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北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況

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Academic year: 2021

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(1)Title. 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況. Author(s). 高橋, 亜希子. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 65(1): 141-156. Issue Date. 2014-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7544. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 5巻 第 1号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n l Vo . l6 5,No. l. 平成 2 6年 8 月. Augus . t2014. 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況 高橋亜希子 北海道教育大学旭川校教育学教室. Thec i r c u m s t a n c es u r r o u n d i n gt h en a t i o n a la s s e s s m e n tt e s ti nHokkaido TAKAHASHIAkiko Departmento fE d u c a t i o n,AsahikawaCampus,HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n. 概要 全国学力・学習状況調査において,北海道は全国で下位に位置し,多くの学力向上政策が行 われている。本稿では,①北海道の平均正答率・標準化得点の検討,②北海道の家庭学習の状 況,③学力の二極化,の 3点に関して,全国学力学習状況調査に関する報告書の数値を主な資 料として検討を行った。その結果,①北海道の平均正答率は全国平均より低位にある。しかし 標準化得点は小学校は 98を水準に,中学校は 99を水準に推移し,全国と必ずしも大きな差では ないこと,②北海道の家庭学習時間は全国平均より短い。しかし家庭学習に関する質問項目に は,通塾時間・家庭教師の時間も含まれており,通塾の有無が実際には家庭学習時間に影響し ていること,③北海道では,低位層の厚さ,学力における高位層と低位層の二極化の双方が生 じているが,その背景に社会階層や社会経済的状況の影響があること,の 3点を指摘した。. 問題と目的 平成 1 9年から全国学力・学習状況調査が開始され,. 6年が経過した。. 北海道は,全国学力・学習状況調査においては,平成 19年 ~25年まで小学校調査では継続して全国 46位,. 中学校調査では全国 43~44位と下位に位置する状況にある 10. その結果を受けて,北海道教育委員会ではさまざまな学力向上政策が行われている。北海道教育長は平成 22年 6月に,平成 26年実施の全国学力学習状況調査で北海道が全国平均正答率を越えるという目標を掲げた。. また,北海道教育委員会がこれまで、行ってきた主な対応として,①「学力向上のページ」のインターネット 上での作成,②全国学力学習状況調査の過去問題や「チャレンジテスト」の各学校での実施の奨励(図1)2, ③家庭学習の推奨,④生活習慣の改善(生活リズムチェツクシートの作成),などがある。 北海道の学力の危機が叫ばれ,教育関係者のみならず,一般の人々も北海道の学力についてさまざまに意 見を述べる状況にあるえしかし「北海道の学力危機」に関する報道は多くある一方で,全国学力学習状況. 1 4 1.

(3) 古同. ' I IJ 亜希子 ♀ " ' I ' I '. 調査の正確な数値が把握されていない状況もある。 そのため,本稿では北海道の全国学力・学習状況調査をめぐって論じられることの多い,①全国学力・学 習状況調査に関する北海道の平均正答率・標準化得点の検討,②北海道の家庭学習の状況,③学力の二極化 の 3点に関して,資料に立ち戻りつつ検討することを目的とする。 筆者は調査の個票データも,各学校のデータも知る立場にない。そのため, 国立教育政策研究所のホーム ページ,北海道教育委員会のホームページで公開されている全国学力学習状況調査に関する報告書内のデー タを主として用いる。また,本論文の執筆時点(平成 26年 3月)で公開されている平成 1 9年から 2 5年までの 調査資料を分析・考察の対象とする。. 巾ぺ吋川、小刀代、 ん. J. 二. 、 、. tρ γ e u竹丸山辺、にあヰ封道世立神州青山内同か総事. 4AL九日一. 明. ヲ川沖野総だよー﹂ぐす古切れ号哨叫んで、あとい判叫い:. 4. 吋まサかあとの条件に合わせて$31L. , ょ. ta. phrvp. M. 庁 、. t. 小川 j車 問 け い. 心. ペ ャ ペ 、. J. A. わレいど. d t ω d F 1 A 糸川町いれ議出向時刻字げ増へ m. で世 伊のこと4A. 主寸一体脊日紙咋向上吋﹂山中 J J. 2 1 小 川 さ ん と れ 体 許 容 誌 は ‘ 青 山 略 背 山 総 主 上 け い 許 ydw点 ん4 hdh 孟 !ィ v y 、守ぇ 記章一手山市 :ifFMN i 、勾一もうとミ、 A 二 iJA 一 二:ーマぜ V﹀Z SA f a j J d J ザ一. {認し合いの滋胡輔の一部︺. }γJ. J''. 三. h :コ. v⋮い時開刈パ上リ遺骨ぞ才fvs⋮キ益ぺ川、、、%子いや. ttRI、ぞれれや添い品地軒ふりて:ゴ JT い‘:,時間刊さ羽品川町、相暗 tr 三議棋 iみ︿♂. バ ハ. 宮、. 一司会作古総花レ河川﹂芯毛、に、. 小川さん. あなたの発議. 4 5枝 、 V43. 小. ¥日/. 1 図 1 チャレンジテストの問題例(北海道教育委員会ホームページより ). 2 全国学力・学習状況調査 9年から開始された。小学校 6年生と中学校 3年生が対象である。科目 全国学力・学習状況調査は,平成 1. は,小学校が国語 A.B,算数 A.B,中学校が国語 A.B,数学 A.Bとなっている。 Aは,主として「知 識」に関する問題, Bは主として「活用」に関する問題である。平成 24年には小学校,中学校ともに理科が 行われた(理科は A.Bの別はない)。平成 1 9年から平成 2 1年までと平成 2 5年は悉皆調査,平成 2 2年,平成 24 年は抽出調査と希望利用調査を併用して行われている。(平成 23年は東日本大震災のため中止となった。)1 " 生 活習慣や学校環境に関する質問紙調査」として,児童生徒に対する調査(児童・生徒質問紙),学校に対す る調査(学校質問紙) も同時に行われている。. 3 北海道における全国学力・学習状況調査の結果の検討 北海道の学力調査での現状を把握するため,本節では平成 1 9年から 2 5年にかけての全国学力学習状況調査 の北海道の平均正答率・標準化得点を検討する。. 1 4 2.

(4) 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況 ( 1 ) 全国学力・学習状況調査の教科の北海道における平均正答率の推移と全体的な傾向. 9年の開始時から調査に参加している。平成 2 5年 4月2 4日実施調査では,北海道の公立小 北海道は,平成 1 1 1 3 校の 4 3 5 7 5名の児童,公立中学校6 3 1校の 4 3 3 9 5名の生徒,計 1 7 4 4 校8 6 9 7 0名の子どもが回答した。 学校 1 平成 1 9年から 2 5年の北海道の全国学力学習状況調査の結果をまとめたものが表 1である 60平成 1 9年から 2 1 年,平成 2 5年は悉皆調査である。平成 2 2年・ 2 4年は抽出調査と希望利用調査が併存する形での実施であるた め,抽出と合算が併記されている 70. 表 1 北海道の全国学力・学習状況調査における国語・算数(数学)の平均正答率 5. 小学校国語 平均正答率(%). H25. H24. H22. H21 H20 H19. 小学校算数. 巾学校国語. 中学校数学. A. B. A. B. A. B. A. B. (知識). (活用). (知識). (活用). (知識). (活用). (知識). (活用). 北海道(公立) 6 0 . 4 4 6 . 4 7 4 . 9 5 4 . 0 7 6 . 0 6 6 . 2 6 2 . 3 3 9 . 1 全国(公烹) 6 2 . 7 4 9. 4 7 7 . 2 7 6 . 4 6 7 . 4 6 3 . 7 4 1 . 5 5 8. 4 7 7. 4 51 .1 6 8 . 7 5 4 . 3 7 4 . 0 6 3 . 7 6 0 . 0 4 6 . 9 北海道│合算 7 4 . 2 6 3 . 1 4 8 . 1 (公立) I抽出 7 9 . 0 5 3 . 5 6 9 . 6 5 5 . 8 6 0 . 8 7 5 . 1 6 2 . 1 4 9 . 3 81 .6 5 5 . 6 7 3 . 3 5 8 . 9 6 3 . 3 え そ 同 (公立) 7 9 . 0 71 .2 6 7 . 2 4 3 . 8 7 4 . 2 61 .2 6 0 . 9 3 9 . 1 北海道│合算 .8 6 3 . 6 4 0 . 1 4 2 . 4 (公京) I拍向 79.1-80.6 72.5-74.6 67.8-69.9 44.1-46.1 74.1-75.3 62.7-63.7 61 全国(公立) 83.2-83.5 77.7-78.0 74.0-74.4 49.1-49.3 75.0-75.2 65.1-65.5 64.4-64.8 43.1-43.5 北海道(公立) 6 6 . 0 4 5 . 9 7 4 . 1 51 .5 7 6 . 1 7 2 . 6 61 .6 5 5 . 4 全国(公立) 6 9 . 9 5 0 . 5 7 8 . 7 5 4 . 8 7 7 . 0 7 4 . 5 6 2 . 7 5 6 . 9 北海道(公烹) 6 0 . 5 4 6. 4 6 6 . 4 4 7 . 7 7 2 . 7 5 9 . 0 6 0 . 3 4 5 . 9 全国(公烹) 6 5. 4 .6 7 3 . 6 6 0 . 8 6 3 . 1 4 9 . 2 7 2 . 2 51 5 0 . 5 7 6 . 8 5 8 . 6 7 0 . 0 6 8 . 6 5 7 . 6 北海道(公IT.) 7 9. 4 5 8 . 0 8 0 . 5 6 2 . 0 8 2 . 1 7 2 . 0 え そ 同 (公立) 81 .7 6 3 . 6 81 .6 71 .9 6 0 . 6. 北海道の特徴として第 1に,全国平均と比較して平均正答率が低いことがある。表 2は,各教科別の平均. 4年の中学校国語 Bが 0 . 2点のプラスである他は, 正答率との全国平均点の差を集計したものである。平成 2 すべて全国平均点よりマイナスの値となっている。 第 2の特徴として,小学校よりも中学校の方が全国平均正答率との差が縮小することがある。全国平均と. 9年から平成 2 5年までの平均値を算出したのが表 3である。小学校国語 Aが の差に関して平成 1. 3 . 2,国語. Bが 3.8,小学校算数 Aが 4.5,算数 Bの平均が 4.0である一方で,中学校国語 Aの平均が 0.8,中学 校国語 Bが. l .5,中学校数学 Aの平均が. 2 . 0,中学校数学 Bが. 2 . 3と中学校の方が全国平均との差が小. さくなっている。 第 3の特徴として,国語よりも算数・数学の点数の方が全国平均正答率との差が大きく,正答率が低いこ とがある。表 3を見るとすべて算数・数学の方が国語よりも全国平均との差が大きくなっている。 第 4の特徴として,知識 (A) よりも活用 (B) の点数の方が全国平均との差が大きく,正答率が低いこ. .5 ),小学校算数 B (-4.0) のみ知識 Aの方が全国平均との差が小さいが, とがある。小学校算数 A (-4 .2 ),小学校国語 B (-3.8),中学校国語 A (-0.8),中学校国語 B (-l.5 ), それ以外は,小学校国語 A (-3 中学校数学 A (-2.0),中学校数学 B (-2.3),と活用 Bの方が全国平均との差が大きく,正答率も低い。. 4 年の中学国語 Bを除き,平均正答率での比較においては,北海 平均正答率に関しては,北海道は①平成 2 道の平均正答率は全国平均正答率より低位にある,②全体として,国語>算数・数学,知識 (A)>活用 (B), 小学校<中学校という傾向がある,ことがわかる。. 1 4 3.

(5) 高橋亜希子. 表 2 北海道の平均正答率の全国(公立)平均正答率との差の推移 小学校 国語 A. 小学校 国語 B. 小学校 算数 A. 小学校 算数 B. 中学校 国語 A. 中学校 国語 B. 中学校 数学 A. 中学校 数学 B. H25. -2.3. 3 . 0. -2.3. 4 . 4. 0. 4. -1.2. 1 .4. -2 . 4. H24. -2.6. -2 . 1. -3.7. -3.1. 0 . 9. 0 . 2. -1.3. -1.2. H22. 4 3.. 4 . 3. 5. 4. 4 . 2. 0. 4. -2 . 4. -1.9. -2 . 1. H21. -3.9. 4 . 6. -4.6. -3.3. 0 . 9. -1.9. -1.1. -1.5. H20. -4.9. -3.9. -5 . 8. -3.9. -0.9. -1.8. -2.8. -3.3. H19. -2.3. -5 . 0. -5 . 3. -5 . 0. -1.1. -2 . 0. -3.3. -3.0. 平均. -3.5. -4.2. -4.7. -4.2. -0.8. -1.5. -2.1. -2 . 5. 表 3 北海道の平均正答率の全国(公立)との差:平成 19年から平成 25年までの平均値 小学校国語 A. -3.2. 小学校算数 A. 小学校国語 B. 3 . 8. 小学校算数 B. 4 . 0. 中学校国語 A. -0.8. 中学校数学 A. -2 . 0. 中学校国語 B. -1.5. 中学校数学 B. -2 . 3. 4 . 5. ( 2 ) 標準化得点での検討 平均正答率での検討においては,いずれの教科においても,全国平均より正答率が低いということがわかっ た。それでは,割合で比較するとどの程度の差であろうか。次に,標準化得点での検討を行う。標準化得点 は,各学校等に在籍する児童生徒の全国的な状況との関係について年度聞の相対的な比較をするための指標 であり,全国平均を 100と置いた場合の値である 80 平成 19年から平成 25年にかけての北海道の公立学校の標 準化得点、を抽出したものが表 4である。. 表 4 北海道公立学校の全国学力・学習状況調査における標準化得点の経年変化 9 小学校国語 標準化得点. 小学校算数. 中学校国語. 中学校数学. A. B. A. B. A. B. A. B. (知識). (活用). (知識). (活用). (知識). (活用). (知識). (活用). H25. 9 9. 9 8. 9 9. 9 8. 9 9. 1 0 0. 9 9. 9 9. H24. 9 8. 9 9. 9 8. 9 8. 9 9. 1 0 0. 9 9. 9 8. H22. 9 8. 9 8. 9 8. 9 8. 9 9. 9 8. 9 9. 9 8. H21. 9 8. 9 8. 9 8. 9 8. 9 9. 9 9. 9 9. 9 9. H20. 9 8. 9 8. 9 8. 9 8. 9 9. 9 9. 9 9. 9 9. H19. 9 9. 9 8. 9 7. 9 8. 9 9. 9 9. 9 9. 9 9. 北海道の標準化得点は小学校国語が 98~99 ,小学校数学が97~99 ,中学校国語が 98~100 ,中学校数学が 98 ~99 である。全国学力学習状況調査は,分散が小さい特徴があり,都道府県による差は実際には小さいこと. とも指摘される。北海道の標準化得点の推移をチャートで示したのが,図 2,図 3である。年度によって若 干の差異はあるが,小学校はおよそ標準化得点が98を基準として推移し,中学校は 99を基準として推移して いることが読みとれる。. 1 4 4.

(6) 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況. 9 9 . 5. 1 0 0 . 5. 99. 100 ー申ーノ j 、 乞 「校 円 : l Jt if ¥ (知識). ー申・ 中守佼│ 羽J Ul ¥( 知l " l i ). 9 8 . 5. 9 9 . 5. 98 ・-・小午+ 交I E I J / ]T l(所用). て 百円(活用) 99 _ーー 中マ佼│. 9 7 . 5. 9 8 . 5. 97. ー喧ーノ l 、 常以'tt l 数ノ ¥(知識). 98. 1 、c : j ; ど殺 1 1 (出)日1 96. 5_嘩恒・ ,. ーーー 司 1''[ 校 ûc'~i 八( 却!被). 9 7 . 5 ・輔ー 1 "' ' "校ミ江戸 l i (術庁. 96. 97. H19 H20 H21 1 1 2 21 1 2 4 H25. H19 H20 H21 1 1 2 21 1 2 4 H25. 図 2 北海道の小学校の標準化得点の推移. 図 3 北海道の中学校の標準化得点の推移. 北海道の標準化得点を仮に偏差値に置き換えるならば,小学校国語は 49~49.5 ,小学校数学が48.5~49 ,. 中学校国語が49~50 ,中学校数学が48. 5~49. 5となる 1 0 0 しかし,北海道の大学生や現職の教員に「全国平. 0 0点と置いた場合に,北海道の得点はどのくらいか」と 尋ねると返ってくる返答は 1 8 0くらい J1 7 0く 均を 1 らい」ということが多い。表 5は筆者が北海道の大学生に「平成 2 5年全国学力学習状況調査にて,小学校国 語 A . Bの点数の全国平均点を 1 0 0と置くと,北海道はどのくらいの点数になるでしょうか」と訊ねた答え を集計したものである。正解の 198~99J を選んだ学生は O 人であり,. 178~79J 168~69J が 90% 以上を占. めた。筆者の講義中に行ったアンケートであり,代表性・信頼性ともに乏しいものであるが,各報道のイメー ジから,北海道の学力を実際より低く認識している可能性がうかがえる 。. 表 5 北海道の大学生の北海道の学習状況調査結果への認識. 平成 2 5年度全国学力学習状況調査にて,小学校国語 A . Bの点数の全国平均点を 1 0 0と置くと,. (素点. 0 0とした場合)北海道はどのくらいの点数になるでしょうか。このくらいと ではなく,全国平均点を 1 思うものを下から選びなさい ①. 98~99. ②. 88~89. ③. 2 0 1 4 年 2月 4日 北海道の H大学生. 78~79. ④. 68~69 ①. 98~99. ②. 88~89. ③. 78~79. ④. 68~69. 1 0 2名を対象に筆者が実施. ( 3 ) まとめ 全国学力学習状況調査の平均正答率に関しては,①平均正答率での比較においては,平成 2 4年の中学国語. Bを除き,北海道の平均正答率は全国平均正答率より低位にある,②全体として,国語>算数・数学,知識 (A) >活用 (B),小学校<中学校という傾向がある。 全国平均正答率を 100 とおいた場合の北海道の標準化得点は,小学校国語が 98~99 ,小学校数学が97~99 , 中学校国語が 98~100 ,中学校数学が 98~99 である。. 6 年間を通して,小学校の標準化得点は 98 を水準に推. 移し,中学校の標準化得点は 9 9を水草に推移する傾向がある。しかし北海道の教員や学生は,北海道の標 準化得点を実際の値よりも低く捉える傾向もみられ,北海道の学力が低く認識されている傾向がうかがえる。. 1 4 5.

(7) 高橋亜希子. 4 北海道の家庭学習の状況 9年の初回調査時から,北海道の子どもの生活習慣や家庭学習の課題が指摘されてきた。北海道教育 平成 1 委員会は,北海道の学習状況調査での不振の背景に,家庭学習時間の短さがあると捉え,家庭学習の充実を 学力向上の一つの大きなテーマとしている。家庭学習用ドリルを作成し,また学校向けには「宿題を徹底す るためのチェックリスト」を作成し,放課後や長期休業中に学生ボランティアの派遣の実施事業を行うなど, 家庭学習を充実させるように促している 110 また,土曜日の補習授業の実施など,授業時間外の学習サポー トや補習も各学校で行われている。本節では,北海道の家庭学習の状況について検討する。. ( 1 ) 児童質問紙,学校質問紙から見る北海道の家庭学習の傾向 初めに児童・生徒質問紙から見る北海道の家庭学習の傾向を検討する。 平成 2 1年時の「学力向上対策チーム報告書 }2においては,児童・生徒質問紙の傾向として,一日一時間 以上家庭学習する児童生徒の割合や宿題をよく出している学校の割合が全国平均より低いこと,読書習慣の 弱さ,テレビゲームをする時間の長さなどが指摘されている。 各報告書で“家庭学習"を図る項目として取り上げられるのは,児童・生徒質問紙の「学校の授業時間以 外に,普段一日 1時間以上勉強する J 1"学校が休みの日に,一日 1時間以上勉強する」という項目である 130 平成 2 5 年の北海道教育委員会の全国学力学習状況調査の報告書においては,児童質問紙の結果(表 7)とし. 9. 4 % , 1"学校の授業時間 て「学校が休みの日に,一日 1時間以上勉強する」児童の割合が全国と比較して 8 以外に,普段一日 1時間以上勉強する」割合が 78.4%であると記されており,一日一時間以上家庭学習を行っ た児童の割合は全国平均よりも低い。また,学校質問紙の学校側の働きかけについても,「前年度までに, 家庭学習の課題(宿題)を与えた」割合が,国語においては 83.3%,算数においては 8 6.4%と全国と比較し て,低い割合となっている。. 表 6 平成 2 5年学校質問紙の家庭学習に関する項目の北海道における回答 14 北海道 同語の指導として,前年度までに,家庭学習の課題(宿題)をヲえた 同語の指導として,前年度までに,保護者に対して児童の家庭学習を促すような働きかけを行った. 8 3 . 3 4 1 0 9.. 同語の指導として,前年度までに,家庭学習の課題の与え方について,教職員で共通理解を図った. 1 1 0 . 5. │玉│語の指導として,前年度までに,家庭学習の課題(長期休業の課題除く)について,評価・指導を行った 算数の指導として,前年度までに,家庭学宵の課題(宿題)を与えた. 9 2 . 6 8 6. 4. 算数の指導として,前年度までに,保護者に対して児童の家庭学宵を促すような働きかけを行った. 1 0 9 . 2. 算数の指導として,前年度までに,家庭学宵の課題の与え方について,教職員で共通理解を図った. 1 1 0 . 2. 算数の指導として,前年度までに,家庭学習の謀題(長期休業の課題除く)について,評価・指導した ※. 9 1 .4. 数値は,それぞれの北海道の学校の割合一全国(公すj の児童牛徒の割合 x1 0 0で算出. 5年は「前年度までに保護者に対して児童の 一方で,学校からの家庭学習への働きかけに関しては,平成 2 家庭学習を促す働きかけを行った」が国語 109.4%,算数 109.2%,1"前年度までに家庭学習の課題の与え方 について教職員間で共通理解を図った」が国語 110.5%,算数 110.2%と全国平均を上回る割合を示している。. ( 2 ) 自主学習と通塾時間の影響 児童質問紙の回答から北海道における家庭学習時間は,全国平均よりも短い傾向があることがわかる。し かし,本当に,北海道の児童・生徒は家庭で学習をしていないのだろうか。. 1 4 6.

(8) 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況 表 7 平成 25年児童質問紙の家庭学習に関する項目の北海道における回答 15. 北海道 学校の授業時間以外に,許段(月 金曜円). 1円当たり 1時間以 k勉強する. 7 8 . 9. 土曜日や日曜日など学校が休みの日に. 8 9. 4. 1時間以上勉強する(学宵塾や家庭教師含む). 家で,学校の宿題をしている. 9 2. 4. 家で,学校の授業の予宵をしている 家で,学校の授業の復宵をしている. 1 1 8 . 6. 家で,苦手な教科の勉強をしている. 1 1 5 . 0. 家で,テストで間違えた問題について勉強している. 1 1 9 . 5. 学習塾(家庭教師含む)に通っていない. 1 1 4 . 5. 1 3 2 . 9. 数値は, それぞれの北海道の児童生徒の割合÷全国(公立)の児童生徒の割合 x1 0 0で 算 / 1 ' ,. 表 7は,平成 25年の児童質問紙の「家で学校の授業の復習をしていますか」などの家庭学習に関する質問 項目に対する回答である。家で授業の復習を行っている児童の割合は,全国平均を 1 00%とすると北海道は. 132.9%である。予習をしている児童は 118.6%,苦手な教科の勉強をしている児童は 115%である。宿題や塾・ 家庭教師によらなくとも自主的に予習復習を行っている姿勢が北海道の児童にはあることが読み取れる。. $hw. 為げて). , 刷 、 や ム. 叫輸臨恥. 1 い陥掛オ J. h 附u L10. L. び誌で十人υ 門線川議ふ. huツ 仇 付 日e h N Y. 酌トホ トふ︾ E. みマ時吋包時吋い. 机開設燃料開附. い 以 ぃ払 M い以ぃ一以よな. 32i な ttf-pvbd. 川上一山上川上い上、りい. gaqo. と帥吋じ品吋じ待。. 図 4は,全国学力学習状況調査の児童質問紙の. 机開設燃料期間品分品分し. もう一つの可能性に通塾時間の影響がある。. 。 、 " 。 “. 1日 1時間以内となっているというものである。. 1 2 3 4怒6. 児童は予習復習を行っているが,その時間が短く,. 期間も 袋﹁料開開. ぜ生じているのだろうか。一つの可能性として,. 3 4 U J :. F. 、 ,. 寸予一 品事. 2U. 海道の児童の家庭学習時間は短い。その矛盾はな. 請4 3tu榔吋 Qる 、 拾い. 家で自主的に学習をする児童が多い一方で,北. 家庭学習時間を問う項目の記述である。児童質問 紙における平日の家庭学習に関する項目は,「学 校の授業時間以外に,ふだん(月曜日から金曜日),. t . > '. や守. ì.:~. im. 仇付e b nリ. 宇品ト. ツ hH. ト i脈. 滋夜間関帆期間. , @ 判 、 by. む臨吋ふ均七時吋い. EY. 一 一. 432 な. LPhg. 官. 、 ー ー. ムV 上ω上w 上りい Wト い 以 い 制 品 P払 M い制品よな. 家庭教師の時間を含むことが明記されている。. 本 4 3 2 1 1宮. 教わっている時間もふくみます) J と,学習塾や. 料開刑判開問帆開設燃料削闘し む時吋 ρ品吋ヒ時吋ヒ時吋む僻吋く. (学習塾で勉強している時間や家庭教師の先生に. {~ちょ弓"ぬい今. i. 123456. 1日あたりどれくらいの時間,勉強をしますか。. と,号 t l. ( 1 5 ) [ : 1 礎日や校総尽など学校 l f l 休みの践に, 1I まあたりどれくらい のi 議議議議?をしますか。{挙事 議で議複している i 長誌や議議 彰織の薬草 iニ 義 わq て い るi 織もふくみますむ). れは,土日の家庭学習時間に関する項目,生徒質 問紙における家庭学習時間に関する項目でも同様. 図 4 児童質問紙の家庭学習時間に関する質問項目 16. である。すなわち,家庭学習時間を問う項目には, 「学習塾や家庭教師で、の学習時間」が実際には含まれていることがわかる。 それでは,通塾状況について北海道の状況はどうであろうか。平成 25年「学習塾で勉強していますか?J という質問項目に対して,「学習塾で勉強していない」と答えた児童は,小学校では全国では 5 2.6%,北海. 7.6%である。中学校においては「学習塾で勉強していない」と答えた生徒は全国が36.9%,北海 道では, 5 道では 4 8.8%, と北海道の方が通塾していない割合が高い。そして,北海道の通塾割合が低いため,「家庭 学習時間」とされる項目の時間がその分短くなっていると考えられる。. 8.9%であり,通塾していない 授業時間外での学習時聞が一日 1時間以上の児童の割合は,全国と比較し 7 14.5%と,実際には通塾分で換算できる部分よりも,北海道の授業時間外での学習時間の時 児童の割合は 1. 1 4 7.

(9) 古同. ' I IJ 亜希子 ♀ " ' I ' I '. 聞はまだ短い可能性がある。しかし,塾や家庭教師に通った際に通常一回 1, 2時間は学習することを考え ると,通塾時間の影響も大きいと思われる。. ( 3 ) まとめ 児童質問紙調査において平日に一日一時間以上勉強すると回答した児童の割合は,全国平均と比較して 78.9%,休日に一時間以上勉強する児童の割合は 89.4%と,北海道の児童の家庭学習の時間は全国と比較し. て短い傾向がみられる。また,宿題を課す教員の割合も全国と比較して低く, 83.3%,算数においては 86.4% である。 しかし,家で授業の復習を行っている児童の割合は,全国平均を 100%とすると北海道は 132.9%である。 予習をしている児童は 118.6%,苦手な教科の勉強をしている児童は 115%であり,宿題によらず家庭で自主 的に予習復習を行っている児童も多い。 自主的に家庭学習をする児童が多い一方で,北海道の児童の家庭学習時間は短い。その矛盾が生じている 可能性として,通塾時間の影響がある。児童・生徒質問紙の家庭学習に関する質問項目は,通塾時間・家庭 教師に学んでいる時間も含んで問うており,実際には通塾の有無が実際には家庭学習時間に影響している。 そして,北海道の通塾率は全国より低いため,通塾率の低さが,家庭学習時間の少なさに影響している。 そのため,家庭学習時間の短さの背景には,子どもに宿題を出しているかという学校や教員の働きかけだ けではなく,塾が地域に存在するか,また,通塾可能な経済状況にあるかという社会経済的な影響も存在す ると思われる。. 5 学力のニ極化に関して 北海道の特徴として,学力・学習状況調査における低位層の多さが指摘される。平成 24年調査の結果に関 して,各科目の正答数が全国の下位 25%に入る児童の割合が他の都道府県と比べて高いことが指摘され 17, 平成 25年調査においては,高位層と低位層の二極化が指摘された 180 実際に北海道で学力の二極化は生じて いるのだろうか。また,その背景には何が存在するのだろうか。本節では,①北海道の学力の二極化の現状 の検討,②二極化の背景の検討,の 2点を行う。. ) (. 内総会初む. l $ 3 3 3 mi. 低位層の割合:全国平均下位 25%の児童・生徒の割合 制持時鷺轡替品川い験合. 北海道教育委員会義務教育課は,平成 21年度の学力向上チー ム報告書において,全道の得点分布と比べて低位得点層が厚い ことを指摘している(図 5 。 ) 平成 24年から学力調査報告書にて,北海道教育委員会は,全 国平均下位 25%の児童・生徒の割合を公表している。その結果 をまとめたものが表 8である。. 1年)19 図 5 北海道の低位層の状況(平成 2. 4年 ・2 5年度)20 表 8 北海道における全国平均下位 25%の児童・生徒の割合(平成 2. 全国平均下 佼 25%層の 児童. 1 4 8. 小学校国語 A (知識). 北海道. 小学校算数 A (知識). B (活用). 全国. 毎 道 北j. 全国. 北海道. B (活用). 全国. 北海道. 全国. H25. 2 6. 4. 2 3 . 1. 2 3 . 6. 2 0 . 1. 2 8 . 1. 2 3 . 7. 3 3. 4. 2 7. 4. H24. 3 4 . 0. 2 4 . 9. 3 4 . 0. 2 7 . 3. 3 0. 4. 2 2 . 7. 3 1 .6. 2 5 . 0.

(10) 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況 中学校国語. 全国平均下 位 25%層の. 生徒. H25 H24. 全国 2 4 . 7 2 5 . 7. 北海道 2 5 . 5 2 7 . 7. 中学校数学 B (i舌肘). A( 知識). 北海道 2 6 . 1 2 3 . 8. A( 知識). 全国 2 3 . 8 2 3 . 2. 全国 2 4 . 7 2 7 . 8. 北海道 2 7 . 7 31 .3. B (活用). 北海道 3 0 . 8 2 7 . 9. 全国 2 7 . 0 2 5 . 7. 平成 25年における小学校の値を検討すると,国語 Aでは,全国平均下位 25%となる児童の割合が26.4%( 全 全 国平均 23.1%),国語 Bは23.6%(全国平均 20.1%),算数 Aは28.1%(全国平均 23.7%),算数 Bは33.4%( 国平均 27.4%),であり低位層の割合は全国と比較すると高い。中学校調査でも同様である。しかし,平成 24 年の小学校国語 Aでは,全国平均下位 25%の児童の割合 34.0% (全国平均 24.9%) であり,平成 25年と比較 すると,平成 25年の方が全体的に低位層の割合は小さくなっている。 分布のばらつきの指標となる標準偏差においては,北海道の標準偏差は,全国の標準偏差にプラス. o~0.1. した値を一貫して示しており,とりわけ標準偏差が大きいということはない。. ( 2 ) 学力の二極化:藤田 ( 2 0 1 1 ) の分析と北海道の抱える背景 低位層の割合の検討から,全国平均下位 25%以下となる低位層の割合が北海道においては高いことがわ かった。しかし二極化という言葉は,通常,学力の分布が単峰でなく,双峰を示している状況を指す(藤田, 2 0 1 3 )。また,新聞記事においても「成績の上位層と下位層の差が聞いている実感がある }1というオホーツ. ク管内の教諭の言葉が紹介されるなど,実感として高位層と低位層が分かれて存在することを指摘するもの が多い。それでは分布を別とする低位層・高位層,二つの層が存在することについての資料はあるのだろう か。北海道の平成 19年から 25年までの学力調査結果では,双峰分布を示しているものはない。しかし,必ず しも分布が双峰になっていなくとも,二極化の存在を示せるとの分析を藤田 ( 2 0 1 1 )が行っている 220. A. 学力の二極化の分析:藤田 ( 2 0 1 1 ). 藤田 ( 2 0 1 1 ) は,学力調査の結果は二つの正規分布に近似することができ,その二つの正規分布の重なり によって,全国学力調査の分布が表現可能であるという分析を行っている。. !U4. 時. 1 7 5. {U 講. ‘ 。I器 O . t 意 轟 0 . 1 ( 1 . 0 7 語. (U. 。邑晶 脅 0 . 0 O . 咽4 O . 母 語. 時ル骨髄. 0 .0 . 謹 器. 唖. 。 。語. 4. 時事量曲. I 虫1 416 1 皐. 札1 2. 母 11 S品臨時 7揖睦 1 0. 0 . 1 輯 萌1 揖. 0 . 1. 住1 4. ( 鴻 0,. 0 . 1 2 骨1. 。 噌 噂 畠. 級品自. O . 暗4. 0 . ( 時 O . 脅4 I M ) 2. 0 . 0 2 。. 。 時. 1蓮 昌 4 器 蕗 ' l 8哲 101HZ. o1 2 3 4 轟. 6" { 晶 9lu. 図 6 全国学力学習状況調査の 2つの正規分布の近似の例(藤田, 2 0 1 1より引用). 1 4 9.

(11) 高橋亜希子. 藤田 (2011) は,学力の二極化を,「子どもたちの属する社会的・丈化的・経済的階層が 2つあり,それ ぞれが異なる平均と標準偏差をもっ学力分布をし,その 2つが重なり合っている状態」と定義する。そのた め,必ずしも分布が双峰となっていなくても,分布が正規分布の二つの重なりに近似可能であれば二極化が 生じているとする。そして,平成 19年 , 20年 , 21年の全国学力学習状況調査の学力分布に当てはまるモデル を検討し,. 2つの正規分布の面積比が L群 65%, H群 35%という小中統一比率モデルが最良モデルで、あり,. 平成 22年度においても適用できることを見出した。 平成 2 2年の調査に関して,各都道府県の小中学校における H群比率, L群比率を示したものが表 9である。 全人口のうち, 35%が H群(平均点が高い群), 65%が L群(平均点が低い群)に属するという。 北海道の H群比率は, 0.22であり,北海道より比率が低いのは沖縄 (0.12),高知 (0.16) のみである。 同様なのは,大阪,岩手,鹿児島 (0.22) である。他の都府県の H郡比率は北海道より高い。. 表 9 全国都道府県の H群比率等(藤出, 2011より引用) 都道府県 北海道 青森 岩手 千守城 秋田 山形 福島 茨城. 栃木. 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 新潟 富山 石川 福井 1 1 1梨 長野 岐阜 静岡 愛知 三重 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 鳥取 島根 岡山 広島 山口 徳島 喬川 愛媛 高知 十 回 │ 尚 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄. 1 5 0. H群比率 0 . 2 2 0 . 3 1 0 . 2 2 0 . 2 4 0 . 2 8 0 . 3 2 0 . 2 5 0 . 2 7 0 . 2 3 0 . 2 7 0 . 2 7 0 . 2 9 0 . 2 9 0 . 2 7 0 . 2 5 0 . 3 5 0 . 3 4 0 . 3 1 0 . 3 2 0 . 2 6 0 . 3 2 0 . 3 2 0 . 3 2 0 . 2 3 0 . 2 5 0 . 2 9 0 . 2 2 0 . 3 0 0 . 2 9 0 . 2 4 0 . 3 3 0 . 2 4 0 . 2 7 0 . 2 9 0 . 3 1 0 . 2 7 0 . 2 9 0 . 2 7 0 . 1 6 0 . 2 6 0 . 2 5 0 . 3 1 0 . 2 5 0 . 2 5 0 . 2 7 0 . 2 2 0 . 1 2. 小日群. 小H群. 小 L群. 小L群. 平均. SD 1 .6 5 1 .5 8 1 .5 2 1 .6 1 1 .4 4 1 .7 1 1 .3 0 1 .6 1 1 .4 7 1 .5 9 1 .6 8 1 .6 3 1 .6 0 1 .6 5 1 .4 7 1 .4 5 1 .7 7 1 .5 7 1 .7 1 1 .5 6 1 .7 0 1 .6 2 1 .6 3 1 .5 8 1 .5 1 1 .4 8 1 .5 5 1 .6 2 1 .5 8 1 .7 0 1 .6 4 1 .6 9 1 .7 8 1 .6 1 1 .6 1 1 .5 9 1 .3 6 1 .5 3 1 .2 6 1 .6 2 1 .6 0 1 .7 3 1 .5 3 1 .6 1 1 .5 5 1 .5 0 1 .7 5. 平均. SD 2 . 8 3 2 . 7 0 2 . 6 7 2 . 7 7 2 . 5 9 2 . 7 1 2 . 8 4 2 . 9 6 2 . 8 5 2 . 7 5 2 . 9 2 2 . 9 6 3 . 0 4 3 . 0 5 2 . 6 8 2 . 7 5 2 . 7 4 2 . 7 6 2 . 6 9 2 . 7 2 2 . 8 2 2 . 7 7 3 . 0 0 2 . 9 2 2 . 8 4 2 . 8 9 3 . 0 6 2 . 9 4 2 . 9 2 2 . 9 9 2 . 6 8 2 . 9 4 2 . 9 7 2 . 8 5 2 . 8 4 2 . 7 5 2 . 8 4 3 . 0 9 2 . 9 8 2 . 8 6 2 . 7 6 2 . 8 0 2 . 7 6 2 . 7 9 2 . 7 5 2 . 7 5 3 . 0 4. 1 1 . 2 3 1 1 . 5 8 1 1 . 3 8 1 1 . 3 0 1 2 . 1 2 1 1 . 2 4 1 1 . 5 9 1 1 . 5 4 1 1 . 4 6 1 1. 42 1 1 . 4 4 1 1 . 7 5 1 1 . 9 0 1 1 . 7 5 1 1 . 5 1 1 1 . 6 5 1 1 . 3 0 1 1 . 7 0 1 1 . 2 1 1 1 . 5 6 1 1 . 5 3 1 1 . 3 7 1 1 . 6 6 1 1 . 3 6 1 1 . 6 8 1 1 . 8 9 1 1 . 6 4 1 1 . 6 8 1 1 . 7 7 1 1 . 6 4 1 1. 49 1 1 . 2 4 1 1 . 2 1 1 1 . 7 3 1 1 . 1 8 1 1 . 7 2 1 1 . 9 2 1 1. 49 1 1 . 6 3 1 1 . 3 4 1 1 . 4 7 1 1 . 2 4 1 1 . 5 4 1 1 . 3 4 1 1 . 5 2 1 1 . 4 9 1 0 . 9 8. 7 . 5 4 8 . 5 8 8 . 3 7 7 . 9 5 8 . 9 3 8 . 2 3 8 . 2 2 8 . 0 3 8 . 0 4 8 . 0 3 8 . 2 0 8. 40 8 . 5 3 8 . 1 2 8 . 1 7 8 . 3 7 8 . 1 9 8 . 8 5 7 . 7 0 8 . 2 7 8 . 2 1 7 . 9 4 8 . 1 9 7 . 9 6 8 . 0 2 8 . 4 9 7 . 9 0 8 . 0 9 8 . 1 8 8 . 0 9 8 . 1 4 8 . 2 2 7 . 9 5 8 . 3 3 7 . 7 5 7 . 6 7 8 . 7 7 8 . 2 2 8 . 1 7 7 . 8 9 7 . 9 4 7 . 7 5 8 . 2 0 7 . 7 6 8 . 0 7 8 . 0 0 7 . 2 2. 中 H群 平均. 1 4 . 6 1 1 4 . 6 3 1 4 . 5 0 1 4. 48 1 4 . 7 1 1 4 . 6 0 1 4 . 6 5 1 4 . 5 0 1 4 . 6 9 1 4 . 8 2 1 4 . 6 1 1 4 . 6 0 1 4 . 6 6 1 4 . 7 7 1 4 . 4 4 1 4 . 8 8 1 4 . 7 7 1 5 . 1 6 1 4 . 6 0 1 4 . 5 7 1 4 . 8 8 1 4 . 6 8 1 4 . 9 2 1 4 . 7 8 1 4 . 6 7 1 4 . 7 1 1 4 . 5 3 1 4 . 7 2 1 4 . 7 6 1 4 . 6 7 1 4 . 6 0 1 4. 45 1 4 . 6 6 1 4 . 5 1 1 4 . 5 7 1 4 . 7 2 1 4 . 8 3 1 4 . 9 3 1 3 . 8 6 1 4. 42 1 4 . 4 4 1 4 . 5 2 1 4 . 8 4 1 4 . 3 5 1 4 . 5 9 1 4 . 3 8 1 3 . 8 6. 中 H群. SD 1 .7 2 1 .9 3 1 .6 3 1 .7 2 1 .6 8 1 .8 1 1 .7 2 1 .8 4 1 .5 8 1 .6 3 1 .8 1 1 .8 5 1 .7 5 1 .6 9 1 .8 0 1 .6 0 1 .8 0 1 .5 3 1 .8 4 1 .6 8 1 .6 9 1 .8 0 1 .6 9 1 .5 9 1 .7 8 1 .8 7 1 .7 4 1 .7 8 1 .7 5 1 .7 2 1 .8 8 1 .8 2 1 .8 3 1 .8 7 1 .7 7 1 .7 1 1 .6 8 1 .6 4 1 .8 8 1 .7 8 1 .8 3 1 .8 3 1 .6 3 1 .8 9 1 .7 7 1 .8 4 1 .6 9. 中 L群 ず均. 8 . 6 4 8 . 9 5 8 . 7 4 8 . 9 7 1 0 . 2 6 9 . 5 2 9 . 0 4 8 . 7 5 9 . 3 4 9 . 7 8 8 . 9 1 8 . 8 4 8 . 9 6 9 . 0 5 9 . 3 5 1 0 . 0 0 9 . 7 5 1 0 . 7 1 8 . 9 2 9 . 3 7 1 0 . 0 5 9 . 5 7 9 . 6 4 9 . 4 5 8 . 7 3 9 . 0 8 7 . 9 1 9 . 0 1 9 . 2 5 8 . 6 1 8 . 7 3 9 . 5 4 8 . 6 5 8 . 9 5 9 . 2 2 9 . 5 1 9 . 6 0 9 . 6 6 7 . 5 0 8 . 7 1 9 . 2 5 9 . 2 6 9 . 8 1 8 . 9 2 9 . 6 5 8 . 9 3 6 . 9 9. 中 L群. SD 4 . 5 3 4 . 1 0 3 . 9 6 4 . 2 2 4 . 0 0 3 . 9 0 4 . 2 3 4 . 2 1 4 . 2 7 4 . 3 1 4 . 4 5 4 . 3 2 4 . 4 6 48 4. 4 . 2 9 4 . 3 6 4 . 1 3 3 . 9 5 4 . 0 2 4 . 2 0 4 . 2 2 4 . 2 2 4 . 3 1 4 . 5 8 4 . 5 7 4 . 4 2 4 . 9 2 4 . 5 7 4 . 5 6 4 . 5 7 4 . 2 0 3 . 9 4 4 . 4 8 4. 40 4 . 3 4 4 . 6 5 4 . 6 1 4 . 3 3 4 . 7 5 4. 45 4 . 2 4 3 . 9 8 4 . 1 7 4 . 2 5 4 . 0 2 4 . 0 8 4 . 1 2.

(12) 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況. B 二極化と北海道の抱える要因の検討;低位層の背景 藤田 ( 2 0 1 1 ) の分析においては,二層の分布の合成として学力調査の分布が表現できること,北海道の H 群比率は 0 . 2 2と低く,北海道に低位層が多く存在することが示唆された。 H群割合の低い都道府県,すなわち低位群割合の高い都道府県と,全国学力学習状況調査の全国順位が低. い都道府県(沖縄,北海道,高知,大阪)は,大きく重なっている。 低位層の背景には何があるのだろうか。 藤田 ( 2 0 1 1 ) は,モデルの適合性の良さから,分布の背後には「硬い」二層の存在が示唆されるとし,引 き続き,学校基本調査の都道府県別の他の指標との相聞を検討している(藤田, 2 0 1 1 )。 小学校の H群の平均点と相関が有意である指標は「県民所得 ( 0 . 3 5 )J 1 個人預貯金残高 ( 0 . 4 6 ) J1 郵便貯 金残高 ( 0 . 3 6 ) J1 核家族世帯割合 ( 0 . 3 2 ) J1 一人当たり新聞購読割合 ( 0 . 2 6 ) J である。小学校の L群の平 均点と相聞が有意である要因は,「離婚率(-0. 45 )J 1 完全失業率 (-0.39)J 1 借家比率 (-0.37)J 1 6 5歳. 0 . 3 3 ) J である。また, 以上親族世帝割合 (. H群比率は親世代の男親の大学短大進学率との関係が大きく,. 小学校の H群平均点と L群の標準偏差が親世代の女親の大学進学率との関係が大きい。 このことから,. H群の一般的特徴として親が大卒であり,経済的に余裕があり,新聞を定期購読するなど. 一定の文化的環境が整っており,核家族傾向があり,給与所得者であることがわかる。また, L群は経済的・ 社会的に困難な階層,離婚,失業と関係が深いことが理解できる。このことから, H群と L群の背景に社会 階層の影響があることを藤田は示唆している。. 0 . 5 3 )J 1 借家 小学校の L群の標準偏差とプラスの相関が有意な要因としては,「第 3次産業就労者比率 ( 比率 ( 0 . 5 4 ) J1 刑法犯認知件数 ( 0 . 6 9 ) J1 企業倒産件数 ( 0 . 4 6 ) J,マイナスの相聞がある要因は,人口あた りの「公民館数 (-0.46)J1 図書館数(-0 . 4 5 )J1 教 育 費 ( -0. 46 )J1 社会教育費 (-0.38)J1 保健師数ト. 0 . 5 4 ) J であり,社会教育を充実させると L群の下方への広がりを抑える働きがあることがわかる。 以上の要因についての北海道の状況はどうだろうか。直近に公表されている統計資料を参照すると,平成. 2 3年度都道府県県民別所得は,北海道 2 4 7万 5千円であり,全国平均の 2 8 7 万円より低い 230 平成 2 3年度の生 活保護率は,北海道 30.3% (全国平均 16.2%)と全国 1の高さである 240 また,平成 2 4年度の失業率は,北 海道 5.2% (全国平均 4.3%)と沖縄県についで全国 2位の高さである 250 すなわち北海道は低位層の背景と なる社会経済的要因を多く抱えていることが理解できる。. 9 また,全国学力学習状況調査が実施されている聞に,これらの要因の改善はあったのであろうか。平成 1 年から 2 5年の変化を検討したのが表 1 0である。県民所得,完全失業率は横ばいの状況であり,完全失業率は かえって高くなっている。そのため,北海道は,低位層の背景要因を多く抱え,かっそれらの要因について は,改善は見られていない状況であることが理解できる。. 表1 0 平成 1 9 年から平成 2 4 年までの北海道の完全失業率・道民所得・生活保護率の状況. 完全失業率(%) T円) 道民所得 (. 0 0人あたり) 生活保護率(10. ( 3 ) まとめ 北海道の学力の二極化に関して,まず低位層の割合を検討した。平成 2 5年における全国平均下位 25%の児 童・生徒の割合は平成 2 5年国語 Aが , 26.4% (全国平均 23.1%) であるなど全国平均より高く,北海道の低 位層の割合は高い。しかし,平成 2 4 年から 2 5年にかけては低位層の割合は改善している。. 1 5 1.

(13) 高橋亜希子. 平成 24年・ 25年における全国平均下位 25%の児童・生徒の割合は平成 25年国語 Aでは, 26.4% (全国平均 23.1%),国語 Bでは 23.6% (全国平均 23.0%),と全国平均より高く,北海道の低位層の割合が高いことが. 確認された。 高位層,低位層に分かれるという意味での二極化については,全国学力学習状況調査の結果で双峰分布に なったものはないが,しかし,藤田 ( 2 0 1 1 ) は,全国学力学習状況調査の学力分布が必ずしも双峰でなくと も 2つの正規分布の重なりで二極化を表現可能という分析を行っている。その 2つの正規分布は面積比が L 群(低位群) 65%, H群(高位群) 35%というモデルであり,北海道は H群比率が0.22%と低く,全国でも. H群比率が下位である。このことから,北海道だけでなく全国的に学力の二極化が生じていること,北海道 の低位層割合が高いことが確認された。 藤田は,高位群と低位群の背景に社会階層の影響を指摘している。北海道は,道民所得が低く,同じく低 位群と関係の深い失業率,生活保護率は全国ワースト 2位であり,低位群の背景要因を多く抱えている。ま た,失業率,生活保護率,道民所得とも平成 1 9 年から 2 5年において状況は改善しておらず,社会経済的要因 についてはこの期間変化していず,北海道の学力の二極化の背景に社会経済的影響があることが推測される。. 7 考察 本稿では北海道の全国学力・学習状況調査をめぐって論じられることの多い,. C I全国学力・学習状況調査. に関する北海道の平均正答率・標準化得点の検討,②北海道の家庭学習の状況,③学力の二極化,の 3点に 関して,検討を行ってきた。最後に分析のまとめと考察を行う。. ( 1 ) 北海道の平均正答率・標準化得点の検討に関して 9年から 2 5 年にかけての北海道 北海道の全国学力学習状況調査での現状を把握するため,第 3節では平成 1. の平均正答率・標準化得点に関して検討を行った。 北海道の平均正答率に関しては,①平成 24年の中学国語 B を除き,平均正答率での比較においては,北海 道の平均正答率は全国平均正答率より低位にある,②全体として,国語>算数・数学,知識 (A)>活用 (B), 小学校<中学校という傾向があった。 標準化得点においては小学校国語が 98~99 ,小学校数学が97~99 ,中学校国語が 98~100 ,中学校数学が 98. ~99 である。. 6 年間を通した検討結果では,小学校の標準化得点は 98 を水準に推移し,中学校の標準化得点. が9 9を水準に推移する形で,一定の水準が継続していた。しかし,北海道の教員や学生は,北海道の標準化 得点を 68~69 ,あるいは 78~79 と捉えており,北海道の学力の状況が実際より低く認識されている傾向がみ. られた。 以上の検討から,北海道の平均正答率は全国平均より低い傾向があること,ただし,その差は標準化得点 で 1~2 点であることがわかった。公教育の公平性という観点や,小学校調査の都道府県別順位で下位から. 2位が続くという状況を考慮すると,「北海道の学力は全国平均水準より低い」という捉え方となるだろう。 しかし,標準化得点の 98~99 という値は,正確な換算ではないが偏差値に換算するとおよそ 49~49.5 であ. る。それは「全国の水準とほとんど変わらない教育を行えている」とも表現できる値ではないだろうか。ま た,中学校調査においては,平成 1 9年から一貫して全国順位においても標準化得点においても小学校よりも 状況が改善する傾向がみられる。北海道では中学校受験が一般的ではないため,小学校で、は高校受験へ向け てゆっくり学力を育んでいるという側面もあると考えられる。 課題には誠実に対応する必要があるが,北海道の学力の状況が実情以上に低く認識され,問題視されてい. 1 5 2.

(14) 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況. る可能性はないだろうか。筆者が行った大学生のアンケート結果は,信頼性は乏しいものであるが,実際よ りも低く北海道の学力が認識されている可能性を示している。 また,他県と常に比較の対象に置かれ,学力が低いと強調されることで,北海道の子どもや教員の自尊心 を奪っている側面はないだろうか。学力調査後に「日本の子どもあまり頭悪くないといいな」という感想を 述べた子どもがいたという記述があるようにベ調査が北海道や所属する学校の評価に繋がることを子ども も感じ取っている。北海道の順位の低さが強調されることは,北海道の子どもの自尊心を低めている可能性 もあると思われる。. ( 2 ) 北海道の家庭学習の状況. 第 4節では,北海道の家庭学習の状況について検討を行った。 北海道の児童の授業時間外の学習時間は,全国と比較して短く,児童質問紙調査の平日に一日一時間以上 勉強する児童の割合は,全国平均と比較して 7 8.9%,休日に一時間以上勉強する児童の割合は 89.4%であり, また,宿題を課す教員の割合も全国と比較して低く, 8 3.3%,算数においては 8 6.4%であった。 しかし,家で授業の復習を行っている児童の割合は,全国平均を 100%とすると北海道は 1 32.9%,予習を している児童は 1 18.6%,苦手な教科の勉強をしている児童は 115%であり,家庭で自主的に予習復習を行っ ている児童も多かった。自主的に家庭学習をする児童が多い一方で,児童の家庭学習時間は短いという矛盾 が生じている可能性として,通塾時間の影響があることが指摘された。 以上の検討から,第 1に「家庭学習時間」という表現の問題が指摘できる。児童質問紙や報告書で「家庭 学習時間」と扱われている項目には,実際には家庭教師や通塾の時間が含まれた学校外での学習時間の総計 を問うている。それにも関わらず,報告書やパンフレットで「家庭学習時間」として扱い,その数値の低さ を家庭学習時間の少なさとして捉えるのは論理的ではないのではないだろうか。 第 2に,社会経済的な状況の影響である。「家庭学習時間」の短さの背景に,塾が地域に存在するか,また, 通塾可能な経済状況にあるかという社会経済的な影響がある。北海道はへき地が多く,また中学校受験も一 般的でなく,学校外教育支出も低い。また,小学校時代の成績の高低や,国私立学校への流出度合いの影響 を除くと,通塾率の高い県は学力水準が高くなるという関係がみられる 270 そのため通塾しているかどうか は,家庭学習時間だけでなく,学力水準にも影響する可能性がある。 第 3に北海道の子どもたちに自主的な学習習慣があることである。「自主性任せに不安の声 J 1"宿題を増や すべき }8など,自主性に任せていることへの批判も強い。しかし,秋田県から人事交流で北海道の小学校 に赴任した教員が「北海道では,勉強の大切さに気付いた子は進んでやるが,気付かない子はやらない。差 が生まれでも,子どもの自己責任に任せている面が強い。秋田では,つまづかないように丁寧に指導する反 面,自分から勉強しようとする子が少ない o」29と指摘したように,行う児童,行わない児童の差はあるもの の,自主的に学習に取り組む姿勢もあると思われる。 家庭学習時間に関しでも実情よりも問題視している可能性はないだろうか。また,家庭学習も時間の長さ だけではなく,その質も問うべきであろう。沖縄県では,家庭学習の時間は全国平均を超えたため,家庭学 習と授業の連携や,授業研究を通し授業を充実させることが次の目標となっている 300 日常の授業と家庭学 習が有機的に結びつき,児童の理解が深まることが重要なことと思われる。. ( 3 ) 学力の二極化に関して. 第 5節では,北海道の学力の二極化をめぐる状況について考察した。 平成 2 4 年・ 2 5年における全国平均下位 25%の児童・生徒の割合は平成 2 5年国語 Aでは, 26.4% (全国平均. 1 5 3.

(15) 高橋亜希子. 23.1%),国語 Bでは 23.6% (全国平均 23.0%),と全国平均より高く,北海道の低位層の割合が高いことが. 確認された。 高位層,低位層に分かれるという意味でのこ極化については,全国学力学習状況調査の結果で双峰分布に 2 0 1 1 ) は,全国学力学習状況調査の学力分布が必ずしも双峰でなくとも 2つの なったものはないが,藤田 (. 正規分布の重なりで二極化を表現可能という分析を行っている。その 2つの正規分布は面積比が L群(低位 群) 65%, H群(高位群) 35%というモデルであり,北海道は H群比率が0.22%と低く,全国でも H群比率 が下位である。このことから,北海道だけでなく全国的に学力の二極化が生じていること,北海道の低位層 割合が高いことが確認された。高位群と低位群の背景には社会階層の影響が示唆される。北海道は,道民所 得が低く,低位群と関係の深い失業率,生活保護率は全国ワースト 2位であり,低位群の背景要因を多く抱 9年から 2 5年において状況は改善していなかっ えている。しかも,失業率,生活保護率,県民所得とも平成 1. た 。 以上の検討から,第一に北海道の低位層の多さと,高位層と低位層の学力の二極化の存在が確認できる。 第二にその背景として所得の低さや貧困などの社会経済的要因があることが示唆された。北海道の低学力 2 0 0 9 ) は,貧困,失業率の高さ,母親世代の大学進学率の低さ,大学進学率の の背景として,川崎・青山 ( 2 0 1 1 ) の分析でもそれが裏付けられた形となっている 310 低さなどの社会経済的要因を挙げているが,藤田 (. 北海道が抱える他の要因として,へき地の多さ,複式学級の影響,教員の異動や研修の問題などもあり,慎 重な検討が必要である。しかし,北海道の学力問題を検討する際に社会経済的な要因の影響は抜きがたく思 われる。 また,これはあくまで仮説であるが,標準化得点の 1, 2点の差の背景にあるのは社会経済的要因ではな いだろうか。過去 5年に亘札北海道教育委員会は多くの対策を行ってきた。平均正答率は,少しずつ改善 9という一定した傾向が してきているものの,経年の変化をたどると標準化得点では小学校で 98,中学校で 9 継続し続けている。その標準化得点の 1~2 点の頑健な差の背景には,貧困などの改善されない社会経済的. な影響が存在するのではないか。これに関しでも今後の検討が必要であろう。. 8. まとめ. 全国学力学習状況調査の結果を受け,北海道教育長は平成 2 2年 6月に,平成 2 6年実施の全国学力学習状況 調査で北海道が全国平均正答率を越えるという目標を掲げた。そして,北海道教育委員会では,「チャレン ジテスト」の各学校での実施,家庭学習の推奨など,さまざまな学力向上政策を行ってきた。それに応じ現 場の教員も努力を重ねてきている。本稿のまとめとして 3点の指摘を行う。 第 1に,データに立ち戻りつつ現状を認識することの重要性である。北海道の平均正答率と標準化得点の 検討からは,北海道は一般の人が認識するほどには学力調査の点数が低いわけではなく,家庭学習の時間も 短くはない可能性が示唆された。現状に課題がないわけではないが,実際の問題の大きさよりも,報道や対 応の方が大きくなってはいないだろうか。順位に一喜一憂するのではなく,データに立ち戻って検討するこ とが大切で、ある。 第 2に社会経済的要因の影響である。今回行った 3点の分析の観点は,それぞれ異なるものである。しか し,標準化得点、の 1~2 点の差,家庭学習時間における通塾率の影響,学力の二極化の分析を通して見えて. くるのは,基底にある社会経済的な状況の影響である。それにもかかわらず,一概に全国平均正答率以上を 目指すことは,北海道の教員や児童・生徒を苦しめることにならないだろうか。もし,「北海道の子どもに 社会経済状況を超えて,学力を保証すべき」と主張するのであれば,全国平均と比較するのではなく,北海. 1 5 4.

(16) 北海道の全国学力・学習状況調査をめぐる状況. 道の以前の状況との比較で評価すべきである。また,社会経済状況が改善されてないにも関わらず,状況が 改善されたとすれば,それは教員や児童生徒の努力であり,それらの努力を評価すべきであろう。対応とし て,基底にある社会的な要因の改善も必要である。ただ,その改善は必ずしも容易ではない。そのため,い , たずらに「全国平均正答率以上」を目指すのではなく,「越え難い 1点. 2点の存在」を受け止めて対応し. ていくことが大切で、はないだろうか。 第 3に全国学力学習状況調査自体の意味を捉えなおすことの意義である。全国での順位や平均点は相対的. な指標であり,達成目標ではないため,日本の自治体全体が終わりのない競争に巻き込まれる構造になって いる。学力調査の点数の原因を考えることは,犯人さがしをうみ,人々を分断していく。しかし,仮に児童・ 生徒の学力が伸びたとして,その先に何があるのだろうか。子どもの進路の選択肢は増えるかもしれないが, 高校教育への接続や雇用の状況との関係を考えていかなければ,新たな産業や地域の活性化には繋がってい かないであろう。また,国語,算数という基礎学力を測り,伸ばすだけでよいのかという問題もある。育て たい子ども像を見据え,地域の将来を創造することが大切と考える。. 9 今後の課題. 本稿では,全国学力調査の問題の分析と北海道の解答の傾向については検討することができなかった。授 業での対応を行う上で大事な部分であり,次稿では考察を行いたい。また,平成 25年調査では北海道の地域 聞の格差が広がっているが,その課題を扱うことができなかった。それらについても実際の教員の声を基に 検討していきたい。. 注・参考文献 1 全国学力・学習状況調盗に関して,丈音阿:十学省から都道府県別の正式な順位は公表されていない。公表されているのは,. 平均値,分散,信頼区間のみであり,各教科によって都道府県の順位も変動する。そのため各新聞社等が公表している順 位は,平均値を合計し比較して算出した値である。 2 チャレンジテストとは,北海道教育委員会の「学力向上のページ」に掲載されている練習問題である。 A問題と B問題の. 形式が想定され,例えば小学校 5年生の国語では,文章の読解問題と漢字の読み書きが掲載されている。小学校 1年生か ら中学校 3年牛ーまで積み上げ式になっており,各学校で実施することが推奨されている。 3 読売新聞北海道支社~学力危機. 4. 北海道:教育で、地域を守れ山中西出版, 2013年.. 北海道教育委員会ホームページ I~チャレンジテスト」に取り組んでみましょう J. http://www. d o k y o i .p r e f .h o k k a i d o .. 1 9. j p / h k / g k y / t e s u t o .htm 5 北海道教育委員会の以下の報告書の資料から筆者が作成 「平成 25年度全同学力・学習状況調査. 北海道(公立)における抽出調査結果. (平成 25年 8月27H公表) J. 「平成 24年度全国学力・学習状況調盗. 北海道(公立)における拍出調盗結果 J (平成 24年 8月 8日公表). 「平成 22年度全国学力・学習状況調盗. 北海道(公立)における拍出調盗結果 J (平成 22年 7月30日公表). 1年度 「平成 2. 全国学力・学習状況調査北海道(公立)における調査結果 J (平成 2 1年 8片2 7日公表). 「平成 20年度. 全国学力・学習状況調査北海道(公If.)における調査結果J (平成 20年 8月四日公表). 9年度 「平成 1. 全国学力・学習状況調査北海道(公京)における調査結果J (平成 1 9年 1 0月2 4日公表). 6 今回の分析では,経年変化を追うため,理科を除き,国語,算数(数学)に焦点を当てた。 7. “抽出"と“合算"の違いについて解説する。平成 22年度の結果においては,抽出調査には札幌市の結果が含まれている. が,合算には札幌市の抽出調査結果が含まれていない。平成 24年度においては,合算には札幌市の抽出と希望利用が含ま れている。札幌市は希望利用調査には参加していない。札幌市はえそ同学力学習状況調査の点数ではなく,全同平均点より 卜か下かということのみを公表している。 8 同立教育政策研究所, ' ( 2 ) 各学校等に在籍する児童生徒の状況の年度聞の比較に資する資料としての標準化得点 J ~平成 22 年. 1 5 5.

(17) 高橋亜希子 度全国学力・学習状況調査報告書・集計結果について~,. 2 0 1 0年 , http://www.nier.go.jpI 10chousakekkahoukoku/. h y o j u n k a .p d f 9 北海道教育委員会の以下の報告書の資料から筆者が作成. 5年度全国学力・学習状況調査北海道版報告書 「平成 2. (平成 2 5年 1 1片 5日公表)J http://www. d o k y o i .p r e f .h o k k a i d o .. 1 9. j p/hk/gky/ gakuryoku. htm 1 0 標準得点は,平均値や標準偏差を用い,母集団における個人の相対的な佼置づけがわかるように変換した得点のことであ る。一般的には正規分布上で平均値と標準偏差をある値に置き換え,個人の得点を変換した得点であり,偏差値と同じ算. 0 0と置いているが,標準偏差をどのように変換している 出方法である。しかし,全国学力・学習状況調査では,平均点を 1 かは明ぶされていない。そのため,この偏差値への変換はあくまで推測の域を出ないものである。. 1 1 読売新聞北海道支社,前掲書. 1 2 北海道教育委員会~学力向上チーム対策報告書~, 2 0 0 9年. 1 3 北海道教育委員会が 2 0 1 3年 4月に各学校に配布したパンフレットにおいて,児童・生徒質問紙の「学校の授業時間以外に, 者段一日 1時間以卜会勉強する」の回答が「家庭での学習時間」として記されている。. 1 4. I平成 2 5年度全国学力・学宵状況調査北海道版報告書. 作成 作成. ~学校質問紙調査結果』より筆者が. http://www.dokyoi.pref .h o k k a i d o . l g . j p / h k /gky/ gks/h25chosaI 14 g a k k o s h i t s u m o n s h i .pdf. I平成 2 5年度全国学力・学宵状況調査北海道版報告書. 1 5. (平成 2 5年 1 1月 5日公表 ) J (平成 2 5年 1 1月 5日公表 ) J. ~児童質問紙調査結果』より筆者が. http://www.dokyoi.pref .h o k k a i d o . l g . j p / h k /gky/ gks/h25chosal 12 s h i t s u m o n s y o・pdf. 1 6 国立教育政策研究所. I平 成. 2 5年 度 全 国 学 力 ・ 学 宵 状 況 調 盗 の 調 査 問 題 ・ 正 答 例 ・ 解 説 資 料 に つ い て 」. h t t p : / / w w w . n i e r . g o . j p / 1 3 c h o u s aI 13chousa.htm 1 7 北海道新聞. 2 0 1 2年 1 2月 6日朝刊.. 1 8 読売新聞北海道支社,前掲書. 1 9 北海道教育委員会,前掲書, 2 0 0 9年. 2 0. I平成 2 5年度全国学力・学習状況調査. より筆者が作成. 北海道版結果報告書(平成 2 5年 1 1月 5日公表) J ~正答数の状況(下位層の割合)~. http://www.dokyoi.pref .h o k k a i d o . l g . j p / h k /gky/ gks/h25chosaI 15 s e i t o u s u u j y o u k y o u c h u .p d f. 2 1 藤田尚文, ( 2 0 1 1 ),I学力の二械化モデル. 全国学力・学習状況調査を中心にして J,~高知大学教育学部研究報告~. ( 7 1 ),. p p . 7 1 8 6 . 2 2 北海道新聞, 2 0 1 3年 8月 8日朝刊. 2 3 内閣府経済社会総合研究所同民経済計算部平成 2 2年度県民経済計算について J,2 0 1 3年 5月29H h t t p : / / w w w . e s r i . c a o . g o . j p / j p / s n a / d a t a / d a t a_ l i s t l k e n m i n / f i l e s / c o n t e n t s / p d f l g a i y o u 1 .p d f 叫4 同 立 社 会 保 障 . 人 口 問 題 研 究 所 地域 j 或別保護率の年次J 推佐移 J,2 0 1 ロ 3年 1 叩O 月1 問6H更新 2. 凶 h l t t 叩 p : ν / ん/www.i 切 p s 鉛s . 伊 go . J ω p / 勾s i n お f , ν o 汁 / j. s e i h o /seihoH25/H25一2 4 . x l s x 2 5 総務省統計局. I完全失業率 J ~く参考〉労働力調査(基本集計)都道府県別結果 01 ,. 2 0 1 3年 1 1月2 9日公表 http://www.. s t a t .go. j p /d a t a / r o u d o u / p r e f l z u h y o u / l t 0 6 y .x l s 2 6北川健次 2 7浜野隆. I日本の子の頭,あまり悪くないといいな J ~教育 01 ,. 2 0 0 9年 2月号, pp.63-68. I家庭背景と子どもの学力等の関係 J ~お茶の水女子大学委託研'先. 保管調査について」文部科学省, 2 0 0 9年 8月.. http://www.mext .g o . j p / b_ menu/shingi/c h o u s a / s h o t o u / 0 4 5 / s h i r y o / _ i c s F i l e s / a f i e l d f i l eI 20 0 9 / 0 8 / 0 6 / 1 2 8 2 8 5 2 _ 2 .p d f# search='%E8%80%B3%E5%A1%9A+%E5%A1%BE+%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%AD%A6%E5%8A%9B' 2 8 読売新聞北海道支社,前掲書, p p . 8 2 8 3 . 9 p . 2 9 読売新聞北海道支社,前掲書, 5 3 0. 沖縄県教育委員会. I 沖縄型授業づくり~にぬふぁ星メソッド~ J, 2 0 1 3年. 1月 http://www.pref .okinawa.jp/edu/. g i m u / j u j i t s u /d a t a /documents/01.pdf 3 1 川崎惣ー・青山麻里亜 ( 2 0 0 9 ) I北海道における子どもたちの低学力の原凶についての一考察 J 1巻,第 2号 , 第6. ~北海道教育大学紀要~ ,. p p . 3 3 4 7 .. (旭川校准教授). 1 5 6.

(18)

参照

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賠償請求が認められている︒ 強姦罪の改正をめぐる状況について顕著な変化はない︒

析の視角について付言しておくことが必要であろう︒各国の状況に対する比較法的視点からの分析は︑直ちに国際法

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