䠍䠌䠌䚷 㔜」䛒䜚 䠅 䐟⮬ศ䛾ᛮ䛔䛻཯䛧䛯ែᗘ䜔ឤ ᝟䜢⾲䛻ฟ䛩䛸䛝䠄㻟㻝䠅 䞉↓⌮䛧䛶➗䛖䛸䛝䞉ឡ᝿➗䛔䜢䛩䜛䛸䛝䞉స䜚➗䛔䜢䛩䜛䛸䛝 䞉ᛣ䜚䜔ᝒ䛧䜏䜢ឤ䛨䛶䜒⣲᣺䜚䜢䜏䛫䛺䛔䛸䛝 䞉᎘䛺䛣䛸䜢䛥䜜䛶䜒➗㢦䛷チ䛩䛸䛝 䞉ᚰ䛸䛿㏫䛾⾜ື䞉⾲᝟䜢䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉ពぢ䛜䛒䜛䛾䛻ᡃ៏䜢䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉ே䛸ពぢ䛜␗䛺䛳䛶䜒⫯ᐃ䛩䜛䛸䛝 䞉ბ䜢䛴䛔䛶䛔䜛䛸䛝䠄䛔䛔ბ䞉ᝏ䛔ბ䛹䛱䜙䜒䠅 䐠័䜜䛺䛔䛣䛸䜢䛩䜛䛸䛝䠄㻞㻟䠅 䞉ึᑐ㠃䛾ே䛸ヰ䛩䛸䛝 䞉ぶᐦ䛷䛺䛔ே䛸ヰ䛩䛸䛝 䞉័䜜䛺䛔཭ே䛸ヰ䛩䛸䛝 䞉㠃᥋䞉ධヨ䛾䛸䛝 䜹䝔䝂䝸䞊 ⮬⏤グ㏙䛾౛ 7DEOH ࡝ࡢࡼ࠺࡞࡜ࡁ࡟ࠕ௬㠃ࡢ⮬ศࠖ࡜ឤࡌࡿ࠿ࡢศ㢮㸦1 㔜」࠶ࡾ㸧 Table 3 どのようなときに「仮面の自分」と感じるかの分類(N=100 重複あり)

(6)

3 .「本当の自分」と感じるときについての自由記述 の分類   「仮面の自分」と同様に,回答された自由記述につ いてKJ 法により分類した。その結果, 8 つのカテゴ リーが得られた(Table 4)。 4 .「本当の自分」と「仮面の自分」の関係イメージ についての描画の分類   「本当の自分」に対する「仮面の自分」の位置関係 に着目し,描画の分類を行った。その結果, 6 つのカ テゴリーが得られた(Table 5)。 5 .「仮面の自分」・「本当の自分」の感じ方の違いに よる居場所感の差異 ( 1 )どのようなときに「仮面の自分」と感じるかに ついての分類による居場所感の差異  どのようなときに「仮面の自分」と感じるかによっ て居場所感に差異が見られるかを検討するために, 「仮面の自分」についての記述の分類をもとに被験者 を 7 群に分け,群ごとに居場所感尺度の各因子の平均 値を算出し,一要因分散分析を行った。なお,「仮面 の自分」についての記述については,一人の被験者で 複数のカテゴリーにまたがる者もいたため,複数にま たがる被験者は分析から除外し,単一のカテゴリー に分類できた被験者のみを対象にして分析を行った (Table 6)。  䠎䠊࿘ᅖ䛾ே䜔⎔ቃ䛜ᙳ㡪䛩䜛䠄㻢㻠䠅 ⾲䠎䚷 ⮬ศ䛾䛣䛸䜢䛂 ᮏᙜ䛾⮬ศ䛃 䛸ឤ䛨䜛䛸䛝䛾ศ㢮䜹䝔 䝂 䝸䞊䚷 䠄 䜹䝑 䝁ෆ䛿ேᩘ䠈 䠪䠙䠍䠌䠌䚷 㔜」䛒䜚䠅 䜹䝔䝂䝸䞊 ⮬⏤グ㏙䛾౛ 㻝䠊⮬ศ䛾Ẽᣢ䛱䛻ᚑ䛳䛯ᛮ䛔䛾䜎䜎䛾䛒䜚᪉䠄㻠㻣䠅 䐢㊃࿡䜔ዲ䛝䛺䛣䛸䜢䛧䛶䛔䜛䛸 䛝䠄㻝㻜䠅 䞉ዲ䛝䛺䛣䛸䛻⇕୰䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉⮬ศ䛾㊃࿡䜔ዲ䛝䛺䛣䛸䜢䛒䜚䛾䜎䜎䛻䛷䛝䛶䛔䜛䛸䛝 䞉⮬ศ䛾㊃࿡䛻㞟୰䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䐟ᛮ䛳䛯䛣䛸䜢⣲┤䛻ヰ䛫䜛䛸䛝䞉 ⾜ື䛷䛝䜛䛸䛝䠄㻝䠐䠅 䞉Ⰻ䛔䛣䛸䜒ᝏ䛔䛣䛸䜒ṇ┤䛻ヰ䛫䛶䛔䜛䛸䛝 䞉⮬ศ䛾ពぢ䜢⣲┤䛻Ⓨゝ䛷䛝䜛䛸䛝 䞉཭ே䛻ᮏ㡢䜢ゝ䛘䜛䛸䛝 䞉⮬ศ䛾Ẽᣢ䛱䛾䜎䜎䛻⾜ື䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䐠䛥䜎䛦䜎䛺䛣䛸䛻ᑐ䛩䜛ឤ᝟䜢 ⣲┤䛻ឤ䛨䚸⾲⌧䛷䛝䜛䛸䛝䠄㻝㻜䠅 䞉႐ᛣယᴦ䜢⣲┤䛻⾲⌧䛷䛝䜛䛸䛝 䞉ឤ䛨䛯䛣䛸䜢⣲┤䛻⾲⌧䛷䛝䜛䛸䛝 䞉ბ䛾䛺䛔➗䛔䜔ᛣ䜚䛺䛹䜢⾲⌧䛷䛝䛯䛸䛝 䐡ᚰ䛛䜙ᴦ䛧䛔䛸䛝䞉ᚰ䛛䜙➗䛳 䛶䛔䜛䛸䛝䠄㻝㻟䠅 䞉ᮏᙜ䛻㠃ⓑ䛔䛸ᛮ䛳䛶➗䛳䛶䛔䜛䛸䛝䜔ᴦ䛧䛔䛸䛝 䞉⣲䛷➗䛳䛶䛔䜛䛸䛝䞉Ẽව䛽䛺䛟➗䛳䛶䛔䜛 䞉཭ே䜔ᐙ᪘䛸ᚰ䛛䜙ᴦ䛧䛔䛸ᛮ䛳䛶➗䛳䛶䛔䜛䛸䛝 䐣ᚰチ䛧䛯ே䛸䛔䜛䛸䛝䞉ヰ䛧䛶䛔 䜛䛸䛝䠄㻠㻞䠅 䞉ᐙ᪘䛸䛔䜛䛸䛝䠈ヰ䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉ᜊே䛸䛔䜛䛸䛝䠈ヰ䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉ぶ཭䛸䛔䜛䛸䛝䠈ヰ䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䞉ᚰ䛛䜙ಙ㢗䛷䛝䜛ே䛸䛔䜛䛸䛝 䐦┦ᡭ䛻ᢎㄆ䛥䜜䛯䛸䛝䠄㻟䠅 䞉࿘ᅖ䛾཭ே䛛䜙ཷ䛡ධ䜜䜙䜜䛶䛔䜛䛸䜟䛛䛳䛯䛸䛝 䞉ヰ䛧䛯䛔䛣䛸䜢ヰ䛧䚸⪺䛔䛶䜒䜙䛘䜛䛸䛝 䞉⮬ศ䛾ᛮ䛳䛯䛣䛸䛜┦ᡭ䛻ఏ䜟䛳䛯䛸䛝 䐤ᐙ䛻䛔䜛䛸䛝䠄䠕䠅 䞉ᐙ䛷⮬ศ䛾Ẽᣢ䛱䛾䜎䜎䛻ື䛔䛶䛔䜛䛸䛝 䞉ᐙ䛷䛾䜣䜃䜚䛧䛶䛔䜛䛸䛝 䐥୍ே䛷䛔䜛䛸䛝䠄㻝㻜䠅 䞉୍ே䛷䛔䜛䛸䛝 䞉ㄡ䛻䜒ぢ䜙䜜䛶䛔䛺䛔䛸䛝 7DEOH ࡝ࡢࡼ࠺࡞࡜ࡁ࡟ࠕᮏᙜࡢ⮬ศࠖ࡜ឤࡌࡿ࠿ࡢศ㢮㸦1 㔜」࠶ࡾ㸧 Table 4 どのようなときに「本当の自分」と感じるかの分類(N=100 重複あり)

(7)

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(8)

Table 6 「仮面の自分」と感じるときの違いによる居場所感の差異  1 0HDQ 6' )್ Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿᮏ᮶ឤ ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ    ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁ    ᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ    ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ    ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁ    Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿᙺ๭ឤ ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ    ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁ    ᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ    ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ    ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁ    Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿ⿕ཷᐜឤ ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ    ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁ    ᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ    ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ    ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁ    Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿᏳᚰឤ ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ    ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁ    ᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ    ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ    ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁ    ᐙᗞ࡟࠾ࡅࡿᮏ᮶ឤ ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ    ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁ    ᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ    ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ    ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁ    ᐙᗞ࡟࠾ࡅࡿᙺ๭ឤ ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ    ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁ    ᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ    ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ    ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁ    ᐙᗞ࡟࠾ࡅࡿ⿕ཷᐜឤ ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ    ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁ    ᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ    ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ    ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁ    ᐙᗞ࡟࠾ࡅࡿᏳᚰឤ ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ    ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁ    ᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ    ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ    ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁ    )  QV )  QV )  QV )  QV )  QV )  QV )  S  )  QV 7 DE OH  ࠉ ࠕ ௬ 㠃 ࡢ ⮬ ศ ࠖ ࡜ ឤ ࡌ ࡿ ࡜ ࡁ ࡢ 㐪 ࠸ ࡟ ࡼ ࡿ ᒃ ሙ ᡤ ឤ ࡢ ᕪ ␗

(9)

 その結果,学校場面についての居場所感尺度につい てはいずれの因子でも有意差は見られず,家庭場面に ついての居場所感尺度については「被受容感」因子で のみ有意傾向が見られた(F(6,75)=1.92, p<.10)。  多重比較(Tukey 法)の結果,「役割・演技をして いるとき」に「仮面の自分」と感じる人は,「人の話 や行動に合わせるとき」に「仮面の自分」と感じる人 よりも,家庭場面での「被受容感」が低い傾向にある ことが明らかになった。 ( 2 )どのようなときに「本当の自分」と感じるかに ついての分類による居場所感の差異  どのようなときに「本当の自分」と感じるかによっ て居場所感に差異が見られるかを検討するために, 「本当の自分」についての記述の分類をもとに被験者 を 8 群に分け,群ごとに居場所感尺度の各因子の平均 値を算出し,一要因分散分析を行った。なお,「本当 の自分」についての記述についても,一人の被験者で 複数のカテゴリーにまたがる者もいたため,複数にま たがる被験者は分析から除外し,単一のカテゴリー に分類できた被験者のみを対象にして分析を行った (Table 7)。  その結果,学校場面についての居場所感尺度につい てはいずれの因子でも有意差は見られなかったが,家 庭場面についての居場所感尺度については「本来感」 因 子(F(7,69)=3.05, p<.01)と「安心感」因子(F (7,69)=3.46, p<.01)で 1 %水準の有意差, 「被受容感」 因子(F(7,69)=2.81, p<.05)で 5 %水準の有意差が 見られ,「役割感」 因子については有意傾向が見られ た(F(7,69)=2.07, p<.10)。  多重比較(Tukey 法)の結果,家庭場面の「本来感」 因子については,「一人でいるとき」に「本当の自分」 と感じる人は,「思ったことを素直に話せる・行動で きるとき」「心から楽しい・笑っているとき」「心許せ る人といるとき」に「本当の自分」と感じる人よりも, 家庭場面の「本来感」が低いことが明らかになった。  家庭場面の「安心感」因子については,「一人でい るとき」に「本当の自分」と感じる人は,「思ったこ とを素直に話せる・行動できるとき」「心から楽しい・ 笑っているとき」「心許せる人といるとき」に「本当 の自分」と感じる人よりも,家庭場面の「安心感」が 低く,また,「趣味や好きなことをしているとき」に 「本当の自分」と感じる人は,「心から楽しい・笑って いるとき」「心許せる人といるとき」に「本当の自分」 と感じる人よりも,家庭場面の「安心感」が低いこと が明らかになった。  家庭場面の「被受容感」因子については,「一人で いるとき」に「本当の自分」と感じる人は,「思った ことを素直に話せる・行動できるとき」「心から楽し い・笑っているとき」「心許せる人といるとき」に「本 当の自分」と感じる人よりも,家庭場面の「被受容感」 が低いことが明らかになった。  家庭場面の「役割感」因子については,「思ったこ とを素直に話せる・行動できるとき」「感情を素直に 表現できるとき」「心から楽しい・笑っているとき」「心 許せる人といるとき」に「本当の自分」と感じる人よ りも,家庭場面の「役割感」が低い傾向があることが 明らかになった。 6 . 「本当の自分」と「仮面の自分」の関係性イメー ジの違いによる居場所感の差異   「本当の自分」と「仮面の自分」の関係性イメージ の分類によって居場所感に差異が見られるかを検討す るために,「本当の自分」と「仮面の自分」の関係性 についての描画の分類をもとに被験者を 6 群に分け, 群ごとに居場所感尺度の各因子の平均値を算出し,一 要因分散分析を行った(Table 8)。  その結果,学校場面についての居場所感尺度につい ては「被受容感」因子で 5 %水準で有意差が見られ(F (5,92)=2.85, p<.05),「本来感」因子で有意傾向が見 られた(F(5,92)=2.06, p<.10)。家庭場面についての 居場所感尺度についてはいずれの因子でも有意差は見 られなかった。  多重比較(Tukey 法)の結果,学校場面の「被受容 感」因子については,「完全包囲」群が「内側」群・ 「外側接触」群よりも,学校画面の「被受容感」が低 いことが明らかになった。また,学校場面の「本来感」 因子については,多重比較の結果は有意差は見られな かった。

(10)

 1 0HDQ 6' )್ Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿᮏ᮶ឤ ᛮࡗࡓࡇ࡜ࢆ⣲┤࡟ヰࡏࡿ࣭⾜ື࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ឤ᝟ࢆ⣲┤࡟⾲⌧࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ᚰ࠿ࡽᴦࡋ࠸࣭➗ࡗ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ㊃࿡ࡸዲࡁ࡞ࡇ࡜ࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ᚰチࡏࡿே࡜࠸ࡿ࡜ࡁ    ᐙ࡟࠸ࡿ࡜ࡁ    ୍ே࡛࠸ࡿ࡜ࡁ    ┦ᡭ࡟ᢎㄆࡉࢀࡓ࡜ࡁ    Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿᙺ๭ឤ ᛮࡗࡓࡇ࡜ࢆ⣲┤࡟ヰࡏࡿ࣭⾜ື࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ឤ᝟ࢆ⣲┤࡟⾲⌧࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ᚰ࠿ࡽᴦࡋ࠸࣭➗ࡗ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ㊃࿡ࡸዲࡁ࡞ࡇ࡜ࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ᚰチࡏࡿே࡜࠸ࡿ࡜ࡁ    ᐙ࡟࠸ࡿ࡜ࡁ    ୍ே࡛࠸ࡿ࡜ࡁ    ┦ᡭ࡟ᢎㄆࡉࢀࡓ࡜ࡁ    Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿ⿕ཷᐜឤ ᛮࡗࡓࡇ࡜ࢆ⣲┤࡟ヰࡏࡿ࣭⾜ື࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ឤ᝟ࢆ⣲┤࡟⾲⌧࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ᚰ࠿ࡽᴦࡋ࠸࣭➗ࡗ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ㊃࿡ࡸዲࡁ࡞ࡇ࡜ࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ᚰチࡏࡿே࡜࠸ࡿ࡜ࡁ    ᐙ࡟࠸ࡿ࡜ࡁ    ୍ே࡛࠸ࡿ࡜ࡁ    ┦ᡭ࡟ᢎㄆࡉࢀࡓ࡜ࡁ    Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿᏳᚰឤ ᛮࡗࡓࡇ࡜ࢆ⣲┤࡟ヰࡏࡿ࣭⾜ື࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ឤ᝟ࢆ⣲┤࡟⾲⌧࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ᚰ࠿ࡽᴦࡋ࠸࣭➗ࡗ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ㊃࿡ࡸዲࡁ࡞ࡇ࡜ࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ᚰチࡏࡿே࡜࠸ࡿ࡜ࡁ    ᐙ࡟࠸ࡿ࡜ࡁ    ୍ே࡛࠸ࡿ࡜ࡁ    ┦ᡭ࡟ᢎㄆࡉࢀࡓ࡜ࡁ    ᐙᗞ࡟࠾ࡅࡿᮏ᮶ឤ ᛮࡗࡓࡇ࡜ࢆ⣲┤࡟ヰࡏࡿ࣭⾜ື࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ឤ᝟ࢆ⣲┤࡟⾲⌧࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ᚰ࠿ࡽᴦࡋ࠸࣭➗ࡗ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ㊃࿡ࡸዲࡁ࡞ࡇ࡜ࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ᚰチࡏࡿே࡜࠸ࡿ࡜ࡁ    ᐙ࡟࠸ࡿ࡜ࡁ    ୍ே࡛࠸ࡿ࡜ࡁ    ┦ᡭ࡟ᢎㄆࡉࢀࡓ࡜ࡁ    ᐙᗞ࡟࠾ࡅࡿᙺ๭ឤ ᛮࡗࡓࡇ࡜ࢆ⣲┤࡟ヰࡏࡿ࣭⾜ື࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ឤ᝟ࢆ⣲┤࡟⾲⌧࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ᚰ࠿ࡽᴦࡋ࠸࣭➗ࡗ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ㊃࿡ࡸዲࡁ࡞ࡇ࡜ࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ᚰチࡏࡿே࡜࠸ࡿ࡜ࡁ    ᐙ࡟࠸ࡿ࡜ࡁ    ୍ே࡛࠸ࡿ࡜ࡁ    ┦ᡭ࡟ᢎㄆࡉࢀࡓ࡜ࡁ    ᐙᗞ࡟࠾ࡅࡿ⿕ཷᐜឤ ᛮࡗࡓࡇ࡜ࢆ⣲┤࡟ヰࡏࡿ࣭⾜ື࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ឤ᝟ࢆ⣲┤࡟⾲⌧࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ᚰ࠿ࡽᴦࡋ࠸࣭➗ࡗ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ㊃࿡ࡸዲࡁ࡞ࡇ࡜ࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ᚰチࡏࡿே࡜࠸ࡿ࡜ࡁ    ᐙ࡟࠸ࡿ࡜ࡁ    ୍ே࡛࠸ࡿ࡜ࡁ    ┦ᡭ࡟ᢎㄆࡉࢀࡓ࡜ࡁ    ᐙᗞ࡟࠾ࡅࡿᏳᚰឤ ᛮࡗࡓࡇ࡜ࢆ⣲┤࡟ヰࡏࡿ࣭⾜ື࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ឤ᝟ࢆ⣲┤࡟⾲⌧࡛ࡁࡿ࡜ࡁ    ᚰ࠿ࡽᴦࡋ࠸࣭➗ࡗ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ㊃࿡ࡸዲࡁ࡞ࡇ࡜ࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁ    ᚰチࡏࡿே࡜࠸ࡿ࡜ࡁ    ᐙ࡟࠸ࡿ࡜ࡁ    ୍ே࡛࠸ࡿ࡜ࡁ    ┦ᡭ࡟ᢎㄆࡉࢀࡓ࡜ࡁ    )  QV )  S 㺃㺃 )  S 㺃㺃㺃 )  S 㺃㺃 )  S 㺃㺃 㺃 7 D E O H   ࠉ ࠕ ᮏ ᙜ ࡢ ⮬ ศ ࠖ ࡜ ឤ ࡌ ࡿ ࡜ ࡁ ࡢ 㐪 ࠸ ࡟ ࡼ ࡿ ᒃ ሙ ᡤ ឤ ࡢ ᕪ ␗ )  QV )  QV )  QV Table 7 「本当の自分」と感じるときの違いによる居場所感の差異

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Ⅳ 考察  本研究では,「本当の自分」と「仮面の自分」とい う二つの自己像を取り上げ,これら二つの自己像,な らびにこれら二つの自己像の関係性のあり方の違いと いう個人差によって,居場所感に差異が見られるかを 検討した。その結果,どのようなときに「仮面の自分」 と感じるかによって居場所感に大きな差異は見られな かったが,どのようなときに「本当の自分」と感じる かの違いによって家庭場面での居場所感に差異が見ら れた。また,「本当の自分」と「仮面の自分」の関係 性イメージの違いによって学校場面での居場所感に差 異が見られた。このことは,自己のあり方によってそ の場を「居場所」と感じられやすいかどうかに違いが 生じてくることを示すと考えられる。 1 .どのようなときに「仮面の自分」・「本当の自分」 と感じるかについて  どのようなときに「仮面の自分」と感じるかについ ては,得られた自由記述を分類したところ, 7 つのカ テゴリーが得られた。これらの中には,「人の話や行 動に合わせるとき」のように比較的意図的に「仮面の 自分」を作って適応しようとしていると考えられるも のから,「慣れないことをするとき」等のように,比 較的防衛的に「本当の自分」を隠そうとしていると考 えられるものまでが存在しているように思われる。 「偽りの自己」は「本当の自己」を守ると同時に環境 への適応的な機能を持つと考えられるが,どちら側に より比重が置かれている状況にあるのかを理解する視 点も,その個人に何を提供するかを考える上では意味 があるように思われる。  次に,どのようなときに「本当の自分」と感じるか については,得られた自由記述の分類から 8 つのカテ ゴリーが得られた。これらは,「思ったことを素直に 話せるとき」等,環境よりも自分のあり方の側面に比 重が置かれたものと,「心許せる人といるとき」や「家 にいるとき」のようにそれを可能にしてくれている環 境の側面に比重が置かれたものとに分けられると考え られた。 2 . 「本当の自分」と「仮面の自分」の関係イメージ について   「本当の自分」に対する「仮面の自分」の位置関係 を描いてもらった描画を分類したところ, 6 つのカテ ゴリーが得られた。「仮面の自分」を「本当の自分」 の内側に描いたものや,「仮面の自分」と「本当の自 分」とが重なり合うものなどは,「仮面の自分」も「本 当の自分」の一部と認識されていると思われるが,「本 当の自分」と「仮面の自分」とが接点がなく分離して いるものも見られ,これについては二つの自己像が乖 離しているニュアンスがあるように思われる。また, 「仮面の自分」が「本当の自分」の周りを完全に囲ん でいるものが見られた。ウィニコットの考えによれば, 「本当の自己」はそのまま表に出ることはなく,それ は遊びや芸術活動の中で媒介的に現れると考えられる が,一般的にこのような描画が描かれる場合を考える と,「本当の自分」を「仮面の自分」によって覆い隠し, 人目に触れないように防衛しているという認識が,そ こには働いているように思われる。 3 .どのようなときに「仮面の自分」・「本当の自分」 と感じるかによる居場所感の差異  どのようなときに「仮面の自分」と感じるかの違い によって居場所感に差異が見られるかを検討したとこ ろ,ほとんどの因子で有意差は認められなかったが, 家庭場面についての「被受容感」因子で有意傾向が認 められ,「役割・演技をしているとき」に「仮面の自分」 だと感じる群は,「人の話や行動に合わせるとき」に 「仮面の自分」だと感じる群よりも,家庭における「被 受容感」 が低い傾向にあることが明らかになった。「役 割・演技をしているとき」というのは,緊張感のある 場面で自分をつくるような場合と考えられるが,その ような場合にこそ「仮面の自分」であると思うという ことは,防衛的な意味での「仮面の自分」が優位であ ると考えられる。一方,「人の話や行動に合わせると き」にこそ「仮面の自分」であるという場合は,「仮 面の自分」を演じるとは言え,それは積極的に場面に 適応しようとしている場合であり,適応的な意味での 「仮面の自分」が優位であると考えられる。そのよう な差異が,特にありのままを受け入れられることが期 待される家庭での被受容感の違いにつながっていると

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思われる。  次に,どのようなときに「本当の自分」と感じるか の違いによって居場所感に差異が見られるかを検討し たところ,学校場面ついては有意差は見られなかった が,家庭場面についてはすべての因子で有意差ないし 有意傾向が認められ,共通して「一人でいるとき」な いしは「趣味や好きなことをしているとき」に「本当 の自分」と感じる群の居場所感の得点が低いことで あった。ウィニコットも指摘しているように「一人で いられる」ようになることは一つの達成であると言え るが,「一人でいるとき」こそ「本当の自分」である という場合,他者とともにいる場面では「本当の自分」 を感じにくいということであると考えられる。家庭場 面は,学校場面などよりも心許せる場であることが多 いと思われるが,それだけに,「一人でいるとき」こ そ「本当の自分」と感じる群と,そのほかの群との差 が明確になることを表していると思われる。 4 . 「本当の自分」と「仮面の自分」の関係性イメー ジによる居場所感の差異   「本当の自分」と「仮面の自分」の関係性イメージ の違いによって居場所感に差異が見られるかを検討し たところ,学校場面について「被受容感」の因子で有 意差が認められ,それ以外では有意差は認められ,「仮 面の自分」が「本当の自分」の周りを完全に囲むよう なイメージをもつ群が,「仮面の自分」を「本当の自 分」の内側にあるイメージをもつ群や,「仮面の自分」 が「本当の自分」の自分の外側にありながらも両者に つながりがあるというイメージをもつ群よりも,居場 所感が低いことが明らかになった。「仮面の自分」も「本 当の自分」の一部であるという場合や,「仮面の自分」 が異物でありながらも「本当の自分」とつながりをもっ ているというイメージの場合は,「仮面の自分」も「本 当の自分」と統合ないしつながりをもっているものと いう認識があると思われるが,これに対して「仮面の 自分」が「本当の自分」を完全に覆い隠している場合, 「本当の自分」が人目にさらされないよう外界に対し て防衛的になっていることが考えられる。このような 防衛的な態度は,ソトの世界である学校場面等でより 強まると考えられ,学校場面において本来の自分でい られる感覚や被受容感の低下につながっていると思わ れる。 5 .今後の課題  本研究では,自己のあり方によって居場所感に違い が見られるかについて検討し,ある程度の結果が得ら れたことから,自己像を視野に入れてその人の「居場 所」の問題を検討することに意義があることが示され たと考える。  今回の調査では,自由記述から「本当の自分」「仮面 の自分」を分類し, 「本当の自分」と「仮面の自分」の 位置関係の描画からその関係性イメージを分類する手 続きを取ったが,今後,分類の軸になる概念を整理し, 分類を精巧なものにしていくことが必要であると考え る。  また,今回は自己のあり方については,「本当の自分」 と「仮面の自分」に焦点を当てたが,ウィニコットが 述べているような自己の「バラバラ」あるいは「まと まり」という点についても「居場所」の提供によって 左右される自己の大きな側面であると言える。この自 己のまとまりの程度によって,より安定を保障するよ うな場の提供が求められたり,交流の場の提供が求め られたりするなど,「居場所」の様相が変わってくる と考えられ,このような自己の側面からの「居場所」 についての検討も必要と思われる。  最後に,本研究でも「居場所」については「居場所 感」を取り上げ,妙木(2003)のいうような心の中の 「スペース」については扱えていないが,最初は環境 から「居場所」を提供されながら,いずれ力をつけて 環境からの「居場所」の提供という助けを減じていく という成長を考えると,この視点は重要な視点である と思われる。この点も含めた「居場所」についての検 討がさらに必要と考える。 文献 岩井寛・田久保栄治・金盛浦子・藤田雅子・五島しづ・森 田 孝 子 1978 マルと家族―全体精神療法の 1 技法  芸術療法 9 ,7-15

Winnicott,D.W. 1965 The Maturational Process and the Facilitating Environment. The hogarth Press Ltd.,London. 牛島定信訳 1977『情緒発達の精神分析 理論』岩崎学術出版社

川喜多二郎 1967『発想法』中央公論社

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正樹・南博文編『子どもたちの「居場所」と対人的世 界の現在』九州大学出版会,21-37 高木綾 2002 青年期における異なる自己像とその関係性 イメージについて―いわゆる「本当の自分」と「借り 物の自分」の観点から 心理臨床学研究 20( 5 ),488-500 西中華子 2014 居場所づくりの現状と課題 神戸大学発 達・臨床心理学研究13,7-20 則定百合子 2008 青年期における心理的居場所感の発達 的変化 カウンセリング研究41( 1 ),64-72 妙木浩之 2003『「心の居場所」の見つけ方 面接室で精神 療法家がおこなうこと』講談社

Table 6  「仮面の自分」と感じるときの違いによる居場所感の差異 10HDQ6')್Ꮫᰯ࡟࠾ࡅࡿᮏ᮶ឤ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁࡑࡢሙ࡟㛵୚ࡋ࡞࠸࣭࡛ࡁ࡞࠸࡜ࡁᏛᰯ࡟࠾ࡅࡿᙺ๭ឤ⮬ศࡢᛮ࠸࡟཯ࡋࡓែᗘ࣭ឤ᝟ࡢ࡜ࡁ័ࢀ࡞࠸ࡇ࡜ࢆࡍࡿ࡜ࡁᙺ๭࣭₇ᢏࢆࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁேࡢヰࡸ⾜ື࡟ྜࢃࡏࡿ࡜ࡁ᎘࡞ࡇ࡜࣭᎘࠸࡞ே࡟⮬ศࢆฟࡏ࡞࠸࡜ࡁ௚⪅ࡢど⥺ࢆẼ࡟ࡋ࡚࠸ࡿ࡜ࡁࡑࡢሙ࡟㛵

参照

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