ディーゼノレ車排出物の変異原性と細胞毒性
平 良 昌 彦 , 西 和 子 , 浅 中 美 幸 , 戸 野 谷 千 春 , 藤 井 智 子(武!初11女子大学家政学部食物学科〕
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Tonoya and Tomoko F
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Detartment of Food ScienceMukogawa Women' s University, Nishinomiya 663
It is certain that some chemicals with direct mutagenicity exist in the soot of diesel vehicles. A new fractionation was attempted and 8 fractions, i. e., basic, acidic, hexane insolubles, ether insolubles, aromatics, tansitional and oxygenates were verified. As a consequence, strong mutagenecity was found in the acidic fraction and its mutagenicity reduced by addition of S …9 mix.
The cytotoxicity which soluble fractions of diesel engine exhaust were examined by the plating efficiency method was found to be in the order of: hexane insolubles
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ether insolubles>
acidic>担asic=担araffins=aromatics. Those fractions found to show directmutagenicity by means of Ames test showed cytotoxicity, while those without direct mutagenicity showed no cytotoxicity.
緒
広'" ディーゼノレ司王はガソリン率に比べ,燃銭,耐久牲に 勝っていることから,現夜では小型率にまでディーゼ、 ノレ化の波が抑し寄せている.しかし,排出微粒子の設 は,デ、ィーゼ、ノレ率がカ、ソリンの 30~100f告にもおよん でし、る.その粒子サイズは陵筏Q.1 ~0.2μm と Hili 内沈 蒜主将が高く,また,大気浮遊物資の変異}京活性も ディーゼノレ殺の通行最が多いとされている地区では主主 くなっていることが報告されている1.2. そのため,ディーゼ、ル取の増加に伴う潜在的な健康 への影響が懸念されている. ディーゼルヰZ排出物は,ベンゾ(乱)ピレンC
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乱 p) 等の多環芳香族炭化水素やニト口アレーン,また は,飽和脂肪族炭化水素等の有機物質の付着した粒子 状物質を多量に含んでいる また,可溶性有機成分がガソリン取の平均50倍にも 公衆衛生学研究室主(食品衛生学〕 達し,粒子重量の約15%を 占 め て い る . そ の 成 分 に は,直接変奥原性を持つ物質が検出されている4 そこで著者らは,ディーゼノレ取がおよぼす主主体影響 に関する研究の一環として,これら粒子状物質の変異 j京伎をサルモネラ菌を用い,また,紛胞毒性をi勝手L
動 物の培養総胞宏用いて検討した.研 究 方 法
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蘭株5 Salmonella typhimurium T A 98, T A 100 (His, -ra,f,RuvrS-)を用いた.2
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縮施株E HeLa-S3細胞を用いた.3.
排煤捻出物 ディーゼノレ車排煤32gを梅化メチレンで4時間ソッ クスレー抽出した後,液,液分自己法及びカラム(ワ コーゲルC-200,和光純薬, 1.2x 17cm)分磁法で, 塩基性,駿性,ヘキサン不溶性,エーテル不溶性,鎖 状炭化水素,環状炭化水素,遷移炭化水素,合数索炭第37巻(1989)
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滋ホモジネ た.5
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細飽議性試験 日ela-S3細胞を200偲/50悶 dish播種し, 37"C, 5%C02ふ卵務中で24時間培養後,各検体をそれぞ れ, 100μ g/ml, 70μg/ml, 50μg/ml, 30μg/ml, 10μ g/mlの濃度で、24時間作用させ,コロニーを形成 させた.その後,常法通り回定,染色し,計測したコ ロニー数について相対コロニー形成識を求めた. トから S…9mixを調製 (Table1)し 自然科学編 化水言葉の8滋に分幽 (Fig.1)7した.減圧濃縮後,ジ メチノレスノレホキシド(以下DMSO)で10mg/mlの滋 度に溶解し, 100.C, 30分間煮沸滅菌を行い,実験時 に,変異原性試験においては滅菌DMSOで,総j抱議 性の検定には総胞培後周培地(10%血清添加〉で適笈 希釈したものを検体とした. 武威)11 女子大学紀~1
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排煤抽出物の変異原性 分画物の割合は,ディーゼノレ車排煤おり,塩基性分 闘0.5%,酸性分闘4.7%,ヘキサン不溶性分画2.4%, エーテル不溶性分闘1.5%,鎖状炭化水素0.56%,環 状炭化水素0.91%,遷移炭化水素3.0%,合酸素炭化 水素2.4%であった.それぞれの変奥原伎を検討した 結5誌をTable2にぶした.数性分j瑚,ヘキサン不溶性 分爾,エーテル不溶性分画,合酸素炭化水素分断は, S-9mixの添加により減少がみられる変異原性を有 していた.これらの4分銅は, T AI00よりもTA98 にi
弱い感受性を示し,変異原j活性f誌に対する比主将は 73%を占めたー特に,賞金性分銅は,全体の43%を示し Tこ.2
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排煤抽出物の細胞議性 コロニー形成率の変化をFig.2およびTable3に示 す.これによると,排煤抽出物の総胞毒性の強さは,果
結
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kwer N" 白 《 刷 《 Anlllnod 汽張託~"'--Neulrai --r-Dissolva hexane k略説£炭均 Fig. 1 Scheme for extraction of soluble organic fraction of diesel particulates. Aromatics 100 50 5 7 ' ( 渓 ﹀h
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変異原性試験5 Ames法の改良法であるプレインキュベーション法 により行った.代謝活性化のためには, P CB (KC -500)を投与した7週齢,雄ラット (Fisher系)の肝 Composition of S-9Mix Component S-9Mix fraction Preparation liver homogirlatE0.300ml 9000X g supernatant 1.65M per ml Table 1 0.020ml 0.020ml 0.40M KCI MgCl2 0.005羽t 1.00M G6P 100 80 60 40 20 O O 0.005ml 100units/ ml G6PD Acting concentration (μg/me) 0.040ml 0.400ml 0.10M 0.251在 NADPH Na-PBS Fig. 2 Effects on plating efficiency by the addition of soluble fractions of exhaust soot. 0.210ml DW2ディーゼノレ車排出物の変奥原性と細胞主毒性(平良・商・浅中・戸野谷・藤井) τable 2 Mutagenicity on soluble organic fraction from diesel car soot Concent- Revertants/ plate Fraction ration TA98 TAIOO μg/plate -59 +59 -59 +59 1 . 100 32 35 122 178 Basic 10 18 246 67 153 8 21 43 95 2. 100 898 233 660 164 Acidic 10 130 51 135 73 l 26 12 40 30 3. 100 575 189 482 165 Hexane 10 110 65 133 78 insolubles 24 26 44 53 4. 100 456 136 417 70 Ether 10 76 46 115 55 insolubles 20 17 39 48 5 100 13 30 86 192 Paraffins 10 12 32 57 145 7 30 30 107 6. 100 13 26 78 290 Aromatics 10 10 25 51 205 11 27 34 135 7. 100 492 522 418 985 Transitional 10 86 26 148 183 18 9 58 55 8. 100 714 221 536 152 Oxygenates 10 87 36 72 80 12 8 17 48 ヘキサン不溶性分闘>遷移炭化水素分闘>エーテル不 務性分画>駿性分i前>塩基性分断ロ鎖状炭化水霊祭分画 ロ環状炭化水系分阪のl顕であることがわかった.
考 察
大気汚染物質の主な,変兵隊性化合物は,ベンツ (a) ピレンに代表される代謝活性化を婆する多潔芳 香族炭化水素 (PA狂)であった8. 9. 10 しかし,交 通量の多い地区で採取された大気浮遊物の変兵隊性強 度と,ベンツ(乱)ピレン含有量との間に相関関係は 認められていない11. 12 まずこ,大気浮遊物質中には, 代謝活性化することにより変異原性が減少する化合物 の存夜も報告されている13. 14 これらのことから,従 来より検索されている化合物とは異なる代謝活性化を 望書しない新たな変異原物質の存在が予測される. 著者らは,自動車排煤釣出物の変兵隊後を検討した 結果,代謝活性化せずとも変異原性を示す direct -mutagenの存在を縫認した15 しかも, direct-muta -genを有する分磁(機性分断,ヘキサン不溶性分磁, Table 3 Cytotoxicity and mutagenicity of soluble fractions of exhaust soot. Fraction Cytotoxicity淡 Mutagenicity糊 〈μg/ml) - 8 9 十8-9 Basic >100 32 35 Acidic 35 898 233 H芭xan邑 14 575 189 insolubles Ether 36 456 136 insolubles Paraffins >100 13 30 Aromatics >100 13 26 Transitional 22 492 522 終 Activ号 concentration of drugs showing a 37% survival rate (Do value). 滋 淡No. of revertants per plate at concentration of 100μg/ plate and strain T A 98. エーテノレ不溶性分阪, f量殺主総炭化水素分1国)の排煤総 変奥E
お設に対する比率は73%と向く,中でも酸性分闘 が全体の43%を占めていた16 この結果は,自動本排 煤抽出物の変異原4院の相当な部分が directmugagen で占められている惑を示唆している. また,著者らの実験結果では, Pitts17,大西lらの報 告と同様, direct-mutagenを手ぎする分倒の変異原牲 がTAI00麹株よりもTA98菌株に高い感受性を示し ており,フレ…ムシフト裂の変異を誘起する化合物で あることがわかった. 一般に, direct-mutagenとして知られている化合 物には,エポキシド,パーオキシド,ハイドロパーオ キシドがあげられる18 しかし,いずれも不安定な化 合物であり,自動車排煤吸穀物中での存在は考えにく L 、 -現在,ディーゼル排煤中で‘同定されている direct -mut乱genは, 3, 4ージカルボン毅然水物19 6ー ベンゾ(乱)ピレン18 アルキノレー9ーフルオレン20等 ごくわずかである. 強い変奥原の濃縮がみられる酸性納分騒を行い, direct-mutagenである化合物の同定を試み,然水 1 , 8ーナフタル酸,アントラセン-9ーカノレボン 酸,アントラキノン 1-ナフトエ酸, 2, 3ーナフ タレンジカルボン駿を同定した21 しかし,これらの化合物がdirect-mutagenとして武膝)'1 女子大学紀~ 自然科学編 第37巻(1989) は非常に言唱し、ことから,この分闘中にはより強い変災 原性を有する米同定の化合物の存在が卜分に考えられ る. 一方, PAHのノ、ロゲンまたは,ニトロ;i*導体の仁j:! には,代謝活性化をなくしても変異原性を示す,すな わちdirect-mutagenとなるものがある.また, J)el高 性および変兵隊性をぶさないP A況がノ、ロゲン化また はニトロ化されると,発il¥li't生や変異原性宅ピ示すように なることが報告されている そして,潔境大気中においては,多種の PAHと NOzが存複するため,これが大気中で反応し,ニトロ 化P A況 と な る 可 能 性 が 強 く ま た こ の よ う な 反 応 は,実験的にすでに織かめられている17 芳呑族ニトロ化合物の変異原型t.強度はそノニトロ体 よりもジニトロ体が強く,また,潔数の増加lにとも なって強くなっている22 著者らは自動車排煤仁
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のdirect-mut特 例lをひきお こす物質は,フレームシフト裂の変異合誘起する何ら かの修飾された多潔芳森族ニトロ化合物が主体であろ うと考えている. 排煤抽出物の細胞毒性は, Table 3に示すように, サノレモネラ菌を月J
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、た Ames試験での変異J>jt性結泉 とよく相関していた. つまり, S-9mixを添加しない夜接変異原散を示す 分闘には強い細胞滋性が認められるが,話!後変異J
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F:性 宅ピぷさない分断には細胞議性も認められていない. このことから,変災原性を示す物質と紛胞移性を示 す物質は同一の化合物であるか,あるいは化合物とし てはその性質が全く災なるもの,つまり,変奥深性は 示すが細胞毒性は示さない,あるいは,細胞若手伎は示 すが変異原伎はポさない物質が向一分煽内に存従する のいずれかと考えられるが,現時点ではその判断は滋 難である. Clarkらは23 細胞議性と変異涼伎は相関すると報 告しているが, L iらは24 その成分は異なると報告 している. また, Clarkらは23 血しょう蛋白,肝臓ホモジネ ト,スルフィドリル合有化合物が変災原性と細胞議性 の両方を減少させる苦手から,同じ化学成分の関与を示 唆している.だが,これらの比較は,いずれもバクテ リアでの実験結果と務養細胞での結采との比較であ り,それぞれ異なった代謝系を有していることなどか ら,その考察は無潔があり,難しい. しかし,総胞犠牲成分は分裂している細胞に突然変 異をひきおこす成分を含んでいる24ことなどから,議 終的なヒトへの影響という観点より考察した場合,議 ~な指綴となるであろう. このように,著者らの実験では,変異原't':l試験の結 采と細胞滋性は相隠していた しかし, V-79細胞を用いた体細胞突然変異試験に よれば,ディーゼル排出物の変兵隊性は非常に弱く, S…9mixあるいはS-15mixの添加によりその変災原 性は減少することが報告されている25,26 また,細胞議性がlfrli存, S H化合物等により減少す ることから,主bt:l:¥物の毒性が簡厳に無毒化されうるこ とを示唆した報告27がある. しかし,このようなことが体内でもおこり得るのか どうかは明らかではない.要 約
ディーゼノレ排煤ゅの直後および間接に働く変災以の 存在を明らかにした. 梅主主1'サ分銅,酸性分断,ヘキサン不溶性分lilli,エー テル不溶性分留1,鎖状炭化水素, ~l状炭化水素,立霊移 炭化水系,合酸素炭化水系の8分阪について検索した ところ,級制:分i
顎iに強い変異原料二をJi!,l、11"¥した. コロニ…形成法によるディーゼル111排出物の可溶性 分画物の細胞毒性は,ヘキサン不務性分割〉遷移炭化 水系分画〉エーテノレヌド溶性分割〉般性分1図〉結~.1J;tI:分 画口鎖状炭化水素分が=環状炭化水量三分i
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で、あった. Ames法で直接変異際性のない分隊i
には細胞i
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,'Vt.も なかった. (本研究は(社)日本自動率工業会のディーゼ、ノレ封│気 物質の生体影響に到する研究 (HERP研究)の一郎 としておこなったものである.)文 献
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