経営輯学〈段ヌドオベレーションズ. !Jサーチ学会邦文機関誌〉 線14挙 第 4 号(l971年 3 尭〉
〈特部講漬〉
都市計画への数理的アブ。口…チ?
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隆* 1. はじめは ただいまど結介していただきました管出です,私のような麗善意にとりまして,犬醤詑:念文離賞 は身にあまる栄誉でありまナし,このような絡でお諮させていただくのは正直のところ身の繍む 患いでございます. 私が賞をいただいた論文 [1] を鰐単にやしますと,マス・トランスポーテイシ君ンの繋穣が 都市題の発展過程に与える影響を,おもに市筏1tの綴!勾と遠望書交通の{P,U密から分析して,その結 果営基礎にして計画システムを組み立てたもので可あります.ここではこの論文の内容を起点、とし て,さらにより広い視野から現主主研究を進めていることを述べさせていただくつもりです. まず最初に,私の研究分野の現裂の位重量づけを務らかにしておきます.私はオベレーシ器ンズ, P サーチ学会の会員でありますが, Ofミの専門家ではありません.というよりも rOR 叩 γj と はいった L 、何者なのかよくわからないといったほうが正しいでしょう.私はこれ設で,緩い研究 嬬鰐ではありますが,公共施設j なかでも突選議設の配援計爵を研究してき支した静この研究分 野を表現するとすれば,交通計爵,都市計画あるいは地域計画などと呼ぶこともできますが,そ れらの境界はさ童壊しておち,概念規定もはなはだあいまいであります.ここでは私の研究分野を 都市計郵 UrbanP
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1) と呼ぶことにします. 都市計画を研究するうえで, OR 的な考え方, OR 手法は非常に有効ですから,私自身 OR~こ は強い関心をもっています春そこで私と OR との檎保で、すが,欝市計践の務究にとって必要な考 えつぢ,手法の一部を OR から禁断で{器用して,これを私なりに消化するという主にとっては十分 に採算のとれる関係であります.もちろん都市計闘研究者が OR を応用し,また OR へ問題提起 念ずることによって, OR 自体が発展するという場合もあると患いますが,私自身に関してはま だカも不足しており,そういったど悪送しはかなりうものことになるのではないかと怒っています, しかし私の論文に大西記念文献賞者ピ授与されたのは,まさにこの都市計画から OR へのブィード バッグを挺進・充実させるための先行投資ではないかと思われます.そこで私としては今段このt
1970年l1J'l S13 秋察研究発表会講演,*
京都大学交通土木工学教室.2
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214 青山吉隆 機会を借りて,身のほど知らずにも,都市計画の分野から OR への問題提起をしようと思い立っ たわけで、あります.何分にも経験の乏しい研究者がまだ発展の端緒にある都市計画むについて述 べるわけですから,問題提起になるかどうかあやぶまれますが,私なりに都市計画の現状をまと めることから始めます.
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都市計画の現状 ご承知のように,現在,都市計画はきわめて実践的,対症的な課題と要請のまえに立たされて いるのですが,その実践を支えるべき科学的な理論構成や法則的知識の体系化はまだできていな いのです.このような科学的基礎をもたないまま,現下の社会的要請に応じることは学聞にとっ て邪道であるという批判も成り立ち,現にそういった意見もありますが,だからといって,その 要請を無視できない研究者は彼らなりに問題領域を設定して研究を行なっています.こうして都 市計画は本来,対象として comp
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ve な人間と社会,経済,自然とを含む mu
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plinary な科学であるはずであるにもかかわらず,多くの多様な事例研究を独立した形で生み出 し続けています [2]. ミれらの事例研究の多くは,対象なある程度狭く限定して,それ以外なす べて与件とするか,あるいは無視するかして現象モデルを作成し,それと同時に,研究者の主観 的判断によって評価基準を設定して計画を行なっています.こ二ういった状況のなかで,多くの研 究者が都市計画の体系化とし、う科学的 needs と現在の問題解決の needs との聞で,ジレンマに 陥っているのではなし、かと思います. この都市計画研究者が直面している 2 つの課題のうち,現在解決を待たれ℃いる都市問題がど んなに多いかはこ ζ で述べるまでもなく,日々のマスコミに詳しく報じられています.それでは もう l つの課題である都市計画の体系化がなぜ℃、きないのでしょうか.もちろん多くの原因があ りますが.rシステムフローとしての土木計画」をテーマとして催された土木計画学シンポジウム [3J において,土木計画のシステムイじが.
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c きていない主要な原因の l つは計画目的の抽象性,す なわち「公共福祉の増進」にあることを指摘しています.事実,この概念に対する解釈は人により 立場によりさまざまに異なります.まして都市計画は空間複合体 spatialcomplex
system です から,その計画目的の抽象性(公共福祉の増進あるいは住民福祉の増進とし、し、かえたほうが通切 かもしれませんが)の解釈は非常に多様です.そして,この多様性が計画目的を規定する要因の 発見やその定量化を阻んでいて,その結果当然,計画システムの構築は不可能となっています. それでは,都市計画の評価基準の設定とその定量化は科学的には不可能なのでしょうか.現在 国家政策の目標として GNP に代わる修正 GN P. 福祉指標,社会指標などといった新しい福祉 1) 新都市計画法(昭和何年 6 月公布)に定める都市計画とは「都市の健全な発展と秩序ある整備を図る ための土地利用,都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画」とあり, この計画の策定区域を 「・・..一体の都市として総合的に整備し,開発し,及び保全する必要がある区域を都市計画区域」とし て指定しています. 2) 私の「都市計画」の定義はのちほど 3 ・ 3 に要約しています. この定義にもとづく都市計画の研究 は始まったところです.都市の設計学や都市社会学に長い歴史があることはし、うまでもないことです.く特別講演〉 都市計画への数理的アプローチ 215 講演する青山氏 全体の測度の必要性が,公害問題が起爆剤となって強ぇ叫ばれています.そして, A.C. ピグー 以来の経済的福祉は福祉全体と比例もしくは同方向に推移するとし、う伝統的な仮説は急速に過去 のものとなりつつあるようにみえます.一方,都市社会学者が住民の福祉を示す指標の必要性を 説いたのはかなり以前です [4]. たとえば,
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Dewey は「都市社会学者は都市のできごとのた んなる記述に終始してはならない.住んでいる人達の価値観,市民の要望に即応した地域開発を 導くべき価値を発見する必要がある j と述べています.また,O. D.
Duncan は住民福祉の諸側 面の例として居住生活,交通の便,健康,公共安全,行政効果,教育,コミュニケーション,公 共レクリェーション,小売店の分布,各種団体の存在形態などをあげています.しかし Dewey が価値の発見と呼んでいるように, Duncan の提示した福祉の諸側面や多くの事例計画の評価因 子は科学的方法(因果の連鎖をもっているという意味での)による帰結ではなくて,あくまで主 観的な提示にすぎないのです.そしてこれは当然、のことですが,価値を規定する要因を演鐸的に 求めることは不可能ですから,要因は発見に頼らざるを得ない.そして発見された要因を経験的 妥当性,おそらく統計学的方法によって検討するという方法,いわば価値を規定する要因の統計 学的推測を行なわざるを得ないであろうと思います.しかし,住民の価値観は外的刺激を受けて 永続的に学習過程にありますから,推測された価値(近似価値)は常に計画対象の内部にいる評 価主体,この場合は都市住民からのフィードパックによって修正される必要があります. さて,近似価値の推測に関する方法はのちほど述べることにして,価値が近似的にでも推測さ れたなら都市計画の体系化(これをシステム化と呼びます)ができるでしょうか.まず,推測さ れた価値はおそらく 1 つのスカラー量に統合された変数,たとえぽ金額だとか時間などではな く,multidimentional
consequence だと思われます. ですから, 少なくとも都市計画システム がアウトプットすべき要因集合をわれわれは知ったことになります.そこでつぎに,これらの要 閣集合と制御変数の聞に存在する内生変数と外生変数の sequence ,すなわち現象システムを構 築することによって都市モデルが完成するはずです.現象システムは多くのサブシステムから形 戒されており,われわれは現在多くの独立なサブシステムあるいは個別現象モデルの研究を見い 出すことができます.この個別現象モデルの乱立(?)による混乱状態は価値を形成する要因集 合との sequence によって整理され,また足りない現象モデルを知ることができます.そして, 最終的にはシステム全体の信頼性の見地からそれぞれのサブシステムに要求すべき信頼性を知る216 青 ことのできる時がくると思います. 山 で七 口 隆 それでは,つぎに都市計画のシステム化の方法について,具体的に私の考えを述べてみた L 、と 思います.
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都市計画のシステム化の方法 8 ・ 1 評価システム まず,システムは目的を明確にしておく必要があります.しかし,ここでは計画目的とは何か ということを考えるまえに,計画はだれのためにするかということから考えてみましょう.明ら かに都市計画は究極において都市の住民のためのものです.もちろん企業の生産活動に便宜を与 えることも目的の 1 つですが,それは,企業の生産性向上が賃金の上昇や生産物の性能の向上を 通じて住民の経済的生活を向上させるからこそ目的の 1 つとなり得ているのであって,システム の途中に位置するサブシステムにすぎず,究極の目的ではありません.計画目的はいわゆる都市 住民の福祉の向上にありますが,この抽象的な概念だけではシステムを造ることができないこと はさきほど述べました.そこで,この都市住民の福祉を推測する方法について考えてみます. まず,ある 1 人の都市住民と都市とのふれ合 L 、から考えますと,都市住民は都市でさまざまな 行動をしており,この行動を通じて彼は満足感を高めたり,損失感を経験しています.そこで, 彼がある行動から受ける満足感あるいは不満足感の相対的大きさを部分効用と呼ぶことにします, たとえば「住む」とし、う行動の部分効用, I通勤する」とし、う行動の部分効用, I遊ぶ」という行 動の部分効用など,非常に多くの多次元の行動を彼は行なっており,それぞれの行動から部分効 用を受けているとみなすことができます.これらの部分効用のなかには相互に代替性をもっ組合 せもあれば,またそれ自体は他の部分効用によっては補うことができない部分効用もあると一般 的に考えることができます.そこで,彼の都市生活全体を包括する満足感を示す指標を全部効用 と呼ぶことにすれば,全部効用はこれらの部分効用を要素とするベグトルで、あるとだけ定義でき ます. つぎに,この定義を都市の全住民に拡張する必要があります.当然のことですが,住民一人一 人についてこれを定義し,仮説を設けることは技術的に不可能ですし,システム全体の信頼性を 考慮すればおそらくむだです.最終的には,システム全体の信頼性を効果的に高めるために都市 住民を必要ないくつかの層 class に分類することになると思います.分類基準は価値観すなわち 限界効用の相異です.たとえば,住宅の効用関数を規定する要因がたとえ単身者と家族世帯とで 似ていても,前者は都心へのアグセシピリティを重視しており,後者は住環境を重視しています. このように自分自身の置かれている条件によって,同じ部分効用でもその関数は違います.原則 として個人によりこの関数はすべて違いますが,これをシステム全体の信頼性という視点から層 化します.しかし,層化するための分類基準としての価値観の相違をアプリオリに知ることは不 可能です.そこでまず最初は先の住宅の部分効用の例にみられるように, 各住民の個人的特性 (たとえば年齢,性別,収入,学歴,職業,家族数など)によって分類するのが便利だと思いま〈特別講演〉 都市計画への数理的アプローチ
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す. また私としては調査が可能であれば Guttman's Scale を実証してみたいと思っています. すなわち個人的特性ベクトル t を変数とする潜在的連続体 latentcontinuum
L を L=L(1) と仮定し,この L をさらに項目特性関数 itemc
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L三三Ln 式ー(1)に従ってn個の層に分類する. この性質を満足する関数 L とりj(L) をそれぞれの行動 別に求めるか [5J. あるいは意識調査標本から全行動を包括するLと作(L) とを求める方法を 研究してみたいと思っています. このn 個の層 (Ch C2, ・・・・. Cn) の「それぞれの層の間では 効用関数が異なり,かつ同じ層に属する個人の間では効用関数が等し L、」とL 、う仮説に要求され る信頼性あるいは許容できる不確実性は,システム全体の信頼性と係りあっていますが,おそら くシステム全体のなかで,この価値の推測に帰属する不確実性がシステムの信頼性をもっとも強 く規制することになると思います. 一方,都市住民は都市であらゆる行動をしているのですが,それらをすべて考察することは個 人の層化に関して述べたのと同じ理由でむだでありかつ不可能です.都市計画の評価のレベルと なる行動ですから,強く個人的な行動は除き,都市の外部経済および不経済と深く関係する行動, あるいはまた他の住民と影響し合う行動だけをここでは行動 action と定義します. この定義に もとづく行動の種類も永続的に多様化していますから,たえず現象からのフィードバッグを必要 とします.いま,都市住民の行動がAhA
2 • Am の m個あるとしますと,さきほどの層 ChC
2 • C n との組合せによって, 部分効用とは層 Cj が行動 Aj を行なうときに受ける効用Uりであると再定義できます.そしてこの部分効用 Uリを要素とする行列 Uは式一(2)で表わされ,
こ,td工 A 1 A 2 ・・・・Am
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(2)u=
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2 ••••U.m
都市の全住民のあらゆる行動側面における近似価値の全体であり,この効用行列 Uこそ都市計 画システムの最終アウトプットであると考えます.このUの行ベクトルはある層のあらゆる行動 の部分効用を要素とするベクトルです.いわゆる老人対策とか青少年対策といった社会問題の把 握は,この行ベグトルに対する問題意識からなされています.またUの列ベクトルはある行動に 対するあらゆる層の部分効用を要素とするベクトルです.現在のほとんどの physicalplanning
の研究はこの行動側面からの問題意識を動機としています.たとえば通勤交通施設計画,住宅計 画,道路計画などはいずれも通勤,住む,自動車交通といった行動から部分効用をとらえた計画 です.しかし,現在のところ行動側面から部分効用の列ベクトルを評価基準とするモテボルはほと n んどなくて,せいぜい ZfautJ(az は層 z の重み)か,あるいはモデ、ルにとって重要なある 1 つ218 背山吉隆
のがj を評纏基準としており,多くの研究はさらに単結化して Uiì 念競走する重要搬の 1 つ,た
とえば金額や時間をアウトプットナるモデルとなっています [6]. 側窓IJ 計画にとっては Uリをも っとも強く規定していると思われる l つの要因を評鱗基準とナることで十分である場合もありま
すが,都市計画システムの評極基準としては不十分です.
この部分効用合要素とする行列 Uをアウトプットするためには , U, j の構造の fact finding が まず必要です. 藤 Ci に認する{霞体が行動んを行なうときに支げる部分効用 Uりを規定して
いる要因を,それぞれの儲体が explicit fこ認識しているとは断定できません. ですから, われ
われは U,j を規定する婆悶を発見し, 仮説を設け, これを緩験的妥当性によって検証しなくて
はなりません . Uij が k f釘の要罷 Xl勺 X2tJ, .'・ー,おりの関数であるとすると,式べ3) とおけま す.
(3) Uij=UU(Xl
,
j,
X2ij , ‘・・・ , Xkij)従来,この関数を推定する若二子の研究が行なわれています.その方法はある行動に対する満足 感セ段階的に classify して意識調査し, それぞれの満足水準と要因ベクトルとの関数関係を判 別関数法や数量化理論 n 類によって推定する方法です [7J ベ8J. また,住民の行動が原則として 部分効用を最適化することを目的として行なわれていると仮定できるなら,行動の結果には後ら の部分効用の構造が implicit に含まれているはずであり, 行動結果から逆にさかのぼって,彼 がその行動を決定する基準とした部分効用関数を捻定ずることが考えられます〔幻. ともあれ,私はここに定義した意味で、の効用関数の数量化は社会統計の整需と並行して,推i総 統計学の諸手法の適切な利用と計量社会学の進歩によって,より精度を高めることができると っています.しかし,現在もっとも必要なのは仮設を検証するための社会統計の整備でしょう. 自然科学における実験の厳衝さに比較して社会学の資料は不備であり,仮説の検証の際,仮説が 誤っているのか,資料が不正確なのか判断に苦しむ場合が多い.われわれはこの社会統計の整備 を要求し,また,われわれが積極的に統計議査を実施すべく努力することはいうまでもないこと です.そのためにはまず効用行列 U の骨組みを提示し, ついでそれぞれの Uりを規定する婆闘 を提示することが先決です.当然これらの提案は経験的実誌によってブィードパックされて修正 されなくてはなりまぜんが,まず第 1 次近似は都市計題研究者が主観的にでも提示すべきである と思っていますe 部分効用 Uij 合規定する要留の集会を Xij= {xëj} とナると,それらの和集合 Xtま式ベ4) で され, (4) X口 XllUX12U.... UX抑制 この X が都市許露の窓義域 domain です.こうして膨大な都市現象のうち,研究対象 X を 限定します. そして評価システムとは, この X から都市計画の値域 range へ写像する効病問 数の集合であり'Ìす. またつぎに述べる現象システムとはこの X を結果とする因果連鎖の集合 であり,さらに意志決定システムは効用行列 U を情報とします. 8 ・ 2 現象システム つぎに X を結果とナる悶果連鎖を遺跡しなくてはなりません a 要控~ i の状聾をめであらわ
〈特別講演〉 都市計画へめ数理的アプローチ 219 すことにしますと,要因 t が状態 Xj であるのはその時点での都市構造の帰結であって,他のす べての変数との相互関係による均衡値です.そこで普通用いられている構造方程式としては Xが 従属している Z を探して,変換行列 B やベクトル関数 F によって , X=BZ ゃあるいは X= F(Z) を困果関係の表現とすることが行なわれています. この方法は短期の現象予測や現象の全体把握のために非常に有効な方法で、ありますが,これに は 1 つのブラックボッグスが前提とされています. それは Z から X への変換の経験的記述で あって.この変換はそこに「変換する主体」あるいは「自然法則」が存在していたから ζ そ生じ たはずです.しかるに,この変換主体や自然、法則をブラックボッグスに閉じ込めたままで , Z か ら X への変換を B や F によって行なうことは, これらを「自然科学的意味での法則」であ るとする操作的行為であると思います.社会科学の現象はその内部に変換主体の「意志」が存在 しているがゆえに自然科学と峻別されて成立しているにもかかわらず,これらの方法は,その成 立基盤である主体を無視した安易な自然、科学からの類推にとどまっているものといえないでしょ うか.都市現象の定義域にある X のそれぞれの状態を現象の内部に存在している変換主体の行 動結果と自然法則の結果のいずれか,あるいは両方の相乗結果であると認識することによっては じめて社会科学としての都市の現象システムを造ることができると考えます. 定義域には多くの変換主体がし、ます. 変換主体はインプット Z を受けアウトプット Xiこ変 換する行為をするので行動主体 action element と呼びます. 行動主体は X を生み出す人間の 意志であり,個人と組織とに分類され,大別して家計と企業と行政機関とから構成されていると 考えてよいでしょう.これらの多数の行動主体の行動原理は自己の目的を最大限に達成すること です3) しかし,多数の行動主体が複雑に絡み合っている都市社会では,自己と同じように目的 を最大限に達成しようとする他の多くの行動主体が存在しており,また行動主体の意志とは独立 した自然変量が存在していて,これらすべての相互作用のなかでのゲームの結果として行動主体 は X をアウトプットしています.それぞれの行動主体の目的と自然法則および主体相互のゲー ミング,これが現象システムの構成要素です.そこでまず現象システムを行動主体とその結びつ きによって表現します.なお,以下の表現と耳論は Oskar Lange のシステム理論口 1J を参考 にしていることをおことわりしておきます. 現象システムの対象は行動主体の集合 E と物質的対象の集合であり 1 つの行動主体 Er にと って,他の行動主体の集合と物質的対象の集合は外界 environment と呼ばれます.行動主体が インプットベクトル Zr をアウトプットベクトル Xr に変換することを Er の「行動」と呼び式 ー(5) の Tr で表わします.
(
5
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x
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T
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行動主体 Er と E, (r キ s) とが相互作用をもっているとき Er から E, への作用は Er のア ウトプット Xr がE, のインプット Z, に連絡し,この連絡形態は式ー(6) の行列 Srs で表わされます. 3) 松田・関口は人間の行動に目標水準を達成しようとする満足化行動があると仮定しています [10J. 私 にはこれを断定するだけの根拠がないのですが,かりに効用最大化行動と満足化行動の 2 つの行動原理 があったとしても.以下の展開には影響しない.220 青 山 士ロ E釜
(
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)
s=(oJ!! 。)
1 0 ・ l ・・・・ 0\ 0 0 1 ・・・・・・ 01 ここに行列 Srs の要素は Xr の要素があの要素となるときし そうでないとき 0 をとりま す.この行列は kxk の正方行列で , Xr と Zs の大きいほうの要素の数が h であります Srs を Er から Es への「結びつき行列」と呼び Er から Es への作用は式ー(7)のベクトル方程式によ って表わせます.(
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)
Z
s
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S
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s
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また Er から Es への作用がない場合は定義より Srs=O となります.さらに現象システム には意志はないけれども,インプット Z をアウトプット X に変換する「自然」が存在しています. この自然、を特殊な行動主体として包摂すれば, r 自然法則」がこの行動主体の行動であり, すべ ての物質的対象がこの行動主体と結びついています. さて定義域に N 個の行動主体があるとすれば,結びつき行列を要素とする NxN の行列 S は 式ー(8) で表わされます.o
S12 ・・・・ SIN\s
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行列 S は定義域の現象の作用関係の全体を表わしており,これを現象システムの「構造行列」 (8) と呼びます.この構造行列は多くの特徴をもっていますが,そのうち都市の現象システムとして 重要なことを少し列挙します. (i) もし Srs キ 0 かっ S, r キ 0 となる Er と E, があれぽ , Er と Es の聞には相互作用があることになり,これは都市の経済現象にしばしばみられます. (ii) また Srl=Sr2= ・・・・ =SrN=O となる Er とは , Er のアウトプットのすべての要素が他のすべての行 動主体のすべてのインプットの要素とならないので Er は他のだれにも作用を与えない主体と いうことになります.この Er は縁の主体 boundary element と呼ばれます.現実の都市現象 には原則としてこのような縁の主体は存在していないはずですが,多数決民主々義における少数 者はこれに近い状態であるといえないでもないと思います. (iii) さらに SI , =S2'=....SN
,
=O
となる E, とは他のし、かなる行動主体のアウトプットの要素も E, のインプットの要素と結び つかないインプットの縁の主体であり,他のだれにも作用を受けない主体です.現実には存在し ていませんが,行政機関,計画主体がもっとも避けなければならない位置であることは明らかで す. さて式ー(5) から明らかに Es の行動も式ー(9) で表わされます. (9) Xs=
Ts(z,) 一方 Er と E, との結びつきは式ー(7) のベクトル方程式で、表わされますから,これらから式一 闘が得られます. (10)Xs
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T
,
Sr
,
(xr
)
(r, s=1 , 2 , ・・・ ., N, r キ s)〈特別講演〉 都市計画への数理的アプロ,ーチ
2
2
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これはシステムのアウトプットふに新しいアウトプット Xs を対応させる構造を意味してお り,システムの「内的運動法長.UJ と呼ばれます. さらにシステム全体のアウトヅ y トベグトルあか=1. 丸・‘ e ・ , N) を対角奏楽とする準対角型 行列 X によってシステムの状態を表わすと, I X1 ^ 紛 x=1 .1:2 ", -1 0 4 E N また T を行動れを要素とする行動行列として,式叩(めで楽わすと,(
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12¥ 。~、l N 結局,システム全体のアウトプットの状鰯 X は新しい状態 X' に式甲慌によって変換されま す. 総 X'=ST(X) したがって,都市の現象システムはそれぞれの行動主体の行動を婆素とする行動行列 T と, 構法行列 S とによって状態 X を新しい状態 X' に変換するという自己発展的な「運動法則j をも っていることになります.この運動法則が urban dynamìcs の対象になるべきものでしょうを 19日年ごろからシカゴ大学のパークたちによって発展させられた都市生態学理論 [12J はこの 運動法則の結果の記述であります.しかし,この生態学理論がその後の急激な都市北の過程を説 明できなかったのは,この運動法則の構造,つまり T と S にまで認識が及んでいなかったため で;;l;る ι患います. われわれは,まず行動行列 T と構造行列 S とを明らかにしなければならない.そのためには 都市計騰の定義域に存在する行動主体の集会 E を把握しなければならない.そして,後らの行 動民的と制約および作用関係に関する仮説と実誌の試行錯誤の方法しかないと,患います. ここに私が定義した現象システムに包含される行動主体の行動の研究は í行動モデノりとし て OR をはじめ数理科学に広い適用の場を提供していますが,既存の行動モデルを現象システム 全体としての告頼性の説点から整環することが必要であると考えています. 8 ・ 3 l康志決定システム 都市計磁の意志決定主体は行政機関です.そして,さきほどの現象システムの行動主体の部に 述べたように,行政機関もまた現象システムの内部に存在する行動主体の 1 つでもあります.行 政機鵠は道路,上下水道,港湾,空港,公器など多くの公共施設の髭震とま見撲とを決定する強力 な行動主体として現象システムに含まれています.そして physical planning としての都市計舗 は,この行政機関の「行動j が現象システムの運動法射を通じて評飯システムを連動させ,その 結果として,効用の増加を能進させようとする行為であると解釈できます.このプロセスは行政 機関のアウトプットを変数とし,現象システムと評価システムをマシンとして連動させるシミ品 レ戸ション・モデルによゅで組み立てられます[1.'3 J.222 青山吉隆 しかし,都市計画主体は現象システムのなかの I つの行動主体という位置にあるだけではあザ ません.それは,効用の増加をはかるためには計画主体は現象システムの運動法則を制御するこ とも可能であるはずだからです.現象システムの運動法則は式-(13) で表わせるように,行動行列 T と構造行列 S によって特化されています. そこで,まず行動行列 T の行動を制御すること によって運動法則を変えます.新都市計画法の市街化区域と市街化調整区域の設定は立地主体の 行動の範囲を限定するものですし,また現在,急速に高まりつつある公害防止への住民運動は企 業の生産活動へ規制を求めるものであるといえます.すなわち,ある特定の行動主体の行動に対 する制約条件を強化あるいは新設することが現象システムの運動法則を変える 1 つの方法です. 他の 1 つは構造行列 S を変えることです .8 は行動主体相互間の作用の有無を示すもので,い わゆる住民参加とは住民主体から行政機関への結びつき行列の強化を要求するものです. このように , T や S の制御により現象システムの運動法則を変えることができれば,必然、的 に現象システムのアウトプットが変化し,それは評価システムに連結して効用の増加をはかるこ とができます. こうして,私の定義する都市計画とは「狭義には physical planning として,公共施設の規模 と配置を計画手段とし,現存の現象システムの運動法則を利用して,効用の増加を目的とする行 為」であり,また「広義にはおもに法律による構造行列と行動行列の制御を計画手段とし,新た な運動法則を生みだすことによって効用の増加を目的とする行為」であるといえます. いずれの場合にも,意志決定の原則はその計画のもたらす効用と損失の比較によるものと思い ますが,効用および損失は明らかに multídímentional です.この状態においてさきほどの効用 行列を意志決定の情報とするとき,少なくとも次の条件は考慮される必要があります. (i)まずす べての部分効用 Uりは増加するほどよい. (ií) すべての部分効用はある基準以下であってはなら ない. (i ii) 層に属する個人の数が考慮されなくてはならない. しかし, これらの部分効用 Uりを行動によって総合化して各層の全部効用関数を求め, さら に, これを総合して都市の全住民の効用を示すいわゆる「社会的厚生関数J
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function を数量化することは, 層間の効用比較を前提とする以上, 科学の範囲をこえ不毛な形 式論に終る可能性があります.したがって都市計画の目的関数を設定することはで、きないことに なり,単一の目的関数の存在を前提とする計画数学を都市計画に適用することは失敗せざるを得 ないし,逆に計画数学が都市計画に適用されているとしたら,必ずそこには効用比較に関する強 い仮定があるはずであります.この意味で,都市計画には最適解はなく,したがって最適解を探 索する意志決定システムは科学的に存在しない.しかし,パレートの「オフェリミテの極大」の 概念を応用しかっ補償原理を採用したうえで「他のし、かなる層のし、かなる行動の部分効用をも減 ずることなく,ある部分効用を増加させることのできる計画案」は少なくとも「正当」であると いえます.そして,都市計画の意志決定システムの当面の課題は,この正当性を適切に判断する ことのできる組織のあり方を解決することでしょう.そこで現時点で研究者に要請されているの は,正当性を判断するための情報を与えることのできる都市計画システムの提案であると思いき す.正当な代替案のなかのどれを選択するかは,層聞の効用比較を前提とずる以上,もはや科学〈特別講演〉都市計画への数理的アプローチ の範囲をこえていると思うのです.
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システム化のプロセス 223 さて,都市計画のシステム化のプロセスについて,これまで評価システム,現象システムおよ び意志決定システムの概略を述べてまいりました.ここでもう一度図ー 1 にしたがってまとめてみ ます. まず,評価システムは評価主体の層と,行動 の種類とによってわけられた部分効用 Uリの集 合 U を値域 range としており, この range の定義と,これを現象システムのアウトプット X から写像する関数の集合であります. そこ で,現象システムとは評価システムによる定義 域 X をアウトプットするシステムであると定 義され,行動主体の集合 E とそれぞれの行動 の集合 T および結びつきを示す S によって構 成されています.そして,意志決定システムと は狭義には行政機関のアウトプットどにより, 民主主には構造行列 S や行動行列 T を S' ある いは T' に制御することにより効用行列 U を V に変え,この U' を情報としてど,S'
,
T
'
を選択するためのシステムであります. このプロセスの現在の状態は,これまで述べ てきましたように,評価システムではいくつか 評価システム A ={Aj}
u =
{
U
i
i
}
『ーーーーーー一一ーー一一ーuij=Ui
j
(X,,)
現象システムバX1:jE!
S
4
:
S
T
S
},T={
Tr
一---ーーーーーーー・X'
=ST(刻 意志決定システム U - -U' ーー一一一ー一一一一一』 X , ー--þ. X'r5 - - 5 '
T-ー T' の部分効用関数 UiJ=
U
i
j
(Xij) が研究されてい 図 1 都市計画のシステム化のプロセス ます.現象システムでは個別に Er ,T
r, Srs を限定した現象モデルが非常に多くありますそ. して,意志決定システムではやはり対象を限定して ,x' ,
Uij
,
S'rs
,
T'r を含む最適決定モデノレ やシミュレーション・モデルが多くあります.それぞれの研究をシステム化を目ざす 1 つのステ ップとして位置づける研究者もありますし,また,その研究対象自体は,都市計画システムとは 独立した存在基盤を有しているとする研究者もあります. そして,現在のところ都市計画分野における OR の進出は,独立した現象モテゃルと最適決定ぞ デルに多〈みられます.そこでは OR は現象の精微な再現と最適計画による問題解釈に大きく貢 献しているといえます.しかし全体システムが見通しさえついていない現状で,個々のモデルに OR を生かすよりも, OR を貫徹している考え方,システム化の戦略といった方法で,都市計画 のシステム化に寄与するべきではな L 、かというのが私の意見です.都市計画のシステム化を目的 として,都市計画研究者は現時点で何を研究すべきであるのか, OR マンはどのプロセスを受け224 青山吉唾 もつのかといった一連の研究計画プロセスの最適化に OR は答えることができないものでしょう カ‘-5. おわりに 以上,都市計画のシステム化の方法について私の考えを簡単に述べさせていただきましたが, 私自身,いまのところある有意な信頼性をもった都市計画システムができるかどうか確信はもて ないのです.しかし一度はシステム化を目ざしてみる必要があると d思っています.そして,もし も不可能であることが確認されたなら,その時点で,都市計画は対症療法的技術に徹するなり, また研究者は主観的ピジョン論を研究することもやむを得ないでしょう. 以上,厳密さに乏しい内容ですが,少しでも都市計画と OR の両者の発展に寄与できれば非常 にうれしく存じます. ご静聴を感謝します. なお,この原稿をまとめるにあたり,京都大学天野光三教授からご指導をいただいた.ここに 記して謝意を表する. 重喜考文献 [ 1 J 青山吉隆,“都市圏におけるマス・トランスポーテイションの最適計画経営科学,第 13巻,第 1 号, (1969)
,
48-70.[2
J
Maurice O. Kilbridge, Robert P. O'block and Paul V. Teplitz, “A Conceptual Framework for Urban Planning Models", Management Science, Vol. 15, No. 6 (1969).[3J 土木計画学研究委員会,“第 4 回土木計画学シンポジウムペ土木学会(1 970). [4 J 鈴木広訳編,都市化の社会学,誠信書房(1 968). [5J 青山吉隆,“都市勤労者世帯の住宅需要構造の研究都市計画,通巻 58 , 59号(1 969) , 36-47. [6J [2J にアメリカの都市計画モデルが紹介されている. [7] 梶秀樹,“生活環境施設整備のための社会的選好関数の研究 日本都市計画学会学術講演会論文集, 第 5 号(1 970). [8
J
青山吉隆他,“西神ニュータウンにおける住宅需要構造について交通・都市計画コンサルタント, (1970). [9 J 青山吉隆,森杉寿芳,“都市の土地利用構造に関する研究",日本地域学会第 7 回大会報告要旨(1 970) , 35-64. [lOJ 松田武彦,関口光晴,“目標形成過程の研究(2)' 九日本 OR学会秋季研究発表会アブストラクト(1 970) , 61-62. [l1J Oskar Lange,鶴岡重成訳,システムの一般理論,合同出版(1 969).[12J Robert E. Park and Ernest W. Burgess, “The Ciり", The Univ. of Chicago Press(1967). [13J たとえば, The Center for Real Estate and Urban Econom児島“Jobs, People and Land,. Bay