66 (20) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ハラ サワ ァリ ミ原澤有美(昭和3
医学博士 塵隠1184号平成3年4月19日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
軟部組織腫瘍のMRI
(主査)教授 重田 即吟 (副査)教授 平山 峻,相川 英三論文 内 容 の 要 旨
目的 従来より画像診断が困難であった軟部組織腫瘍に対 して造影MRIを含むMRI検査を行い,術前診断にお ける有用性について検討した. 対象と方法 手術または生検による病理組織診断および理学的所 見による臨床診断が行われた軟部組織腫瘍41例(脂肪 腫11例,血管性腫瘍9例,神経原性腫瘍7例,悪性腫 瘍14例)のMRI所見から腫瘍の形態,性状を観察し, 腫瘍内部の信号強度,造影MRIにおける信号強度の 変化を検討した.0.15T常伝導MR装置を使用し, T1 強調SE像, T2強調SE像を撮影した.造影MRIは,MRI用造影剤であるGd-DTPAの経静脈性投与を行
い,T1強調SE像を撮影した.撮像断面は横断像を中 心に冠状断像,矢状断像を選択して行った. 結果および考察 1.脂肪腫:全例ともT1強調SE像, T2強調SE像 共に高信号強度を示し,一方造影効果は認められな かった.これは脂肪のT1時間が短くT2時間が長いた めであることから脂肪腫に特異的な所見である. 2.血管性腫瘍:腫瘤の不規則な形態や進展範囲な どがよく描出された.T2強調SE像で筋肉と比べて強 い高信号を示したものが多く,これは腫瘤内に存在す る線維性,脂肪性隔壁で境された血管腔であると考え られた.また腫瘤辺縁および中心部に管状の無信号域 が認められ,これは拡張,蛇行した血管構造に相当し, 動静脈奇形に特徴的であった.造影効果は周囲筋肉と の信号強度比で1.23~1.76倍であった. 3.神経原性腫瘍:類円形腫瘤で,T2強調SE像で は筋肉に比べ高信号強度を呈したが,腫瘤の辺縁部で は高信号,中心部でやや低信号を示す層状構造が一部 の症例に認められた.これはT2時間の長いmyxoid matrixによる高信号域とその中心部の線維性組織に よるものと考えられ,神経原性腫瘍に高頻度で認められた造影効果は周囲の筋肉との信号強度比で
1.39~1.62倍であった. 4.悪性腫瘍:不整形で内部は不均一であり,T2強 調SE像では全例が高信号を示したが, T1強調SE像 では種々の信号強度が認められた.脂肪肉腫,横紋筋 肉腫の一部には辺縁平滑で内部の均一な腫瘤も認めら れた.造影効果は筋肉との信号強度比で1.64倍であっ た.また腫瘍と周囲組織,特に骨への浸潤はT1強調画 像において骨髄腔の信号強度の低下として描出され, これは治療方針の決定や治療効果の判定などにこれま でに無い情報を提供するものと考えられる. 軟部組織腫瘍は従来より行われているCTでは腫瘤 の同定,辺縁像の把握,周囲筋肉組織との関係の描出 が困難なことがあり,また血管造影では腫瘤に関与す る脈管像の描出は良好であるが,周囲組織との関係や 腫瘤内部の性状に対する情報が乏しい欠点がある. MRIはこのような点を明瞭に描出し,さらに造影 MRIの併用により,質的診断にも有用性が確認され た. 結論 術前診断の困難な四肢,躯幹の軟部組織腫瘍に対し てMRIは良好な組織間のコントラストが得られるこ 一670一67 とから,非侵襲的に腫瘍の存在,部位,性状診断が可 能であった.