Title
フライアッシュの微量元素溶出挙動解明とその抑制法の開
発( 内容と審査の要旨(Summary) )
Author(s)
武山, 彰宏
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 工博甲第522号
Issue Date
2017-03-25
Type
博士論文
Version
ETD
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/56182
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。1 別紙様式第15号(論文内容の要旨及び論文審査の結果の要旨) 氏 名 ( 本 籍 ) 学 位 の 種 類 学 位 授 与 番 号 学 位 授 与 日 付 専 攻 学 位 論 文 題 目 学位論文審査委員 武山 彰宏(岐阜県) 博 士(工学) 甲第522号 平成29年3月25日 環境エネルギーシステム工学専攻 フライアッシュの微量元素溶出挙動解明とその抑制法の開発
(Leaching behavior of trace elements in fly ash and reduction techniques) (主 査)教授 板谷 義紀 (副 査)教授 神原 信志 准教授 小林 信介 論 文 内 容 の 要 旨 石炭は今後も重要な一次エネルギーとして需要が見込まれる。石炭は種々の微量物質を含有しており, 石炭利用プロセスから環境中に排出される。そのため,我が国では排水基準や有効利用する際の環境基準 が設定されている。石炭中の微量物質の中でヒ素は揮発-濃縮性のグループに属しており,微粉炭火力プロ セスにおいてそのほとんどがフライアッシュに移行される。またホウ素,セレンについてもその一部がフ ライアッシュへ分配されることが知られている。フライアッシュはその多くが有効利用され,一部が灰捨 地に埋立てられている。灰捨地にたまる余水を放流する際には排水基準を満足する必要があり,有効利用 に関しても土木分野への利用拡大には土壌環境基準を満足する必要がある。 本研究では灰捨地余水中のヒ素濃度を予測する手法の開発およびヒ素,ホウ素,セレンの溶出抑制法の 開発を行った。得られた成果は以下の通りである。 1)石炭火力発電所の灰捨地余水中のヒ素濃度を,石炭性状から予測する方法を検討した。サンプルには 実際の石炭火力発電所の2 つのユニットから採取された 22 炭種の原炭およびフライアッシュを用いた。ま ずはヒ素分配について,前述の通りヒ素はそのほとんどがフライアッシュ中に移行するためヒ素分配率は 原炭中ヒ素濃度と灰分から算出する灰基準ヒ素濃度でほぼ予測される。原炭性状から精度よくフライアッ シュ中ヒ素濃度を予測するため,さらに発電所ユニットによる違いを考慮してユニット別の予測式を作成 した。 2)ヒ素溶出は,灰基準CaO,灰基準ヒ素濃度でほぼ予測できる。2 号機については,Fe2O3の影響を加味 すると相関係数は向上した。ヒ素溶出においてはヒ素分配以上にユニットの違いが明らかになった。ヒ素 溶出率の予測式を開発した。 3)安価な溶出抑制剤としてペーパースラッジ灰とフィルターケーキに着目し,ヒ素,ホウ素,セレンの 溶出抑制効果の評価および溶出抑制メカニズムについての検討を行った。Ca(OH)2,PS 灰4種, FC につ いて混合物中Ca 濃度を 5 %および 10 %に調整してヒ素,ホウ素,セレンの同時溶出抑制効果を検証した。 FC 以外の溶出抑制剤は,すべて同時溶出抑制効果を示した。ただし,土壌基準を満足する溶出抑制材は, Ca=10 %調整の PS 灰(3)のみであった。ほかの溶出抑制剤は,Ca 濃度をもっと高くすれば土壌基準を満た すことができると考えられる。ヒ素,ホウ素,セレン溶出に特に影響ある因子としてpH, Ca, Na があげら れ,これらを因子とした評価指標(pH+Ca0。04+Na0。29)を作成した。この式により,溶出抑制材の適 正な混合率を計算することが可能である。 論文審査結果の要旨 本研究では,石炭火力発電において使用する石炭の性状から,ヒ素の溶出濃度を予測できる技術,およ びフライアッシュ中微量元素の溶出抑制技術を開発した。我が国では今後,より多種多様な石炭が使用さ れると考えられ,石炭灰の有効利用において本研究で開発した微量元素の同時溶出抑制技術は非常に有用 な技術である。 特に,ヒ素,ホウ素,セレンの溶出は,pH が高い領域でのカルシウムの添加により,不溶性カルシウム の化合物形態に転換できること,そのカルシウム源として廃棄物であるペーパースラッジ灰を利用できる こと,ペーパースラッジ灰のなかでも遊離性カルシウムに富んだものがより適していることを明らかにし た。
2 このように,本論文は有用な知見を数多く見出しており,新規性,有用性の点で優れていると評価でき ることから,学位審査委員会は,審査の結果,この論文を学位論文に値するもの判定した。 最終試験結果の要旨 学位審査委員会は,提出論文の基礎となる発表論文(査読付き論文3 編)の内容を確認し,平成 29 年 2 月 20 日に開催された学位論文公聴会における論文提出者との質疑応答と口頭試問などに基づいて審査を 行い,最終試験に合格と判定した。 発表論文(論文名,著者,掲載誌名,巻号,ページ) 発表論文(学位論文に直接関係するもの)
1) A. Takeyama, Shinji KAMBARA, Sri Hartuti, Farrah F. Hanum, The Leaching Characteristics of Trace Elements in Coal Fly Ash, Int. Workshop on Env. & Eng. 2014, CD-ROM No.215 (4 pages), 2014.
2) Sri Hartuti, A. Takeyama, S. Kambara, Arsenic Leachability and Speciation in Fly Ashes from Coal Fired Power Plants, Int. Workshop on Env. & Eng. 2014, CD-ROM No.214 (4 pages), 2014.
3) S. Hartuti, S. Kambara, A. Takeyama, K. Kumabe, H. Moritomi, Direct quantitative analysis of arsenic in coal fly ash, J. Analytical Methods in Chemistry, Vol. 2012, 6 pages, 2012.