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<原著>門脈内注入時のAdriamycinの薬物動態 利用統計を見る

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LLI梨1垂プく言志, 2 (2), 69∼72, 1987 原 著

門脈内注入時のAdriamycinの薬物動態

崎野辮

   

岩上聯

   の く

  プ

孝博科

  腿

信 晒

北込

梅中

置明

抄録:肝転移予防に対する抗癌剤門脈内注入療法の基礎的検討としてadrla㎜yci篇(以下ADR) の門脈投与時の薬物動態を検討した。  家兎をもちい0.4rng/k9のADRの門脈内注入群(A群)と末梢静脈注入群(B群)につき投 与後20分迄のADR遁エ中濃度と肝,腎,心のADR組織内濃度を測定した. i亀中濃度はtwo com− partment open modelにより解析した。血L中初期濃度はA群でB群の67%であり,血中濃度時 間曲面下面積より求めた肝におけるADRの初回通過効果は約21%であった.肝組織内濃度は A群はB群の約3倍と有意に高く,逆に心および腎組織内濃度はB群で有意に高かった。以上より ADRの門脈内注入法は肝を標的臓器とした場合有効な投与方法と考えられた。 キーワード 肝癌,抗癌剤門脈内注入療法,薬物動態,アドリアマイシン 緒 言  消化管悪性腫瘍の肝転移は主として門脈経由 で起こるため1)原発巣切除時に抗癌剤を門脈内 に投与すれば肝転移の予防となる可能性があ る2)β)。 また原発性および転移願いずれの肝癌 も血行は肝動脈優位であるが,被膜や娘細胞で は門脈血の支配も受けており4)肝動脈塞栓療法 の補助療法としても抗癌剤門脈内注入療法(以 下門注)は有効と考えられる。しかし門注に関 しての臨床例の報告は少なく,また末梢静脈投 与と比較した報告はない。  今回我々は抗癌剤の門脈内投与と末梢静脈投 与とを比較して,門注により標的臓器である肝 臓での組織内濃度が高まるのか,また全身の合 併症を減少でぎる可能性があるのかを検討し た。動脈内抗癌剤注入療法においては時間依存 性の代謝拮抗剤よりも濃度依存性で殺細胞効=果 の強い抗癌剤が有効であるといわれている5)。 門注においても同様であると考えられるので我 *山梨県中臣摩郡玉穂町下河東1!10 受付:1987年月2臼19 々は実験薬剤として濃度依存性の抗癌剤で組織 吸着性の高いといわれているAdriamycin(以 下ADR)を用いた。 方法および材料  体重2.5−3.5kgの家兎をネンブタール麻酔 下に開腹しまた両側大腿静脈を露出したのち以 下の2群にわけた。  A群(門注群):0.4mg/kgのADRを腸間膜 静脈の分枝より門脈内にone shotで注入した 群(n=4)。B群(末梢静脈投与群):0。4mg/kg のADRを大腿静脈内にone shotで注入した 群(nコ4),投与後1,3,5,7,10,15,20分 に,静注にもちいなかった対側の大腿静脈より 採血しADR r血中濃度を測定した。静注30分後 多量のネンブタールで犠牲死させ肝臓の4葉, 腎臓,心臓を採取しADR組織内濃度を測定し た。ADRの血中濃度および組織内濃度の測定 は厚内らの高速液体ク牌マトグラフィ法によっ た6)・7)。  Pharmacoki簸etic evalua£ion  血中濃度はtwo compartment open mode1に

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70 梅  瑳ヒ  信  孝, イt巨 より薬物動知的に解析した。すなわちADR血 中濃度時間曲線は次式でよく近似された。       C(t)=・Ae一αt十Bピβも

 C(のは時間tにおけるADRの血中濃度で

ある。A, B,α,βはそれぞれの例について micro computorを用いて慧。八一1inear least square methodにより計算した。これらの値を もちい血中初期濃度(C。一the blood concentra− tion at to),クリアランス(C1−total body clea− rance), 血中濃度時間曲面下面積(AUC−area under the blood concentration versus time curve)などを求めた8)。 Table 2. Tissue concentration of     adriamycin(μ9/9) Iatra portal veln lnJectlon Intra femoral veln lrしJectlon 結 果 liver l llver l liver 3 1iver 4 rnean heart kidney 1.47±0.8! 2。22±0.48 2.39±0.90 2.95±2,41 2.26±1.34** 0.89±0。19** 2.56±0.96* 0.67±0.10 0.83±0.=L4 0,81づ=0.31 0.67±0.26 0.74±0.21 1.61±0.36 6.01±1.08  ユα1中初期濃度(μg/m1)はA群1。39±:0.21, B群2.07±0.14,AUC(μg・min/ml)はA群 3.59:±:0.37,B群4.56±0.49, C1(ml/min) はA群0.11±0.01,B群0.09±0.01であった (table l)。門脈に投与された薬物は肝を経て 初めて循環血内に入るがこのさい肝により除去 Table l. Phamacokinetlcs parameters of     adr圭amycin with a two−compart・     rnent model Co Ke

AUC

CL

**@p<0.01 * p<0.05 i,P.v no. !  1.42187 0.405196   3  1.2164  0。374547   5  1.23559 0.3520’73   71.669450.406175 mean  1.38583 0.384498  sd  O.21057 0.026133 i.v. ao.2   4   6   8 mean

 sd

3.50908 3.24765 3.50945 4。!1017 3.59409 0,36549 !,85504 0,436553  4.24929 2.09944 0.423621  4,95594 2.15176 0.430963  4.9929 2.14681 0.53217   4.03407 2.06526 0.4558268 4.55805 0.14080 0。051!703 0。488978 0,11399 0.123166 0.l13978 0。097320 0.l12103 0.OlO768 0。0941516 0.0897112 0,0801138 0.099:L553 0.088533 0。0095887 CL. Total body c五earance AUC. Area 登nder 毛he blood concentration  VerSUS tlrne CUrVe Co. The blood concd鍛tration at to Ke. Eliminatio黛ra重e consもant i。P. v. In£ra portal vein injection i.V. IntraVenOUS三njeC宅iOn される。この割合をEとすると,E=1一門注

後のAUC/静注後のAUCで表される。すな

わち肝におけるADRの初回通過効果は約21% であった。  肝の4ヵ所における組織内濃度(μg/g)はA 群では1.48±0.81,2.22±0.48,2.39±0.9, 2.95±2.41で全体の平均は2.26±1.34,B群 では0。67±0.10,0.83±:0.01,0.81±0.31, 0.67±0.26で全体の平均は0.74±0.21で有意 にA群で高かった(p<0.OD。心および腎組織 内濃度(μg/g)はA群では0.89±0.19,2.56± 0.96,B群では1.61±0.36,6,01±1.08で有 意にA群で高かった(心p<0.01,腎p〈0.05) (tal:)le 2)。 考 案  Taylorは大腸,直腸癌手術後の肝転移を予防 する目的で門注を臨床例に施行し良好な成績を 報告している3)。彼は5−Fluoro−Uraci1(5−FU) を1000mg/dayの割合で術後1週間にわたり 持続的に門注して再発肝転移を減少させること ができたとしている。しかし同量の抗癌剤の末 梢静脈投与とのrandomized controlled study は行っておらず,また血中濃度などの基礎的な 検討もみられない。  先にのべたように対象臓器を限定した門注や 動注は5−FUのような時間依存性の抗癌剤より も濃度依存性の抗癌剤の方が有効である。時間 依存性薬剤は低濃度でも持続的に投与されれば 有効であり,末梢静脈投与でも,また消化管吸

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門脈内注入時のAdf呈amycinの薬物動態 7! 収の行われる5−FUの場合経口投与でも効果が あると考えられる。  濃度依存性の抗癌剤をもちいる場合でも末梢 静脈投与との血中濃度を比較する事は必要であ る。肝ll蔵に:おけるextraction ratioが小さい;薬 剤では門脈内に投与しても末梢静脈投与と変わ らない可能性あるからである。  今回用いたADRはstreptomyces peucetius 変異菌の培養株から分離したA就hracyckine系 の抗腫瘍性抗生物質であり濃度依存性であるこ とが知られている9)。ADRは血液中から組織内 に急速に移行し組織内に蓄積されたあと徐々に 長時間にわたって血液中に放出される。排泄は 遅く24時間で尿中に12%,糞中に29%が排泄 されるという10)。ADRの代謝に関しては種差 があるといわれin vivo, in vitroの実験結果 についての統一的な見解はないが,ラットでは 尿中,胆汁中に排泄される物質はADRの未変 化体のみである。  ADR O.4mg/kgの門脈内投与では1回の通 過で肝へ取り込まれる量は約20%と考えら れ,血中初期濃度では末梢静脈投与の約2/3と なった。これから単純に考えれば全身における

ADRの舎併症の可能性はO.4mg/kgの門注

では約0.3mg/kgの末梢静脈投与時に等しく なると推定される。ADRは動脈内注入時には 末梢静脈投与と比較してAUC,血中初期濃度 ともにし54.7倍との報告があり11)二二時もこ れにほぼ一致した。  ADRでは臨床上心毒性が問題とされるが12), 心筋への吸着量も門門時は約半:量であった。  肝における組織内濃度は門注時は末梢投与時 の約3倍で有意に高かった。門注時には血流の 関係で肝の部位における組織内濃度が異なる可 能性が危倶されたが,葉の異なる4ヵ所では有 意差はなかった。  門注を実際に施行するにあたっては至適投与 量の検討が必要である。肝へのADRの取り込 みが肝組織への吸着であるとすれぽ肝での1回 の取り込み量には限界があり,投与量を増せば 肝の組織濃度は高まるが肝でのextraction ratio が減少し末槍静脈への通過量が増加する可能性 がある。また少ない投与量ならばほぼすべての ADRが,肝に蓄積されるであろう。今回はし めさなかったが1羽つつの検討で0.8mg/kg 投与ではほぼ全量が肝を通過し0.2mg/kg投 与では約50%が肝に取り込まれるようである。 理想的には肝で全量が吸着されその組織内濃度 が最小有効濃度を上回ることが望まれる。しか しADRにおいて最小有効組織内濃度を論じた 報告はない。したがって今回の検討のみから至 適投与量を論ずる事はむずかしい。さらに投与 量,投与間隔をかえた検討が必要と考えられる。  しかし少なくとも門注では肝でのADRの蓄 積量は同量の末檎静脈投与よりも多くまた他臓 器における蓄積:量は少ないので肝を標的臓器と した場合門注はADRでは有効な投与方法と考 えられた。 ま と め  門注時のADRの薬物動態を家兎を用いて実 験的に検討した。0.4mg/kgの門脈内投与時に は肝における除去率は約21%であり,同量の 末梢静脈投与時と比較すると肝の組織内濃度は 約3倍であり,また心,腎の組織内濃度は約半 量となった。以上より肝を標的臓器とした場合 ADRにおいては雨注は有効な投与方法と考え られた。  アドリアマイシンの測定に御協力いただいた 協和ディックス分析センター,関根清二,菊沢 智美氏に深謝いたします。 文 献 1)Fisher, D. R. and「rurnbu11, R・8・:Thc cyt・一   1・giC(lem・nStrati・1㌃and Sig磁CanCe・f tUm・r   cc正玉s ill thc mcscnteric vcllous blood 三n 至)ati−   ents with colorcct謎i carcinoma. Surg・Gyllcc・   &()bst.,100,102−108,玉955. 2) Cruz, E P., McDonald, G.0. and Cole, W.   H.: Prophy1謎ctic treatment of callcer, Thc   usc of chemotheraptic agents to prevcnt   turnor metastasis. Surgery,40,291−296,1956。 3) Taylor,1., Machint, D., Mulleet, M., Trotter,   G,Cooke, T,, Wcst, C:Arando㎜ized con一

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72 梅 北 信 孝,他 ︶ 4 ︶ 5 > 6 ︶ 7 t二−oH.ed. tria董。£adjuvant portai vein cyto亡oxic perfu.sio.n in. coヨ.orectal. cancer.]3r. J. sur9.,「72, 359−363,1985. Breedis, C., Yotmg, G..:The blood suppl.y of n.eOPlasms in th.e liver. A.mer. J. Path.,30, 969−9.177, 1954. 田口鉄男:肝癌の外科的化学療法  動注療 法.癌と化学療法,4,6王一66,1978. 増池健年,大嶽純一,武本宣教:高速液体ク撰 マトグラフィーによる生体試料中のアドリアマ イシンとその代謝物の定量(第1報)直接注入 法による.虚晴,.血漿の分析.薬学雑誌,104, 61.4−61.9  1.984.       , 増池丁年,大嶽純一,小波蔵政弘,野田忠晴, 武本宣教:高速液体クロマトグラフィーによる 生体試料中のアドリアマイシンとその代謝物の 定量(第2報)抽出法による組織の分析.薬学 雑誌,104,620−623,1.9.84. ︶ 8 > 9 1.0) 1.1) 12) 山岡 清:マイコンによる薬物体内動態解析法 南江堂,東京,】984. 北浦皓三,渡辺善博,石原由紀子,高平汎志: Ad「iamycinに関する研究  実験腫瘍に対す る効果について  .Jap.」。 A11.tibiotics,25, 65一「7】、  1972     シ         さ 根岸嗣治,高平汎志: The absorption, ex一 αetion., distri.bution and metabohsm of adriamycin.基礎と臨床,7,73−79,1973。 Ecksb・r9, s., ce(lellma.rk, B。 J・, st寛辱an(1.1.er, H・ S.:ln.trah.epatic a1}d. i蹴ravenous a(llministra− ti・n of adriamych}. a com.parative. ph.arma.一 C・k.inetiC StUdy i盲・. patientS with. malig婁:}ant i.i.ver tumours. Me(1. Oncol. Tumor Pharma. cother.,2,4,7−54,1985. Crater, S, L.:The clinical evaiuation. of mト alogs lll, Anth.racyclilles. Cancer Chemother・ pharmacol.,4.,5.一10,1980. APharmacoki簸αic Study of Adriamycin a£ter h建袋porm1芸njectio賑 Nobutaka U㎜ekita, Masam夏w3s欲i, Hirosh量:N欲ago磁鋤d A轍ra Ue勲.0    7フτ6∫600.γ∼41)8/)αγ.〃η6,・∼‘0/Sπγ96η,yα〃.∼απ{Z51∼∫M6‘万6認CO〃698    As a fulxlameuωstudy of e仔lcacy of intraportally admhlis也職tioH tこsin9撲driamyci11(ADR> for prophylactic treεしtme賃}t of liver 1勤etastasis froln gasroi裏:}testinal ca1}cer, the phar111acokinetics of adriamycin were studied in rabbits after in.tr盆por£al injection. The:maximu㎜p玉盆sm縦con− centration. was reduced.67%after intraportal. injectio11. compared to intra.ver}.ou.s h}jection・T1}e hepatic extraction of AI)R w.as about 21%, as ca王culate(l from the&reas under tlle plasma con− celltratio.n time curve o£both. administrations. T1}e livcr concentration of ADR我fter i煎raportal illlection was three times玉arger t正目n that after illtravenous inleαiou. Cardiac and rellal con− ccntrε1tions were h.igh.er after intraven.ous i11.lection.    From these負ndings, it is su99ested that intrap.ortally admi雛istrati・王儀。・uld reduce systemic tox.ic side cf釜ects o釜AI)R註ud maintain higher conce雛.tratio貰篠. of ADR in the Iiver compared to iHtravenous injcctio1エ This suggests that intraporωly admi織istration o£ADR is useful for propy玉actic treatme聖簗t of liver metastasis. Key w・rds:玉iver tum・r, intrap・rtal injecti・n chem・therapy, phar徽。・kinetics, a(1rialuyacin

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