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親子の心身のふれあいの記憶から愛着関係を探る乳児保育--愛着の体験レポートより

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Academic year: 2021

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親子の心身のふれあいの記憶から愛着関係を探る

乳児保育 愛着の体験レポートより

柿田 

㟢子

A Study of Attachment based on Students

Memories of Physical

Contact with their Parents : Taken from Students

Reports

Sakiko KAKITA

 愛着はアタッチメントと呼ばれ,人間の子どもに生まれながらに備わっているもので はなく,親やそれに代わる祖父母や保育者などの身近で密接な大人により,日常的に繰 り返し行われる世話を通して子どもの中に形成される「心理的な絆」と定義されている。  乳児の欲求に対して如何に適切に応答的なケアーが出来るかどうかが重要で,大人の 対応が子どものアタッチメントの質を決定し,将来の対人関係の基礎が形成されると言 われる。  今,家庭のあり方が子どものアタッチメントの形成に大きな影響を及ぼしていること が,社会的にも多く取り上げられている。  学生個々の育ちの中での愛着体験をリポートし,人との関係性を明らかにし,愛着に ついての理解を深めることを試みた。 はじめに  本学の学生は,保育士あるいは幼稚園・小学校教諭の資格取得と子どもたちとの充実した 日々の実現を目指し,入学をした方が大多数かと思う。  保育士の資格を取得するために必要な科目の中で,「乳児保育」は「子どもの基礎的な心 身の発達を知る」ために,言い換えれば「人として生を受け,人が人となるために誰もがた どる過程を認識する」上で,非常に重要な必須科目である。  乳児保育は,誕生から 3 歳に至るまでの子どもの心身の育ちと,子どもへの養育者の関わ りについて,一年次に学習する。  現在使用しているテキスト「今求められる質の高い乳児保育の実践と子育て支援」には, 乳幼児を支える養育者に求められる最大の資質として,「子どもと一緒にいることが楽しい と感じられる性格,乳幼児の体と心の発達とその障害についての基本的な知識を有する,乳

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−    − 幼児が生活し発達していく物理的環境・人間的環境を適切なものにする技術を身につけてい る」の 3 点が挙げられている。  乳児保育の大切な観点は,体と心の発達は一体であり,融合される中で発達が可能である とも言われている。  今,人間としての基礎が培われる乳幼児の育ちが危ういこと,育児力の低下現象が問題視 されていること,幼少期の人との関係が将来にわたり大きな影響を及ぼすことが提言されて いること等について,学生と共に学習してきた。  身近な養育者との心と心の絆,相互の信頼感,愛着関係はどのように築かれるかをテキス トを基に学ぶ過程で,愛着について実感し理解を深めるために,学生自身の幼い頃の記憶を たどりレポートにしてみることにした。  具体的な事例と愛着の構築を関連付けて検証することを試みた。 Ⅰ レポートの内容 (1)愛着に関連すると思われる事柄を記憶をたどり各自レポートする 1 幼少期の記憶・体験を振り返る 2 保育園・幼稚園の頃の記憶・体験を振り返る 3 小学校以降の頃の記憶・体験を振り返る (2)最近見聞きしたこと・遭遇したことをレポートにする(親子連れを見て等)  通学時や外出時あるいはアルバイト等をしていた時に,出会った親子の姿から感じたこと, 疑問に思ったこと,自分の思い等を記述する。 Ⅱ 愛着に関する記憶・体験 平成 19 年分 愛着体験 幼少期 組 人数 項目数 両親・母 父 兄弟姉妹 祖父母 自分 その他 A 42 77 32 15 8 9 7 6 B 42 93 31 15 14 13 19 1 C 42 89 42 5 11 16 12 3 D 27 64 27 10 16 2 8 1 小計 153 323 132 45 49 40 46 11 組 両親・母 父 兄弟姉妹 祖父母 自分 その他 A 41% 19% 10% 12% 9% 8% B 33% 16% 15% 14% 20% 1% C 47% 7% 13% 18% 13% 3% D 42% 16% 25% 3% 12% 1%

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① 平成 19 年度は,両親もしくは母親との関わりは,全体の40 パーセントを示している。 愛着関係の最初の絆は,乳児に最も近い存在の養育者間に築かれるといえる。 ② 父親との関係性が薄いといわれるが,A~D組の平均は 15 パーセントで,休日や行事 の際に触れ合いがもたれている。 ③ 祖父母との関係は,同居ではなく時折訪れた時に甘えられる存在としての記述が多く あった。 両親が共働きのため,祖父母宅に預けられていたという例もある。 ④ 兄弟姉妹との関係では,弟や妹が生まれた時に,母親の愛情が自分から離れる不安を 持ったという記憶の記述があった。 姉兄の場合は一緒に遊んでもらったという記憶が多い。 ⑤ 自分の項目は一人っ子のためか玩具で遊んだ記憶,淋しい思いをした記憶,自分の性 格等が記述されていた。 ⑥ その他は近隣の方との関係や,愛玩していた玩具,好きだった事等の記述であった。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 50% 両親 ・母  父 兄弟 姉妹 祖父 母  自分 その 他 A B C D

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−    − 平成 19 年分 愛着体験 保育園・幼稚園 組 人数 項目数 先生 行事 両親 祖父母 友達他児 兄弟 習い事 自分 その他 A 42 58 20 20 3 7 2 4 2 B 42 71 26 4 11 3 8 4 8 7 C 42 74 22 6 21 2 7 5 5 6 D 27 43 15 4 8 1 10 5 小計 153 246 83 10 56 8 30 12 27 20 組 先生 行事 両親 祖父母 友達他児 兄弟 習い事 自分 その他 A 34% 34% 5% 12% 3% 7% 3% B 37% 6% 15% 4% 11% 6% 11% 10% C 30% 8% 28% 3% 9% 7% 7% 8% D 35% 9% 19% 1% 23% 12% ① 両親もしくは母親との関係からの記憶と同等に,保育園・幼稚園で過ごした時間の記憶 の記述が多くなっている。   しかし,特に母親から離れる不安を抱いていたという記述が多く,関係性の深さを示 していた。 ② 友達と遊ぶ楽しさや,気の合う仲良しの存在も現れ,身近な家族以外との親しみを交 換する機会が,心の成長に影響し始めている。 ③ 祖父母との関係は,家族以外と触れ合う経験を増してきたことと,保育園・幼稚園に通 うことから,会う機会が少なくなっていく様である。 ④ 保育園・幼稚園では担当の保育士や先生の対応による影響が大きい。憧れの存在であっ たり,母親に代わる優しい笑顔や,優しい言葉に安心感を抱いていたようである。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40%  先  生 行 事両  親 祖父 母 友達 他児  兄弟 習い 事 自 分の 他 A B C D

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平成 19 年分 愛着体験 小学校以降 組 人数 項目数 先生 勉強行事 友達部活 親 祖父母 兄弟 習い事 自分 その他 A 42 52 16 5 3 11 3 1 10 3 B 42 57 14 6 12 13 1 2 5 4 C 42 66 10 4 15 22 1 3 5 4 2 D 27 27 5 2 7 6 1 1 2 2 小計 153 202 45 17 37 52 5 7 6 21 11 組 先生 勉強行事 友達部活 親 祖父母 兄弟 習い事 自分 その他 A 31% 10% 6% 21% 6% 1% 19% 6% B 25% 11% 21% 23% 1% 3% 9% 7% C 15% 6% 23% 23% 1% 4% 8% 6% 3% D 19% 7% 26% 22% 1% 1% 7% 7% ① 自我の確立と共に親との関係から,学校の先生,友達・部活動を通してのより密接な関 係が新たに広がり,信頼関係が築かれはじめている。 ② 幼少期の父母や家族との関係から築かれる安心した信頼関係,愛着とは異質な絆が築 かれたとの記述が多い。生涯自分が持ち続けられる人と人との絆は,何ものにも代え がたいと思われる。 ③ 自分についての記述では,家族特に母親との葛藤をあげ,精神的な自律への姿が感じ られる。   しかし根底には家族との安定した絆を求めているようである。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%  先 生 勉強 行事  友達部活  親 祖父 母 兄弟 習い 事  自 分 その 他 A B C D

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−   0 − 平成 20 年分 愛着体験 幼少期 組 人数 項目数 両親・母 父 兄弟姉妹 祖父母 自分 その他 A 40 107 28 5 27 18 22 7 B 41 105 31 11 19 15 10 19 C 41 94 36 5 16 13 12 12 D 29 77 31 7 12 9 12 6 小計 151 383 126 28 74 55 56 44 組 両親・母 父 兄弟姉妹 祖父母 自分 その他 A 26% 5% 25% 17% 21% 7% B 30% 10% 18% 14% 10% 18% C 38% 5% 17% 14% 13% 13% D 40% 9% 16% 12% 16% 8% ① 平成 20 年度は,19 年度と比較するとやや減少するが,両親・母親との関わりの記述は 全体の 37 パーセントとなっている。濃密なふれあいの記述がされている。 ② 父親との関わりの記述はやや減少しているが,父親にしか出来ない体を使った遊びで の触れ合いが記憶に残っているようである。   反面父親が非常に怖い存在であったという記述もあり,気になるところであった。 ③ 両親が共働きのため,祖父母と過ごしたという記述は,20 年の方が多い。   祖父母との関わりでは,幸せだったという表現が,無償の愛情を感じさせられる。   又,祖父母と共に近隣の人との関わりの記述がされ,世代による触れ合いの違いがある。 ④ 兄弟姉妹との関係では,20 年度の方が記述が多い。兄を慕う記憶が印象深い。 ⑤ その他の件数が19年度より多いが,全体の記述件数が20年度の方が多いことによる。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 両親 ・母  父 兄弟 姉妹 祖父 母  自 分 その 他 A B C D

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平成 20 年分 愛着体験 保育園・幼稚園 組 人数 項目数 先生 行事 両親 祖父母 友達他児 兄弟 習い事 自分 その他 A 40 116 35 7 8 5 28 5 3 7 18 B 41 93 33 16 6 1 17 3 2 15 C 41 92 40 5 10 2 17 5 2 4 7 D 29 70 23 4 5 2 17 2 6 11 小計 151 371 131 32 29 10 79 13 7 19 51 組 先生 行事 両親 祖父母 友達他児 兄弟 習い事 自分 その他 A 30% 6% 7% 4% 24% 4% 2% 6% 16% B 35% 17% 6% 1% 18% 3% 2% 16% C 43% 5% 11% 2% 18% 5% 2% 4% 8% D 33% 6% 7% 3% 24% 3% 8% 15% ① 保育園の保育士,幼稚園の先生との触れ合い・関わりからの記述が,19年よりもかな り多い。 ② 両親との関係の記述は,かなり 19 年度より少ないのが顕著である。   傾向的にではあるが,兄弟関係では長子が 20 年度は多いようで,記憶の記述にも反映 されているのではないかと,思われる。   しかし家族への信頼や安心感を求め,心の基盤・拠り所としている。 ③ 行事は保育園・幼稚園での催しの楽しい記憶が多い。 ④ 保育園や幼稚園での友達や,近隣の自分より年長の子どもとの遊びの思い出が多く記 述されている。自分と違う他の存在を認め,仲間意識も育ってきているようである。 ⑤ 19 年度と同じく,保育園や幼稚園の先生との関係はかなり深く,絶大の信頼や憧れを 寄せる記述が多かった。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 50%  先  生 行  事  両  親 祖父母 友達他児  兄弟 習い 事 自  分 その他 A B C D

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−    − 平成 20 年分 愛着体験 小学校以降 組 人数 項目数 先生 勉強行事 友達部活 親 祖父母 兄弟 習い事 自分 その他 A 40 92 16 12 27 10 1 8 2 5 11 B 41 85 20 16 29 6 3 3 2 6 C 41 97 20 13 31 14 4 1 6 8 D 29 67 9 13 13 13 1 1 3 6 8 小計 151 341 65 54 100 43 5 13 9 19 33 組 先生 勉強行事 友達部活 親 祖父母 兄弟 習い事 自分 その他 A 17% 13% 20% 11% 1% 9% 2% 5% 12% B 24% 19% 34% 7% 4% 4% 2% 7% C 21% 13% 32% 14% 4% 1% 6% 7% D 13% 19% 19% 19% 1% 1% 4% 9% 12% ① 19 年度と同じく,先生への信頼や,友達関係からの信頼と言える絆を心の糧として生 涯大切にしたいとの記述がされており,印象深い。 ② 反面先生への信頼が揺らぐ生徒への対応を記した例もあり,心を導く者としての姿勢 のあり方を反省させられる。 ③ 勉強や行事,部活動は,それぞれの心身の成長にかけがえのない経験となっているよ うである。 ④ 習い事・自分の項目では,自分の意思で選択し,継続し,満足感を得るという精神性 を求めた記述が印象的であった。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 先生 勉強行事友達部活 親 祖父母 兄弟 習い事 自分 その他 A B C D

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Ⅲ 具体例 (1)愛着に関連すると思われる事柄 1 幼少期の記憶・体験の具体例 ① 母のお腹の上に乗って寝た。べったりとくっついて寝るのが好きだった。 ② 人見知りが激しく母以外の人に抱かれると泣いたと聞いた。 ③ 母親の姿が見えないと必死で探した。手を伸ばすと抱っこをしてくれた。 ④ お母さんの匂いがする枕カバーが好きだった。 ⑤ 泣いたり悲しいことがあってもお母さんの側にいると安心出来た。 ⑥ 生まれたばかりの頃の育児日記を読むと,たくさん愛情を注いでくれたんだと思う。 ⑦ 親がたくさん話しかけてくれた。毎晩母が本を読んでくれたり,童謡を歌ってくれた。 ⑧ 悪いことをした内容は覚えていないが,ビンタをされた。兄弟喧嘩で叱られた。 ⑨ 母が忙しく,遊んでもらった記憶がない。 ⑩ 父に頬をすりすりされた。 ⑪ お父さんは仕事から帰ると,ぐるぐるや肩車をしてくれた。ざんぶらこをしてくれた。 ⑫ お父さんが大好きでたまに出かける時は嬉しかった。 ⑬ 初孫で温かい笑顔をくれる大人の中で育った。祖父母の家に行きたくて駄々をこねた。 ⑭ 祖父母と一緒にお風呂に入ったり遊んだり寝たり,嬉しく楽しく幸せだった。 ⑮ お父さんよりお爺ちゃんの方が好きだった。膝でいろいろな物を食べさせて貰った。 ⑯ 両親が共働きで祖母が母親代わりだった。祖母と出かけると良く挨拶をした。 ⑰ 兄が大好きでチューしてと追いかけた。 ⑱ 弟が生まれ母にくっつき離れなかった。兄弟で母の手の取り合いっこをした。 ⑲ 母親がいない時は姉が面倒を見てくれた。 ⑳ 名前をたくさん呼んでもらった。近所の人にたくさん可愛がってもらった。 2 保育園・幼稚園の頃の記憶・体験の具体例 ① 保育園の先生が大好きだった。誉められたり頭をなでなでされると嬉しくなった。 ② 優しくて一緒に遊んだり,泣いた時にずっと側にいてくれた先生を見て幼稚園教諭に なろうと思った。今でも集まりがあり,バラバラの生活をしている皆があえるのは素 晴らしいと思う。 ③ 雲梯で男の子にお腹を殴られた時,女の子のお腹は赤ちゃんを産むのに大切な所だか らパンチしちゃだめといってくれた。自分も先生になりたいと思った。 ④ おやつがトイレに捨ててあった時,犯人探しになり,先生のお気に入りの子だけが先 に外遊びに出られて,先生が嫌いになった。

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−    − ⑤ 楽しく過ごしていたが,ふとした瞬間に母がいないことを実感し,悲しくなった。 ⑥ 保育園に行く時お爺ちゃんと離れるのが嫌で泣いていた。 ⑦ 父がお弁当を作ってくれた。 ⑧ 借りてきた絵本を,母が必ず読んでくれた。 ⑨ 幼稚園に入園して慣れない時,兄の部屋でお昼を一緒に食べた。 ⑩ 自分の思い通りにいかないと,すぐに怒ったりすねたりしていた。 ⑪ 人と関わるのが好きで,皆と一緒に遊んだり話したりした。 ⑫ 何でもダメと言われ,自由にすることが出来なかった。イライラした。何故ダメかと思っ た。 ⑬ 赤ちゃんの頃からの仲良しと大喧嘩し,翌日仲直りしたが,友達は大切だと喧嘩した 夜に感じた。 ⑭ 人見知りが激しくなかなか友達が出来なかったが,話しかけてきてくれた子がいた。 3 小学校以降の頃の記憶 ・ 体験の具体例 ① 友達関係で悩んでいた時,どうしたと先生が一言声をかけてくれた。 ② 先生と仲良くなり,話したり相談したりされたり,信頼することが出来た。 ③ バスケの先生から厳しいながらも,きめ細かな指導を受け,深い心理的な絆があった と思う。根気強く人を励ます温かい目を覚えている。 ④ 部活引退の時,先生にどこに出しても恥ずかしくないと言われ,嬉しかった。 ⑤ 気を使ってした事が空回りし,先生に勘違いされて怒られてばかりで,世知辛かった。 ⑥ 小学校5・6年の時,影でいじめる問題教師がいて,何のために学校へ行くのか分ら なくなり,精神的にもまいった。 ⑦ 保健の先生が好きで休み時間によく行った。安心でき安らぎが欲しかった。 ⑧ 悩んでいる時,友達が話を聞いてくれたり励ましてくれ,友達の大切さを学んだ。 ⑨ 休んだ時に,友達が手紙を持ってきてくれ,心配してくれたことが嬉しかった。 ⑩ 高校の時,本当の親友という存在が出来,愛着の基本である信頼と絆が友達の間で築 けた。 ⑪ 母に会いたくて仮病をして,迎えに来てもらった。 ⑫ 鍵っ子で,「ただいま」と帰っても返事がなく淋しかった。自分の子には絶対させたく ないと思う。 ⑬ 親が過保護すぎ,早く帰らないとうるさく言われるのが嫌で,反抗し嘘もつくように なった自分が嫌だった。 ⑭ 家出して父母の気を引こうとした。

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⑮ 父に怒られた時,母が慰めてくれた。 ⑯ 中高時代は,アイデンテイテーを考え親とぶつかり,今はこれも愛着の一つと思える。 ⑰ 朝家を出る時,必ず玄関まで母が見送りに出てくれた。 ⑱ 高校で部活をし,朝早いのに3年間弁当を作ってくれた。母は素晴らしいと改めて尊 敬した。 ⑲ 登校中具合が悪い時,姉がおんぶをしてくれた。 ⑳ 地域の祭りに参加し,交流が深くなった。 (2)最近見聞きしたこと・遭遇したことの事例(親子連れを見て等) ① 電車で,赤ちゃんがなかなか泣きやまず,もっと意思を汲み取ってあげればと思った。 ② 電車で,ベビーカーをドアーの所に置き,離れた席でゲームに夢中な母親は,子ども が振り返っても気づかない。近くに行くか,膝に座らせればと思った。 ③ 電車で隣り合わせ,数ヶ月の赤ちゃんに母親がまめに話しかけており,笑っていた。 たくさん話しかけることが大切だし,親子関係が形成されていると思った。 ④ 電車の中で,背中に子どもをおんぶし,膝にもう一人の子が寝ており,母親がすごく 疲れた顔をしていて可哀そうに思った。 ⑤ 子どもが悪いことをして親が叩いたが,人がたくさんいる中では如何かと思う。せっ かく遊びに来ているのに,楽しくない一日になってしまうと思う。 ⑤ 若い母親が 3 歳位の女児に「うざいんだよ,馬鹿」等汚らしい言葉を使っていた。子 どもより親の方が子どもなのではと,目を疑った。母親・父親として見直す点がいっぱ いあると思う。言葉使い・公共のマナー・躾等。 ⑥ 3 歳位の女児と父親が歩いていおり,駆け出して転んだ時,優しく危ないことを教えて いた。きちんと子どもの世話をしており,微笑ましく心が和む光景だった。 ⑦ ご飯を食べているのに全く話さない家族。小さい子どもがいるのにタバコを吸ってい る親や,怒鳴ったり怒りすぎる親が多いと思う。 ⑧ 食べ物のお店で,母親が子どもに残すなと怒鳴り,立たせ,まるで動物の調教のよう であった。 ⑨ 小さい子を居酒屋に,夜遅い時間に連れて来る親が結構いる。   夜中の 12 時頃に,子どもを連れてマクドナルドでご飯は,ありえないと思う。   ドラックストアーに,夜遅いのに小さい子が結構来て,びっくりした。 ⑩ バイト先で親子は似るものだと思った。感じが悪い親は子どももあまり可愛くない。 ⑪ 千葉駅で,子どもは人ごみの中を一生懸命歩いているのに,母親だけスタスタ歩いて いってしまい,子どもが遅いのを怒っていた。手をつないであげれば良いのにと思った。

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−    − 子どもが可哀そうだった。 ⑫ 今の子は控えめな子が多く,親の目を気にしているからだと思う。のびのびと生活さ せることが大事だと思う。 ⑬ 妊娠している時より出産してからの子育てのほうが辛いと言う人がいると聞いた。子 育ては毎日の繰り返しと思っているからだと思う。少しの変化を分かるようにすれば, 毎日が楽しいと思う。 ⑭ コンビニで兄弟二人がじゃれあい,注意しても聞かずに遊び続け,母親は強く叩いた。 痛そうだったが,子どもに注意しない親が増えている今,何かいいなと思った。 ⑮ 最近共働きの親が増え,子どもの食生活がコンビニ弁当や,ファーストフードが多く なっている。家族の団欒の時間が減り,コミニュケーションもうまく取れないと思う。 ⑯ 従姉妹が遊びに来て,母親は兄弟に平等に接していた。何気なく気を使っている感じ が良かった。 ⑰ 叔母が保育士で話を聞こうとしたが,自分の理想とは違った。 ⑱ 楽器は努力をすればとても心地よい音で応えてくれる。小 4 から大事にしているギター は宝物。たくさん努力すれば,結果は出ることを教えてくれた。 ⑲ 友達の子どもに会いに行った時,自分の子どもが世界一と幸せそうだった。羨ましかっ た。 ⑳ 虐待や,親が子どもを殺したり,子どもが親を殺したり等のニュースがあふれている。 この学校に来て勉強するようになってから,特に悲しく感じるようになった。   最近つくづく親に対して感謝の気持ちを思うようになった。当たり前と思っていた事 が,実はこんなにもしてもらっていると思う。恩を忘れてはいけないと思いました。 Ⅳ 考察 (1)レポートの記述から  レポートの書き始めは「何も思い出せない」「書くことがない」等々,学生同士賑やかな 声が飛び交い,戸惑ったり考え込む姿があったが,書き込む量の差異はあるものの,自分の 幼い頃に思いを馳せることは出来たようであった。  両親や祖父母や兄弟等から自分の事について収集した話し,母親の育児日記や自分の母子 手帳を手にしたりしての感想,自身を振り返ってみての思い等々を織り交ぜたレポート内容 であった。幸せ感に満ちた思い出ばかりではなく,中には体験した当時は,悲しく重く納得 のいかない気持ちを抱いていたという記述もあったが,今の自分はどうであるかに辿り着く ことで,鬱積した気持ちを昇華解消の方向に向けて行けるのではないかと思われる。  愛着は,一番身近な養育者との相互の想いあい・心の伝え合いにより築かれていくという

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乳児保育での学びが,それぞれの学生のいくつかの思い返しに重ねられた事と思われる。又, 人は常に進歩し変わっていける存在であることも忘れないでいたい。  最近親子連れに会った中で,特に若い母親の子どもへの暴言が目立つこと,扱いが乱暴で, 親自身の苛立ちを直接浴びせられる子どもが可哀そうだという記述が多くあった。又,夜中 のコンビに通い等は子どもの生活時間ではない。食生活も乱れ家族団欒も持てないのではな いかとの懸念や心配も記述されていた。  世相を素直な目で見,このままでは子どもの育ちがどうなるか,本来の愛着関係が築かれ ないのではないかという問題点も出されていた。 (2)今後の乳児保育の学びに繋げる  信頼関係・心の絆・愛着関係の構築については,平成21 年度に施行される改訂保育所保 育指針にも詳細に掲載されている。テキストと共に活用し,実際面での保育の学びに関連さ せ学習を深めていきたい。 Ⅴ まとめ  人間関係の希薄化・心の育ちのゆがみ・人との関係が結び難い等々が,子育ての問題と難 しさとして取り上げられている昨今,各学生の乳児保育からの学び「愛着についての一枚の レポート」が,将来,子どもと携わるであろう者としての「心の糧」となり,又,更に愛着 についての学びを深める機会になることを期待したい。  子どもと親・子どもと家族・そして子どもと周りの人との相互の関わりにより築かれる心 の絆・愛着が,如何に一つの生命が人として育つために重要であるか,改めてこのレポート から担当者自身も学ぶ機会となった。 参考文献  今求められる質の高い 乳児保育の実践と子育て支援  榊原洋一・今井和子編著 ミネルヴァ書房 2006 年

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