• 検索結果がありません。

教室英語の使用率増加と英語学習への態度との関係

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "教室英語の使用率増加と英語学習への態度との関係"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)『中国地区英語教育学会研究紀要』 No. 49(2019). 教室英語の使用率増加と英語学習への態度との関係. 広島県立尾道商業高等学校. 藤居. 真路. How do students feel when the rate of English usage increases from 60% to 90%? This study showed that those students increased the scores of their self-efficacy scale, their reproductions of reading and the item which says “you can keep up with the difficulty of the class.” However, canonical correlation analysis revealed that there were two types, the highly-motivated students and the well-performing students, at a rate of 60 % and 90 %. The characteristics of the two types at the rate of 60 % were found to be different than those at 90%. It proved that the students managed to adapt themselves to their learning environment, where they struggled to understand the meaning of the CE. Those who were weak in English used the patterned procedure as a clue to improve in the classroom. Furthermore, another result proved that the experience of CE in elementary school influenced their mindsets toward classroom English.. 1. はじめに 英語の「授業は英語で行うことを基本とする」(p.125)(文部科学省,2018)とされている。 しかし,一部の高校では,教室英語(以下,CE と略す。)が十分に使用されていない。山森(2013) によると,8 割以上の高校教員は,英語の使用率が 4 割未満である。また,ベネッセ(2015)に よると,約 51%の高校教員は,英語の使用率が約 3 割以下である。さらに,その文部科学省 の立場に対して指導法などの見地から疑問が投げかけられている(鳥飼,2017)。さらにまた, 高校では,小学校時代から様々な学習経験を持ち英語への嫌悪感や苦手意識を持たされてき た学習者を前にして,生徒実態に即した指導の工夫が求められている学校も少なくない。こ うした中で,目標を設定した授業において教師が CE の使用率を高めた場合,生徒に対して どのような影響を与えることになり,教師はどのような点に配慮すればよいのであろうか。 2 問題 2.1 目標 高校の授業では,目標を明示した上で授業を行うことが多い。目標は,一定の学習上の効 果があると指摘されている。例えば,目標は,学習者の関心を高めて,学習の焦点を明確化 する上で役立つとともに,反復的な学習であっても学習者の興味を持続させることができる と指摘されている(Bryan & Locke, 1967; Oxford & Shearin, 1994)。また,目標は,自己効 力 感 と い っ た よ う な 自 信 と 正 の 関 係 が あ る と 指 摘 さ れ て い る (Dörnyei, 1994; Locke, Frederick, Lee, & Bobko, 1984)。さらに,外部的な目標が個人的な目標になると,動機づけ がより一層高まることが指摘されている(Shunk, 1990)。さらにまた,目標は,評価を行う上 での重要な指標の 1 つとして考えられている(石井,2015)。. - 75 -.

(2) 2.2 教室英語(CE) CE は,英語学習の風土を培い,学習者が英語に慣れ親しむ機会を増すなどの指摘がなされ てきた。小学校でも,CE は,英語の授業の雰囲気づくりに役立つと考えられている(文部科 学省,2017)。CE は,英語の授業の中でどのようにして英語を使用するのかを示して,英語 がコミュニケーションを行うための 1 つの道具であることを生徒に認識させることができる (杉山,2002)。また CE は,生徒が導入期において英語に慣れ親しんだり(山内,2003),リス ニング力を伸長させたり(土持,2017)する上で有用であると指摘されている。他方,CE は, 英語の授業を難しいものと感じさせ,有能感の低下を招くといった指摘がなされている。実 際,学校には,英語力の高い生徒もいれば英語が嫌いで苦手意識を持っている生徒もいる。 教師は,生徒の英語力に合わせて絵を描いたりジェスチャを加えたりパラフレイズしたり して,CE を使用している。生徒の中には,CE の使用に対して拒否的な言動をする者がいる こともあるが,個別指導などを行って CE への理解を促し学習活動に参加させることになる。 また,教師の中には,CE の使用に抵抗感を覚えている者がいると指摘されている。例えば, 教師の中には,CE の使用の難しさや練習不足を感じたり,心理的に不安になったりしている 者もいる(藤田・吉田,2015)。また,母語でスキャフォールディングしたり意味ベースで考査 などを実施したりして CE を使用している者もいる。こうしたことから,教師の CE の使用 について,生徒の実態に基づいて問題点などを明らかにしながら,より適切な実践方法を開 発していく必要があると言える。 3. 目的 本研究の目的は,教師の CE の使用率を 6 割から 9 割へと増加させた場合,学習者の情意 や行動がどのように変化するのかを調べることである。 4 調査 1 4.1 方法 4.1.1 調査協力者 A 県 B 高等学校の 3 年生 18 名であり,英語力は実用英語技能検定において 4 級から 3 級 程度の生徒である。 4.1.2 CE の使用状況と数量化 授業は,CE の使用率を 6 割程度にして授業が進められた。本研究で取り上げた授業は,新 学年になって 5 回目の授業である。CE は,次の原則で使用された。(1)CE は,新しい表現を 導入する段階では板書をして説明した上で使用する。(2)パターン化した言語活動では,CE を 積極的に使用する。(3)語法・構造は,例文などを活用し活動を通して指導して CE を使用す る。(4)明示的に語法・構造を説明した方が効果的であると判断したり,生徒の様子から授業 への抵抗感が高まったと感じたりした場合などには日本語を用いる。 授業では,教材の扱い方によって CE の使用率を変えている。既習内容を活用する段階で は英語で授業をすることを心がけているが,英文の構造や語法などを明示的に説明した方が 効果的であると考えた場合には日本語も使用し,日本語訳も必要に応じてさせている。CE に 対する嫌悪感を表明した生徒には,個別に支援を行いながら学習活動への参加を促している。 また,思考力・判断力を取り扱う問題で,英語では意見などが出にくいと判断した場合は, 日本語を使用させている。本研究では,CE の使用率の計算は,日本語と英語では必ずしも文 字数や単語数が同じにならないため,指示・説明については 1 つの内容を 1 つとして取り扱 い,日本語と英語による指示・説明の割合を便宜的に算出した。1 日目を約 3 割(普段よりも. - 76 -.

(3) 多く日本語を使用し,大半の部分を日本語で説明をした。)とし,2 日目を約 6 割(平均して普 段の授業と同程度の日本語を使用した。)とし,3 日目を約 9 割(挨拶などは日本語で行うこと が決まっており宿題などの連絡事項以外はほとんど英語を使用した。)とした。なお,割合が 高い方が CE の使用率が多いことを示している。 4.1.3 読みを書くことに繋げた課題 3 日間の目標は,(1)「読んだ英語を自分の言葉でリプロダクションできるようになろう」 と(2)「教科書(「A Microcosm in the Sea」(All aboard Ⅱ 東京書籍))に出てくる単語や熟語 をしっかり覚えて,英文の内容を理解しよう」とした。授業では,単語や熟語の定着を図り 単元の英文を聞かせて音読させ Q&A や説明などを行って学習させた後,読みを書くことに 繋げる課題を行った。具体的には,単語や熟語を覚えさせてペアで確認させ(2 分),リスニン グを 1 回させ,分からない部分を確認させ(1 分),リスニングをもう 1 回させ,分からない部 分を再確認させ(1 分),発音を確認させた後音読 2 回させ,書くために英語の句をワークシー トに 10 程度抜書きさせ(3 分),英文を約 5 分割させて,それぞれの部分の概要をチャート又 は日本語でワークシートに纏めさせ(5 分),英文を書くために黙読させて(3 分),その英文の 内容を英語でワークシートに書かせ(5 分),書いた英文をペアで発表させた。1 日目は,課題 の説明や CE の難しい部分について説明したため,振返りとして自己評価及び感想などを書 かせる時間がなかった。しかし,2 日目以降は課題終了後 7 分程度の振返りを行い,その中 で授業に係る 20 項目の質問に 5 件法で回答してもらい,4 つの質問にも記述式で答えてもら った。それぞれの質問(英語学習自己効力感尺度の項目は,森 (2004)をもとに英語学習用に 変更して作成し,その他の尺度項目は,研究目的に必要な項目を便宜的に作成した)に対す る結果は,正準相関分析法などにより分析した。なお,ワークシートの採点は,単語を 10 語 程度選んでいた場合 20 点とし,4 から 5 に分けて話題の転換を簡潔に日本語で説明していた 場合 20 点とし,リプロダクションについては 1 文につき 5 点として計算した。リプロダク 表 1 調査 1 の調査項目の平均と標準偏差,構成した尺度の尺度名とα係数 尺度名等. 項目内容. 目標指向性尺度 英語授業努力尺度 英語授業有用性尺度 英語学習自己効力感尺度 ワークシート 授業満足. 今日の授業を通して,満足している。 今日の授業の目標を理解していた。. 目標指向性尺度. 今日の授業の目標を達成しようと努力した。 今日の授業に対して,自分の英語に対する目標を持って学習に取り組めた。 今日の授業中,1つでも多く覚えようと努力した。. 英語授業努力尺度. 今日の授業中,1つでも多く話したり書けたりできるようになろうと努力した。 今日の授業に対して,前向きに取り組めた。 今日の授業は,英語力を伸ばすのに役立った。. 英語授業有用性尺度. 今日の授業は,英語を話せたり書けたりできるようになるのに役立った。 今日の授業を通して,英語力を伸ばすのに有益だったと思う。 今日の授業を通して,英語を話せたり書けたりできるようになるのに,有益だった。 英語学習において,自分はよい成績をとれると思う 英語学習において,自分は、授業でうまくやれると思う 英語学習において,授業で出された問題や課題を,自分はうまくこなせると思う。 英語学習において,教えられる内容を,自分は理解できる方だと思う。. 英語学習自己効力感尺度. 英語学習において,授業のレベルについていけると思う。 英語学習において,自分は授業で学習する内容についていけると思う。 英語学習において,自分はよくやれると思う。 英語学習において,自分はよい学習者であると思う。 自分の英語学習能力は,すぐれていると思う。. - 77 -. 第2回授業 平均 標準偏差 α 12.22 3.11 .93 12.17 2.79 .91 14.89 4.21 .97 28.56 8.28 .94 74.72 6.29 3.28 1.13 4.17 .99 4.17 1.10 3.89 1.02 4.11 1.02 4.17 .99 3.89 1.02 3.61 1.09 3.72 1.13 3.78 1.06 3.78 1.11 3.22 1.06 3.11 1.08 3.33 1.19 3.39 1.04 3.06 1.16 3.28 1.18 3.17 1.04 3.17 1.10 2.83 1.10. 第3回授業 平均 標準偏差 α 12.39 2.26 .88 12.39 2.12 .88 14.83 2.71 .92 30.50 7.94 .97 76.94 15.54 3.44 .98 4.17 .79 4.28 .75 3.94 .73 4.28 .67 4.06 .87 4.06 .80 3.72 .89 3.67 .69 3.67 .69 3.78 .73 3.33 1.03 3.17 .86 3.50 .99 3.56 .98 3.44 .92 3.50 .99 3.50 .92 3.44 1.10 3.06 1.00.

(4) ションについては,テキストの内容に一致していればスペルや文法にミスがあっても 1 文に つき 5 点として計算した。 4.2 結果 4.2.1 質問紙調査結果とワークシート得点 20 項目からなる質問紙について,尺度構成を行った結果とワークシート得点の結果は,表 1 の通りである。この表を見れば分かるように,α係数の高い尺度が構成できたと言える。次 に尺度間偏相関係数(対象以外の関係性の影響を除去した相関係数)は,表 2 の通りである。ま ず,項目要因に関する一元配置分散分析を行い,1%水準で有意であったので(F (20, 340) = 990.8),各項目について日目要因の多重比較を scheffe で行い,項目 16「英語学習において, 授業のレベルについていけると思う。」が 5%水準で有意であり(ρ = 5.2),またワークシート 得点が 1%水準で有意であった(ρ =171.2)。また,尺度要因に関する一元配置分散分析を行 い,1%水準で有意であったので(F (4, 68) = 496.2),各尺度について日目要因の多重比較を scheffe で行い,英語学習自己効力感尺度が 5%水準で有意であり(ρ=5.7),ワークシート得 点が 1%水準で有意であった(ρ=7.4)。 表 2 2 日目授業後振返りシートの結果(偏相関) 第2日目の偏相関係数 英語授業有用性 英語授業努力 英語学習自己効力感 今日の授業を通して,満足している。 今日の授業の目標を理解していた。 今日の授業の目標を達成しようと努力した。 今日の授業に対して,自分の英語に対する目標を持って学習に取り組めた。. 有用性. 努力. 自己効力. 満足. 目標理解. 目標達成努力. 自分の目標. 1.00. .35 1.00 *. -.31 .56 1.00 *. .33 -.16 .59 1.00. .60 -.08 .31 -.33 1.00. -.22 .49 -.35 .17 .51 1.00. .11 .31 -.19 .14 -.10 .38 1.00. *. (**:p<.01, *:p<.05). 表 3 3 日目授業後振返りシートの結果(偏相関) 有用性 第3日目の偏相関係数 英語授業有用性 1.00 英語授業努力 英語学習自己効力感 * 今日の授業を通して,満足している。 今日の授業の目標を理解していた。 今日の授業の目標を達成しようと努力した。 今日の授業に対して,自分の英語に対する目標を持って学習に取り組めた。. 努力. 自己効力. 満足. 目標理解. 目標達成努力. 自分の目標. .38 1.00. .57 -.02 1.00. .54 .14 -.33 1.00. .14 .33 -.27 -.06 1.00. -.06 .57 -.21 -.31 .08 1.00. .06 -.15 .32 .18 .17 .59 1.00. *. * (**:p<.01, *:p<.05). 次に,目標指向性尺度及び英語授業満足度に係る項目と構成した 3 尺度(英語授業有用性尺 度と英語授業努力尺度,英語学習自己効力感尺度)の間の偏相関係数を算出した。その結果, 2 日目は表 2 に,3 日目は表 3 に示した通りである。2 日目は,今日の授業の目標を理解する ことが英語授業有用性の理解と関係しており,英語学習自己効力感が英語授業努力や英語授 業満足度と関係していた。3 日目は,英語学習自己効力感が英語授業有用性の理解と関係し, 目標達成への努力が自己の目標達成への努力と関係し,英語授業努力とも関係していること が分かった。2 日目から 3 日目への変化から,2 日目には英語学習の目標を理解することが英 語授業有用性と関係していたが,3 日目には授業目標への努力が自己の目標への努力や英語 授業努力に関係していた。このことから,学習者全体を1つとして見た場合,学習者が授業 目標を理解すると英語授業有用性を理解することになり,また,授業を受ける中で授業目標 が自己の目標になり,授業に一層努力するようになっていったと推測することができよう。 4.2.2 英語授業満足度と目標指向性 英語授業満足度に関与する要因を調べるために,目的変数を英語授業満足度とし,説明変 数を構成した 4 尺度として,2 日目と 3 日目に分けて重相関分析(ある一つの変数を残りの変 数で予測する分析)を行った。その結果は表 4 の通りである。表 4 に示しているように,英語. - 78 -.

(5) 授業満足度は,2 日目には,英語学習自己効 表 4 満足度を目的変数とした重相関分析結果 力感が英語授業満足感と有意な関係が見ら 第2日目 第3日目 れ,3 日目には,目標指向性が英語授業満足 尺度等 標準偏相関 有意性 標準偏相関 有意性 度と有意な関係が見られることが分かっ 英語授業努力 -.08 .04 英語授業有用性 .26 .93 * た。このことから,英語授業満足度を高める 英語学習自己効力感 .58 * -.27 要因は一貫していないことが分かった。ま 目標指向性 .01 -.21 重相関係数 .66 .75 た,英語授業満足度は 2 日目よりも 3 日目 の方が統計的に有意ではないが平均は高く ( **: p < .01, *: p < .05 ) なっていた。さらに,2 日目と 3 日目は教 授方法や教材内容はほぼ同じであるが,CE の使用率が約 3 割高まっている。さらにまた,英 語学習自己効力感と英語授業のレベルについていけているという意識とは 2 日目から 3 日目 にかけて平均値が有意に上昇していた。教師が CE の使用率を約6割から約9割へと高くし ても,英 表 5 調査 2 の調査項目の平均と標準偏差,構成した尺度の尺度名と α 係数 語学習自 番号 項目内容 平均 標準偏差 尺度名 α係数 己効力感 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ を 使 わ れ る と , 自 分 の こ と を 無 視 さ れ 1 2 .7 8 1 .0 6 て い る よ う に 感 じる 。 やワーク ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ を 使 わ れ る と , 授 業 か ら の け 者 に さ れ .5 8 2 2 .5 6 .8 6 授 業 か ら の 疎 外 感 た よ う に 感 じる 。 シート得 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ を 使 わ れ る と , 授 業 は , 自 分 の 英 語 の 3 3 .1 7 .7 9 レ ベ ル に 合 わ せ て くれ て い な い よ うに 感 じる 。 点が有意 4 英 語 は ,苦 手 で ある。 3 .6 1 1 .0 4 英語の苦手意識 .8 6 5 英 語 は ,得 意 で は な い。 3 .7 8 .8 8 に高まる 6 英 語 は ,自 信 が な い 。 3 .5 6 .9 2 7 英 語 は ,好 き だ 。 2 .9 4 .9 4 とともに, 英語への好感情 .6 9 8 英 語 は ,興 味 が ある 。 3 .3 3 .8 4 9 英 語 は ,面 白 い。 2 .6 1 1 .0 9 英語授業 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ は , 状 況 か ら 何 が 言 い た い の か 大 体 10 3 .1 1 .9 0 推測できる。 CE の 意 味 推 測 .7 0 満足度を 11 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ は , 大 体 意 味 が 分 か る 。 3 .0 0 .7 7 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ は , 先 生 が 何 を 指 示 し て い る か , 大 12 2 .7 2 .8 9 体分かる。 低下しな 今 の 時 代 に は , ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ は , 授 業 で 使 わ れ な く 13 3 .1 7 .7 9 て は な らい。 い授業が 今 の 時 代 に は , 英 語 の 授 業 で は , ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ が CEの 当 然 性 .8 8 14 2 .8 3 .7 1 使われるのは当然である。 展開でき 今 日 の 世 の 中 で は , 英 語 の 授 業 で , ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ 15 2 .5 6 .9 2 が 使 用 され る べ き だ 。 たと言え ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ は , 英 語 の リ ス ニ ン グ 力 を 伸 ば す の に 16 3 .0 0 .8 4 有用である。 よう。 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ を 聞 い て い る と , 英 語 の リ ス ニ ン グ 力 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40. が つ いて くる。 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ は , 英 語 の 聞 き 取 り の 力 を 伸 ば し て く れる。 個 別 に 指 導 し て く れ る の で あ れ ば , ク ラス ル ー ム イ ン グ リ ッ シ ュ を 使って もよい。 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ を 使 っ て も よ い が , 授 業 中 分 か ら な い 時 は 個 別 的 に 指 導 して ほ しい 。 個 別 的 な フ ォロ ー が 行 わ れ る の で あ れ ば , ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リッ シュ を使 っ て も よ い 。 同 じよ う な や り方 で 授 業 を進 め て い る 場 合 は ,英 語 で 指 示 して も よ い。 決 ま った パ ター ン で 授 業 を進 める 場 合 は ,英 語 で 指 示 して も よ い 。 次 に 何 をや る か 予 測 で き る よ う な 場 合 は ,英 語 で 指 示 して も よ い 。 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ が 使 わ れ る と 分 か り に く く な る 。 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ は , 英 語 を 理 解 す る の に 妨 げ に な る 。 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ を 使 う と , 英 語 の 授 業 が 余 計 に 難 し い よ う に 感 じる 。 ク ラス ル ー ム ・ イ ン グ リ ッ シ ュ は , 使 わ な い で ほ し い 。 英 語 が 話 せ る よ う に な りた い 。 英 語 が 書 けるようにな りた い 。 英 語 が 読 めるようにな りた い 。 英 語 が 聞 き 取 れ るようにな りた い。 小 学 校 で は ,英 語 で 指 示 や 説 明 が な され て い た 。 中 学 校 で は ,英 語 で 指 示 や 説 明 が な され て い た 。 高 校 の こ れ ま で の 英 語 の 授 業 で は , 英 語 で 指 示 や 説 明 が な され ていた。 小 学 校 の 外 国 語 活 動 の 授 業 で は ,英 語 を日 本 語 に 訳 した りしな かった 。 高 校 の 英 語 の 授 業 で は ,教 科 書 の 本 文 に つ い て 日 本 語 訳 をしな かった 。 中 学 校 の 英 語 の 授 業 で は ,教 科 書 の 本 文 に つ い て 日 本 語 訳 をし な か った。 英 語 の 授 業 で , 教 科 書 の 何 ペ ー ジ を開 く か と か 何 回 読 む か な どの 簡 単 な 指 示 は 英 語 で して もよ い 。 英 語 の 文 法 や 構 文 , 内 容 な どを説 明 す る 場 合 に は , 英 語 を使 わ な い方がよい。. CEの 有 用 性. 3 .0 0. .8 4. 3 .2 2. .6 5. 2 .8 9. .9 0. 3 .1 7. .8 6. 2 .8 9. .9 6. 3 .0 6. .8 0. 3 .3 3 3 .0 0 3 .4 4 3 .0 0. .9 7 .8 4 .9 2 .8 4. 3 .3 3. .8 4. 3 .3 9 4 .0 0 3 .5 6 3 .8 9 3 .6 7 2 .5 6 3 .2 2. .7 8 .8 4 1 .0 4 .8 3 .8 4 .9 8 1 .0 6. フ ェイ ス シ ー ト 項 目 フ ェイ ス シ ー ト 項 目 フ ェイ ス シ ー ト 項 目 フ ェイ ス シ ー ト 項 目 フ ェイ ス シ ー ト 項 目 フ ェイ ス シ ー ト 項 目 フ ェイ ス シ ー ト 項 目. 3 .2 8. .8 3. フ ェイ ス シ ー ト 項 目. 3 .3 9. 1 .0 9. フ ェイ ス シ ー ト 項 目. 1 .8 3. .9 9. フ ェイ ス シ ー ト 項 目. 1 .7 2. .8 9. フ ェイ ス シ ー ト 項 目. 3 .5 6. 1 .2 0. フ ェイ ス シ ー ト 項 目. 4 .0 0. .7 7. フ ェイ ス シ ー ト 項 目. - 79 -. .6 2. 個別指導. .9 2. パ ターン 化. .7 7. CE は 理 解 の 妨 げ. ×. 5 調査 2 5.1 方法 調査1 の結果に は,教師 の CE の 使用率や 英語学習 自己効力 感,目標 指向性な ど以外に, 英 語 や CE に 対 する学習 者の考え.

(6) 方や CE に対する学習者の経験,授業に対する評価などが影響していると考えられる。そこ で,英語や CE に対する考え方や CE を使用してもよい条件等について,便宜的に 40 項目を 作成し,調査1と同じ調査協力者である A 県 B 高等学校の 3 年生 18 名に,5件法で評価し てもらった。 5.2 結果 5.2.1 尺度構成 40 項目からなる質問紙の結果を基に 8 尺度を構成した。各項目の平均値と標準偏差値,尺 度名とα係数は表 5 に示した通りである。なお,項目 25, 26, 27 はα係数が低く,尺度構成 しなかったので,α係数の欄に×を記した。 5.2.2 小学校及び中学校時代の CE の使用の影響 小学校及び中学校において,英語を日本語に訳されなかったり英語で指示や説明が行われ たりした経験と,高校での CE の使用に対する考え方等が,どのような関係にあるのかを調 べるために,小学校において英語を日本語に訳したり英語で指示や説明が行われたりしたこ とに関する質問項目を目的変数とし,構成した測定尺度を説明変数として,重相関分析を行 った。その結果は,表 6 に示した通りである。この表を見れば分かるように,高校における CE の使用に影響を持っているのは,小学校時代の CE の使用法であると考えられる。具体的 には,小学校時代に英語を日本語に訳さないことが CE の有用性の認識と関係し,小学校時 代に英語で指示や説明が行われていたことが,CE を当然のことであると認識することと関 係していることが分かった。これらのことから,小学校時代に英語を日本語に訳したりする ことが CE の 表 6 小・中学の CE 使用状況等を目的変数とした重相関分析結果( * : p < .05, ** : p < .01 ) 有用性への 小学校の外国語活動の授業で 小学校では,英語で指示や説明 中学校の英語の授業では,教 中学校では,英語で指示や説明 理解に妨げ は,英語を日本語に訳したりしな がなされていた。 科書の本文について日本語訳を がなされていた。 尺度等 かった。 しなかった。 になる可能 標準偏回帰 有意性 標準偏回帰 有意性 標準偏回帰 有意性 標準偏回帰 有意性 授業からの疎外感 -.43 -.03 .39 .29 性があると 英語への苦手意識 -.08 .22 .17 -.59 英語への好感情 -.02 .05 .04 -.34 言え,小学校 個別指導 -.72 -.85 -.15 .20 時代に日本 パターン化 -.14 .33 -.32 .13 CEの意味の推測 -.62 .06 .16 -.45 語訳を介入 CEの有用性 .91 ** .45 .13 .18 CEは当然 .64 .75 * -.13 .65 させないで 重相関係数 .84 .80 .55 .78 英語を教え 表 7 4 技能の伸長への意欲を目的変数とした重相関分析結果( * : p < .05, ** : p < .01 ) ることがで 英語が読めるようになりたい。 英語が書けるようになりたい。 英語が聞き取れるようになり 英語が話せるようになりたい。 きるかどう たい。 尺度等 標準偏相関 有意性 標準偏相関 有意性 標準偏相関 有意性 標準偏相関 有意性 かによって, 授業からの疎外感 .04 -.24 -.18 .02 その後の CE 英語への苦手意識 .54 .32 .70 * .65 英語への好感情 .39 .51 .58 * .55 に対する考 個別指導 -.08 -.07 .21 -.38 え方に影響 パターン化 .00 .25 .00 -.19 CEの意味の推測 .39 .14 .37 .89 を及ぼす可 CEの有用性 -.11 -.09 -.17 -.23 CEは当然 .10 .13 -.14 .05 能性がある 重相関係数 .64 .68 .85 .69 と考えられ る。 5.2.3 4 技能の伸長への意欲を目的変数とした重相関分析 4 技能の伸長への意欲を目的変数とし構成した尺度を説明変数として重相関分析を行った. - 80 -.

(7) 結果は,表 7 に示した通りである。表 7 を見れば分かるように,英語への苦手意識を持ちな がら英語への好感情を覚えている場合,英語が聞き取れるようになりたいと思っていること が分かった。 5.2.4 尺度間の関係 構成した 8 尺度間の偏相関係数は,表 8 に示した通りであり,調査協力者数などによる限 界があるが,次のことが推測できよう。第 1 に,疎外感については,授業からの疎外感を強 く感じていると,CE は有用であると考えたり,CE は当然であると考えたり,CE の意味が より推測できないと考えたりする傾向がある。第 2 に,英語への意識については,英語の苦 手意識は英語への好感情と負の関係にあり,英語への苦手意識が強いと CE の意味は推測で きないと思い,個別指導やパターン化されていれば CE を使用してもよいと考える傾向があ る。他方,英語への好感情が高いと,CE が有用であると考える傾向がある。第 3 に,CE の 使用条件に関する考え方については,個別指導やパターン化した授業であれば CE を使用し てもよいと強く考える場合,英語への苦手意識を感じているが,CE の意味は推測できると考 える傾向がある。また, CE の使用を当然のこと 表 8 尺度間の偏相関係数 授 英 C 英 C と強く考える場合,個別 パ C 業 語 E 語 E 個 タ E 外か 意へ へ 推の の 別 指導をすれば CE は用い 情 は 偏相関 感ら 識の の 測意 有 指 ン 当 の 苦 味 好 用 導 てもよいと考える傾向 化 然 疎 手 の 感 性 がある。第 4 に,CE の 授業からの疎外感 1.00 .02 .21 -.05 .07 -.46 .39 .36 英語への苦手意識 .02 1.00 -.34 .36 .49 -.55 .13 -.05 意味を推測できると強 英語への好感情 .21 -.34 1.00 -.04 .16 -.04 .32 .03 個別指導 -.05 .36 -.04 1.00 .20 .37 .19 .34 く考える場合,授業から パターン化 .07 .49 .16 .20 1.00 .46 -.10 -.04 の疎外感や英語への苦 CEの意味の推測 -.46 -.55 -.04 .37 .46 1.00 .31 .34 CEの有用性 .39 .13 .32 .19 -.10 .31 1.00 -.12 手意識は感じないが,個 CEは当然 .36 -.05 .03 .34 -.04 .34 -.12 1.00 別指導やパターン化し た授業を行えば CE を使 用してもよいと考えたり,CE が有用であると考えたり CE を使用するのが当然だと考えた りする傾向にある。第 5 に,CE に対する考え方については,CE が有用であると強く考えた り CE が当然であると強く考えたりする場合,授業への疎外感を感じたり,CE の意味は推測 できると考えたりする傾向がある。英語への好感 情が高い場合,CE を有用であると考える傾向が 表 9 正準相関(2 日目) あると言える。 尺度等 1 2 5.2.5 ワークシート得点 2 日目と 3 日目について,調査 1 と調査 2 の尺 度とワークシート得点をもとに,英語授業努力尺 度とワークシート得点を目的変数とし,その他の 尺度を説明変数として正準相関分析を行った。そ の分析結果は,調査協力者数などのために過度に 一般化できないが,2 日目については表 9 に,3 日 目については表 10 にそれぞれ示した通りである。. - 81 -. 授業からの疎外感 英語への苦手意識 英語への好感情 個別指導 パターン化 CEの意味の推測 CEの有用性 CEは当然 授業の有用性 自己効力感 目標指向性 授業での努力 第2回ワークシート得点 正準相関係数. .13 -.17 -.15 -.08 .4 7 -.19 .10 -.12 -.14 -.25 - .6 7 .9 9 .15 .98. .27 - .5 4 .11 1.1 0 -.35 - .6 3 -.18 .17 - .6 8 .8 4 .17 .17 - .9 9 .72.

(8) 2 日目については,F1 より,目標指向性が低く, 表 10 正準相関(3 日目) パターン化をすれば教師が CE を使用してもよい 尺度等 1 2 と強く考えている場合,英語授業に対して努力して 授業からの疎外感 .24 .17 英語への苦手意識 .04 .5 1 取組んでいる一群がいると考えられる。F2 より, 英語への好感情 .11 .25 正準相関であるので正負を逆転して考えれば,個別 個別指導 .06 -.04 パターン化 .22 1 .4 1 指導をしても CE を使用してはいけないと強く考 CEの意味の推測 - .4 0 - .4 5 え,英語への苦手意識が強く英語学習自己効力感が CEの有用性 -.09 - .8 8 CEは当然 .22 -.23 低いが,CE の意味を推測することができ,授業は 授業の有用性 -.30 .4 5 有用であると強く考えている場合,ワークシート得 自己効力感 .18 - .4 4 点が高い一群がいると考えられる。3 日目について 目標指向性 - .7 7 .36 授業での努力 .9 8 .18 は,F1 より,目標指向性が低く CE の意味が推測 第3回ワークシート得点 .16 - .9 9 できないと強く考えている場合,授業に努力しよう 正準相関係数 .98 .72 としている一群がいると考えられる。F2 より,正 準相関分析であるので正負を逆転して考えると,パターン化していても CE を使用してはい けないと強く考えたり,授業は有用ではないと強く考えたりしており,英語への苦手意識が 強く英語学習自己効力感が高いが,CE の意味は推測でき CE は有用だと強く考えている場 合,ワークシート得点が高い一群がいると考えられる。自由記述欄には, 「疲れた」, 「やりき った」, 「達成感がある」 「難しかったが,最後までやれた。よかった。 」などの感想が書かれて いた。また,3 日目には,CE だけで大半の説明などを行ったため,「先生の説明が分かりに くい。」と書いていた学習者がいた。さらに,こうした学習を通して,「分からないところが いろいろ分かってよかった。」「意外と分かっていない単語が多くあることが分かった。」「内 容がわかった。」などと書かれてあった。CE を用いた授業に慣れていない学習者もおり,CE が完全に理解できないことへの苛立ちを覚えた学習者がいると考えられる。初めて今回行っ たような授業を体験した生徒の中には,読んだ英語を書いたりして使用してみて,語法の大 切さなどに気づいた学習者がいたことが分かった。さらに,CE の意味が完全に理解できない 状況の中で,学習活動の難しさを感じながらも活動に集中し,達成感や楽しさを味わった学 習者がいることが分かった。さらにまた,「声に出しながら勉強しようと思う。」という学習 者もおり,使える英語を目指した学習への意識が高まっていることが窺えた。暗記に頼った 「楽しい」と感想 学習者の中にも,また,自分の言葉で英文を作ろうとした学習者の中にも, に書いていた者が複数いた。 6 考察 6.1 英語学習自己効力感と英語授業満足感 授業では,授業目標を学習者に伝えて授業の課題に取組ませ,取組まない学習者には個別 指導を行いながら学習成果物を作らせるように指導している。授業後,学習者に意見を求め ると,「わからん」「難しい」などの否定的な言葉を言う学習者もおり,授業者として教え方 に迷いを持つことがある。今回の授業でも同様の言葉を投げかけてきた学習者がいたが,実 際に分析してみて,学習者が授業を通して「英語学習自己効力感尺度」や「英語学習におい て,授業のレベルについていける」項目が有意に高まっていることが分かった。このことは, 学習者の中に,本授業で成功経験をし自信を高めて,英語学習への動機変容の改善を図れた 者がいると考えられる(岩本,2010)。また,満足度は,授業評価や学校評価などで使用される 基準の一つであり,授業などの満足度を上げることが目指されることがある(松河・齊藤, 2011)。本研究では,英語授業満足度は,2 日目から 3 日目にかけて平均値は上昇しているが, 統計的には有意とは言えなかった。また,英語授業満足度は,2 日目には英語学習自己効力感. - 82 -.

(9) と正の関係があったが,3 日目には英語授業有用性と正の関係があった。このことから,日々 の学習活動において英語授業満足感が関係する要因が変化していると考えられ,英語授業満 足感は安定した意味を持つ指標とは言えないであろう。 6.2 目標到達と英語授業努力 目標は,自信と授業努力,成績と正の関係があることが指摘されているが (Dörnyei, 1994), 表 3 の結果からそれと同様の関係が本研究でも基本的には見られたと言えよう。しかし,表 10 から,英語が苦手な学習者の中に,目標を念頭に置かないで英文を書こうとした一群がい ると考えられる。これは,目標は能力の低い学習者より能力の高い学習者の学習遂行に対し てより大きな効果があるという研究結果 (Lock, 1982) と一致する結果であると言える。ま た,表 2 と表 3 から,2 日目から 3 日目への変化から,学習者が授業目標を個人的な目標と して内在化させて動機づけが高まったと考えることもできる(Shunk, 1990)。しかし,表 9 と 表 10 の結果から考えると,2 日目の段階で CE の意味が十分に推測できなくなっていた学習 者の一群が存在しており,パターン化した授業の中で授業への取組の努力を行っていたと考 えられる。言い換えれば,こうした学習者にとっては,授業の目標が十分に理解できない状 況になっていたと考えられ,目標が本来持っている機能を果たせない授業環境となっていた と推測できよう。 6.3 小学校英語への期待 本研究の表 6 を見れば分かるように,小学校で,英語を日本語に訳していなければ CE の 有用性の認識は高まり,また,英語で指示や説明を行っていれば CE を当然なものと見なす 傾向があることが分かった。小学校での英語学習経験は,中等教育での英語力や動機づけに 影響しないとする研究があるが (静,2007;白畑,2002),早期教育が中等教育での学習意欲 を高めるとする研究もある (樋口・國方・三浦・北村・中本・守屋,1994)。本研究の結果で は,過度に一般化できないが,小学校で,日本語に訳さなかったり英語で指示や説明を行っ たりした場合,CE への肯定的な見方を学習者に形成し,中等教育の実際の授業活動において CE への抵抗感を軽減させる可能性があると考えられる。 6.4 授業における疎外感 疎外感 (alienation) は,自己または環境から離反したり分離したりしているという主観的 な感情であり (Galassi & Galassi, 1973),集団内における違和感や距離感として説明され, 教員への不満や講義内容への違和感,学業距離感などと関係していると考えられている (半 澤,2007)。本研究では,表 8 を見れば分かるように,英語への好感情尺度や CE の有用性尺 度と同じ因子になっている。同様に,授業からの疎外感を感じている場合,CE は有用であり 当然であると考えながら CE の意味を推測できない状況になっていると考えられる。言い換 えれば,疎外感を感じている場合,CE に対して肯定的な価値観を持ちながら十分に理解しき れないため,自己の価値と現状とが分離した状態になっていると主観的に認識していると言 えるであろう。 6.5 CE の使用率の上昇に伴う学習者の心理 授業方法及び目標は,2 日目と 3 日目とも同じであった。教師の CE の使用率は,2 日目に は約 6 割であったが,3 日目には約 9 割に高められた。調査 1 の結果から,学習者全体を 1 つとして見た場合,2 日目から 3 日目にかけて,学習者は,授業のレベルについていけると いう項目や英語学習自己効力感尺度,ワークシート得点は有意に平均値が上昇した。しかし,. - 83 -.

(10) 表 9 と表 10 を見ると,学習者は,2 日間に亘り,かなり厳しい心理状況の中で,学習に取組 でいた学習者もいたと推測できよう。 まず,表 9 と表 10 を見るに前に,正準変量のパターンの特徴から,表 9 の F1 が表 10 の F1 に相当し,表 9 の F2 が表 10 の F2 に相当していると推測できるであろう。このことか ら,本研究に協力してもらった学習者は,2 つの潜在するグループがいると推測される。1 つ のグループは,教師の CE の使用率が約 6 割であれば,教師の CE の意味を推測できないた め,授業のパターン化に頼って授業の課題に取組もうとするが,教師の CE の使用率が約 9 割になると,授業の目標も CE の意味も分からず,パターン化した授業であっても CE は使 わないでほしいと考えるようになっていた。もう 1 つのグループは,CE が聞き取れると考 えている学習者の場合で,英語への苦手意識を持ち,教師の CE の使用率が約 6 割でも英語 学習自己効力感が低く,個別指導しても CE を使用してほしくないと考えていたが,使用率 が約 9 割となっても,CE の意味が推測できるため,英語学習自己効力感を高めて,CE を当 然で有用なものと見なすようになり,個別指導すれば CE は使用してもよいとする考え方へ の否定を弱め,パターン化すれば CE は使用してもよいとする考え方への否定を強めていた ことが分かった。 これまでのことから,CE の意味が推測できない場合,教師の CE の使用率が約 6 割程度で あれば,授業をパターン化すれば授業の活動に参加すると考えられる。こうした生徒の場合, 教師の CE の使用率を約 9 割にすると学習活動を的確に行っていても,授業に対する不満が 高まると考えられ,さらに CE の使用方法や学習環境を工夫する必要があると言える。他方, CE の意味が推測できると考えている場合は,英語学習自己効力感や CE の有用感などが最 初は低くても,教師の CE の使用率を高める中で,英語学習自己効力感を高めたりするよう になる。そこで,こうした CE の意味が推測できる学習者のためには,CE を積極的に使用し た学習環境を提供する必要があると言えよう。また,CE の意味が推測しにくい学習者には, CE の意味が推測できるようになるための指導を行うと,学習者の学習に対する態度などが 改善できると考えられる。 本研究は,調査協力者数などのように限界があり,過度に一般化することはできないが, これまで述べてきたように,学習者の中には2つ以上の潜在的なグループがいると推測でき る。そのため,学習者の特徴を的確に把握し,学習者に合った CE の使用環境を工夫したり, 学習者が CE の理解力を伸長できるような指導を行ったりすることが大切であると考えられ る。また,それぞれの CE の使用環境には,例えば授業のパターン化などには限界があり, その限界を考慮に入れながらその学習者に合った指導方法を工夫していく必要があると言え よう。今後,教師の CE の使用率の影響について,数多くの学習者を対象にして,より精緻 化した研究を行っていきたいと考えている。 引用文献 Bryan, J. F., & Locke, E. A. (1967). Parkinson’s law as a goal-setting phenomenon. Organizational Behavior and Human PerformanCE, 2, 258 - 275. Dörnyei, Z. (1994). Motivation and motivating in the foreign language classroom. The Modern Language Journal, 78, 273 - 284. Galassi, J. P. & Galassi, M. D. (1973). Alienation in college students: A comparison of counseling seekers and nonseekers. Journal of Counseling Psychology, 20, 44 - 49. Locke, E.A. (1982). The ideas of a short work period and multiple goal levels. Journal of Applied Psychology, 67, 512 - 514. Locke, E. A., Frederick, E., Lee, C., & Bobko, P. (1984). Effect of self-efficacy theory to. - 84 -.

(11) resolve the conflict between goal setting theory and expectancy theory in organizational behavioral and industrial / organizational psychology. Journal of Social and Clinical Psychology, 69, 241 - 251. Oxford, R., & Shearin, J. (1994). Language learning motivation: Expanding the theoretical framework. Language Learning, 78, 12 - 28. Schunk, D. H. (1990). Goal setting and self-efficacy during self-regulated learning. Educational Psychologist, 25, 71 - 86. ベ ネ ッ セ (2015). 「 中 高 の 英 語 指 導 に 関 す る 実 態 調 査 2015 」 (https://berd.benesse.jp/up_images/research/03_Eigo_Shido.pdf) 藤田卓郎・吉田三郎 (2015).「英語の授業を英語で行うことに対する教師の心情」『福井工業 高等専門学校研究紀要人文・社会科学』No.49, 275 - 289. 樋口忠彦・國方太司・三浦一朗・北村豊太郎・中本幹子・守屋雅博(1994).「早期英語学習が 学習者の英語および外国語学習における態度と動機に及ぼす影響」 『日本児童英語教育学会 研究紀要』No.13, 35 - 48. 半澤礼之(2007).「大学生における学業に対するリアリティショック」 『尺度の作成キャリア教 育研究』No.25,15 - 24. 石井英真(2015).「教育評価とは何か」西岡加名恵・石井英真・田中耕治[編]『新しい教育評価 入門-人を育てるために』序章,pp.1 - 22,東京:有斐閣. 岩本尚希(2010).「外国語学習者の学習継続要因に関する一考察 : 言語学習ヒストリーから」 『桜美林言語教育論叢』No. 6, 29 - 43. 松河秀哉・齊藤貴浩(2011).「データ・テキストマイニングを活用した授業評価アンケートフ ィードバックシステムの開発と評価」『日本教育工学会論文誌』No.35,217 - 226. 文 部 科 学 省 (2017) . 小 学 校 外 国 語 活 動 ・ 外 国 語 研 修 ガ イ ド ブ ッ ク (http://www.mext.go.jp/a_menu/ kokusai/gaikokugo/1387503.htm). 文部科学省(2018).『高等学校学習指導要領解説 外国語編・英語編 (平成 30 年 7 月告示)』 (http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/ 2018/07/13/1407073_09.pdf) 森陽子(2004). 「大学生の自己効力感と英語学習方略の関係」 『日本教育工学会論文誌』No. 28, 45 - 48. 靜哲人(2007). 「小学校段階での英語学習が高校段階での英語学力および動機づけに与える影 響(Ⅰ)」『英語授業実践学の展開―齋藤榮二先生御退職記念論文集』pp. 66 - 77,東京:三 省堂. 白畑知彦(2002).「研究開発学校で英語に接した児童の英語能力調査」 『静岡大学教育学部研究 報告(教科教育学編)』No.33, 95 - 215. 杉山敏(2002).「2 教室英語」 米山朝二・杉山敏・多田茂『改訂版英語科教育実習ハンドブ ック』第 14 章, pp.207 - 215,東京:大修館. 鳥飼玖美子(2017).「年初等中等教育における英語教育の課題と可能性「英語の授業は基本的 に英語で行う」方針について」『学術の動向』No.22(11), 78 - 82. 土持かおり(2017). 「中学校における 「英語で授業を行う」 現状についての一考察」 『鹿児島 県立短期大学紀要』No.68, 53 - 67. 山森直人(2013). 「高等学校英語科授業における教師の英語使用に関する調査」『鳴門教育大 学研究紀要』No.28, 49 - 63. 山内信幸(2003).「指導補助手段」石黒昭博・山内信幸・赤松信彦・北林利治『現代の英語科 教育法』 第ⅩⅡ章,pp.154 - 169,東京:英宝社.. - 85 -.

(12)

(13)

参照

関連したドキュメント

グローバル化がさらに加速する昨今、英語教育は大きな転換期を迎えています。2020 年度 より、小学校 3

ところが,ろう教育の大きな目標は,聴覚口話

 その後、徐々に「均等範囲 (range of equivalents) 」という表現をクレーム解釈の 基準として使用する判例が現れるようになり

明治33年8月,小学校令が改正され,それま で,国語科関係では,読書,作文,習字の三教

週に 1 回、1 時間程度の使用頻度の場合、2 年に一度を目安に点検をお勧め

に関して言 えば, は つのリー群の組 によって等質空間として表すこと はできないが, つのリー群の組 を用いればクリフォード・クラ イン形

※ 硬化時 間につ いては 使用材 料によ って異 なるの で使用 材料の 特性を 十分熟 知する こと

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例