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阿波人形浄瑠璃の現状と今後の課題に関する一考察 : 徳島県勝浦郡勝浦町における維持・存続にむけた取り組み事例をもとに

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Academic year: 2021

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78 国際協力領域

阿波人形浄瑠璃の現状と今後の課題に関する一考察

−徳島県勝浦郡勝浦町における維持・存続にむけた取り組み事例をもとに−  徳島県の人形浄瑠璃は,物語の筋道を歌曲にして説明する浄瑠璃と,伴奏の三味線,物語の進行 に合わせて操られる人形の三者の息のあった協力によって興る舞台の感動を観客に伝える芸能であ る。しかし,師匠の高齢化ならびに他界とそれに伴う人形座や浄瑠璃会の消滅,熟練太夫の消失な どの問題がある。結果として,人形浄瑠璃界全体が衰退の危機に直面しており,後継者の育成も十 分とは言えない現状がある。  こうした状況に鑑み,本稿では,県レベルでの全体的な動向及び市町村レベルでの一事例を取り 上げ,それぞれの取り組みをもとに考察した。具体的には,県レベルでは,NPO 法人阿波農村舞 台の会会員であり,地域文化コーディネーターである佐藤憲治氏への聴き取り調査及び資料分析調 査を行った。市町村レベルでは,江戸時代からの歴史があり,今日まで熱心な活動を続けている徳 島県勝浦郡勝浦町にある勝浦座の事例をもとに,座員 6 名への聴き取り調査,書面調査及び資料分 析調査を実施した。  聴き取り調査の結果,維持・存続にむけた取り組みには,次のような試みがなされていることが 明らかになった。第一に,県内の一部地域においては,後継者養成につなげるため,なるべく早い 段階から人形浄瑠璃に親しみをもたせ,学校での公演活動がなされていること。第二に,座員同士 が互いに協力し合いながら,公演に必要な諸経費を抑制するなど,採算が取れる運営体制となって いること。第三に,古い物を大切にしようという強い意志を持つこと。  今後の課題としては,自らの座だけでなく,他の座とも連携しながら,互いの技を向上させてい くことや,各座が独特な芸を極め,特徴的なものを持つことが挙げられる。以上のように,徳島県 は素晴らしい伝統芸能である人形浄瑠璃を有しながら,県としてそれを維持・存続させるための全 体的な姿勢が不足している。これを改善していくためには,個々の市町村レベルでの座が全体を統 率していくことは難しく,県としての文化行政の振興・発展が不可欠である。筆者も過去の太夫と しての経験を活かし,微力ではあるが人形浄瑠璃の継承・発展に貢献していきたい。 国際協力領域 竹 宮 悦 子

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