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教員養成系大学における教職志望意識が低い学生の教育実習の意味に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)        教員養成系大学における. 教職志望意識が低い学生の教育実習の意味に関する研究  学校教育学専攻 臨床心理学コース.    M09048G    荒井聖司朗. 1.問題と目的. 附属小学校への実地教育を履修する者かつ教職.  青年期は、同一性の感覚が失われる中で、お. 志望が低下している者を対象とした。教職志望. とな社会から自分にあった社会での在り方を見. の低下については、調査用紙に1∼3回生時は. つけていくアイデンティティの形成、主に職業. じめの教職志望の変遷を(1.教師になりたい∼5、. 選択に取り組むモラトリアムの時期と捉えられ. 教師になりたくない)の5段階評価を記入する. る。そして、自分の社会での役割を見つけてい. 欄を設け、3回生時に(4、教師にあまりなりたく. くこの作業、トライアル・アンド・エラーの最. ないもしくは5.教師になりたくない)を選択し. たるものとして教育実習が挙げられるだろう。. ている者を教職志望が低下したとみなした。. 実習前後の教職志望について調べた中野(2000)、. (2)手続き インフォームドコンセントで書面. 前中後の意識変化を調べた長谷川・浅野(2008). をとり、1回基本60分程度とし、場合によって. のアンケート結果からは、学生が進路に迷いな. は50∼90分の範囲で半構造化インタビューを. がら、実習を役割実験として機能させているこ. 行った。回数は教育実習の前に2回、教育実習. とが窺える。. の後に2回の合計4回を基本とした。具体的に.  しかし、教育実習についての研究は量的なも. はライフストーリー・インタビューの手法を用. のばかりであり、萱原(1991)も実習生自身の詳. いて、教職志望の変化、過去から現在の教員養. しい報告や実習の持つ意味についての研究が海. 成系大学に至る過程、実習の様子、これからの. 外においてもほとんどなく、あっても統計的で、. 進路等を聴いていった。調査協力者の了承を得. 個人の体験が具体的に浮かび上がってこないこ. てICレコーダーに録音し、逐語録を作成した。. とを指摘している。志望意識の高いもしくは高. (3)質問内容 半構造化の質問内容は、以下の通. まった、教員養成にとって理想的な学生ばかり. りであった。. がピックアップされ、そうでない非志望や低下. ①小中高の生活史. した学生は統計図表の隅のほうにおいやられて. ②大学生活. いることも少なくない。. ③実地教育前の不安について.  そこで本研究では、今まであまり省みられな. ④実地教育中について(週ごとに分けて). かった教職志望意識の低下した学生の教育実習. ⑤実地教育後の実習への意味づけ. の意味づけ、アイデンティティの発達プロセス. ⑥今後の進路について. について、ライフストーリー・インタビューを. 4.結果と考察. 用いて、ナラティブの観点から検討した。.  調査協力者のプロフィール、教職志望の変遷. 2.調査方法. と意味づけは、以下の通りである(表1参照)。. (1)対象者 大学3年次の者で、大学近隣にある. 一g8一.

(2) 表1調査協力者のプロフィール,教職志望の変遷と実習経験の意味づけ 実習経験の意味づけ 教職志望の変遷 性別専攻. A  女性芸術. B  女性社会. (1年はじめ)2 (2年はじめ)4 (3年はじめ)5. 教育の「難しさとすごさとか深さ」がわか. (実習後)3. にしたがった。. (1年はじめ)4 (2年はじめ)3 (3年はじめ)5. り、自分には無理だと思った。でも高校の 美術教師を考えているので、そちらを先. 企業就職と教職が「50:50」になった。. (実習後)3. C  女性社会. (1年はじめ)1 (2年はじめ)3 (3年はじめ)5. (実習後)1. D  女性心理. (1年はじめ)3 (2年はじめ)4 (3年はじめ)4. (実習後)3.5. 今まで人の目を気にしていたが、それで は子どもと問われない。現段階で100%で なくてもいい。. 今までは志望している心理職の視点で学 校を批判的に見ていたが、先生の働きか けを見ていると、負のイメージだけでなく なった。.  進路意識に差はあったものの、どの協力者も.  調査を実施した教育大は教員採用率が国内で. 実習において実習生アイデンティティの再構成. も非常に高いこともあり、周りが教職を志望す. を成し遂げた。そしてその結果、教育実習を肯. るその中で教職志望が低い学生が、ある種のい. 定的に捉え、将来を具体的に考えていく契機と. づらさを感じていることが窺えた。また大学の. して大いに役立てていた。. 就職支援について、今回の調査協力者のほとん.  A∼Cさんに共通しているのは、実習中の子. どが、それは教職しか取り扱ってもらえないと. どもとの関係性に注目するナラティブであり、. いう印象を、友人からの伝聞や説明会を通して. 子どもとの積極的な関わりに低下した志望を取. 持つようになっていることがわかった。語りか. り戻させる大きな要因があると推察される。子. ら、そのような環境で非教職志望者は、進路が. どもの心に添うことは教師パーソナリティの成. 定まらないというストレスを感じやすい状況に. 熟に関わり、子どもの自己実現への援助は実習. あると推察される。また、教育実習において支. 生の自我同一一性にとって重要な影響を与える. 援を要すると思われる学生の早期発見が遅れた. (萱原,1991)。以上の3人はそういった経験を通. りと、リスクも増すと言える。教職志望が低下. じ、教職への意識・関心を幅に違いはあれど志. した学生への支援を考える場合、彼らがより利. 望を増していった、教職へ傾く確率が高い人達. 用しやすい相談、援助の場の構築が必要となる. であったと言える。一方でDさんは、実習前か. だろう。. ら「心理職に就きたい」という明確な進路を決 めていたこともあり、実習による志望意識の変. 主任指導教員(辻河昌登). 化は少なかったとみられる。.   指導教員(辻河昌登). 一99一.

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