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中学校英語科教育実習ポートフォリオ・カンファレンスの改善に関する事例研究

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Academic year: 2021

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(1)Title. 中学校英語科教育実習ポートフォリオ・カンファレンスの改善に関する 事例研究. Author(s). 松崎, 邦守. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 61(2): 253-260. Issue Date. 2011-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2321. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第61巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.61,No.2. 平成23年2 月 February,2011. 中学校英語科教育実習ポートフォリオ・カンファレンスの 改善に関する事例研究. 松 崎 邦 守 北海道教育大学釧路校英語科教育学数寄(研究皐). ACaseStudyoftheRevisedPortfolioConferencing forJ.H.S.EnglishTeacherTraining MATSUZAKI Kunimori. DepartmentofEnglishEducation,KushiroCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 中学校英語科教育実習において,反省的教師養成の観点から,授業に対する内省を深めることを目的とし て,松崎・北候(2007)のポートフォリオ・カンファレンスを改善した。その効果をPAC分析により検討 した結果,本研究で新たに導入した授業の振り返りシートを活用したカンファレンスが,実習生に実演授業 を内省させ,実習生自身が問題と向き合い,改善策を自ら考えていく上で効果があったことが示唆された。. 1.研究の背景 反省的実践家(Sch6n,1983)としての反省的教師の育成のためには,教師が主体的に自らの授業実践を 振り返ると共に,改善への手立てを考案し,実際に改善を試みるなどの一連の内省活動が必要である(八田,. 2000;佐藤・秋田,2001)。そのような内省活動を促進するためのツールの一つとしてティーチング・ポー トフォリオづくりが推奨されている(Grant&Huebner,1998;Klenowski,2002)。 ところで,内省活動は,将来的に反省的教師として成長が期待される教育実習生にとっても同様に重要で ある。そこから,大学の教育実習担当教員によって,教育実習生を対象としたティーチング・ポートフォリ オ(教育実習ポートフォリオ)が設計され,主に,実習終了後に実習を総括することを目的として適用がな されている。. そのような教育実習ポートフォリオに関して,貫井ほか(2002)は,中学校理科教育実習において,同ポー トフォリオを適用している。そして,実習終了後,大学での事後指導として行われたポートフォリオ・カン ファレンスにおける話し合いを分析した結果,実習佼の指導教員が実習中のポートフォリオの作成に直接関 与し,ポートフォリオを基にした指導を行うことの必要性を指摘している。 以上を踏まえ,松崎・北棟(2007)では,まず,教育実習ポートフォリオの設計を教育実習実施中学校の. 253.

(3) 桧 崎 邦 守. 指導教員が行っている。そして,教育実習が実際に進行している「事中」においてポートフォリオの活用を 行っている。具体的には,実習生が,実習中に学習した知識や授業実践などの体験的学びをタイムリーに収 集し,そしてそれを基に内省することで自己の実践との対話をし,さらに指導教員と話し合う中で改善への 手立てを具体化し,最終的に実践することができるように展開している。その結果,実習生が,実習過程に おいて実演した自分の授業を自発的に深く内省するとともに意欲的に授業改善を試み,また教職への自信を 持てるようになったことを報告している。さらに,その要因の一つとして,指導教員と実習生との協同の場 としてのカンファレンスが重要であったことを示唆している。しかしながら,同研究におけるカンファレン スは3週間の実習で3回の実施と回数が少ないこと,あるいは,カンファレンスでの振り返りの題材や方法 が明確になっていないなど,改善の余地が考えられる。. 2.研究の目的 本研究の目的は,内省を重視した教員養成の観点から,松崎・北棟(2007)のポートフォリオ・カンファ レンスを改善し,実践の上,その効果を検討することである。. 3.研究の方法 3.1対象者. 本研究の対象者は,私立大学外国語学部中国語学科4年生の教育実習生(以下,実習生)1名であった。 同実習生は,中学校英語科教育実習に必要な単位を全て修得していたが,英語専攻ではないことから,英語 の運用能力に関する不安を抱えていることが,本教育実習(以下,本実習)の事前打ち合せでわかった。ま た,ポートフォリオに関しては,その名前を聞いたことがある程度であり,作成の経験は全くなかった。 3.2 教育実習の概要. 本研究における教育実習は,平成19年6月に実施された。また,一般的な公立中学校において教員免許状 取得のために通常(本究実施当時)行われている3週間の英語科教育実習であった。本実習生を担当した指 導教員(以下,指導教員)は,1学年の学級担任であり,また,1学年英語科の担当であった。そこから, 実習生は,指導教員が担任をする1年A組(仮称)に配属され,英語科の授業も同教員が担当する1年生の 授業に関与した。具体的な実習内容であるが,第1週目は主に指導教員の英語科の授業を観察し,第2週目 からは指導教員の指示のもと部分的に指導に参加した。さらに,第3週目からは指導教員の監督のもと単独 で実演授業を行った(計12コマ)。加えて,実習の最終日には精錬授業と称する研究授業を実施した。 3.3 本研究のポートフォリオ (1)本ポートフォリオの定義および適用方法. 桧崎・北棟(2007)を用い,「教育実習ポートフォリオとは,明確なガイドラインに沿って実習の成果を 収集し,その成果に基づき内省や選択,コミュニケーションおよび形成的評価を行いながら,反省的教師と しての成長を促し,教職への意識を高めるための目的付き実習ファイルである」と定義した。また,ポート フォリオ作成方法やその過程での主な活動(ガイドラインの事前明示,カンファレンスの実施など)に関し ては,概ね於崎・北棟(2007)を基に適用した。ただし,同研究で指摘されている課題解決を図るため,以 下の(2)で述べる修正をした。 (2)本研究ポートフォリオの主な修正点. 桧崎・北棟(2007)では,効果的なポートフォリオ実践のためには,ポートフォリオ作成のためのガイド. 254.

(4) 中学校英語科教育実習ポートフォリオ・カンファレンスの改善に関する事例研究. ラインに対する実習生の理解が深まるように,作成過程での支援やポートフォリオの見本の碇示が必要であ ると指摘されている。そのことを踏まえ,まず,実習生のポートフォリオに対する理解をより深めることを 目的に,桧崎・北棟(2007)では文書化したガイドラインを事前(実習打ち合わせ時)に明示・説明しただ けであったが,本研究ではそのことに加えて,ポートフォリオの作成過程でも,適宜,ガイドラインの内容 確認やポートフォリオに関する説明を実施した。また,本実習生と同じ大学で英語科教育法を履修した先輩 実習生が桧崎・北棟(2007)で作成したポートフォリオの実物を,同先輩実習生の同意を事前に得た上で, 実習期間中に,本実習生に貸し出して参考にさせた。 次に,桧崎・北棟(2007)では,ポートフォリオ・カンファレンス(以下,カンファレンス)が実習生と 指導教員との協同の場として,実習生の成長に重要な役割を果たしていたことが指摘されている。そこから,. 桧崎・北候(2007)では週1回60分程度,計3回のカンファレンスを実施していたものを,本研究では,授 業観察や実演授業への内省をさらに深めること目的に,原則的に,毎日60分程度実施した。具体的には,ま ず,実習生は1日の実習を振り返りながら,本ポートフォリオのエントリー(ポートフォリオに収集する学 びの証拠物)の一つである大学から指定されている教育実習ノートを事前に記述した。加えて,本研究では,. 実習生は,同じくエントリーの一つである「授業観察や実演授業について書式(授業の振り返りシート)」 に基づいてコメントや振り返りを予め記述した。ねらいは,一日の実習を内省し,自分が努力したことや学 んだことを自己評価するとともに,疑問に思ったこと,因っていることや今後の改善に必要なことなどをま とめておくことであった。なお,第1週目に実施した授業観察に関する同シート(A4版1枚)の主な記述 項目は,「1.学級・期日・時間 2.本時の目標 3.支援の過程(実際の学習活動の流れやメモを書くスペー スを設けたもの) 4.疑問に思ったこと」であった。同書式は,定型式であり,その日に観察した授業の うち一つが選択され記述された。特に,「4.疑問に思ったこと」の記述が重要視された。そのため,カンファ. レンスでは,指導教員の指導実践と実習生が大学の授業などで学んだ教育方法との禿離について話し合いが なされることが多く見られた。実習生の疑問などに対しては,なぜそのような指導をしたのかについて,生 徒の実態や理論的根拠などを基に指導教員からていねいな説明がなされた。次に,第2週目の部分的参加の 実習授業に関しては,この授業の中で「1.努力したこと・改善しようと思ったことは? 2.自分なりに努 力できたこと・改善できたことは? 3.少し不十分だなあと思うことは?」の3項目(定型式A4版1枚) が,さらに加えられた。同書式では,「努力できたこと・改善できたこと」を中心に振り返りが記述された。. カンファレンスでは,それを基に,実習生が自分の思い描いたように学習活動が展開しなかったことで,自 信をなくしてしまわないよう実践の結果だけでなく,指導教員と共に実践の意図やねらいが再確認され,さ らに改善のための手立てを中心に話し合いがなされた。第3週目の実演授業に関しては,前日に同授業の指 導案(略案)が提出されるため第1週目のシートは使用されなかった。ただし,第2週目のシートに加えて, 実習授業において実際に生起した具体的場面に基づき,指導教員が実習生に気づいて欲しいことや考えて欲 しいことなどを具体的に発間した形式のシートが用いられた。なお,同シートの項目内容は,実際の授業場 面に即していることから非定型式であった。具体的な項目内容例を挙げると,表1のとおり,「今日も大き な改善が見られました」など,まず,良くなった点を確認させる項目があった。さらに,「改善のために考 えて欲しいこと」についても,できるようになった点を具体的に指摘した後,さらに改善していくためには という観点から手立てを自ら考えていくよう構成された。続いて,実際のカンファレンスでは,実習生が記 述内容を発表し,指導教員は,それまでのエントリーを基に実習生の良くなってきたことを具体的に示しな がら,その日の実演授業における実践について積極的に意味づけをし,前向きなコメントをした。さらに課 題について,両者で協議し,次への手立てを具体化した。カンファレンス終了後,実習生は,同シートに書 いたメモを基に次の日の授業の教材研究・準備をした。. 255.

(5) 桧 崎 邦 守 表1 実習第3過日の「授業の振り返りシート」の例 授業の振り返りシート【6/13(水)3校時(A組)】 ◎今日も大きな改善が見られました。. Very good!!. ①”Today’sPoint”の表示を,くり返し使えるようにマグネット付きのカード型にしたことは良いアイディア だと思いました。 ②QandAでは,生徒にヒントを与えるために,前時で使用したフラッシュカードを再活用できたことは goodでした。. ◇改善のために考えて欲しいこと ①一つひとつの活動の前に,やり方や注意事項の確認を人れられるようになりました。また,めあて(評価事項) も提示できることが多くなってきました。その結果,活動後に生徒をほめることも多くなりました。改善し てきていると思います。さらに改善するために,自分のほめ方を振り返ってみることが必要だと思います。 〈註:各発間に対する回答欄は省略;以下同じ〉. a今日はどんな場面で生徒をほめていましたか? b どのようにほめていましたか?. cそのことは次へのやる気につながっていたと思いますか? d何か改善すべきことは考えられませんか? ②”Short talk”の活動では,生徒とのinteractionができてきました。以前に比べ改善したと思います。 機械的なやりとりだけでなく,少しコミュニケーションらしくなってきました。生徒とA先生(実習生のイ反 名;以下同じ)との情報のexchangeも見られるようになり,先生の驚きや関心,さらに興味なども浮き出 るようになりました。そのような良い状況になったときに少し気をつけなければなないことが今日の活動に は見られました。 a どのようなことだと思いますか?. bそれにどのように対処していったら良いと思いますか? ③”review”の場面で,3種類の音読活動を行いました。いずれも改善されてきていると思います。さらに改 善するためには, a”Look up”の指示の出し方をどのようにすればよいと思いますか? b molereadingのとき,Clappingを入れていましたが,良いアイディアだと思いました。何をねらいま したか?,今後もclappingを入れ続けますか?. ④「Lesson3の且を読めるようになる」というねらいのもと,様々な音読練習を組み入れていました。 良かったと思います。活動の組み合わせや順番もおおむね良かったと思います。ただ,25分間は長すぎると 思いました。まず,a何を bどのような効果をねらって cどの位(時間)やったのか書き出してみましょ う。そして,d次への改善点や方法を明確にしましょう。 (彰新出単語の説明のとき,yOuの複数形のことについて特に取り上げて説明していました。良かったと思い ます。その他に,本時でこそ特に取り上げて説明した方が良かったと思うことはありませんか? ⑥新出単語の発音練習を,全と個のバランスを取りながら練習していたことは良かったと思います。 列で指名し発音練習させるときの留意点はどのようなことだと思いますか? ⑦音読の前に,内容確認をしていました。”Whereishe?”の発間に関してですが,どのように改善すべきだ と思いますか?. A先生(仮名)の授業を見ていると,自分の授業の改善点も見えてきます。私にとっても大変勉強になってい ます。また,明日からもお互い頑張っていきましょう!†. 256.

(6) 中学校英語科教育実習ポートフォリオ・カンファレンスの改善に関する事例研究. 3.4 評価の方法と手続き. 本実習終了1週間後に,内藤(2002)および桧崎・北棟(2007)を基に,本研究筆者は本実習生と面接し, PersonalAttitude Construct(個人別態度構造)分析(以下,PAC分析)を用いて本ポートフォリオの 効果を評価した。同分析は自由連想を利用してイメージの個人内構造を分析する技法であり,一つの事例で あっても要因を発見する可能性を備えている(内藤2002)。また,同分析は,2日間に分けて実施した。具 体的には,1日目は,(1)倫理的配慮の説明,(2)連想刺激および自由連想の記述と想起順位の記入,(3)自由連 想項目の重要順位の測定,(4)自由連想項目間の類似度距離行列の作成を面接時に行い,その後,得られたデー タを用いて,(5)距離行列によるクラスター分析を実施した。また,2日目は,同クラスター分析の結果を基に, 面接形式による実習生自身の報告に基づき,(6)各クラスターの個別的解釈,(7)クラスター全体の総合的解釈. を行った。なお,同面接内容については,実習生の了解を得てIC録音し,発話内容分析に活用した。 3.5 本研究の限界 本研究では,研究遂行上,本研究筆者は本実習の指導教員を兼ねている。そこから,「3.4.(1)倫理的配慮. の説明」の際に,PAC分析に必須のプライバシーの保護の最優先,申し出によりいつでも面接を中止でき ること,答えたくないことについては答えなくても良いことの宣言に加えて,特に,答えによって実習に関 する成績などに全く影響しないことを事前に明言・約束し,面接を実施したが,得られた結果に対する過度 の主張は控えるべきであると考えられる。. 4.研究の結果と考察 4.1本ポートフォリオに対する自由連想項目についての重要順位測定の結果 3.4.(2)の方法により,本ポートフォリオに関して実習生が自由に記述した連想項目数は,表2のとおり13 であった。次に,同自由連想項目について,3.4.(3)の方法により重要順位を測定した(表2,図1参照)。. その結果から,実習生にとっての重要順位が全項目のおよそ1/4にあたる上位3位までを取り上げると(内 藤2002;桧崎・北棟2007),「①教育実習という経験が形に残った」,「②内省の意識・意図を学ぶことができ. た」,「③先生からの授業への質問や疑問の振り返りシートをもらったことでそれまでの無意識の部分まで気 を向けようとすることができた」,「④振り返りシートをもらえたお陰で反省点が増え,改善意欲が強まった」. であった。以上から,「本ポートフォリオによって,経験したことが形に残り,それを基に内省することの 意義を学ぶことができた。. また,振り返りシートを用いた指導教員とのカンファレンスにより,授業での無. 意識の部分にも意識を向けられ,授業改善への意欲が強くなった」ことが推察される。同結果は,教育実習 ポートフォリオが,実習中の学びの収集や内省を深めるツールとして効果があるとのKlenowski(2002) などの指摘を支持する結果であると考えられる。加えて,本研究で新たに実施した「授業の振り返りシート」 が,指導教員の積極的な関わりを生起し(貫井ほか2002),実習生に実習授業を内省させ改善策を考えさせ る(八田,2000)上で有効であったことが示唆される。 4.2 各クラスターの個別的解釈 次に,3.4.(5)の方法により得られた3つのクラスターに対して,面接での実習生からの報告に基づき,そ. れぞれのクラスター(以下,C)に対して個別的解釈を行った(3.4.(6))。図1から,Cl(クラスター1) は,「①教育実習という経験が形に残った」∼「⑫自分の性格がもろに表れていた」の4項目であった。Cl に対する実習生の解釈として,「カンファレンスが大きかった」や「先生からの細かい指摘」というイメージ が浮かび,「ポートフォリオの効果」,や「反省の大切さ」というまとまりが示された。ここから,Clは「カ. ンファレンスによる内省の深化」と解釈することができよう。次に,C2は,「④反省シートをもらえたおか. 257.

(7) 桧 崎 邦 守. げで反省点が増え,改善意欲が強まった」∼「⑧考えさせられる分アイディアを考えようとする意識が強まっ. た」の4項目であった。C2に対する実習生の解釈は,「授業を良くしていくこと」でまとまっていて,「振 り返りシートが大きな存在」というイメージが出された。C2は,「振り返りシートによる授業改善への意欲」. と解釈されよう。さらに,C3は,「⑤毎時間の支援を書くことでイメージや練習がしやすかった」∼「⑬頭 に思い浮かべるだけでは足りないと自覚できた」の5項目であった。C3に対する実習生の解釈は,「便利」 や「ないと身動きがとれない」というイメージが浮かび,. 「授業に活かせる」でまとまっていることが示さ. れた。そこからC3は,「ポートフォリオの授業への利便性」と解釈できよう。以上から,まず,本研究で実 施した授業への振り返りシートを活用したカンファレンスによって,実習生の授業への振り返りが深まり, そして改善への意欲が向上したことが推察される。このことは,4.1の結果を支持する結果と考えられる。 さらに,本ポー1、フォリオが,実習生にとって実習を進める上で必要なツールとなっていたことが分かった。 4.3 クラスター全体の総合的解釈 最後に,4.1および4.2の結果を踏まえて,クラスター全体の総合的解釈を実習生に述べてもらった(3.4. (7))。その結果,概ね4.1および4.2で得られた結果を支持する内容が見られた。例えば,「カンファレンスが. 大事,成長させてくれた」,や「振り返りシートの存在が大きい。そのおかげでポートフォリオも自分のも のになった」などであった。また,次のような注目すべき報告もあった。「最後の一週間が一番きつくて,. 深く,一番考えた時間だった。最初のカンファレンスの頃は,イメージできなかったことが多かった。やっ ぱり,先生が客観的に言ってくれることが大きかった。まるでビデオを見ているかのようだった。それまで にも言ってくれたことが意識され,先生の言っていた細かい部分も理解できるようになった。例えば,私一 人が話しすぎていたことや,もっとinteractionが必要であったこと,情報の交換,Classroom exchange ができていないことなどを気づけた。その結果,クラス毎の特徴を考えるようになったり,次の授業への改 善ができた。(1C録音記録から略記)」。ここから,まず,カンファレンスでの振り返りシートの活用を継続 して実施することにより,実習の第3週目には,八田(2000)が教育実習のねらいとして指摘している「経 験不足ゆえに体験する当たり前の失敗の意味や原因を深く考えさせ,その解決の手がかりをつかむために, 指導教員の助言を受けながら自分の実践を内省し改善策を考え試行錯誤する」ということが生起していたこ とが示唆される。また,「先生が客観的に言ってくれることが大きかった。まるでビデオを見ているかのよ うだった」との報告から,振り返りシートの記述やそれを基にしたカンファレンスでの指導教員の発間など が,実習生の授業の鏡となり,その鏡を通して実習生自身が問題と向き合い,改善策を自分で発見していく (佐藤・秋田2001)上で効果があったことが推察される。. 5.まとめと今後の課題 中学校英語科教育実習において,反省的教師の育成の観点から内省の効果をより高めることを目的として,. 桧崎・北棟(2007)のカンファレンスを改善し,効果をPAC分析により検討した。その結果,本研究で新 たにポートフォリオのエントリーとして組み入れた授業の振り返りシートを活用しながら,3週間継続して カンファレンスを実施したことにより,実習生の実演授業に対する指導教員の積極的な関わりを生起し,ま た,実習生に実演授業を内省させ,実習生自身が問題と向き合い,改善策を自分で考えていく上で有効であっ. たことが示唆された。今後の課題として,本研究は参加者1名の事例研究であり,対象者を増やし量的分析 により本ポートフォリオの効果を検討することが必要であると考えられる。. 258.

(8) 中学校英語科教育実習ポートフォリオ・カンファレンスの改善に関する事例研究 表2 本ポートフォリオに対する自由連想項目の重要順位測定の結果 重要順. 容. 内. 想起順. ①. 教育実習という経験が形に残った。. 13. ②. 内省の意識・意図を学ぶことができた。. 12. ③. 先生からの授業への質問や疑問の反省シートをもらったことでそれまでの無意識の部分. 8. まで気を向けようとすることができた。 ④. 反省シートをもらえたおかげで反省点が増え,改善意欲が強まった。. 9. ⑤. 毎時間の支援案を書くことでイメージや練習がしやすかった。. 3. ⑥. 資料を残すことによって前はこれをしたのになとか思い返すことができた。. 6. ⑦. 細かく支援案を書くことで展開が少し変動しても対応を見直しやすかった。. 4. ⑧. 考えさせられる分アイディアを考えようとする意識が強まった。. ⑨. 支援案をきちんと書くことによって授業後の反省や見直すことがしやすかった。. 7. ⑲. 毎日放課後の反省によって見直すことがしやすかった。. 5. ⑪. 支援案など,書き留めるくせをつけることができた。. ⑫. 自分の性格が,もろに表れていた。. ⑬. 頭に思い浮かべるだけでは足りないと自覚できた。. 距 0 .01. 離 .02 .03. 朋. .05. 10 1. .06 .07. 2. .08. .09. .10. .11 .12. .13. ∼. .30. ①. 連 想 項. ③. ※右の○抜き数字は重要順位を示す. ⑫ ④. 目. ② ⑨ ⑩ ⑧ ⑤ ⑪ ⑥ ⑦. 図1自由連想項目に関するデンドログラム. ⑬. 注:_. 線:クラスター1. 線:クラスター2. 線:クラスター3. 259.

(9) 桧 崎 邦 守. 引用文献. Grant,G.E.,&Huebner,T.A.(1998).Withportfolioinhand:Validatingthenewteacherprofessionalism.InN.Lyons (Ed.),Thepor拘Iioquestion:77tepou,erqゲseLf−directedlhquわ′,156−171.NY:TeachersCollegePress. 八田玄二.(2000).リフレクティブ・アプローチによる英語教師の養成.東京:金星堂.. KIcnowski,Ⅴ.(2002)Devel坤ingportfbliosjbrlearningandassessment:Processesandprinc妙Ies.RoutlcdgcFalmcr,Lon− don. 松崎邦守・北條礼子.(2007).教育実習ポートフォT)オの適用の効果に関する事例研究.日本教育⊥学会論文誌,31(Supple.), 157−160.. 内藤哲雄.(2002).PAC分析実施法入門[改訂版].京都:ナカニシヤ出版. 貫井正納・三浦香西・吉田雅巳.(2002).教育実習ポートフォリオ評価の試行.丁莫大学教育実践研究,9,197−208. 佐藤学・秋田喜代美(訳).(2001).専門家の知恵.東京:ゆみる出版.. Sch6n,D.(1983).Therq77ectivep771Ctitioner:HouJPrq7izssionalthinhinaction.NY:BasicBooks. (釧路校教授). ?60.

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