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北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育指導資料の作成

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(1)Title. 北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育指導資料の作成. Author(s). 田中, 實. Citation. 僻地教育研究, 50: 1-15. Issue Date. 1996-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1557. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである. Hokkaido University of Education.

(2) No.50. 1腕.3. 北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育指導資料の作成 田 中. 実(北海道教育大学札幌校). OntheEducationofEarthquakeHazardPreventionasTeaching Materials inEsashiDistrictSouthwestofHokkaido. 1 はじめに. 2 学校での防災教育と地域性. ここ数年北海道のみならず,全国的に巨大地雲が. 1)学校での防災教育の現状と同額点. 続発し,地雲活動の活発な時代に入ったのではない. 学校での防災教育は,「安全教育」と「安全管理」. かという声もある。近年の巨大地票の発生時刻が,. の二面によって組み立てられている。安全教育面で. たまたま児童・生徒の在宅時間帯のため,学校ある. は,禎数の教科や道徳・特別活動で具休的な指導が. いは萱下校中での地票災害をこうむることは免れ. 行われ.安全管理面では.安全計画の作成と安全管. た。しかしそれは偶然であって.今後その時間帯に. 理の組織化が学校全体として行われていることにな. 地賓の発生はないと断言できる人はいない。一般社. っている。. 会で地震防災意識が高まり,様々な角度から取り組. 防災の知識や技能の習得を目指す教科として.体. みが始められている今日.学校でも防災教育に関す. 育を中心に社会科,理科.生活科などがあり.また. る取り組みを強め,各ポジションから災害の発生を. 知識・技術の習得とともに,実践的な態度や能力の. 未然に防止する方簡をつくりあげていく必要があ. 育成をねらいとした特別活動では.防災訓練や安全. る。. 教育の実践的指導を行うこととしている。. 1992年の北海道南西沖地震の直後,後志管内各. このように学校での防災教育の指穆構造が.各教. 地の8つの小・中学校で地票に関するアンケート調. 科・道徳・特別活動のそれぞれの枠に関連事項を振. 査を実施した。その際ほとんどの学校で地域の自然. り分けて実施しているため,総合的かつ機能的な指. 災害の発生に関する情報を持ちあわせていないこ. 導場面に乏しく.実質的効果としてあらわれづらい. と.また.そうした資料の作成を望んでいることが. のが特徴である。. 明らかとなった。. 2)防災意識の現状と地域性. 北海道南西沖地票の被害記憶の新しいうちに,教. 総理府の防災に関する世論調査…でも.身近な. は、今後の学校での防災教育の方向性を探るうえか. 危険箇所については,よく知っているが11%,知 っているが20%と報告されている。ほとんどの. らも十分意味のあることと考え,具休的地域として. 人々が身近な危険箇所を知らないというのが実態で. 桧山管内江差町をとりあげた。. ある。. 育上活用できる地栗防災指導資料を作成すること. 本町をフィールドとして選んだ理由は.北海道の. 北海道教育大学札幌校の学生115名を対象に「地. 中でも開発の歴史が古く.鉱物資源の産出や油断層. 雲災害に関する犀任地での安全性について」聞いた. が近くを通っていることなどから,地形・地質調査. ところ.(む札幌市には木造建物の地域別危険度地図. に関する研究者横があること.さらに1992年の北. が作成されているのを知っているかという問に.知. 海道南西沖地震の際には.震度5のゆれに見舞われ.. っていた者24名。②161年前にfL幌市で震度5程. 各種の地乗鞍音を受け資料収集が得やすい地域であ. 度のゆれを発生させた地雲があったことを知ってい. ることによる。. るかでは.知っていた音5名。他の全国の政令指定 都市の例を挙げたうえで.③fL幌市の耐震防火水槽. l基あたりの人口が,およそ10万人であることを 細っているかについては,知っていた者7名であっ −1−.

(3) 田中. 実. た。総理府調査の蓑づけ的結果がここにもあらわれ. ら,本小論では.中学校理科の一部で扱うことが可. ていることがわかる。. 能な内容で.しかも地域性を生かした地震防災指導 資料の作成を試みた。. 1982年日本海中部沖地震が発生した。秋田県では バスの中で地震発生を聞いていた遠足の一行が∴海. 地震に伴う災害の発生は.地域の自然環境をよく. 岸に昼食をとりに行き35名が津波にのまれる事故が. 反映し,きわめて具体的なものである。それは地域. あった。発生から12年の後.この地震発生の事実に. 性をもつがゆえに特殊性をもつが,しかし.どうじ. ついて同じく聞いたところ.知っていたのは約半数. にそこには内在した普遍性を読み取ることができ. 洪%の学生であった。さらに地震の際の津波事故につ. る。そうした事実を端的に示すものがハザードマッ. いて知っていた者は.全体の3分1で,3割の学生. プ(災害危険地図)である。これが理科における地. はその地窯も津波事故のことも知らないという実態. 賓防災教育において,各種ハザードマップを教材の. であった。. 重要な構成要素とする理由である。各ハザードマッ プの理解をとおして,地震災害発生の法則性をつか. 北海道南西沖地震の直後.後志管内の内陸部と沿. み,一定の被害予測力の形成が可能だからである。. 岸部の小中学校計8校.1192名を対象に,地賓の際 の津波発生の知識の有無を調べた結果,津波発生に. 今回作成したハザードマップの種類は次の5種類. 関する知識の有軌よ,内陸部・沿岸部という地域性. である。斜面崩壊ハザードマップ,地すべり/活断. とは無関係であるということがわかった(2)。沿岸部. 層ハザードマップ,液状化ハザードマップ,津波ハ. 地域であっても,子どもたちは地震の際の津波発生. ザードマップ,地震災害総合ハザードマップ。. なお,各ハザードマップの危険度評価は表−1の. の可能性について親や教師から聞いていなければ知 らないし.内陸部であっても学校でそうした内容を. とおりである。. 放っていれば知識形成に大きく関わっていることが. ア 斜面崩壊ハザードマップ. 明らかとなった。地震災害や地震防災に関する知識. 地震による地盤災害には,斜面崩壊,地すべり,. の有無は,責任ある機関が次世代に伝えなければ.. 落石,地盤の液状化,地盤沈下および土石流等があ. 伝達されないこと,しかしまた,学校等での科学. げられる。これらの現象には地震だけでなく特に地. 的・実践的な指導によって,生きた知識や技能にな. 震前の降水量との関係が深いものも含まれている。. るという展望を,このアンケート結果から導き出す. 斜面崩壊とは,地表が傾斜している場合,その面 は水平な地表面と比較して,傾斜角に応じた重力の. ことができた。. 以上のような防災意識に関する実態をふまえる. 分力である渦動成分力(せん断応力)が生じ.地震. と,地零災害から身を守るためには,地案とかかわ. 動や土中の水分増加等をきっかけに,その力が斜面. って地域の災害に関する具体的状況をどう認識する. を維持していた静止最大まさつ力を超えることによ. かということが明確でなければ,実効性の高い学校. って重力方向へ落下し崩壊に至るものである。. における防災教育にはならない。したがって地震防. 斜面崩壊に至らせる原因には.崩壊の素因とそれ. 災教育の指導内容に具体的な地域性を取り入れるこ. を導く誘因がある。素因には,①土質・岩質などの. とは必要不可欠なことである。. 物性的条件,②地質構造とその運動,③物理的・化. しかし,学校での防災教育に地域性を取り入れて. 学的役割を大きく果たす水の役割があげられ,また. いるところは,北海道南西沖地賽彼のアンケート調. 誘因には,①人為的なもの,②降水,(動地震があげ. 査時の意見聴取からも極めて少ないというのが私の. られる。これらの各要素が斜面崩壊に影響を与えて. 印象である。. いる(‥1).といわれている。斜面崩壊にはこのような 素因と誘因の他に,斜面崩壊をくいとめる作用とし て植生が大きな役割をはたしている。. 3 教材としてのハザードマップの種類と特徴. 斜面崩壊の予測に関して.一般的には急傾斜地で. 1)ハザードマップの種類および作成の考え方. は落石や表面侵食が崩壊以上に卓越し.軟弱土層が. 学校での防災教育指導プランには,各教科・教科. 発達しえないことから.「ある角度以上の傾斜がな. 外で多様なアプローチが考えられるが,特に地震災. いと崩壊は起こらないし,一方傾斜がきわめて大き. 害が地域の自然環境に大きく左右されるところか. くなると崩壊率はむしろ減少する」とされ,「傾斜 ー2−.

(4) No.50. 北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育指導資料の作成. 1!滑6.3. 表−1ハザードマップの危険度評価一驚 ハザードマップの種顎 危険度. 摘. 25−35せ 20−25.35∼40度. 3. ア 斜而朋域. 2. 15∼20,40痩以上 15度以下. 0. 地すべり指定地・活断層の通過範周内 3と1の境界地. 3. イ 地すべり/活断層. 寧. 2. 地すべり指定地外・捕断層の通過範周外. 4. 自然堤防.蛇行帯低地,埋立地,海浜 5と3の境界地. 3. 谷底平野.砂丘.火砕流弱溶結邸. 5. ウ 液状化. 3と1の境界地 山地.丘陵地.湿地,段丘而. 2. 海抜5m以下 海抜5∼10m. 3. エ 津波. 2. 海抜10m以上 危険度が高い 危険度がやや高い. 3. オ 地震災害総合. 2. 隠険度が低い. を主とした地形分類によって崩壊しやすい地域を特. を含む裏山一帯で,9.94ha,建設庁所管の地すべり. 定することができよう」(1)とされている。. 指定地である(恥. この論理にしたがって.1辺100mのマイクロゾ. 活断層とは.地質時代の第西紀(170万年一現在). ーンを設定し,その各マイクロゾーンの平均傾斜角. の期間に活動の反復性が推定される断層をさしてい. 度を求め.それぞれに崩壊危険度の段階を与え作成. る。本区域の東部には2本の活断層がとおっている㈹。. したのが斜面崩壊ハザードマップである。. 「新編日本の活断層」によれば,これらは江差断層. 斜面傾斜角度は,柏谷らの斜面傾斜と崩壊数の関. とよばれ,確実度は.東側がⅠ,西側がⅢで,とも. 係図(5)をもとに.また藤田ら挿)の地すべり地の傾斜 頻度分布図を参考にして.危険度を設定しハザー. に西側が20∼25mの隆起が示されている。 ド. 1995年1月の兵衛県南部地震の際.活断層の延. マップを作成した。. 長線上で,破壊の伝播方向に地震動が大きくなるデ. イ 地すべり/活断層ハザードマップ. イレクティビティー効果がみられたが.まだ研究段. 地すべりと活断層はまったく別の現象であるが,. 階でもあるので本ハザードマップ上ではそれを考慮. ここでは分布が明瞭に区別できるので.表現上同一. せず.活断層の部分およびその周囲の危険度を高く. マップにまとめたものである。. 表示した。 り 液状化ハザードマップ. 地すべりとは,傾斜地で発生する斜面運動の一種. 洒状化現象とは,地震によって生じた地盤内部の. で.斜面崩壊と比較すると,25∼300以内の績傾斜 で多く,活動は突発的ではなく継続的・再発的で,. 繰り返しせん断変形に伴って間隙水圧が上昇し.次. 規模も大きい。誘因は地下水の特定地質への影響が. 第にせん断変形が増大して.ついには崩壊に至る現. 大きく.移動速度は小さい(呵。地震との関係は斜面. 象である(恥沖状化には砂層の樺乱状態がしばしば. 崩壊に比べると直接的ではないが,斜面上の運動で. 見られる。また.①地表面から3∼15mの深度に 粒径が1∼0.15mmの粒のそろった砂の層が存在し. ある以上影響はないとはいえず.北海道南西沖地震 でもその兆候がみられた。. (地盤は沖積層).(診地下水位が3m以浅で,砂が水. この地域には地すべり指定地としてA,Bの2か. で飽和されており,(釘露度5以上の地詔勅でくり返. 所があり,その地区の危険性を示している。A地区. し強くゆさぶられる.という条件下で発生するとい. は.豊部内川の下流右岸の東山地区にあり.5.20ha. われている(1tけ。 綿状化の危険度については.若松による「微地形. で林野庁所管である。またB地区は,本町の東別院 −3【.

(5) 田中. 実. 区分による地盤表層の液状化被害の可能性」‖l)を. しかし,これらの限界を押さえながら指導に開い. 参考にし.1辺100mマイクロゾーンの大きさを考. るならば,それだけでも相当の情報を汲み取ること. 慮して,レンジ幅を設定した。. が可能である。. エ 津波ハザードマップ. 津波の発生は∴海底地盤の急激な隆起・陥没・断 4 北海道南西沖地震と江差町の被害. 層運動などによって放出されたエネルギーが∴海水 に伝えられ海岸付近にまで押し寄せた波をいう。沿. 1)北海道南西沖地震と江差町の主な被害. 海岸線や海岸近くの地形に左右されて陸上に及ぼす. 1992年7月12日午後10時17分,北緯42度47分 乗軽139度12分.北海道南西沖の深さ34kmを震源. 影響は一様ではない。しかし一般に海水の陸上への. とするマグニチュード7.8の地賓が発生した。この. 影響であるから,標高が低い所ほど危険度が高い。. 地震によって桧山管内江差町では.震度5を記録し,. 津波被害は防潮施設の整備度や河岸周辺の施設状況. さらに2.7mの津波が押し寄せた(12)。. 岸に達した津波は陸上にかけ上がることがあるが.. この地震で震源に最も近い奥尻島では津波を原因. によるが,ここでは標高を基準に危険度を設定した。. とする火災が発生し,死者・行方不明者198名とい. オ 地雲災害総合ハザードマップ. う大幡事となった。またこの地震による,道内の死. アーオの各危険度を1つにまとめたものが,地震 災害総合ハザードマップである。これは,各ハザー. 者・行方不明者は合計229名,被害総額は1兆3200. ドマップの危険度を点数化し,一定の数値的操作を. 億円に達した。. おこない,極端な値がでないように調整したものを. 江差町災害対策本部の資料によると,江差町にお. 地震災害総合ハザードマップとして表現したもので. ける北海道南西沖地喪被害件数は.住宅等の半壊. ある。. 31.一部破損420,床上浸水22,床下浸水21,道路 亀裂・ずれ等23.橋梁柱部亀裂1,漁船沈没3, 漁船破損54,公立学校被害(教室窓ガラス,外壁. 2)ハザードマップによる危険度判定の精度 地質図幅は,通常縮尺が20万分の1,5万分の1, 2.5万分の1などのスケールで作成されている。ハ. 剥離,貯水タンク.浄化槽等)8,乗用車の海中落. ザードマップでも各種の縮尺地図が考えられるが.. 下28,乗用車の破損31で,被害総額は25億5400. 教材用として次のようなパターンとその特徴を想定. 万円あまりにのぼっている(13)。. することができる。. 2)江差町における主な要因別地震災害とハザー. A 全道的な視野で各危険度の傾向をみるとき…. ドマップ. 20万分の1アナログ表示. 江差町の被害を要因別に分類し,今回作成したハ ザードマップの表示と比較した。. B 特定地域の危険度の傾向をみるとき・・・2.5万分 の1,l辺100mのデジタル表示. ア 斜面崩壊. 市街地付近での菅しい斜面崩壊はみられなかっ. C 日常生活圏内の災害発生傾向の把握と.防災対. 策数値処理…1万分の1tl辺50mのデジタル. た。記録には3件の林地被害があるが.ポイントは. 表示. 不明である。. D 具体的個別事象の対策を講じるとき・‥1万分の. イ 地すべり. 建設庁所管の地すべり指定地域となっている東別. lアナログ表示. 本小論で扱っている教材用ハザードマップは.B. 院境内付近で地割れが発生した。この場所は町の避. タイプに該当する。すなわち危険地帯の傾向を把握. 難指定地域となっている場所である(14)。地すべりハ. するとか.安全な避難場所がどの方面に多いかとか,. ザードマップの危険度3/3の該当地域である。ハ. いわば校区全体の傾向をとらえるレベルでの使用が. ザードマップで危険度3の地点がすべて被害にあっ. 主目的となる。特定の地点の地震に関する安全性の. たわけではない。しかし,危険度の高いゾーンであ. 参考資料にはなるが.判断の基準にするためのもの. ることは作成したハザードマップから読み取りが可. ではない。いうなれば細かな具体的防災対策に的確. 能である。また.町の避難指定地なっていることに. に対応できるものではない。こうした点をふまえて. は疑問を呈することができるであろう。. 教材として鞭われるべきものである。. り 渦状化 ー4−.

(6) No.50. 北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育指導資料の作成. 北海道南西沖地賽の際,厚沢部川下流域の柳崎.. l餌)6.3. 調べると.鞍音の地域と内容に一般的な傾向がある. 水堀.越前.中網,紺Il地区および,五勝手川河口. ことがわかる。それは、. 付近で洒状化が発生している。特に厚沢部川下流越. ア 地環被害の受けやすい地域と.受けにくい地域. 前地区の自然増防周辺地域では大規模な液状化が発. があり.地形・地質と大きくかかわっている。. 生し,町道の盛上が約50mにわたって崩壊した。. イ 被害の要因はその地域の地形・地質によって決. この地域では,水田や爛に隆起・沈降現象が起き.. 定される。. 農地に約6千万円.農作物に約3千万円の被害がで. 災害とは自然の力によって人間の活動への破壊等. ている。さらに道内最初の水田とされるこの地域の. をともなうときに使われることばで.人が足を踏み. 農業用施設であるパイプライン.用水路,排水路等. 入れてない自然の中でかりに土砂崩れがあっても.. 29か所,約5億3千万円の農薬土木被害があった。. それは災害とはいわない。. 国道228号の江差町椴川∼江差町津花の5.3kmと 国道229号の江差町柳崎∼江差町水堀の3.Okmの区. 災害の危険性は高まるが.日本国内には人手が入ら. 間に地盤の渦状化が原因で路面陥没が発生した。. ない地域はないといえる。したがって.アの被害を. 人間活動の影響が自然界の中に広がるほど,自然. 厚沢部川下流域は本ハザードマ、ソプ区域の範囲外. 受けやすい地域や.イの被害の要因は.その地域の. であるために,表現されていないが,作成の論理に. 地形・地質の特性を把握することによって.そこで. 当てはめるとこれらの被害地はすべて危険度5ノ5. 予測される被害の要因と危険度を,体系的・論理的. に該当する。. に理解することが可能である。防災教育の指導内容. また亀裂・ずれ等の被害が,河川.砂防,海岸,. が知識の詰め込みに終わることなく,地域に生きて. 道路.港湾の多数の地域で発生した。特に海岸線お. 滴用できる実質的な成果を本ハザードマップをとお. よび河川沿いの道路.河川護岸,埋立地,港湾等”水. して期待するためには.各地賓被害の要因を教育の. 際’●の土木施設での被害が大きく,総額9億3千万. レベルに合わせて科学的に把握することが,教材づ. 円にものぼっている。これらの多くの地点が,埋立. くりの重要な誅虜となる。 その具休化として,ハザードマップ作成の理論的. 地や沖積他の軟弱地で滴状化の危険度と重なる地域. を示し,ハザードマップでは危険度3/5∼5/5. 背景を過去の大地の形成史に位置づけて指導プラン. に表現されている地帯である。. の作成を試みた。. オ 津波. 北海道南西沖地栗でこの付近では3回の,目に見. 5 江差町での地震防災教育指導プランと指. えた津波が押し寄せた。江姜町役場の報告によると,. 導資料. 江差での最高波高は12日22時40分波高90cm.50 分90cm,23時00分小波,23時10分最大波270cmで. 1)理科 江差の大地の歴史と地震防災教育. あった。最大波高時には、平屋建ての屋根の高さほ. ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★. どの津波が襲ったことになる。. 1.本単元の目的. 江差港北端の防潮堀は港の前面で6mの高さがあ. 1)江差地域の大地形成の歴史を学ぶことによっ. るが.北側の側面では1m前後に過ぎない。実際こ. て,地賓災害と大地の歴史が深く関連している. の側面方向からの津波の侵入があり.中歌町から姥. ことを理解する。. 神町の間で床下浸水家屋が5件.家屋以外では同地. 2)大地のつくりを資料をとおして調べることが. 域の埋立地において事業所,工場,倉庫の床下浸水. でき,地震防災を科学的に考えることができる。. が16件.床上浸水が21件発生し.鴎島でも床上浸. 3)地域の大地の変化をとおして.地震防災に関 心をもち,意欲的に防災行動に参加することが. 水家屋がl件発生した。. 津波ハザードマップではすべて危険度3/3の地. できる。. 帯である。. 4)地震災害の学習をとおして.自然災害を未然 に防ぐために身の回りの安全に心を配ることが. 3)江差町における北海道南西沖地震被害と教育. できる。. の洪庵. 江差町における北海道南西沖地震の被害の実態を. 2.全体計画(時数 8時間扱い) ー5−.

(7) 田中 実. 匿圏 砂丘堆積物. ⊂コ 沖積堆脚 E=コ第4段丘堆積物(棚両) だ空盟第2段丘堆積犠(別面) E≡至ヨ 流出■デイサイト. E≡巨肺●凝灰岩]椚. 誓 Eヨ甜 ヒ三ヨ江差膚;硬礪側磯・甜 匹互至ヨ 大安在川■;儀岩・砂岩. 閤積山膚;凝灰岩・湘凝灰岩 ∈≡∃砂岩・粘板着互■. 重 囲チヤ→・凝甜 界 区迅チャートを含む甜. 松 前 ■ 群. 図−1江差町南部の地質図(角ら1970より). ・もし学校で地震にあったら. 1)江差の大地の生いたち(2). ㊥ 地震防災訓練とまとめ・評価. 2)地震発生のしくみと北海道南西沖地震(2). 4.指導資料. 3)地震災害の種類(1) 4)地震災害危険地図(ハザードマップ)(1). 1)2.5万分の1江差南西部地域の地形図. 5)地震発生にそなえて(1). 2)江差南西部地域の地質図. 6)地震防災訓練とまとめ・評価(1). 3)江差南西部地域の模式層序 4)江差南西部地域の地質概説. 3.授業の展開 ・江差の地質区分とその形成時代. 5)江差南西部の地史 6)斜面崩壊ハザードマップ. ・江差の大地の生いたち. 7)地すべり・活断層ハザードマップ. 1)江差の大地の生いたち. 8)榊犬化ハザードマップ. 2)地震発生のしくみと北海道南西沖地震. 9)津波ハザードマップ. ・地震発生のしくみと地震波の伝わり方. 10)地震災害総合ハザードマップ. ・北海道南西沖地震とその被害. 5.授業の具体的展開. 3)地震災害の種類. 1)江差の大地の生いたち. ・地震動災害と家屋・建造物災害. [1]江差の地質区分とその形成環境(資料図−1). 4)地震災害危険地図(ハザードマップ). ○ 校区内にはどんな地層が見られるだろう. ・津波災害を予想してみよう. ・新栄町の神社の裏山(礫岩・砂岩=大安在川. ・他の災害予測. 5)地震発生にそなえて. 層). ・五勝手川の送電線下の泥岩,大澗の道路際の. ・通学路の点検. ・家での防災. 崖(ベラペラ割れる=江差層). −6−.

(8) No.50. 北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育指導資料の作成. 1王将6.3. 表−2 江差町南西部地域の様式■序 代. 時. 岩 質. 地層 名. 特. 砂丘雄織物. 徴. 新・旧(埋樽)砂丘. 完 新 世 第. 沖積堆積物1術前1. 四. 中位両雄楕物. 砂・砂礫・砂質の泥およぴ.海岸沿いでは砂 埋の砂[北村而] 中位而は海域. 3−10万年前?. 〔陣屋而] [大澗而】. 紀 高位而堆積物. 礫層・砂層・粘土層【尾山而〕. 30∼50万年前? 岩. 〔江差而】. 脈 流紋岩・デイサイト. 標高. 20∼35m 40−75m 80∼170nl 150−300m. ほ海・陸成 海中に噴糾した軽石質の火山砕. 200万年前. 屑流堆積物. 膚 半深海成. 泥岩 400万年. 800m. 凝灰質砂岩と礎灰岩をはさむ泥岩. 新. 200、. 半深海成. 後 期. 第. 300m. i美海成. 中. 所. 松前層由来のチャートの円礫. 礫岩・砂岩 大安在川層. 1,200万年前. 礫とドロマイト膚の互膏. 5一、. l00m. 化石α血間侶叩(イタヤガイの一種). 期. ●■ll■昌..■ 陸性の火山流動. 紀. 前. 福 山 層. 世 期. ジ. 中. 8−12nl. 貫入. 軽石・凝灰岩. 鮮 新 世 館. 層 厚. ユ. ラ中. 火山岩,溶績凝灰岩 2,080∼2,330万年前. 後期石炭期. 3(粕m. 250m. 輝線凝灰眉とチャートを挟む砂岩・粘梅岩亙層. 含チャート砂岩膚. 700m. の互層. 古 生. マンガン鉱を含む. チャートおよび凝灰岩層 チャート・桂質粘板岩・粘板岩・砂岩・輝線凝 灰岩. (南東部). 後期ペルム期. 100m. 砂岩・粘板岩互層(東部) 緑一時紫色の輝線凝灰岩層を挟ふ砂岩が主の粘 600m 1億5,(削万年前 梅岩との互層. 紀期 松前層群 界. ・上部は玄武岩溶岩,凝灰角礫岩,安山岩。 ・中部はアルカリ流紋岩質火砕岩・溶結;堆灰岩, 200、 亜炭層を挟む。 ・下部は基底礫岩.安山岩溶岩.火砕岩. 950m. 黒・灰色・赤色チャート. 3憶年前. 角 絹夫・短見俊弘・水野蘭右「5ガ分の1地質囲幅 江塵」 秦 光男・上付不二雛「20万分1函館および洩鳥人毎地質囲」 人森 畑桃「北海道渡掲半偽江差l寸近の海相段丘」より作成. ・「東山鉱山」の珪質岩・粘板岩(固い板状に. だろう(各地層のでき方). ・珪質岩・粘板岩二泥が岸からやや離れた海底. 割れる=松前層群). の沖に堆積し.きわめて長い年月の間に非常. ・中学校の東側の白っぽい岩石(流紋封=買入. にかたく固まった。. 岩). ・礫岩・砂岩=礫や砂が川によってけずられ岸. ・鴎島の黒っぼい岩(ゴツゴツした岩=館層). に近い海底に堆積した。. ・椴川の河口付近の泥岩(黒っぼい岩=館層). ・泥岩=泥が偉からやや離れた海底の沖に堆積. ・五度沢付近の凝灰岩(白っぽい火山灰のよう. した。. な崖≡館層). ‥火山灰・凝灰岩=火山活動によって堆積した。. ○ それらの岩石はどのようにできたものなの. w7劇.

(9) 田中. 実. ゆ 地震防災訓練とまとめ・評価. ・流紋岩の貰入岩王地下からマグマが上昇して きて,その場で固まった。. ○ 避難訓練. ○ 阪神大震災と人々のくらし[vTRなど]. [2]江差の大地の生いたち(資料 表−2.表−3). ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★. ○ 地史の資料を見て,江差の大地の生いたち. 2)江差町の地質学的地震防災資料について(川). を4つの時代に分けることができる ・火山の時代(それ以前のプレートの収束帯. ‖7).‖軋−1”(4資料をもとに再編) この資料は江差町江差中学校3年生の理科,「江. の時期.渡島半島の南西部の火山地帯) ・海の時代(浅い海→半深海→浅い海). 差の大地の歴史と地震防災教育」を想定して作成し. ・波打ち際の時代(段丘の形成). た資料の解説である。. ・人類の時代(現在につながる). ア 2.5万分の1江差町南部,江差中学校区内の地. 2)地震発生のしくみと北海道南西沖地震. 形図…(略). イ 江差町南西部の地質図(図−1). 【1]地質発生のしくみ. この図は5万分の1地質図をもとにして2.5万分. ○ 地賓はどのように発生するのだろうか[プ レート境界型・内陸直下型・群発型・火山地. の1の縮尺で作成したものである(本文では紙面上. 東】. 5万分のlに縮小)。 本地域には.古い時代から松前層群,福山層,大. ○ 地震波の伝わり方とゆれの大きさ,地震の. 安在川層,江差層,館層,流紋岩の貫入岩,段丘堆. 規模との関係[賓源・東央・マグニチュード]. 積物,沖積・砂丘堆積物などが順次形成されている。. [2】北海道南西沖地震とその被害. これらの各地層の概説および時代については,別. ○ 北海道南西沖地震を振り返ってみよう. 紙表−2のとおりである。. ○ 北海道南西沖地賓災害の記録を見よう ○ 江差町にはどんな被害があったのだろう. また.松前層群の西縁には南北性の2本の活断層 が走っており,西側が高角度の逆断層で上昇してい. 〔道路の崩壊・津波被害・液状化・家屋の半. る。. 壊]. り 江差町南西部地域の模式層序(表−2). 3)地震災害の種類. 江差町南西部の地質図を模式的に示したものであ. ○ 地震動災害にはどんなものがあるのだろう [家屋・建造物被害.土砂崩壊・地すべり,. る。. この地域には,およそ3億年から1憶5000万年. 津波災害.滞状化災害,活断層周辺のゆれ]. 前の中・古生界が広がっている。松前層群について. ○ 被害はどんな所で起きるのだろう【人工地. は.まだ不明のことが多いが,この地域のチャート. 盤や地質との関係]. ○ 地形図や地質図で確かめてみよう[低地で. はおよそ3億年前の堆積物で.道内で最も古い地層. 滴状化が起きやすい,海の時代の地層の一. とされている。 ジュラ紀以降,新第三紀中新世まで地層を欠いて. 部に崩れやすい所がある,斜面のやや傾い. おり,松前層群の陸地が展開していたと推測される。. ている所で崩れやすい]. 新第三紀になると中新世以降鮮新世まで一連の連. 4)地震災害危険地図(ハザードマップ). 続した地層が発達している(福山層,大安在川層,. (資料図⊥2∼ゆ. ○ 津波災害を予想してみよう[標高5m以下. 江差層.館層および流紋岩の常人岩)。これらの地 層は現在の海岸線に平行してほぼ南北に分布してい. の地域に色をぬろう】. ○ 他の地震災害を予測してみよう[予測の仕. る。. 第四紀に入って海岸線にほぼ平行して5段の段丘. 方.液状化の予測・・資料をもとに]. 地形が形成された。. 5)地震発生にそなえて. ○ 通学路は安全だろうか[崩れやすい地層…. エ 江差町南西部地域の地層の概略 3)にて江差町南西部でみられる各地層の概略を. 地質図をもとにして] ○ 家での防災[町役場の資料]‖5). 示すが,ここで地震防災上から注意すべき地層を読. ○ もし学校で地震にあったら. み取ることができる。それはとくに海の時代に形成 −8−.

(10) No.50. 北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育指導資料の作成. 危瞼度 ■3田2団1□0. 図−2 斜面劇場ハザードマップ(1マス100m四方). 危瞼虔 ■3 囚2 □l 図−3 地すべり/活断層ハザードマップ(1マス100m四方) 叫9岬. 1!粉6.3.

(11) 田中 実. 危険度 ■5 囲4 囚3 田2[]1 図−4 液状化ハザードマップ(1マス100m四方). 危険度. ■3 団2 □1. 図−5 津浪ハザードマップ(1マス100m四方) 〝10−.

(12) No.獣). 北海道南西部江差地域を例とした地猥防災教育指穆資料の作成. 危柑 ■3 団ユ[コ1 図−6 地#災害鰯合ハザードマップ(1マス100m四方). した江差層の板状頁岩や館層の泥岩・凝灰質砂岩等. (4資料をもとに再編). が風化によって崩壊しやすいためである。そのため. ア 松前層群. これらの地層の分布地域では地震の際,斜面崩壊の. この地域の東半分は松前層群によって構成されて. 危険度が他の地層よりも高く,とくに傾斜地や道路. いる。本層は北海道でもっとも古い地層であり,珪. の法面には注意を要する。. 質化石を多く含むチャートや粘板岩などの堆積岩類. また,第四紀の砂丘堆積物の周辺地と沖積堆積物. は石炭−ペルム期に形成された海山コンプレックス. 分布地では.液状化の可能性が高いために注意する. の一部と考えられている。. 必要がある。. この地域の松前層群は3層にわけられ.下部より. オ 江差町南西部の地史. a層は後期石炭期∼後期ペルム期,b層は中期ジュ. この地域の古環境は、. ラ期.c層は後期ジュラ期の時代の地層で.模式地. l.古い時代の火山地帯.. は豊部内川,五勝手川、古穂川の各上流部である。. 2.浅い海→半深海→浅い海とつづいた海の時代,. 全層厚は5000m以上と推定され.この地域では3. この時代の末期に再び火山活動が起こり,さらに. 部層が見られる。. 溶岩の貫入がみられた。. a層 砂岩・粘板岩亙層(東部). 3.段丘が形成される時代。. 里部内川中流∼檎伐∼五勝手川上流部に分布。粘. 4.最も新しい1万年以降の時代に区分できる。 これらを1.火山の時代 2.海の時代 3.. 板岩を何校も含む砂岩がちの互層。緑∼暗紫色の輝. 線凝灰岩の層を2∼3枚挟む。層厚950m。. 波打ち際の時代 4.人類の時代としてまとめた。. b層 含チャート砂岩層(北東部). また,1.火山の時代の以前には0.プレートの. 登部内川東山付近から北部にかけて分布。砂岩・. 収束帯を示したが.まだ不明なところが多い。. 粘板岩互層の中に赤紫∼緑色の輝線凝灰眉と累∼灰. 3)江差町南西部地域の地層の概略馴(川肌(Z∼). 色のチャートを挟む。本層にはマンガン鉱を含む。 −11−. 1996.3.

(13) 田中. 実. 層厚700m. 厚200−300mである。大潤付近の板状頁岩は土砂. c層 チャートおよび凝灰岩層(南東部). 崩壊しやすい。. 本区域の南東部に分布。チャート・珪質粘板岩・. オ 館層. 黒松内層主部に対比され.新第三紀鮮新世の地層。. 粘梅岩・砂岩・輝線凝灰岩など多様な岩相を示す。 チャートは黒”灰色および赤色が特徴で.赤色のも. 下位の江差層とは整合である。江差付近では下部に. のは輝線凝灰岩付近によく産出。層厚は(氾Om。. 泥岩が広がり.その上部に8つの軽石質凝灰岩.泥. 本層の西縁は江差断層によって中新世の福山層と. 岩・凝灰質砂岩などの部層が堆積する。五勝手川下. 不整合で摸している。江差南東部のチャート層から. 流左岸および尾山の旧道沿いの泥岩,五度沢温泉付. 三畳紀のコノドント(〃eo叩a伽du5ムomeJづなど)化. 近の凝灰岩は本層である。 下部層の泥岩は.凝灰質砂岩と凝灰岩をはさみ,. 石が産出する。. 固結度は低く暗灰色で粗粒な.半深海成の泥岩であ. イ 福山層. この地域では松前層群の西縁を700∼800m幅で. る。軟弱なため績傾斜地では風化によって崩壊が進. ほぼ南北に分布し,新第三紀中新世前期の陸性の火. む。軽石質凝灰岩のフィツショントラック年代は. 山活動によって形成された火山岩,溶結凝灰岩から. 400万年前を示している。 上部の凝灰岩質砂岩や軽石凝灰岩は.海底下で噴. なる。. 下部は基底礫岩,安山岩溶岩.火砕岩,層厚250. 出された軽石質の火山砕屑流堆積物で.非常にやわ. m。中部はアルカリ流紋岩質火砕岩・溶結凝灰岩か. らかく,崩壊しやすい。全体の膚厚は800m。. らなり.亜炭層を挟む。200∼300m。上部は玄武. カ 新第三紀層を貫く流紋岩およびデイサイトの岩. 岩溶岩.凝灰角礫岩.安山岩。層厚100m。. 脈. 中∼上部の火山岩のフィツショントラック年代は. 江差中学校より東の山地と,田沢・伏木戸間の主. 2,080−2,330万年前。上位の大安在川層と不整合で. に海岸沿いに分布し,舘層の中部以下の地層に貫入. 接する。. している。新第三紀鮮新世末から第四紀初頭に貫入. り 大安在川層. したと考えられている。江差中学校付近では,自∼. 福山層の西縁を幅60−70mで分布し,堆積環境 に地域的差異が見られる。層厚は3−30mで浅海. 黄褐色で板状の流理構造が見られる。1962年の調. 性の礫岩・砂岩から構成される。五勝手川下流南支. る。. 査では.この岩脈付近では地温がやや高くなってい. 田沢の立岩付近では.周辺の地層が400mはど流. 流では,淘汰のよい松前層由来の数cmのチャートの 円礫を含んでいる。豊部内川では礫を含むドロマイ. 紋岩の上昇によって持ち上げられていると推定され. ト層とドロマイト質礫岩の互層。田沢川下流で. ている。五度沢温泉の熱源はこうした岩脈の中から. C地J町ざ叩.古横川支流ではfな血叩eCfeJIルasa山一. 得られた温泉水である。. 餌扇ぶのホタテ貝のなかまの化石を産出する。福山. キ 段丘堆積物. 江差町には5段の河岸段丘が発達しているが,こ. 層を不整合に覆う中新世中期の海成層である。. の地域内に広く分布するのは,檜岱周辺の標高100. エ 江差層. ー120mと,海岸沿いの30−50mの2段の平坦面. 中新世中期から後期の硬質貫岩一泥岩による海成 層である。基底は海緑石に富む暗線赤色の淘汰の悪. である。段丘堆積物は,各段とも礫層・砂層・粘土. い円礫を含むシルト岩,下部層はドロマイトのレン. 層から構成されており,低い段丘面の堆積物は海成. ズを挟む暗灰色の硬質頁岩である。中部層は硬質・. である。. 軟質の泥岩の板状互層で下部に7∼10mの微細な. ク 沖積堆積物. 黒雲母を含む白色細粒の凝灰岩を.上部に多数の白. 各河川沿いに広がる平地の多くが,完新世に堆積. 色凝灰岩を挟んでいる。上部層は硬質で半透明の緑. した沖積地である。ここには河川で運ばれた砂・砂. 色の頁岩からなり,上部に角閃石を含む細粒凝灰岩. 礫・砂質の泥および,海岸沿いでは砂場の砂質堆積. がある。上位の館層に漸移する。下部層に. 物がある。. 〟akけ8J刀∂Cム如月〟の貝化石を.中部層から. ケ 砂丘堆積物. 五勝手川河口以南の海岸沿い,および田沢付近に. q′Cねm血朋の有孔虫を産出する。江差付近では層 ー12−.

(14) No.50. 北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育相導資料の作成. 1996.3. 恭一3 江差町南西欝の地史 時代区分. 4.人類の時代. 年 代. 1万年前以降 沖積堆積物. 地 層 名. 状 況. 防災上の注意. 低地の形成で沖状化と津波痛水 の可能性大,地震動の増幅の可能. 砂丘堆積物 海・河川沿いの低地. 性. 3.波打ち際時代. 170−1万 年前. 段丘堆積物. 買入岩(D). 2.海の時代. 1帥−170 年前. 館層(C) 江差層(B). 海水準の変動 段丘形成. 陣屋而(20−35m)では,50cm の泥炭層を含み.地平勤の増幅の 可能性. 鴎島の形成 半深海. (D)安定地塊 (C)泥岩・凝灰岩は朋増しやすい (B)大潤付近の板状頁岩は土砂朋. 沌海・・背後に陸. 壊しやすい. 大安在川層仇). l.火山の時代. 2,200万年前 福山層. 火山岩・溶絶凝灰岩. は砂丘堆積物がみられる。これらの砂丘堆積物には. とみられ,初めは安山岩溶岩や火砕岩が噴出された. 飛砂のみによって形成された現砂丘と,土壌層に埋. が.つぎに流紋岩質の火砕岩・溶結凝灰岩へと移り.. 没した古砂丘および.その積合砂丘がある。田沢付. さらに玄武岩質の溶岩や凝灰角礫岩.安山岩など膨. 近のものは古砂丘で.流紋岩質の貰入岩と段丘の上. 大な火山性噴出物が放出された。ちょうどその活動. に砂丘砂がのり.その上を土壌がおおっている。ま. は渡鳥半島の南西部に陸性火山の噴出物として堆積. た五勝手川河口以南では田沢付近の古砂丘タイプの. が認められる。. 上にさらに現世の砂丘砂が発達し,接合砂丘となっ. これらの火山性噴出物は∴豊部内川中流域と五勝. ている。古横川の河口付近には現世の砂丘が発達し. 手川上流部を結ぷ幅約Ikmで南北にのび,松前層の. ている。. 西縁に分布している。【福山層の堆利 [2.海の時代(1,鰍)万∼170万年前)]. 4)江差の大地の歴史(地史)一雄.(臥(軋(27−(4資. およそ1,200万年前になると.この付近は徐々に. 料をもとに再絹). 沈降する地帯となった。江差の町付近は浅い海の底. [0.プレートの収束帯]. 江差町の患部内川中流より上流にかけて,チャー. となり.元山付近から削られて運ばれてくるチャー トの円礫や砂岩などがその海の底に堆積した。海に. トや粘板岩とよばれる岩石によって構成されてい. る。これらの固い岩石は北海道の中では最も古い岩. はイタヤガイ(C旭my5)のなかまが生息していた。. 石で,3億年から1億5000万年も前のものである。. それは古格川支流や田沢川の支流で今でもみつける. これらは南部江差町の東側一帯に発達しており,古. ことができる。この時代の地層は.福山層の西側に. い時代の中部太平洋方面にあった海山や海洋の烏が. 分布している。ヰ大安在川層の堆積〕 700∼800万年前ほどになると海底は一層深くな. 起源になっていると考えられている。それらの海山. や海洋の島が,ベルトコンベア一にのせられるよう. り.より大きさの細かい泥が堆積する場所となった。. にプレートによってアジア大陸の緑まで運ばれ、同. この層からしばしばレンズ状のドロマイト(石灰岩. 時にその周辺の海底の堆積物を挟み込み、長い時代 の間に硬く固まったものである。これらの地層から. の一部がマグネシウムにおきかわったもの)やドロ. 放散虫やコノドントとよばれる化石が産出され こ. ている。〔江差層の堆積〕. マイト質泥岩が挟まれている。また貝化石も産出し. れらによって時代や環境を特定することができる。. 400万年ほど前になると,再び火山活動が活発な 時代をむかえる。江差層の上に堆積した地層には何. [松前層の堆積]. [1.火山の時代(2,200万年前ころ)]. 校もの凝灰質の砂岩や凝灰岩をはさむ泥岩が発達す. 今から2200万年ほど前まえになると,松前層の. る。さらに200万年ほど前になると,海は浅くなり. 一部が海から顔をだして島になっていた。. 海中で噴出した軽石賀の火砕流堆積物などが厚く堆. 当時,渡島半島南西部は火山活動の活発な地帯で. 積する。鴎島もこのときにできた岩石によってでき. ている。[館層の堆積]. あった。火山活動の中心は江差町南部の上ノ国地域 −13−.

(15) 田中. 実. 低い地形面は標高8∼12mで砂丘砂に覆われ,. このころ.江差町の東側の地塊(松前膚一帯)の 上昇が激しくなり,福山層や大安在川層それに江差. 3,000年ほど前に堆積したものがある。これは最も. 層を西側に押し付けるようなかたちで隆起をつづけ. 新しく形成された地層で地盤が軟弱であることか. た。この西側へ押し付けられた様子は.古横川の河. ら,地震の際にはゆれが増幅したり,液状化の可能. 口付近の左岸の露頭で見られる。. 性が高い地域である。また津波や高潮に注意すべき 地域となっている。. また,館層堆積時期の終りに近いころ.中学校の. これらの沖積層は水との関係が深く,液状化の危. 東側や伏木戸付近,それに元山周辺では地下から岩. 険性が最も高い地層であり.北海道南西沖地震の際. 脈が上がってきた。[流紋岩の岩脈]. には被害が最も多く発生した地域となっている。し. この時代の大渦付近で見られる江差層中の板状頁 岩や館層中の泥岩や凝灰岩は,たいへん風化しやす. かし.日常生活には欠かすことができない土地でも. く地震動などによって崩壊しやすいものである。傾. ある。. 斜面や崖では地賓の際崩壊の危険性があるので,十 分注意を要する。また流紋岩の岩脈地帯は比較的安. 6 まとめ. 定な地塊で,先の北海道南西沖地震の際もゆれが少. 学校区内には,津波の心配のある海岸地帯.地滑. なかったと伝えられている。. りの危険地帯.低湿地の軟弱地盤と液状化地帯.活. 〔3.波打ち際時代(170万一1万年前)] 第四紀とよばれるもっとも新しい地質時代にはい. 断層地帯など,個別に調査しなければ明らかになら. ると,気候の変化による海水面の変動とともに,江. ない地震防災上の問題がある。先の北海道南西沖地. 差町一帯は海水に浸ったり,海面から顔を出したり. 栗の際,長万部町中の川小学校のように校舎下やグ. するいわば「波打ち際」の時代をすごす。海の波や. ランドで液状化が発生し,新設数年の校舎にもかか. 河川によって地表面が浸食されたり.土砂を堆積し. わらず,地下に埋設したコンクリートパイルが軒並. ながら段丘地形が形成された時代である。. み破壊される事態が発生した。校庭や体育館であれ ばどこでも安心とはいえないのである。. 南部江差付近には5段の地形面が区分されてい. る。最も高い面は.標高150−300mの江差面とよ. 地域の地形・地質・液状化・地すべり・ゆれの度. ばれ.豊部内川上流以外は海水によって浸食された. 合,耐震防火水槽や消火栓の位置等,地域の実態に. (資料地質図には示されていない)。. 即した具体的かつ科学的な把握は.学校での防災計 画作成のための必要条件である。. 次の段は尾山面とよばれている。標高は80−170 mで,粒のそろった砂と礫が海水の作用で堆積した. 1982年の日本海中部沖地震の際,江差町のある. 面である。江差断層によって、段丘面の中ほどで2. 学校でば’安全のために’’子どもたちを昼食後ただ. 分され,西側が10mはど高くなっている。幅は2. ちに下校させた。しかし,この作成したハザードマ. kmほどありこの地域ではもっともよく発達した地形. ップからすると,学校は段丘面上で地震防災上安全. 面である(高位面として表示)。. 性が高いのに対して,子どもたちの家々やその途中 の通学路は海岸線に近い低地で,渦状化や津減の危. 次の段の面は大潤面とよばれ.浸食がすすみ上位. 険性があったことがわかる。. の馬山面の下にへばりついて点在している。標高は. また逆に.標高が低くハザードマップでも液状化. 40−75mで,南部ほど傾斜勾配が急である。. や津波の危険度の高い地域に建つ学校が,現在町の. その下は江差の市街地をのせている地形面で,陣. 屋面とよばれている。標高は20−35m.34,000年. 避難場所に指定されているところもある。. 前に形成された泥炭層をはさんだ海成面である。泥. これらのハザードマップの改善作業をとおして.. 炭層の堆積状態では地常勤を増幅させることが考え. より地域の自然災害環境の把握にもつながることと. られる(中位面として表示)。. 思われる。 本ハザードマップは教材用であるために,このデ. [4.人類の時代(1万年前以降)】 この時代峰河川の周囲や海岸線に形成された,最. ータだけで.危険度を判断することは危険である。. も新しい地層である。また標高12m以下の低い地. しかし.北海道南西沖地震の被害の多くがこのハザ. 形面(禎数段)をつくる,完新世の地層である。. ードマップの危険度の高い地域で発生している事実 −14−.

(16) No.50. 北海道南西部江差地域を例とした地震防災教育指導資料の作成. から,地域での防災意識の向上に役立つのではない. (lα 済本章平(19即)地盤工学の基礎知識 鹿島出. かと考えられる。. 版会p.62など. 本小論をまとめるにあたり,江差町役場総務課の. (11)若松加寿江(1992)詳細な微地形分類による地. 田畑明氏には,資料の擢供等便宜を図っていただい. 盤表層の液状化被害可能性の評価 日本建築学会. た。ここに厚くお礼申し上げる。. 大会学術講演梗概集 vol.B p,1443−1444. なお,本研究にあたり文部省科学研究費一般研究. (12)江差町災害対策本部(1993)北海道南西沖地謀. (C)課穎番号0780帥22の一部を使用した。. 被音状況. (1う)北海道南西沖地謀記録書作成委員会(1995) 北海道南西沖地栗記録書 7 参考文献. (14)(12)と同じ. (1)内閣総理大臣官房広報室(1991)防災に関. (鳩)江差町総務課(1995)防災の心得 (16)角 靖夫・垣見俊弘・水野篤行(1970). する世論調査. (2)田中 実(1995)理科教育からみた学校に. 5万分のl地質図幅説明書 江差 北海道開. おける防災教育の諮問頗 北海道教育大学紀要. 発庁. 第1部C第46巻 第1号 (3)武居有恒(1980)地すべり・崩壊・土石流. (17)秦 光男・上村不二雄(1!娼4)20万分の1地 質図 南結および渡島大鳥 地質調査所 (18)大森 博雄(1975)北海道渡鳥半島江差付近の. 予測と対策 鹿島出版会. 海岸段丘 第四紀研究14 p.63−76. (4)(3)と同じ. (5)柏谷健二・平野昌繁・横山庸二・奥田節夫. (咄 加藤誠・勝井養雄・北川芳男・松井愈(19舗). (1976)山牌崩壊と地形の特性に関して 京大防. 日本の地質1「北海道地方」 共立出版. 災研究年報 第19号 B p.371−383 (6)藤田 崇・平野昌繁・波田電照(1976)徳島. 歓》(16)に同じ. 伽(17)に同じ. 県井近傍の地すべりの地質構造規制 地すべり. ¢功(18)に同じ. 13−1p.2ゝ36. ¢瑚(19)に同じ. (7)山岸宏光絹(1993)北海道の地すべり地形 北. な増(16)に同じ ¢句(17)に同じ. 大図書刊行会. (8)活断層研究会(1991)新絹日本の活断層. ¢句(18)に同じ なⅥ(19)に同じ. 東京大学出版会. (9)杜本康広(1993)液状化災害予測の方法 第四紀研究 Vol.32No.5 p.257. ー15−. 1996.3.

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参照

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