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「観る」を極める

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Academic year: 2021

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「観る」を極める

16 世紀までさかのぼる顕微鏡の歴史は,17 世紀のフッ クやレーウェンフックによる微生物の観察から,2014 年 ノーベル化学賞の超解像蛍光顕微鏡へとつながっている. 限外顕微鏡(1925 年),位相差顕微鏡(1953 年),ホログラ フィ顕微鏡(1971 年),結晶電子顕微鏡(1982 年),透過電 子顕微鏡および走査トンネル顕微鏡(1986 年)と,いく度 となくノーベル賞の対象となってきた. 光や電子を試料に照射して,そこからの透過・散乱波を レンズで拡大して結像する従来型顕微鏡と違い,ビニッヒ とローラーらによって発明された走査トンネル顕微鏡 (STM)は,レンズを使わずに原子分解能が得られるもので, 人々を驚かせる画期的な発明であった.鋭くとがった金属 針(探針)を試料物質の表面から百万分の 1 ミリ程度まで 近づけ,両者に電圧を印加したときに流れるトンネル電流 を測定しながら,探針を横方向に走査する.トンネル電流 の変化として,個々の原子がパチンコ玉のように明瞭に観 察できる.江崎玲於奈らが実証したトンネル効果がこのよ うな形で顕微鏡に利用されるとは,当時誰が予想したか. その後,探針と試料表面との間に働く微弱な力など,さ まざまな信号を利用する顕微鏡が考案され,「走査プロー ブ顕微鏡」と総称されてい る.不導体の原子像や DNA など個々の分子の引っ張り 強度の測定,磁区構造,磁 束,表面電位,誘電率など を高い空間分解能で観測で きる.さらに,パルスレー ザーと組み合わせることで フェムト秒の時間分解能ま でもあわせもち,種々のダ イナミクスの測定も可能となってきた. このような研究の流れは,静的な構造からダイナミクス 観察へ,そしてデバイス動作や化学反応,生体機能発現の 最中の観察(「オペランド観察」と総称される)へと力点が 移りつつある.そのためには,実環境下での観察と特性測 定が要求される.形や構造を観察するだけでなく,機能や 特性を観察する顕微鏡,原子・分子レベルでなにが起こっ ているのか「実況中継」する顕微鏡ができるのではないか と予想される. 会誌編集委員会 結晶表面での原子の並びと電子定 在波が同時に見える STM 像(長谷 川幸雄氏提供). ©2017  日本物理学会

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