著者
杉江 典子
著者別名
Noriko SUGIE
雑誌名
東洋大学人間科学総合研究所紀要
巻
23
ページ
131-150
発行年
2021-03-19
URL
http://doi.org/10.34428/00012359
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja.研究の背景
滞在型利用の促進を目指す図書館が増加するなかで、利用者の館内における行動を把握したいした いというニーズが高まっている。利用者の行動を把握するために利用できるデータには、例えば来館 者数や、貸出冊数のように図書館業務システムを用いて比較的容易に入手できるものから、館内での 滞在場所や、行動のように、かなりの労力をかけなければ入手の難しいものまで幅広く存在する。従 来の調査研究において、図書館利用者の行動に関するデータを取得するために、最もよく用いられて きたのは質問紙法であるが、それ以外にも、面接法、行動記録、観察法など様々な調査方法が用いら れてきた。筆者は、これらの調査方法によって得られるデータを比較した結果、利用者の行動自体に 関する客観的で正確なデータを入手するためには、観察法による調査が最も適切であると考え、観察 法による先行研究とその課題を以下のように整理した) 。 図書館における観察法は、調査者が館内を巡回して利用者の滞在位置や行動等を記録する方法(以 下、スナップショット系)と、調査者が利用者を追跡して行動軌跡を記録する方法(以下、追跡系) とに分けることができる。スナップショット系の調査では、調査者がある時点で館内を巡回し、その 時点で館内に滞在する利用者の位置や行動についてのデータを収集する。よって一度に多数の利用者 のデータを取得することが可能であるが、利用者が来館してから退館するまでの、一連のデータを 得ることは困難である。一方、追跡系の調査では、調査者が利用者を一人ずつ追跡して、その利用 者の訪問位置や時刻などのデータを記録する。ある利用者の来館時から退館時までのデータが欲しけ れば、その間、一人の調査者がその利用者を追跡し続ける必要があり、取得できる標本数は限られ る。 さらに、いずれの調査方法を採用しても、取得されるデータは地図上の位置を示す点や手書きの 線、あるいは行動に関する言葉による記述となる。これらをデータとして処理することや、論文中で 論拠となるデータとして示すことは容易ではない。このように、従来の観察法はデータの取得方法やBLE ビーコンを用いた位置情報取得実験
─図書館利用者調査への応用可能性─
杉江 典子
* * 人間科学総合研究所研究員・東洋大学文学部得られるデータのあり方に関して課題を抱えていた。しかし、近年、位置特定技術が開発され、人の 行動に関するデータ取得に応用される機会が増えてきたことにより、これらの課題を克服できる可能 性が見えるようになってきた。
現在、位置情報取得のために用いられる技術のなかで、閉じた建物内において一定の精度を持つと されているのが、近距離無線測位の技術である。このうち、価格や精度、運用のしやすさ等の点か ら、近年の調査研究では、RFID(radio frequency identification:無線周波個体識別)と BLE(Blue-tooth Low Energy:超低消費電力無線通信技術)ビーコンがよく採用されている)))。今回の研究で
は、これらの技術が利用者の図書館における訪問地点や移動経路を調べる利用者調査においても応用 できる可能性があると考え、BLE ビーコンを用いた距離推定の精度を把握するための実験を行っ た。 章では、この RFID と BLE ビーコンが、位置情報取得のための調査にどのように応用されてい るかを概観する。
.既往調査と研究目的
. RFID を用いた調査研究 RFIDは、RFID タグに記録されたデータを無線により送受信する技術である。タグを物や人に貼 付することにより、ある空間におけるそれらの有無や位置に関するデータを取得することが可能であ る。RFID の持つこのような性質を利用して、近年、様々な分野で、タグの発信する電波を位置情報 として利用し、人の行動に関するデータを取得するための調査研究が行われるようになっている。大 規模なものとしては、マーケティング分野において、スーパーマーケット等の店舗を訪問した顧客の 動線を記録するために RFID を応用した動線調査が行われている。これらの調査では、RFID を用い ることで顧客の店内での訪問位置、訪問順序、滞在時間等のデータを取得し、購入にいたるプロセス について分析を行っている) 。 RFIDを図書館における利用者調査に応用した例としては、筆者の行った既往調査がある。筆者 は、RFID の応用可能性を探るため、大学図書館において実験的な調査を実施した。調査では館内に 設置した RFID タグを用いて利用者の位置情報を取得し、探索課題ごとに特徴のある行動パターンを 導いている) 。さらに、千代田区立図書館において、図書館が所蔵する資料に貼付された RFID タグ を用いて利用者の位置情報を取得し、利用者の館内における訪問範囲を分析し、移動経路の類似度の クラスタリングを行って利用者集団の類型化を行っている) 。 このように、RFID を用いた人々の行動に関するデータの取得、行動分析の研究成果はある程度蓄 積されてきており、設置方法や運用、データの分析方法などに関する知見が存在する。また RFID は、広く普及しており低価格化してきたことや、製品の機能や形態のバリエーションが豊富であり、 調査目的に応じた機器を選ぶことができるという長所もある。しかし、現時点では電波の受信にアン テナ等の専用の装置やアプリケーションを必要とするため、手軽に利用しにくいという課題も抱えて いる。. BLE ビーコンを用いた調査研究 BLEビーコンは無線により、ビーコンに記録されたデータを送信し続ける装置である。スマート フォン等の電波の受信機を持った利用者が近接すると商品や場所に関する情報を送信するというよう に、サービス提供の場において、サービスに関連する情報をユーザに提供することを目的に利用され ることが多い。 ビーコンを用いて位置情報を取得する近年の調査研究のほとんどは、人の存在や行動を記録した り、自動的に機器を作動させる特定のシステムを構築することを目指し、その前段階として、検知で きる位置の精度を確認したり、できる限り精度を高めるための分析方法を模索するために行われてい る。これは、ビーコンが 章で述べるように、手軽に利用できる反面、その精度が環境に左右されや すく、位置情報取得や分析方法に関して、十分には実用レベルにいたっていないためであると考えら れる。 これらの調査研究では、想定される環境において観測値を得、統計的な手法によって分析したり、 データの分布をモデルに当てはめることで精度を調べたり(酒井 ) 、Lee ) 、浦野 ) 、星 ) )、あるいは距離を推定するために電波を測定する回数や物理的な設置方法などの運用方法を 検討している(中村 ) 、Komai ) 、Alonso ) )。 既往調査からは、得たデータの処理方法、設置方法や機器の使い方などに工夫をすることで、それ ぞれの利用条件のもとで実用レベルの精度を確保することが可能であることが示されている。BLE ビーコンにより取得できるデータは RFID と類似しているが、受信機の汎用性がより高く、活用され る場面が増えていることから、機器の改善やアプリケーションの登場等の成長が期待されている。し かしビーコンを用いた調査研究は、まだ端緒についたばかりで図書館や図書館に類似した施設におけ る応用例はまだ表れていない。 そこで今回の研究では、BLE ビーコンによる位置情報取得技術の、図書館利用者調査への応用可 能性を検討することを目的とする。ここでいう図書館利用者調査とは、図書館における利用者の移動 経路や訪問位置に関するデータを収集するための調査のことである。筆者は、この実験で一定の精度 が確認されれば、図書館において利用者調査を実施する予定であるため、調査実施予定図書館におい て BLE ビーコンによる距離推定の精度を把握するための実験を行うこととした。さらに、ビーコン を用いて取得されるデータの集計方法や分析方法についてもあわせて検討した。
.BLE ビーコンを用いた実験
. BLE ビーコンのしくみ BLEは、 . GHz 帯という周波数を使う通信規格である。BLE は何もなければ直進する、障害物 の材質により反射や吸収が起こる等の特性を持つ。特に金属やコンクリートには反射し、水分を含む 人体には吸収されやすいとされている。BLE ビーコンは、それ自体の中に電池などの電源を持ち、 BLEを使ってビーコンに記録された情報をパケットとして定期的に送信し続ける単純な装置であ表 BLEビーコンに記録される主な情報 種類 内容 UUID 固有の値による識別子 major 任意の値による識別子 minor 任意の値による識別子 RSSI m離れた地点での信号強度(単位は dBm) る。BLE ビーコンによる測位では、ビーコンに記録された情報(表 参照)に加え、受信機の取得 した電波強度(RSSI 値)や時刻を利用して位置の推定を行う。ビーコンには、出力、給電方式や大 きさ、形状などにおいて様々な製品が製造されている ) )。 ビーコンは周囲の環境によって電波が影響を受けやすいため、距離測位の性能は高くないとされて いる。しかし、小型で、電池の持ちがよく、安価( 円∼ 円)、標準的なスマートフォンで電 波を受信できる、同時に大量のデータを取得できるといった特徴を持つため、もともと想定されてい た情報提供機能のみならず、位置を推定するために応用されることが増えている。 . 実験の方法 .. 実験概要 利用者調査を実施する予定の公共図書館においてビーコンがどの程度の精度を持つか把握するため の実験を行った。当該図書館は、延べ床面積が約 , m で、そのうち約半分が閲覧スペースと なっている。閲覧スペースの床や、柱、家具の素材は木材が中心であり、電波を反射しやすいと考え られる金属はあまり使われていない。 実験は、 年 月 日と、 年 月 日に実施した。距離を変えながらの測定を行うために は、館内の一角を長時間占有する必要があるため、実験は図書館の休館日に行った。実験では、測定 場所(閲覧スペース/書架間)、測定者と被験者の対面方法(正面/背面)、測定距離( . m∼ m)を変えて、ビーコンからの電波強度(RSSI 値)を測定し、その精度を確認するための集計、分 析を行った。なお本研究における精度とは、ある距離から電波強度の測定を行い、受信機が取得した RSSI値を用いて受信機とビーコンとの間の距離を推定した場合、実際の測定距離をどの程度正確に 推定できるかを意味するものとする。 .. 使用した機器とその設定
実験では、芳和システムデザイン製の“BLEAD-B VER ”(Bluetooth ver.)を使用した(図 参 照)。このビーコンでは、あらかじめ電波の出力レベルと送信間隔を設定することができる。電波の 出力レベルは、+ 、− 、− 、− 、− 、− (dBm)という範囲で設定でき、出力を上げるほ
ど電波の到達距離を長くすることが可能とされている。今回は、このうち調査対象図書館において必 要と考えられる距離に到達でき、電池の持ちを維持できるレベルとして、「− dBm」と「− dBm」を使用することとした。この製品の場合、それぞれの出力レベルで想定される距離が「− dBm」で m、「− dBm」で mとされている。電波の送信間隔は、 秒に 回( ms)と 秒に 回( ms)に設定可能である。実際の調査では、移動する利用者からの電波を取得する必 要があるため、より頻度の高い msに設定した。電波の受信機には、Bluetooth が受信可能な Sony 製のスマートフォン Xperia J1 Compact を使用した。 今回の実験では、電波の受信機としてスマートフォンを採用したが、Bluetooth の受信機能と受信 したデータを蓄積あるいは送信できる機能があればよいので、スマートフォンでなくてもよい。例え ば、ラズベリーパイのような小型 PC を用いることも可能である。 .. 実験の実施環境と位置関係 実験では、建物や家具類の反射の影響が比較的少ないと考えられる「閲覧スペース」と、反射の影 響を受けやすいと考えられる、本の詰まった書架と書架の間(図 )である「書架間」という つの 環境で行った。ここで閲覧スペースと呼んでいる場所は、低書架やソファーの設置された比較的遮る ものの少ないスペースである。書架間と呼んでいるのは、館内で最も多く設置されている高さ cmの木製書架に挟まれた空間である。それぞれの環境において、ビーコンから発される電波強度を 距離ごとに測定した。 ストラップケースに入れたビーコンを首からかけた被験者に対し、受信機であるスマートフォンを 持った測定者が正面と背面から対面するという 通りの方法でデータを取得した。電波は人体に吸収 されやすいとされており ) 、実際の利用者調査の条件に合わせるために、利用者調査で予定している 携帯方法により測定した(図 、図 参照)。 図 BLEAD-B VER と 円玉
.. 測定パターンと測定回数 測定場所、対面方法、測定距離の組み合わせごとに、それぞれ 回ずつ RSSI 値を取得した(表 参照)。この測定パターンを、ビーコンの出力レベル「− dBm」と「− dBm」について測定し た。それぞれの出力レベルごとに合計 回ずつ、合計 回分のデータを取得した。書架間の測 定者と被験者の距離が m までとなっているのは、最大の測定距離を確保できるのが m であった ためである。 図 書架と被験者と測定者の位置関係 (書架間を上から見た様子) 図 受信実験の方法(正面の場合) 図 受信実験の方法(背面の場合)
.結果と分析
調査環境下における精度を把握するために、実験で取得されたデータを、以下の 通りの方法で集 計し、分析した。①を 章 節、②を 章 節、③を 章 節で取り上げる。 ① 取得された RSSI 値を元に自由空間における距離(推定距離)と、実際の距離との差を算出し た(乖離距離) ② 自由空間における距離ごとの RSSI 値(理論値)と、測定された距離ごとの RSSI 値を比較し た ③ RSSI 値と距離の境界値を設定して、取得した RSSI 値が境界値より弱い受信データを除き、設 定した距離からはずれる割合を誤判断率として算出した . 実際距離と推定距離の乖離 ビーコンから受信される RSSI 値は、真空で何もない空間(自由空間)では、距離の 乗に反比例 する。よって距離 r(m)と電波の受信強度 P(dBm)の関係は、図 の式で表される ) 。今回の実験で 使用したビーコンは、自由空間の m の距離において「− dBm」の電波強度を持つため、式の 表 測定パターンと回数 測定場所 閲覧スペース 書架間 正面から 背面から 正面から 背面から 測 定 者 と 被 験 者 の 距 離 . m m m m m m m m − − m − − m − − m − − 測定回数計 図「P 」に「− 」を代入して、距離ごとに取得された電波強度「Pr」ごとの推定距離「r」を算出し た。 章 節 項で示したように、それぞれの測定パターンごとに 回測定を行っているので、実際 の距離ごとに、RSSI 値の平均、RSSI 値の標準偏差、推定距離の平均、実際の距離と推定距離との差 である乖離距離を算出した。出力レベルごと、測定場所ごとのデータを表 から表 にまとめた。こ れらの結果から、乖離距離の平均値の範囲を出力レベルごとに整理すると以下のようになる。 出力レベル「− 」 閲覧スペース・正面: . m∼ . m の乖離 閲覧スペース・背面: . m∼ . m の乖離 書架間・正面: . m∼ . m の乖離 書架間・背面: . m∼ . m の乖離 出力レベル「− 」 閲覧スペース・正面: . m∼ . m の乖離 閲覧スペース・背面: . m∼ . m の乖離 書架間・正面: . m∼ . m の乖離 書架間・背面: . m∼ . m の乖離 全体を通してみると、実際の距離と、推定距離の差である乖離距離の平均値は、最も小さい値で . m、最も大きい値で . m であった。明確な傾向は見いだしにくいが、おおむね距離が近い ほど乖離が小さく、距離が離れるほど大きくなっている。今回実施したパターンの中では、出力レベ ル「− dBm」の閲覧スペース正面において、乖離距離の平均が . m から . m の範囲にあ り、どの距離でも乖離距離が最も安定して低い。ビーコンの出力レベル「− dBm」では、今回の 調査環境下では反射等の影響をより強く受けたとことが推測される。 測定者と被験者の対面方法からみると、正面の乖離距離の平均値は、おおむね背面より小さい。背 面の乖離距離はいずれの出力レベル、対面方法でも非常に高い。書架間と閲覧スペースという環境の 違いからみると、書架間のほうが閲覧スペースよりも乖離距離は大きい傾向にある。取得されたすべ ての RSSI 値を用いて、距離を推定し、平均値を算出した場合、出力レベル「− dBm」の正面に限 れば、実際の距離 mの範囲において乖離距離 m 未満の精度で距離が推定できることがわかっ た。
. 自由空間 RSSI 値と測定 RSSI 値の比較 図 と図 に測定距離ごとの測定結果の RSSI 平均値と、自由空間における距離に対応する RSSI 値(理論値)を示した。 測定者と被験者の位置関係が正面の場合の RSSI 値と背面の場合の RSSI 値を比べると、背面から 取得された RSSI 値では、閲覧スペースでも書架間でも、RSSI 値と距離の間に規則性はほとんどなく 全体的に微弱であった。背面からの受信においては、電波の反射や吸収といった影響を大きく受けて 表 出力レベル「−16」での閲覧スペースにおける RSSI と推定距離の平均値 正面から取得したデータ(表左)/背面から取得したデータ(表右) 実際 距離 (m) RSSI値 平均 (dBm) RSSI値 標準偏差 推定距離 平均(m) 乖離距離 平均(m) 実際 距離 (m) RSSI値 平均 (dBm) RSSI値 標準偏差 推定距離 平均(m) 乖離距離 平均(m) . ‐ . . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . 表 出力レベル「−16」での書架間における RSSI と推定距離の平均値 正面から取得したデータ(表左)/背面から取得したデータ(表右) 実際 距離 (m) RSSI値 平均 (dBm) RSSI値 標準偏差 推定距離 平均(m) 乖離距離 平均(m) 実際 距離 (m) RSSI値 平均 (dBm) RSSI値 標準偏差 推定距離 平均(m) 乖離距離 平均(m) . ‐ . . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . .
いることが推測される。 正面から取得された RSSI 値は、出力「− dBm」の閲覧スペースを除きおおむね距離が離れるに 従って減少し、自由空間における RSSI 値に従っている。今回用いたビーコンの出力レベル「− dBm」は到達距離がより長いため、距離が離れても電波が減衰せずに反射して受信されてしまったの かもしれない。 表 出力レベル「−12」での閲覧スペースにおける RSSI と推定距離の平均値 正面から取得したデータ(表左)/背面から取得したデータ(表右) 実際 距離 (m) RSSI値 平均 (dBm) RSSI値 標準偏差 推定距離 平均(m) 乖離距離 平均(m) 実際 距離 (m) RSSI値 平均 (dBm) RSSI値 標準偏差 推定距離 平均(m) 乖離距離 平均(m) . ‐ . . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . 表 出力レベル「−12」での高書架間における RSSI と推定距離の平均値 正面から取得したデータ(表左)/背面から取得したデータ(表右) 実際 距離 (m) RSSI値 平均 (dBm) RSSI値 標準偏差 推定距離 平均(m) 乖離距離 平均(m) 実際 距離 (m) RSSI値 平均 (dBm) RSSI値 標準偏差 推定距離 平均(m) 乖離距離 平均(m) . ‐ . . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . . ‐ . . . .
. 境界値を設定した場合の誤判断率 章 節と 節の結果から、被験者と測定者の位置関係が正面の受信データは、ある程度の精度を 確保でき、電波が背面から取得された場合や測定者と被験者の距離が離れた場合は、距離の推定精度 が低くなることが推測された。そこで、実験で受信された RSSI 値が、距離に対して設定した RSSI 値(境界値)より弱い場合、ある距離より離れている、あるいは様々な影響を受けたために距離の推 定には用いるべきでないデータであると想定してその受信データを除外し、境界値よりも強い受信 データのみを分析対象にすることとした。分析対象の RSSI 値から推定距離を算出し、その推定距離 が設定した範囲に含まれない程度(誤判断率)を算出した。 境界値の設定に際しては、図 と図 の距離ごとの RSSI 平均値が自由空間における RSSI 値から 大きく乖離する前後の値を用いるのが適切であると考え、RSSI 値「− dBm」から「− dBm」( パ タ ー ン)、受 信 機 か ら の 距 離 は ∼ m( パ タ ー ン)と し た(表 参 照)。出 力 レ ベ ル「− dBm」と「− dBm」両方について、全 パターンの誤判断率を算出した。 例えば、表 における / m 境界で範囲 の場合、実験で受信された RSSI 値が「− dBm」な ら、境界値である「− dBm」より小さいため除外する。あるいは、取得された RSSI 値が「− 注:図中「*」は,自由空間における RSSI 値と距離の関係 図 距離ごと平均 RSSI 値(ビーコンの出力−12dBm)
表 境界値 パターン(出力レベル「−16dBm」「−12dBm」ともに算出) 範 囲 RSSI境界値 / m 境界の場合 / m 境界の場合 / m 境界の場合 正解の判断基準 正解の判断基準 正解の判断基準 RSSI≧− 使う RSSI≦− 除く !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 RSSI≧− 使う RSSI≦− 除く !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 RSSI≧− 使う RSSI≦− 除く !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 RSSI≧− 使う RSSI≦− 除く !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 RSSI≧− 使う RSSI≦− 除く !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 注:図中「*」は,自由空間における RSSI 値と距離の関係 図 距離ごと平均 RSSI 値(ビーコンの出力− dBm)
dBm」であれば、「− dBm」より強いため、分析対象とする。もしこの「− dBm」の値が、測定 距離 . m 地点で得られているなら、RSSI 値から推定した距離(RSSI≧− なら m 以内)は正し いと判断する。 このようにして、測定した電波強度から導いた推定距離が、設けた範囲に入る回数(正解数)と入 らない回数(誤判断数)を集計し、誤判断率を算出した。比較のために、境界値によって受信データ を除外した場合と、除外せずに全データを分析対象にした場合の両方について。正解数と誤判断数を 算出した(表 、表 参照)。 その結果、境界値によって除外せずに、すべての受信分を用いた場合、誤判断率が最も低かったの は、出力レベル「− dBm」で、範囲 (RSSI 値が「− dBm」より強い場合にビーコンと受信機 との距離が m 以内、RSSI 値が「− dBm」より弱い場合にビーコンと受信機との距離が m 以上 と判断する)を適用した場合で、誤判断率 . % であった。すべての受信データを用いたその他の パターンには、誤判断率にそれほど大きな差がなく、おおむね %∼ % となっている。 境界値を設けて、より微弱な電波を除外した場合、出力レ ベ ル「− dBm」で は、誤 判 断 率 . % から . %、出力レベル「− dBm」では、誤判断率 . % から . % であった。最 も誤判断率が低かったのは、出力レベル「− dBm」で、範囲 (RSSI 値が「− dBm」より強い 場合にビーコンと受信機との距離が m 以内と判断して使用し、RSSI 値が「− dBm」より弱い場 合にビーコンと受信機との距離が m 以上と判断して除く)を適用した場合で、誤判断率 . % で あった。この範囲において高い精度を得られたのは、「− dBm」の正面で取得された RSSI 値が、 今回実験したパターンのなかでは最も理論値に沿っていたことと、「− dBm」の背面の受信分は距 離が近くても RSSI 値が低く除外されたためである。 範囲を設定してより微弱な電波の受信分を除く場合、出力レベル「− dBm」では、いずれの境 界値でも、同じ距離の境界内では、境界値をより大きく設定したほうが精度を高めることになってい る。今回実施した パターンのうち、 パターンにおいて、一定の範囲の受信分を除外したことに より誤判断率を下げることができていた。 このように、範囲を設定して受信データを除外することにより、被験者との対面関係や電波を妨げ る物の存在により受信される電波強度が弱まる影響を少なくすることが可能であることが示された。
.結論
. ビーコンの精度 実験の結果、取得されたすべての RSSI 値を用いて距離を推定し平均値を算出した場合、実際の距 離と推定距離の差である乖離距離は、最も小さい値で . m、最も大きい値で . m とかなりの 違いがあることがわかった。RSSI 平均値の分布と併せて見ても、受信される電波強度が安定してお らず、正確な距離の推定を行うだけの精度はやはり得にくいことがわかった。 しかし、今回実施したパターンの中では、出力レベル「− dBm」の閲覧スペース正面におい表 境界値より弱い電波強度の受信データを除いた場合の誤判断率(出力レベル−12dBm) / m 境界 正解の判断基準 除外前 除外後 全取 得数 正解数 誤判断数 分析対象 "除く 正解数 誤判断数 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % / m 境界 正解の判断基準 除外前 除外後 全取 得数 正解数 誤判断数 分析対象 "除く 正解数 誤判断数 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . %
/ m 境界 正解の判断基準 除外前 除外後 全取 得数 正解数 誤判断数 分析対象 "除く 正解数 誤判断数 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 表 境界値より弱い電波強度の受信データを除いた場合の誤判断率(出力レベル− dBm) / m 境界 正解の判断基準 除外前 除外後 全取 得数 正解数 誤判断数 分析対象 "除く 正解数 誤判断数 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . %
て、乖離距離の平均が . m から . m であり、どの測定距離でも乖離距離が最も安定して低 かった。出力レベル「− dBm」の正面に限れば、ビーコンと受信機の間の測定距離 mの範囲に おいて、最大でも m 程度乖離した値により距離が推定できることが明らかになった。認識したい 距離の範囲を狭めれば、精度を上げることも可能で、例えば、距離 m の範囲であれば乖離距離は / m 境界 正解の判断基準 除外前 除外後 全取 得数 正解数 誤判断数 分析対象 "除く 正解数 誤判断数 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % / m 境界 正解の判断基準 除外前 除外後 全取 得数 正解数 誤判断数 分析対象 "除く 正解数 誤判断数 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . % 範 囲 閲覧スペース !RSSI≧− : m 以内 "RSSI≦− : m 以上 . % . % . % . % 書架間 . % . % . % . % 閲覧スペース+書架間 . % . % . % . %
約 m 未満に抑えることができると考えられる。 さらに今回の実験で得られた RSSI 値の特徴から、電波強度と距離の範囲を設定して微弱な電波強 度による受信データを除くことで、高い精度を得られることが明らかになった。今回設定したパター ンのなかでは、RSSI 値が「− dBm」より強い場合にビーコンと受信機との距離が m 以内と判断 して使用し、RSSI 値が「− dBm」より弱い場合にビーコンと受信機との距離が m 以上と判断し て除くと、誤判断率 . %(正解率 . %)と、精度が最も良好であった。ほとんどのパターンに おいて、範囲を設定してより微弱な電波を除くことで誤判断率を下げられることも明らかになった。 このことは、今回の実験環境下では、至近距離で正面から取得される RSSI 値は比較的理論値に近 いこと、被験者の姿勢や、距離が原因で電波が受信機に到達するまでに影響を受けている場合に取得 される RSSI 値は、理論値より大幅に弱まる傾向にあることを示唆している。 ただし微弱な電波強度による受信分を除くということは、そのような受信分以外に、実際の距離が 離れていたから電波強度が弱かった場合(遠くて正解)の受信分も除かれる可能性がある。この範囲 の受信分が多い場合、分析対象のデータ数が減ることになり、精度に影響を与える可能性はある。 . まとめ 以上のように、実験環境下で取得したデータを、範囲を設定して利用したり、取得された電波強度 を一部除外することで、利用者調査に応用可能な精度を得られることが示された。データの集計や分 析方法にはまだ検討の余地があるが、範囲を設定して使用するという方法は、精度の問題を回避する 方法としては、単純で取り組みやすいと思われる。 ビーコンを携帯した利用者が受信機からの距離 m の範囲を訪問したといった使い方で、 割から 割程度の誤判断率を許容できるなら、利用者調査も実施可能であろう。例えばビーコンを携帯した 被験者が受信機からの距離 m 地点に位置するというような正確な位置情報を取得することは困難 でも、受信機からの距離 m 以内に位置するというレベルの位置情報であれば 割前後の精度で取 得可能ということになる。利用者調査では、館内のある範囲のスペースを訪問単位とし、受信機まで の距離何メートル範囲内を訪問したとか、そのスペースにどれくらいの時間滞在したとか、どのよう な順序でそのスペースを移動したといったデータに変換することで、滞在中の行動パターンを得るこ とができるのはないかと考えている。 本実験で一定の精度を得ることができたのは、公共図書館というスペースが、書架以外遮るものが あまりない つの大きな空間であり、書架や床等の材質として木材を使用することが多いことや、館 内に BLE に干渉するような同周波帯の電波が発生するような機器類が存在しないことも、要因と なったものと考えられる。また、人体が電波を吸収しやすいという問題もビーコンを首にかけて携帯 する方法を採用したことで、あまり影響しなかったものと考えられる。図書館利用者が通常の利用に よって取る姿勢は、ビーコンの電波を大きく遮断するようなものであることは考えにくいことから も、今回の携帯方法は、利用者調査において適切であると考えられる。
今回の結果は、利用者調査実施予定館に限ったものでであるが、公共図書館は、その家具や建物の 材質に共通する部分も多いため、他図書館における調査の実現可能性を示すこともできたと考えてい る。最終的には、位置情報取得技術を用いて、図書館利用者の館内行動に関するデータを取得する簡 易で汎用性の高い手法を構築することを目指しており、そのための示唆を得ることができたと考えて いる。今後は、利用者が館内を移動している状態で取得できるデータによって、どの程度、実際の移 動経路を反映したデータが取得できるかについても調査を実施し、よりよいデータの取得方法、分析 方法について模索していきたい。 謝辞 長期間にわたり機材の設置や実験実施にご協力いただいた図書館の皆様に深く感謝いたします。本 研究は JSPS 科研費 JP と東洋大学井上円了記念研究助成を受けたものです。 注・引用文献 )杉江典子「RFID により取得した図書館内位置情報に基づく利用者の類型化」『日本図書館情報学会誌』vol. 63,no.2,2017,p.72−74. )国土交通省国土地理院測地部「屋内測位のための BLE ビーコン設置に関するガイドライン 平成29年度版 Ver.1.0」http : //www.gsi.go.jp/common/000198740.pdf, (参照2019−09−20). )堀川三好「話題の追跡 BLE ビーコンを用いた屋内測位技術の開発とその応用 : 電波強度を用いた測位手法の 現状と課題」『自動認識』vol.32,no.2,2019,p.41−45. )インプレス Smart Grid ニューズレター編集部『位置情報ビジネス報告書 』インプレス, ,p. − . )前掲 ),p.73−74.
)Noriko Sugie. “Application of radio frequency identification technology to study library users’ information-seeking be-havior,” Library & Information Science Research. vo.35, no.1, 2012, p.69-77.
)前掲 ),p.71−89.
)酒井瑞樹ほか「BLE ビーコンを活用した巡回移動ログデータの取得と移動軌跡推定手法の提案」『経営情報 学会全国研究発表大会要旨集』2017f( ),2017,p.14−17.
)Lee, J. et al. “A Location Tracking System using BLE Beacon Exploiting a Dou-ble-Gaussian Filter,” KSII Transactions
on Internet and Information Systems, vol.11, no.2, 2017, p.1162-1179.
10)浦野健太ほか「配布型 BLE タグとタンデムスキャナを用いた屋内位置推定手法」『情報処理学会論文誌』vol. 60,no.1,2019,p.58−75.
11)星尚志ほか「動的遮蔽物を考慮した BLE による屋内位置推定手法の提案」『情報処理学会論文誌』vol.60, no.1,2019,p.48−57.
12)Sota NAKAHARA.et al “The Beacon-Type Intelligent Lighting System for Performing Position Estimation of the Of-fice’s Using BLE Beacon” THE HARRIS SCIENCE REVIEW OF DOSHISHA UNIVERSITY , vol.57, no.3, 2016, p.184-190.
13)Komai, K.et al. “Beacon-Based Multi-Person Activity Monitoring System for Day Care Center” The First IEEE
Interna-tional Workshop on PervAsive Technologies and care systems for sustainable Aging-in-place 2016, doi :
10.1109/PER-COMW.2016.7457140. https : //ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=7457140,(accessed 2019-09-20) 14)AlonMartín, F. et al. “Identification and distance estimation of users and objects by means of electronic beacons in
so-cial robotics” Expert Systems With Applications, no.86, 2017, p.247-257. 15)前掲 ),p.15.
16)上原昭宏『iBeacon ハンドブック』達人出版会,2014,p.12−15. 17)前掲16),p.14−15.
【Abstract】
An Experiment to Obtain Location Information Using BLE Beacons :
Application Possibility to User Study in Library
Noriko SUGIE
*The purpose of this study is to explore the application possibility of BLE (Bluetooth low energy) beacons to library user study. An experimental study under certain conditions was conducted to measure RSSI (Received Signal Strength Indicator) values from BLE beacons in a library in which a user study will subsequently be conducted. RSSI values were analyzed to as-sess the degree of accuracy to estimate the distance of the subjects to the beacons.
As a result of the analysis, it was found that the average deviation distances between measured distances and distances esti-mated from the RSSI values which were collected using -16 dBm BLE beacons in the open area of the library where two sub-jects faced each other were most stable and low. Excluding the weaker RSSI values by applying boundary values enabled a lower degree of incorrect estimation rates. The lowest percentage was 3.94 % through patterns of conditions. These results show that it is possible to obtain sufficient accuracy to apply BLE beacon to user study in the library under these surroundings. Since libraries have common surroundings, it has been suggested that BLE beacon could be applicable to user studies in other libraries.
Key words : library, user study, location identification, location estimation, BLE beacon
本研究の目的は、BLE ビーコンによる位置情報取得技術の図書館利用者調査への応用可能性を検討することで ある。そのため、利用者調査を実施する予定の図書館において、いくつかの条件を設定して BLE ビーコンの電波 強度を測定し、電波強度から距離推定の精度を把握するための分析を行った。 その結果、館内の閲覧スペースにおいて BLE ビーコンの出力レベル「− dBm」により、測定者が被験者の正 面から向き合って取得した電波強度から算出した推定距離と測定距離との乖離距離が最も安定して低かった。さ らに、電波強度の境界値と対応する距離範囲を複数設定して境界値より弱いデータを除外したところ、最善のパ ターンでは誤判断率 . % という結果を得ることができた。これらのことから、今回の実験環境下では、利用者 調査に応用可能な距離推定の精度を得られることが明らかになった。さらに共通する環境を持つ図書館での応用 可能性も示唆された。 キーワード:図書館、利用者調査、位置情報、位置推定、BLE ビーコン
* An associate professor in the Faculty of Literature, and a research fellow of the Institute of Human Sciences at Toyo Uni-versity