乳房切除後に大胸筋下へ挿入されるために術後の局所再 発は少ないと えられる. 今回, 我々はインプラントに よる一期的乳房再 手術の 1年 2カ月後に患側大胸筋内 に再発が認められた稀な症例を経験したので報告する. 【症 例】 42歳女性. 右乳房腫瘤を自覚 1年間放置後, 前医より当院紹介受診となった. Stage I 乳癌と診断, 乳 頭温存乳房切除術+センチネルリンパ節生検+大胸筋下 へのエキスパンダー挿入を施行した. 病理診断は 2a1, g, ly0, v0, pT1a, pN0(sn), M0 stage I/ER+, PgR+, Her2 score 1, 切除断端は陰性であった. 術後補助療法として LH-RH アナログ+タモキシフェンを開始し, 手術 4カ 月後にエキスパンダーをコヒーシブシリコンバッグに入 れ替えた. 術後 1年 2カ月後の超音波検査にて患側再 側の大胸筋内に腫瘤性病変が同定された. 局所再発の診 断で, 再発腫瘍切除+再センチネルリンパ節生検を施行. 再発腫瘍はバッグ挿入に伴って薄くなった大胸筋内に限 局性に存在し, 大胸筋膜および大胸筋の下層に形成され た厚い被膜を越える浸潤は認めず, 筋膜および被膜を含 め大胸筋の部 切除を行った. シリコンバッグは本人の 希望もあり小さいサイズのものに入れ替えた. 最終病理 診断は局所再発, 切除断端陰性, センチネルリンパ節転 移陰性であった. 現在, 化学療法を施行中である. 【 察】 インプラントを摘出せずに腫瘍切除を行った局所 再発症例を経験した. 本症例に対してインプラント保持, 化学療法, 放射線治療の妥当性について 察を加える. 11.術後10年を経て,対側乳房転移をおこしたと えら れる Triple negative高度進行授乳期乳癌の1例 星野 和男,仲村 匡也,岡部 敏夫 (杏林会今井病院 外科) 土屋 眞一 (日本医科大学付属病院 病理部) 【症 例】 40歳, 女性 【臨床経過】 30歳時, 後 11ヵ月 目 の 授 乳 中 に 右 乳 房 腫 瘤 に 気 づ き, 当 院 で T2N2M0の StageⅢa右乳癌の臨床診断のもとに拡大乳 切 (Ps) 施行, 充実腺管癌, n2 (24/29), ER (−) と診断さ れた. 術後 Psと Scに照射治療と CEF 3クールを施行 し, 補助治療として LH-RHaと UFT を 10年間継続し て行い disease freeと判定されていた. 平成 20年 12月, 右乳癌術後 10年 7ヵ月目に左乳房胸壁の固定性隆起を 訴え来院, 針生検で乳癌と診断しタキソールの術前化学 療法で可動性を得てから左拡大乳切 (Ps)施行した.組織 学的に充実腺管癌で ER (−) PgR (−) HER2 (−) で Triple negativeの診断であった. 前回の乳癌も再検した ところ Triple negativeであり, 類似の組織像を呈し, 左 に乳管内成 が認められないことより右乳癌の左乳房転 移が強く疑われた. 当院で治療した妊娠授乳期乳癌全 3 症例の転帰についても検討したので報告する. 12.アロマターゼ阻害剤が有効であった HER2過剰発 現 Stage (肺転移)の1例 高田 護,山下 純男,尾本 秀之 伊藤 博,諏訪 敏一 (深谷赤十字病院 外科) HER2過剰発現の進行再発乳癌に対してはハーセプチ ン療法を施行することが多いが, 今回, ホルモン療法の みを 用し有効であった症例を経験したので報告する. 症例は 73歳女性で, 2ヶ月前に左乳腺腫瘤に気づき, 他院より紹介され受診した. 左 C 領域に径 2.5cmの弾性 の腫瘤を触知した. 可動性は不良で, Dimpling を認め た.MMG にてカテゴリー5,US CT では 2.4cmの辺縁不 整の内部に石灰化を伴う不 一の腫瘤で, 腋窩リンパ節 に転移を認めた. 胸部 X 線, CT にて両側の多発肺転移 を認めた. 肝骨転移は認めなかった. 針生検にて invasive ductal carcinoma ER (+),PgR (+),HER2 (3+)の結果 をインフォームドコンセントし, ホルモン療法 (アロマ ターゼ阻害剤) を先行して治療した. 6ヵ月後の CT にて 肺転移はほとんどが縮小, 消失しており, 乳腺腫瘍も 1.2cmと縮小し, 副作用無く順調に経過している. HER2過剰発現の症例でもホルモンレセプター陽性例 では通常通りにホルモン療法より開始しても有効な症例 があると思われる. 若干の文献的 察を加え報告する. 13.アリミデックスが著効した原発性乳癌,多発肺,骨 転移の一例 君塚 圭,三宅 洋,大原 守貴 康 祐大,菊池 剛 (春日部市立病院 外科) 症例は 75歳, 女性. 2年前に左乳房に腫瘤を触知し近 医受診. 乳癌の疑いを示唆されていたが手術望まず, 放 置していた. また, 約半年前より, 腰痛, 左側胸部痛認め NSAID を内服中であった. H20年 8月上旬, 食欲低下を 主訴に来院. 黒色 , 高度の 血認め入院となった. 内視 鏡検査にて NSAID に よ る 胃 潰 瘍 の 診 断 と な り 禁 食, PPI による治療を行った. また, 左乳房に 4 cm大の腫瘤 を認め, US施行したところ, 40mm大の不整形の腫瘤認 め CNB施行. 病理検査で浸潤性乳管癌 ( 癌), ER+ PgR+ Her2 0の診断となった. 遠隔転移の精査で左肺 に多発肺転移, 多量の胸水を認めた. 骨シンチで肋骨, 椎 体はじめ多数の転移巣あり. アリミデックスの内服と, オキシコドンによる疼痛コントロールを開始した.AI 剤 内服により胸水貯留も無くなり肺転移も消失. 現在, オ キシコドン中止しているが骨痛も認めていない.AI 剤が 著効した 1例を経験したので報告する. 82 第 40回埼玉・群馬乳腺疾患研究会
11. 術後10年を経て,対側乳房転移をおこしたと考えられるTriple negative高度進行授乳期乳癌の1例(第40回埼玉・群馬乳腺疾患研究会<セッション3>)
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