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ブラウン管破砕カレットを利用した放射線遮蔽材開発、実用化へ前進

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Academic year: 2021

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同時発表: 筑波研究学園都市記者会(レク) 文部科学記者会(資料配布) 科学記者会(資料配布)

ブラウン管破砕カレットを利用した放射線遮蔽材開発、実用化へ前進

-リサイクルしたテレビのブラウン管の放射線遮蔽利用へ民間が技術開発-

平成24年3月12日 独立行政法人 物質・材料研究機構 概要 1.独立行政法人物質・材料研究機構(理事長:潮田資勝)の元素戦略材料センター資源循環 設計グループ(グループリーダー:原田幸明)は平成23 年 7 月に、家電リサイクル法で 集められた使用済ブラウン管テレビのブラウン管ガラスから得られるガラスカレットが放 射線の遮蔽に有効であることを確認し、その放射線遮蔽能力を生かした材料の開発を提案 していたが、民間企業がこの提案を受けて二種類の材料を開発した。 2.ひとつは、清水建設株式会社(代表取締役社長:宮本洋一)による「ブラウン管破砕カレ ット利用コンクリート」である。これは、コンクリートの原材料の一つである骨材として ブラウン管破砕カレットを利用し、従来のコンクリートとほぼ同じ強度を保ちながら透過 放射線量を50cm の厚みで従来のコンクリートの半分程度、100cm の厚みで 1/4 程度に落 とすことができる能力を持っている。このコンクリートは建物などの建築構造用に使用す ることは現時点では考えていないが、汚染した瓦礫や土壌の集積や格納、汚染水ピットの 蓋、などプレキャストコンクリートとして多様な遮蔽用途が期待される。 3.いまひとつは、株式会社R JAPAN(代表取締役:知念武志)による「ブラウン管破砕カレ ット利用遮蔽用防水材」であり、これはブラウン管破砕カレットを樹脂に埋め込んだもの で、透過放射線を半分に減らせる厚みである半価層に必要な重量が鉛や鉄、従来型コンク リートより一割以上軽量になる。また表面が平滑であるため放射性物質の表面付着時も洗 浄し再利用できる。 4.コンクリート利用の場合は鉛の溶出が懸念されるが、コンクリート供試体の状態で土壌汚 染対策法の基準値以下の溶出に抑えられることも確認されている。

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2 1.背景 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故から1 年が経過し、また広域の除染への取り組み が本格的に始まる中で、除染して集められた放射線汚染物質の隔離等放射線遮蔽の問題はますま す重要になってきている。 このような中で昨年7 月に当機構が発表した、テレビの地デジ化で大量に発生した廃テレビの ブラウン管に使われていた鉛ガラスカレットを利用した遮蔽材の可能性が、民間企業の努力で素 材として具体化された。ひとつは、清水建設株式会社による「ブラウン管破砕カレット利用コン クリート」であり、もうひとつは株式会社R JAPAN 社による「ブラウン管破砕カレット利用遮 蔽用防水材」である。 テレビのブラウン管には視聴者を放射線から守るために鉛が10 数%から 25%入ったガラスが 用いられている。この廃ブラウン管カレットは精製されてから,船舶で海外に輸出されているが, 遮蔽材として再利用の可能性を東京電力福島第一原子力発電所事故直後の4 月に社団法人未踏科 学技術協会・エコマテリアルフォーラム(理事長:木村茂行)が提言し、それを7 月に独立行政 法人物質・材料研究機構、元素戦略センター資源循環設計グループ(以降、物材機構と略す)が 株式会社アトックス(取締役社長 矢口 敏和)の協力のもと遮蔽効果があることを実証し、遮蔽 用素材の開発を呼びかけてきた。それをうけて民間企業二社の努力で、このブラウン管破砕カレ ットを用いた放射線遮蔽コンクリート等が開発された。 2.ブラウン管破砕カレット利用コンクリート 清水建設株式会社は物材機構の提案を積極的に取り上げ、コンクリートの骨材としてブラウン 管破砕カレットを用いた。なお、ブラウン管破砕カレットは財団法人家電製品協会の会員会社の ご協力によりご提供いただいた。 遮蔽試験に用いたコンクリート①はカレットを用いない普通コンクリート、②は骨材の多くの 部分を粗カレット(図1 の GC1)と細カレット(同 GC2)に入れ替えたもの、③はさらに、粗 カレットの比率を高めた上に粉砕したカレットの粉体(同GC3)を加えたものの三種である。な お、コンクリートは清水建設株式会社の経験と技術を生かして、これらの骨材原料以外にセメン トや水などを適切に配合し、普通コンクリートと同等以上の品質を確保することができた。 細カレット(GC2) 粉体(GC3) 粗カレット(GC1) 図1 鉛ガラスカレット

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3 放射線の遮蔽試験は、株式会社アトックスの60Co 照射室内で行ない、0. 8 ペタベクレル(PBq) のコバルト線源から空間線量率約40Gy/h(ギガグレイ毎時)の位置に線量計を設置し、その前 方に厚みを変えた供試体を置き、空間線量率の減少から遮蔽能力を調べた。(図2) その結果が図3 であり、②と③の違いはほとんどなかったが、①の普通コンクリートに対して は約1 割の厚みを削減しても同等の透過率となることが確認された。 また、この結果から F= exp( -μxt ) の関係で表される遮蔽体の線減弱係数μ(単位 cm-1) を得て、普通コンクリートと比較すると図4 のようになり、同じ 100cm の厚みで用いると透過 放射線量は1/4、50cm の厚みでも 1/2 に減少することが分かった。

線源(

60

Co)

供試体

図2 放射線遮蔽試験 0.001 0.01 0.1 1 0 10 20 30 40 50 60 透過率 厚さ( cm) 鉛 ① ②,③

44

PbGC コン

普通コン

図3 放射線透過率の試験結果 (鉛板および普通コンクリートも併記)

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4 3.ブラウン管破砕カレット利用遮蔽用防水材 株式会社R JAPAN は、同社が取り扱っている「高分子 2 液型フレックスフライアッシュ防水 材」の技術を応用し高分子中にブラウン管ガラス破砕カレットを埋め込んだ遮蔽用防水材を開発 した。図5 は、遮蔽能試験に供した遮蔽用防水材(矢印の板の部分)である。試験は同じく株式 会社アトックスの協力で行った。 図4 普通コンクリートと比較した透過放射線の強度比 図7 放射線遮蔽能力の試験結果(鉛板および普通コンクリートとの比較) 図5 鉛ガラス入り遮蔽用防水材 (厚み 1cm)

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5 その遮蔽能として放射線透過率と厚みとの関係を図6 に示した。この結果は、放射線の透過量 が1/10 になる厚みは 28.6cm、1/100 になる厚みは 57.3cm であることを意味している。 これを他の素材と比較したものが表1 であり、同等の遮蔽効果に対して高分子を用いているた めに他の素材に比してより軽量にすることができている。 また、高分子中に鉛ガラスが埋め込まれているために、使用時の鉛の溶出や、さびだすことが なく、さらに、高分子によって防水性を確保しているために、水とともに放射性物質が中にしみ こんだり、強固に固着することもない。 4.溶出試験 ここで遮蔽能を発揮しているものはブラウン管ガラスの中に10 から 25% 添加された Pb(鉛) である。そのためにこの鉛が使用後に土壌などに溶出しないように注意する必要がある。 図6 遮蔽用防水材の放射線透過率と厚みとの関係 表1 各素材との比較 遮蔽材 比重g/cm3) 半価層(cm) 半価に必要なm2当り重量 本材料 1.43 8.6 123kg 鉛 11.3 1.2 136kg 鉄 7.87 2.0 157kg コンクリート 2.3 6.1 140kg

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6 清水建設株式会社では製品のライフサイクル管理の観点から使用後を想定したの「ブラウン管 破砕ガラスカレット使用コンクリート」の鉛溶出試験を行っている。(表 2) その結果を図7 に記すように、JIS K0058-1 にもとづくコンクリート供試体のままの「有姿」 の試験では、紛体を混合させた資料③タイプのコンクリートにおいても、0.01ppm をはるかに下 回る鉛溶出量であることが確認されている。 5.利用例 上記の留意点を踏まえると、今回開発された材料は原子力発電所の敷地内もしくは、集中的な 処置が求められる放射性汚染物の中間処分、最終処分における隔離層や遮水層等ヘの利用が考え られる。 敷地内においては、汚染瓦礫処理の一時遮蔽や、格納、汚染水ピットの蓋などに図8 に示すよ うなプレキャストコンクリートとしての利用が考えられる。 土壌、汚泥などの放射性汚染物質の集中処分場においては、図9 に示すように、汚染物質を固 化、もしくは容器に入れたものから放射線の外部放出を遮蔽する材料として使用することが期待 できる。 表2 使用後を想定した鉛溶出試験の方法 (1)検液の作成 ・JIS 法:JIS K 0058-1「スラグ類の化学物質試験方法- 第1 部:溶出量試験方法」5.利用有姿による試験 (2)検液の分析 ・Pb : JIS K 0102-2008 54.4 ICP 質量分析法 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 Pb 溶出 量( m g/L ) 配合No. ① ② ③ 0.001 ↑廃棄物処理法 基準値0.3mg/L <0.001 ↓土壌汚染対策法 基準値0.01mg/L 図7 JIS K 0058-1 による鉛溶出試験結果 ① カレットを用いない普通コ ンクリート ② 骨材の多くの部分を粗カレ ットと細カレットに入れ替 えたもの ③ さらに粗カレットの比率を 高めた上に粉砕したカレッ トの粉体を加えたもの

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7 6.謝辞 今回の取り組みを進めるにあたって、最初の提案者である社団法人未踏科学技術協会・エコマ テリアルフォーラムはもとより、知恵を出し合ってくださった建設会社、プラント会社、セメン ト会社、そのような知恵を集める機会を与えてくださった経済産業省の放射性廃棄物対策室、さ らに試験に向けてご助言くださったリサイクル推進課、情報通信機器課の方々、試験資材を提供 してくださった財団法人家電製品協会の会員会社およびパソコンリサイクル関係の皆様に感謝の 意を表すとともに、それらの仲立ちを務めてくださった財団法人原子力研究バックエンド推進セ ンター(RANDEC)の皆様に感謝の意を表するものです。 用語説明 1)ブラウン管ガラスカレット ガラスを砕いたものをカレットと言い、ブラウン管に使用されている鉛ガラスを砕いたものが 鉛ガラスカレット。ブラウン管の電子銃からは微弱な放射線が出ているために視聴者に悪影響を 与えないように鉛やバリウムなどγ線遮蔽性の高い元素が加えられている。ブラウン管の後部の ファンネル部では25%近くの鉛が含まれ、平均でも 10%近くになる。 図8 プレキャストコンクリートの例 (普通コンクリートのもの)

浸出水高度処理

吸着層の設置

地下水・保有水上部埋立

遮水・隔離層

容器

固化

図9 放射性汚染物質処分場での適用例 この部分に適用

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8 2)空間線量率 対象とする空間の単位時間当たりの放射線量を空間線量率という。放射線の量を物質が放射線 から吸収したエネルギー量で測定する場合、線量率の単位は、Gy/h(グレイ/時)。なお 1Gy は被 曝線量から見るとほぼ1Sv(シーベルト)に当たる。 連絡先 (研究内容に関すること) 独立行政法人物質・材料研究機構 元素戦略材料センター 資源循環設計グループ グループリーダー 原田幸明 TEL 029-859-2668 E-mail: [email protected] (報道担当) 独立行政法人物質・材料研究機構 企画部門 広報室 〒305-0047 茨城県つくば市千現 1-2-1 TEL: 029-859-2026、FAX: 029-859-2017 (各団体、会社の説明と連絡先) 社団法人未踏科学技術協会・エコマテリアルフォーラム 先端的科学技術の多分野にわたって総合的、基礎的又は共通的な調査研究、情報の交換、成果の 普及を行うことにより、未踏分野の科学技術の振興を図り、科学技術の進歩発展に貢献することを 目的とする社団法人。エコマテリアルフォーラムは、その中にあって、気候・資源リスク回避に 向けた材料開発のエコイノベーションの創造につながる物質・材料技術およびそれに関連する社 会技術を実践し普及させることを目的としており、2011 年 4 月 11 日に「放射性物質封じ込めに 『都市鉱山』の活用を」としてブラウン管ガラスカレットの利用を提唱している。 理事長 木村茂行 連絡先 〒105-0003 東京都港区西新橋 1-5-10 新橋アマノビル 6F

Tel: 03-3503-4681、Fax: 03-3597-0535。E-mail: [email protected] 株式会社アトックス 原子力発電所保守管理・放射性物質取扱関連業務を行う株式会社 連絡先 〒277-0861 千葉県柏市高田1201 株式会社アトックス 技術開発センター 技術開発部 河村 真吾 TEL:04-7145-3330 FAX:04-7145-3649

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9 E-mail:[email protected] 清水建設株式会社 建築・土木等建設工事の請負を事業内容とする総合建設業 連絡先 広報部 〒105-8007 東京都港区芝浦 1-2-3 シーバンス S 館 TEL: 03-5441-0349(広報部直通) 株式会社R JAPAN エコロジー及び関連機器及び関連商品の企画・開発・製造・販売を事業内容とする株式会社。 エコ防水ボンド、エコ弾水材、エコ防水セメントなどを取り扱っている。 代表取締役 知念 武志 連絡先 専務取締役 中村 豪 〒901-2222 沖縄県宜野湾市喜友名 1-29-5 TEL: 098-892-3559、FAX: 098-894-7555 E-Mail: [email protected]、http://www.r-jpn.com

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参考

) 廃ブラウン管処理の流れの例

shipping

ビリガラス

含金属部位

(目視分離)

粉体(15%)

粗カレット

細カレット

Hummer crusher

パネル

/ファンネル切離(ニクロム加熱)

Dram Shaker (共摺破砕)

貼り付け物削り取り

参照

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