72 (19) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ハラダヨリカズ
和(昭和2
医学博士 乙第833号昭和62年7月10日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
左室Max(dP/dt)の非観血的測定法の開発:理論的基礎と動物実験
(主査)教授 今井 康晴 (副査)教授 高尾 篤良,教授 広沢弘七郎論 文 内 容 の 要 旨
目的 左室圧Pの時間微分の最大値左室Max(dP/dt)は 心収縮性を示す簡便な指標ではあるが,その測定には, 観血的測定法が用いられている.一方,大動脈起始部 の血流の加速度が心機能と関連があるという報告は, これまでにいくつかなされてきた.この両者の間には 理論的に一定の関係が存在するが,この関係が生体に おいてどの程度の精度で成り立つかを明らかにするた め動物実験を行い,左室Max(dP/dt)の非観血的測 定法の可能性を検討した. 理論 反射波の影響が現れる以前の脈波の立ち上がりの初 期には,PA-PO=ρcu(1)という関係が成り立つ. ここで,PA, POは時刻tと拡張末期の大動脈起始部 圧力,ρは血液密度,cは脈波速度, uは血流速度であ る.(1)式の両辺を時間tで微分するとdPA/dt=ρc du/dt(2)となる.駆出期には慣性力の効果を無視すれば狭窄等の病変がないかぎり左室圧PはほぼPA
に等しい.またdP/dtは大動脈弁の開く時点の直前 に,dPA/dtは直後に最大値をとるが,その時間差は小 さい.したがって,Max(dP/dt)≒Max(dPA/dt) (3)という関係が成り立つ.(2)よりMax(dPA/dt)= ρcMax(du/dt)(4)であるから(3),(4)よりMax (dP/dt)≒ρcMax(du/dt)(5)という関係が成り立 つ. 実験 雑種成犬7頭を用い,左第4肋間にて開胸し大動脈 起始部にカブ型電磁流量計プローブを装着し,左心耳 より僧帽弁を経由して左心室にカテーテル先端圧力計 を挿入した.一対のカテーテル先端圧力計を左右の大 腿動脈より挿入し,一個を上行大動脈内に,他の一個 口下行大動脈内に位置させた.測定された左心室圧P を微分してMax(dP/dt)を求めた.血流速度uは大 動脈血流量Fを大動脈起始部の断面積Aで割ったも のとし,これを微分してMax(du/dt)を求めた.上 行大動脈および下行大動脈に位置した圧力計により測 定された圧力波の時間差から脈波速度。を求めた.実 際の測定は,薬物負荷により心収縮力および後負荷を, 乳酸加リンゲル液の急速静注により前負荷を変化させ 行った.こうして得られた種々の循環動態のもとで, Max(dP/dt), c, Max(du/dt)を求め,これらの間 に成り立つ関係を検討した. 結果 実測されたMax(dP/dt)とρcMax(du/dt)の間 には強い正の相関(Y=1.01X-2, r=0.97)があった. 結論 Max(dP/dt)≒ρcMax(du/dt)という関係は,個 体を違えても循環動態を変化させても成り立つ普遍的 なものであることが,実験的にも裏づけられた.した がって,この関係を用いれば,cとMax(du/dt)を非 観血的に測定することにより左室Max(dP/dt)を臨 床的に求めることが可能である. 一736一73