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中心視野に限定された環境において読み効率を向上させる読書インタフェースの提案

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 75 回全国大会. 6F-5 中心視野に限定された環境において 読み効率を向上させる読書インタフェースの提案 小林 潤平 †   関口 隆 †   新堀 英二 †   川嶋 稔夫. ††.  . † 大日本印刷株式会社  honto ビジネス本部 ビジネス開発ユニット 出版メディア研究部  †† 公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科  (a) List. 読書中の 読書中の 眼球運動は、Paragraph Space 眼球運動は、 停留と 停留と サッカードの サッカードの Margin 繰り返しで (0.5 letter width) 繰り返しで あることが Paragraph Guideline あることが (Visible) 知られている。 知られている。 ┌────┘ 停留中には、 停留中には、 中心視野において 中心視野において 文字認識すると 文字認識すると 同時に、 同時に、 周辺視野において 周辺視野において. はじめに. 1. 読書中の眼球運動は,停留とサッカードの繰り返しであること が知られている。停留中には,中心視野において文字認識すると 同時に,周辺視野において次の停留先の選定が行われるため,中 心視野と周辺視野の両方の処理を向上させることが,全体的な読 み効率の向上につながる。 一方,求心性視野狭窄など,中心視野の視力は正常であるが, 周辺視野の視力が低下または欠損する症例が存在する。この場 合,周辺視野の処理が強く制限されるために次の停留先の選定が できず,特に行末から行頭への視点移動が困難となり,読み効率 が減少する [1]。したがって,求心性視野狭窄者の読み効率向上 のためには,周辺視野を利用せず,中心視野のみで読み進められ るインタフェースが有望である。 中心視野のみで読み進めることができる文書呈示手法として は,Rapid Serial Visual Presentation(RSPV)が挙げられる。 しかし,RSVP は,読み手の意図に関わらず自動的に次々と呈 示,または,手動であるが文字列の連続性が失われた状態で呈示 される。そのために,読み損ねた場合に再び戻って読み返す行為 が困難となり,読む際に極度の集中を要求するために快適な読書 体験を実現することが難しい,という課題がある [2, 3]。 そこで本研究では,中心視野のみに視野が限定された状態で も,読者への負担が少なくかつ効率よく読むことを可能とする, 文章を短く折り返す呈示,およびタッチパネルによるユーザ操作 を取り込む読書インタフェースを提案し,その効果を検証する。. 読書インタフェース概要. 2. 中心視野のみに視野が限定された状態では,視点移動が非常に 困難となる。そのため,視点は固定し,ユーザ自身のスワイプ操 作によって文字側を動かすインタフェースを構築することで,読 み効率が向上すると考えた。構築した List 型と Step 型の 2 種 類のインタフェースを,図 1 に示す。 (a) List 型は,中心視野に収まる 8 文字以下で折り返すように 調節された形態である。各行が文節単位となるよう,コンテンツ を形態素解析し,折り返す適切な位置を決めるアルゴリズムもあ わせて実装した。 (b) Step 型は,List 型と同様の形態を有するが,改行毎に,前 行に対して 0.5 文字分,行頭を右に字下げしている点が異なる。 これは,次行の先頭文字が,円状である中心視野内に収まるよ うに工夫したものである。段落の先頭行では字下げを 0 とする。 文字数の多い段落の末尾行はディスプレイ右端に描画されるた めに,段落末尾の行から次段落先頭の行へ,視点移動を促す補助 線を描画した。 List 型と Step 型どちらの形態も,視認している行とその前後 の行を,同時に中心視野で捉えることができる。そして,上下に 見えている前後の行を頼りに,ユーザ自身がスワイプ操作でコン テンツをスクロールさせることができる。その結果,中心視野を 動かさずに読み進めることが可能となる。 上記 2 形態に,比較対象として日本語の一般的な横書き組版を 有する Book 型を加え,計 3 形態の読み効率の変化を調査した。 E-Reader Interface for Reading Efficiency Improvement in Concentric Contraction of Visual Field Jumpei KOBAYASHI † Takashi SEKIGUCHI Eiji SHINBORI † Toshio KAWASHIMA †† † ††. Foveal Vision with Peripheral-Masking (± 2.5 deg (φ ≒ 35 mm)). Concentric Contraction of Visual Field (8 letter width, 3 line height). 図 1 構築した 2 種類の読書インタフェース(図中の円は,ア イマスクで中心視野のみに限定した視野範囲(青),求心性視 野狭窄者の視野範囲(赤)を示す). 3. 実験手法. 10 名の晴眼者を被験者とし,中心視野に限定された場合の読 みの変化を,nac 社製視線検出装置 EMR-9 にて計測した。 晴眼者は,Book 型を晴眼状態で閲覧した後,3 形態それぞれ を中心視野に限定された状態で閲覧した。3 形態の閲覧順とコン テンツの組み合わせは,被験者毎に変更した。 中心視野のみの限定視野は,晴眼者にアイマスクを装着するこ とでつくりだした。アイマスクには円筒が取り付けられ,被験 者はその筒を覗くかたちでコンテンツを閲覧する。筒の直径は, 中心視力が半減する視野角 ± 2.5 deg[4] となるように調整した。 被験者の眼球とディスプレイの距離はおよそ 40 cm であること から,± 2.5 deg の視野は,直径およそ 3.5 cm,ディスプレイ上 では左右方向に 7 文字前後認識できる範囲であった。筒は被験 者の利き目側のみに取り付け,もう一方の視野は遮蔽した。 コンテンツは,星新一氏のショートショート作品を用いた。 文字数 2800 程度の 8 編を選出し,それぞれについて,List 型, Step 型,Book 型の計 3 形態を HTML および CSS にて作成し た。コンテンツは iPad 上の標準 Web ブラウザで描画され,被 験者自身のスワイプ操作でコンテンツをスクロールさせながら, 読み進められた。 アイマスクを装着した晴眼者の読みが,視野狭窄者を模擬でき ているかを確認するために,1 名の求心性視野狭窄者を被験者と した実験を行った。求心性視野狭窄者は,Book 型と List 型をそ れぞれ 1 回閲覧し,そのときの視線移動を nac 社製視線検出装 置 EMR-9 にて計測した。視野狭窄者の中心視野は図 1 に示す ような楕円の形状であり,構築したインタフェース上では,上下 方向に 3 行,左右方向に 8 文字程度が認識可能であった。なお, 中心視野内の視力は,晴眼者と同等であった。. 4. †. (b) Step. 結果. まず,アイマスクを装着した晴眼者の読みが,視野狭窄者を模 擬できているかを確認する。 晴眼者 1 名と,視野狭窄者の視点移動の軌跡を図 2 に示す。晴. Dai Nippon Printing Co.,Ltd. Future University Hakodate. 4-37. Copyright 2013 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 75 回全国大会. -3. 20 List 10. 0. 0. 0. -10 -10. 0. 10. 1 0. -10 -10. 0. 10. -10. 0. 10. X / deg in Normal Vision in Foveal Vision with Peripheral-Masking in Visual Concentric-Contraction. Y / deg. Book. List. 10. 10. 0. 0. -10. ∆y. 10. 0 -20. +35%. -1 +9%. List. -40. -60. -80. 10. -10. 0. Book. 10. X / deg. 図2. 晴眼者と視野狭窄者の視点移動軌跡. List. 0.8. 0.7 Beginning 0.6 0.70. -100 0. RSVP. 0.9. -10 -10. Step. Ending Normalized Position, y. 10. -10. 2x10. Step. Parcentage Change in Reading Speed (%). Y / deg. Book. Step. 図3. 視野制限による読書速度変化率. 眼者にアイマスクを装着した場合,3 形態ともに,視点移動の軌 跡は視野中央に偏在し,視点が固定されていることがわかる。つ まり,上下方向へは眼球は動かさずに文字側をスクロールさせて 読み進め,左右方向へは眼球を動かさずに首を振ることで読み進 めている状態である。この傾向は他の晴眼者 9 名も同様である。 視野狭窄者の場合,上下方向はアイマスクを装着した晴眼者 と同様であるが,左右方向は Book 型と List 型で傾向が異なる。 Book 型では,左右方向の眼球運動を伴って読み進めるために, アイマスクを装着した晴眼者とは視点移動軌跡が異なる。一方, List 型では左右方向の視点移動が不要のため,アイマスクを装 着した晴眼者と同様の視点移動軌跡を描いた。 中心視野に限定されているのは,視野狭窄者とアイマスクを装 着した晴眼者どちらも同じであるが,左右への視点移動が必要な 場合,視野狭窄者は通常の眼球運動,アイマスクを装着した晴眼 者は左右の首振運動によって,行うことになる。今回は,その差 異を同等と仮定した実験である。したがって,両者の視点移動軌 跡より,アイマスクによって求心性視野狭窄状態を模擬できてい るものと結論付けた。 次に,アイマスクを装着した擬似的視野狭窄状態における,. List 型,Step 型インタフェースの効果を検証する。 晴眼者 10 名が晴眼状態で Book 型コンテンツを閲覧した時の 平均読書速度が 760 文字/分,視野限定状態の平均読書速度は, Book 型で 514 文字/分,List 型で 659 文字/分,Step 型で 553 文字/分であった。図 3 に,晴眼状態における Book 型の平均読 書速度に対する,視野限定状態における 3 形態の平均読書速度変 化率を示す。誤差範囲は,95% 信頼区間を表す。中心視野に限 定されたときの読書速度の変化率は,Book 型では −30% である が,List 型および Step 型ではそれぞれ −10% および −22% と, Book 型よりも速度低下が抑えられていることがわかる。特に List 型は,視野限定状態における Book 型を基準とすると,平均 して +35%,最大で +116% も速い読書速度を記録している。 List 型を閲覧した視野狭窄者からは「視点を移動させずに済む ため,非常に読みやすい」との意見が得られた。視野狭窄者が, List 型において視点を移動せずに読み進められていることは,図 2 からも確認できる。List 型においては,視野狭窄者とアイマス クを装着した晴眼者の視点移動軌跡はほぼ一致しており,今回得 られた List 型における読み効率の向上は,実際の視野狭窄者に おいても発現する可能性が高い。 一方,Step 型も Book 型に対して +9% 速い読書速度を記録し ているが,その傾向は被験者によってばらつきがみられた。Step 型において読書速度が低下する最大の要因は,段落内の文字数が 多い時に発生する,ディスプレイ右端に描画される段落の末尾か ら,ディスプレイ左端に描画される次段落の先頭への,大きな視 点移動であると考えられる。しかし,この大きな課題が存在する にもかかわらず,Step 型の方が List 型よりも速く読める者が 10 名中 4 名存在しており,課題解決と可能性追求により,List 型 よりも優れた効果が得られる可能性がある。. 4-38. 0.75. 0.80. 0.85. 0.90. Normalized Reading Time, t. Reading-Interface Type. 図4. コンテンツ表示位置変化. 最後に,RSVP に対する優位性を検討する。 図 4 に,RSVP,List 型,Step 型インタフェース利用時のコ ンテンツ表示位置 y の変化を示す。コンテンツの先頭行が,ディ スプレイ最上部に描画されているときが y = 0,同じ位置に,末 尾行が描画されているときが y = 1 となる。ユーザが,コンテン ツ先頭より順にスクロールしながら読み進めると,t および y は 0 から 1 に向かって増加する。反対に,読み戻しなど逆方向へス クロールすると,t は増加を続けるが,y は減少する。RSVP の 場合は,List 型の先頭行から,一定時間毎に 1 行分ずつ,瞬間的 にスクロールされる場合と同等として,プロットした。 RSVP の場合は,一定時間毎に 1 行分ずつ機械的に行送りさ れるために,y は階段状に増加する。一方,List 型や Step 型の 場合は,ユーザ自身が最適なタイミングでスクロールしているた めに,y は複雑に変化する。また,所々 ∆y がマイナス値を記録 していることから,必要に応じて読み戻している動作も確認でき る。このような,読み手の意識を反映し,柔軟に表示位置を前後 させる文字列呈示は,RSVP 方式では難しい。 したがって,どちらも同じ中心視野で読み進めることが可能な 文書呈示手法であるが,快適な読書体験の点においては,スワイ プ操作によるスクロールを取り入れた List 型および Step 型イ ンタフェースの方が,RSVP よりも優れているといえる。. 5. おわりに. アイマスクによって中心視野に限定された状態をつくりだ し,その状態でも読み速度が低下しにくく,かつ読み戻しも容易 な List 型および Step 型の読書インタフェースを開発した。特 に List 型では,視野限定状態において,従来の組版よりも平均 35% 読み効率が向上した。List 型の視点移動軌跡は,視野狭窄 者とアイマスクを装着した晴眼者との間でほぼ一致しており,今 回得られた読み効率の向上が,実際の視野狭窄者においても発現 する可能性が高い。今後、複数の視野狭窄者の協力を得て、さら に調査を進める予定である。. 謝辞 本研究を行うにあたり,函館視力障害センター職員の方々、公 立はこだて未来大学学生の方々から多大な協力をいただいた。 ここに感謝の意を表する。. 参考文献 [1] 五十嵐 信敬ほか, “弱視者の読みと事務的職業,” 障害者職 業総合センター 調査研究報告書 (1993). [2] 苧阪 直行, “読み:脳と心の情報処理,” 朝倉書店 (1998). [3] 福川 洋, 富松 潔, “ハンズフリー電子ブックのデザイン,” 情 報処理学会シンポジウム論文集 2003, 7, 221–222 (2003). [4] T. Wertheim,“Uber die indirekte Sehscharfe,”Psychologie und Physiologie der Sinnesorgane, 7, 172–187 (1894).. Copyright 2013 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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図 4 コンテンツ表示位置変化 眼者にアイマスクを装着した場合, 3 形態ともに,視点移動の軌 跡は視野中央に偏在し,視点が固定されていることがわかる。つ まり,上下方向へは眼球は動かさずに文字側をスクロールさせて 読み進め,左右方向へは眼球を動かさずに首を振ることで読み進 めている状態である。この傾向は他の晴眼者 9 名も同様である。 視野狭窄者の場合,上下方向はアイマスクを装着した晴眼者 と同様であるが,左右方向は Book 型と List 型で傾向が異なる。 Book 型では,左右方向の眼球運動を伴っ

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