における統計学的諸問題
著者
高桑 宗右ヱ門
著者別名
Takakuwa Soemon
雑誌名
経営論集
巻
31
ページ
1-22
発行年
1988-03-25
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005741/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja経営活動分析のためのシ ミュレ ーショ ン
技法におけ る統計学的諸問 題
高桑宗右ヱ門
目I H Ⅲ Ⅳ V 言 次 緒 シミュレーショ ン技法におけ る入出力データ データ収集と分布の特定化 出力 結果に関する統計学的諸問題言 献 結 文 1 I. 緒 言 シミュレ ーション技 法は, 実務において近年 最 も頻繁 に用いられ てい るシ ステム技法であ る〔1〕。特 にパ ーソナル・コンピ ュータを 含む コンピ.a.ータの 多 機能化 ・低 廉化 に よって, ます ます実用に供され るよ うになってきた。 本来, シミュレ ーション技法は代替案 の比較・評価 のため のシステ ム技 法 であ る2)。 シ ミ.a-レ ーション実験はいわば標本抽出実験であ るか ら,代替案 の比較・評価 にあた っては統計的分析が必要 であ る。従来, シ ミュレ ーショ ン技 法に関し てはモデル化や プ ログラミン グが強調されてきた のであ るが, 結果 の解析を含めた統計学的 側面 について統一的に論じ られ るこ とは少なか った。 そこで本稿 では,生産活動,流通・商業活動, サ ービ ス活動 など経営 活動 に対して, シ ミュレ ーション技法を実際 に適用する際0 統計学的 諸問題 につ い て考察す る。特 に, デ ータ収 集と入力デ ータの設定,お よび実験結果へ の 統計的手法 の適用 に分け て検討 する。n. シ ミュレ ーシ ョン技法における入 出力デ ータ1. 経営活動分析のためのシミュレーション技法の役割 シ ミュレ ーション技法は, 現実のシステ ムあ るいは将来構築し ようとす る システ ムに対し てモデル を 作成し , 時系列的 な 挙動を調べ るシステム技法 であ る。現実 のシステ ムに対し て 適用す る 場合 には, 作動(あ るい は 稼動 (働),営業)中 の状況を中断す ることなく,代替案(複数あ る場合 もある) と 現状 と の比較 ・評価が可能であ る。 また,将 来構築し よ うとす るシステ ムに 対し て適用す る場合には,実際 にそ のシステ ムや プロト タイプを構築す るこ とな く,手軽 に代替案 の比較 ・評価を 行 うことができる。 本稿では,以下に列 挙す る経営活動を 念頭 におい て, シ ミュレ ーション技 法を 適用する際の統計学的諸問題 について検討す る。1 ) 原材料(素材) から製品 に至る生産活動2 ) 流通( モノとヒト の流れ) や商業活動3 ) サービ ス活動 上記 のシステムの全体あ るい は一部 に対す るシ ミュレ ーション技法の適用 を念頭 に置 く。 2. シミュレーション技法の解析手順 実際 のシステムに対して,シ ミュレ ーション技法を適用す る際の手順を以 下 に列 挙す る。1 ) 問 題の認 識2 ) モデル の定式化3 ) 必要なデ ータの特定とデ ータ収集4 ) モデルの妥当性 の検証5 ) シ ミュレ ーション実験の計画6 ) シ ミュレ ーション実験 の実施7 )‥ ヽンミュレ ーショソ結果 の解析8 )-y ミュレ ーション結果 の解 釈と意思決定 3. シミュレーション技法における入出力データの位置づけ 前節 で述 べた解析手順において, デ ータ(標本)を扱 う段階 としては,3 ) 必要 なデ ータの特定とデ ータ収集, お よび5 )ないし7 )のシ ミュレ ーション実
経営活動分析のためのシ ミ ュレ ーショ ン技法における統計学的諸問題3 験 に 関 す る 計 画 ・ 実 施 ・ 統 制 か お る 。 本 稿 で は , 前 者 に お け る デ ー タ を 入 力 デ ー タ と 呼 び , そ し て 後 者 に つ い て は 出 力 デ ー タ と 呼 ぶ こ と に す る 。 両 者 の 間 で は , デ ー タ の 性 質 ・ 内 容 は 異 な る の で , 当 然 デ ー タ の 取 扱 い 方 は 異 な る 。 し か し , シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 実 験 を 実 施 す る 場 合 に は , 生 産 活 動 , 流 通 ・ 商 業 活 動 , サ ー ビ ス 活 動 を 問 わ ず , 共 通 し た 入 出 力 デ ー タ の 特 徴 が 存 在 す る 。 ま ず 入 力 デ ー タ に つ い て 考 え て み る 。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ・ モ デ ル を 構 築 す る た め に 必 要 な 入 力 デ ー タ と し て は , モ デ ル の 物 理 的 条 件 を 規 定 す る デ ー タ が 必 要 で あ る 。 た と え ば , 機 械 の 台 数 や オ ペ レ ー タ の 数 , コ ン ベ ヤ の 速 度 な ど が こ れ ら に 相 当 す る 。 特 に 統 計 的 な 検 討 が 必 要 な 入 力 デ ー タ と し て は 次 の 事 項 が 挙 げ ら れ よ う。1 ) エ ン テ ィ テ ィ の 発 生 時 間 間 隔 例 )・ ジ ョ ブ や 客 の 到 着 時 間 間 隔 ・ 機 械 故 障 の 発 生 時 間 間 隔2 ) エ ソ テ ィ テ ィ に 対 す る サ ー ビ ス 所 要 時 間 例 )・ ジ ョ ブ 加 工 ( 処 理 ・ 作 業 ) 時 間 ・ 客 と の 応 対 時 間3 ) 移 動 時 間 例 )・ ジ ョ ブ や 客 の 移 動 に 要 す る 時 間 ・ ロ ボ ッ ト や 自 動 搬 送 車 の 移 動 時 間 他 方 , シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 実 験 の 結 果 得 ら れ る 出 力 デ ー タ と し て は , 次 の 事 項 が 挙 げ ら れ よ う 。1 ) エ ソ テ ィ テ ィ の シ ス テ ム 内 ( 部 分 シ ス テ ム の 場 合 を 含 む ) 滞 留 時 間 例 )・ あ る ジ ョ ブ が 素 材 と し て 到 着 し て か ら 完 成 品 と し て 出 荷 さ れ る ま で の 所 要 時 間 ・ 客 が 店 に 到 着 し て か ら サ ー ビ ス を 受 け て 帰 る ま で の 時 間2 ) 稼 動 ( 働 ) 率 ・ 利 用 率 例 )・あ る 機 械 の 稼 動 率 ・ あ る オ ペ レ ー タ の 作 業 を し て い る 時 間 の 割 合3 ) サ ー ビ ス 待 ち ( 待 ち 行 列 内 ) の エ ソ テ ィ テ ィ 数 例 )・あ る 工 程 間 の 仕 掛 在 庫 数 ・ 窓 口 に 対 し て 並 ん だ 客 の 人 数4 ) サ ー ビ ス 済 み の エ ソ テ ィ テ ィ 数
例)・完 成した製品 の数 ・店 の窓 口で用 件が済んで帰っていった客 の人数 Ⅲ。データ収集と 分布の特定化1. データ収集n.2 で述べたシ ミュレ ーショ ン技法 の解析手順におい て, ステ ップ3 で必 要 なデ ータを 特定化して,適正なデータ収集方法に よりデ ータを 得ることは, 妥当性のあ るモデルを構築す ることと同様に重要な作業 であ る。 たとえ モデ ルを“正し ぐ 構築し た とし て も,正し くない入力 デ ータを用い てジ ミュレ ーシ3・ン実験を 実施し て得られた結果 は,当然 のこ とながら,妥当 性を欠 く ものとな る。 従来,シ ミュレ ーシa ンのモデル化に関す る文献 は, 種 々のシ ミュレ ーシ ョン言 語につい て用 意されてい るが, シ ミュレ ーション実験に関し て必要な デ ータの収集方 法や,収集し たデ ータの解析方 法に関し て系 統的に指摘し た 文献 はほと んど見当 らない。そこで, ここでは,生産活動, 流通・商業活動, サ ービス活動な どを念頭 においた経営活動を分析す る場 合に,デ ータ収集に あ たって採られ る方策 につい て検討し,シ ミュレ ーショ ン実験 の入力デ ータ として頻出す る確率分布 について考察を加える。そし て,得 られたデ ータか ら母集団の分布形 を特定化し,そ のパラノ ータを推定す るまでの手順 につい て述べる。なお, ここで は,現実の場で実用に供し やすい よ うに統一的 に整 理して論述す る。 2. データ収集方法 上述 のようにシ ミュレ ーション実験 において,入力 デ ータ の主要な部分は, 分布(定数を含む)を 特定し て,そのパラメータを推 定するこ とであ る。そ のために は,必要なデ ータ(あ るいは情報)を収 集し なけれ ばな らない。 一般に, シ ミュレ ーション実験では,デ ータは次の2 種類 に性質上分類 さ れる。 ケ1 ) 時 間2 ) 数量-y ミュレ ーシ ョン実験自体は時系列的な推移を観察す るのであ るから,入 力 データも時間に関す る ものが大部分を占める。 エソテ ィテ ィのシステ ムへ
経営 活動分析のた めのシ ミュレ ーシ ョン技法にお け る統計 学的諸問題5 の 到 着 時 間 間 隔 や , エ ソ テ ィ テ ィ の サ ー ビ ス 時 間 な ど を 直 接 測 定 す る た め に は ス ト ッ プ ・ ウ ォ ッ チ を 用 い る 。 ま た , 数 量 を 数 え る た め に は カ ウ ン タ ( 数 取 器 ) を 用 い る こ と に よ っ て 直 接 測 定 す る こ と が で き る 。 伝 統 的 なIE の 手 法 と し て , 間 接 的 に 作 業 時 間 ( 上 記 の サ ー ビ ス 時 間 に 相 当 ) を 見 積 るPTS (Predetermined-TimeStandard ) 法 か お り , 主 と し て,WF (WorkFac-tor ) 法 とMTM (MethodsTimeMeasurement ) 法 が 用 い ら れ て い る 。WF 法 で は , 使 用 身 体 部 位 , 移 動 距 離 , 重 量 / 抵 抗 , 動 作 の 困 難 性 を 考 慮 し て , 対 象 と す る 作 業 を 分 析 し て 動 作 時 間 を 設 定 す る 。 ま たMTM 法 で は , あ ら か じ め 設 定 さ れ て い る 基 本 動 作 に よ っ て 対 象 作 業 を 分 析 し て 動 作 時 間 値 を 定 め る 。 こ れ ら 両 手 法 は オ ペ レ ー タ ( 人 間 ) に よ る 作 業 時 間 に つ い て,「 標 準 時 間 」 を 設 定 す る と き に 用 い ら れ る も の で,1 点 見 積 り の 一 種 で あ る 。 機 械 加 工 時 間 に 関 し て は , 機 械 別 , 加 工 材 質 , 加 工 寸 法 , 精 度 な ど に よ っ て , 標 準 時 間 が 得 ら れ る こ と が あ る 。 機 械 加 工 時 間 は オ ペ レ ー タ に よ る 作 業 時 間 と 異 な り , 実 際 の 所 要 時 間 は バ ラ ツ キ が 少 な い と 考 え ら れ る 。 し か し , 異 な る ジ3 ブ ( 工 作 物 ) を 同 一 機 械 で 加 工 す る 場 合 に は , ジ ョ ブ の 内 容 に よ っ て 加 工 時 間 に は バ ラ ツ キ が 生 ず る 。 ま た , 作 業 日 報 な ど 過 去 の 実 積 か ら あ る 程 度 見 積 り を 行 う こ と が で き る 場 合 も あ る が , 正 確 性 に 問 題 か お る こ と も あ ろ う 。 流 通 ・ 商 業 活 動 , サ ー ビ ス 活 動 に お い て は , 解 析 の 対 象 が 客 あ る い は 品 物 で あ り , ス ト ッ プ ・ ウ ォ ッ チ , カ ウ ン タ に よ る 直 接 観 測 や , 経 験 的 な 見 積 り , 過 去 の 実 績 な ど に 基 づ い て , 入 力 デ ー タ の た め の 分 析 が 行 わ れ る こ と に な る 。 3. 確率分布 (1) はじ めにin.2 でデ ータを収集し たあ とで,ヒスト グラム( 柱状 度数図) や点状度数 図などにデ ータを まとめ ることが行われ る。そし て, どの ような母集団から デ ータが得られた のかを推定することが必要 とな る。す なわち,母集団の確 率分布を特定 化し,そし てそ のパラメータを 推定し なけ ればならない〔2〕。 ここで は,生 産活動を はじ め流通・商業 活動,サ ービ ス活動 などで, シミ ュレ ーショ ン実験 の入力デ ータとして よく用い られ る確率分布 について,特 長を分類 ・整 理し検討を加える。確率分布 とし ては,一 様分布,三 角分布, 指数分布,正 規分布,ポアソン分布, ワイブ ル分布 をと りあげ る。各分布に
表1 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 実 験 で 確 率 分 布 パ ラ メ ー タ 平 均 分 散 一 様 分 布 4 : 最 小 値 ろ: 最 大 値 μ=-と(α十 ろ)a^ =ム(ろ− α) 三 角 分 布 α: 最 小 値m : モ ー ド ろ: 最 大 値 μ=古(a 十m 十b)a^ こム{α(a −m) 十b(b −a) 十m(m −b)} 指 数 分 布 μ: 平 均 -ぴ2 ニ μ2 正 規 分 布 μ: 平 均a: 標 準 偏 差 -ポ ア ソ ン 分 布 μ : 平 均 -(t2 = μ ワ イ ブ ル 分 布 α : 形 状 パ ラ メ ー タ β: 尺 度 パ ラ ノ ー ク μ=β^''^r(i十去) が= β2/a[<^ 十jy) 。 万 言)]
経営 活 動 分 析 の た め の シ ミ ュレ ー ショ ン 技 法 に お け る統 計 学 的 諸 問 題7 頻 繁 に 用 い ら れ る 確 率 分 布 確 率 密 度 関 数 /(")  ̄ ろr α(a<x<b) 卜 言 読 ご 。) (a<x<m. )/ (め =レ 享 三あ 二ずし 萌 (m ぐz<b ) /( 匍 =フe- 皿^ (x ≧o) /(x) − 士 ・≪ 紆( 芋)2](-OO くJ くoo) p(x )一 三 ド ( ヱ=0 ,1,2 … ) ■ ● 'x) =苦-X;a-l^- ゛ り 収 ≧O)
f(x) 1 -4 /(・r) 上2 /(功 ユ 0 0 0 1 1 1 ㈲ 一様分布 2 (b) 三 角 分 布 23 (c) 指 数 分 布 4 5 5 X j 「 j『 図1 種 々 の
確率分布 経 営 活 動 分 析 の た め の シ ミ ュレ ーシa ン 技 法 に お け る統 計 学 的 諸 問 題9 R め0.50.40.30.20.1 0 −o 0 (d)正 規 分 布 1 23 ㈲ ポアソン分布 図1 種 々 の 確 率 分 布 3 4 5 J
つ い て ,確 率 密 度関 数 , シ ミ ュレ ーショ ン実 験 にお い て 指 定 す る パ ラ メ ー タ ( 母数 ), 平 均 と分 散 につ い て表i に まとめ る3)。 以 下 に 記 号 を 定 義 す る。 α= 最 小値& = 最大 値wz = モ ード び=形 状 パ ラ メ ータ β=尺 度 パ ラ メ ータ μ=平 均a = 標 準 偏 差 そし て, ヱ=確 率就 数 九 ヱ)=確 率密 度 関 数p (x) =確 率 関 数 ‥ とす る。 また ,各 分 布 の 概形 を 図1 に ま とめ て示 す。 (2) 一 様分 布 (uniformdistribution ) 一 様 分布 で は, 最 小 値 (a )と 最大 値 (b) の2 個 の パ ラA タ で 指 定 す る。 し た が っ て2 点 見 積 りと な る。 区 間[a,b ] に デ ータが 落 ち る と い う確 証 は あ っ て 乱 そ れ 以 上 の情 報 が得 ら れ ない 場 合 や, 区 間 の長 さ に 比 例し て そ の 区 間 に落 ち る確 率 が 増 加 す る と見 込 ま れ る場 合 に用 い ら れ る。 (3) 三 角 分 布 (triangulardistribution ) 三 角 分布 で は ,最 小 値(a ).モ ード(m ),最 大値 (b) の3 個 の パ ラ メ ータ で指 定 す る。 し た が っ て3 点 見 積 りであ る。 図1 (b)に示 す よ うに, 区 間[a,g ] で直 線 的 に増 加 し , そし て 区 間[m,h ] で は直 線 的 に 減 少 す る。 そ のた め , こ の よ うな 分 布 形 が 妥当 と 思 われ る場 合 に採 用 さ れ る。 (4) 指数 分 布 (exponentialdistribution ) 指数 分 布 で は, パ ラ メ ータ は平 均 (μ) の1 個 であ る。 分 布 形 を特 定 す る 場 合 に は,μ は 未 知 で あ るか ら, 標 本平 均 で もっ て推 定 す る。 指 数 分布 は, エ ン テ ィテ ィの生 起 が他 の生 起 と独 立 で微 小 時 間 間 隔AX で た だ 一 度 の生 起 が生 ず る確 率 は ∠iヱ に比 例 す る場 合 に適 用 され る の で, 特 に エ ン テ ィテ ィ(客 , ジ ョ ブ な ど) の到 着時 間 間 隔に よ く用 い られ る (m.4 の 数 値 例 を 参照 の こ と )。 また,X 時 間単 位 続 い た ア クテ ィビ テ ィが,次(7T)∠jエ
経営 活動分析 のた めのシ ミュレ ーショ ン技法におけ る統計 学的諸 問題11 時 間 内 に 終 了 す る 確 率 はX の 大 小 を 問 わ ず 一 定 で あ る と い う 指 数 分 布 の 性 質 よ り , 偶 発 故 障 の 確 率 密 度 と し て も 用 い ら れ る 。 指 数 分 布 の 分 布 形 は 図l (c)に 示 す よ う にwAj=W で 最 大 で あ り ,>r>0 で 単 調 減 少 で あ る 。 ㈲ 正 規 分 布 (normaldistribution ) 正 規 分 布 で は , パ ラ メ ー タ は 平 均 ( μ) と 標 準 偏 差 (○ の2 個 で あ る 。 分 布 形 を 特 定 化 す る 場 合 に は , μ と 叫 ま未 知 で あ る か ら , そ れ ぞ れ 標 本 平 均 と 標 本 標 準 偏 差 を 用 い る 。 ヶ 正 規 分 布 は 作 業 時 間 な ど の サ ー ビ ス 時 間 と し て 一 般 に 用 い ら れ る 。 多 く の 統 計 的 手 法 が 正 規 分 布 を 基 礎 と し て お り , 統 計 学 に お い て 最 も 重 要 か っ 基 本 的 な 分 布 で あ る 。 (6) ポ ア ソ ン 分 布 (Poissondistribution ) ポ ア ソ ン 分 布 で は , パ ラ メ ー タ は 平 均 (μ) の1 個 だ け で あ る 。 分 布 形 を 特 定 化 す る 場 合 に は , μ は 未 知 で あ る か ら , 標 本 平 均 を 用 い る 。 ポ ア ソ ン 分 布 は 離 散 分 布 の1 つ で あ る 。 典 型 的 に は , エ ン テ ィ テ ィ の 到 着 時 間 間 隔 が 指 数 分 布 に 従 う と き , 到 着 数 は ポ ア ソ ン 分 布 に 従 う の で , こ の よ う な 状 況 下 で 用 い ら れ る 。 (7) ワ イ ブ ル 分 布 (Weibulldistribution ) ワ イ ブ ル 分 布 で は , 形 状 パ ラ ノ ー タ (a ) と 尺 度 パ ラ タ ー タ (β) の2 個 の パ ラ メ ー タ か お る 。 ワ イ ブ ル 分 布 は 設 備 ・ 機 器 り 信 頼 性 を 考 慮 す る 場 合 に よ く 用 い ら れ る 。 特 に , αく1 の 場 合 に は 初 期 故 障 型 を , ま た α=l の 場 合 に は 指 数 分 布 型 と な り 偶 発 故 障 型 を , そ し て α>l の と き に は 摩 耗 故 障 型 を 表 現 す る こ と が で き る 。 4. 分布の特定化 前節では,シ ミュレ ーション実験 におい て入力デ ータとし て頻繁に用いら れ る主要な確率分布について検討し整 理し た。 スト ップ ・ウ ォッチやカウン タを用い て直接収集し たデータをヒ スト グラム等にまとめ, さらにデ ータの 特長などを考慮す ることにより,分布形を 特定す ることが可能とな る。特に 一 様分布や三 角分布 などを特定化す る場 合には,アナリストがパラメータに つい ても設定す ること もあろ う。
特 定 し た 分 布 に 対 し て 適 合 性 を 調 べ る 方 法 とし て カ イ2 乗 適 合 度 検 定 (chi-squaretestforgoodnessoffit )を適 用 す るこ と が で き る。 ゐ個 の パ ラ メ ータ を 推 定 値 とし て 用 い た 場 合 の χ'適 合 度検 定 の手順 を 以 下 に示 す。 [ ス テ ップ1 ] 大 き さn の デ ータ (標 本 )を 得 る。 適 宜 の 大 き さ の級 に 分 け 事 象 (級 )A に 落 ち た デ ータ の観測 度数 を 几 とす る。 て ス テ ップ2 ] ス テ ップ1 で 得 られ た結 果 か ら母 集 団 の確 率 分 布 を直 観的 に推 定 す る。 そし て, 玉 (i=l,2, …,r ) がそ れ ぞ れ 期 待 値 がi で 起 こ る と され る帰無 仮 説 を設 定 す る。 す な わち 。Ho: 石 =n θu,五 二 祁∂2,… ,ら= 冗碍 こ こ に,di 十θ2十… 十 碍=i であ る。 な お,ndi>5 であ るこ とが 必要 で あ る。 [ ス テ ップ3 ] 次式 の値 を 求 め る。 Σ (fi 一 心 が/.n ― 刄仇 (1 ) [ ス テ ップ4 ] 刈>Xr ーk-i:aの場 合 に は ,帰 無 仮 説Ho を 棄 却 す る。 さ も な くば,Ho を 採 択 す る。 5. 数値例1 あ る食堂 へ到 着する客( グル ープめ場 合を含む) の時 間間 隔を測定し フ ィ ールド・デ ータを 得た。 客 の到着時間間隔について, 分布 型を特定し, パラ メヽヽタを推定す る。 [ ステップ1 ] デ ータ の大きさ(n) は44であ り,級分け を行 う。 [ ステ ップ2 ] ステップ1 より,時刻X が大 きくな るに従い 観測度数が減 少す るのがわかる。 そこで,指数 分布とみなせ るか否かを検討 する。 すると,44 グル ープの客の うち, 到着時間間隔がXi-1 と 心 の間 に到 着す るグル ー プ数 は ndi °44(e23.so − ゛ ̄23.径) (^=1,2, …,r ) と推定される。ここに標本平均は23.80 である。 すべての 浙i が5 以上 に なるようにくみわけした後の結果を表2 に示す。
経営活動分 析のた めのシ ミュレ ーシ ョン技 法におけ る統計学的諸問 題13 表2 く み わけ 後 の 結 果
● 1
級 の 境 界 標 本 の 観 測度 数,fi 期 待 値,ndi ( 石 −7晩)2ndi 1 2 3 4 0 ∼1516 ∼3031 ∼4546 ∼ 22 12 5 5 20.57 10.96 5.83 6.64 0.099 0.099 0.118 0.405 44 44 0.721 [ ステップ3 ] Σ(fi 一如 が χO− 孔仇 =0.721 を得る。 α=0.05 に とれ ばy2;0.05 =5.991 に こに, 自由度は4 −1 −1=2 。)であ る。 [ ステップ4 ] このデ ータが指数分布からとられた標本とみな せるとい う 仮説を採択し ,そし て分布 の平均を23.80(秒)と推定す ることが できよう。 IV. 出力結果に関する 統計学的 諸問 題1. 終結システムと非終結システムm では入力デ ータに関す る統計学的問題の うち,特にデ ータ収集と分布型 について検討した。 もう一 方 の統計学的問題 とし て, 出力 に関す る解析 に関 す る事項があ る。 シミュレ ーション・ モデルで は,一般に1 つ以上の確率的要素(入力 デ ー タに対応す る) が含 まれ てい る。したがって,シ ミュレ ーショ ン実験 はい わ ば標本抽出実験 懲あって,あ る乱数集合に対す るシ ミュレ ーション・モデ ル の応答を観測す るものと解釈でき る。そのため,別 の乱数集合を用い て,同 じモデルに対し て実験を繰 り返 すことができる。実行 の度ご とに1 組 の応答 を得ることがで き,それ らのデ ータ間にバラツキが生ず る。そ のため,唯1 回 のシミュレ ーション実験 に よる結果 だげ でバ真 の”シ ステム応答 とみなす ことはできない。 このこ とが出力結果 に対して統 計的検討 が必要 な理 由であ る。
出 力結 果 に 関 し て 統計 的 な 検討 を 行 う際 に , シ ミ ュレ ー シ ョ ン ・モ デ ルが (1)終 結 シ ス テ ム(terminatingsystem )で あ るか. (2)非 終 結 シ ステ ム(non-terminatingsystem )であ るかを 区 別 し なけ れ ば な らな い4)。 こ こ に,終 結 シ ス テ ム と は, 定 め ら れた時 間 (条 件 ) にな る と ア クテ ィビ テ ィを 終了 す る も のを い う。 た とえば , 銀 行 の窓 口 は午前9 時 よ り午後3 時 ま で営 業 す る の で 終 結 シ ステ ムで あ る。 こ れ に対 し て, 非 終 結 シ ス テ ム と は, ア クテ ィビ テ ィの 終了 を 規 定 しな い ものを い う。 た とえ ば , 電 話交 換 作業 な どは , オペ レ ー タ は交 替 す るか もし れ ない が, 電 話 交 換 作 業 自 体 は 続 け られ る。 終 結 シ ス テ ムで は, シ ス テ ム の初期 状 態 と終 結 条 件 が 定 め ら れ てい る ので , 実 行 長 さ は操 作 で きな い。 し た が っ て, デ ータ 数 を 増 加 さ せ るに は, 異 な る 乱 数 を 用 い て 実行 を 繰 り返 せ ば よい 。 一 実 行 内 の観 測 値 は互 い に 関 連し てい る こ と もあ る が, 実 行 間 の観測 値 は独 立 と考 え て よか ろ う。 し た が って, 各 実 行 か ら 得 られ た 観 測 値を デ ータ とす れ ば , 出力 解 析 のた め に, 種 々 の統計 的 手 法 を適 用 す る こ とが で き る。 非 終 結 シ ス テ ムで は, 一 般 に定 常 状 態 にお け るパ フ ォ ーマ ン スに関 心 があ る。 非 終 結 シ ステ ムの デ ータ の取 扱 い に際 し て は , 初 期 条 件 の影響 や ,観 測 値 の個 数 な ど, 解 析 を 進め る うえ で 複雑 な 問 題 が 多 く存 在 す る。 こ こで は, 終 結 シ ス テ ムにつ い て検討 す る。 2. 出力結果の分類 終結 システ ムについて,内容から出力結果を 分類す ると次のようになる。1 ) エンテ ィテ ィのシステ ム(サブシ ステ ム) 内滞留 時間2 ) 被処理エソテ ィティ数3 ) 総処理時間4 ) 稼動(働) 率,利用率5 ) 待ち行列, 仕掛品 また,1 回 の実験に よっ て得られる観測値 の性質や 個数 の観点から,次の よ うに分類 され る。 ① システ ム(サブシステム)を 通過し たエン ティテ ィの個数だけ観測値 が得 られ るもの:上記分類1 )。 ② 観測値が1 個だけ得 られ るもの:上記分類2 ),3 )。 ③ 観測値が一 実行内で時系列的 に変 化する もの:上記 分類4 ).5)。
経 営 活 動 分 析 の た め の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 法 に お け る 統 計 学 的 諸 問 題15 上 記 ① に つ い て は ,1 回 の 実 験 で も っ て エ ソ テ ィ テ ィ の 個 数 だ け デ ー タ が 得 ら れ る 。 ま た 上 記 ③ で は , シ ミ ュ レ ー シ3 ン 時 間 に 対 し て , 平 均 , 標 準 偏 差 , 最 大 値 , 最 小 値 と い っ た 値 が , 実 験1 回 に つ き そ れ ぞ れ1 個 だ け 得 ら れ る 。 そ し て , ② で は , 実 験1 回 に つ い て1 個 の デ ー タ が 得 ら れ る 。 し た が っ て , ② お よ び ③ に つ い て 統 計 的 手 法 を 用 い て 解 析 を す る た め に は , 異 な る 乱 数 を 用 い て 実 験 を 繰 り 返 す 必 要 が あ る ○ ニ ■ 3. 統計的推定 (1) はじめに ・。 終結システ ムに対し ては, 実行長さ は操作できないので, デ ータ数を増加 させるには,実 行回数を重 ねなけ ればならない。一実行内 の観測値は互い に 関連があることもあ るが,各実 行間の観測値は独立であ る。し たがって,従 来 の統計的手法 の多 くを適用し て, 統計的推定や統計的 検定を実 施す るこ と ができる。そ こでIV.3では統計的推 定につい て考察を加え,そし てIV.4 では 統計的検定につい て考察す る。本稿 では, シミュレ ーシ ョン技法を実際に適 用 する際に,基本的 に考慮し なければ ならない重 要な問題に限定す る。 (2) 平均 の区 間推定量 ダ 終結システ ムにおい て,あ る応答 の信頼区間を 得るために,N 回の実行を 繰 り返す ものとす る。以下 本稿で は, 心 をj 番 目の実行におい て応答し た変 数 の値とする。 / 標本平均 は次式 で与え られ る。 :1y^ =− Σ 蜀 (2 )N 轟 そして,標本分散 は次式 で与 えられ る。 ^2 − 1 Σ( 句−x) ぶ−1 ぶ いま≫^j を独立 と仮定すれば,X の標本分散は次式 で与えられる。 昌 (3 ) (4) ず −X もし^f が正 規分布 に従 うものとすれば, μ=E (x) に対す る (l−α)×100 %信頼区間は次式 で与え られ る。 ‥ ……
|X −tN-l;a/2孚 くμ<x 十tN-\\≪/2孚 \/ (5 ) ここに,tN- \;,/2は自由度N −1 のZ 分布 の上 側a/2 点 である。/ 実行間 にお いて,異なる乱数を用いて繰 り返し 実行し てい るのであるから, 町 は独立 であ る。 もし 勾 白身 が平均システ ム滞留時 間のごとく平 均であれ ば,中心極限定理 より正規性を仮定し て よい。 もし 勾 が各実行におけ る最 小 観測値 もし くは最大観測値であ るならば,正規 性は疑 わし くなるが,実行 回数が多い (20以上)場合に は,実務上問題 は生じ ない であろ う6ト (3) システ ム応答 の分布 前節で は,1 回 の実行につ き1 個の観測値 (デ ータ) が得られ る場合の平 均 の区間推定量 について検討し た。 ここで は, 観測 値が落ち る区間と確率に ついて検討す るo 観測値 が正 規分布 とみなせる状況下 では,観 測値(デゞ タ) は次 のように な る。1.1 ) 観測 値のお よそ99.7% は区間 (x −35 ,x +3s) に落 ち る。1-2 ) 観 測値 のおよそ95% は区間 (x −2s,x +2s ) に落ち る。1.3 ) 観測 値のお よそDO% は区間 ( ■X−S,X,+5) に落 ち る。1.4 ) 観 測値 のおよそ50% は区 間 (^ 一晋ん^ +こ う に落 ち る。 また,次 の ように表 現す ることもできよ う〔3〕‥2.1 ) 観 測値 の99% は区間 (−oo,x +2.326s) に落 ち る。2.2 ) 観測 値の95%は区間
経 営 活 動分 析 のた め のシ ミ ュレ ―シ ョ ン技 法 に お け る 統 計 学的 諸 問 題17 トoo,^ +1.645 め に 落 ち る 。 4. 統計的検定 (1) はじ めに 前節では統計的推定につい て検討し た。 従来の統計学 の枠組 みのなかで, 統計的 検定 に関して も同様に検討するこ とができる。 ここでは,実用上最も 基本的かつ重 要と考えられ る以下 の3 件 に関し て考察す る〔4〕。1 ) 等分散 性の検定 ヶ2 ) 平均 値 の差 の検定3 ) 分散 分析 ▽ 十 六 丿 上記 の各検定 において,1 )と2)について は2 つ め異な る実験条件(入力デ ー タ) のもとにシ ミュレ ーション実験を 実行す る際に用い られ る。また3)につ い ては,3 つ 以上の異なる実験条件あ るい は複数 の要因(入力 データの種類) の もとに実験を実行す る場合に,実験条件・因子 間でシステ ム応答に差異 が 認 められるか否かを判定す るのに用い られ る。 (2) 等 分散 性の検定 ノ2 組の観測値につい て,互いに独立な正規 分布 からの標本であるとする。 ( 標本の大 きさが“大 きい” 場合には問題 はない 。) 母 分散をそれぞれ 吐 昭 とすると き,次の仮説 召,: を対立仮説 私 : d 一 司 ^1 一 昭 1 ≠1 (6 ) (7) に対して, 標本 の大 きさNi,N2 お よび標本分散2 起 を基にlOO α% 有意 水準で検定す る。 すなわち,この両側 検定 の棄 却域は次式を満たす(sisi) の値 の集 合であ る。 肩 河 あ る い は くFn, −uJV2-l;l-a/2 (8 )
>jPjVi −1タiV2−l;a/2 (Ni −l)sl十(A^2−l戻Ni +筑 −2 W 二 と を 考 え る〔5〕。 こ に (9) (10) (m (12) (13) (14) 肩 一 肩 ここにiFni-1,Ni-l; 。/2は自由度 (Ni −l,N2 −l) のF 分布 の上 側 α/2 点 であ る。 く 十 (sisi )が上式 を満足す るとき,100 αが有意水準で パ と 娼 は有意 に異な ると判断し,2 つ の異な る実験条件のもとで得られ るシ ステ ム。応答 の分散は 異な ると判断す る。 ニ ダ 十 丿 ニ (3) 平均の差 の検定 等分散性の検定 の結果 ,2 つ の異なる実験条件 のもとで得ら れるシステ ム 応 答について,そ れら の分散(司,弓 )は未知 であ るが, あ る未知 の が に等 しい と判断し て よい場 合には,以下の手順に よって,シ ステ ム応 答の平均 の 差に関す る検定 を行 うこ とが できる。 犬 い ま,N (μi,が ことN (μ2,が)から得られた2 組の標本について, 仮 説 Ho: μi− 倣ニ0 を対 立仮説Hi: μl−μ2く0 に対して片側 (左 側) 検定を行 う この検定に対す る棄却域 は 言 芙 <ifjVi +A^2-2;l-α^-へjvi 十 瓦-を 満 た す (^1 , ヱ2,51,52 ) の 値 の 集 合 で あ る 。 こ 呪 = で あ る . ■ ㎜ . ・ .・ . ・ ・.. . ・ % ま た , 吋 ≠ 略 と 判 断 さ れ る 場 合 に は 式(12) の か わ り に ..V/ 1 ヤTプ≒j  ̄ くi ”;l ̄゜ ……… で盾 十 万盾 を 用い る。 こ こ に
ま た 1 一 一 −m じ ’− 経営活動分析 のための シミュレ ーシ ョン技法に おける統計 学的諸問題19 C2 Ni −1 肩 4 一皿
a −cv
筑−l
(15) jl (16) Ny `A^2 である。 。。 以上の検定により,2 つ の異な る実験条 件 のもとで実行されたシステ ム応 答 の平均に対し て大小関係 の有無を判定す ることができる。 (4) 分散分析 ・, 犬 \ 品質管理において, 少ない 計算労力で実験を計画し。得られた結果を効 率 的 に解析 するために実験計画が適用され る。シ ミA レ ーション実験の結果を 解析する場 合にも, この実験 計画法と, 統計的 解析法である分散 分析を適用 す ることが可 能であ る。した がって, 実験計画法の考え方をシ ミュレ ーショ ン実験の実 行計画にとり入れ, 実験条件 や繰返し回数をあらかじ め設定し て 実験を実施することも肝要であ る。 シミュレ ¬1ンヨソ実験を実 施す る場 合に,システム応答に影響を与え ると 考えられ る要因(あ るい は因子)を と りあげ,そしてお のおのの要因を数種 の水準に設定し て,それぞれ所定 の回数 のシ ミュレ ーション実験 が行われ る。 要因の数に よって一元実験配置,二元 実験配 置な どがあ \り,種 々の分散分析 を実施す ることが可 能であ る。 分散分析では,帰無仮説とし て水準間 に差 がないこと, さらに2 因子交 互 作用がないこと, が設定され る。(次項 の数値例2 を参照 のこと。) 5。 数値例2 前項 まで に 述 べた 統 計 的 手 法を 例題 に 適 用 す る。 [ モデ ル の説 明] し1 )2 工 程 で構 成 さ れ るフ ロ ー ・ シ ョ ップ 型 の生 産 シ ステ ムを 解 析 の対 象 とす る。 第1 工 程 お よび 第2 工 程 にお け る単 位 加工 時 間 は,そ れ ぞ れN (10,P ),N (10,3^ )( 単 位 :分 ) に従 い , た がい に独 立 であ る。 ま た , ジ ョ ブ の積 込 み ・ 積 お ろし に 要 す る時 間 や , 各工 程 に おけ る準 備時 間 につ い て は , 無 視 で き る も の と す る 。2) 素 材 置 場 の 素 材 の 量 は じ ゅ う ぶ ん に あ り , 第1 工 程 へ の 素 材 供 給 に は 支 障 が な い も の と す る 。3) 仕 掛 品 置 場 が 半 成 品 で 満 杯 の と き に は , 第1 工 程 は , 当 該 ジ ョ ブ の 加 工 を 完 了 し た 後 で , 遊 休 状 態 と な る 。 そ の 後 , 仕 掛 品 置 場 へ 半 成 品 を 置 く こ と が で き る よ う に な っ た と き に , 第1 工 程 は 再 び 稼 動 可 能 な 状 態 と な る 。4)100 個 の 生 産 が 完 了 し た 時 点 で , 生 産 を 打 切 る 。 す な わ ち 終 結 シ ス テ ム と し て 扱 う 。 ∧ 十[ 実 験 結 果] 工 程 間 の 仕 掛 在 庫 容 量 を,1 個,3 個 ,5 イ固 と し て , そ れ ぞ れ に つ い て20 回 実 行 し た 。 そ し て , 実 験 結 果 と し て 得 ら れ た,100 個 の 生 産 を 完 了 す る の に 要 す る 総 生 産 時 間( 総 処 理 時 間) に つ い て , 標 本 平 均 と 標 本 標 準 偏 差 を 表3 ・ ・1Ik − に ま と め て 示 す〔6〕。 \ 。, ∧ 表3 数 値 例2 の 実 験 結 果 十 仕 掛 品 の 在 庫 容 量 標 本 平 均 ,X ( 分) 標 本 標 準 偏 差 ,j ( 分) 1 3 5 1,068.75 1,037.14 1,035.33 21.356 12.720 13.405 [ 統計的解析]1 ) 工程間 の仕掛在庫容量が3 個と5 個 の場合につい て, 等分散 性の検定 を行 う。 こ の場合 丘 =0.90 起 となる。こ こに添字1 は3 個の場合を示し ,添 字2 は5 個 の場 合を示 す。 几 卵9;0.925=0.39, また-^"19,19;0,025―2.53 であ るか ら5 % 有 意水準で帰 <無仮説を採 択す る。つ ま り,仕掛在庫容量 が3 個 の場 合 と5 個 の場合で 分散は有 意に異 ならないと判断する。丿 犬2 )1 )にひ き続い て。仕掛在庫容量 が3 個 と5 個 の場合 にお いて,平均 の
経 営 活 動 分析 の た めの シ ミ ュレ ーシ ョ ン技 法に お け る 統 計 学 的 諸 問 題21 差の検定を有 意水準5 % の片側(右側) 検定で 行 う。 この場 合, /A ]二j≒L=0.438'^ \云i 十瓦-であ り,if38:0.05=1.686 であ るか ら, 帰 無 仮 説 を 採 択 す る。し た がっ て, 仕掛 在 庫 容量 が3 個 と5 個 の場 合 ,両 者 の間 で, 総 生 産 時 間 に は差 は認 め ら れ な い と判 断 し て よかろ う。3 ) 工 程 間 の 仕 掛 在 庫容 量 を要 因 とし,1 個,3 個 ,5 個 の3 水 準 を設 定 し て一 元 実験 配 置 に対 し て 解析 を 行 っ た 結果 を 表4 に示 す 。 そ の結果 , 仕 掛 在 庫 容量 の個数 の間 で, 総 生 産時 間 につ い て 有 意 差 があ る と判断 さ れ る。 表4 ―元実 験配置の解析結果 要 因 2 乗 和 自 由 度 平均2 乗 F 検 定 標 本 間 標 本 内 14,131.44 15,153.44 5 −1 =2n −5 =57 7,065.72 265.85 26.578 6. 考 察 本章 懲は,従来 の統計的解析 の枠組 みのなかで, 特に統計的推定お よび検 定につい て,シ ミュレ ーション実験結果 へ適用す る際 の問 題点を指摘し,モ の手順を述べた。そして,簡 単な例題に対し て統計的 検定を行った。い ぐつ かの代替案を比較・評 価するためには,1 回 の実験結果 のみで結論を下すの は妥当ではなく,シ ミュレ ーション実験 の計画をたて て統計的解析 を実施す る必要があ ることを指摘した。 し 所与の実験 条件 のうちで,特定 のシステム応答が最適 になる ような代替案 を求めるには, 最適手順を別 途構築 す る必要かお る。(た とえば文献7 )を参 照のこと。) V. 結 言 本稿で は,生 産活動,流通・商業活動,サ ービス活動 などの径営活動を 分 析するために, シ ミュレ ーション技法を適用する際に生ず る統計学的諸問題 について考察した。特に,実際にシミュレ ーショソ技法を適用す るにあたっ
て , モ デ ル の 人 カ デ ¬ タ , お よ び 実 験 結 果 の 解 釈 の2 段 階 に お い て 考 慮 す べ き 問 題 を , 統 計 学 的 観 点 か ら 検 討 し た 。 注 〔1 〕 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン (simulation ) に は , ① シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 言 語 で 表 現 さ れ た モ デ ル に つ い て 実 験 を 実 施 す る シ ミ.3. レ ー シ ョ ン , ② 縮 小 モ デ ル を 用 い た 物 理 的 モ デ ル を 用 い た シ ミ ュ レ ー シaV, ③CAD 手 法 を 用 い た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン , な ど が あ る 。 本 稿 で は ① を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 法 と 定 義 し て 用 い る1) 。 し2 〕 ヒ ス ト グ ラ ム に よ り 示 さ れ る 分 布 を 度 数 分 布 ( あ る い は 経 験 分 布 ) と い う 。 こ れ に 対 しt:, 推 定 の 対 象 と す る 真 の 分 布 を 確 率 分 布 ( あ る い は 理 論 分 布 ) と い い , 前 者 と 区 別 す る ○ .I・ ・ ・ 〔3 〕 正 規 分 布 表 ( た と え ば 文 献5 ) ) に よ り 求 め る こ と が で き る 。 〔4 〕 統 計 的 方 法 の 詳 細 に つ い て は た と え ば 文 献6 ) を 参 照 の こ と 。 〔5 〕 右 側 検 定 , 両 側 検 定 に つ い て も 同 様 に 解 析 が 可 能 で あ る 。 〔6 〕 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 言 語 に はSIMAN を 用 い た 。 詳 し く は 文 献4 ) を 参 照 の ‥ こ とoII ¨ ・・ ’・ ’I ’・ ` ’・・ 文 献1) 高 桑 宗 右 ヱ 門 : “ 生 産 シ ス テ ム 解 析 に お け る シ ミ ュ レ ー シ ョ ヅ に 関 す る 一 考 察 ”, 東 洋 大 学 経 営 論 集,Vol.28(1987).pp.:107-126.2) 高 桑 宗 右 ヱ 門 :“OA ・FA シ ス テ ム に お け る 定 量 的 シ ス テ ム 技 法 に 関 す る 一 考 察・一 線 形 計 画 法 と シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 法 の 潜 在 的 効 用-- ”,『 オ フ ィ ス ・ オ ー ト メ ー シ ョ ン 』,Vol,7.No.4(1986),pp.65-72. ‥‥‥ ‥ ‥‥ニ△=3)M.R.Spiegel:ProbabilityandStatistics,McGraw-Hill,NewYork(1975), ・pp.108-151. ,.4)CD.Pegden:IntroductiontoSIMAN,SystemsModelingCorp.,StateCollege(1986); 高 桑 宗 右 ヱ 門 訳 : 『SIMAN に よ るFA ・ 生 産 シ ス テ ム の シ ミ.・ ユ レ ー シ ョ ン 』, コ ロ ナ 社(1987),pp.261-267. し^) 森 口 繁 一 編 :『 数 値 表(A)J 丿 日 科 技 連(1960),pp.18-19 ・6)I.Guttman,S.S.Wilks:IntroductoryEngineeringStatistics,JohnWiley&Sons,Inc ・,NewYork(1965); 石 井 恵 一 , 堀 素 夫 共 訳 :『 工 科 系 の た め の 統 計 概 論I 培 風 館(1968) ,pp.129-270.7) 高 桑 宗 右 ヱ 門 :“ 単 一 目 標 ・ 単 一 決 定 変 数 で 表 現 さ れ る 生 産 シ ス テ ム の 最 適 化 − シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 法 を 用 い た 生 産 シ ス テ ム の 最 適 化 に 関 す る 研 究( 第1 づ報) ”, 日 本 経 営 工 学 会 昭 和62 年 度秋 季 研 究 大 会 予 稿 集(1987),pp.59-60 六 万