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Title
A Comparison of Propofol and Dexmedetomidine for
Intravenous Sedation : A Randomized, Crossover
Study of the Effects on the Central and Autonomic
Nervous Systems
Author(s)
大川, 恵子
Journal
歯科学報, 111(1): 102-103
URL
http://hdl.handle.net/10130/2319
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 歯科診療は緊張や不安を伴いやすく,こうしたストレッサーによる急激な自律神経変動が治療中の合併症を 引き起こす。静脈内鎮静法は,患者のストレス軽減に非常に有用であるが,最も使用されているプロポフォー ル(PROP)と歯科領域での静脈内鎮静法の薬剤として,近年期待されるデクスメデトミジン塩酸塩(DEX)がス トレス負荷に対する自律神経の変動にどのような影響を及ぼすかを比較検討した報告は少ない。そこで,両薬 剤を用いた軽度鎮静下に精神的ストレスを負荷し,その時の自律神経変動を心拍変動(HRV)の周波数解析を 用いて測定し,被験者のストレスが軽減したのか自覚的評価と併せて比較検討した。 2.研 究 方 法 対象は ASA 分類Ⅰの男性健康成人ボランティア25名とした。歯科治療における精神的ストレスの代わり に,暗算減算負荷(MA)によって,精神的ストレスを被験者に2回与えた。1回目の MA は非鎮静下,2回目 の MA は PROP または DEX 鎮静下で行った。目標鎮静条件は OAA/S スコア4と BIS 値75∼85とした。他
覚的評価として,心拍数(HR),HRV と唾液α−アミラーゼ(AMY)を測定した。自覚的評価として,Faces
Anxiety Scale(FAS)を使用し,加えて,PROP または DEX どちらをより好むかを鎮静後にインタビューし た。各薬剤は1週間間隔でクロスオーバーにランダムに投与した。自律神経活動は HRV の周波数解析を用 い,0.04∼0.15Hz の低周波成分(LF),0.15∼0.40Hz の高周波成分(HF),それぞれの比である LF/HF を測 定し,交感神経活動の指標は nuLF,LF/HF,副交感神経活動の指標は nuHF とした。各負荷の終了時に AMY 測定のための唾液を採取し,FAS で自覚的ストレスを評価させた。
3.研究成績および考察
PROP または DEX 鎮静時,BIS 値は両群共に低下したが,群間で有意差はなかった。鎮静の有無にかかわ らず,HR,LF/HF と nuLF は MA 負荷により両群で増加し,nuHF は両群で減少した。しかし,鎮静下での
nuHF の変化率は PROP 群が DEX 群より大きかった。FAS,SpOv,MA の正答率は PROP 群が DEX 群より
低かった。ストレスの自覚的評価と被験者へのポストインタビューで PROP を DEX より好むとういう意見が 多かった点から考えると,PROP が DEX より不安患者に対する静脈内鎮静法として適していることが示唆さ 氏 名(本 籍) おお かわ けい こ
大
川
恵
子
(兵庫県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1820 号(甲第 1091 号) 学 位 授 与 の 日 付 平成21年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 A Comparison of Propofol and Dexmedetomidine for Intravenous Sedation : A Randomized, Crossover Study of the Effects on the Central and Autonomic Nervous Systems
掲 載 雑 誌 名 Anesthesia & Analgesia 第110巻 2号 415∼418頁
2010年 論 文 審 査 委 員 (主査) 一戸 達也教授 (副査) 金子 譲教授 柴原 孝彦教授 川口 充教授 田﨑 雅和教授 歯科学報 Vol.111,No.1(2011) 102 ―102―
れた。 4.結 論 患者自身の快適性を考慮した時,PROP の方が DEX よりも不安の強い患者の静脈内鎮静法に適しているこ とが示唆された。 論 文 審 査 の 要 旨 静脈内鎮静法は患者の歯科治療に対する精神的ストレスの軽減を目的とする有用な方法である。臨床におい て最も使用されているのはプロポフォール(PROP)である。近年,呼吸抑制が少なく,呼びかけに応じて速や かに覚醒するデクスメデトミジン塩酸塩(DEX)が歯科領域での静脈内鎮静法に用いる薬剤として期待されて いる。本研究では,PROP と DEX 鎮静下における精神的ストレス負荷時に,自律神経活動,唾液α−アミ ラーゼ(AMY)と被験者の気分にどのような影響を及ぼすかを比較検討した。被験者に,1回目のストレス負 荷を与え,その後 PROP または DEX を静脈内投与した。軽度鎮静状態が得られた後に2回目のストレス負荷 を実施した。ストレス負荷には4桁の減算暗算試験(7分間)を使用し,顔不安スケール(FAS)で自覚的スト レスを評価させた。その結果,PROP と DEX でストレス負荷による交感神経活動に差はなかったが,被験者 は PROP 鎮静下で負荷試験を行った方が,自覚的ストレスを感じなかったということが FAS とポストインタ ビューの結果から示された。歯科治療に対する不安や恐怖心の強い患者には PROP の使用が有用であること が示唆された。 本審査委員会では,1.DEX は鎮静薬としてどのような特徴があるのか。2.ポストインタビューで DEX より PROP を好む被験者が多かったとあるが,どのような質問からこのような評価になったのか。3.AMY のストレスマーカーとしての意義 4.暗算試験に対する慣れの影響はないか。などについての質問があっ た。これらの質問に対する回答として,1.DEX 鎮静の特徴は「生理的睡眠に類似した状態」となり,刺激 がない状態では用量依存性に鎮静が深くなり,BIS 値も低下するが被験者を刺激すると清明に覚醒する。2. 精神的ストレス負荷中の被験者の気分として PROP または DEX どちらをより好むかをインタビューした。 3.AMY はクロモグラニン A とともに交感神経活動を反映する唾液中ストレスマーカーとして観察されて いる。4.慣れは発生するかもしれないが,クロスオーバーで暗算試験を行い,正答率にも差が出て来ている ことより慣れの影響は小さいものと考える。と説明された。また,論文の文章構成や英語表現指摘があり,訂 正が行われた。 本研究で得られた結果は,今後の歯学の進歩,発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判 定した。 歯科学報 Vol.111,No.1(2011) 103 ―103―