1 【生物:第24章:試行錯誤からの学習と記憶 2015 年 兵庫医科大学 医学部一次試験 より 】 「恐怖」とは、人間が動物として生命を保持し、 生き抜くために必要な感情です。もしも「恐怖感」 がなければ、危険を察知することができません。人 間が生き延びていくために、太古の昔から、動物と しての原始的な感情である「恐怖」を持っているの でしょう。この「恐怖感」を味わっているとき、動 物の危機察知能力は最大限に発揮されています。あ たりを見渡し、景色の色や形状、臭い、音、何か異 常なことはないか、研ぎ澄まされた感覚と細心の注 意力で情報収集をしています。 恐怖をはじめとする感情は、大脳によって作り出 されています、特に「喜怒哀楽」といった基本的な 感情は【大脳辺縁系(大脳辺縁皮質)】によって作り だされます。人間は言語能力に優れていますので、 感覚情報に言葉による意味づけをしてしまい、さら に複雑な感情を生み出しています。さらにその複雑 な感情が人間行動にプラスに作用したりマイナスに 作用したりします。(話題が少しずれましたね) ところで、ネズミは泳げます。中でもドブネズミ やハツカネズミは泳ぎが得意と言えます。一方クマ ネズミは泳ぎが得意ではありません。今回の実験で はネズミの名前は特に記載されていませんが、元々 の「モリスの水迷路実験」ではラットが使用されて います。ちなみにラットとは、野生ドブネズミを改 良して作られた実験用の飼養変種です。従って泳ぎ は比較的得意ではと思われます。(ちなみに、Mouse はハツカネズミなどの小型ネズミ類を、Rat はクマ ネズミ属などの比較的大型のネズミ類をあらわす。) とは言うものの、自分の意思によらず足のつかない 濁ったプールの中に何回もたたき込まれ、必死の思 いで立ち泳ぎをさせられるわけですから、水面下に 隠れていた踏み台(避難用の足場)を発見できたと きは、正直ホッとしたのではと思います。そして、 あたりを見渡して、周辺の状況を入手するでしょう。 従って、踏み台の存在に気づかない個体=いつま でも泳ぎ続けている個体には、踏み台の存在を強制 的に教えなければなりません。そのため、一定時間 でタイムアウトして、強制的に踏み台の上にのせま す。最初のうちはきょとんとしていたネズミは、新 大陸を発見した!とは思わないでしょうが、ここは どこなんだ?と回りをグルッと見渡すことでしょう。 ところで海馬は大脳辺縁系の一部で、記憶や空間 学習能力に関わる器官です。最近の研究では、海馬 が近時記憶全般と長期記憶の導入(記銘)に重要な 役割をはたしていることがわかりました。今回の実 験も海馬の機能が重要なポイントになります。 【解答例】 問1 外部目印から踏み台の位置を推測させるた め、踏み台を直接目視できないようにする。 問2 避難用の踏み台の存在を認識させ,その位置 をプールの外側の目印で記憶させるため。 問3 ウ 問4 変異型 問5 大脳 問6 記憶に関わる海馬に遺伝子Xを導入すること で,変異型個体における試行錯誤による学習が回 復し,野生型と同様の傾向が現れる。
第47回の解答・解説
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1978年兵庫県西宮市生まれ。2001年慶應義塾大学総合政策学部卒業、