、148 (58) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ヤマ モト キヨ タカ山本清孝(昭和30
博士(医学) 乙第1404号平成5年11月19日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
胃癌十二指腸浸潤例の臨床病理学的研究 (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 笠島 武,丸山 勝一論 文 内 容 の 要 旨
目的 十二指腸浸潤胃癌は従来より予後不良とされ,リ ンパ節転移程度および転移様式の特異性が指摘され ている.1 オかし術前より確固たる方針のもとにリン パ節郭清が行われることは少なく,適切かつ合理的 手術の指針が確立されているとは言い難い.本研究 は十二指腸浸潤胃癌の臨床病理学的特選を検索し, 術前の画像診断にて評価可能な因子を導き,これを 切除手術におけるリンパ節郭清の指針とすることを 目的とした. 対象および方法 1978年から1988年までの11年間に東京女子医科大 学消化器外科学教室で切除した下部進行胃癌十二指 腸浸潤例106例を対象とした.これらの遠隔成績およ びリンパ節転移程度を,十二指腸浸潤のない下部進 行胃癌450例と比較検討した.また十二指腸浸潤胃癌 の切除標本上での,1)癌の十二指腸浸潤長,2)幽 門壁上の豊富達弁,3)幽門輪上の癌周占拠率(全周 に対する癌の占める程度),4)癌の十二指腸浸潤様 式(幽門輪上および十二指腸先進部の深達度の組合 せで,浅層型・深層型・全層型に分類)の4因子と 遠隔リンパ節である第3,4群リンパ節転移との相 関を検討し,次いで各因子をスコア化しこれをもと に判別分析を行った. 結果および考察 1.遠隔リンパ節である第3,4群リンパ筋転移率 および50%生存期間は,十二指腸浸潤胃癌で31%, 641日,下部進行胃癌で11%,1,926日であり,有意 に十二指腸浸潤の第3,4群リンパ節転移が高率で かつ予後が不良であった. 2.第3,4群リンパ節転移率は,1)十二指腸浸 潤長が10mm以上で40%,2)幽門輪上の深達度が 固有筋層以深で34%,3)幽門輪上の周占拠率が半 周以上で49%,4)十二指腸浸潤様式が深層型・全層 型で50%と高く,これら4因子は個々には遠隔リン パ節転移の指標になりうる.そこで各因子を3~5 段階に区分してこれをスコア化し,各々の因子がど の程度に第3,4群リンパ節転移率に関与するのか 判別分析を行った.この結果,.十二指腸浸潤長・幽 門輪上の深達度・幽門輪上の周占拠率・十二指腸浸 潤様式のスコアをそれぞれX1・X2・X3・X4とする とZ(X)=0.23・X1十〇.27・X2十1.19・X3十〇.61・ X4-6.23なる線形判別式が得られた.対象例でのこ の判別式による第3,4群リンパ節転移の正診率は 73%であった. 結論 十二指腸浸潤胃癌において,術前の画像診断によ り判定されたX、~X4のスコアを線形判別式に代入 し,この結果得られたZ(X)値の正負により第3, 4群リンパ節転移の有無を推定することが可能であ る.これは十二指腸浸潤胃癌に対する切除手術にお ける適切なリンパ節郭清の指標となりうるべきもの である. 一754一149