Title
緑膿菌のgyrAとparC遺伝子におけるキノロン剤耐性関連遺
伝子変異の簡易検出法の開発およびgyrAとparC遺伝子変異
を有する緑膿菌の複雑性尿路感染症患者からの分離頻度の
検討( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
山羽, 正義
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1160号
Issue Date
1998-03-04
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15117
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 山 羽 正 義(三重県) 博
士(医学)
乙第1160 号 平成10年
3 月 4 日学位規則第4条第2項該当
緑膿菌のgy所と卵′C遺伝子におけるキノロン剤耐性関連遺伝子変異の簡易
検出法の開発およぴgy鵬と卵′C遺伝子変異を有する緑膿菌の複雑性尿路感染
症患者からの分離頻度の検討
(主査)教授 河 田 車 道 (副査)教授 江崎
孝
行
教授 ■渡 連 邦 友 論文内容の要旨 尿路感染症において.経口剤として繁用されるニューキノロン系抗菌剤は耐性化特に緑膿菌の耐性化が著明 になり治療上問趨となっている。一方,緑膿菌ではDNAgyraseのGyrA蛋白のうち,Thr-83とAsp-87の変化 topoisomeraseⅣのsubunitであるParC蛋白のうちSer-80およびGlu-84の変化がキノロン剤耐性化に中心的な役 割を果たしていることがすでに解明されている。したがって,尿路感染症由来のニューキノロン剤耐性緑膿菌臨 床分離株における耐性機序の解析や疫学的な検討に際しては,これらのの鵬およびpα正漣伝子の変異の検討が 重要である。しかし,多数の検体について遺伝子変異をスクリーニングするためには.塩基配列の決定による従 来の方法より,迅速かつ簡便な方法の開発が望まれていた。そこで申請者は緑膿菌のキノロン剤耐性関連の gγA遺伝子およびparC遺伝子の変異を検出するための,pOlymerasechainreaction(PCR)による遺伝子増 幅と制限酵素による切断に基づく簡易検出法を開発した。さらに開発された検出法によりの祓および卯疋遺伝 子変異を有する緑膿菌臨床分離株の複雑性尿路感染症患者からの分離頻度を検討した。 研究方法 1.緑膿菌臨床分離株としては.複雑性尿路感染症患者の尿より治療前に分離された57株を用いた。ニューキノ ロン剤としてはofloxacin(OFLX)を用い,minimuminhibitoryconcentration(MIC)を月本化学療法学会 標準法により測定した。 2.キノロン剤耐性に関与するgyTA遺伝子におけるThr-83およびAsp-87のコドン内の変異を検出するための PCRによる遺伝子増幅と制限酵素による切断とを組み合わせた簡易検出法を開発した。プライマーをデザイン して,野生株の訂鵬遺伝子であれば,艮把Ⅱにより144塩基対のPCR産物が106塩基対と38塩基対の2個の断片へ と切断され,また,Asp-87のコドンに変異がなければPCR産物は.mnfIにより114塩基対と30塩基対の断片へ と切断されるようにした。これらのプライマーを用いた遺伝子増幅の後,PCR産物の制限酵素による断片を電 気泳動することで,Thr-83およぴAsp-87のコドン内の変異の有無を判定した。 3.pα疋遺伝子上のキノロン剤耐性に関与するSer-80およびGlu-84のコドン内の変異の検出のためにも・の通達 伝子変異の検出法と同様にPCRによる遺伝子増幅と制限酵素による切断を組み合わせた簡易検出法を開発した。 人為的にミスマッチの1塩基対を含むプライマーを作成し,PCRによる遺伝子増幅およびガ加fIによる153塩基 対のPCRの切断を施行し,HinfIの切断の有無によりSer-80およびGlu-84のコドン内の変異の有無を判定した。 4.紗祓およ軸α′で遺伝子変異の簡易検出法による遺伝子検出の妥当性のコントロール菌株としてt今回の検 討に用いた臨床分離株57株中の紗通過伝子およびpα′で遺伝子のキノロン剤耐性決定領域の塩基配列が決定され ている6株を用いた。ー185-5.今回の検討で検出された蔚山およ軸α疋遺伝子変異を有する緑膿菌臨床分離株における変異の有無とOFLX のMIC分布との関連をWilcoxonranksumtestを用いて統計学的に検討した0有意水準5%未満を有意差とし た。 研究結果 1.今回開発された緑膿菌の紗山道伝子変異の簡易検出法で得られた結果はt コントロールとした6株の塩基配 列で得られていたgyrA遺伝子におけるThr-83およびAsp-87の変異より理論上導かれる結果と完全に一致した。 また,簡易検出法により.DNA抽出から8時間以内に蔚山遺伝子変異の検出結果が得られた。 2.今回開発されたpα祀遺伝子変異の簡易検出法で得られた結果はtコントロールとしたpα正漣伝子に変異を持 っ株の塩基配列から予測された結果と一致したopα祀遺伝子変異についても・8時間以内に結果が得られた0 3.今回開発された簡易検出法によって検討された57株の緑膿菌臨床分離株について,gγdおよぴpα疋遺伝子 変異を検討した結果,両遺伝子とも変異認めないものは26株(45・6%)ありt残りの31株(54・4%)で釘dおよ びpα疋遺伝子に変異を認めた0内訳はt gッ血遺伝子のThr-83のコドンのみに変異を有する薗株は8株(14・0%)・ Asp-87のコドンのみに変異を有する菌株は1株(1・8%),gyTA遺伝子のThr-83のコドンに変異を有し・Pa′C遺伝 子のSer-80あるいはGlu-84のコドンに変異を有する菌株は・それぞれ14株(24・6%)・2株(3・5%)であった0さ らに,8yrA遺伝子のThr-83およびAsp-87のコドンの両方に変異を有し・PaTC遺伝子のSer-80のコドンに変異を 有する菌株は6株(10.5%)であったopα祀遺伝子のみに変異を有する菌株あるいはpα疋遺伝子に2カ所の変異 を有する菌株は観察されなかった。 4.臨床分離緑膿菌においてOFLXのMICは.gyrAbよびpa′℃遺伝子に変異を有さない株では0・1FLg/mlから 12.5〝g/mlに分布したのに対してt gッ血道伝子のみに1カ所の変異を有する粗g腔摘伝子に1カ所の変異を 有しかつpα疋遺伝子に1カ所の変異を有する楓gッ通達伝子に2カ所の変異を有しかつpα疋遺伝子に1カ所の変 異を有する株では,それぞれ0.78pg/mlから200FLg/ml.25FLg/mlから400FLg/ml,50FLg/mlから400FLg /mlまでに分布した。gツ鵬遺伝子の1カ所の変異によりOFLXに対する感受性は有意に低下し・甜血遺伝子の2 カ所の変異とβαrC遺伝子の1カ所の変異のある菌株では感受性はさらに低下した0 論文審査の結果の要旨 申請者山羽正義は,緑膿菌の甜dとpα′C遺伝子におけるキノロン剤耐性関連遺伝子変異を検出できる簡易検 出法を新たに開発し,多数例におけるキノロン剤耐性機序の解析と疫学的検討を初めて可能にした0さらに本法 を用いることにより,臨床分離緑膿菌における両遺伝子変異株が54.4%と高率であり,変異株においてはOFLX 感受性が有意に低下していることを明らかにした。本研究の成果は緑膿菌のキノロン耐性に閲し疫学的に新知見 を加えたものであり,泌尿器科学ならびに感染症学の進歩に少なからず寄与するものと認められる。 [主論文公表誌] 緑膿菌の釘班とpαrC遺伝子におけるキノロン剤耐性関連遺伝子変異の簡易検出法の開発および紗班とβαガ遺 伝子変異を有する緑膿菌の複雑性尿路感染症患者からの分離頻度の検討 平成10年発行 岐阜大医紀46(2):101∼108