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現行の『カトリック聖歌集』が受け継いだ明治期の聖歌

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Academic year: 2021

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(1)現行 の 『カ トリ ック聖 歌 集 』 が 受 け継 い だ明 治期 の聖 歌                                    加 藤 い つ み. I.は じめ に   筆 者 は 、 明 治 期 の カ ト リ ック信 者 が 典 礼 の場 で 歌 った聖 歌 に大 変 興 味 を 持 っ てい た 。 丁 度 そ ん な折 り、宿 功 の 論 文 「カ トリ ッ クの典 礼 音 楽 の歴 史 と現 状― (『礼 拝 と音 楽 』 季 刊18号)を. 聖 歌 集 の 変 遷 を め ぐ って―. 」. 読 む チ ャ ンス に 恵 まれ た 。(注1)読 み 進 む につ れ 客 観 的 な 間 違 い を 見. い だ した。 彼 は 、 明治 期 に 出版 され た聖 歌 集 『日本 聖 詠 』(明 治40年 出版)に. つ いて解 説 す る中. で 、[こ の 聖 歌 の 中 の 数 曲は 現 行 の 『カ ト リッ ク聖 歌 集』 に も残 され てお り、今 も歌 い つ が れ て い る。]と 書 い て い る。(注2)そこで筆 者 は 『日本 聖 詠 』 と 『カ トリ ック聖 歌 集』 を 一 曲 一 曲照 ら し併 せ なが ら 同 じ旋 律 を持 つ 曲 を探 して い った 。 見 て い く うちに 数 曲 ど こ ろか26曲 を も見 い だす こ と が 出来 た 。 中 に は旋 律 は 同 じで も、 調 子 や 拍 子 が 変 わ って きて い る曲 も あ った。 筆 者 が 、大 勢 に 影 響 の 無 い小 さな 事 を 問題 に し始 めた のは 、 あ る論 文 の 中 に 、 既 に この 間違 た 記述 が 引用 され て い た か ら で あ る。 宿 氏 は ど こか ら数 曲 と い う数 を 見 い だ した の で あ ろ うか?   明 治 期 の聖 歌 は 、 パ リ外 国 宣 教 会 の聖 職 者 に よ って キ リス ト教 と一 緒 に持 ち込 まれ た。 これ ら の 曲は 、 中 世 の 世 俗 曲や フ ラ ン ス の人 が 口ず さん だ 歌 や 教会 で歌 った聖 歌 で あ った が、 今 日そ の 元 曲 を 見 つ け る事 は か な り難 しい 。 筆 者 は 偶 然 に も何 曲 か を掴 む こ とが で き た 。(注3)明治 の 人 々 は 、 キ リス ト教 と歌 とい う異 文 化 を 母 体 の 文 化 との 融 合 ・変 容 を試 み な が ら、 そ れ らを うま く 自 分 の 中 に取 り入 れ て きた 。 皆 で 声 を 合 わ せ て 、 しか も西洋 の歌 を歌 う経 験 の無 か った 一 般 の 信 者 に と って聖 歌 の 習得 は 努 力 と忍 耐 の 要 す る作 業 で あ った。 聖 職 者 は 、聖 歌 集 を信 者 に 持 た せ 、 自 分 達 は ロー マ 字版 と母 国 で 刊 行 され た楽 譜 付 き フ ラ ンス語 の聖 歌 集 を併 用 して、 そ れ ぞ れ の 歌 詞 に相 当す る旋 律 を 歌 って 教 え て い った。   本 稿 は 、 明治 の 人 々が 教 会 とい う特 殊 な場 所 と条 件 の 中 で どん な歌 を歌 い、 そ の 歌 が どの よ う な聖 歌 集 に歌 い継 が れ 今 日の 『カ ト リッ ク聖 歌 集 』 に残 って きた のか 、 残 され た 歌 は どん な 特 徴 を持 っ て い るの か 、 に つ い て研 究 し よ うとす る もの で あ る 。 これ ら の変 遷 を 辿 る こ と は 、 カ ト リ ック教 会 の聖 歌 の研 究 に の み 止 ま らず 、 明治 期 の音 楽 を音 楽 的 ・音 楽 史 的 に 捉 え る上 で も意 味 の あ る こ と と思 わ れ る。 『カ トリ ック聖 歌 集 』を 編 集 す るに あ た り 「 聖 歌 集 改 定 委 員 会 」の 委 員 た ち は、そ れ 以 前 に使 わ れ て い た聖 歌 集 『公 教 聖 歌 集 』(昭 和8年. 出版)か. らよ く歌 わ れ て い る 曲 と. あ ま り歌 わ れ な い 曲 を ア ンケー ト方 式 に て教 会 等 の信 者 にた だ し、 あ ま り歌 わ れ な い 曲を カ ッ ト した 。 これ らの過 程 を通 して もな お 『カ トリ ッ ク聖 歌 集 』 に 残 った 曲は 、 明 治 の 人 に も現 代 の 人 に も共 通 す る好 み の特 徴 を も って い る の で は なか ろ うか 。 そ して そ こか ら 日本 人 の 音 楽 観 を 見 い 出 す こ と も可 能 で は なか ろ うか 。.

(2) Ⅱ .明 治期 の カ トリ ック聖 歌 集 1.聖. 歌研 究 の現 状.   最近 に な っ て 、聖 歌 ・賛 美 歌 に 新 しい 傾 向 が 生 まれ つ つ あ る。 そ れ は 、洋 楽 史 研 究 者 の 中村 理 平(1932-94)、. フ ェ リス 女学 院短 期 大 学 の 手 代 木俊 一 、大 阪 英 知 大 学 の  功 、 エ リザ ベ ト音 楽 大. 学 のエ ヴ ァル ト ・ヘ ンゼ ラ ー(Ewald  Henseler)に. よる カ トリ ッ ク聖 歌 の書 誌 学 的 研 究 の発 展 で. あ る。中村 は 『キ リス ト教 と 日本 の 洋 楽 』(注4)にお いて 、充 分 に研 究 され て い なか った 明治 の キ リ ス ト教 音 楽 とそ の導 入者 に 関 す る 克 明 な 史 実 を 発掘 し、学 問的 な ア プ ロー チ を試 み た 。 手 代 木 は フ ェ リス 女学 院短 期 大学 音 楽 科 研 究 図 書 室 に 保 存 され て い る聖 歌 集 ・賛 美 歌 集 に 自分 で発 掘 した 何 冊 か の 聖歌 集 を 加 え て 「日本 の教 会 音 楽(讃 美 歌 ・聖 歌)関 係資 料 目録 」(注5)を 作 成 した。そ し て さ らに 、 明 治期 の 日本 ハ リス ト正 教 会 、 カ トリッ ク教 会 、 プ ロテ ス タ ン ト教 会 の聖 歌 集 ・讃 美 歌 集 を 発 掘 し、全42巻 か ら成 る 『明 治期 讃 美歌 ・聖 歌 集 成 』を 出 版 した 。(注6)彼 は 、こ の復 刻 版 の 中 で13冊 の カ ト リッ クの 聖歌 集 を 取 り上 げ て い る。本 稿 は、 彼 の功 績 に全 面 的 に あや か っ て い る。 ま たヘ ンゼ ラ ーは 、 カ ト リッ ク聖 歌 に 対 象 を しぼ り、 小 さ な論 文 ま で徹 底 的 に資 料 を収 拾 し 「日 本 カ トリ ック教 会 音 楽総 目録(稿)聖. 歌 集 ・聖 歌(1865-1968)」(注7)を 発 表 して い る。 キ リス ト教. に 関す る多 くの 文 献 ・史 料 を 備 え て い る フ ェ リス 女学 院短 期 大 学 音 楽 科 研 究 図書 室 、 エ リザ ベ ト 音楽 大 学 、 上 智 大 学 の三 木 文 庫 、 そ して オル チ ン文 庫 を擁 す る神 戸 女学 院 大学 は、 日本 に おけ る キ リス ト教 音 楽 研 究 の メ ッカ と して 、 教 会 音 楽 研 究 者 に計 り知 れ な い恩 恵 を 与 え て い る。 最 近 の 傾 向 と して 地 方 の キ リス ト教 大 学 に お い て も 明治 ・大 正 ・昭和 の聖 歌 集 が さか ん に収 拾 され始 め、 そ れ と同時 に 若 い 研 究 者 も育 ちつ つ あ る。(注8). 2.明. 治 の カ トリッ ク聖 歌 集 の 種 類 とそ の特 徴.   江戸 末 期 か ら明 治 に か け て は、 日本 の歴 史 に と って 大 きな転 換 を迎 え た 時期 で あ っ た 。江 戸 幕 府 は 開 国 を余 儀 な くされ 、1858年(安 条 約」 を 、1860年(万. 延 元 年)ア. 政5年)フ. ラ ンス 全権 大 使 グ ロー 男爵 との 間 に 「日仏 修 好. メ リカ総 領 事 ハ リス との 間 に 「親 和 条 約 」 を 批 准 し、 神 奈 川. (横 浜)・ 箱 根 ・長 崎 ・兵 庫(神 戸)新 潟 の五 港 を 開 港 し、 そ の 地 に 外 国 人 の居 留 を許 し、教 会 建 築 を認 めた 。 そ の外 国 人 が 教 会 で の礼 拝 や 死 者 のた め の ミサ を 挙 げ る必 要性 か らパ リ外 国宣 教 会 は神 父 を派 遣 した。 長 崎 に お い て は 、1863年 ベル ナ ー ド ・プ テ ィ ジ ャ ン神 父(B.T.Petitzean 1829-84)が. 派 遣 され た 。彼 は 、 長 崎 天 主 堂(現 在 の大 浦 天 主 堂)の 建 築 、 外 国 人 のた め の聖 務 、. 日本 人 の聖 職 者 の養 成 、 信 者 の保 護 ・救 済 な ど積 極 的 に 布 教 活 動 に 努 め た 。(注9)そし て 彼 は 、 明 治 最 初 の聖 歌 集 『き り した ん の うた ひ』 を 出版 した 。   教 会 で の ミサ に お い て 、歌 は 大 きな役 割 を担 っ てい る。 歌 は 信 者 に と って 神 へ の 賛 美 ・愛 ・信 仰 の表 現 で あ り、声 を 出 して歌 う こ とに よ り個 々 の気 持 ちを 爽 快 に 導 き、 信 仰 を 深 め 、 共 同 体 の 心 を 一 つ に結 びつ け る。 そ こで 各 教 会 は 競 って独 自の聖 歌 集 の編 集 、 出版 を 始 め た 。 これ らの 聖 歌 集 に は 、 キ リス ト教 の揺籃 期 に お い て 各 教 会 が必 要 性 に迫 られ て そ の編 纂 を 模 索 しな が ら作 っ て い った 跡 が 伺 え る。 手 代木 に よれ ば 、 明治 期 に は13冊 ばか りで は な く、そ れ 以 上 の聖 歌 集 が 存.

(3) 在 した 。 しか し大 戦 中 に 焼 け た り、 整 理 され て し ま った り、 又所 持 して い て も公 開す る こ とを 拒 む 教 会 も あ る とい う。    功 は 「カ ト リ ックの 典 礼 音 楽 の 歴 素 と現 状 」 の 中 で 、 明治 初 期 か ら現代 ま で の カ トリ ッ ク聖 歌 集 の 編 集 ・出 版 ・普 及 の 変 遷 か らそ の 歩 み を 四 期 に 分類 して い る。(注10)第1期は 初 期 聖 歌 集 普 及 期(明 治 初頭 − 昭 和 初 頭)、 第2期. は統 一 聖 歌 集 普 及 期(昭 和 初 頭 − 戦 後 以 降)、 第3期. 聖 歌 普 及 期(昭 和41年 以 降)、 第4期 は 典 礼 聖 歌 普 及 期(第 二 バ チ カ ン公 会議1962-65年. は改定. 以 降)で. あ る。 第 一 期 は各 教 会 が 独 自な聖 歌 集 を編 集 ・出版 した時 期 、 第 二 期 は始 め て全 国 共 通 の聖 歌 集 『公 教 聖 歌 集』(昭 和8年)が. 出版 され た 時 期 、 第 三 期 は 『カ ト リッ ク聖 歌 集』(昭 和41年)が. 出. 版 され 全 国 的 に非 常 に 普 及 し安 定 した 時期 、第 四期 は第 二 バ チ カ ン公 会 議 の 典 礼 憲 章 公 布 、 す な わ ち典 礼 刷 新 以 降 出版 され た 『典 礼聖 歌 集 』(昭 和43年)の. 時期 で あ る。.   本 稿 は 、第 一 期 の 明治 期 の聖 歌 集 と第 三 期 の 改定 聖 歌 集 『カ トリ ック聖 歌 集』 に 焦 点 を絞 る。 明治 期 の聖 歌 は、 『公 教 聖 歌 集 』 を経 て 『カ ト リッ ク聖 歌 集 』の 中 へ 受 け 継 が れ た 。 しか しそ れ 以 降 出版 され た 『典 礼 聖 歌 集 』 へ は全 く継 続 され なか った 。r典 礼 聖 歌 集』 は 、 典 礼 憲 章 の 第6章 「教 会 音 楽 」 を 実 践 に 移 す 上 で の具 体 的 方 向を 示 す た め に 出 され た 指 針 を うけ て 、 日本 語 に よ る 創 作 が 試 み られ た 。(注11)神 聖 な る務 め が歌 と と もに盛 儀 を もっ て遂 行 され る た め に 、 聖 職 奉 仕 者 と信 者 が 一 緒 に ミサに 参 加 で き る よ うに式 次 第 は全 て 日本 語 に よ って 行 わ れ た。 そ して聖 歌 は 、 グ レゴ リオ聖 歌 の精 神 と伝 統 に 基 づ い て 、 聖 書 の詩 篇 を 歌 詞 と して用 い 、邦 語 で 日本 人 の音 楽 家 に よ って 作 曲 され た 。 そ れ 故 に 『カ トリッ ク聖 歌 集 』 は 、新 旧 交 代 の 狭 間 に あ り、 明治 期 の カ ト リッ ク精 神 を 残 す 最 後 の宝 庫 と い うこ とが で き よ う。   明 治 期 の13冊 の 聖 歌 集 は 、 邦 語 版 、 日本 語 の ローマ 字 版 、 ラ テ ン語 の カ タ ガ ナ版 、 五 線 譜 に な って い る もの 等 、 多 種 多 様 で あ る。 表1.に. 聖 歌 集 を 刊 行年 代 順 に 一 覧 し、聖 歌 集 名 、編 者 、. 出 版所 、 発 行 年 、 そ の 内容 に つ い て 示 した 。.     〔表1.明. 治期に出版 されたカ トリック聖 歌集〕. 聖歌集名. 編者. 出版所. 発行年. 内容. 1. き りした ん の うた ひ. プ ティジ ャン. 長 崎天主堂. 1879(明12). 歌詞 のみ. 2. 手書 き歌詞集. サルモン. 長 崎 ・黒 崎教 会. 1880(明13). 歌詞 のみ. 3. 聖 詠(完). ルマレシャル. 北緯 日本聖會. 1883(明16). 歌詞 のみ. 4. Recueil . ルマレシャル. 北緯 日本聖會. 1883(明16). 楽譜付 き. Japonais . de  Cantiques Avec . musique.

(4) 5. 天主公教会拉丁聖歌. 菅 克家. 北緯中央公教會. 1886(明19). 歌詞のみ. 6. 聖詠(完). ルマレシャル. 北緯 日本聖會. 1889(明22). 歌詞のみ. 7. 聖詠(完). ルマレシャル. 北緯 日本聖會. 1893(明26). 歌詞のみ. 8. Cantus . 長 崎 セミナリオン. 1896(明29). 楽譜 付. Sacri . AIumnorum . ad  usum. Seminarii. Nagasakiensis. 9. 公教會羅旬歌集. ラゲ. 三 才 社,昌 平 館. 1903(明36). 歌詞のみ. 10. 公教會羅旬歌集. ルマレシャル. 勝浦長保. 1906(明39). 歌詞 のみ. 11. 日本 聖 詠 パ ピ ノ 伴奏 付. ルマレシャル. 三才社. 1907(明40). 楽譜 付 き. 12. 天主公教會聖歌. マルモニエ. 大阪聖若瑟教育院. 13. 公教聖 歌. ド マンジ ェル. 政瑰塾. 1910(明43). 1911(明44). 楽譜 付き. 楽譜付 き.   上 記 の 聖 歌 集 は 、 使 用 され て い る文 体 ・文 字 表 記 ・ス タ イ ル そ して 楽 譜 の有 無 に よ って次 の 四 種 類 に分 類 す る 事 が で きる。 ①. 長 崎 地 方 の 方 言 を 加 え て伝 え られ た オ ラ シ ョの伝 統 を 引 く聖 歌 集 。.   これ に 属 す る の は 『き りした ん の うた ひ』 『手 書 き歌 詞 集』 で あ り、これ ら2冊 の聖 歌 集 は 、長 崎 に あ る天 主堂 で編 纂 さ れ た文 字 だ け の聖 歌 集 で あ る。『き りした ん の うた ひ』は 、明治 期 に お い て編 纂 され た最 初 の 聖歌 集 で、 祈 り文 『オ ラ シ ョ並 ニ ヲシ エ』(注12)の 付録 と して 出 版 され た 。 全 51曲 中、41曲 は この地 方 の託 りを加 えて 伝 え られ た オ ラシ ョの伝 統 を 引 く文 体 で 、 他 の10曲 は、 グ レ ゴ リオ 聖歌 の ひ らが な版 で あ る。 歌 い方 に つ い て簡 単 な 指 示 が あ るの み で 客 観 性 が 乏 しいた め、音 の再 現 は難 しい。(注13)『 手 書 き歌 詞 集 』は 、 ロー マ字 の筆 記 体 で 書 か れ た30曲 が 歌 詞 のみ で 入 っ てい る。 日本語 の ロー マ字 版 の聖 歌 集 で あ る と ころか ら、 日本 に 滞 在 した 聖 職 者 が 使 用 した もの と考 え られ る。 ②. 日本 語 を ロ ーマ 字 、 カ タ ガ ナ、 ひ らが な で 文 字表 記 し、 純 日本 調 の 和 歌 の ス タイ ル を 持 つ 聖.  歌集。   『聖 詠 』 の 明 治16年 ・22年 ・26年版 が これ に 属 す る。 フ ラ ンス外 国 宣 教 会 の ル マ レシ ャル 神 父 (Lemarechal  1842-1912)の 7−5調. 編 纂 に よる 一 連 の 『聖 詠 』 は、 歌 詞 の み の聖 歌 集 で 、歌 詞 の文 体 は. の 純和 歌 の ス タ イ ル を と り、(注14)そ の歌 詞 の 中 に は 「 久 方 の」 「雨 降 る」 「た らち ね」 「玉.

(5) の 緒 」 「空 蝉 」 等 の 枕 詞 が 頻 繁 に 用 い ら れ て い る 。16年 版 の 「 聖 詠 」 は29曲 、22年 版 は74曲 、26年 版 は154曲. と前 の聖 歌 集 の 曲 を踏 襲 しな が ら、新 た な 曲 を追 加 し、 そ して 難解 な 文 語 の 歌 詞 を 口. 語 調 に 改 め て い る。 ③. グ レ ゴ リオ 聖 歌 を カ タ ガ ナ 表 記 し た 聖 歌 集 。.   菅克家の. 『天 主 公 教 会 拉 丁 聖 歌 集 』、 ラ ゲ(Emile . とル マ レシ ャル の. Raguet,1854-1929)の. 『公 教 会 拉 丁 聖 歌 集 』. 『公 教 会 拉 丁 聖 歌 集 』 が こ れ に 属 す る 。 こ の 三 冊 の 聖 歌 集 は 、 グ レ ゴ リオ 聖 歌. を カ タ ガ ナ 表 記 し た 聖 歌 集 で 、 五 線 譜 化 は さ れ て い な い 。 三 冊 の 中 に は 、 ミサ の 通 常 文 で あ る キ リエ レ ー ソ ン 、 グ ロ ー リア 、 ク レ ド、 サ ン ク ト ゥ ス 、 ア ニ ュ ス ・デ イ が 見 ら れ る 事 か ら 、 ミサ で 歌 わ れ る グ レ ゴ リオ 聖 歌 の 邦 語 版 で あ る 。 ④1冊. の 中 に グ レ ゴ リオ 聖 歌 、 フ ラ ン ス 語 の 歌 、 日 本 語 の 歌 が ミ ッ ク ス さ れ 、 そ れ ら が 楽 譜 化.   され て い る聖 歌 集  . 『Recueil de Cantiques  Japonais  Avec  musique』(以. ad usum  Alumnorum . Seminarii  Nagasakiensis』(以. 下. 下. 「Recueil」 と 略 記)、 『Cantus  Sacri. 「Nagasaki」. と略 記)『 日本 聖 詠 』 『天 主 公.   『Recueil』 は 、 ル マ レ シ ャ ル 神 父 に よ っ て 出 版 さ れ た 『聖 詠(16年. 版)』 を 楽 譜 化 し た も の で あ. 教 會 聖 歌 』 『公 教 聖 歌 』 の 五 冊 が これ に 属 す る 。. り、 邦 語 聖 歌 が27曲 収 め ら れ て い る 。 単 旋 律 の 楽 譜 の 下 に 日本 語 の ロ ー マ 字 表 記 し た 歌 詞 が つ け ら れ て い る。 譜 面 は 手 書 き 印 刷 で あ る が 、 鮮 明 で あ る の で ロ ー マ 字 に 慣 れ れ ば 歌 う こ と は で き る 。 『Recueil』 と 『聖 詠(16年. 版)』 は 和 洋 一 対 の 聖 歌 集 で あ り、 前 者 は 外 国 人 の 神 父 用 、後 者 は 日 本. 人 の信 者 用 で あ る 。神 父 は邦 語 版 の聖 歌 集 を信 者 に持 た せ 、 自分 た ち は ロー マ字 版 の聖 歌 集 を 用 い 、 そ れ ぞ れ の 歌 詞 に 相 当 す る 旋 律 を 教 え 、 そ し て 祈 り の 場 で 共 に 斉 唱 した と考 え ら れ る 。  . 『Nagasaki』. は 長 崎 の 神 学 生 の た め に 編 纂 さ れ た 聖 歌 集 で あ る 。 楽 譜 化 さ れ た 聖 歌 集 で あ り、. ラ テ ン語 表 記 の 聖 歌 、 グ レ ゴ リオ 聖 歌 、カ タ ガ ナ 表 記 の 邦 語 聖 歌 の3種. 類 、全244ペ. ー ジか ら成 っ. い る 。 ラ テ ン語 表 記 の 曲 の 中 に は 、 モ ー ツ ァ ル ト、 ベ ー トー ヴ ェ ン、 メ ン デ ル ス ゾ ー ン とい っ た 作 曲 者 名 が 表 記 さ れ て い る 。 グ レ ゴ リ オ 聖 歌 の 部 分 で は 、 ネ ウ マ 譜 と ラ テ ン語 の 歌 詞 の つ い た 曲 が あ り、 そ して 最 後 の 部 分 に カ タ ガ ナ の 歌 詞 が つ い た 邦 語 聖 歌 が37曲 収 め ら れ て い る 。 こ の 邦 語 聖 歌 の 部 分 に お い て 、 ル マ レ シ ャ ル 神 父 編 の 『Recueil』 か ら8曲. 受 け 継 い で い る。 そ して こ の 聖. 歌 集 の 多 くの 曲 は 『カ ト リッ ク 聖 歌 集 』 に 受 け 継 が れ て い っ た 。100年 余 の 歳 月 を 経 な が ら も 、 な お 人 々 に 歌 い 継 が れ た 多 く の 曲 を 網 羅 して い る 『Nagasaki』. は 、 聖 歌 集 の 原 点 と して 大 き な 意 義. が あ る よ うに 思 わ れ る 。  . 『日 本 聖 詠 』 は 、 ル マ レ シ ャル 神 父 編 の 一 連 の. 『聖 詠 』 を 楽 譜 化 した も の で あ る 。 タ イ トル 、. 歌 詞 は す べ て ロ ー マ 字 表 記 で 、155曲 が 収 め ら れ て い る 。左 ペ ー ジ に 曲 、右 ペ ー ジ に は パ ピ ノ 神 父 (J.E.J.Papinot  1860-1942)の. 編 曲 に よ る オ ル ガ ン 伴 奏 譜 が 付 い て い る 。 こ の 聖 歌 集 は 、一 般 の 信. 者 用 と い う よ りは 、 む し ろ オ ル ガ ニ ス ト、 合 唱 隊 が 用 い た も の で あ ろ う。 明 治 期 の 聖 歌 集 と し て は 、一 応 の完 成 され た 作 品 と見 な す こ とが で き る。   『天 主 公 教 會 聖 歌 集 』 は 、 明 治43年(1910)マ. ル モ ニ ュ 神 父(Marmonier . 1876-1933)の. 編纂に.

(6) よ り大 阪 聖 若瑟 教 育 院 で 出 版 さ れ た 。 左 表 紙 か ら グ レ ゴ リ オ 聖 歌 を 主 と す る ラ テ ン 語 聖 歌 そ し て 邦 語 聖 歌50曲 が 収 ま り、 右 表 紙 か ら 祈  文 と 公 教 心 理 が 述 べ ら れ て い る 聖 歌 と 教 理 の 両 面 を 兼 ね 備 え た 聖 歌 集 で あ る 。 邦 語 の 聖 歌 は 、 全 て 単 旋 律 か ら 成 り、 ひ ら が な の 歌 詞 が つ け ら れ て い る 。  . 『公 教 聖 歌 集 』 は 、 明 治44年(1911)ド. 司 教 館 内 に あ っ た 瑰(ま は 、 第1部. い か い)塾. ラ テ ン 語 聖 歌 、 第2部. マ ン ジ ェル(Demangelle . 1868-1929)に. よ っ て東 京 大. か ら、 同塾 生 のた めに 出版 され た 聖歌 集 で あ る。 そ の 内容. フ ラ ン ス 語 聖 歌 、 第3部. 邦 語 聖 歌 、 第4部. 補 遺 と な っ て い る。. 邦 語 聖 歌 は19曲 収 め ら れ て い る 。   以 上 、13冊 の 聖 歌 集 に つ い て そ の 体 裁 を 述 べ て き た 。 し か し こ れ ら の 中 で 集 』 に 受 け 継 が れ た聖 歌 集 は. 『Recueil』 『Nagasaki』. 『日 本 聖 詠 』 の3冊. 『カ ト リ ッ ク 聖 歌. で あ る。. .『 カ トリ ッ ク 聖 歌 集 』 が 受 け 継 い だ 明 治 期 の 聖 歌. Ⅲ. 1.『 カ ト リ ッ ク 聖 歌 集 』 の 成 立   カ トリ ック教 会 は 、 全 国 統 一 の 聖 歌 集. 『公 教 聖 歌 集 』 を 昭 和8年. に 出版 した。 全 国統 一 聖 歌 集. の 普 及 に よ り、 教 会 に 安 定 と 繁 栄 と い う大 き な メ リッ トを も た ら し た 。 しか し時 が 過 ぎ る に つ れ て 、 多 く の 問 題 点 、 特 に 難 解 な こ と ば 、 音 の 抑 揚 と こ と ば の ア ク セ ン トの 不 一 致 な ど の 指 摘 が さ れ 始 め た 。 そ こで 司 教 協 議 会 で は 昭 和31年 、 当 時 の 京 都 司 教 古 屋 義 之 を 委 員 長 とす る 定 委 員 会 」 を 組 織 し、 新 しい 聖 歌 集 の 検 討 に 乗 り出 し た 。1回. 「 聖歌 集改. 目 の エ リザ ベ ト音 楽 大 学 で の 会 議. に お い て 、改 定 に 当 た り聖 職 者 の み な ら ず 各 方 面 の 人 材 に 協 力 を 求 め る 事 、 『公 教 聖 歌 集 』 を 実 際 使 用 し て い る 施 設 に 意 向 を た だ す 事 、 信 者 、 一 般 人 に 新 しい 邦 語 聖 歌 を 募 集 す る 事 、 グ レ ゴ リオ 聖 歌 を 日 本 人 の 作 曲 し た ラ テ ン語 聖 歌 に 差 し変 え る 事 等 、 が 話 し 合 わ れ た 。 そ の 結 果 、 古 屋 京 都 司 教(委. 員 長)、 エ ル ネ ス ト ・ゴ ー セ ン(エ. (光 明 社)等. リザ ベ ト音 楽 大 学 長)、. エ ウ ゼ ビ ゥ ス ・ブ ラ イ ト ン. の 聖 職 者 以 外 に 野 村 良 雄 、 高 田 三 郎 、 山 本 直 忠 の 音 楽 家 グ ル ー プ と影 山 準 吉 、 村 田. 利 明 、 大 木 淳 の 国 文 学 者 グ ル ー プ が 加 え られ た 。 委 員 会 は 全 国 の 教 会 ・学 校 ・修 道 院 に1224通. の. ア ン ケー ト用 紙 を 送 り、 『公 教 聖 歌 集 』 の 中 で よ く歌 わ れ る歌 、 あ ま り歌 わ れ な い 歌 の 現 状 や 聖 歌 改 定 に 関 す る 意 見 や 希 望 な ど に つ い て 尋 ね た 。 そ の 結 果 を 受 け て 、 よ く歌 わ れ る 曲 は 残 し(注15)、 余 り歌 わ れ な い 曲 が カ ッ ト さ れ た 。(注16)その 他 に も 委 員 会 は50数 曲 を カ ッ ト し、 新 た に60数 加 え た 。(注17)さら に グ レ ゴ リ オ 聖 歌 を カ ッ ト して 山 本 直 忠 の ラ テ ン語 の ミサ 曲. 曲を. 「キ リエ レ イ ソ ン 、. グ ロ ー リ ア 、 ク レ ド、 サ ン ク ト ゥス 、 ア ニ ュ ス ・デ イ 」 が 入 れ ら れ た 。 そ して さ ら に プ ロ テ ス タ ン ト教 会 の 讃 美 歌 を そ の 歌 詞 を 変 え て 取 り入 れ 、324曲 か ら な る 聖 歌 集 が 完 成 し た 。 こ の 聖 歌 集 は 、 昭 和41年. 2.現. の ク リス マ ス に 間 に 合 わ せ て 初 版2万. 部 が発 行 され た。. 行 の 『カ ト リ ッ ク 聖 歌 集 』 が 受 け 継 い だ 明 治 期 の 聖 歌.    『カ ト リッ ク 聖 歌 集 』 は 、26曲 の 明 治 期 の 聖 歌 を 受 け 継 い だ 。 そ の うち 『Recueil』 か ら5曲 『Nagasaki』   表2は. 、. か ら16曲 、 『日本 聖 詠 』 か ら26曲 で あ る。. 、 『Recueil』 『Nagasaki』. 『日本 聖 詠 』 『カ ト リ ッ ク 聖 歌 集 』 を 出 版 年 度 順 に 並 べ 、 そ れ ぞ.

(7) れ に共 通 してい る 曲 に そ の 曲名 を記 した。 そ して 『カ トリ ック聖 歌 集 』 が受 け 継 い だ 曲 には 資 料 番 号 を 添 えた 。. 〔表2、4冊. の聖歌集に共通 してい る曲 とその曲名〕. 『Recueil』. (1883年). P.1聖. 神 を祈 る歌. 『日本聖 詠 』. 『Nagasaki』. (1896年). 『カ ト リ ッ ク聖 歌 集 』. (1907年). P.191聖. 神 を祈 る事. No.1  聖 神 を 祈 る. P.191聖. 神 を祈 る事. No.1  聖 神 を祈 る. P.193大. 主教. No.5  主  文. P.194聖. 母経. No.6  天 使 祝 し. (1966年). No.226. きた りませ. 資料 番号. No. 1. No. 2 No. 3 No.335 アヴェ・マリアNo.471みせつりの )*. No.7  天 使 祝 し P.18天. 主十戒. P.194天. 主十戒. No.9  天 主 十 戒. P.195聖. 會 の六 戒. No.10 聖 會 の 十 戒 No.11 信 望 愛経 No.18 天 主 の 恵 み. P.197物. に準ひ悟 ること. りの 歌 誕 生 前 ノ歌. No.46 御 誕 生 の 前. P.205御. 誕生の事. No.48 御 主 の御 誕 生. P.206御. 誕生の事. No.50 御 主 の御 誕 生. P.207御. 誕生の事. No.51 御 主 の御 誕 生. P.213御. の恵 み の歌 復 活 の歌. No.4. 神 の さ と しの. No.12 わ れ神 を ほ め. No.4. 、5. No. 6. No.162. 主 の も とに. No. 7. No.23 霊魂 の助 か り. P.203御. P.211耶 . き よ きお とめ とて. No.20 物に準え悟る こと No.22 霊 魂 の助 か り. P.198助. No.334. No.103 あわ れ み の神 No. 122 地 に も空 に も. No. 8. No.9. No.10 No.11 No.117. 神 の ひ と り子. No.12. No.56  イ エ ズ ス の 恵 み. No.61 御 主 の御 復 活. No.204. No.62  イ エ ズ ス の こ昇 天. No.217 す み わ た る. No.63 聖 霊 の降 臨. よろ こべ 今 日ぞ. No.13. No. 14. No.227 みそ らは るか. No.15. P.214聖. 体 を受 け る歌. No.79 聖 体 拝 領. No. 70 愛 の 主 よ. No.16. P.5彌. 撤 聖 祭 の歌. P.215彌. 撤 聖 祭 の歌. No.75 . ミサ 聖 祭. No.68. いけ に え を. No.17. P.27聖. 母 聖 月 の歌. P.216聖. 母 聖 月 の歌. No.92 聖 母 聖 月. No.354. たの し くも. No.18. No.101  聖 母 の悲 しみ. No.482 わ た しの む ね. No.19. No.109  げ ん罪 の汚 れ な. No.332 け が れ な く. No.20. P.484マ. No.21. P.18罪. 科 の 汚 な く孕. P.217罪. みた もう皇后 P.26聖. 母 に 願 う歌. 科 の 汚 な く孕. み た も う皇 后. き母. P.218聖. 母 に 願 う歌. P.111  聖 母 に 願 う. P.219天. の皇 后 の歌. No.126  天 の元 后. P.220亜. 物 海 の星 の 歌. No.116 海 の 星. No. No.121 あめのみつかいの No.314 あめなるきさきのNo.6185 あめなるきさきの) No.608 あめのみつかいの). リ ア さ ま. No.22 No.23. No.322 あめ の き さ き. No. 24.

(8) P.222. 勤 終 て 後 唱 る歌. No.132 勤 を終 わ り後. P.222. 耶  マ リ ア  ジ. P.134. ョセ フ に 向 か う. イ エ ス. マ リア. ジ. ョセ ブ に 向か う. 歌 P.223. 聖 若瑟 の 誉 れ. No.141. 聖 ジ ョセ フを 誉. No. 393 み神 は み ず か らの. No.25. め あげ る P.225. 聖 ミカ エ ル の 祝. No.142. 日の歌. 聖 ミカエ ル の 祝. 日の 歌. P.226. 諸 聖 人 の祝 日の 歌. P.145. P.228. 死 人 のた め の. No.153 死 人 の た め. P.6. 天 降 り後 の 歌. P.230. 天 降 り後 の 歌. P.9. 死ぬ ること. P.230. 死ぬ ること.                             (*旋. 諸 聖 人 の 祝 日の 歌. No.432 わ れ らた た え ん. No.26. 律 の 同 じ曲 を 括 弧 で 記 した).   明 治 の 聖 歌 は 、 上 記 の よ うな 変 遷 を 辿 り 『カ ト リッ ク 聖 歌 集 』 に 受 け 継 が れ た 。 明 治 期 の3冊 の 聖 歌 集 は 、 曲 名 や 曲 順 は 殆 ど 変 わ る こ と な く踏 襲 さ れ て い る 。 し か し 『カ ト リッ ク聖 歌 集 』 に お い て は 、 全 く別 の タ イ トル が 付 け ら れ 、 し か も 曲 順 が す っ か り変 わ っ て い る 。 そ の 上 、 同 じ曲 を. 「NO.335ア. ヴ ェ ・マ リ ア 」 と 「NO.471み. 「NO.314とNO.618の. せ つ りの 」、 「NO.121とNO.608の. あ め な る き さ き の 」 の よ うに2回. あ め の み つ か い 」、. 用 い て い る。.   で は 、 受 け 継 が れ た26曲 は 、 ど ん な 曲 趣 を 持 っ て い る の で あ ろ うか 。 以 下 、 表3に ク 聖 歌 集 』 が 受 け 継 い だ 明 治 期 の 聖 歌 を 、 表2に. 『カ ト リ ッ. 示 し た 資 料 番 号 に 沿 っ て 挙 げ て い く。.

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(14) Ⅳ .『 カ ト リック聖 歌 集 』 が 受 け継 いだ 明 治 期 の聖 歌 の 特 徴   『カ トリ ック聖 歌集 』 に残 され た 明治 期 の聖 歌26曲. の旋 律 に は 共 通 す る特 徴 が見 られ る 。 聖. 歌 を 歌 詞 の もつ 意味 を除 い て旋 律 面 だ けか らそ の全 容 を 語 ろ うとす るの は い さ さか無 謀 か も しれ な い 。 しか し、聖 歌 と して歌 わ れ 、今 日まで 歌 い 継 が れ た 曲 に は 元 々聖 歌 と成 りうる要 素 を 兼 ね 備 えて い る。 明治 初 期 の聖 職 者 は 、聖 歌 集 の 編 集 に 当 た り、 曲の 歌詞 を聖 書 の詩 篇 か ら取 り出 し、 そ れ を7-5調. の和 歌 の ス タ イ ル に置 き換 え よ うと試 み た。 また 選 曲 に あ た っ ては 、 グ レ ゴ リオ. 聖 歌 の節 の 動 きを根 底 に 置 き、 そ の再 現 に ふ さわ しい 曲 を聖 歌 と して選 びだ した か らで あ る。 以 下 、 そ の旋 律 の全 般 的 な 特 徴 に つ いて 述 べ て み よ う。 1.全. てが 単旋 律 の 曲で あ る。. 2.旋. 律 が 順 次 進 行 して お り、 リズ ムパ ター ン も滑 らか で あ る。.    下 記 の3つ の例 に 見 られ る よ うに い ず れ も動 きが順 次 的 で滑 らか で あ る。. 3.歌. 詞 は 一 音 に 一 文 字 が 当 て は め られ て い る。. 4.26曲 5.へ   6.三. 全 て が 長 音 階 で 明 る い 曲 が多 い。 長調の曲が多い. 26曲 中17曲 が へ 長 調 の 曲 で あ る 。 拍 子 ・六 拍 子 の 曲 が 多 い 。.  . 26曲 中 三 拍 子 の 曲 は8曲. 、 六 拍 子 の 曲 が8曲.  . 流 れ る よ うに ス イ ン グ し て い る 曲 が 多 い 。. あ る 。3拍. 子 ・6拍 子 の 曲 が 多 い た め 、 全 体 が.

(15) 7.ア  . ウ フ タ ク トで 始 ま る 曲 が 多 い 。 26曲 中11曲 は ア ウ フ タ ク トの 曲 で あ る 。. 8.ア  . ウ フ タ ク トで 始 ま り、 開 始 音 が ソ そ し て4度 下 の3つ.  以上. の 例 の よ う に ソ∼ ド(4度. 上)に. 上 の ドに 進 む パ ター ン が 多 い 。. 進 行 す る 曲 が13曲. 『カ ト リ ッ ク聖 歌 集 』 が 受 け 継 い だ 明 治 の 聖 歌26曲. あ る。. につ い て、 そ の音 楽 が も って い る旋 律. 的 な 特 徴 に つ い て 述 べ て き た 。 こ の26曲 は 既 に 述 べ た よ う に 、 日本 人 に よ っ て 作 曲 さ れ た 曲 で は な く、 明 治 の 初 期 パ リ外 国 宣 教 会 の 聖 職 者 に よ っ て 持 ち 込 ま れ た 。 元 歌 の 分 か っ て い る 曲 も あ る が 大 半 は 掴 め て い な い。 これ ら の歌 を 歌 った 明 治 の 人 々は 、 異 文 化 に 接 して 戸 惑 い 、 正 しい音 程 や リズ ム で 歌 う こ と は 難 しか っ た で あ ろ う。 し か し 西 洋 音 楽 が 日 常 生 活 に 入 り込 み 、 音 楽 を 聴 い た り、 楽 譜 を 読 ん だ りで き る 環 境 に あ る 現 在 に お い て は 、 聖 歌 は そ れ 程 難 し い 歌 で は な く 、 多 く の 人 が 自 然 に 受 け 入 れ 、 快 く歌 っ て ゆ け る 部 類 の 歌 で あ る 。 テ ン ポ が 軽 快 で 速 く、 そ れ に リ ズ ム が 複 雑 に 絡 み 、 激 し い 動 作 を 伴 う音 楽 に 馴 染 ん で し ま て い る 我 々 の 耳 に は 、 む し ろ 乙 女 の 持 つ 清 ら か さ と新 鮮 す ら 感 じ る 。 フ ラ ン ス か ら伝 わ っ た 歌 で あ ろ う と 、 元 歌 が ど こ で 生 ま れ よ う と 、 こ れ らの聖 歌 は 日本 に 溶 け込 ん で 我 々の 生活 の 中 に 入 って し ま って い る。 明 る く、順 次 的進 行 で滑 ら か で 、 た ゆ と う よ うに ス イ ン グ し て 、 旋 律 が 流 れ る よ うな 美 し い 動 き を もつ 明 治 期 の 聖 歌 は 、 ゲ ラ ン ジ ュ 師 の 提 唱 す る ソ レー ム 唱 法(注18)に よ る グ レ ゴ リオ 聖 歌 に 共 通 す る 点 を 持 ち 合 わ せ て い る よ う に 思 わ れ る 。 明 治 期 の 聖 歌 は 、 ま さ に グ レ ゴ リオ 聖 歌 の 日本 版 と 言 っ て も お か し くは な い 。 日本 人 は 、 こ の よ うな 性 格 を 持 っ た 歌 に ノ ス タ ル ジ ア の 感 情 を 呼 び 起 こ さ れ 、 精 神 的 な 安 定 と 心 の豊 か さ につ な が る何 か を見 い 出す の で は なか ろ うか。. (注1)日. 本 基 督 教 団 出版 局   1978年P.22-27. (注2)当. 論 文 のP.23. (注3)筆. 者 が 見 つ け る こ とが 出来 た元 曲は 「NO.335  ア ヴ ェ ・マ リア」 「NO.471み.     . わ れ 「Song of  the Ass」。 「NO.122地. せ つ りの」 は 中 世 に 歌. に も空 に も」 は 「ll  est ne」。  「NO.482  わ た しの む ね 」 は.         「Vamos todos a Belen」 で あ る。 (注4)大. 空 社   1996年. (注5)フ. ェ リス女 学 院 短 期 大 学 音 楽 科 研 究 図 書 室   平 成 元 年.

(16) (注6)大. 空 社   この 聖 歌集 は、第1巻―5巻. は 日本 ハ リス トス正 教 会 、第6巻―11巻. は カ ト リッ ク教会 、第.        12―42巻 は プ ロテ ス タ ン ト諸 派 教 会 とな って い る。 大 空社1996年 (注7)私. 家 版   平 成2年. (注8)南. 山 大 学 カ ト リッ ク文 庫 通 信NO.31995 . 「『カ トリ ック文 庫』 資料 紹 介 」 栗 山義 久. (注9)「 浦 上 四 番 崩 れ」 と呼 ば れ る事 件 で 、天 主 堂 建 立 後 、1867年7月. 潜 伏 キ リシ タ ンが プ テ ィジ ャン神 父.        に 信 仰 を 告 白 した ことに よ り、 キ リシ タ ン発 覚 の発 端 に な り2年 間に3000名 の信 者 が 逮 捕 され 、 厳         しい 刑 に 処 され た。 (注10)前. 掲 書 『礼 拝 と音楽 』P.22. (注11)第6章. 教 会 音 楽 の第113条 、 第119条. (注12)1878年. ド ・ロ神 父 に よ って 編 著 され た(推 定)和 紙 和 装 本 で 、 カ トリ ッ ク の 祈  書   そ の 内 容 は 、.      「 あ りが た み の お ら し ょ」 「 ね が い の お ら し ょ」 「の ぞみ の お ら しょ」 等 祈  文 が 書 か れ て い る。 (注13)歌. 詞 の 左 右 に 傍 線(―)を. 付 け 「―この しる しが も じの み ぎ に あ る と こ ろに は うへ の じを.         よ く  い ひ だ し 、 した の じを は んぶ ん ばか り い ひ だす べ し−−− −P.41」 と、奏 法 につ い て の        説 明 文 が 添 え られ て い る。 (注14)帝. 国 大 学 で 日本 語 学 、 比 較 博 言 学 を 担 当 して い た イ ギ リ ス人 、BHチ.         1850-1939)は. ェ ンバ レ ン(Chamberlain. 『Suggestion for a Japanese Rendering  of  the Psalms』(1880)の. 論文の中で 「 詩篇.         の如 き詩 文 学 の 翻訳 は 特 に 万 葉 調 に よ るべ き で あ る。」 提 唱 し、 みず か ら詩 篇 の試 訳 を あ げ て い る。        当 時 の 聖 歌 集 を作 成 す るに 当 た り編 者 は 、 チ ェンバ レン の学 説 を 取 り入 れ 、 そ の 歌 詞 を 万 葉 調 の ス         タ イル で 書 き表 した のか も しれ な い。 (注15)NO.248,  NO.2, NO.11,NO.267,  NO246等10曲(ア (注16)NO.41,  NO3, NO7, NO.16, NO17等10曲(ア. ン ケ ー ト順). ン ケ ー ト順). (注17)そ. の 中 に は 、 春 日井 市 在 住 の 信 者 の歌 「481.おめめ つ む れ ば」 等 も含 まれ る。. (注18)フ. ラ ン ス のサ ル ト県 ソ レー ム村 に あ る ベ ネ デ ィク ト会 の ピエ ール 修 道 院 で は 、 ゲ ラ ン ジ ェ師 を 中 心.         に グ レゴ リオ聖 歌 の歌 唱 法 と復 興 に 大 きな貢 献 を した。. 参 考文 献   ・中村 理 平 著 『キ リス ト教 と 日本 の 洋 楽 』  大 空 社   1996年   ・中村 理 平 著 『洋 楽 導 入者 の軌 跡   日本 近 代洋 楽 史 序 説 』  刀 水 書 房   1993年   ・宿 功 「カ ト リ ックの典 礼 音 楽 の 歴 史 と現 状 」 『 礼 拝 と音 楽 』 第18号   日本 基督 教 団 出版 局   1978年   ・日本 キ リス ト教 大辞 典  教 文 館   1988年   ・新 カ ト リッ ク大 辞 典    研 究 社   1998年   ・宿 功編   「 典 礼 音 楽 小辞 典 」  . カ トリ ッ ク北 浜 教 会   1990年.   ・典 礼 憲 章              中 央 出 版 社   1968年   ・カ トリ ック新 聞        中 央 出版 社   1957年1501号,1518号,1528号,1960年1635号   ・五野 井 隆 史 著 『日本 キ リス ト教 史 』  吉 川 広 文 館.

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参照

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