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わが国婚姻法とタイ・ベトナム両国婚姻法との比較≪国際家族法研究会報告(第1回)≫ 利用統計を見る

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わが国婚姻法とタイ・ベトナム両国婚姻法との比較

≪国際家族法研究会報告(第1回)≫

著者名(日)

国際家族法研究会, 関口 晃治

雑誌名

東洋法学

53

2

ページ

311-314

発行年

2009-12-22

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000718/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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東洋法学 第53巻第2号(2009年12月) ︽国際家族法研究会報告︵第1回︶︾

わが国婚姻法とタイ・ベトナム両国

婚姻法との比較

関口 晃治 ︸ はじめに  平成八年に﹁民法の一部を改正する法律案要綱﹂が法制審 議会において決定された。同要綱の内容は多岐にわたってい るが、婚姻の内容に関しては、婚姻適齢を男女共に十八歳に すること、再婚禁止期間を百日に短縮すること、選択的夫婦 別氏制にすることなどが挙げられている。また、離婚の内容 に関しては、協議離婚において子の利益を優先して考慮する ことが条文に盛り込まれていることや、裁判離婚における離 婚原因となっている強度の精神病が削除され、五年以上の別 居が具体的離婚原因として規定されるなど、破綻主義の内容 が盛り込まれていることが挙げられるが、いまだ実現にはい たっていない。現行の婚姻および離婚法の内容は長きにわた りほとんど改正が行われておらず、さまざまな問題を呈して いることから、現在の社会に則した改正が求められている。  家族法の改正は多くの諸国において行われているが、近 年、多くのアジア諸国においても改正が行われている。その 中でも、東南アジア諸国の家族法は、封建的な制度を色濃く 残していたが、近年の改正によって家族法の現代化が進んで いる。同地域の国の中でも九十年代より我が国の国際結婚件 数の四番目に位置しているタイと、近年、﹁研修﹂の在留資 格などによって急速に入国者が増加しているベトナムの婚姻 および離婚法の内容を見ることによって、わが国の婚姻およ び離婚法の展望を考えてみることとする。 ニ タイにおける婚姻および離婚  かつてのタイ社会は封建的で、子どもは両親の、妻は夫の 財産と考えられていたことから、父は子どもの、夫は妻の生 活について権限を有し、彼らを売却することも可能であっ た。現在でも、農村部には、親は子どもに対して強い権限を 持つという慣例的な考え方が残っている。  タイの婚姻制度には、婚約に関する規定が定められてい る。婚約は、両性ともに一七歳以上の場合に効力を有する ︵一四三五条︶。婚約は、婚姻の成立を強制することはできな いが、有効に成立した婚約が不当に破棄された場合には損害 賠償責任が発生する︵一四三九条︶。  婚姻の要件として実質的要件と形式的要件が規定されてい る。実質的要件としては、合理的な原因が存在するときに は、裁判所は年齢制限の免除をすることができるが、当事者 双方が一七歳に達している場合にのみ成立すること︵一四四 八条︶、当事者の一方が、心神喪失者または無能力者の場合 には成立しないこと︵一四四九条︶、直系血族間、または全

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血または半血の兄弟姉妹間では成立しないこと︵一四五〇 条︶、養子は養親と婚姻することはできないこと︵一四五一 条︶、当事者の一方がすでに配偶者を有する場合には成立し ないこと︵一四五二条︶、女性は、前婚の終了から三一〇日 間を経過しなければ再婚することができないが、同期間に子 どもが出生した場合、離婚した夫婦が再婚する場合、およ び、法律に定められた内科医療の資格医師により発行され た、妊娠していないことを証する証明書がある場合に、婚姻 を許可する裁判所命令があればこの限りではないこと︵一四 五三条︶、最後に、未成年者が婚姻する場合には両親の同意 が必要であることが挙げられている︵一四五四条︶。  形式的要件として、婚姻の効力を生じるためには登録する ことが必要であることから、法律婚主義であることがわか る。同登録は、担当官の面前で婚姻の合意を表示することが 必要となる︵︼四五八条︶。  また、当事者の双方もしくは一方が一七歳未満の場合には 取消し原因になるが、当事者双方が一七歳に達した場合、ま たは、女性が一七歳に達するまでに妊娠し、それまでに裁判 所が婚姻の取消しをしなかったときには、同婚姻ははじめか ら有効であったものとみなされる︵一五〇四条︶。  タイの離婚制度には協議離婚と裁判離婚がある。協議離婚 の方法としては、夫婦間の合意にもとづいて離婚することが できるが︵一五一四条︶、協議離婚が成立するためにはその 協議離婚を登録すること︵一五一五条︶、夫婦間の子どもの 親権行使についての合意を書面にすること︵一五二〇条︶、 養育費の額を含めて子どもの養育に関する取決めを離婚合意 の中に含めることが必要とされる︵一五二二条︶。  裁判離婚をするためには、正当な離婚原因が存在すること が必要となる。離婚原因としては不貞行為、不行跡、虐待、 遺棄、受刑、別居、失踪、扶養義務違反、心神喪失、誓約違 反、伝染性の危険な疾病、性的不能が挙げられている。以上 のように具体的離婚原因が挙げられているが、抽象的離婚原 因が挙げられていないことから、上記の具体的な離婚原因が なければならないことになる。しかしながら、一年以上の遺 棄で離婚請求ができることや、自発的に三年以上の別居に よって離婚請求ができることが規定されていることから、抽 象的離婚原因の要素が含まれているとも考えられる。 三 べトナムにおける婚姻および離婚  ベトナムの現行家族法は、社会主義法としての体裁を保ち ながら、部分的にはベトナム伝来の慣習法と見られる立場に も配慮が払われている。しかしながら、全体としては旧法に 比して、妻および子の権利保護が徹底されており、家族法典 としての現代化が促進されている。  ベトナム婚姻制度の基本原則としては、自発的婚姻による 一夫一婦制で、夫および妻は平等であることが規定されてい る︵二条一項︶。また、ベトナム公民間の異なる民族または 312

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東洋法学 第53巻第2号(2009年12月) 宗教、もしくは宗教を有する者と有さない者の婚姻、ならび に、外国人との間の婚姻は、法によって尊重され保護される ︵同条二項︶。ベトナムにおいて婚姻するとは、男女が婚姻す るための条件および婚姻登録に関する法規に従い、夫婦関係 を創設する行為のことを意味している︵八条一号︶。このこ とから、婚姻登録が必要条件であり、ベトナムにおいて法律 婚主義が採用されていることがわかる。  婚姻締結の要件としては、男は二〇歳、女は一八歳以上に 達していること︵九条一号︶、婚姻が男女によって自由意思 によって決められていること︵同条二号︶、および、一〇条 によって禁止される状況にないことが示されている。同条に おいて禁止されている状況とは、既婚者でないこと、民事行 為能力を有していること、同一直系血族間および三世代内の 親族間でないこと、養親と養子の問、元養親と元養子の間、 義父と嫁の問、義母と娘婿との間、継父と継子の間、継母と 継子の間でないこと、最後に、同性者の問でないことである。  ベトナムにおいて婚姻は婚姻登録事務所に登録されなくて はならず、夫婦として共同生活をする男女であっても、婚姻 登録なしには法律によって夫婦として認められない︵一一条 一項︶。同婚姻登録は、婚姻登録が男女双方の面前において 編成され、婚姻登録事務所の代表者は、両当事者に対して自 由意思による婚姻かの質問をおこない、当事者双方が婚姻に 同意する場合に婚姻証明書を交付する︵一四条︶。  ベトナムにおいて配偶者の双方は、それらの者の離婚を解 決することを裁判所に請求する権利を有しているが︵八五条 一項︶、妻が妊娠しているか、または一二か月以下の幼児を 養育している場合には、夫は離婚を請求する権利が与えられ ない︵同条二項︶。離婚申請の処理および審理の後に、裁判 所はまず和解を進めることになる︵八八条﹀。このことから、 ベトナムにおいては協議離婚の制度はないことがわかる。  夫婦双方が離婚を請求し、かつ、裁判所における和解が成 立しない場合には、裁判所は、合意による離婚、並びに、妻 子の正当な権利を保障することを基礎とする財産および子に 関する合意を承認する︵九〇条︶。また、いずれか一方の当 事者が離婚を請求し、かつ、裁判所による和解が成立しない 場合には、裁判所は離婚を考慮し決定する︵九一条︶。同法 においては具体的な離婚原因は挙げられていないが、離婚を 許可する基準については八九条に規定されている。同条にお いては、裁判所が離婚申請について判断し、状況が深刻であ り、夫婦が共同生活をすることができず、かつ、婚姻の目的 が達成されることができないと見倣すときに離婚の許可を決 定する︵八九条一項︶と規定されていることから、裁判所に よる考慮に委ねられていることになる。 四 おわりに  タイ婚姻および離婚法の内容として注視すべきは、再婚禁 止期間が定められているが、法律に定められた内科医療の資

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格医師により発行された、妊娠していないことを証する証明 書がある場合、婚姻を許可する裁判所命令があれば、再婚禁 止期間であっても婚姻が認められること、婚姻登録において 婚姻当事者が、担当官の面前で婚姻の合意を表示することが 必要であること。また、協議離婚においては、子どもの親権 行使に関する合意に加えて、養育に関する取決めを含めなく てはならないことが挙げられる。さらには、裁判離婚におい ては、具体的離婚原因が定められているが、一年以上の遺棄 で離婚請求ができることや、自発的な三年以上の別居によっ て離婚請求ができることなど、具体的離婚原因のなかに破綻 主義の要素が含まれていることがある。  ベトナム婚姻および離婚法の注視すべき内容としては、婚 姻登録が男女双方の面前において編成され、婚姻登録事務所 の代表者は、両当事者に対して自由意思による婚姻かどうか の質問をし、当事者双方が婚姻に同意する場合に婚姻証明書 を交付することがある。また、妻が妊娠しているか、または 一二か月以下の幼児を養育している場合、夫には離婚を請求 する権利が与えられないことを挙げることができる。  ベトナムにおいて協議離婚の制度はないが、夫婦双方が離 婚を請求し、かつ、裁判所における和解が成立しない場合に は、裁判所は、合意による離婚、並びに、妻子の正当な権利 を保障することを基礎とする財産および子に関する合意を承 認することになる。また、いずれか一方の当事者が離婚を請 求し、かつ、裁判所による和解が成立しない場合には、裁判 所は離婚を考慮し決定する。同法においては具体的な離婚原 因は挙げられていないが、離婚を許可する基準については裁 判所による考慮に委ねられている。  両国の婚姻および離婚法に共通していることは、妻および 子の権利保護が徹底されており、家族法典としての現代化が 促進されていることであろう。わが国家族法の改正も近いと 考えられるが、タイおよびベトナムにおける、妻および子の 権利保護の観点は注目に値すると考えられる。今日のわが国 における女性の社会進出の進行などを鑑みれば、早急な改正 の必要性が窺えるであろう。 * タイ家族法については、ウィチャー・マハークン”西澤希久  男︵訳︶”小川富之︵監修︶﹁タイ家族法︵上︶﹂戸籍時報六〇  四号四七頁以下、また、ベトナム家族法については、笠原俊宏  ”関口晃治﹁﹁ベトナム家族法︵二〇〇一年︶﹂の邦訳︵上︶、  ︵中︶、︵下︶﹂戸籍時報六一六号三八頁以下、六一七号三七頁以  下、六二〇号三二頁以下参照。 ︵志學館大学法学部専任講師︶ 314

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