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低電力性・高信頼性を有する高性能電流モード多値VLSIシステムの実現

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Academic year: 2021

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(1)

低電力性・高信頼性を有する高性能電流モード多値

VLSIシステムの実現

著者

羽生 貴弘

(2)

低電力性・高信頼性を有する高性能

電流モード多値VLSIシステムの実現

研究課題番号 12680324

平成12年度∼平成14年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))

研究成果報告書

平成15年4月

研究代表者 羽生貴弘

東北大学電気通信研究所

(3)

平成1 2年度∼平成1 4年度科学研究費補助金

(基盤研究(C)(2))

研究成果報告

1.研究課題

低電力性・高信頼性を有する高性能電流モード多値

VLSIシステムの実現

研究課題番号  12680324

2.研究代表者

羽生貴弘 (東北大学電気通信研究所教授)

3.研究経費(すべて直接経費)

平成12年度   800千円

平成13年度  2,400千円

平成14年度   500千円

計  3,700千円

(4)

はしがき

近年、 VLSI微細加工技術の進展に伴い、スイッチング速度の向上と共に、 VLSIチップにお ける消費電力低減がさらなる高集積化に極めて重要であることが指摘されている。これと同時 に、回路のテスト容易性や高信頼性も益々重要となっている。現在の2値cMOS回路による実 現方法では、 VLSIチップに供給される周波数が高くなると、貫通電流が増大し、消費電力が 著しく増加するという問題が顕著になる。また、セルフチェッキング回路などの誤り検出機能を 有する回路をCMOSで実現すると、セルフチェッキング機能を有していない場合と比較して、 回路規模や消費電力が2倍程度増大してしまう、など2億CMOSによる回路実現の本質的な 問題点がクローズアップされている。 このような2値CMOS回路の問題点を克服する新しい観点の回路技術の1つとして、本研究 者らの研究グループでは「多値集積回路技術」に関して研究を推進してきた。本研究では、電 流の多値符号化法に基づき、高速スイッチング機能と、低消費電力化・高信頼化を同時に満 たす、電流モード多値VLSIの構成法について検討している。特に本研究では、主に以下の 要素技術に関する研究を行った。

(1)電流源制御による電流モード多値集積回路の静的消費電

力低減技術

電流モード多値集積回路は、線形加算が結線のみで実現できるなど特に算術演算回路の 高性能化に適する回路技術であることが知られている。しかしながら、電流レベルを多段階に 分割して多値情報を表現するため、多レベル信号を判定するための回路(スレショルドディテ クタ)のスイッチング速度が遅く、この結果算術演算システム全体で十分な高性能化が達成で きないという問題があった。本研究では、小さい入力信号で高い電流モード駆動能力を有する 回路技術として、差動対回路方式を積極的に活用した。差動対回路は、通常、各種の増幅器 やメモリセンスアンプなどとして活用されている回路技術である。これを電流モード回路に活用 することで演算速度を数倍程度向上させることに成功した。 また、電流モード回路では通常、電流値をコピーするためにカレントミラーを用いている。し かしながら、このカレントミラーによるスイッチング速度の低下と消費電力の増大があった。そこ で本研究では、スレショルドディテクタ内の差動対回路が、電圧で駆動されることに着目し、電 圧でのコピーを積極的に活用することでカレントミラーのない電流モード回路が構成できること を示した(つまり、入力信号として電流と電圧を適宜変換しながら用いているので、正確には電

(5)

流・電圧ハイブリッドモード回路と見なせる) 0 さらに、回路が動作していないとき、その電流源をOFFにして無駄な消費電力を極力低減 する回路技術を考案した。電流源はNMOSトランジスタのゲートに定電圧源を付加することで 実現されているため、この定電圧源をON、 OFFすることで、回路のクリティカルパスを増加さ せることなく容易に電流源制御が可能である。この結果、静的消費電力をほぼセロにできるこ とを明らかにした。

(2)ダイナミックロジックに基づく電流モード多値集積回路の動

的消費電力低減技術

2線式電流モード多値集積回路のさらなる低消費電力化方法として、ダイナミックロジックを 活用する方法を考案した。ダイナミックロジックでは、 Precharge (充電)相とEvaluate (放電)相 を交互に行いながら動作させる回路方式である。まず、 precharge相で仮想的電源と仮想的グ ランドを共に設定する。仮想的電源と仮想的グランドは負荷容量で実現されている。次いで、 Evaluate相では回路から電源とグランドを切断し、演算動作を実行させる。このとき仮想的電 源から仮想的グランド-適宜電荷が移動するだけで演算が完了する。すなわち、回路の消費 電力は、仮想的グランドの容量で決定されることとなり、貫通電流などの無駄な電力消費が全 くない回路構成である。また、差動対回路構造を活用して、容量間の電荷移動を補助すること により、高速動作も可能となる。以上の回路技術により、電流モード多値集積回路の静的のみ ならず動的消費電力も大幅に低減できることを明らかにした。

(3)多値2線符号化に基づくセルフチエツキング機能付き電流

モード多値集積回路の構成

セルフチェッキング回路とは、 2線相補信号を活用して単一誤りを検出できる回路であり、回 路の実時間動作時において誤り状態を常にモニタできるため、極めて信頼性の高い機能であ る。これを2値CMOS回路で実現する場合、 2線回路化するため回路規模が約2倍程度になっ てしまう。これに対し、 2線式電流モード多値集積回路においてセルフチェッキング機能の実 現を検討した。電流モード多値回路では、スレショルドディテクタにセルフチェッキング機能を 実現すればよい。スレショルドディテクタの2線相補入力信号は、誤りがない場合(0, 1)または (1, 0)である。もし誤りが生じると、 (0, 0)または(1, 1)という2線入力対にある。この誤り状態 をマスクすることなく、後段-伝播させられればセルフチェッキング回路が構成できることとなる。

(6)

本研究では、スレショルドディテクタ部分を改良し、上述した機能を付加することで電流モード 多値集積回路全体のセルフチェッキング化に成功した。すなわち、 2線式電流モード多値回 路では、線形加算部が既に2重化されているため、スレショルドディテクタ部分も効率的に2重 化すればセルフチェッキング機能が付加できるoこの結果、回路規模を1. 5倍程度増大させ るだけでセルフチェッキング機能を実現できることを明らかにした。

(4)双方向電流モード多値回路による非同期データ転送技術

低消費電力化を達成させる方法として、通常の同期式でなく、データが到来したら演算を適 応的に実行する非同期制御についても考察した。非同期制御では、信号にデータと制御情 報を一体化するため、 2線式信号表現が用いられる。本研究では、多値2線式においても、非 同期制御を実現する信号表現を定義することで、非同期回路を実現し、システム全体の低消 費電力化を達成する。具体的には、高速な非同期データ転送が可能となる「双方向非同期デ ータ転送プロトコル」と、これを実現するための「2色1相2線符号化方式」を新たに考案し、その 動作について検討した。これは,送信側と受信側の双方から要求信号を出し合い,信号の加 算結果を観測することで、双方の状態を判定するプロトコルである。ここで、双方の要求信号 が一致したとき2線符号の和が最大値または最小値となるように要求信号を適宜2線符号化す ることで、上述のプロトコルを実現できる。また、実際に電流モード多値回路にて提案プロトコ ルを実現し,回路シミュレーション上でその動作を確認した結果、従来の非同期データ転送方 式と比較して約1.6倍の高速化が達成された。

研究組織

研究代表者

羽生貴弘(東北大学電気通信研究所・教授)

(7)

研究発表

(1)学会誌等

・池司,羽生貴弘,亀山充隆,I-2線式電流モード多値論理に基づくセルフチェッキン

グvL S Iシステム,一一電子情報通信学会論文誌C, J83・C, 4, 318/325, 2000・

・ T. Hanyu, T・ Ike and M・ Kaneyama・ HLow・Power Dual・RailMultiple・Valued current-Mode Logic Circuit Using Multiple lnput・SignalLevels,''IEEE InternationalSymposiumOn Multiple・Ⅴ王血ed Logic, 30, 382/387, Portland・ Oregon, USA, May 2000・

・羽生貴弘,亀山充隆,・`2色2線式符号化に基づく非同期電流モード多値VLS Iシ

ステム,"電子情報通信学会論文誌C, J83lC, 6, 463/470, 2000・

・ T. Hanyu, T・ Ike and M・ Kameyama, ``Integration ofAsynchronouS and

self-checking Multiple・Vdued Current・Mode Circuits Based on Dual-Rail DifferentialLogic,・・ 2000 Pacific Rim International Symposium on Dependable

computing, 27/33, LosAngeles, Califomia, USA, Dec・ 2001・

・ T. Ike , T. Hanyu and M・ Kameyama, "Dual・Rail Multiple・Valued Current-Mode

vLSIwithBiasing Current Sources,〟 IEEE InternationalSymposium on

Multiple・Vdued Logic, 31, 21/26, Warsaw, Poland, May 2001・

・ T. Ike, T. Hanyu, and M・ Kaneyama, uFully Source-Coupled Logic Based Multiple・Vdued VLSI,I, Proc・ 32nd IEEE InternationalSymposiumOn

Multiple・Ⅶlued Logic, 32, 270/275, Boston, MasSaChusetts・ USA, May 2002・

・ T. Ike, T. Hanyu and M・ Kameyama, 〃OptimalDeSign of a Dual・Rail

Multiple・Valued Current-Mode Integrated Circuit Based on Voltage Swing

Mimimization,,I Joumalof Multiple・Valued Logic & SoftComputing, Vol・9・ No・ 1, 5/21,2003.

・ T. Hanyu, A・ Mochizuki and M・ Kameyama・ `Multiple・Valued Dynamic

source・coupled Logic," Proc・ 33rd IEEE International Symposium on

Multiple・Valued Logic, Tokyo, 33, Japan, May 2003 (to be published)・

・ T. Hanyu, T・ Takahashi and M・ Kaneyana・ a BidirectionalDataTransfer Based Asynchronous VLSI System Using Multiple・Valued Current-Mode Logic,''Proc・

(8)

33rd IEEE Intemational Symposium on Multiple・Valued IJOgic, 33, Tokyo, Japan, May 2003 (to be pu.blisbed).

(2)口頭発表

・羽生貴弘,亀山充隆, "2色2線式電流モード多値非同期VLSIシステムとその応 用,"電子情報通信学会技術研究報告, FTS2000-2, 9/15, Apt. 2000. ・池司,羽生貴弘,亀山充隆, "セルフチェッキング性を有する2線式電流モード多値 集積回路と高性能算術演算Ⅵ.SI -の応用,''電子情報通信学会技術研究報告, FTS2000・3, 17/24, Apr. 2000. ・望月孝祥,羽生貴弘,亀山充隆, "複数電源電圧を用いた2線式電流モード多値集積 回路に基づくパイプライン積和演算器,"電気関係学会東北支部連合大会講演論文 集, 2H4, 288, Åug. 2000. ・池司,羽生貴弘,亀山充隆, "カレントミラーの高速化に基づく2線式多値電流モー ド集積回路の構成,"電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集, C・12・20, 100, Sep. 2000. ・望月孝祥,羽生貴弘,亀山充隆, ``ダイナミック記憶に基づく2線式電流モード多値 集積回路の高性能化とその応用,''多値論理とその応用研究会技術研究報告, MVL-0116, 42/49, Jan. 2001. ・池司,羽生貴弘,亀山充隆, `ツース結合形論理に基づく多値集積回路の構成,''電子 情簸通信学会春季全国大会講演論文集, C・12119, 114, Mar. 2001. ・池司,羽生貴弘,亀山充隆, "高性能多値電流モード集積回路の設計,''電子情報通信 学会ソサイエティ大会講演論文集, Cl12・15, 76, Sep. 2001. ・望月孝祥,羽生貴弘,亀山充隆, "ソース結合形論理に基づく多値ドミノ集積回路の 構成,''電子情報通信学会技術研究報告, ICD2001・123, 61/66, Oct. 2001. ・高橋知宏,羽生貴弘,亀山充隆, "多値双方向データ転送に基づく非同期VISIシス テム,''多値論理研究ノート, 25, 5, 511/5110,Åug. 2002. ・池司,羽生貴弘,亀山充隆, "ソース結合形多値集積回路の高性能化と画像処理 VLSIプロセッサ-の応用,"電子情報通信学会技術研究報告, ICD2002・125, 45/50, Oct.2002.

(9)
(10)

TOUR : Tohoku University Repository コメント・シート 本報告書収録の学術雑誌等発表論文は本ファイルに登録しておりません。なお、このうち東北大学 在籍の研究者の論文で、かつ、出版社等から著作権の許諾が得られた論文は、個別にTOUR に登録 しております。 TOUR http://ir.library.tohoku.ac.jp/

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