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家庭における省エネ行動意図の規定要因分析

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Ⅰ はじめに  環境問題は多様かつ複雑であり,その中で特 に深刻なのは,二酸化炭素等の温室効果ガス排 出量の増加による地球温暖化問題である.京都 議定書以来,各先進国の温室効果ガス排出量削 減に関する数値目標がそれぞれ定められてお り,日本は基準年の排出量から 6% 削減すると いう目標が割り当てられている.目標達成のた めに各部門が努力してきたが,その中の消費者 の行動にも注目しなければならない.環境保護 への取り組みを成功させるため,消費者の役目 が 重要 で あ る と McGougall(1993)は 主張 し た.2006 年に日本における家庭からの二酸化 炭素排出量 は 約 267.1 Mt で あ り,日本全国二 酸化炭素排出量の約 20% を占めている1).消費 者の環境問題に対する認識や感覚などを解明す ることと,消費者の環境配慮行動の規定要因を 明らかにすることは,非常に重要な課題となっ ている.  環境を配慮した行動は,大別しただけでも, Reduce, Recycle, Reuse, Refuse があり,特定の 環境配慮行動に対する規定要因は,すべての環 境配慮行動の有意な規定要因であるとは限らな い.例えば,家庭のような私的場所での環境配 慮行動は,公的場所での環境配慮行動と違うパ ターンで行われていることがわかっている.公 的場所では,電気や機器などつけっぱなしにす る場合はよくあるが,家庭では電気をつけっ ぱなしにする場合はより少ない.Seligman & Ferigan (1990)の研究によると,家庭でのエネ ルギーや水の消費の主な規定要因は省エネ行動 に対する態度であるのに対し,他者の目に触れ る公的場所での消費者行動は,社会的規範2) 主な規定要因になっている.本研究は,他者の 目に触れない家庭を舞台とした消費者の省エネ 行動に注目する.  環境配慮行動分野において,特に問題になっ ているのは,人々は環境問題に対する関心や 態度を高く示しているが,環境配慮消費行動 はそれほど行われていない(Lee et al. 1999, McCarty & Shrum 2001)ことである.この問 題は,2008 年 3 月に博報堂生活総合研究所の調 査結果にも反映されている.この調査によると, 東京の調査対象者の 88.4% は「地球温暖化への 危機感」を感じたのに対して,「地球温暖化防 止のために便利な生活を犠牲にしたくない」と 答えた人は 41.6% であった.この原因は,環境 配慮行動と一般的行動の性質の差から窺える. 一般的行動を行う際に,消費者は主にその行動 にかかるコストと得るベネフィットを比べなが ら,選好に沿って行動する.それに対して,環 境配慮行動は向社会的行動3)の性質があり,も たらすベネフィットが地球全体あるいは地域全 体にあり,かつ多くは将来的であるが,すぐに 手間やコストがかかる.本研究は,社会心理学 における代表的なモデルである「信念→態度→ 意図」という一連の流れに依存しつつ,家庭に おける省エネ行動意図の規定要因モデルを提示 し,その構造の解明を試みるとともに,先行研

家庭における省エネ行動意図の規定要因分析

李     振  坤

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究であまり注目されていない感情の役割も明ら かにする. Ⅱ 家庭省エネ行動意図の規定要因  先行研究では,環境配慮行動の規定要因とし て,最初に取り上げられたのは,年齢,性別, 世帯収入,社会階層,教育水準,居住地域の大 きさなどの人口統計要因であった(Kinnear et al. 1974, Schwepker Jr. & Cornwell 1991, Chan 1996)が,その説明力が上がらないため,責任 感,変革性,自力性,理解力,寛容性,損失回 避および集団主義価値観など人の個性に関する さまざまな要因を加え,最近,ほとんどの研究 は,態度,有効性認知,関与,知識,規範的影響, 実行の便利性などの心理的要因が中心となって き て い る(Grab 1995, Kaiser et al. 1999, 西尾 2005).本研究では,主に個性的要因と心理的 要因に注目し,消費者の家庭における省エネ行 動意図の規定要因は,省エネ行動に対する態度, 感情,利他中心主義価値観,有効性評価,社会 的責任感を取り上げる. 2―1 環境配慮行動に対する態度  消費者行動研究領域 で は,態度 が 行動 の 予測変数 と し て,重要 に 位置 づ け ら れ,研 究 さ れ て き た.例 え ば,Balderjahn (1988), Grab ( 1995 ),Kaiser et al. ( 1999 ),Fraj & Martinez (2007) の研究では,態度は環境配慮 行動の重要な予測変数であることが確認されて いる.  「態度は,マイナスからプラスまでの次元に 従って,対象(例えば,自分,他人,問題など) に関する要約評価である」と定義されている (Petty et al. 1997).態度 は,「信念→態度→意 図→行動」という一連の一次元的流れの中で捉 えられるのが一般的になっており,態度が行動 の前兆になる点において消費者行動で態度を研 究することの意義がある(清水 2004).  環境配慮行動分野 に お い て,態度概念 は 重 要な変数として取り上げられてきたが,Hines et al.(1986/87)は,1971─1987 年 に 発表 さ れ た環境配慮行動に関する 51 本の先行研究をレ ビューしてメタ分析4)を行ったところ,態度と 行動の平均相関が 0.35 であり,決して高い数 値とはいえない.その理由としては,先行研究 では異なる態度の概念を混用したことと,態 度の次元数がはっきり統一されていないこと (Milfont & Duckitt 2004)が考えられる.

 環境配慮行動を予測するのに,先行研究では環 境に対する態度と環境配慮行動に対する態度の 二つが使われていた.前者の環境に対する態度 の多くは,環境意識(environmental concern5) を指している.その中で,90 年代から発展し てきた新しい環境の理論的枠組み(NEP, New Environmental Paradigm)も 含 ま れ て い る. 消費者行動研究において重要な理論として位置 付けされた Ajzen & Fishbein (1980)の理由付

けられた行動理論6)は,行動を予測するのに行

動に対する態度の重要性を提唱している.環境 問題に対する消費者行動研究においても,環境 に対する態度よりも特定の環境配慮行動に対す る態度の方が実際の行動との関連が強いことが 報告されている(Hine et al. 1986/87, Bamberg 2003).従って,本研究でも,家庭における省エ ネ行動に対する態度概念を用いて分析を行うこ とにする.

 Rosenberg & Hovland (1960)は,自然環境 に 対する態度が感情的な要素,認知的な要素,意図 的な要素の三つの要素によって構成されていると 主張している.感情的な要素は主体に対する感情 であり,認知的な要素は私たちの物に対する考え であり,意図的な要素はある方法で行動する意図 を表している.Maloney, Ward & Braucht (1975) の研究においても,これらの三つの要素の重要 性が主張されていたが,その後,環境配慮行動 に関しても応用されている.この理論に従い, 環境配慮行動に対する態度には感情,知識と意 図の三つの要素があると主張する説がある(Li 1997, Chan 1999).この態度の三要素理論に対し て,清水(2004)は,態度 は「信念→態度→意

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図→行動」という一連の一次元的流れの中で捉 えられるのが一般的になっていると主張する. 消費者行動研究で重要と位置付けられた態度概 念は,感情,知識,意図と異なる概念であると いう考え方は,自然であると十分に考えられる ため,本研究では,省エネ行動に対する態度は, 感情や行動意図とは別の概念であるとして扱う. 2―2 感 情  消費者感情に関する研究は主に広告に対する反 応,感情の満足への影響,特定の製品,サービス, 愛用の所有物と各種の消費状況において起こった 感情に焦点を当ててきた.感情は情報処理の原因 にも結果にもなりうる.これらの研究は感情が消 費者反応の重要な要素であると指摘し,消費者行 動における感情の重要さを定着させた.  消費者の環境配慮行動分野においては,行動は 態度より主に感情によって規定されており,心理 的には態度は主に感情によって規定されていると する考えがある(Fraj et al. 2007, Chan 2001). しかし,環境配慮行動研究において,感情の役 割に関する研究はまだ不足しているのが現状で ある.感情は環境配慮行動の規定要因であると 指摘されているが,この分野で感情に焦点を当 てた研究の数はまだ多くない.これまでの環境 配慮行動における感情の役割は,感情強度の 視点から研究されているだけである(Li 1997, Chan 2001, Fraj & Martinez 2007).ま た,環 境配慮行動の規定要因として導入された感情 は,多種類のネガティブな感情を測定質問に混 ぜて,一つの感情概念として分析されているの が実情である.具体的にどの感情はどのように 環境配慮行動に影響するかは,まだはっきりし ていない.  近年,社会心理学における感情に関する研究 成果は,同じ方向性を持つ感情でも,異なる意 思決定をもたらす可能性があるとの報告があ る.これは,環境配慮行動における感情の役割 に関してヒントを与えてくれる.つまり,感情 の強度や感情価7)の視点だけではなく,環境問 題に対する不安,悲しみや怒りなどの感情は, 環境配慮行動に異なる影響を与える可能性があ る.そこで,本研究は社会心理学の研究成果を 応用し,特定の感情に焦点を当て,異なる感情 の家庭における省エネ行動意図への影響の差異 を検討していく.具体的には,不安や恐怖の感 情と悲しみや怒りの感情の役割を明らかにして みることにしたい. 2―3 利他中心主義価値観  環境問題は現代社会の推奨する大量生産・大 量消費・大量廃棄の生活スタイルと関わってい ると多くの研究で指摘されている.豊かな生活 に馴染んできた消費者は,倹しい生活に戻るの が難しい.特に,人間の行動を指導する役割を 果たす価値観は,時には世代を超えて変化させ る必要があるといわれている.価値観などの規 定要因に関する研究は,比較的に中長期的に行 動意図の規定要因として研究の意義がある.  1960 年代までは,価値観は多くの研究にお いて態度の下位カテゴリーとして分類されてい た が,1960 年代─1970 年代 に お い て,Rokeach の価値観を定義する研究が評価され,その後 に,価値観は一つの概念として研究されてきた (Chryssohokdis & Krystallis 2005).価値観 は 生 活の指針として位置付けられている重要な生活 目標や基準であると定義され(Rokeach 1973), 一般的に態度と行動の規定要因とみなされる.  今回の研究は,特に利他中心主義価値観に注 目 す る.先行研究 で は,利他中心主義価値観8) が環境配慮行動に影響を与えると主張する研究 は い く つ か あった(Li 1997, McCarty & Shrum 2001, Kim et al. 2005).こ れ ら の 研究 は ま だ 家 庭の省エネ行動に焦点を当てていない.家庭に おける省エネ行動は,水道水をつけっぱなしに しない,電気をこまめに消す,冷暖房を控えめ にするなどの行動が考えられる.これらの行動 は,習慣になっていない人にとって面倒な行動 でもある.家庭省エネ行動は利己の料金節約の メリットもあれば,利他の二酸化炭素の排出量

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削減の作用もある.従って,本研究では利他中 心主義価値観が態度を通して家庭省エネ行動意 図に影響すると予測する. 2―4 有効性評価  有効性評価は,ある環境配慮行動を実践する より,ある環境問題の解決にどの程度有効であ るか,と消費者個人が感じる主観的評価であ る.Kinnear ら(1974)の 研究 で は,有効性 に関する認知は,消費者の環境意識の程度に 顕著な効果があることがわかった.Ellen et al. (1991),Berger & Corbin (1992),Li (1999), Kim (2005),李(2007)の研究でも,有効性評 価の影響が確認されていた.これらの研究成果 を踏まえ,本研究も有効性評価を一つの規定要 因として取り上げる. 2―5 社会的責任感と規範的影響  環境配慮行動は,規範的影響を受けると指摘 する研究は多い.その中で,友人,知人,家族 などといった個人の行動や態度に直接影響を及 ぼす準拠集団が持つ規範である「社会的規範」 や,消費者個人の視点からとられる「主観的規 範」が あ る.Granzin & Olsen(1991)の 研究 では,再利用のための家具や洋服の寄付,新聞 のリサイクル,環境保全のために車を使わず 歩くといった行動の実践度は,友人や知人から の社会的規範の影響を受けることを示した.そ の 後,広瀬(1994),Taylor & Todd (1995), Banberg (2003),西尾(2005)の研究でも,社 会的規範の影響が確認された.消費者行動論の 視点から見ると,消費者行動意図を説明するに は,社会的規範が重要な要因であることが明ら かにされてきている.この社会的規範は,消費 者個人の行動に同調するように圧力をかけると 考えられる.  しかし,いくら圧力をかけられても,最後 に 行動 を 決 め る の は 消費者本人 で あ る.特 に,他人の目が触れない家庭内において,社会 的規範の影響はそれほど強くないと考えられ る.消費者の省エネ行動に対する態度や行動 意図に直接的に影響するのは,社会的規範の 影響を受ける消費者の社会的責任感であると 十分に考えられる.Webster Jr. (1975),広瀬 (1994),Schultz & Zelezny (1998), Kaiser et

al. (1999),Garling et al. (2003)の 研究 で は, 社会的責任感の影響が確認されていた.  本研究では,規範的影響に関しては,準拠集 団が持つ社会的規範と消費者本人が持つ社会的 責任感を区別し,後者に注目し,それが家庭省 エネ行動に対する態度および行動意図に影響す ると仮説を立てて検討する. Ⅲ モデル構築と仮説  本研究で構築したモデルは,図 1 に示したと おりである. 仮説 H1: 省エネ行動に対する態度は,省エネ行動 意図に正の影響を与える. H2: 有効性評価は,省エネ行動に対する態度 に正の影響を与える. H3: 利他中心主義価値観は,省エネ行動に対 する態度に正の影響を与える. H4: 社会的責任感は,省エネ行動に対する態 度に正の影響を与える. H5: 異なる感情の影響を受けた個人消費者は, 有効性評価,社会的責任感,省 エ ネ 行動 に対する態度と省エネ行動意図の構成概 念間が異なるパターンで影響を及ぼすで あろう. H6: 異なる感情の影響を受けた個人消費者の 間には,省エネ行動意図の差が見られる であろう. Ⅳ 実証研究 4―1 感情操作の予備調査  調査対象者に,不安や恐怖(A)と悲しみや 怒り(B)の感情を引き起こすために,予備調 査を行った.  調査時期:2008 年 7 月 9 日─10 日

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 調査対象者: 横浜国立大学経営学部生,便宜 標本  調査人数: 不安や恐怖(A)グループと悲し みや怒り(B)グループ 各 31 人  調査手法: 事前に用意した文書と写真を読ん でもらう  予備調査の目的は,目標感情操作の効果が被 験者内と被験者間において有意に高いかどうか を調べることであり,これぐらいの人数で十分 であると思われる.目標感情を引き起こすため に,環境問題に関する文章を「地球温暖化のも たらす深刻な影響」と「富士山のゴミ問題は今 どうなっているの?」の 2 つ用意した.文章を 読んだ後に,二つのグループの調査対象者は同 じ感情質問に対する賛成度合いを,「1 =全然 そう思わない」,「7 =非常にそう思う」の 7 段 階尺度で回答してもらった.有効回答数はそれ ぞれ 30 人であった.  分析の結果としては,グループAは,不安と 恐怖感情の強度には差がなかったが,不安と他 の悲しみ,怒り,恥ずかしさ感情の強度は有意 な差が見られた(表 1).  グループBは,悲しみと怒り感情の強度は差 がなかったが,悲しみと不安,恐怖,恥ずかし さ感情の強度は有意な差が見られた(表 2).  また,グループ間で比較分析したところ,恐 怖,悲しみ,怒りの感情はグループ間で有意な 差が見られた(表 3).不安の平均値を見ると, グループ A は 5.73 であるのに対して,グルー プ B は 5.17 であった.両者は有意な差が見ら れなかったが,恐怖感情はグループ間で有意な 差が見られたため,同じ文章をそのまま本調査 で使用した.また,恥ずかしさ感情もグループ 間で有意な差が見られなかったが,本調査の関 心とする感情ではないため,これについてはと りあげないことにした.  以上のように,感情の操作は一応うまく行っ たと判断されるので,本調査で同じ文章を使用 することにした. 4―2 本調査  本調査では質問票によるアンケート調査を行 い,その調査データを Amos による共分散構 造分析と多母集団分析によって分析し,仮説を ⋭䭯䮔ᘒᐲ ⋭䭯䮔ⴕേᗧ࿑ ೑ઁਥ⟵ ᦭ലᕈ⹏ଔ ␠ળ⊛⽿છᗵ 䎫䎔 䎫䎕 䎫䎖 䎫䎗 ⋭䭯䮔ᘒᐲ ⴕേᗧ࿑ ᦭ലᕈ⹏ଔ ⽿છᗵ 䎑䎘䎖 䎑䎙䎔 䎑䎖䎖 䏌䏑䏗䏈䏑䯽 䏈䎔 䎑䎗䎗 䏌䏑䏗䏈䏑䎕 䏈䎕 䎑䎙䎙 䏌䏑䏗䏈䏑䎖 䏈䎖 䎑䎙䎓 䎳䎦䎨䎘 䏈䎗 䎑䎕䎔 䎳䎦䎨䎖 䏈䎘 䎑䎗䎗 䎳䎦䎨䎕 䏈䎙 䎑䎙䎕 䎳䎦䎨䎔 䏈䎚 䎑䎚䎔 䏄䏗䏗䏌䎖 䏈䎛 䎑䎚䎕 䏄䏗䏗䏌䎕 䏈䎜 䎑䎛䎓 䏄䏗䏗䏌䯽 䏈䎔䎓 䎑䎚䎙 䏕䏈䏖䏓䎗 䏈䎔䎗 䎑䎚䎛 䏕䏈䏖䏓䎖 䏈䎔䎘 䎑䎛䎓 䏕䏈䏖䏓䎕 䏈䎔䎙 䎑䎘䎛 䏕䏈䏖䏓䎔 䏈䎔䎚 䎑䎗䎜 䏈䎔䎛 䏈䎔䎜 䎑䎙䎜 䎑䎕䎙 ⋭䭯䮔ᘒᐲ ⴕേᗧ࿑ ᦭ലᕈ⹏ଔ ⽿છᗵ 䎑䎗䎕 䎑䎖䎘 䎑䎘䎙 䏌䏑䏗䏈䏑䯽 䏈䎔 䎑䎙䎔 䏌䏑䏗䏈䏑䎕 䏈䎕 䎑䎚䎜 䏌䏑䏗䏈䏑䎖 䏈䎖 䎑䎘䎜 䎳䎦䎨䎘 䏈䎗 䎑䎗䎚 䎳䎦䎨䎖 䏈䎘 䎑䎙䎕 䎳䎦䎨䎕 䏈䎙 䎑䎚䎘 䎳䎦䎨䎔 䏈䎚 䎑䎘䎚 䏄䏗䏗䏌䎖 䏈䎛 䎑䎘䎜 䏄䏗䏗䏌䎕 䏈䎜 䎑䎗䎜 䏄䏗䏗䏌䯽 䏈䎔䎓 䎑䎘䎕 䏕䏈䏖䏓䎗 䏈䎔䎗 䎑䎙䎓 䏕䏈䏖䏓䎖 䏈䎔䎘 䎑䎛䎓 䏕䏈䏖䏓䎕 䏈䎔䎙 䎑䎚䎖 䏕䏈䏖䏓䎔 䏈䎔䎚 䎑䎙䎔 䏈䎔䎛 䏈䎔䎜 䎑䎙䎕 䎑䎔䎘 図 1 仮説モデル

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対応サンプルの差 t 値 自由度 有意確率(両側) 平均値 標準偏差 平均値の 標準誤差 差の 95% 信頼区間 上限 下限 悲しみ─怒り .367 1.326 .242 -.128 .862 1.515 29 .141 不安─悲しみ -.567 1.278 .233 -1.044 -.089 -2.429 29 .022 恐怖─悲しみ -1.767 1.775 .324 -2.429 -1.104 -5.452 29 .000 悲しみ─恥ずかしさ 1.207 2.059 .382 .424 1.990 3.156 28 .004 表 2 悲しみや怒り(B)グループの被験者内比較 等分散性のための Levene の検定 2 つの母平均の差の検定 F 値 有意確率 t 値 自由度 有意確率 (両側) 平均値の差 差の標準誤差 差の 95% 信頼区間 上限 下限 不安 等分散を仮定する. 1.981 .165 1.455 58 .151 .567 .390 -.213 1.346 等分散を仮定しない. 1.455 50.289 .152 .567 .390 -.216 1.349 恐怖 等分散を仮定する. .089 .767 3.240 58 .002 1.500 .463 .573 2.427 等分散を仮定しない. 3.240 57.980 .002 1.500 .463 .573 2.427 悲しみ 等分散を仮定する. 20.852 .000 -2.692 58 .009 -1.033 .384 -1.802 -.265 等分散を仮定しない. -2.692 38.155 .010 -1.033 .384 -1.810 -.256 怒り 等分散を仮定する. 2.689 .106 -2.884 58 .005 -1.133 .393 -1.920 -.347 等分散を仮定しない. -2.884 51.336 .006 -1.133 .393 -1.922 -.345 恥ずかしさ 等分散を仮定する. 2.591 .113 -1.250 57 .216 -.585 .468 -1.522 .352 等分散を仮定しない. -1.246 54.482 .218 -.585 .470 -1.526 .356 表 3 A と B グループ間比較 対応サンプルの差 t 値 自由度 有意確率(両側) 平均値 標準偏差 平均値の標準誤差 差の 95%信頼区間 上限 下限 不安─恐怖 .267 .944 .172 -.086 .619 1.547 29 .133 不安─悲しみ 1.033 1.586 .290 .441 1.626 3.568 29 .001 不安─怒り 1.500 1.834 .335 .815 2.185 4.481 29 .000 不安 ─恥ずかしさ 1.767 1.612 .294 1.165 2.369 6.002 29 .000 表 1 不安や恐怖(A)グループの被験者内比較

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検証した.  調査時期:2008 年 7 月 16 日─19 日  調査対象者: 横浜国立大学経営,経済学部生, 便宜標本  有効回答数:212 人  本研究での分析目的は,特定の母集団のプロ フィールを明らかにすることではなく,各構成 概念の測定とその間の関係を把握することであ るため,回収した便宜標本のデータを用いて分 析することに特に問題はないと考えられる.た だし,標本数に関しては,212 人の標本は異な る感情の影響を受けたグループ間の比較をする のに,やや少ないため,今回の調査で得た結果 の説得力は,標本数の少ない分を考量する必要 があると考えられる. 4―3 構成概念と測定尺度  本調査票には感情操作の文章と省エネ行動意 図,省エネ行動に対する態度,利他中心主義価 値観,有効性評価,社会的責任感の構成概念に 関する項目を含んだ.各構成概念は直接に観測 できない潜在変数であり,測定誤差を伴う複数 の指標を用いて測定できると考えられる.  「省 エ ネ 行動意図」に 関 す る 項目 は,西尾 (2005)の尺度を参考にし,「炊事や洗面の時に 水を流しっぱなしにしない」,「電気をまめに 消す」,「冷暖房を控えめにする」項目に対し て,これからを日常生活でどのくらいの頻度で 行いたいかを 5 段階尺度で回答してもらった. 「省エネ行動に対する態度」に関する項目は, Chan(2001) の尺度を参考にし,「私は省エネ 行動の考え方が好きである」,「省エネ行動はい い考え方ではない(R9))」,「私の省エネ行動に 対する態度は好意的ではない(R)」を使用し た.「利他中心主義価値観」は,Triandis et al. (1998)の研究で使われた「私にとって,同僚 の幸福は重要である」,「私にとって,喜びとは 他人と一緒に時を過ごすことである」,「私は他 人と協力することに満足を感じる」を使用した. 「有効性評価」は,Kim et al. (2005)と Berger

& Corbin (1992) と Rice et al. (1996)の 尺度 を参考にして,「私は自ら水とエネルギー節約 することによって,天然資源問題を解決するこ とに役立つと感じる」,「私は環境のような大き な問題に強い影響を与えるのに,個人的にはど うしようもできないと感じる(R)」,「自分は 環境に優しい商品を購買することによって環境 保護ができる」,「今の世代に環境保全を教える のは難しい」を用いて測定した.「社会的責任 感」は,Garling et al. (2003)が 使った「私 は 環境保全に道徳的責任を感じる」,「私は自ら環 境を保護すべきだと感じる」,「私は一人一人が 環境を保護するのが重要であると感じる」,「私 たちの環境問題を無視してはいけない」によっ て測定した.以上の質問項目はすべて 7 段階尺 度(1 =全く当てはまらない,7 =非常に当て はまる)で測定した. Ⅴ 分析の結果 5―1 測定指標の特定化と感情操作のチェック  分析に当たっては,各構成概念の指標ごとに 主因子法による因子分析を行い,尺度の一次元 性を確認した.また,各構成概念の指標ごとに 信頼性係数(Cronbach のα係数)を算出した. 信頼性を検討するに当たって,α係数が全て の構成概念において 0.6 以上であることを確認 (表 4)し,測定指標を特定化した.最後には, 特定化された指標を用い,Amos で仮説モデル の検証を行った.  なお,特定された観測変数を対象とした探索 的因子分析を行った結果,省エネ行動意図,省 エネ行動に対する態度,利他中心主義価値観, 構成概念 測定指標数 α係数 省エネ行動意図 省エネ行動に対する態度 利他中心主義価値観 有効性評価 社会的責任感 3 3 3 4 4 0.640 0.702 0.826 0.610 0.810 表 4 測定指標の信頼性係数

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有効性評価と社会的責任感の五つの因子になっ ていることが確認された(表 5).  また,表 6 に示したとおりに,予備調査と同 じように,感情操作をチェックしたところ,グ ループ A において,不安の感情はグループ内 の他の感情と有意な差で高かった.グループ間 での比較でも,有意な差でグループ A の不安 の感情は高かった.予備調査とは異なり,恐怖 の強度はそれほど高くなかった.そこで,本調 査でモデルや仮説を検証するときに,グループ A は不安の感情のグループとして扱うことに した.グループ B において,予測どおりに悲 しみと怒りの感情は,グループ内の他の感情と 有意な差で高く,グループ間での比較でも,有 意な差でグループ B の悲しみと怒りの感情は 高かった.従って,グループ B は悲しみと怒 りのグループとして扱う. 5―2 仮説の検証  Amos による多母集団共分散構造分析によっ て,仮説の検証を行った.操作した感情はグルー プ化変数として,データをグループ A(不安) とグループ B(悲しみと怒り)に分けた.分析 にあたっては,グループごとに図 1 に示した仮 因子 1 2 3 4 5 allo2 0.593 -0.025 0.084 0.116 -0.086 allo3 0.852 -0.04 0.006 -0.05 0.062 allo4 0.973 0.017 -0.073 -0.063 -0.066 resp1 -0.06 0.825 -0.13 0.016 -0.122 resp2 -0.045 0.768 0.28 -0.09 -0.136 resp3 -0.004 0.608 0.022 0.053 0.156 resp4 0.109 0.658 -0.138 0.025 0.155 PCE 1 0.023 0.031 0.562 0.182 -0.061 PCE2 -0.071 -0.116 0.872 -0.092 0.023 PCE3 0.14 -0.019 0.515 -0.027 -0.025 PCE5 -0.095 0.109 0.196 0.054 0.05 inten1 -0.002 0.062 0.014 0.478 -0.003 inten2 0.027 -0.038 -0.033 0.854 -0.055 inten3 -0.047 0 0.009 0.522 0.062 atti1 0.204 0.062 0.24 0.104 0.253 atti2 0.027 0.145 0.158 -0.019 0.449 atti3 -0.079 -0.084 -0.044 -0.006 0.979  因子抽出法 : 主因子法  回転法:Kaiser の正規化を伴うプロマックス法 表 5 探索的因子分析の結果 グループ 不安 恐怖 悲しみ 怒り 恥ずかしさ A 5.43 4.80 4.22 3.71 3.54 B 4.81 4.05 5.41 5.34 4.98 表 6 本調査の感情操作チェック

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標準化推定値 標準誤差 検定統計量 確率 ラベル 省エネ態度 ← 有効性評価 .612 .981 1.723 .085 W2 省エネ態度 ← 責任感 .335 .161 2.000 .045 W4 行動意図 ← 省エネ態度 .534 .102 2.843 .004 W1 道徳責任 1_1 ← 責任感 .492 .153 4.712 *** W12 行動 b1_1 ← 行動意図 .437 b2_1 ← 行動意図 .661 .501 3.111 .002 W15 b3_1 ← 行動意図 .604 .503 3.102 .002 W16 PCE5_1 ← 有効性評価 .215 PCE3_1 ← 有効性評価 .440 1.001 1.821 .069 W13 PCE2_1 ← 有効性評価 .617 1.628 1.919 .055 W14 PCE1_1 ← 有効性評価 .712 1.694 1.943 .052 W5 省エネ態度 3_1 ← 省エネ態度 .721 省エネ態度 2_1 ← 省エネ態度 .800 .139 7.435 *** W6 省エネ態度 1_1 ← 省エネ態度 .764 .149 7.158 *** W7 道徳責任 4_1 ← 責任感 .781 道徳責任 3_1 ← 責任感 .803 .128 7.792 *** W10 道徳責任 2_1 ← 責任感 .584 .153 5.602 *** W11 道徳責任 2_1 ← 道徳責任 1_1 .259 .084 3.080 .002 par_28 表 7 グループ A のパラメータ推定値 図 2 仮説の検証結果 1(グループ A)

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説モデルから出発し,推定値の一変量ワルド検 定の結果と修正指数を参考にして規定要因パス の増減を加味した.モデルの解釈を中心にして 適合度の変化を見ながら最終モデルを決定した. その結果,導かれたのは,表 7,図 2 および表 8, 図 3 に示した推定値とモデルである.最終モデ ルには,利他中心主義価値観が省エネ行動に対 する態度に影響しないことになっている.モデ ルの適合度は,GFI 値は 0.874 であり,AGFI 値 は 0.817 であった.両者とも 0.9 に届かなかった が,RMSEA 値は 0.052 であり,0.8 より低いた め,モデルを用いて検討を行うことにした.  グループ A における不安の感情がわいた調 査対象者は,有効性評価から省エネ態度への 影響は 10% 水準で有意になり,社会的責任感 から省エネ態度への影響は 5% 水準で有意にな り,省エネ態度から省エネ行動意図への影響は 1% 水準で有意になった.その影響の度合いを 示す標準化係数は,それぞれ 0.612,0.335,0.534 であった.有効性評価が省エネ態度に強く影響 し,態度の行動意図への影響は強いことが分 かった.  グループ B における悲しみと怒りの感情が わいた調査対象者は,有効性評価から省エネ 態度への影響は 10% 水準で有意になり,社会 的責任感から省エネ態度への影響は 1% 水準で 有意になり,省エネ態度から省エネ行動意図 への影響は 5% 水準で有意になった.その影響 の度合いを示す標準化係数は,それぞれ 0.353, 0.564,0.419 であった.社会的責任感が省エネ 態度に強く影響し,省エネ態度の行動意図への 影響は強いことが分かった.  分析結果のパラメータ間の差に対する検定統 計量表では,グループ A とグループ B におい て,対応しているパス係数が交差するセルを見 ると,どの絶対値も 1.96 を超えていないため, 両グループにおけるパス係数は有意な差がない ことを示唆している.つまり,異なる感情の影 響を受けた個人消費者は,有効性評価,社会的 責任感,省エネ行動に対する態度と省エネ行動 意図の構成概念間が異なるパターンで影響を 及ぼすとはいえないことになる.以上のことに より,仮説 1,仮説 2,仮説 4 が支持されたが, 仮説 3 と仮説 5 は支持されなかった.  更に,異なる感情のメッセージを受けた消費 者は,省エネ行動意図の差があるかどうかを調 べた(表 9).「冷暖房を控えめにする」行動意 図に関しては,両グループの間に差がなかっ た.しかし,不安のメッセージを受けた消費者 は,悲しみや怒りのメッセージを受けた消費者 より,「炊事や洗面の時に水を流しっぱなしに しない」と「電気をまめに消す」の省エネ行動 意図が高いことが分かった.省エネ行動を促進 するのに,悲しみや怒りのメッセージを発信す るより,不安を引き起こすメッセージを発した 方が,より効果的であると示唆している.従っ て,仮説 6 が支持された. Ⅵ まとめと考察  本研究では,消費者の家庭における省エネ行 動意図に注目し,その規定要因モデルを提示し た.規定要因としては,先行研究で検証された 要因を踏まえながら,近年,よく注目されてい る消費者の個性的要因と心理的要因を中心にし て検討した.その結果,本研究に適当とされ る「省エネ行動に対応する態度」,「利他中心主 義価値観」,「有効性評価」,「社会的責任感」の 規定要因を取り上げ,実証分析を通じてその構 造の解明を試みた.分析の結果として,「有効 性評価」と「社会的責任感」規定要因が予測ど おりに「省エネ行動に対する態度」を通して省 エネ行動意図に影響を与えることは確認できた が,「利他中心主義価値観」規定要因 は「省 エ ネ行動に対する態度」に影響しないことがわ かった.従って,家庭における省エネ行動を促 進するため,消費者に家庭で省エネ行動を行え ば二酸化炭素排出量が削減でき,地球温暖化対 策として貢献できていることをきちんと伝える べきであり,かつ,消費者の社会の一員として の社会的責任感を喚起する必要があるであろ

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標準推定値 標準誤差 検定統計量 確率 ラベル 省エネ態度 ← 有効性評価 .353 .253 1.713 .087 WB2 省エネ態度 ← 責任感 .564 .321 2.700 .007 WB4 行動意図 ← 省エネ態度 .419 .129 2.525 .012 WB1 道徳責任 1_1 ← 責任感 .613 .251 4.570 *** WB12 行動 b1_1 ← 行動意図 .611 b2_1 ← 行動意図 .795 .317 4.207 *** WB15 b3_1 ← 行動意図 .592 .242 4.204 *** WB16 PCE5_1 ← 有効性評価 .466 PCE3_1 ← 有効性評価 .624 .283 3.646 *** WB13 PCE2_1 ← 有効性評価 .753 .420 3.861 *** WB14 PCE1_1 ← 有効性評価 .566 .316 3.486 *** WB5 省エネ態度 3_1 ← 省エネ態度 .591 省エネ態度 2_1 ← 省エネ態度 .488 .193 3.551 *** WB6 省エネ態度 1_1 ← 省エネ態度 .515 .194 3.693 *** WB7 道徳責任 4_1 ← 責任感 .601 道徳責任 3_1 ← 責任感 .797 .297 5.610 *** WB10 道徳責任 2_1 ← 責任感 .727 .291 4.588 *** WB11 道徳責任 2_1 ← 道徳責任 1_1 .151 .104 1.426 .154 par_30 表 8 グループ B のパラメータ推定値 図 3 仮説の検証結果 2(グループ B)

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う.  また,本研究は,先行研究で十分に検討して いない「感情」規定要因を二つのジャンル(A 不安や恐怖,B 悲しみや怒り)取り上げ,調整 変数としてモデルに導入し,感情の影響を検討 してみた.その結果,異なる感情のメッセージ に露出した消費者グループ間には,有効性評 価,社会的責任感,省エネ行動に対する態度規 定要因が異なるパターンで省エネ行動意図に影 響を与える仮説は支持されなかったが,異なる グループにおける消費者の省エネ行動意図の差 が見られた.不安のメッセージを受けたグルー プ A は,悲しみと怒りのメッセージを受けた グループ B より,省エネ行動の意図が高いこ とがわかった.それは,グループ A の調査対 象者は,不安を解消しようと動機付けられ,省 エネ行動をとりたくなるだろう.また,グルー プ B の調査対象者にわいた悲しみと怒りの感 情は,主に他人に対するものであり,その感情 が自分の省エネ行動意図とそれほどつながらな かったことが考えられる.従って,家庭におけ る省エネ行動意図を引き上げさせるために,公 益宣伝あるいは企業のマーケティング活動で, 本研究における不安の感情操作と似たような メッセージを発信すれば,より効果的であろう.  予測していた「利他中心主義価値観」規定要 因に関しては,この構成概念をモデルから外し たほうがモデルの適合度と説明力は上がること がわかった.家庭における省エネ行動は,二酸 化炭素の排出が削減でき,地球温暖化対策に役 立つという利他的効果もあれば,光熱費を節約 する利己的効果もある.前者の利他的効果は, 二酸化炭素排出量の削減という地球温暖化対策 の努力結果はあまりにも抽象的で,なかなか実 感できないものである.その故に,利他中心主 義価値観は,家庭における省エネ行動を導く役 割をすることはほとんどないと考えられる.そ れに対して,後者の利己的効果は,消費者にとっ てすぐにメリットが見えるものであり,家庭に おける省エネ行動につながっている.今回の研 究はこの要因を分析に入れなかったが,これか らの研究では,費用の節約は家庭における省エ ネ行動の規定要因として十分に考量すべきであ る.  本研究の貢献として,感情の役割をより一歩 踏み込んだかたちで検討を行い,感情をさら に掘り下げる価値があることを示唆できたこ とがあげられる.これまでの環境配慮行動の規 定要因に関する研究で,長期にわたって形成さ れた感情の役割を検討したものはいくつかあっ たが,マーケティング・コミュニケーションに よって短期的に形成された感情の役割を検討し た研究は見当たらない.このような感情は形成 してからすぐに消えてしまい,メッセージを伝 等分散性のための Levene の検定  2 つの母平均の差の検定 F 値 有意確率 t 値 自由度 有意確率(両側) 平均値の差 標準誤差差の 差の 95% 信頼区間 上限 下限 inten1 等分散を仮定する. .026 .871 2.114 196 .036 .346 .164 .023 .669 等分散を仮定しない. 2.117 193.885 .036 .346 .163 .024 .668 inten2 等分散を仮定する. .043 .836 2.340 196 .020 .394 .168 .062 .725 等分散を仮定しない. 2.344 194.090 .020 .394 .168 .062 .725 inten3 等分散を仮定する. 1.538 .216 .524 196 .601 .094 .179 -.259 .446 等分散を仮定しない. .527 195.839 .599 .094 .178 -.257 .444 表 9 グループ間の省エネ行動意図の差

(13)

える途中で消費者がシャットアウトする可能性 もあるという限界があるが,繰り返してメッ セージを伝えることによって,気づかないうち に記憶に残され,影響を及ぼすことも考えられ る.また,同じような環境配慮に関する情報を 伝えるときに,異なる感情を引き起すメッセー ジを提示することができる.その異なる感情の 中に,環境配慮行動と一番効果的につながる感 情を明確にすれば,消費者が最後まで続けて メッセージをみる工夫によって,より多くの環 境配慮行動を引き起せると期待できる.  今後の研究の方向に関しては,本研究では, 主にネガティブな感情の役割を検討していたた め,その結果は主に公益的キャンペーンに応用 することができるが,企業のマーケティング・ コミュニケーションは,消費者を良い気分にさ せながら,自社の製品を売り出すのが一般的で あるため,ネガティブな感情を利用しにくい. 従って,これからポジティブな感情にも焦点を 当てて研究し,消費者が環境配慮型商品を購買 するときにも,感情の違いがその行動に影響を 与えるかどうかを検討してみる必要がある. 謝 辞  本研究を行うにあたり,温かくご指導してくだ さった 横浜国立大学大学院国際社会科学研究科阿 部周造先生,白井美由里先生 と 馬奈木俊介先生 に 深く感謝し,厚く御礼申し上げます.幾つかの貴 重な指摘をいただいた匿名のレビューワの先生, アンケート調査で協力をいただいた白井美由里先 生,ヘラー先生,馬奈木俊介先生,長谷部勇一先生, 白井宏明先生および横浜国立大学経営学部生と経 済学部生の皆さんにも感謝します.阿部ゼミナー ルでともに学んだ青木道代先生,中村陽人さんか ら貴重なアドバイスをいただき,八島明朗さんも 資料探しに協力していただき,皆さんに心から感 謝いたします.また,大きく支えてくれた家族に は感謝の気持ちでいっぱいです. 1)温室効果ガスインベントリオフィス(http:// www-gio.nies.go.jp/index-j.html),「日本の温室 効果ガス排出量データ(1990~2006 年度)」に 基づいて計算した. 2)「社会的規範」とは,友人,知人,家族などといっ た個人の行動や態度に直接影響を及ぼす準拠集 団が持っている規範である. 3)向社会的行動(prosocial behavior)とは,他者 に対して恩恵などのポジティブな影響・効果を 与える行動であり,援助行動,寄付行動,奉仕 行動などがその典型的な行動である. 4)「メタ分析」とは過去に発表された実験結果を 集めて更に分析することで,それらの実験結果 が再現可能であることを示そうとするものであ り,実験の厳密な再現が難しい生態学,心理学, 社会学,医学などのいわゆるソフトサイエンス において中核的な道具となりつつある. 5)本研究では,ecological concern と environmental

concern を区別せずに,環境意識と訳す. 6)The Theory of Reasoned Action の こ と で あ

る.この理論によると,知識は行動に対する態 度に影響し,一方,社会と道徳価値観は主観的 規範に影響する.次に,行動に対する態度と主 観的規範が意図を通して,行動に影響する. 7)感情の方向性を指す. 8)利他中心主義価値観に関しては,マクロの視 点 の 言 い 方 は 集団主義(collectivism)で あ る が,ミ ク ロ の 視点 の 言 い 方 は 利他中心主義 (allocentrism)である.本研究では,個人レベ ルの消費者行動に焦点を当てるため,「利他中 心主義」の言葉を使う. 9)逆転項目. 参考文献

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ルニーニョなど異常気象も頻度が増し,より強 くなると予測されている.そうなると,自然や 社会にもさまざまな被害が生じることになる. ここでは,人の健康への影響を取り上げる.人 の健康への影響には,直接的なものと間接的な ものがある(表 10).  気候変動の速度と影響は,今後一層増加する と予測される.個人レベルから地球規模まで, すぐに行動を起すことが必要である.しかし, 対策をとっても,気候は少なくとも今後数十年 間は変化し続ける.(出所:環境省) 感情操作 B: 富士山のゴミ問題は今どうなっているの?  富士山とその周辺の環境については,2000 年に世界遺産条約に基づく世界自然遺産の候補 地選びから漏れた事実がある.「富士山が世界 遺産になれないのはゴミのせい」という言葉が 世間に広まってから随分と経った.  富士山にはその山麓に国道や県道,細い林道 に至るまでが網の目のように通っているが,こ うした道路のすぐ側には,数多くの様々な「ポ イ捨てゴミ」が実際に捨てられている.もちろ んポイ捨てゴミだけではない.それ以上に捨て られているのが家庭から出されたと思われる家 財道具や一般廃棄物,自動車そのものやその部 品類,家電リサイクル法が施行されてからは 家電 4 品目(テレビ ・ エアコン ・ 冷蔵庫 ・ 洗濯 機)やパソコンの不法投棄も非常に目立つよう になった(図 4).さらに悪徳な業者による産 業廃棄物等の不法投棄や危険な医療廃棄物の不 法投棄は,周辺住民等による監視の目をかいく ぐり,未だにあとを絶たない.  さらに,過去に投棄されたと思われるゴミ が,30 年も 40 年も経った現在でも分解されな いままに残り,錆びた缶類がその赤い錆を雨に よって土壌に流し続け,ビニール類や割れたガ ラス片などが野生動物の足元を危険にさらして しまっている.  富士山の五合目以上,つまり登山者が多く利 用する登山道周辺は,ボランティアによる清掃 活動や山小屋の方々の努力によって清掃活動が 行なわれ,以前に比べると本当にゴミが少なく なった.少しずつではあるが登山者自身がゴミ 袋を携行するようにもなった.しかし山麓では まだまだ数多くのゴミが残され,心無い業者や 多くの観光客,そして一部の地元住民によっ て未だに捨てられ続けているのが現状である. (出所:環境 NPO 富士山クラブ) 温暖化による環境変化 人の健康への影響 直接影響 暑熱,熱波の増加 ➜  熱中症,死亡率の変化(循環器系,呼吸器系疾患) 異常気象の頻度,強度の変化 ➜ 障害,死亡の増加 間接影響 媒介動物等の生息域,活動の拡大 ➜ 動物媒介性疾病(マラリア,デング熱など)の増加 水,食物を介する伝染性媒体の拡大 ➜ 下痢や他の伝染病の増加 海面上昇による人口移動や社会インフラ被害 ➜ 障害や各種伝染病リスクの増加 大気汚染との複合影響 ➜ 喘息,アレルギー疾患の増加 表 10 地球温暖化がもたらす深刻な影響

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[リ シ ン コ ン 横浜国立大学大学院国際社会科 学研究科博士課程後期]

図 4 富士山のゴミ問題

参照

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