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Title
Synergy in biofilm formation between Fusobacterium
nucleatum and Prevotella species
Author(s)
奥田, たまき
Journal
歯科学報, 113(1): 106-107
URL
http://hdl.handle.net/10130/3009
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的
特定の嫌気性のグラム陰性菌種からなるバイオフィルムは,歯周病の発症と進行に関与している。研究対象 としたFusobacterium nucleatum と Prevotella intermedia,Prevotell nigrescens は,慢性歯周炎,侵襲性歯周炎, 思春期や妊娠時の歯肉炎などの発症と進行に関わる。これらの菌種のうち歯周病原性バイオフィルム形成の中 心的役割を果たすF. nucleatum は,どのような機序で P. intermedia と P. nigrescens の定着に関与するかについ て解析した。
2.研 究 方 法
F. nucleatum,P. intermedia,P. nigrescens,Porhyromonas gingivalis の ATCC 標準菌株に加えて成人の歯周
局所から分離した菌株を供試した。共凝集は,Cisar らの報告に準じて行なった。バイオフィルム形成は, Tryptic soy broth で48時間培養後 crystal violet 染色方法によって調べた。供試菌株の AI-2産生は,Surette らの方法でVibrio harveyi reporter strain BB170を用いて,bioluminescense を測定して調べた。各実験は,そ れぞれ tripticate 以上で実施した。バイオフィルム形成は Kruskal-Wallis test によって行ない,グループ間の 違いは Dunn test で解析し,P value は0.01以下を統計学有意差とした。
3.研究成績および結論
供試したF. nucleatum 菌株は,混合させた P. intermedia と P. nigrescens 菌株と強度は違うものの共凝集性が
認められた。F. nucleatum と P. gingivalis の共凝集は,EDTA,N-acetyl-D-galacosamine,L-arginine,L-lysine によって抑えられた。しかしながら,F. nucleatum 菌株と P. intermedia と P. nigrescens 菌株の共凝集は N-acetyl-D-galacosamine,L-arginine の影響を受けなかった。F. nucleatum の加熱処理は,本菌種と P. intermedia また はP. nigrescens との共凝集に影響を与えなかったが,P. intermedia と P. nigrescens 菌体の加熱処理は共凝集活
性を消失させた。F. nucleatum と P. intermedia 菌体の proteinase-K 処理は,共凝集に影響を与えなかったが,
P. nigrescens 菌体の proteinase-K 処理は共凝集活性を消失させた。供試した F. nucleatum,P. intermedia,P. nigrescens の ATCC 株は高いバイオフィルム形成能を示した。F. nucleatum 臨床分離株のバイオフィルム形成
能は,P. intermedia,P. nigrescens 菌株に比べ低かった。F. nucleatum と P. intermedia あるいは P. nigrescens と
の共培養では,それぞれの単独培養に比べバイオフィルム形成が有意に高かったが,P. intermedia および P. 氏 名(本 籍) おく だ
奥
田
た ま き
(千葉県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1971 号(乙第756号) 学 位 授 与 の 日 付 平成24年9月12日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第2項該当学 位 論 文 題 目 Synergy in biofilm formation betweenFusobacterium nucleatum andPrevotella species
掲 載 雑 誌 名 Anaerobe 第18巻 110−116頁 2012年2月 論 文 審 査 委 員 (主査) 石原 和幸教授 (副査) 松久保 隆教授 佐藤 裕准教授 齋藤 淳教授 歯科学報 Vol.113,No.1(2013) 106 ―106―
nigrescens 菌株の培養上清には,F. nucleatum の有意なバイオフィルム形成促進は見いだせなかった。AI-2産
生はいずれの供試菌株にも認められたが,それらの菌株のバイオフィルム形成能とは関連しなかった。
F. nucleatum の共凝集に関わる分子は熱安定性で proteinase K 耐性であり,P. intermedia と P. nigrescens の
特異的な receptor に結びついて共凝集することを示した。P. intermedia と P. nigrescens の培養上清には F.
nu-cleatum のバイオフィルム形成を促進する作用はなく,共凝集による物理的な接触が F. nunu-cleatum と
Pre-votella 菌種とのバイオフィルム形成に重要な役割を果たしていると考えられる。 論 文 審 査 の 要 旨 本審査委員会では, 1.これらの菌種を選択した理由,バイオフィルム形成において測定している synergistic effect の意味につ いて 2.共凝集測定において使用したアミノ酸,糖の選択理由について 3.統計解析の有意水準の決定について 4.共凝集反応のメカニズムと反応の可逆性について 等について質疑がなされた。
1については,F. nucleatum が biofilm において early colonizer と歯周病原性菌の間に入り,そのプラークへ の定着の key になる菌であり,本実験の結果はその一端を明らかにするものであるという回答を得た。2に ついては,口腔細菌間ではレクチンが関与する共凝集が多く,さらにそれがプロテアーゼによる表層変化によ り活性が変化するという過去の報告について説明し,一部のアミノ酸を除きその阻害実験のデータを元に設定 を行った旨の解答がなされた。3については,今回の結果は確実に有意水準を満たしているが,今後,有意水 準の設定をいたずらに高くすることなく,実験にあった設定を検討し行うつもりである旨の解答があった。4 については,レクチンやイオンの結合によって起こる付着であるので,可逆的な反応であるという回答が得ら れた。 さらに,最終的なゴールについて質問を受け,付着のリガンドの解明によりそれに対するワクチンの作成ま たは細菌間の可溶性伝達物質阻害剤によるバイオフィルム形成抑制を介した口腔細菌叢の control による歯周 病予防が最終目的であり,そのために歯周病原性菌を中心とした菌種間相互作用の解析を行っている旨の解答 がなされた。 以上の結果により,本研究は今後の歯学の進歩,発展に寄与するところ大であり学位授与に値すると判定し た。 歯科学報 Vol.113,No.1(2013) 107 ―107―