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メモを活用して能動的に聞く力を育む中学校国語科授業に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)メモを活用して能動的に聞くカを育む中学校国語科授業に関する研究                              教育実践高度化専攻                              授業実践リーダーコース.                              P09030H                              中西 直子. 1 研究の背景.   第3章 単元のデザイン.  1989年度版の小中学校学習指導要領におい.   第4章 授業の実際. て、文部科学省は,音声言語の指導を重視する.   第5章 授業の考察. 姿勢を打ち出した。以来20年間に渡り,教育.   終 章 研究のまとめと今後の課題. 現場では「話すこと聞くこと」の学習指導に関心. 4 研究の概要. が集まり,討論を中心とした表現の授業が隆盛.  序章では,研究の全体像を示した。. の傾向を示している。しかし,現在教室で行わ.  第1章では,国語科教育に求められる今目的. れている学習は「話すこと」の指導であり「伝. 課題であるコミュニケーション能力とはどのよ. え合い」までに至らない原因として「聞くこと」. うな力か先行研究を概観し,言語技術指導に着. の指導不足が指摘されている。また,「話すこと. 目する意義を考察した。次にメモの取り方を中. 聞くこと」は他の領域に比べて発達度や到達度. 学校段階で取り立てて指導する教育的意義を抽. がはかりにくい。「話すこと聞くこと」の能力に. 出し,「討論に生かすメモの技術」を選定した。. 関する調査不足も指摘され,今後どのような能. さらに,メモの技術と密接な関係にある聞くカ. 力の育成が課題か検討の余地が残されている。. とはどのような力か先行研究を基に検討した 「能力表」を作成し,本研究における「能動的. 2 研究の目的と方法  本研究では聞く力を高める1つの要素である. に聞くカ」とは「他者を理解し,関係を築ける. メモを取るカに着目した。本研究の目的は,メ. ように能動的に関わる行為(質問したり反論し. モを活用して能動的に聞く力を育む単元をデザ. たりしてお互いの合意点を見出す行為)」と定義. インし,その使用実践から単元の有効性を検証. した。そして,批判的に聞く力・創造的に聞く. することである。その方法として以下の手順に. 力・合意形成をめざして聞く力を身に付けたい. 従って研究に取り組む。. 力と規定し,rメモを活用して能動的に聞く力を. (1)中学校国語科において,メモの技術を扱う教. 育む授業」の理論的背景を整理した。.  育的意義について整理する.  第2章では,現任校の中学校3年生を対象に. (2)生徒の討論時における意識・聞く力・メモの. 行った実態調査から,生徒に身に付けたい力と.  技術の実態調査から,身に付けたいカを抽出. して「批判的に聞くカ」「創造的に聞く力」「構.  し,それを踏まえた上で単元をデザインする. 造的にメモを取る技術」等6点を抽出した。. (3)統計処理や生徒の記述内容・インタビュー内.  第3章では第2章で抽出した身に付けたいカ.  容から単元の有効性を検討する. を育成するために,3段階(①素早く簡単に取. 3 論文構成. る②付加づけする③構造的に取る)に分けた「メ.   本報告書は,次の7章で構成した。. モの技術」を習得活用していく単元をデザイン.   序 章 問題の所在と研究の方法・目的. し,マップメモを用いて討論活動時に「疑問に.   第1章 聞く力を育む理論的背景. 思うところを確認したり質問したりする」能動.   第2章 生徒の意識調査. 的な関わりが生まれる授業モデルを提案した。. 一58一.

(2) 単元「能動的に聞く力を身に付けよう」I0時間. 第1次. 一次メモ(省略・表など)を用いて正確に. (1時間). 第2次 第3次. 二次メモ(付加づけ)を用いて選択・判断.  1クラスを抽出して,パネルディスカッショ ン時に使用された生徒の「メモの技術」を分析. しながら聞くカを身に付けよう 三次メモ(マップメモ)を用いて発信する. し,発言した生徒のメモの特徴を抽出した。そ. ために比較して聞く力を身に付けよう. の結果,「構造的にメモを取る」技術に加え「自. メモの技を活用して「パネルディスカッ. 分の意見を書く」などのr発信するために付加. (3時間). 第4次. 力が形成されていくことが確認できた。.  3発言した生徒の特徴的なメモの取り方. 聞く力を身に付けよう. (1時間). に生み出したりする効果があり,能動的に聞く. (5時間). する」技術を身に付けると,積極的な発言へと. ション」に挑戦しよう.  マップメモとは,聞いた内容を自分の申に位 置づけ,自分の考えとの近さ遠さ・賛否などを 判断してメモを書く場所を工夫する方法である。.  第4章では,第3章でデザインしたマップメ モを用いた授業実践から,自分と他の意見を比. 較して共通点や相違点を探しながら聞くには r構造的にメモを取る」と効果的であることが 示唆された。また,パネルディスカッションの 授業実践から,メモを構造的に取ることにより 思考が整理され,質問したり反論したりする交. 結びつくことが確認された。.  4討論時における生徒の変容   「聞く」という行為を考える評論文を学習し. た前後で,コミュニケーションに対する意識の 変容をイメージマップにより分析した。生徒に 「話す・聞く」は表裏一体であるという認識が 広まり,コミュニケーションを図る上で「聞く」. r理解する」ことの重要性が理解された。討論 の中では「能動的に聞く」行為として,「さらに. 質問する」r反論をする」r合意点を見出す」様 子が見られた。討論後のインタビューでは,相. 流活動が活発になることが確認できた。.  第5章では,各検証結果から,単元の有効性. 手の受け答えを予想して聞くことが重要だとの 回答を得た。さらに,討論の振り返りを行うと. を導き出した。. メタ認知が促進され,よい話し方・聞き方が認.  1身に付いた聞くカとメモの技術  すべての授業に参加した75人を対象に,第4 章で作成し直した「聞く力25」と「メモの技術 13」を用いて事前事後と自己評価させ,対応の. あるt検定を行った。すると,ほぽすべての項 目に有意な差が見られた。平均値の伸びから討 論活動には,「メモの技術」の中でも特に構造化. して取る技術が必要だと特定された。r聞く力」 では,特に「吟味分析」「交流」段階に効果が表 れた。また,「メモの技術」と「聞く力」には, 相関があり「メモの技術」を身に付けると「聞く. 識されることが確認でき,討論活動は他を認め 合う人間形成に役立つとの視座を得た。. 5 研究のまとめと今後の課題  以上のことから,討論指導の大前提となって いる力は聞くカや思考カであり,rメモの取り方. を授業に取り入れることによって,生徒の聞き 方へのメタ認知が促進され,討論活動時に思考 を深め能動的な関わりが生まれる」という点に おいて,この単元は有効であると結論づける。 「聞くこと」は場面や目的によってその方法が 異なる。今後は,r討論に生かすメモの技術」を. 力」が高まる傾向にあった。. 精緻化し,さまざまな目的や場面に応じた実用  事後調査で行った生徒の自由記述内容の分析 から「メモの技術」を身に付けると,理解を深 めたり自分(聞き手自身)の意見や考えを新た. 教材の開発・学年配当の再検討を行い,新たな 教材を用いた単元開発に取り組みたい。.      修学指導教員 増澤康男・溝邊和成      指導教員   溝邊和成. 一59一.

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