1.小児外科について
突然ですが、小児外科ってなんでしょう?どこの病院にも あるような専門科ではありませんよね。当院の小児外科は 原則新生児から中学生までの頸部、胸部、腹部、腎尿路、 婦人科領域の外科疾患を扱っているこどものための外科で す。当院小児外科は現在名誉院長の青山興司先生が 1974年に開設され、はや40年が過ぎました。当時の小児 外科は黎明期であり、小児外科疾患の死亡率が高い時期 でもありました。高度成長期である日本の出生数は右肩上 がりで、ますます小児外科医の重要性が高まる中、こどもの 外科治療に従事する医師が青山先生のもとに集まってきま した。それが現在副院長である後藤隆文先生をはじめ、 我々若手の医師にまでつながっています(私が若手かどう かはもはやわかりませんが…)。現在は少子化が進んでお り岡山県では開設当時の昭和49年は49800人 ほどの出生数が平成25年には16000人にまで 減少しました。開設当時に比べ対象とするこど もの人口は減っていますが、その結果さらなる 医療の質が求められる時代へと移り変わってお り、我々へのニーズも変遷しているものと考えて います。 そんな中で現在の岡山医療センター小児外 科は5名の医師が従事しています。後藤副院 長をはじめ、中原康雄医長、私片山と上野悠 医師、人見浩介医師の5人が小児外科医師と して働いており、さらに小児科より数名が定期 的にローテートし研修しています。また青山名 誉院長が週1回の外来と総排泄腔専門外来を 設けています。専門医に関しては、小児外科指導医2名、 小児外科専門医2名、小児泌尿器科認定医2名、小児がん 認定外科医1名、腎移植認定医1名(重複あり)となっていま す。年間手術数は600例近くになり、ほぼ毎年同数で推移 しています。また、減少を続けるこどもの人口において小児 外科疾患の数も減っていると考えられますが、それにもかか わらず手術数がほぼ一定であるということは、長年小児外科 治療を続けてきたという実績と同時に、その間に様々な医療 機関から紹介していただけているという信頼関係によるもの が大だと感じています。そのためにも現在も紹介していた だいた小児外科患者さんはどんなことがあっても原則引き 受けることを小児外科医師全員に徹底させています。急性 虫垂炎をはじめとするこどもの救急疾患なども小児科の先生 方と協力し、24時間いつでも対応できるようにしていますの で気軽に相談していただければと思います。 T H E JO U R N A L !!6
2016.12 Vol.11 N o.3特集
診療科等紹介
■小児外科医師 片山 修一 外来診療(小児外科) 金 木 水 火 月 午後 午前 午後 午前 午後 午前 午後 午前 午後 午前 専門外来 (青山興司) 第1.3週 青山興司 後藤隆文 片山修一 片山修一 後藤隆文 中原康雄 検査日 中原康雄 手術日 手術日 手術日 左から茂原、人見、片山、青山、後藤、中原、上野。 茂原は小児科からのローテートで短期に小児外科研修している。 <小児外科スタッフ> こんにちは。小児外科の紹介を書くよう依頼がありました。いろいろ考えた結果、 以下のような構成になっています。時間があればぜひ読んでください。 1.小児外科について 2.我々の特色 3.現在の活動内容 <小児外科外来日割表> H28.10.1現在 ※緊急であれば24時間365日対応しています T H E JO U R N A L !!7
2016.12 Vol.11 N o.32.我々の特色
小児外科を標榜している病院はどこも同じでしょ?なんて 思うのは早計かもしれません。鼡径ヘルニアなどの一般的 小児外科疾患はもちろんどこの小児外科でも治療できると は思いますが、やはりどこの病院もそれなりに特色を有して いるものです。当院では特に以下のようになっています。 ①小児がん ②小児泌尿器 ③新生児外科 ①については小児外科で扱う腫瘍は固形腫瘍(腎芽腫、 肝芽腫、神経芽細胞腫など)になります。当科でも全国的 な治療プロトコルに準じた治療を行っており、毎月1回は中 国四国地方の小児がんを取り扱う病院間でテレビ会議であ る小児がん中国・四国ネットワーク会議に出席するなど、 日々研鑽しています。②については、包茎や停留精巣、水 腎症はもちろんのこと、小児腎移植のような手術規模の大き い治療まで行っています。鎖肛や総排泄腔外反症などの 先天性の小児外科疾患がありますが、これらは小児泌尿器 の分野と腹部外科の分野の知識のどちらもが必要になる疾 患であり、こどもの外科をする上では小児泌尿器分野をはじ めとした様々な分野の勉強は必要不可欠です。③に関して は当院は総合周産期母子医療センターに指定されており、 県内では当院と倉敷中央病院が指定されています。その 関係もあり新生児外科疾患を数多く取り扱っており、近年で は胎児診断症例も増えているため、出生前からの検査や管 理、出産後の治療までを産婦人科、新生児科と連携し周産 期医療を行っています。年に1回は地域の産婦人科の先生 やスタッフの方々と当院産婦人 科、新生児科、小児外科があつ まりミーティングを開き、毎年の 動向や注意点などを確認してい ます。地道な活動が岡山県の 周産期医療の質を高めることに もつながり、我々の治療の質も 上がっていくと考えています。3.現在の活動内容
小児外科医として日々の努力は当然必要ですが、やはり 後続してくれる医師の確保および教育は重要です。私たち (自称)若手もいつまでも若いわけではありません。志の高 い医師を教育していくことが小児外科医療の質を高め、その 質を恒常するための医師の確保にもつながると考え、先述 した青山名誉院長を理事長とし、岡山医療センターのみな らず中国四国地方の他病院も含めてNPO法人中国四国小 児外科医療支援機構を2012年に設立しました。その活動 の一環として高校生セミナーと銘打った高校生に医師の素 晴らしさを体感してもらうセミナーを年1回実施しています。 小児外科医育成とは一見違ったようにも思うかもしれません が、志の高い高校生がこのセミナーを機に医師への志を確 実なものにし、将来有能な医師になってくれることを期待し て止みません。そのような優秀な医師の一人でも小児外科 医を志望してくれたらと思わないわけでもありませんが…。 その一方で国際ボランティアにも力を入れています。2003 年にミャンマーから初めて当院に患者さんを受け入れたこと をきっかけに現在までに9人の治療を行いました。2011年 からは海外にまで赴き診療および手術を行っています。現 在までに10回渡航し、その都度チームを編成した結果、の べ80名の医師が参加しその間の手術数は200例を超えまし た。こういったNPO法人の活動および海外での医療活動を 国内の学会などで報告し、周知を図っているところです。 最後になりましたが、当院での診療や学会活動および NPO法人を通した医療活動など我々の活動範囲は多岐に 渡っており、これらを世間に報告するために岡山医療セン ター小児外科とNPO法人中国四国小児外科医療支援機構 のHPを開設しています。 岡山医療センター小児外科 http://www.shonigeka.com/NPO法人中国四国小児外科医療支援機構
http://chushi-pediatric-surgery.com/index.html 医療センター小児外科HP内では頻度は少ないですが、 一般の方向けにブログも更新しており、一度目を通してい ただければ幸いです。今後の目標はさしあたって50年目 を今よりも良い形で迎えられるように精いっぱい全員で頑 張っていきますのでよろしくお願いいたします。 高校生が縫合結紮を体験している。 <高校生セミナーの一場面>