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遅発性躁病の臨床像

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Academic year: 2021

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181 (62) 氏名(生年月日) 本 籍

学位の種類

学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

サカ モト カオル

坂元薫(昭和31

医学博士 乙第1061号

平成元年12月15B

学位規期第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 遅発性躁病の臨床像 (主査)教授 田村 敦子 (副査)教授 :丸山 勝一,羽生富士夫

論 文 内 容 の 要 旨

目的 遅発詠うつ病に関する研究の多さにくらべて,遅発 性躁病そのものに関する研究はほとんどないのが現状 である.本研究の目的は,退行期・老年期に見られる 躁病のなかでも,特にこの時期に初発する遅発性躁病 の多数例の統計的検討により,その臨床的特徴につい て明らかにすることである.なお本研究では50歳以降 に初発する躁病を遅発性躁病と定義した, 対象および方法 1950~1979年の30年間,ケルン大学精神科で生涯で はじめての精神科的入院治療を受け’,退院時,K. Schneiderの診断基準にしたがって躁病と診断された 47例の診療録を,著者がボン大学ならびにケルン大学 精神科に留学中に詳細に検討した.この患老を以下の 2群に分類した. 1.入院時50歳未満の患者(N=34,平均発症年齢 30.0歳,男19例,女15例)一早発性躁病群 II.入院時50歳以上の患者(N=13,平均発症年齢 59.6歳,男8例,女5例)一遅発性躁病群 これらの患者の症候外因弱ならびに精神病理学的症 状を比較検討したが,後老はAMDP(精神医学におけ る症状評価と記録の手引き)方式に準拠した. 結果 (1)症候外因子 頻度,性別,精神疾患の遺伝負因,1ife events,入院 期間について検討したが,遺伝負因を除き早発性躁病 群と遅発性躁病群の間に統計的有意差は認められな かった.遺伝負因は早発性躁病群に有意に多く見られ た. (2)精神病理学的症状 AMDP方式に従って,情動障害,精神運動障害,形 式的思考障害,妄想等の各項目に属する約60個の症状 の有無について検討した.その結果,「内的不穏」が早 発性躁病群に,また「演技的」,「緩徐」が遅発性躁病 群に,それぞれ有意に多く見られた以外は両群の間に は有意の差異は見られなかった. 考察 遺伝負因に関する本研究の所見は,うつ病のそれに 関する諸家の報告と同様であった.発病前のlife eventsはうつ病では一般に遅発群に多く見られると されるが,躁病に関する本研究ではそうした傾向は認 められなかった.またこれに関する報告はほとんどな く今後の課題と思われた. 退行期に見られる躁病の病像に関しては,不穏・錯 乱状態や躁うつ混合状態,妄想傾向等が目立つとする 報告が二,三ある.しかし遅発性躁病そのものの病像 特異性の有無を検討した報告は非常に少ないうえに, いまだ一致した見解は得られていない.本研究では, その臨床像に関して,遅発性躁病と早発性躁病の間に は差異は認められず,遅発性躁病の病像特異性を否定 する結果が得られた.この結果を,その病像特異性を 諸家が一致して指摘する遅発性うつ病と対比させ考察 した.そしてこの結果は,双極性感情面に属する単極 性うっ病に比し,より生物学的基盤を有するため,年 齢などの諸外的因子の病像賦形的な影響を受けにくい ことによるのではないかと推測した。 一783

(2)

182 結論 遅発性躁病の臨床像を早発性躁病のそれと比較しつ つ検討した.その結果,両者の間には臨床上意味があ るような差異が認められないことを明らかにし,その 理由についても考察を加えた.

論 文 審 査 の 要 旨

本論文は,K. Schneiderの診断基準に従って診断された50歳以降初発の遅発性躁病群(13例)と,若年期初 発の早発性躁病群(34例)との症候外因子ならびに約60項目の精神病理学的症状を比較検討したものである. 結果,両群間に臨床上特に意味のある差異は認められなかった.その理由について本論文では,年齢や状況因 子の影響を受けやすく幾つかの臨床的特徴が指摘されている遅発性うつ病と対比させて考察している. 数多い遅発性うつ病の研究に比して,これまでに殆ど発表されていない遅発性躁病の状態像を研究したもの で,臨床上,学衝上価値のある論文と認める. 主論文公表誌 遅発性躁病の臨床像 臨床精神医学 第18巻 第9号 1401-1410頁(1989年9月28日発行) 副論文公表誌 1)経過から見たK.Schneiderの一級症状と感情 病性症状との関係 臨床精神医学 15(12):1997-2005,1986 2)Kurt Schneider’s Schizophrenia-The picture of schizophrenia in a Schneider-oriented university clinic (タルト・シュナイダーの 精神分裂病一シュナ・イダーを指向する大学病 院における精神分裂病の病像について) Jpn J Psychiatr Neurol 41(2):171-178,

1987

3)Psychopathology of K. Schneider’s Mania(ク

ルト・シュナイダーの躁病の精神病理学) Jpn J Psychiatr Neurol 42(1):11-15,

1988

4)Nonpsychopathological Features of K. Schneider’s Mania(タルト・シュナイダーの 躁病の非精神病理学的特徴) Jpn J Psychiatr Neurol 42(1):17-21,

1988

5)残遺状態の見られた躁うつ病の1例 臨床精神医学 18(5):673-679,1989 一784一

参照

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