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【巻頭言】新しい臨床心理学の構築に向けて

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Academic year: 2021

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1 京都文教大学は 2008 年度より日本で初めて の臨床心理学部を創設した。これにより、紀要 は今まで通り 1 つのままでよいという意見があ り、意見は分かれたが、人間学部紀要から分か れて、臨床心理学部紀要を作ることになり、こ こに創刊号を発行することが出来た。まことに 喜ばしいことである。 すでに、前学長樋口和彦先生によって、人間 学部紀要の創刊号で、「新たな「「知」」に向かう」 と言う巻頭言の中で、京都文教大学の学部創設 の基本姿勢が明らかにされている。この考えを さらにきめ細かく発展させるために、臨床心理 学部の創設が必要となり、2008 年に実現した のである。日本に臨床心理学部をつくることは、 故河合隼雄先生や前学長樋口先生や現学長鑪先 生ら臨床心理学関係の先輩らの悲願であった。 わかり易く説明すると、「医師に医学部があり、 薬剤師に薬学部があるように、臨床心理士にも 臨床心理学部がないと、学問に基づく本当の臨 床心理士の誕生はないのではないか」という考 えからであった。臨床心理学が人間学部から独 立したとはいえ、関係が切れたわけではなく、 お互いの学問を尊重しながら、学際的にますま す関係を密にしていかなければならない。臨床 心理学部から言えば、独立しただけ、その責任 がましたのであり、人間学部に負けないだけの 自立した学問としての臨床心理学を示さなけれ ばならないという立場に追い込んだのである。 われわれはこのような覚悟を持たなければなら ないと思っている。 臨床心理学は個人を大切にし、個人に焦点づ けていくと、周りの人々もその影響を受け、変 化していくと考える個人重視の心理学である。 集団療法もあるが、基本は個人の心理療法であ る。これを基に、事例研究を大切にしながら、 様々な個人から得られる知見を基に、「人間と は何か」に接近していこうとしていると思う。 臨床心理学部が出来る前に、本校京都文教大 学には実は現代社会学科が人間学部に出来てい た。いわば、外面的なことが強化されていたの である。この点、今回は内面的なことを強化す るために、臨床心理学部を独立させたともいえ る。人間の内面をすなわち、こころを探求する 学部として、他の心理学が行動をテーマにする ことと対比できるのではないかと思う。こころ を探求することはなかなか難しい。しかし、今 までの因果律に加えて、共時的な研究方法をも 重視する臨床心理学をも認めてほしいものであ る。こころを問題としている成果の発表の場と して、この紀要が利用されることを願っている。 なお、院生もここに投稿できるようになってい る。査読もしており、より質の高い紀要になっ ていくことを祈っている。

巻頭言:新しい臨床心理学の構築に向けて

岡 田 康 伸

参照

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