Lebesgue の収束定理の一般化について
新 関 章 (理学部教学教室) -一 一On a Generalization of Lebesgue's Dominated
Convergence
Theorem
Shozo N IIZEKI
WepaΓgma£of Ma£hematics.Faculty 0/ Science)
Abstract :In this paper we discuss a generalization of Lebesgue's dominatedcouerge几ce £heorem. We give a proof of the generalized theorem by using Fα£ou's lemma. There is・ however・ another proof shown by means of the uniformly i几£昭rable£heorem. which is given in §5 . In addition. we give two examples of application of the generalized theo-rem. One of them is concerned with the convergence in law in probability theory and the
other with the convergence in £軋(χ). ‥− ダ
§1.はじめに
(X. S,めを測度空間とする.以下,登場する関数は特にことわらない限りすべてX上で定 義された可測関数とする.さて,関数列{ /≫(X)} nごlがX上ほとんどいたる所fix)に収束 するとき,すなわち!im /, (.r)゜fix) (a. e・xEX)が成立するとき・Lebesgue の収束定理 (Lebesgue's dominated convergence theorem)は通常次の形で与えられる(Rudin[4]p. 27).
Lebesgueの収束定理.可積分関数g(i)が存在して (1) が成立するとき, (2) I fni.X川≦g(エ)(a.e.ズEX) 】im n-*<w
∼
/, (.x)-f{x) I dnix) = 0 が成立する. i● よく知られているように, (1)は(2)が成立するための1・づの十分条件にすぎない,(溝畑[3,] p. 113).この小論の目的は,条件(1)を少し弱めることにより・, (2 )が成立するための必要 十分条件が得られることを示すことである.すなわち,次の定理が成立する. 定理/可積分関数列[fnix))が可積分関数/(*)にほとんどいたる所収束する,すなわち, lim几(i)= fix-)(a.e.エEX)゛が成立するとする.そのとき (3) μかム(エ)−/(・)│如(’卜o66 高知大学学術研究報告 第33巻,自然科学 が成立するための必要十分条件は,可積分関数列{g。(功)および可積分関数g(x)が存在して 次の3つの関係式 (4) (5) (6) が成立することである. !血がx)=g(エ)(a.e.xEX) A兜Jじがx)如(ズ)=Jiがよ)如(・) |ム(エ)│≦凡(ズ)(a.e.エeX,≪ = l,2, .……:..) 明らかに(6)は(1)の一般化となっている.この定理の応用例は§4で与える.ところでこ の定理の証明は§2で与えるが,その考え方は通常のLebesgueの収束定理の証明と同様に行わ れ,初等的でしかも簡潔である.しかしながら,この定理の証明自体はすでによく知られている一 様可積分の考えからも得られる.その考えによる証明は§5で与えるが,§2での証明に比べいく ぶん複雑である. ・ §2.定理の証明 証明には次のFatouの補助定理(Rudin[4]p. 24)を必要とする. 補助定理 非負の関数列i/Ax)}に対して次の不等式が成立する.
(7) I liminf/n(;ir)rf^(x)^ liminf r fn{x)dfi{x)
定理の証明 必要性・. gn(^) = I/.(a:) I (≪= 1,2,…).g{x) = \f{x)\ とおけば仮定より (4), (5), (6)が成立する. ≒
十分性. (4)と(6)よりけix) I ^ gix) (a. & X・EX)および│ム(エ)−/(絹< gn(.エ) +け(ズ)│(a.aズEX,タフ= 1,2, ..….)が成立する.さて,hnix) = gn(x) +け{x)\-\fn{x)
-/(a;)│(≪ = 1,2, ..….)とおけば, lim gn(x) = g{x)およびLim・\fAx) -バズ)│=O(a.ax EX)であるから, (8) を得るl また,(5)より (9) 叫些りJ I liminり。,{x)dμ(x)= も
ダ・'xてx)\dm{x)
ゐ”(・)d″(・)= f g(x)d″(j;)゛jlL/u)ザ″(・,)二i分F)かノ;(・) - fix)\d″(・) を得る.関数列りh(x)}に対して補助定理を適用すれば, (8)と(9)より li?l!ipfl/nCぎ)−/(x)│如(x)so が得られる.これより(3)を得る. (証終) §3.定理の系 定理からただちに得られる系を2つあげる.しかしながら,これらは§5で展開される論法をそLe の収束定理 ・=一般化について (新関) 67 のまま適用することにより,命題5.2から直接証明することもできる.また,系2は§4で命題 4.2を証明するのに用いられる. 系1. /(x)は可積分関数. {fAx)}は可積分関数列でlim/,(≪) であるとする.そのとき,
fχ
叫
\fnix)- f{x)\d.μ(x)=0 が成立するための必要十分条件は, Mflム(x)│如(x)=Dμx)ld。(x) =/(x)(a.e.xEX) が成立することである. 証明, gn(x)=吠(x)│,g「功=」/(絹 とおいて定理を適用すればよし 次の系2は系1からただちに得られる. (証終) 系2. がx)および[fnix)]はそれぞれ非負の関数,および関数列で系1と同じ条件を満た しいるとする.そのとき / lim n-万∽ f 函(功一八釧如(x)=0 が成立するための必要十分条件は剛
が成立することである. fn{x)dμ(z)=f人功dtiix) §4.定理の応用例 応用例を2つあげる.1つは確率変数列の法則収束に関するもの(,命題4.1 )で,他は び□?“)(夕≧1)空間における£″一収束に関するもの(命題4.2)である.これら2つの命 題はいずれもすでによく知られている事実である.それにもかかわらず,わざわざここにもち出し た理由は,この定理およびその系を用いるとこれらの事実は比較的簡単に証明できることを示すた めである. さて,命題4.1をのべる前に法則収束の定義をあげておこう. 定義4.1 . Fz。(x)および F(x)をそれぞれ確率変数列{Z。}および確率変数Zの分布 関数とする。いまFzix)の任意の連続点xに対して limFz (*) = Fzix) が成立するとき Z。はZに法則収束するという(Tucker[5]p. 99) 命題4.2. {h。(Z)}を確率変数列{Z。l の確率密度関数列, hU)を確率変数Zの確率密68 高知大学学術研究報告 第33巻 自然科学 度関数とする。そのとき ・。 1im臨(Z)=ぬ(Z)(a.e.ZE7?=(二。。ン。。))‘ が成立するならば乙 はZ法則収束する。 。証明 瓦,およびFをそれぞれZ。・および Zの分布関数・とする。そのとき F。(x)=jT゛ゐ。(z)dt, F(z)=JT゛`ゐ{t)dt であるから次の不等式 (10) \Fn(功−F(・)づこ。\hn{t) -hiね│ぶ(1'e原・ を得る。またみ。(ズ)とh{x)は確率密度関数であるから f゛ん。(z)dz=f’力{t)dt= 1 (≪ = 1, 2, ..…。) が成立し,これより系2を(10)に適用すれば,次の式 を得る.従って
叫仁臨(″)一山)リ40
l i m − ゛ a ≫ 瓦,(x)=F(x)(エ∈7?) が得られてZ。はZに法則収束する. 次に命題4.2への準備としてび(夕≧1)空間を定義する. 定義4.3 .空間X上で定義された可測関数uix)で, 全体をび(X)とかく.ただし戸≧1である. (証終) り〕“(・)│りμ(z)く・・を満たすものの 命題4.4 . uixう(x = (Xu X2,…,み)ER“)はだ上でほとんどいたるところ連続でしかも u(:x)∈が(R“)とする.そのとき, 5= (5i,52,…,∂y)∈’だとすると (11) lim r ・'│“(゛゛∂)−“G)[″臨(1).=0 が成立する.ただし │∂│=(δ7+……+aj)・7ある. 証明.{∂j・を臨ト0(n-・・}なるだにおける任意の点列とし, /,(:≪:)= \uix +3J-uix)に,れx)≡0, g^ix) = 2''-\\uix +δ.)│″+㈲x)に),g(z)=2゛柚(x)│″ とおく.
そのとき. !些八ix) = Ax) (a. e、xeRw)、\fnix)\^g,、(x) (x∈が'), Wmg,・(1)=、gix). (a. e. X ^だ)および1呵八″&(゛)如(功゜2スバ│“(゛)│?″(ヤTJI″がx)dti{x)が成立
Lebesgueの収束定理の一般化について (新関) 69 する。従って,卜(x+δ。)−z4(x)じ=ム(ズ)=1ム(x)し/(x)│であることを考慮‘して,定理 を適用すれば, l i m 呵 - ● ∞ 」)│“(1;゛‘'”) ̄“(x)\り″(1)べきjl″│ムG) ̄/(1)ldμ(1)゜o となって, (11)が成立する. (証終) よく知られているように,命題4.4の結果(11)は一般の t4 E L”(R“)で成立する.しかしそ の証明にはいくぶん準備が必要であり,直接Lebesgueの収束定理を適用するわけにはいかない (黒田[1.]p. 44). §5.一様可積分性に基づく定理の証明 以下に述べる一様可積分の定義およびそれのもつ性質(命題5.2)は主に西尾[2](p.94-97)を 参考にした. 定義b .^. M・は有限測度,すなわちμ(X)<・・とし,・X上四関数列{£(x)}が次の条件
lim sup I八(功\dfi{x)゜o. B,(r)゜{・│ \fnix)\^r}
を満たすとき,関数列{八(x)}は一様可積分であるという. この定義から一様可積分に関する次の性質が導かれる. 命題5.2 .μ(X)<”で!些八ix) = /(エ)(a.e.xex)とする.そのとき次の3 ゛s)の条件吟 同等である. ` (12) (13) (14) 関数列{ム(エ)}は一様可積分である, 叫ハム(ズ)−バx)\dix{x)゜o・
吋で1ム(’)涛(’)づン
以上の準備のもとに2つの補題を経て定理の証明に至る.その前に定義関数 ち(x)と測度の (7−有限性を説明しておこう.まず,£が可測集合のときバE(x)は次の式で定義される. 4(ズ)={ y xeE ズEX−£ 次に・測度″が゜’有限であるとはμ(x・)<゜゜・X.⊂X・・l(”゜1・2・‥…‘)・.ΞX.゜Xを 満たす可測集合列{xj が存在するときをいう.. `・Unix) - U(功│力G)=0 70 高知大学学術研究報告‘ 第33咎 自然科学 ‘補題5.3.μが0−有限測度のとき,ん(ズ)>O(XEX)かつゐ(x)EZ,l(X)となる関数h (x)が存在する.ただし μ(X)=・・とする. l 証明。仮定よりn= 1, 2 ,・……1こ対して次の3つの条件1) X。EX。。,,2)μ(χ。.l−χ。)>0, 3)こx。=xを満たす可測集合列{xj・をとることができる。この集合列{xjに対して関 数hix)を ・ ¶ ん(x)=叉匹言二万x (リ で定義する.そのとき h(エ)>O(xEX)であり,しかも 力(z)∈£l(X)であることがわか る. .. (証終) 補題5.4. /(x)∈L'(X)であるとき集合ノl={xlけ{め│>O}・は測度zjに関してに有 ● 1 ● ● 限集合である.すなわち, n = 1, 2 に対して凡⊂し4ムj,μ(凡,)<.・.,ミ凡=jを満たす可 測集合列{凡}が存在する. 証明 A, = {x目μx)ト士}(≪ = − −。ノ1。=/1 同-1 ¨ £l(X) ・・”’yl ” はすぐわかる.ところで であることがら, 1,2 几 │μエ ) とおく/これより /1.⊂■^n +l )\dnix)心上/Ji{A。)であることと ″(/1”)sづ41/(・)│命(・ X バx)dti{功く.゜゜ が成立する.従ってはじめに定めた集合列{AJが求めるものであ’る. .4 ,ミ い・ 以上2つの補題をもとに,定理は次のように証明される. および /(x)∈ (証終) 定理の証明. 必要性の証明はら(x)=│がz)│,g(y)=,│/(x)|とおくことにより§2にお ける定理の証明と全く同様に行われる. 十分性の証明は以下のように3つの段階を経て行われる.▽ ” (a)μ(X)く・・の場合.命題5・.2の(14)→(12)を定理の条件(5)に適用すれば,関数列 {g。(x)}は一様可積分となり,同条件(6)より関数多1」{/≫ (x)トも一様可積分となる.・従ってそ れに命題5.2の(12)→(13)を適用すれば定理の(3)が得られる. (b) L・がに有喰測度の場合.補題5.3のみ師をとり,し(£)=jT力(ズ)如(x)(£Es) とおいてs上の集合関数lノを定義する.そのときheL'(x)であるから,y(x)=工力(z)如(エ) くー・となって y はS上の有限測度となる.ところで.X上の可積分関数u{x)に対して は 犬 u(x) = により (15) u{x)dv{x) = よ “{x)h{x)dμ(・)・が成立する'坏‘),て'“.(゛)゜hix\ エ 叫 Vn(x) = 一gnix) 力(エ) とおき,ち,ら. u,ひ に対して上の(a)と同じ論法をたどること
Lebesgueの収束定理の一般化について (新関) を得る.ところで次の関係式 J11ム(1) ̄/(゛)│中(・)Tjiljyぶと ̄器│力(x)dM(x卜/. l“”(1) ̄“ix)\dKx) 71 が成立するから(15)より limf !/,(エ)−/で川如(功=o を得る.これより定理の(3)が成立する. (c)助み般の場合.y=ふGI&(ズ)>O}−{刻g(エ)>O}とおく.そのとき,&(z), g(z)∈£I(X)02=1,2,‥‥・.)でありしかもこれらの関数は非負であるから,補題5.4より yは測度 μ に関して(7-有限集合である.さてλ=川y,すなわち μをS͡Y=[E͡y |£ES}上に制限した集合関数を λ とおくと,λ はS͡y上の測度となって,測度空 間(yS͡y,りが得られる.そのとき,yがzzに関して(7-有限集合となる. 従って(b)と同じ論法をたどることにより (16) 叫JJLノQ(・)−が・)\dXiエ)=o i,│ム(z)卜島(x),│バズ)卜g(x)であることと J〕八{.x) - Ax)\dX{x)司万│ム(゛) ̄/u)│伽(功 を得る.ところが,│ム(z)卜島(x),│バズ)│り(x)であることとyの定義のしかたから を得る.よって(16)より定理の(3)が成立する. (証終) 謝辞.本稿を草するにあたり,大阪大学の渡辺毅教授からいろいろと有意義な御注意をいただ いた.特に§5の内容は同教授が御指摘して下さったことがらをまとめ上げたものである.ここに 同教授に対し,深く感謝の意を表します. 参 考 文 献 [1]黒田成俊,関数解析(共立数学講座15),共立出版, 1982. [2]西尾真喜子,確率論,実教出版, 1980. [3]溝畑茂,ルベーグ積分(岩波全書),岩波書店, 1973.
[4]Rudin, W., Real and ComplむχAnalysis, McGraw-Hill Book Company, New York, 1974.
[5]Tucker, H. G., A Graduate Course in Probability, Academic Press, New York, 1967.
(昭年59年9月30日受理) (昭和60年1月21日発行)